(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060016
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】固定体、固定構造、及び固定体の設置方法
(51)【国際特許分類】
F16B 47/00 20060101AFI20220407BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
F16B47/00 V
F16B5/02 J
F16B5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167978
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮博
【テーマコード(参考)】
3J001
3J038
【Fターム(参考)】
3J001FA11
3J001HA03
3J001JD00
3J001JE01
3J001KA12
3J001KA15
3J001KB03
3J001KB12
3J038AA03
3J038DA01
(57)【要約】
【課題】被固定面に安定的に固定できる固定体、固定構造、及び固定体の設置方法を提供すること。
【解決手段】交差配置された床面S1及び交差面S2にそれぞれ沿わされる第1基部11及び第2基部12を有するとともに第1基部11と第2基部12とが連接されてL字形状をなす本体10と、床面S1に当接させることで接合する粘着マット41と、交差面S2に当接させることで接合する粘着マット42と、を備えている。第1基部11の先端側を床面S1から離間する方向に付勢する螺着部材30を更に備え、螺着部材30により第1基部11の先端側が付勢されることで第2基部12が交差面S2に向けて付勢され、粘着マット42が交差面S2に向けて押圧される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差配置された第1被固定面及び第2被固定面にそれぞれ沿わされる第1基部及び第2基部を有するとともに前記第1基部と前記第2基部とが連接されてL字形状をなす本体と、
前記第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部を有する第1固定部と、
前記第2被固定面に当接させることで接合する第2被固定面側接合部を有する第2固定部と、を備え、
前記第1固定部により前記第1基部が前記第1被固定面に固定され、
前記第2固定部により前記第2基部が前記第2被固定面に固定され、
前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間する方向に付勢する付勢部材を更に備え、
前記付勢部材により前記第1基部の先端側が付勢されることで前記第2基部が前記第2被固定面に向けて付勢され、前記第2被固定面側接合部が前記第2被固定面に向けて押圧されることを特徴とする固定体。
【請求項2】
前記本体とは別体である被押圧体を更に備え、
前記被押圧体の前記第1被固定面と対面する部分に前記第1被固定面側接合部が配置され、
前記付勢部材は、前記被押圧体を前記第1被固定面に向けて押圧する押圧部を有することを特徴とする請求項1に記載の固定体。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記被押圧体を付勢した状態で、前記被押圧体に設けられた被係止部と係止して前記第1被固定面上における前記本体と前記被押圧体との相対位置を定める係止部を備えることを特徴とする請求項2に記載の固定体。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記第1基部に設けられた螺合部に螺着されるねじ部を有する螺着部材からなり、
前記螺着部材は、前記第1被固定面に向かう方向に螺進することで前記第1基部の先端側を付勢する請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の固定体。
【請求項5】
前記第1被固定面に前記第1被固定面側接合部を接合させ、且つ前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部を接合させた状態において、
前記付勢部材により、前記第1基部が前記第1被固定面に対して傾斜状態となり、
前記第2基部が前記第2被固定面側接合部の前記第2被固定面に接合された箇所の一部又は全部を前記第2被固定面に向けて押圧することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の固定体。
【請求項6】
前記第1被固定面に前記第1被固定面側接合部を接合させ、且つ前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部を接合させた状態において、
前記付勢部材により、前記本体が前記第1被固定面及び前記第2被固定面に対して傾斜姿勢となり、
前記第2基部が前記第2被固定面側接合部の前記第2被固定面に接合された箇所の一部又は全部を前記第2被固定面に向けて押圧することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の固定体。
【請求項7】
前記第1被固定面と前記第2被固定面とが交差する仮想交差線に対して前記付勢部材により前記第1基部が力を受ける位置よりも、前記第2被固定面に接合される前記第2被固定面側接合部の接合位置の方が近接していることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の固定体。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の固定体が採用され、
前記第1被固定面としての被設置面に前記第1被固定面側接合部が接合され、且つ前記被設置面に設置された設置体が有する前記被設置面と交差配置された前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部が接合され、
前記付勢部材が、前記第1基部の先端側を前記被設置面から離間する方向に付勢している固定構造。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の固定体の設置方法であって、
前記第1被固定面及び前記第2被固定面にそれぞれ沿わされるように前記第1基部及び前記第2基部を配置し、前記第1被固定面側接合部を前記第1被固定面上に接合し、且つ前記第2被固定面側接合部を前記第2被固定面に接合した後、前記付勢部材により前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間する方向に付勢することを特徴とする固定体の設置方法。
【請求項10】
前記付勢部材により前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間させるように前記第1基部を傾斜姿勢となるまで付勢することを特徴とする請求項9に記載の固定体の設置方法。
【請求項11】
交差配置された第1被固定面及び第2被固定面にそれぞれ沿わされる第1基部及び第2基部を有するとともに前記第1基部と前記第2基部とが連接されてL字形状をなす本体を備え、前記第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部を有する第1固定部により前記第1基部が前記第1被固定面に固定され、前記第2被固定面に当接させることで接合する第2被固定面側接合部を有する第2固定部により前記第2基部が前記第2被固定面側接合部に固定される固定体であって、
前記第1基部の先端側を前記第1被固定面側から離間する方向に付勢する付勢部材を更に備え、
前記付勢部材により前記第1基部の先端側が付勢されることで前記第2基部が前記第2被固定面に向けて付勢され、前記第2被固定面側接合部が前記第2被固定面に向けて押圧されることを特徴とする固定体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定体、固定構造、及び固定体の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される固定体が知られている。
上記の固定体は、交差配置された床面及び設置体の垂直面にそれぞれ沿わされる水平支持板及び垂直可動板を有している。水平支持板は、第1粘着手段により床面に固定され、垂直可動板は、第2粘着手段により垂直面に固定されている。第1粘着手段及び第2粘着手段は、例えば、粘着性を備えたゲル状の超軟質ウレタンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、第1粘着手段の床面に対する粘着が足りない場合、又は第2粘着手段の設置体の垂直面に対する粘着が足りない場合がある。この場合、床面や垂直面のような被固定面に対する固定体の安定性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、被固定面に安定的に固定できる固定体、固定構造、及び固定体の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する固定体は、交差配置された第1被固定面及び第2被固定面にそれぞれ沿わされる第1基部及び第2基部を有するとともに前記第1基部と前記第2基部とが連接されてL字形状をなす本体と、前記第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部を有する第1固定部と、前記第2被固定面に当接させることで接合する第2被固定面側接合部を有する第2固定部と、を備え、前記第1固定部により前記第1基部が前記第1被固定面に固定され、前記第2固定部により前記第2基部が前記第2被固定面に固定され、前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間する方向に付勢する付勢部材を更に備え、前記付勢部材により前記第1基部の先端側が付勢されることで前記第2基部が前記第2被固定面に向けて付勢され、前記第2被固定面側接合部が前記第2被固定面に向けて押圧されることを要旨とする。
