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▶ イガラシ機械工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060019
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】粉・粒物用バケット
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/28 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B65D88/28
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020167982
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】592182104
【氏名又は名称】イガラシ機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(72)【発明者】
【氏名】五 十 嵐 徹
(72)【発明者】
【氏名】五 十 嵐 英 輝
【テーマコード(参考)】
3E070
3E170
【Fターム(参考)】
3E070AA25
3E070AB11
3E070AB13
3E070HA07
3E070HA09
3E070HB08
3E070HC01
3E070HD03
3E070HF02
3E070VA21
3E070WH03
3E070WJ06
3E170AA21
3E170AB11
3E170AB13
3E170HA07
3E170HA09
3E170HB04
3E170HC01
3E170HD03
3E170HF02
3E170VA16
3E170WE03
3E170WF06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡便に運搬可能な上、底面よりも小さく吐出口を開口し、より小さな容器類に小分けする作業の効率化を実現化できる新たな粉・粒物用のバケット技術を提供する。
【解決手段】底面に底口21が開口された箱型容器2を有し、該底口21の一辺Aに基端縁40が吊下され、該基端縁40から遊端縁41に摺接縁42,42が設けられた最内弁4、該一辺Aに隣合う対辺Dに各基端縁50が吊下され、当該最内弁4の摺接縁42に接合する摺接内面壁53が設けられ、各基端縁50から各遊端縁51に摺接縁52が設けられた一対の中位弁5、および、該一辺Aと対峙する他辺に基端縁が吊下され、各中位弁5の摺接縁52に接合する摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構3を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁の開閉機構が設けられた粉・粒物用バケット1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項2】
天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられ、該底壁ホッパー機構が、該底口の直下に最内弁、上下中間位置に一対の中位弁、最下位に最外弁が積層状に重なり合うよう全閉され、該最内弁および一対の中位弁が、該最外弁の開閉動作に従動して各弁の遊端縁およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口を開閉可能なものとされたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項3】
外郭形状が矩形とされ、天面に供給口が開口され、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の四辺の何れか一辺に対し、該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下された平板であって、該基端縁よりも短く設定され、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁が設けられ、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた平板であって、各基端縁よりも短く設定され、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁が夫々設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた平板であって、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を該底口に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項4】
外郭形状が立方体または直方体の何れか一方とされ、天面の全面または一部の何れか一方に供給口が開口され、底面の全面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の四辺の何れか一辺に対して該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、または該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁を有し、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、二等辺三角形、または各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁の夫々を有し、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁を有し、各中位弁の摺接縁に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、該遊端縁には、全閉された場合に当該最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構の最外弁には、同最外弁を該底口に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数に分割された角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項5】
運搬用係合部が、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、またはフォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架された、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項6】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設された、前記請求項1ないし請求項5何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項7】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項8】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項9】
底壁ホッパー機構が、各ヒンジ機構に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項8何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項10】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構が、最内弁、一対の中位弁および最外弁の夫々の板厚寸法の1/2の位置に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口から、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法の1/2に相当する寸法分下方に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の一対の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該最外弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項8何れか一記載の粉・粒物用バケット。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉状または粒状などの対象物を収容および運搬するバケット技術に関連するものであり、特に、収容および運搬した粉体または粒体の少なくとも何れか一方を該バケットよりも小さなコンテナバッグなどに効率的に分配可能な粉・粒物用バケットを製造、提供する分野をはじめ、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
圃場にてコンバインハーベスターによって刈り取られた稲や麦は、脱穀され籾米や殻麦となって送出され、また、穀類の籾摺り加工によって発生した籾殻は、圃場のマルチング資材として利用したり、そのままか、または、籾殻燻炭に加工した上、圃場にすき込んで土壌を改善したりするのに用いる外、精米や精麦の加工の段階で発生した糠は、そのまま圃場にすき込んだり、肥料の材料に用いたりすることが一般的に広く行われており、こうした粉体や粒体の搬送には、トラックに搭載するコンテナーや、トラクターまたはフォークリフトなどで搬送可能なバケットなどが用いられている。
【0003】
こうした粉・粒体を搬送するコンテナーやバケット類は、積載した粉・粒体を効率的に送出するために、自動的に送出する送出装置類や、落下用扉、または散布用の散布機構などが設けられており、夫々の利用目的に応じて使い分けされるものとなっているが、それらコンテナーやバケット類よりも小さな、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の靱性に優れた化学繊維でできた穀物(バイオマス利用、堆肥、薫炭、家畜用の敷き藁への代用などの用途に用いる)や飼料、土砂、木片などの粉状や粒状物質の梱包・保管・輸送などの用途に用いられる角形や円筒形の外郭形状の袋体であって、各種容量および耐荷重のものが市販されているが、例えば1m3(1立米:1,000x1,000x1,000mm)、耐荷重1トン前後であり、該袋体の底面および対峙する側壁の外周囲にループ状の帯が巻き掛けられ、該対峙する側壁の夫々の上端から上下反転U字形の一対の吊りベルトが延出された状態に縫着され、該一対の吊りベルトを介してフォークリフトやクレーン等で吊り上げられ、運搬可能なものとされたフレキシブルコンテナバッグ(商品名、以降省略する)、所謂フレコンバッグ(商品名)などに対し、送出装置を駆動する駆動源を必要とせず、フレキシブルコンテナなどに粉・粒体を簡単且つ効率的に分配できるような送出機能を有するものは提供されていなかった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、粒体収容部は、底収容部と、該底収容部の上方に連結されて一体に設けた可撓性シート材で構成された袋状収容部と、これらを支持する平面視略矩形状を呈する枠体とで構成され、前記底収容部は、下方に連通する開口部を有し、該開口部下方には収納粒体を排出する排出機構が設けられた粒体搬送容器において、前記底収容部底面は、底収容部底面内に設けた前記開口部に向けて開口部側が粒体収容部外側より低い傾斜を有して漏斗状に成形されるとともに、前記底収容部は前記枠体に対し弾性部材を介し支持されていて、収容された粒体の排出時に底収容部を振動させる振動手段が設けてあり、従来のように粒体収容部の下方部に大きな傾斜面を設ける必要が無く、僅かの傾斜の底面を有する底収容部を振動させることで排出部である底面開口部に粒体を移動させ排出可能となり、従来に比較して粒体収容部下方の空間部が少なくなり有効にスペースを利用できるため、同じ収容量であれば高さ寸法をより低くすることができるとともに重心を低くすることができる粒体搬送容器が知られている。
【0005】
また、下記の特許文献1(2)に見られるような、上部が開口した四周胴部面の底面開口を前方側から後方側に向かって開口する底蓋と、該底蓋の先端側に延成され、前記前方側の胴部面に折り返す折返し部と、該折返し部を前記前方側胴部面に着脱可能に保持する着脱部と、該底蓋と前記底面開口の左右両辺同士を接続する左右一対の側片と、該左右一対の側片と前記底面開口の前方辺同士を接続する前片とを備え、前記底蓋を閉じたとき、前記左右一対の側片と前記前片とが折り畳まれて、当該底蓋の折返し部と前記底面開口の前方辺との隙間から前記内容物の漏出を規制し、底蓋の開閉操作を胴部の前側から行うことができるため、特に高齢化が進む農家にとって、安全に内容物の排出作業を行い得るものとされたフレキシブルコンテナなどが散見される。
【0006】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような粒体搬送容器などは、粒体収容部の下部に排出機構および振動手段が設けられ、それらを駆動してホース出口ケースから送出される粒体の量を調節することにより、該粒体収容部よりも小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類に供給することができるが、それら排出機構および振動手段を動作するには、排出用モータおよび振動用モータを駆動させる必要があり、外部電力などの入力が不可欠なものとなっており、構造が複雑でメンテナンスなどの維持、経費に要するコストが嵩むものであった。
そして、特許文献1(2)のフレキシブルコンテナなどは、底蓋の開閉操作を胴部の前側から行うことができ、しかも特別な送出駆動源を要さずとも収容物の自重による落下によって送出を行うものとなっているが、底蓋の全幅が開放されてしまう上、一度開放してしまうと内容物の放出を一時的に停止するなどの細かな送出制御が困難な構造のものであったため、収容物を該フレキシブルコンテナよりも小さな容器に供給するのが困難となっていた。
【特許文献1】(1)特開2009-102051号公報 (2)特開2018-2193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種粒体搬送容器などは、何れも排出用モータや、粒体の排出を促進する振動用モータなどの排出専用の駆動装置類を必要とするものであり、必ず外部からの駆動用エネルギーや駆動力などの供給が不可欠なものであり、その利便性を考慮すると、トラックなどの電力や駆動力の供給源を備えた車両などに搭載して利用するのが望ましいものであり、また、底蓋の全幅を開放するフレキシブルコンテナなどは、外部からのエネルギーの供給や駆動力の入力を必要とせず、手作業によって底蓋を開放可能なものとなっているが、より小容量で供給口の小さなフレキシブルコンテナバッグなどに粒体を供給する場合には、漏斗を介して供給するか、注ぎ口を有するバケットに一時的に収容した上で、小さなフレキシブルコンテナに注ぎ込むなどの作業を要するものであり、また、一端開放した底蓋を再度閉鎖して粒体の流出を停止するような作業は、略不可能なものであるなど、複数個の小さなフレキシブルコンテナバッグに小分けに詰めるような作業は、非常に困難なものであるという欠点が残るものであり、こうした粉・粒体の運搬や小分け作業などをより、効率的に行える新たなバケット技術の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、粉・粒体を効率的に収容し、簡便に運搬可能な上、底面の面積よりも小さく吐出口を開口し、より小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類に小分けする作業の効率化を実現化できる新たな粉・粒物用のバケット技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の粉・粒物用バケットを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の粉・粒物用バケットは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられた構成を要旨とする粉・粒物用バケットである。
【0010】
この基本的な構成からなる粉・粒物用バケットは、換言するならば、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられ、該底壁ホッパー機構が、該底口の直下に最内弁、上下中間位置に一対の中位弁、最下位に最外弁が積層状に重なり合うよう全閉され、該最内弁および一対の中位弁が、該最外弁の開閉動作に従動して各弁の遊端縁およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口を開閉可能なものとされた構成からなる粉・粒物用バケットとなる。
【0011】
より具体的には、外郭形状が矩形とされ、天面に供給口が開口され、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の四辺の何れか一辺に対し、該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下された平板であって、該基端縁よりも短く設定され、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁が設けられ、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた平板であって、各基端縁よりも短く設定され、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁が夫々設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた平板であって、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を該底口に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられた構成からなる粉・粒物用バケットとなる。