【0007】
上記の固定体において、前記本体とは別体である被押圧体を更に備え、前記被押圧体の前記第1被固定面と対面する部分に前記第1被固定面側接合部が配置され、前記付勢部材は、前記被押圧体を前記第1被固定面に向けて押圧する押圧部を有するとよい。
【0008】
上記の固定体において、前記付勢部材は、前記被押圧体を付勢した状態で、前記被押圧体に設けられた被係止部と係止して前記第1被固定面上における前記本体と前記被押圧体との相対位置を定める係止部を備えるとよい。
【0009】
上記の固定体において、前記付勢部材は、前記第1基部に設けられた螺合部に螺着されるねじ部を有する螺着部材からなり、前記螺着部材は、前記第1被固定面に向かう方向に螺進することで前記第1基部の先端側を付勢するとよい。
【0010】
上記の固定体において、前記第1被固定面に前記第1被固定面側接合部を接合させ、且つ前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部を接合させた状態において、前記付勢部材により、前記第1基部が前記第1被固定面に対して傾斜状態となり、前記第2基部が前記第2被固定面側接合部の前記第2被固定面に接合された箇所の一部又は全部を前記第2被固定面に向けて押圧するとよい。
【0011】
上記の固定体において、前記第1被固定面に前記第1被固定面側接合部を接合させ、且つ前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部を接合させた状態において、前記付勢部材により、前記本体が前記第1被固定面及び前記第2被固定面に対して傾斜姿勢となり、前記第2基部が前記第2被固定面側接合部の前記第2被固定面に接合された箇所の一部又は全部を前記第2被固定面に向けて押圧するとよい。
【0012】
上記の固定体において、前記第1被固定面と前記第2被固定面とが交差する仮想交差線に対して前記付勢部材により前記第1基部が力を受ける位置よりも、前記第2被固定面に接合される前記第2被固定面側接合部の接合位置の方が近接しているとよい。
【0013】
上記課題を解決する固定構造は、上記の固定体が採用され、前記第1被固定面としての被設置面に前記第1被固定面側接合部が接合され、且つ前記被設置面に設置された設置体が有する前記被設置面と交差配置された前記第2被固定面に前記第2被固定面側接合部が接合され、前記付勢部材が、前記第1基部の先端側を前記被設置面から離間する方向に付勢していることを要旨とする。
【0014】
上記課題を解決する固定体の設置方法は、上記の固定体の設置方法であって、前記第1被固定面及び前記第2被固定面にそれぞれ沿わされるように前記第1基部及び前記第2基部を配置し、前記第1被固定面側接合部を前記第1被固定面上に接合し、且つ前記第2被固定面側接合部を前記第2被固定面に接合した後、前記付勢部材により前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間する方向に付勢することを要旨とする。
【0015】
上記の固定体の設置方法において、前記付勢部材により前記第1基部の先端側を前記第1被固定面から離間させるように前記第1基部を傾斜姿勢となるまで付勢するとよい。
上記課題を解決する固定体は、交差配置された第1被固定面及び第2被固定面にそれぞれ沿わされる第1基部及び第2基部を有するとともに前記第1基部と前記第2基部とが連接されてL字形状をなす本体を備え、前記第1被固定面に当接させることで接合する第1被固定面側接合部を有する第1固定部により前記第1基部が前記第1被固定面に固定され、前記第2被固定面に当接させることで接合する第2被固定面側接合部を有する第2固定部により前記第2基部が前記第2被固定面側接合部に固定される固定体であって、前記第1基部の先端側を前記第1被固定面側から離間する方向に付勢する付勢部材を更に備え、前記付勢部材により前記第1基部の先端側が付勢されることで前記第2基部が前記第2被固定面に向けて付勢され、前記第2被固定面側接合部が前記第2被固定面に向けて押圧されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、被固定面に安定的に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図8】第1実施形態における本体と別体とを組み付けた状態の斜視図。
【
図9】第1実施形態において、螺着部材の取り付け前を示す側面図。
【
図10】第1実施形態において、本体、別体、及び螺着部材の組立後の状態の示す側面図。
【
図11】第1実施形態の固定体の固定状態を示す断面図。
【
図12】第1実施形態の固定体の固定状態を示す断面図。
【
図13】第1実施形態の固定体の固定状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、固定体を具体化した一実施形態を
図1~
図13にしたがって説明する。
図1に示すように、固定体1は、本体10と、本体10とは別体の被押圧体20と、螺着部材30と、を備えている。本体10と被押圧体20とは、螺着部材30により組み付けられている。
【0019】
図2に示すように、本体10は、第1基部11と、第2基部12と、を有している。第1基部11は、矩形板状をなしている。第2基部12は、長四角板状をなしている。第2基部12は、板厚方向の一方に第1面12aを有し、他方に平坦面をなす第2面12bを有している。第2基部12の短手方向において、本体10を見た側面視において、本体10はL字形状である。第1基部11は、L字形状の本体10の一方の腕をなしている。第2基部12は、L字形状の本体10の他方の腕をなしている。第1基部11と第2基部12とは、一体的に連接されている。
【0020】
図2及び
図3に示すように、第1基部11には、基台部13と、延設板部14と、第1延設部15と、が設けられている。
基台部13は、ブロック状をなしている。基台部13は、板厚方向の一方に第1面13aを有し、他方に平坦面をなす第2面13bを有している。本体10の側面視において、基台部13と第2基部12とは、L字形状をなすように一体的に連接されている。第2基部12は、基台部13の第1面13aから突出している。基台部13の第1面13aと第2基部12の第1面12aとは、滑らかに連続している。基台部13の第2面13bと、第2基部12の第2面12bとは、直交している。基台部13の第2面13bと第2基部12の第2面12bとの境界を基準として、当該基準から第2基部12の先端までの長さは、当該基準から基台部13の先端までの長さよりも長い。
【0021】
延設板部14は、矩形板状をなしている。延設板部14は、板厚方向の一方に平坦面をなす第1面14aを有し、他方に平坦面をなす第2面14bを有している。第1面14aと第2面14bとは平行である。延設板部14は、基台部13と一体的に連接されている。延設板部14の第1面14aは、基台部13の第1面13aと滑らかに連続している。延設板部14の第1面14aは、基台部13の第1面13aとともに平坦面をなすように延びている。延設板部14は、基台部13の先端における第1面13a寄りに配置されている。なお、延設板部14の先端は、第1基部11の先端である。
【0022】
図2に示すように、第1延設部15は、半円筒状をなしている。第1延設部15は、延設板部14の第1面14aから突出している。第1延設部15は、延設板部14の先端寄りに設けられている。第1延設部15は、延設板部14の先端に向けて開口するように湾曲している。
【0023】
第1延設部15は、円弧状に湾曲する円弧部16と、円弧部16の円弧が延びる方向の先端に設けられる一対の段差部17と、を有している。一対の段差部17は、延設板部14の第1面14aにおいて、延設板部14の先端に寄せられている。一対の段差部17の第1面14aからの高さは、円弧部16の第1面14aからの高さよりも低い。円弧部16の先端面16aと段差部17の頂面17aとにより段差面が形成されている。円弧部16の円弧をなす外側面には、雄ねじ溝16bが設けられている。
【0024】
延設板部14における第1延設部15の内側に位置する部分には、切欠部14cが設けられている。切欠部14cは、延設板部14を板厚方向に貫通している。切欠部14cは、第1延設部15の円弧をなす内側面に沿って半円弧状をなしている。切欠部14cは、第1延設部15の円弧をなす内側面に滑らかに連続している。切欠部14cは、第1延設部15とともに延設板部14の先端に開口している。
【0025】
図3に示すように、延設板部14の第2面14bには、一対の嵌合溝14dが設けられている。一対の嵌合溝14dは、基台部13から延設板部14の先端に向かう方向を長手方向とする矩形溝である。一対の嵌合溝14dは、延設板部14の先端に開口している。
【0026】
図4に示すように、第2基部12の第2面12bには、矩形溝12dが設けられている。矩形溝12dの長手方向は、第2基部12の長手方向と一致している。矩形溝12dの短手方向は、第2基部の短手方向と一致している。
【0027】
固定体1は、粘着マット42を備えている。矩形溝12dの底面12eには、粘着マット42が貼着される。粘着マット42は、両面に粘着面を有している。粘着マット42は、板厚方向に圧縮変形可能な柔軟性のある材質により構成されている。底面12eは、粘着マット42が貼着される粘着マット貼着面である。底面12eは、粘着マット42よりも広い面積を有している。
【0028】
図11に示すように、粘着マット42の厚さは、矩形溝12dの深さよりも大きい。そのため、粘着マット42の一方の粘着面は、第2基部12の第2面12bよりも突出した位置に配置される。
【0029】
図5に示すように、被押圧体20は、基板部21と、膨出突部22と、第2延設部23と、一対の嵌合部24と、を有している。
基板部21は、矩形板状をなしている。膨出突部22は、ブロック状をなしている。膨出突部22は、基板部21の第1長縁に隣り合うように配置されている。基板部21と膨出突部22とは、一体的に連接されている。膨出突部22は、基板部21の板厚方向において、基板部21の第1面21aよりも突出している。
【0030】
第2延設部23は、半円筒状をなしている。第2延設部23は、基板部21の第1面21aよりも高い位置に存在する膨出突部22の頂面22aから突出している。第2延設部23は、基板部21に向けて開口するように湾曲している。第2延設部23は、円弧状に湾曲する円弧部25と、円弧部25の円弧が延びる方向の先端に設けられる一対の張出部26と、を有している。円弧部25は、膨出突部22の頂面22a上に設けられている。一対の張出部26は、基板部21の第1面21aと間隔を隔てて対向するように円弧部25の先端から突出している。一対の張出部26の先端面26aは、平坦面である。
【0031】
膨出突部22における円弧部25の内側に位置する部分には、切欠部22bが設けられている。切欠部22bは、膨出突部22の基板部21に臨む位置を膨出突部22の板厚方向に切り欠かれた形状である。切欠部22bは、円弧部25の円弧をなす内側面に沿って円弧状をなしている。切欠部22bは、円弧部25の円弧をなす内側面に滑らかに連続している。切欠部22bは、第2延設部23とともに基板部21に向けて開口している。
【0032】
一対の嵌合部24は、基板部21の第1面21aから突出している。一対の嵌合部24は、基板部21の両短縁寄りに配置されている。一対の嵌合部24は、基板部21と膨出突部22との境界付近に設けられている。一対の膨出突部22は、膨出突部22から基板部21の第2長縁に向かう方向を長手方向とするブロック状をなしている。一対の嵌合部24は、基板部21の第2長縁に至らない程度に延びている。一対の嵌合部24は、切欠部22bの両側に設けられている。一対の嵌合部24は、基板部21の板厚方向において、一対の張出部26と重ならないように設けられている。一対の嵌合部24は、上述した一対の嵌合溝14dと対応する位置に設けられている。一対の嵌合部24は、一対の嵌合溝14dに倣った形状をなしている。一対の嵌合部24は、一対の嵌合溝14dよりも若干大きい。
【0033】
図6に示すように、被押圧体20の第1面21a及び頂面22aとは反対側には、平坦面状の端面22cが設けられている。端面22cは、四角形状をなしている。被押圧体20は、端面22cの外縁から突出する枠部28を有している。枠部28は、端面22cにおける基板部21の第2長縁に臨む縁を除く外縁から突出している。枠部28は、基板部21の第2長縁に向けて開口するようにコの字形状である。被押圧体20には、端面22cと枠部28とに囲まれることにより収容溝27が形成される。収容溝27は、枠部28の先端及び基板部21の第2長縁に向けて開口している。
【0034】
固定体1は、粘着マット41を備えている。粘着マット41は、被押圧体20に設けられている。収容溝27の端面22cには、粘着マット41が貼着される。粘着マット41は、両面に粘着面を有している。粘着マット41は、板厚方向に圧縮変形可能な柔軟性のある材質により構成されている。端面22cは、粘着マット41が貼着される粘着マット貼着面である。端面22cは、粘着マット41よりも広い面積を有している。
【0035】
図11に示すように、粘着マット41の厚さは、収容溝27の深さよりも大きい。すなわち、粘着マット41の厚さは、枠部28の高さよりも大きい。そのため、粘着マット41の一方の粘着面は、収容溝27の枠部28の先端よりも突出した位置に配置される。よって、枠部28は、粘着マット41を囲むように配置されるとともに端面22cから粘着マット41の厚さよりも小さく突出する突出部である。
【0036】
図7に示すように、螺着部材30は、円板状の底壁31と、底壁31の外縁から延びる筒状の周壁32と、軸状の押圧部33と、を有している。
周壁32の内面には、雌ねじ溝32aが設けられている。周壁32の外周面には、複数の長溝32bが設けられている。複数の長溝32bは、周壁32の周方向に所定の間隔を隔てて配置されている。長溝32bは、底壁31から周壁32が延びる方向において、周壁32の全長に延びている。
【0037】
押圧部33は、底壁31の内底面から突出している。押圧部33は、底壁31から周壁32が突出する方向と同じ方向に突出している。押圧部33の軸線と周壁32の軸線とは一致している。押圧部33の底壁31からの高さは、周壁32の底壁31からの高さよりも大きい。押圧部33の先端は、周壁32の先端よりも外側に突出している。押圧部33が設けられることにより、螺着部材30には、底壁31の内底面と、周壁32の内面と、押圧部33の外周面とにより囲まれた挿入空間P1が形成されている。挿入空間P1は、押圧部33の軸線を中心として環状をなしている。挿入空間P1は、第1延設部15と第2延設部23を挿入するための空間である。
【0038】
次に、固定体1の単独での組み付けについて説明する。
図8に示すように、本体10に設けられた一対の嵌合溝14dに被押圧体20に設けられた一対の嵌合部24を圧入することにより本体10と被押圧体20とが組み付けられる。
【0039】
本体10と被押圧体20とを嵌合溝14d及び嵌合部24により仮組付けした場合、基板部21の第1面21aは、延設板部14の第2面14bに当接可能である。基板部21の第2長縁は、基台部13に当接可能である。延設板部14の先端は、膨出突部22に当接可能である。すなわち、被押圧体20は、延設板部14の先端と隣り合うように配置されている。
【0040】
図9に示すように、本体10と被押圧体20とを嵌合溝14d及び嵌合部24により仮組付した場合、円弧部16の先端面16aと、一対の張出部26の先端面26aとが当接する。一対の張出部26それぞれの先端面26aは、円弧部16の先端面16aの上方に当接し、円弧部16の先端面16aは、一対の張出部26それぞれの先端面26aの下方に当接する。延設板部14と基板部21の板厚方向において、一対の張出部26と一対の段差部17とは間隔を隔てて対向する。すなわち、段差部17と張出部26との間に許容空間P2が形成される。
【0041】
図8に示すように、本体10と被押圧体20とを嵌合溝14d及び嵌合部24により仮組付けした場合、第1延設部15及び第2延設部23は、相互に組み合わせられることにより円筒孔Hを形成する。円筒孔Hは、第1延設部15の円弧をなす内側面と第2延設部23の円弧をなす内側面とが滑らかに連続することにより形成される。円筒孔Hの内径は、螺着部材30の押圧部33が挿入される程度に設定されている。
【0042】
図9に示すように、本体10と被押圧体20とが嵌合溝14d及び嵌合部24により仮組されている状態で、螺着部材30が取り付けられる。螺着部材30は、挿入空間P1に第1延設部15と第2延設部23とを挿入するように、且つ円筒孔Hに押圧部33を挿入するように取り付けられる。螺着部材30は、周壁32の雌ねじ溝32aに雄ねじ溝16bを螺着することで螺進退可能とされている。
【0043】
本体10と被押圧体20とを嵌合溝14d及び嵌合部24により仮組付けした状態において、被押圧体20は、枠部28よりも突出した粘着マット41の粘着面が、基台部13の第2面13bよりも控えた位置となる第1位置に配置される。すなわち、一対の嵌合溝14d及び一対の嵌合部24は、被押圧体20を第1位置に維持する維持構造である。なお、嵌合部24が嵌合溝14dに嵌め込まれたとき、基板部21の第1面21aは、延設板部14の第2面14bに当接していなくてもよい。また、嵌合部24が嵌合溝14dに嵌め込まれたとき、基板部21の第2長縁は、基台部13に当接していなくてもよい。嵌合部24が嵌合溝14dに嵌め込まれたとき、延設板部14の先端は、膨出突部22に当接していなくてもよい。
【0044】
図9及び
図10に示すように、螺着部材30が螺進するにつれて、螺着部材30の周壁32の先端が膨出突部22の頂面22aに当接する。螺着部材30を更に螺進させると、周壁32の先端が膨出突部22の頂面22aを螺着部材30の螺進方向に押圧することにより、被押圧体20が本体10に対して移動する。
【0045】
螺着部材30の周壁32の先端が膨出突部22の頂面22aに当接すると同時に、螺着部材30の押圧部33が基板部21の第1面21aに当接する。螺着部材30を更に螺進させると、押圧部33が基板部21の第1面21aを螺着部材30の螺進方向に押圧する。このとき、一対の嵌合部24が一対の嵌合溝14dから外れ、本体10と被押圧体20との嵌合溝14d及び嵌合部24による仮組付けが解除される。螺着部材30を螺進させるほど、第2延設部23の一対の張出部26が第1延設部15の一対の段差部17に近接する。
【0046】