【0012】
さらに具体的なものとして示すと、外郭形状が立方体または直方体の何れか一方とされ、天面の全面または一部の何れか一方に供給口が開口され、底面の全面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の四辺の何れか一辺に対し、該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、または、該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁を有し、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、二等辺三角形、または、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁の夫々を有し、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁を有し、各中位弁の摺接縁に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、該遊端縁には、全閉された場合に当該最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構の最外弁には、同最外弁を該底口に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数に分割された角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられた構成からなる粉・粒物用バケットとなる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の粉・粒物用バケットによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、箱型容器の天面の供給口から粉・粒体を効率的に収容し、簡便に運搬可能な上、開閉機構の遠隔的操作によって底壁ホッパー機構の吐出口を、該箱型容器の底面の面積よりも小さく開口し、さらに、その開度を変更し、送出量を調節しながら粉・粒体を、その自重により落下、放出するから、排出用の動力源などを特に要さずとも自動的に排出することができる上、送出量を自在に調節し、自由に閉鎖して送出を停止することができるものとなり、従前までは多大な手数と労力とを要していた小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類への小分け作業の作業性を大幅に改善し、格段に効率化することができるものになるという秀でた特徴が得られるものである。
【0014】
加えて、底壁ホッパー機構は、最内弁の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配されその左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされ、一対の中位弁の夫々の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配され、該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、しかも各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされ、最外弁の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該他辺(該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺)に隣合う対辺の各辺(該一辺に隣合う一辺)の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられたから、該最内弁、一対の中位弁および最外弁の各弁が、不要に大型化せず、簡素な構造に留めることができ、当該底壁ホッパー機構が全閉された場合には、該最内弁と最外弁との遊端縁同士が一致され、確りと閉鎖されるものとなり、吐出口を開放しその開度を調節した際にも各弁の各摺接縁と各摺接内面壁との間から粉・粒体が不用意に漏れ出すのをより確実に防止できるものになるという利点が得られる。
【0015】
さらに、底壁ホッパー機構は、最内弁が、二等辺三角形、または、該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、一対の中位弁の夫々が、二等辺三角形、または、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、最外弁が、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされたから、該最内弁、一対の中位弁および最外弁の各弁をよりコンパクト化、軽量化されたものとし、開閉機構の開閉操作性を格段に高め、この発明の粉・粒物用バケットをより軽量化されたものとすることができ、さらに、該最外弁の遊端縁に、全閉された場合に最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられたものとすることにより、より確りとした密閉を実現化できるものとなる。
【0016】
そして、運搬用係合部が、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が、フォークリフトの左右のフォークの挿し込み、および、該箱型容器の重量を安定支持可能とし、リフト作業の安全性を充分に確保できるものとなり、フォーク差し込み管路が設けられたものの場合には、各フォーク差し込み管路が、各フォーク差し込み口間に渡って密閉状態を維持できるから、フォークリフトの左右のフォークが挿し込まれていない状態であっても当該箱型容器に粉・粒体を充填することが可能であり、また、フォーク差し込み上側カバーが設けられたものの場合には、各フォーク差し込み上側カバーに沿ってフォークリフトの左右のフォークが挿し込まれた状態であれば、各フォークが各フォーク差し込み口を塞ぎ、当該箱型容器の密閉状態を確保できるものとなり、当該箱型容器に粉・粒体を充填することが可能なものとなるから、粉・粒体の収容および運搬の作業性を格段に高めたものとなる。
【0017】
さらに、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各摺接縁と各摺接内面壁との間をより密閉された状態を保つことが可能となり、各摺接縁と各摺接内面壁との間から不用意に粉・粒体が漏出してしまうのをより確実に防止できるものとなる。
また、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、この発明の粉・粒物用バケットや、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各摺接縁と各摺接内面壁との間から不用意に粉・粒体が漏出してしまうのをより完璧に阻止できるものとなる。
【0018】
そして、底壁ホッパー機構が、各ヒンジ機構に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各ヒンジ機構がより正確に動作可能となり、最内弁、一対の中位弁および最外弁が互いにより密閉された状態に閉鎖可能なものとなるから、当該底壁ホッパー機構の開閉性能および密閉性能を大幅に高めたものとすることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
箱型容器は、粉・粒体などの収容の対象物を上部から収容可能とし、運搬用係合部を機能させ、下部に底壁ホッパー機構を吊下支持し、開閉機構を支持するなど、この発明の粉・粒物用バケットの本体機能を担い、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられたものとしなければならず、収容対象物である粉・粒体などをより効率的に充填可能とするには、後述する実施例にも示すように、できるだけ天面の全面を供給口として開口されたものとするのが望ましいが、天面の一部にのみ供給口が開口されたものとすることが可能であり、開閉蓋が設けられたものとすることができ、底口は、最内弁、一対の中位弁および最外弁の4枚の弁を有する底壁ホッパー機構が設けられる都合上、水平な四角形状に開口されたものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、底面の全面に開口されたものとするのが望ましい。