螺着部材30の周壁32の先端が、延設板部14の第1面14a及び基台部13の第1面13aに当接した状態において、螺着部材30の螺進が規制される。また、一対の張出部26が一対の段差部17に係止することで螺着部材30の螺進が規制される。このとき、被押圧体20は、枠部28よりも突出した粘着マット41の粘着面が、基台部13の第2面13bよりも突出した位置となる第2位置に配置される。
【0047】
次に、床面S1に設置される設置体100を固定体1により床面S1に固定する固定構造について、固定体1の設置方法をふまえて説明する。本実施形態における設置体100は、例えば、床面S1に設置される棚や冷蔵庫等の機器を示している。設置体100は、床面S1と交差配置される複数の側面を有している。複数の側面のうち1つを交差面S2とする。なお、床面S1は、第1被固定面であり、交差面S2は、第2被固定面である。
【0048】
図11に示すように、固定体1の設置方法において、最初に被押圧体20を本体10に対して第1位置とした状態で基台部13の第2面13bを床面S1に宛がうとともに粘着マット42を交差面S2に対面させる。被押圧体20は、床面S1と対面するように設けられる。被押圧体20は、粘着マット41の床面S1に対向する対向部41aが床面S1に宛がった第2面13bよりも控えた位置となる第1位置となるように配置される。このとき、床面S1及び交差面S2にそれぞれ沿わされるように第1基部11及び第2基部12を配置する。また、第1延設部15及び第2延設部23は、床面S1から離間する方向に延設される。なお、基台部13の第2面13bは、床面S1に宛がわれる基準面である。
【0049】
次に、基台部13の第2面13bを床面S1に沿わせながら粘着マット42が交差面S2に当接するまで本体10を移動させ、粘着マット42を交差面S2に接合する。すなわち、粘着マット42で本体10を交差面S2に固定する。粘着マット42を交差面S2に接合したとき、粘着マット42を圧縮変形させるように本体10を交差面S2に向けて押圧する。
【0050】
次に、螺着部材30を取り付ける。
図12に示すように、螺着部材30の挿入空間P1に第1延設部15及び第2延設部23を挿入し、且つ螺着部材30の雌ねじ溝32aに第1延設部15の雄ねじ溝16bを螺着する。このとき、螺着部材30の周壁32の内面には、第1延設部15の円弧部16及び第2延設部23の円弧部25が係止される。なお、螺着部材30の挿入空間P1は、床面S1に向けて開口している。
【0051】
粘着マット42を圧縮変形させるように本体10を交差面S2に向けて押圧した状態で、螺着部材30を螺進させると、螺着部材30の周壁32の先端が膨出突部22の頂面22aを床面S1に向けて押圧する。また、螺着部材30の押圧部33の先端が基板部21の第1面21aを床面S1に向けて押圧する。すなわち、押圧部33は、被押圧体20を床面S1に向けて押圧する。それに伴い、本体10と被押圧体20との嵌合溝14d及び嵌合部24による仮組付けが解除される。すなわち、螺着部材30は、床面S1に向かう方向に螺進することで維持構造による被押圧体20の第1位置での維持状態を解除して被押圧体20が床面S1に向けて移動することを許容する。
【0052】
その後、螺着部材30の螺進を継続すると、螺着部材30の押圧部33が基板部21の第1面21aに当接しつつ粘着マット41の対向部41aが床面S1に接合する。螺着部材30により床面S1上における本体10と被押圧体20との相対位置を定め、且つ粘着マット41が床面S1に接合されるため、第1基部11の床面S1上における位置ずれが抑制される。ここで、押圧部33が基板部21の第1面21aに当接したとき、段差部17と張出部26とは
図7に示す許容空間P2を形成するように対向配置されている。許容空間P2は、螺着部材30の挿入空間P1の内部に位置している。そのため、螺着部材30の螺進が完了する前の状態において、挿入空間P1は、許容空間P2を含んでいる。なお、螺着部材30を螺進させることにより粘着マット41を床面S1に接合した後、粘着マット42により第2基部12を交差面S2に接合してもよい。
【0053】
図13に示すように、粘着マット41を床面S1に接合し、且つ粘着マット42により第2基部12を交差面S2に接合した後、螺着部材30を床面S1に向けて螺進させる。すると、押圧部33が基板部21を螺着部材30の螺進方向に押圧することにより粘着マット41が圧縮変形する。すなわち、螺着部材30は、被押圧体20に設けられた粘着マット41が床面S1に押圧されるまで螺進可能である。
【0054】
粘着マット41が圧縮変形された後、螺着部材30を更に床面S1に向けて螺進させると、螺着部材30の床面S1に向けての螺進が規制されるが、第1延設部15の雄ねじ溝16bが螺着部材30の雌ねじ溝32aにより床面S1から離間する方向に引き上げられる。そのため、螺着部材30を螺進させることにより円弧部16には、螺着部材30により床面S1から離間する方向に引き上げられる付勢力が作用する。すなわち、螺着部材30は、床面S1に向かう方向に螺進することで延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間する方向に付勢する。
【0055】
本実施形態では、螺着部材30が床面S1に向かう方向に螺進することにより、基台部13の第2面13bの設置体100寄りの縁部のみが床面S1に当接した状態で、第2面13bの設置体100寄りの縁部を除く部分が床面S1から離間している。よって、螺着部材30により第2面13bの設置体100寄りの縁部を除く部分を床面S1から離間させ、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となる。すなわち、本実施形態における固定体1の設置方法では、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間させるように第1基部11を傾斜姿勢となるまで付勢している。
【0056】
第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となるとき、被押圧体20は、粘着マット41の対向部41aが基台部13の第2面13bよりも床面S1寄りに位置する第2位置となるように配置され、粘着マット41の対向部41aが床面S1に対して強固に接合される。このとき、粘着マット41は、圧縮変形している。
【0057】
被押圧体20が第2位置に配置され、粘着マット41が圧縮変形した状態において、被押圧体20の枠部28は、床面S1に当接していない。なお、被押圧体20の枠部28が床面S1に当接していてもよい。
【0058】
また、粘着マット41を圧縮変形させた後、螺着部材30の螺進に伴って延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間するように付勢されるため、螺着部材30の螺進に伴って床面S1に対して螺着部材30の回動軸心Oが床面S1に対して傾斜する。被押圧体20の位置が変化することなく、延設板部14の先端が床面S1から離間するため、円弧部16の先端面16aと一対の張出部26の先端面26aが離間しようとする。このとき、仮に一対の段差部17が一対の張出部26に当接していると、延設板部14の先端が床面S1から離間することができず、螺着部材30の螺進を妨げる虞がある。
【0059】
しかし、螺着部材30の螺進が完了する前の状態において、挿入空間P1は、許容空間P2を含んでいる。そのため、螺着部材30の回動軸心Oが床面S1に対して傾斜しても一対の段差部17が一対の張出部26に当接するまでに猶予がある。よって、許容空間P2は、螺着部材30の螺進を許容する空間として機能する。
【0060】
第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となるため、第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられる。螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が付勢されることで第2基部12が交差面S2に向けて付勢される。すなわち、第2基部12が粘着マット42の交差面S2に接合された箇所の一部又は全部を交差面S2に向けて押圧する。そのため、粘着マット42が交差面S2に向けて押圧される。本実施形態では、第2基部12は、交差面S2に対して傾斜姿勢となる。第2基部12は、基台部13から第2基部12の先端に向かうにつれて交差面S2に近接するように傾斜している。すなわち、床面S1に粘着マット41を接合させ、且つ交差面S2に粘着マット42を接合させた状態において、螺着部材30により本体10が床面S1及び交差面S2に対して傾斜姿勢となる。交差面S2と第2基部12との間に配置される粘着マット42は、圧縮変形されている。なお、第2基部12は、交差面S2に対して傾斜姿勢となることに限らず、交差面S2に沿って延びている状態を維持していてもよい。第2基部12は、第1基部11が傾斜姿勢となることにより粘着マット42の交差面S2に接合された箇所の一部又は全部を交差面S2に向けて押圧していればよい。
【0061】
また、第1基部11は、床面S1に対して傾斜姿勢となることに限らず、床面S1に沿って延びている状態を維持してもよい。第1基部11は、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢され、第2基部12を交差面S2に向けて押圧できていれば床面S1に対して傾斜姿勢となっていなくてもよい。第1基部11が床面S1に沿って延びている状態に維持する場合、被押圧体20の第2位置を変更してもよい。すなわち、枠部28よりも突出した粘着マット41の対向部41aが基台部13の第2面13bと同じ位置に配置されるとともに対向部41aが床面S1に接合される位置を第2位置としてもよい。
【0062】
上記のように構成された固定体1において、螺着部材30は、延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間する方向に付勢する付勢部材として機能する一方で、本体10と被押圧体20を組み付ける結合体としても機能する。なお、延設板部14の先端寄りの部分とは、第1基部11の先端側である。延設板部14の先端寄りの部分とは、延設板部14の円弧部16が設けられる部分を示している。
【0063】
粘着マット41は、床面S1に当接させることで接合する第1被固定面側接合部である。粘着マット41は、本体10と被押圧体20とが組み付けられた状態において、床面S1上における第1基部11の位置ずれを抑制する機能を有する。粘着マット41により第1基部11が床面S1に固定されている。すなわち、粘着マット41は、第1基部11を床面S1に固定するための第1固定部としても機能する。なお、第1固定部は、粘着マット41のみで構成することに限らず、粘着マット41にビス、ボルト、ナット等の固定部材を追加した構成に変更してもよい。また、粘着マット41は、粘着性を有する滑り止めのゴムシートに代替してもよい。滑り止めのゴムシートは、第1被固定面側接合部の一例である。ただし、第1固定部の構成を変更する場合、第1固定部は、粘着マット41やゴムシートのような第1被固定面側接合部を有するように変更する。
【0064】
粘着マット42は、交差面S2に当接させることで接合する第2被固定面側接合部である。粘着マット42により第2基部12が交差面S2に固定されている。すなわち、粘着マット42は、第2基部12を交差面S2に固定するための第2固定部としても機能する。粘着マット42により第2基部12が交差面S2に固定されている。なお、第2固定部は、粘着マット42のみで構成することに限らず、粘着マット42にビス、ボルト、ナット等の固定部材を追加した構成に変更してもよい。また、粘着マット42は、粘着性を有する滑り止めのゴムシートに代替してもよい。滑り止めのゴムシートは、第2被固定面側接合部の一例である。ただし、第2固定部の構成を変更する場合、第2固定部は、粘着マット42やゴムシートのような第1被固定面側接合部を有するように変更する。
【0065】
円弧部25は、被押圧体20に設けられた被係止部であり、螺着部材30の周壁32の内面は、円弧部25と係止する係止部である。周壁32の内面が円弧部25に係止して床面S1上における本体10と被押圧体20との相対位置が定まる。また、被係止部としての円弧部25を第1被係止部とすると、円弧部25の先端に設けられた一対の張出部26は、螺着部材30の挿入空間P1に挿入された状態において、本体10の一対の段差部17に係止される第2被係止部である。第1延設部15は、螺合部であり、螺着部材30の周壁32に設けられた雌ねじ溝32aは、ねじ部である。
【0066】
本実施形態では、固定体1が採用され、被設置面としての床面S1に粘着マット41が接合され、且つ床面S1に設置された設置体100が有する交差面S2に粘着マット42が接合され、螺着部材30が、第1基部11の先端側を床面S1から離間する方向に付勢している固定構造が構成されている。また、本実施形態では、第1基部11の第1延設部15の雄ねじ溝16bと螺合した螺着部材30の床面S1に向かう螺進により、螺着部材30の床面S1へ向かう押圧力の反力を雄ねじ溝16bが受けて、第1基部11が床面S1から離間するように付勢されている固定構造が構成されている。
【0067】
上記のように構成された固定体1は、被押圧体20を第1位置と第2位置とに配置可能とした固定体である。固定体1は、第1延設部15及び第2延設部23を挿入空間P1に挿入された状態で螺着部材30を螺進することにより本体10に対して被押圧体20が床面S1に沿う方向に分離することを抑制するように本体10と被押圧体20とを結合する固定体である。また、固定体1は、螺着部材30を床面S1から離れる方向に螺退することにより本体10と被押圧体20とを分離可能とした固定体である。なお、本実施形態では、螺着部材30を雄ねじ溝16bから取り外したときに初めて第1延設部15及び第2延設部23が挿入空間P1から離脱し、本体10と被押圧体20とが分離できる。
【0068】
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1-1)本実施形態の固定体1によれば、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢されることにより第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられる。それに伴い、粘着マット42が交差面S2に押し付けられる。粘着マット42が交差面S2に対して強固に接合されるため、固定体1を交差面S2に安定的に固定できる。
【0069】
(1-2)螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢されることにより第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられるとともに、螺着部材30の押圧部33により被押圧体20が床面S1に向けて押圧される。そのため、粘着マット41が床面S1に向けて押し付けられる。したがって、固定体1を床面S1及び交差面S2により安定的に固定できる。
【0070】
(1-3)固定体1が床面S1に固定された状態において、螺着部材30の周壁32の内面が被押圧体20の円弧部25に係止することにより被押圧体20が本体10から床面S1に沿って分離することを抑制できる。
【0071】
(1-4)螺着部材30を螺進させると、第1延設部15の雄ねじ溝16bが螺着部材30の雌ねじ溝32aにより床面S1から離間する方向に引き上げられる力を受ける。すなわち、延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢される。よって、第2基部12が交差面S2に向けて付勢され、粘着マット42が交差面S2に強固に接合される。よって、床面S1及び交差面S2に固定体1をより安定的に固定できる。
【0072】
(1-5)床面S1に粘着マット41を接合し、且つ交差面S2に粘着マット42を接合させた状態において、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となるため、第2基部12が粘着マット42をより強固に押圧する。よって、固定体1を交差面S2により安定的に固定できる。
【0073】
(1-6)床面S1に粘着マット41を接合し、且つ交差面S2に粘着マット42を接合させた状態において、第2基部12も交差面S2に傾斜姿勢となる。そのため、本体10が床面S1及び交差面S2に対して傾斜姿勢となる。よって、第1基部11の傾斜姿勢による第2基部12の交差面S2への押し付けに加えて、第2基部12自身も交差面S2に押し付けられるため、粘着マット42を更に強固に交差面S2に接合できる。
【0074】
(1-7)本実施形態の固定体1によれば、基台部13の第2面13bを床面S1に宛がった状態において、被押圧体20が第1位置に配置されることで、本体10を床面S1に沿って移動させることができる。そのため、固定体1の床面S1上での位置決めを簡易的に実施できる。また、本体10を床面S1に沿って移動させている間に、被押圧体20が本体10の床面S1上での位置決めを邪魔することがない。そして、本体10の床面S1上での位置決めが完了した状態で、被押圧体20を第2位置に配置することにより本体10と被押圧体20とを床面S1に対して固定することができる。したがって、床面S1に固定する位置を簡易的に調整できる。
【0075】
(1-8)一対の嵌合溝14d及び一対の嵌合部24により構成される維持構造により被押圧体20が第1位置に維持されるため、床面S1上での位置決め作業性を向上できる。
【0076】
(1-9)螺着部材30が螺進することにより一対の嵌合溝14d及び一対に嵌合部24による被押圧体20の第1位置の維持状態を解除できる。
(1-10)螺着部材30は、粘着マット41が床面S1に押圧されるまで螺進可能であるため、一対の嵌合溝14d及び一対の嵌合部24により構成される維持構造による仮組付けを解除された被押圧体20は、螺着部材30により第2位置に配置されるように押圧されるため、粘着マット41が床面S1に強固に接合される。したがって、床面S1に固定体1を安定的に固定できる。
【0077】
(1-11)本体10と被押圧体20の床面S1上における相対位置を円弧部25と周壁32の内面とにより定めた状態で、一対の張出部26が一対の段差部17に係止される。よって、被押圧体20の円弧部25が螺着部材30の挿入空間P1から離脱することなく、螺着部材30が取り付けられた状態では、本体10と被押圧体20とが分離することがない。よって、例えば、製品として固定体1を流通させる場合、本体10、被押圧体20、及び螺着部材30を一体的にまとめておくことができる。したがって、本体10、被押圧体20、及び螺着部材30を別途組み付ける必要がなくなる。
【0078】
(1-12)粘着マット41が枠部28に取り囲まれた状態であるため、粘着マット41が床面S1上で潰れ過ぎることを枠部28により抑制できる。