【0020】
箱型容器は、例えば、各種パネル材の組み合わせからなる容器、木材製の容器、セラミック製の容器、金属、合成樹脂または複合素材などの一体成形品からなる容器、後述する実施例にも示しているように、金属製の骨格枠に対し、各種素材製のパネル材類が嵌め込まれてなる容器など、容器形状をなすものであれば如何なるものであっても利用可能であり、例えば、球形や筒状、漏斗状、その他の異形状の容器などに置き換えることが可能であり、後述する実施例にも示しているが、前面、左右側面、背面の何れか一つの壁面にシャッターや扉などが設けられ、収容対称物である粉・粒体を、底壁ホッパー機構とは別の水平方向に排出可能なものとすることが可能である。
【0021】
最内弁は、一対の中位弁および最外弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとしなければならず、より具体的には、箱型容器の底口の四辺の何れか一辺に対し、該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、または、該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁を有し、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、左右の各摺接縁が、円筒面形状のものとすることができる。
【0022】
一対の中位弁は、最内弁および最外弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとしなければならず、各左右一対の直線状の摺接縁が、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称の角度姿勢に設定されたものとすべきであり、より具体的には、箱型容器の底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、二等辺三角形、または、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁の夫々を有し、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとすることができる。
【0023】
最外弁は、最内弁および一対の中位弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられたものとしなければならず、より具体的には、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、(換言すると、二等辺三角形、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形、または、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、)該底口に平行姿勢に全閉された場合に、他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/5ないし1/2の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁を有し、各中位弁の摺接縁に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、該遊端縁には、全閉された場合に当該最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられたものとすることができる。
【0024】
最内弁および一対の中位弁の各摺接縁は、それら最内弁および一対の中位弁が開閉操作を受け、吐出口が開放される間に亘り、該一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁と密な接合状態を維持しながら、摺動自在となる機能を担い、各摺接縁は、摺接内面壁と隙間無く接する形状のものとされなければならず、より低摩擦抵抗の状態で摺接内面壁と接するものとするのが望ましく、例えば、最内弁および一対の中位弁の摺接縁が設けられる各斜辺の夫々に対し、三角柱や円筒棒状に成形されたセラミックスや鋼などの硬質素材製の硬質ブレードが添設されたものや、シリコン樹脂や軟質ゴムなどの軟質素材製の軟質ブレードが添設されたものなどとすることが可能である。
【0025】
一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁は、それら最内弁および一対の中位弁が開閉操作を受け、吐出口が開放される間に亘り、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁と密な接合状態を維持しながら、摺動自在となる機能を担い、各摺接内面壁は、摺接縁と隙間無く接する形状のものとされなければならず、より低摩擦抵抗の状態で摺接縁と接するものとするのが望ましく、例えば、一対の中位弁の夫々の最内弁の摺接縁に接合する範囲、および、最外弁の一対の中位弁の夫々の摺接縁に接合する範囲の夫々に対し、平滑面状のセラミックスや鋼、カーボンファイバー樹脂などの硬質素材製の硬質プレートが埋設されたものや、平滑面状のシリコン樹脂や軟質ゴムなどの軟質素材製の軟質プレートが埋設されたものなどとすることが可能である。
【0026】
また、最外弁の遊端縁に設けられた舌縁部は、底壁ホッパー機構が全閉された場合に最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能とする機能を分担するものであり、該底壁ホッパー機構の各最内弁、一対の中位弁および最外弁の夫々のヒンジ機構が、上下に各弁の夫々の厚み寸法相当分下方にずらされて配置された、この発明の粉・粒物用バケットの場合に、一対の中位弁の対峙された遊端縁間を、該中位弁の厚み寸法に相当する寸法分を密閉状に閉塞可能とすると共に、最内弁の遊端縁の外がわを覆う形状および寸法のものとするのが望ましい。
【0027】
運搬用係合部は、箱型容器をクレーンやフォークリフトなどの運搬用の機械類によってリフト可能とする機能を分担し、例えば、箱型容器の天面の供給口の周囲に点在状に配されるか、または、箱型容器の周囲壁または骨格枠などの周囲などに、点在状に配設されるかするなどした複数個のクレーン用のフックや、それらフックに繋着された複数叉、例えば三つ叉の索条、および、該索条に繋がれたロッキングフックなどとすることが可能である外、後述する実施例にも示すように、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架されたものとすることができる。
【0028】
フォーク差し込み管路は、粉・粒体などの収容対象物を収容した箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、リフトアップ可能とする機能を担い、箱型容器の重量を左右のフォークに搭載可能とすると共に、箱型容器に収容された粉・粒体が、前後のフォーク差し込み口を通じて外部に漏出しないよう密閉状の管路で繋ぐものとしなければならず、フォークの形状に倣った矩形管路状のものとするのが良く、さらに、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根が、該フォーク差し込み管路の上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0029】
フォーク差し込み上側カバーは、箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、リフトアップ可能とする機能を担い、箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、供給口より、粉・粒体を落下供給した場合に、左右のフォークに該粉・粒体が直接積もるのを防止すると共に、箱型容器の重量を左右のフォークに搭載可能とするものとしなければならず、前後方向の断面形が上下反転U字断面形とされ、各フォークの上面および左右側面の夫々を覆うように係合可能とされたものとすることができ、さらに、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根が、該フォーク差し込み上側カバーの上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0030】
底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示すように、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設されたものとすることが可能であり、該漏出防止片は、天然ゴム製や合成ゴム製、合成樹脂製、布製、各種ブラシ製などとすることが可能であり、各摺接縁の厚み寸法内に収まる厚み寸法のものや、弁の閉鎖の圧力によって閉鎖の圧力を受けた場合に容易に圧縮や変形するなどして閉鎖の操作性に支障を来さないものとするのが望ましい。