(1-13)本実施形態の固定体1によれば、螺着部材30を螺進させることにより被押圧体20を介して粘着マット41を床面S1へと押圧して強固な固定力を得られるとともに本体10と被押圧体20とを結合し、螺着部材30を螺退させることにより本体10と被押圧体20とが分離される。したがって、螺着部材30を回動させるだけで、本体10と被押圧体20との結合及び分離を容易に実施できる。また、本体10と被押圧体20を分離した状態で、床面S1から本体10と被押圧体20を個別に取り外すことができる。そのため、床面S1及び交差面S2からの固定体1の取り外しを容易に実施できる。
【0079】
(1-14)第1延設部15及び第2延設部23のうち第1延設部15にのみ雄ねじ溝16bが形成されているため、第1延設部15及び第2延設部23の両方に雄ねじ溝を形成して、第1延設部15及び第2延設部23それぞれの雄ねじ溝同士の位置を一致させる必要がなく、螺着部材30を螺着させ易い。
【0080】
(1-15)第1延設部15及び第2延設部23により円筒孔Hが形成されるとともに、第1延設部15と第2延設部23の外形は円形をなしている。すなわち、第1延設部15及び第2延設部23が環状の挿入空間P1に倣った形状となっている。そのため、挿入空間P1に第1延設部15及び第2延設部23を挿入することにより、本体10と被押圧体20とを螺着部材30により強固に連結できる。
【0081】
本実施形態の固定体1によれば、第1延設部15に雄ねじ溝16bが形成されているため、螺着部材30の螺進及び螺退を円滑にすることができる。
<第2実施形態>
以下、固定体を具体化した第2実施形態を
図14にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明し、詳細な説明を割愛する。
【0082】
図14に示すように、基台部13の第2面13bと第2基部12の第2面12bとの境界を基準として、当該基準から第2基部12の先端までの長さは、当該基準から基台部13の先端までの長さよりも短い。粘着マット42は、第2基部12と基台部13とを跨ぐように配置されている。
【0083】
螺着部材30を螺進させることにより円弧部16には、螺着部材30により床面S1から離間する方向に引き上げられる付勢力が作用する。
延設板部14の円弧部16が設けられている領域を第1領域R1とし、粘着マット42が交差面S2に接合されている領域を第2領域R2とし、床面S1と交差面S2とが交差する仮想線を仮想交差線Lとする。第1領域R1は、第1基部11において、螺着部材30により力を受ける位置である。第2領域R2は、交差面S2に接合される粘着マット42の接合位置である。
【0084】
仮想交差線Lから第2領域R2までの距離は、仮想交差線Lから第1領域R1までの距離よりも短い。そのため、仮想交差線Lに対して、第1領域R1よりも、第2領域R2の方が近接している。
【0085】
本実施形態では、以下の作用及び効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態の固定体1によれば、螺着部材30により第1基部11が床面S1から離間する方向に付勢されたとき、迅速に第2基部12が交差面S2に向けて付勢され、粘着マット42が交差面S2に強固に接合される。すなわち、第2基部12により粘着マット42を交差面S2に向けて押圧し易くなる。
【0086】
<第3実施形態>
以下、固定体を具体化した第3実施形態を
図15にしたがって説明する。本実施形態の固定体1は、第2基部12の先端側の構成が、上述した第1基部11の先端側の構成と同じである。
【0087】
図15に示すように、第2基部12の床面S1とは反対側の部分には、上述した延設板部14、第1延設部15、被押圧体20、及び螺着部材30と同じ構成が設けられている。
【0088】
本実施形態では、第1基部11の先端寄りの螺着部材30により第2面13bの設置体100寄りの縁部を除く部分を床面S1から離間させ、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となる。第2基部12の先端寄りの螺着部材30により第2面12bの床面S1寄りの縁部を除く部分を交差面S2から離間させ、第2基部12が交差面S2に対して傾斜姿勢となる。すなわち、本実施形態では、床面S1に粘着マット41を接合し、且つ交差面S2に粘着マット42を接合させた状態において、2つの螺着部材30により本体10が床面S1及び交差面S2に対して傾斜姿勢となる。
【0089】
第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となるため、第2基部12の先端に隣り合う被押圧体20が第2基部12とともに交差面S2に向けて押し付けられる。第1基部11の先端寄りの螺着部材30により第1基部11の延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢されることで、第2基部12が第2基部12の先端に隣り合う被押圧体20を介して粘着マット42の交差面S2に接合された箇所の一部又は全部を交差面S2に向けて押圧する。そのため、粘着マット42が交差面S2に向けて押圧される。
【0090】
第2基部12が交差面S2に対して傾斜姿勢となるため、第1基部11の先端に隣り合う被押圧体20が第1基部11とともに床面S1に向けて押し付けられる。第2基部12の先端寄りの螺着部材30により、第2基部12の延設板部14の先端寄りの部分が交差面S2から離間する方向に付勢されることで、第1基部11が第1基部11の先端に隣り合う被押圧体20を介して粘着マット41の床面S1に接合された箇所の一部又は全部を床面S1に向けて押圧する。そのため、粘着マット41が床面S1に向けて押圧される。
【0091】
粘着マット42は、本体10と第2基部12の先端に隣り合う被押圧体20とが組み付けられた状態において、交差面S2上における第2基部12の位置ずれを抑制する機能を有する。粘着マット42により第2基部12が交差面S2に固定されている。すなわち、粘着マット42は、第2基部12を交差面S2に固定するための第2固定部である。
【0092】
また、本実施形態では、被設置面としての床面S1に粘着マット41が接合され、且つ床面S1に設置された設置体100が有する交差面S2に粘着マット42が接合され、第1基部11の先端寄りの螺着部材30が、第1基部11の先端側を床面S1から離間する方向に付勢し、且つ第2基部12の先端寄りの螺着部材30が、第2基部12の先端側を交差面S2から離間する方向に付勢する固定構造が構成されている。
【0093】
本実施形態における固定体1の設置方法は、床面S1に沿わされるように第1基部11を配置し、且つ交差面S2に沿わされるように第2基部12を配置し、粘着マット41,42により第1基部11及び第2基部12を床面S1及び交差面S2に接合した後、2つの螺着部材30を床面S1及び交差面S2に向けて螺進させる。そして、第1基部11の先端寄りの螺着部材30により第1基部11の先端に隣り合う被押圧体20の延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間させるように第1基部11を傾斜姿勢となるまで付勢する。また、第2基部12の先端寄りの螺着部材30により第2基部12の先端に隣り合う被押圧体20の延設板部14の先端寄りの部分を交差面S2から離間させるように第2基部12を傾斜姿勢となるまで付勢する。
【0094】
本実施形態では、以下の作用及び効果を得ることができる。
(3-1)粘着マット41は床面S1に強固に接合され、粘着マット42は交差面S2に強固に接合される。よって、床面S1及び交差面S2に安定的に固定体1を固定できる。
【0095】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 上記各実施形態において、固定体1は、第1固定部及び第2固定部を予め本体10や被押圧体20に設けていなくてもよく、第1固定部や第2固定部を固定体1の設置前に本体10や被押圧体20に設けてもよい。
【0096】
〇 第1延設部15が螺合部をなしていたが、第1延設部15及び第2延設部23の両方に雄ねじ溝を形成し、第1延設部15及び第2延設部23の両方を螺合部としてもよい。また、第1延設部15の雄ねじ溝16bを割愛し、第2延設部23のみを螺合部としてもよい。
【0097】
○ 延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間させる方向に付勢する構成を
図16及び
図17のように変更してもよい。
図16に示すように、延設板部14の第1面14aに設けられていた第1延設部15及び延設板部14の切欠部14cを割愛する。延設板部14の先端寄りの部分には、延設板部14の板厚方向に貫通する貫通孔14eが設けられている。貫通孔14eの内周面には、雌ねじ溝14fが設けられている。螺着部材30の押圧部33は、第1柱部33aと、第2柱部33bと、を有している。第1柱部33aは、軸状をなしている。第1柱部33aは、底壁31の内底面から突出している。第2柱部33bは、軸状をなしている。第2柱部33bは、第1柱部33aの先端から突出している。第1柱部33aの軸線と第2柱部33bの軸線とは一致している。第2柱部33bの外周面には、雄ねじ溝33cが設けられている。螺着部材30には、底壁31の内底面と、周壁32の内面と、第1柱部33aの外周面とにより挿入空間P1が形成されている。
【0098】
図17に示すように、螺着部材30の挿入空間P1に第2延設部23を挿入すると同時に、貫通孔14eの雌ねじ溝14fに第2柱部33bの雄ねじ溝33cを螺着する。このとき、螺着部材30の周壁32の内面には、第2延設部23の円弧部25が係止される。
【0099】
粘着マット42を圧縮変形させるように本体10を交差面S2に向けて押圧した状態で、螺着部材30を床面S1に向けて螺進させると、螺着部材30の第2柱部33bの先端が基板部21の第1面21aを床面S1に向けて押圧する。それに伴い、本体10と被押圧体20との嵌合溝14d及び嵌合部24による仮組付けが解除される。その後、螺着部材30の螺進を継続すると、螺着部材30の第2柱部33bが基板部21の第1面21aに当接しつつ粘着マット41の対向部41aが床面S1に接合する。螺着部材30により本体10と被押圧体20の床面S1上での相対位置を定め、且つ粘着マット41が床面S1に接合されるため、第1基部11の床面S1上における位置ずれが抑制される。
【0100】
粘着マット41により第1基部11の床面S1上における位置ずれを抑制し、且つ粘着マット42により第2基部12を交差面S2に接合した後、螺着部材30を床面S1に向けて螺進させる。すると、第2柱部33bが基板部21を螺着部材30の螺進方向に押圧することにより粘着マット41が圧縮変形する。
【0101】
粘着マット41が圧縮変形された後、螺着部材30を更に床面S1に向けて螺進させると、螺着部材30の床面S1に向けての螺進が規制されるが、延設板部14の雌ねじ溝14fが螺着部材30の雄ねじ溝33cにより床面S1から離間する方向に引き上げられる。すなわち、延設板部14の先端寄りの部分には、床面S1から離間する方向に引き上げられる付勢力が作用する。本変更例では、当該付勢力により、基台部13の第2面13bの設置体100寄りの縁部のみが床面S1に当接した状態で、第2面13bの設置体100寄りの縁部を除く部分が床面S1から離間している。すなわち、螺着部材30により延設板部14の先端を床面S1から離間させ、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となる。
【0102】
本変更例のように構成された固定体1において、螺着部材30の雄ねじ溝33cは、ねじ部である。そのため、螺着部材30において、押圧部33とねじ部としての雄ねじ溝33cは、一体的に構成されている。また、延設板部14の貫通孔14eの雌ねじ溝14fは、螺合部である。
【0103】
本変更例のように構成された固定体1は、被押圧体20を第1位置と第2位置とに配置可能とした固定体である。固定体1は、第2延設部23が挿入空間P1に挿入された状態で螺着部材30を螺進することにより本体10に対して被押圧体20が床面S1に沿う方向に分離することを抑制するように本体10と被押圧体20とを結合する固定体である。また、固定体1は、螺着部材30を床面S1から離れる方向に螺退することにより本体10と被押圧体20とを分離可能とした固定体である。なお、第1延設部15は割愛しなくてもよい。その場合、延設板部14の切欠部14cのみを割愛し、延設板部14に上記の貫通孔14eを形成するとよい。
【0104】
○ 螺着部材30の回動軸心Oと、押圧部33の軸線とが一致していなくてもよい。すなわち、押圧部33により被押圧体20を押圧する箇所が螺着部材30の回転に応じて移動してもよい。
【0105】
○ 第1延設部15と第2延設部23とにより円筒孔Hが形成されていたが、円筒孔Hに限らず、角孔であってもよい。角孔に変更した場合、押圧部33が挿入できる程度の大きさであるとよい。
【0106】
○ 第1実施形態において、螺着部材30の押圧部33を割愛してもよい。この場合、例えば、螺着部材30の底壁31を押圧部としてもよい。この場合、例えば、螺着部材30が床面S1に向けて螺進させたとき、被押圧体20の第2延設部23を螺着部材30の底壁31が押圧するように第2延設部23の長さを変更するとよい。
【0107】
○ 第1実施形態において、被押圧体20は、延設板部14の先端に隣り合うように設けられていたが、これに限らない。例えば、延設板部14の途中に組み込まれるように配置を変更してもよい。
【0108】
○ 延設板部14は、基台部13の先端における第1面13a寄りに配置されている。そのため、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢される前の状態で、床面S1から離間している。しかし、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分が床面S1から離間する方向に付勢される前の状態で、床面S1に当接していてもよい。すなわち、延設板部14を基台部13と同じ厚さとしてよい。
【0109】
○ 第1実施形態において、固定体1により設置体100を固定するとき、螺着部材30が予め第1延設部15の雄ねじ溝16bに螺着された状態であってもよい。
○ 螺着部材30の底壁31の構成を変更してもよい。底壁31は、挿入空間P1の全体を塞いでいなくてもよい。すなわち、底壁31に貫通孔が形成されていてもよい。
【0110】
○ 螺着部材30が螺進するとき、第1延設部15及び第2延設部23は、常に挿入空間P1に挿入された状態となっていたが、これに限らない。例えば、第2延設部23の膨出突部22の頂面22aからの長さを、第1延設部15の延設板部14の第1面14aからの長さよりも短くすることにより、螺着部材30が雄ねじ溝16bに螺着されている途中で、第2延設部23の先端が挿入空間P1から離脱できるように変更してもよい。すなわち、螺着部材30が雄ねじ溝16bに螺着されている途中で、被押圧体20が本体10から分離できるように変更してもよい。
【0111】
○ 第1実施形態において、螺着部材30の周壁32と第2延設部23の円弧部25とは係止していなくてもよい。具体的には、螺着部材30の周壁32と第2延設部23の円弧部25との間に余剰空間を形成してもよい。これにより、螺着部材30の回動軸心Oが傾斜しても、周壁32と第2延設部23とが干渉しないため、被押圧体20が螺着部材30に追従して傾斜しない状態となる。すなわち、螺着部材30の螺進により、被押圧体20が床面S1に向けて押圧されたとき、粘着マット41の対向部41aの全面に対して均等に床面S1に押圧する押圧力を付与することができる。
【0112】
○ 上記の変更例において、被係止部としての円弧部25を含む第2延設部23と、螺着部材30の挿入空間P1を割愛してもよい。具体的には、
図18及び
図19に示すように変更するとよい。
【0113】
図18に示すように、螺着部材30は、ボルトにより形成されていてもよい。螺着部材30は、頭部34と、頭部34から突出する軸状の軸部35と、を有している。軸部35の外周面には、雄ねじ溝35aが設けられている。
【0114】
図19に示すように、貫通孔14eの雌ねじ溝14fに軸部35の雄ねじ溝35aが螺着する。
粘着マット42を圧縮変形させるように本体10を交差面S2に向けて押圧した状態で、螺着部材30を床面S1に向けて螺進させると、螺着部材30の軸部35の先端が基板部21の第1面21aを床面S1に向けて押圧する。それに伴い、本体10と被押圧体20との嵌合溝14d及び嵌合部24による仮組付けが解除される。その後、螺着部材30の螺進を継続すると、螺着部材30の軸部35が基板部21の第1面21aに当接しつつ粘着マット41の対向部41aが床面S1に接合する。螺着部材30により本体10と被押圧体20の床面S1上での相対位置を定め、且つ粘着マット41が床面S1に接合されるため、第1基部11の床面S1上における位置ずれが抑制される。
【0115】
粘着マット41により第1基部11の床面S1上における位置ずれを抑制し、且つ粘着マット42により第2基部12を交差面S2に接合した後、螺着部材30を床面S1に向けて螺進させる。すると、軸部35が基板部21を螺着部材30の螺進方向に押圧することにより粘着マット41が圧縮変形する。
【0116】
粘着マット41が圧縮変形された後、螺着部材30を更に床面S1に向けて螺進させると、螺着部材30の床面S1に向けての螺進が規制されるが、延設板部14の雌ねじ溝14fが螺着部材30の雄ねじ溝35aにより床面S1から離間する方向に引き上げられる。すなわち、延設板部14の先端寄りの部分には、床面S1から離間する方向に引き上げられる付勢力が作用する。本変更例では、当該付勢力により、基台部13の第2面13bの設置体100寄りの縁部のみが床面S1に当接した状態で、第2面13bの設置体100寄りの縁部を除く部分が床面S1から離間している。すなわち、螺着部材30により延設板部14の先端寄りの部分を床面S1から離間させ、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となる。
【0117】
本変更例のように構成された固定体1において、螺着部材30の軸部35は、押圧部である。螺着部材30の雄ねじ溝35aは、ねじ部である。そのため、螺着部材30において、押圧部としての軸部35とねじ部としての雄ねじ溝33cは、一体的に構成されている。また、延設板部14の貫通孔14eの雌ねじ溝14fは、螺合部である。本変更例のように構成された固定体1は、被押圧体20を第1位置と第2位置とに配置可能とした固定体である。
【0118】
○ 第1実施形態において、被押圧体20を割愛してもよい。このように変更する場合、
図20及び
図21のように変更するとよい。
図20に示すように、螺着部材30の押圧部33の長さを第1実施形態よりも長くする。粘着マット41は、基台部13の第2面13bと、床面S1との間に配置されるように変更する。すなわち、粘着マット41は、第1基部11の床面S1に対面する部分に設けられる。粘着マット41により第1基部11の床面S1上における位置ずれが抑制される。
【0119】