また、この底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示しているように、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装されたものとすることが可能であり、該漏出防止シートは、天然ゴムシート製や合成ゴムシート製、合成樹脂シート製、布製などとすることが可能であり、弁の開閉の動作に追従して柔軟に変形および伸縮し、開閉操作に支障を来さないものとするのが良い。
【0031】
さらにまた、底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示しているように、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装されたものとすることが可能であり、該漏出防止カバーは、前述の漏出防止シートと同様に、天然ゴムシート製や合成ゴムシート製、合成樹脂シート製、布製などとすることが可能であり、弁の開閉の動作に追従して柔軟に変形および伸縮し、開閉操作に支障を来さないものとするのが良い。
【0032】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構は、最内弁一対の中位弁および最外弁の夫々を開閉自在に吊下する機能を分担し、例えば、柔軟に変形可能なゴム板や複数本の索条などとすることが可能である外、水平軸を有したヒンジとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例にも示すように、水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の一対の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方であってしかも同一仮想水平面上に配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該一対の中位弁が水平姿勢に全閉された場合の同一対の中位弁の一枚分の厚み寸法相当分下方に配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされたものとすることができる。
【0033】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構は、表現を変えて示すと、後述する実施例にも示すように、各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、各弁の厚み寸法の中央位置に配された場合に、下位の弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、平行姿勢に全閉された上位の弁の上下厚み寸法と、該上位の弁に積層され平行姿勢に全閉された下位の弁の上下厚み寸法との合計の1/2の寸法分を、該上位の弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも下方に配されたものとすることができると言い換えることができる。
【0034】
開閉機構は、電力や燃料などを要する特別な駆動源などを要さずに、人による操作入力のみによって底壁ホッパー機構を開閉操作し、底壁ホッパー機構を開放した際には、吐出口の開放度合いを複数の段階に調節可能とし、しかも閉鎖状態に仮固定し、また、開放した際には、調節した開放度合いの状態に仮固定可能とする機能を分担し、最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有するものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、箱型容器の天面の供給口の前後端間の中央に左右端間に横架された横架軸の外端に操作レバーおよび係止パネルが配され、該横架軸の両端間中央に結合された牽引杆から該箱型容器内に吊下された索条の下端が、最外弁の遊端縁の近傍に繋着され、該操作レバーを回動操作して該最外弁を開閉操作可能としたものとすることができる外、箱型容器の前面または後面の何れかの中央に鈎爪ブレーキを有する雁木車および索条が巻きかけられたプーリーが同軸に一体化された回転ハンドルが回転自在に軸着され、該索条の先端が、箱型容器の天面の供給口を通じてか、箱型容器の天面および背面を回り込むよう迂回されるかして最外弁の遊端縁の近傍に繋着され、該鈎爪ブレーキを解除して回転ハンドルを回動操作し、最外弁閉鎖、開放、および開放度合いの調節を行い、該鈎爪ブレーキを該雁木車に噛合させて仮固定可能なものとすることができるなど、既存の様々な機構によってこれと略同等の機能を果たし得る当該角度調節部および遠隔操作部を実現化することが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図面は、この発明の粉・粒物用バケットの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図2】粉・粒物用バケットを示す一方の側面図である。
図3】粉・粒物用バケットを示す他方の側面図である。
図4】粉・粒物用バケットを示す背面図である。
図5】粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図6】粉・粒物用バケットを示す底面図である。
図7】底壁ホッパー機構の各弁毎のヒンジ機構の上下位置を拡大して示す正面図である。
図8】僅かに開放した吐出口を示す平面図である。
図9】より広く開放した吐出口を示す平面図である。
図10】僅かに開放した吐出口を示す底面図である。
図11】より広く開放した吐出口を示す底面図である。
図12】吐出口を開放した粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図13】底壁ホッパー機構の全ての弁を垂下した粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図14】前壁のシャッターを開放した粉・粒物用バケットを示す側面図である。
図15】開閉機構の一例が設けられた粉・粒物用バケットを示す側面図である。
図16】開閉機構の一例が設けられた粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図17】摺接縁が円筒面形とされた最内弁の一例を示す正面図である。
図18】漏出防止片が添設された粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図19】漏出防止シートが内装された粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図20】漏出防止カバーが外装された粉・粒物用バケットを示す底面図である。
図21】フォークリフトのフォークが差し通された粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
図22】フォークリフトに持ち上げられた粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
図23】小型のフレキシブルコンテナバッグに小分けする粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
【実施例0036】
図1ないし図20に示す事例は、天面に供給口20、底面に底口21が開口された箱型容器2を有し、該底口21の一辺Aに対し、基端縁40が吊下され、該基端縁40の両端から遊端縁41の両端に連なる左右一対の斜辺42,42の夫々が直線状の摺接縁42,42とされた最内弁4、該一辺Aに隣合う対辺D,Dに対し、各基端縁50,50が吊下され、当該最内弁4の摺接縁42,42に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁53,53が設けられ、各基端縁50,50の両端から各遊端縁51,51の両端までの各左右一対の斜辺52,52の夫々が直線状の摺接縁52,52とされた一対の中位弁5,5、および、該一辺Aと対峙する他辺Bに対し、基端縁6が吊下され、各中位弁5,5の摺接縁52,52に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁62が設けられた最外弁6からなる底壁ホッパー機構3を有し、該底壁ホッパー機構3には、該最外弁6の開閉機構7が設けられた、この発明の粉・粒物用バケットにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0037】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の粉・粒物用バケット1は、その箱型容器2が、L字断面形の冷間引き抜き可能によって製造されたアルミニウム製の骨格材料を組み合わせ、溶接またはボルト・ナット結合などの結合構造によって矩形枠状に組み立てられた骨格枠22、および、該骨格枠22の左右側面壁および背面壁に相当する範囲に、アルミ製の矩形状の側面パネル23,23および背面パネル24が装着されたものとされ、天面20、前面25および底面21の夫々が全面開口され、天面20は、骨格枠22の上端の四辺に囲まれた供給口20とされ、底面21が、骨格枠22の下端の四辺に囲まれた底口21とされ、同骨格枠22の前面25の左右内がわの上下間には、夫々シャッターレール26,26が配設され、該左右のシャッターレール26,26に沿って、左右上端に昇降操作用の取っ手が設けられた前面シャッター25が、天面20がわから底面21に向けて摺動自在に装着され、該前面25の全体が開放自在とされている。