図21に示すように、粘着マット41を床面S1に接合し、且つ粘着マット42を交差面S2に接合した後、螺着部材30を取り付ける。螺着部材30は、第1基部11に設けられた粘着マット41よりも延設板部14の先端寄りに配置される。
【0120】
螺着部材30は、押圧部33を第1延設部15の内側に挿入しつつ第1延設部15の雄ねじ溝16bを螺着部材30の雌ねじ溝32aに螺着した状態で床面S1に向けて螺進する。
【0121】
螺着部材30の螺進を継続すると、螺着部材30の押圧部33が床面S1に当接する。押圧部33が床面S1に当接した後、螺着部材30を更に床面S1に向けて螺進させると、押圧部33が床面S1を押圧しつつ螺着部材30の床面S1に向けての螺進が規制される。一方で、第1延設部15の雄ねじ溝16bが螺着部材30の雌ねじ溝32aにより床面S1から離間する方向に引き上げられる。すなわち、延設板部14の先端寄りの部分には、床面S1から離間する方向に引き上げられる付勢力が作用する。本実施形態では、当該付勢力により基台部13の第2面13bが床面S1に対して傾斜する。よって、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となる。
【0122】
第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となるため、第1実施形態と同様に第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられる。なお、本変更例の押圧部33の長さは、基台部13の第2面13bが床面S1に対して傾斜するときに粘着マット41が床面S1から剥がれない程度の長さに設定されている。
【0123】
本変更例によれば、第1基部11が粘着マット41により床面S1に接合された状態において、螺着部材30が第1基部11の先端を床面S1から離間する方向に付勢し、第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられる。よって、粘着マット42が交差面S2に対して強固に接合される。したがって、交差面S2に固定体1を安定的に固定できる。
【0124】
○ 粘着マット41が基台部13の第2面13bと、床面S1との間に配置されるように変更する場合、粘着マット41と、粘着マット42とがL字形状をなすように一体的に形成されてもよい。このように変更する場合、L字形状の粘着マットにおいて、基台部13と床面S1との間に配置される部分を第1被固定面側接合部とし、第2基部12と交差面S2との間に配置される部分を第2被固定面側接合部とする。
【0125】
○ 上記各実施形態及び上記各変更例において、付勢部材として螺着部材30が採用されていたが、例えば、
図22に示すように変更してもよい。
図22に示すように、固定体1は、付勢部材としてブロック状のくさび部材50を採用してもよい。くさび部材50の床面S1からの高さは、床面S1から延設板部14の第2面14bまでの高さよりも高く設定されている。くさび部材50の下面50bを床面S1に沿わせた状態で、くさび部材50を延設板部14と床面S1との間に挿入したとき、くさび部材50の上面50aが延設板部14の第2面14bを床面S1から離間する方向に付勢する。そのため、第2基部12が交差面S2に向けて押し付けられ、粘着マット42が交差面S2に強固に接合される。なお、くさび部材50の上面50aは、傾斜面であってもよい。傾斜面をなす上面50aのうち所定範囲の床面S1からの高さが、延設板部14の第2面14bの床面S1からの高さよりも大きくなっていればよい。
【0126】
〇 第2基部12の第2面12bに設けられていた矩形溝12dを割愛し、粘着マット42を第2面12bに直接的に貼着するように変更してもよい。第2面12bは、粘着マット42が貼着される粘着マット貼着面となる。第2面12bは、粘着マット42よりも広い面積を有しているとよい。
【0127】
〇 第1実施形態において、枠部28の先端における粘着マット41とは反対側の縁部には、床面S1から離間するほど傾斜する傾斜面が設けられていてもよい。また、第2実施形態において、第2基部12の先端に隣り合う被押圧体20において、枠部28の先端には、交差面S2から離間するほど傾斜する傾斜面が設けられていてもよい。このように構成することにより、被押圧体20が傾斜したとき、被押圧体20の傾斜面が床面S1又は交差面S2に対して面接触することができる。よって、被押圧体20の位置ずれをより抑制できる。
【0128】
○ 第1実施形態において、基台部13の第2面12bの設置体100寄りの縁部のみが床面S1に当接した状態で螺着部材30の床面S1に向けての螺進に伴い、第1基部11が床面S1に対して傾斜姿勢となっていたが、これに限らない。例えば、螺着部材30の床面S1に向けての螺進に伴い、基台部13の第2面12bの設置体100寄りの縁部が床面S1から離れてもよい。また、粘着マット41が床面S1に接合し、且つ基台部13の第2面12bの全体が床面S1に当接していない状態から、螺着部材30の床面S1に向けての螺進により粘着マット41を圧縮しつつ、第1基部11を傾斜姿勢としてもよい。基台部13の第2面12bの全体が床面S1に当接していない状態から第1基部11が傾斜姿勢となる場合、基台部13の第2面12bの設置体100寄りの縁部が床面S1に当接するまで第1基部11を傾斜させてもよいし、当接しない程度に傾斜させてもよい。
【0129】
○ 第1実施形態において、第2基部12が傾斜姿勢となったときに、第2基部12に貼着された粘着マット42の対向部42aの全面が均等に交差面S2に圧接されるように設定してもよい。例えば、粘着マット42の厚みを、第2基部12の先端に向かうにつれて薄くすることで、第2基部12が傾斜姿勢となったときに交差面S2に平行に対面させることができる。均一な厚さの粘着マット42を採用する場合には、第2基部12の粘着マット貼着面を、第2基部12の先端に向かうほど窪むように傾斜させるように構成すればよい。
【0130】
○ 枠部28は、コの字形状でなくてもよい。例えば、粘着マット41の4辺のうち2辺を挟み込むような突条部であってもよい。また、枠部28は、粘着マット41の四隅を囲むように点在させてもよい。
【0131】
〇 被押圧体20の枠部28を割愛することにより収容溝27を割愛してもよい。
○ 粘着マット41,42は、両面テープ、マジックテープ(登録商標)や接着剤であってもよい。
【0132】
〇 一対の嵌合溝14dと一対の嵌合部24とにより維持構造が構成されていたが、例えば、一対の嵌合溝14dを円筒溝に変更し、一対の嵌合部24を円柱状としてもよい。また、一対の嵌合溝14dと一対の嵌合部24とにより構成される維持構造を割愛してもよい。
【0133】
○ 第1被固定面の一例として床面S1を採用し、第2被固定面の一例として交差面S2を採用したが、これに限らない。例えば、複数の設置体100が積層されている状態を想定する。複数の設置体100のうち1つの上面を第1被固定面とし、当該上面と交差配置される複数の設置体100のうちの1つの側面を第2被固定面としてもよい。第1被固定面及び第2被固定面は、固定体1による設置体100の固定箇所によって適宜変更してもよい。
【0134】
○ 第1基部11と第2基部12とは一体的に連接されていたが、これに限らず、第1基部11と第2基部12とを別部材で構成し、第1基部11と第2基部12とを接続部材により連接させてもよい。
【0135】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(1)前記螺着部材は、底壁と、前記底壁の外縁から延びる筒状の周壁と、を有し、
前記螺着部材には、前記底壁と前記周壁とにより前記第1基部に向けて開口する挿入空間が形成され、
前記ねじ部は、前記周壁の内面に形成され、
前記係止部は、前記周壁の内面により構成され、
前記螺合部は、前記第1被固定面から離間する方向に前記第1基部から延設され、
前記被係止部は、前記第1被固定面から離間する方向に前記被押圧体から延設され、
前記螺着部材は、前記ねじ部と前記螺合部とが螺合することで螺進退可能とされ、且つ前記係止部が前記被係止部と係止して前記第1被固定面上における前記本体と前記被押圧体との相対位置を定めていることを特徴とする固定体。
【0136】
(2)前記螺着部材の螺進に伴って前記第1被固定面に対して前記螺着部材の回動軸心は傾斜し、
前記挿入空間には、前記螺着部材の前記螺合部への螺着が完了する前の状態において、前記螺着部材の螺進を許容する許容空間が含まれていることを特徴とする固定体。
【符号の説明】
【0137】
1…固定体、10…本体、11…第1基部、12…第2基部、12a…第1面、12b…第2面、12d…矩形溝、12e…底面、13…基台部、13a…第1面、13b…第2面、14…延設板部、14a…第1面、14b…第2面、14c…切欠部、14d…嵌合溝、14e…貫通孔、14f…雌ねじ溝、15…第1延設部、16…円弧部、16a…先端面、16b…雄ねじ溝、17…段差部、17a…頂面、20…被押圧体、21…基板部、21a…第1面、22…膨出突部、22a…頂面、22b…切欠部、22c…端面、23…第2延設部、24…嵌合部、25…円弧部、26…張出部、27…収容溝、28…枠部、30…螺着部材、31…底壁、32…周壁、32a…雌ねじ溝、32b…長溝、33…押圧部、33a…第1柱部、33b…第2柱部、33c…雄ねじ溝、34…頭部、35…軸部、35a…雄ねじ溝、41,42…粘着マット、41a,42a…対向部、50…くさび部材、100…設置体、L…仮想交差線、S1…床面、S2…交差面、P1…挿入空間、P2…許容空間、H…円筒孔。