【0038】
骨格枠22の底口21直上に相当する前面シャッター25および背面パネル24の下端には、フォークリフトの左右のフォークが前後方向且つ水平に差し通されるフォーク差し込み口F,Fが穿設され、各フォーク差し込み口F,Fの前後間には、アルムニウム管製のフォーク差し込み管路F,Fの前後両端が、夫々底面口21の骨格枠22部分に対し、溶接またはボルト・ナット結合などの結合構造を介して強固に一体化され、同フォーク差し込み管路F,Fの各後端に図示しないフランジ部が設けられ、背面パネル24の各フォーク差し込み口F,Fに対し、それらのフランジ部がボルト・ナット結合されたものとするか、または溶接によって結合されたものとするなどして密閉状に一体化され、同フォーク差し込み管路F,Fの前端が、前面シャッター25の各フォーク差し込み口F,Fに対し密に対峙されるよう配されたものとなっており、必要に応じてフォーク差し込み管路F,Fの前端と前面シャッター25の各フォーク差し込み口F,Fとの接合部間に樹脂製のパッキンが設けられたものとすることができる。
【0039】
フォーク差し込み管路F,Fは、前面シャッター25および背面パネル24のフォーク差し込み口F,Fに対応する位置の夫々のみに上下反転U字形の吊り金具または矩形環状吊り金具が、骨格枠22の底口21直上に一体化され、左右のフォークの各前後端がわにのみ吊下保持される前後の環状金具を有するもの、または、該前後の環状金具のみに置き換えられたものの何れか一方とすることが可能である外、天壁および左右側壁のみを有し底壁を有さないフォーク差し込み上側カバー(F,F)に置き換えられたものとすることが可能である。
そして、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れの場合であっても、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根(図示せず)が、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方の上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0040】
最内弁4は、骨格枠22の底口21の四辺の何れか一辺Aに対し、該一辺Aと一致する長さの基端縁40がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、該基端縁40の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺Aに隣合う一辺Dの長さの1/2の位置に配される遊端縁41を有し、該基端縁40の両端から遊端縁41の両端に連なる左右一対の斜辺42,42の夫々が直線状の摺接縁42,42とされたものとなっている。
【0041】
一対の中位弁5,5は、底口21の四辺の何れか一辺Aに隣合う対辺の各辺D,Dの夫々に対し、該隣合う対辺の各辺D,Dの長さに一致する基端縁50,50がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、当該最内弁4の摺接縁42,42に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁53,53が設けられ、各基端縁50,50の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺Aの長さの1/2ないし1/5の中の7/20の位置に配される遊端縁51,51の夫々を有し、各基端縁50,50の両端から各遊端縁51,51の両端までの各左右一対の斜辺52,52の夫々が直線状の摺接縁52,52とされている。
【0042】
最外弁6は、底口21の四辺の何れか一辺Aと対峙する他辺Bに対し、該他辺Bの長さに一致する基端縁60がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、図13に示すように、該基端縁60の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされたものであって、より具体的には、該基端縁60の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、他辺Bに隣合う対辺の各辺D,Dの長さの1/2の位置に配される遊端縁61を有し、各中位弁5,5の摺接縁52,52に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁62,62が設けられ、該遊端縁61には、全閉された場合に当該最内弁4の遊端縁41を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部63が、同遊端縁61に沿って細長い長方形状のものとして設けられている。
【0043】
図7に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6は、互いに同じ板厚寸法に設定されており、各ヒンジ機構H,H,……は、夫々水平軸(軸心HL,HL,HL)を有し、最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、箱型容器2の底口21の直下に配され、一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの一対の水平軸の軸心HLが、該最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分TD下方であってしかも同一仮想水平面上に配され、さらに、最外弁6のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、該一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該一対の中位弁5,5が水平姿勢に全閉された場合の同一対の中位弁5,5の一枚分の厚み寸法相当分TD下方に配され、該最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6が全閉された場合に、該底口21に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとなっている。
【0044】
図7を参照しながら、表現を変えて示すと、底壁ホッパー機構3の各ヒンジ機構H,H,……が、最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6の夫々の板厚寸法の1/2の位置に水平軸(軸心HL,HL,HL)を有し、最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、箱型容器2の底口21から、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法の1/2に相当する寸法分下方に配され、一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの一対の水平軸の軸心HLが、該最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該中位弁5が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分TD下方に配され、さらに、最外弁6のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、該一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該中位弁5が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該最外弁6が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分TD下方に配され、該最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6が全閉された場合に、該底口21に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能とされたものとすることができる。
【0045】
図15および図16に示すように、開閉機構7は、底壁ホッパー機構3の最外弁6が底口21に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口21に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数に分割された角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部70、および、該角度調節部70を箱型容器2の外がわから操作可能な遠隔操作部71を有するものとされ、該角度調節部70は、箱型容器2の骨格枠22の供給口20の前後端間中央の左右端間に、横架軸HAが水平姿勢に架け渡され、その両端が回動自在に支持され、同横架軸HAの一方端に対応する該箱型容器2の骨格枠22および側面パネル23には、該横架軸HAの一方端の周囲に配された凡そ1/4円弧形の平板とされ、同横架軸HAの周周りの例えば5°ないし30°置き、より具体的には18°置きとなる位置毎に水平方向の角度穴AH,AH,……が穿設された係止パネルLPが固着されており、該遠隔操作部71は、該横架軸HAの左右端間の中央から牽引杆TLが、該横架軸HAに直交する姿勢に立設され、同牽引杆TLの先端から延伸された索条CDの先端が、当該最外弁6の遊端縁61近傍となる内面壁に繋着され、該横架軸HAの該係止パネルLPに臨む一方端には、操作レバーLVの先端が結合され、同操作レバーLVの遊端には把持部GPが設けられ、該把持部GPの先端寄りの位置には、同操作レバーLVの中途周壁から当該係止パネルLPの角度穴AH,AH,……の何れかに選択的に嵌合する図示しない係合凸部を凸没操作可能な解除ボタンRBが設けられたものとなっている。
【0046】
図17に示すように、最内弁4の各摺接縁42,42は、円筒面形にされたものとすることが可能であり、これと同様に中位弁5,5の各摺接縁52,52も円筒面形にされたものとすることができる。また、図18に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4および一対の中位弁5,5の各摺接縁42,42,52,52の夫々の全長に渡って弾性素材製の帯状の漏出防止片L,L,……が、一対の中位弁5,5の摺接内面壁53、53、最外弁6の摺接内面壁62の夫々に弾性的に摺動自在に密接するよう添設されたものとすることができる。
【0047】
図19に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4の各摺接縁42,42夫々の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁5,5の摺接内面壁53,53の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートS,Sが架け渡し結合されて内装され、また、一対の中位弁5,5の各摺接縁52,52の夫々の近傍の内面壁と、それらに対応する最外弁6の各摺接内面壁62,62の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートS,Sが架け渡し結合されて内装されたものとすることができる。
【0048】
図20に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4の各摺接縁42,42夫々の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁5,5の各摺接内面壁53,53の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーV,Vが架け渡し結合されて外装され、また、一対の中位弁5,5の各摺接縁52,52の近傍の外面壁と、それに対応する最外弁6の各摺接内面壁62,62の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーV,Vが架け渡し結合されて外装されたものとすることが可能である。
【0049】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の粉・粒物用バケット1は、図1ないし図4に示すように、前面シャッター25が開閉可能であるから、図14に示すように、底壁ホッパー機構3が全閉され状態の箱型容器2内に粉・粒体Gが収容されている場合に、該前面シャッター25をシャッターレール26,26に沿って開度を調節するよう引き揚げ操作すると、該箱型容器2内の粉・粒体Gを前方の下方に放出することが可能である。
【0050】
また、図5ないし図7に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6の夫々のヒンジ機構H,H,……の水平軸の軸心HL,HL,HLが、互いに各弁4,5,6の厚み寸法相当分TD上下にずれた配置とされているから、底口21に水平姿勢に全閉された場合に、互いの弁4,5,6の間に隙間が生じず、密に積層された状態に閉鎖されるから、箱型容器2内に収容された粉・粒体Gが漏出することがない。
【0051】
図8ないし図13図15および図16に示すように、開閉機構7の操作レバーLVの把持部GPを握持し、解除ボタンRBを押し込むと係止パネルLPの角度穴AHから係合凸部が離脱し、該操作レバーLVを横架軸HA回りに回動操作すれば、牽引杆TLおよび索条CDに従動された最外弁6がヒンジ機構H,H,Hを軸に開閉動作され、該最外弁6の開閉動作に従い、一対の中位弁5,5および最内弁4が、互いの摺接内面壁53,53,62および摺接縁42,42,52,52を介して閉鎖状態を維持しながら摺動し、各弁4,5,5,6の遊端縁41,51,51,61およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口30を開閉可能なものとなっている。
【0052】
図5図6図8ないし図13図15図16および図21ないし図23に示すように、粉・粒物用バケット1は、フォーク差し込み口F,Fを通じてフォーク差し込み管路F,FにフォークリフトFLの左右のフォークLF,LFを差し通し、所望の高さに上昇させて運搬することが可能であり、供給口20から粉・粒体Gの供給を受けた場合に、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方が、フォークLF,LFに直接粉・粒体Gが積もるのを防止し、さらに、粉・粒体避け屋根(図示せず)が設けられたものの場合には、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方から、粉・粒体Gが速やかに滑落されるものとなる。
【0053】
供給口20から粉・粒体Gの供給を受けた後、箱型容器2の下に該箱型容器2よりも小さな、例えば、1m3のフレキシブルコンテナバッグFCを置き、開閉機構7を操作して吐出口30の開放度合いを該フレキシブルコンテナバッグFCの開口寸法に合わせるよう調節しながら粉・粒体Gを該フレキシブルコンテナバッグFCに落下、供給し、該フレキシブルコンテナバッグFCが一杯になったら、底壁ホッパー機構3を閉じるよう開閉機構7を操作、仮固定した上、新たなフレキシブルコンテナバッグFCと入れ替えた上、引き続き吐出口30を開放して同様に粉・粒体Gの落下、充填作業を継続することが可能なものとなる。
【0054】
図1ないし図13および図17に示すように、円筒形とされた摺接縁42,42(52,52)によれば、摺接内面壁53,53(62)との抵抗摩擦力が大幅に軽減されたものとなり、開閉機構7の開閉操作性をより軽快なものとすることが可能となり、また、図18に示す漏出防止片L,L,……,図19の漏出防止シートS,S,……,および、図20の漏出防止カバーV,V,……,などが設けられた粉・粒物用バケット1は、箱型容器2内に収容した粉・粒体Gの漏出をより確実に防止可能なものとなる。
【0055】
(結 び)
叙述の如く、この発明の粉・粒物用バケットは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの粉体搬送用の容器類の、収容物の排出技術に比較して収容容器よりも小型のコンテナー類に対し、より効率的に小分けすることが可能となり、しかも必要に応じて全開放出も可能となるなど、その利用用途を大幅に拡大することが可能となる上、外部駆動源などを要さすに放出作業を行うことができ、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、小分け作業の際に取り扱いが困難であった粉・粒体の取り扱い作業性を大幅に改善し得るものとなることから、従前まで作業員を増員したり、粉体分配装置類などを準備したりして対応しなければならなかった小分け作業を格段に効率化できるものとなるから、穀物類を生産する農家は勿論のこと、粉・粒体を製造、輸送、保管、販売する各種工場や倉庫業界および販売業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0056】
1 粉・粒物用バケット
2 箱型容器
20 同 供給口(天面)
21 同 底口(底面)
A 同 一辺
B 同 他辺
D 同 一辺A(他辺B)に隣合う対辺
F 同 フォーク差し込み口(フォーク差し込み管路、フォーク差し込み上側カバー)
22 同 骨格枠
23 同 側面パネル
24 同 背面パネル
25 同 前面シャッター(前面)
26 同 シャッターレール
3 底壁ホッパー機構
30 同 吐出口
4 最内弁
40 同 基端縁
41 同 遊端縁
42 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
TD 同 上下厚み寸法相当分
【0057】
H ヒンジ機構
HL 同 水平軸の軸心
5 中位弁
50 同 基端縁
51 同 遊端縁
52 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
53 同 摺接内面壁
6 最外弁
60 同 基端縁
61 同 遊端縁
62 同 摺接内面壁
63 同 舌縁部
7 開閉機構
70 同 角度調節部
71 同 遠隔操作部
HA 同 横架軸
CD 同 索条
TL 同 牽引杆
LV 同 操作レバー
GP 同 把持部
RB 同 解除ボタン
LP 同 係止パネル
AH 同 角度穴
L 漏出防止片
S 漏出防止シート
V 漏出防止カバー
G 粉・粒体(収容対象物)
FL フォークリフト
LF 同 フォーク
FC フレキシブルコンテナバッグ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2022-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項2】
天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対して各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対して基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられ、該底壁ホッパー機構が、該底口の直下に最内弁、上下中間位置に一対の中位弁、最下位に最外弁が積層状に重なり合うよう全閉され、該最内弁および一対の中位弁が、該最外弁の開閉動作に従動して各弁の遊端縁およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口を開閉可能なものとされたことを特徴とする粉・粒物用バケット。
【請求項3】
運搬用係合部が、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、またはフォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架された、前記請求項1または請求項2何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項4】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設された、前記請求項1ないし請求項3何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項5】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項6】
底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項7】
底壁ホッパー機構が、各ヒンジ機構に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【請求項8】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構が、最内弁、一対の中位弁および最外弁の夫々の板厚寸法の1/2の位置に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口から、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法の1/2に相当する寸法分下方に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の一対の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該最外弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分下方に配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の粉・粒物用バケット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉状または粒状などの対象物を収容および運搬するバケット技術に関連するものであり、特に、収容および運搬した粉体または粒体の少なくとも何れか一方を該バケットよりも小さなコンテナバッグなどに効率的に分配可能な粉・粒物用バケットを製造、提供する分野をはじめ、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係って行う輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
圃場にてコンバインハーベスターによって刈り取られた稲や麦は、脱穀され籾米や殻麦となって送出され、また、穀類の籾摺り加工によって発生した籾殻は、圃場のマルチング資材として利用したり、そのままか、または、籾殻燻炭に加工した上、圃場にすき込んで土壌を改善したりするのに用いる外、精米や精麦の加工の段階で発生した糠は、そのまま圃場にすき込んだり、肥料の材料に用いたりすることが一般的に広く行われており、こうした粉体や粒体の搬送には、トラックに搭載するコンテナーや、トラクターまたはフォークリフトなどで搬送可能なバケットなどが用いられている。
【0003】
こうした粉・粒体を搬送するコンテナーやバケット類は、積載した粉・粒体を効率的に送出するために、自動的に送出する送出装置類や、落下用扉、または散布用の散布機構などが設けられており、夫々の利用目的に応じて使い分けされるものとなっているが、それらコンテナーやバケット類よりも小さな、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の靱性に優れた化学繊維でできた穀物(バイオマス利用、堆肥、薫炭、家畜用の敷き藁への代用などの用途に用いる)や飼料、土砂、木片などの粉状や粒状物質の梱包・保管・輸送などの用途に用いられる角形や円筒形の外郭形状の袋体であって、各種容量および耐荷重のものが市販されているが、例えば1m(1立米:1,000x1,000x1,000mm)、耐荷重1トン前後であり、該袋体の底面および対峙する側壁の外周囲にループ状の帯が巻き掛けられ、該対峙する側壁の夫々の上端から上下反転U字形の一対の吊りベルトが延出された状態に縫着され、該一対の吊りベルトを介してフォークリフトやクレーン等で吊り上げられ、運搬可能なものとされたフレキシブルコンテナバッグ(商品名、以降省略する)、所謂フレコンバッグ(商品名)などに対し、送出装置を駆動する駆動源を必要とせず、フレキシブルコンテナなどに粉・粒体を簡単且つ効率的に分配できるような送出機能を有するものは提供されていなかった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、粒体収容部は、底収容部と、該底収容部の上方に連結されて一体に設けた可撓性シート材で構成された袋状収容部と、これらを支持する平面視略矩形状を呈する枠体とで構成され、前記底収容部は、下方に連通する開口部を有し、該開口部下方には収納粒体を排出する排出機構が設けられた粒体搬送容器において、前記底収容部底面は、底収容部底面内に設けた前記開口部に向けて開口部側が粒体収容部外側より低い傾斜を有して漏斗状に成形されるとともに、前記底収容部は前記枠体に対し弾性部材を介し支持されていて、収容された粒体の排出時に底収容部を振動させる振動手段が設けてあり、従来のように粒体収容部の下方部に大きな傾斜面を設ける必要が無く、僅かの傾斜の底面を有する底収容部を振動させることで排出部である底面開口部に粒体を移動させ排出可能となり、従来に比較して粒体収容部下方の空間部が少なくなり有効にスペースを利用できるため、同じ収容量であれば高さ寸法をより低くすることができるとともに重心を低くすることができる粒体搬送容器が知られている。
【0005】
また、下記の特許文献1(2)に見られるような、上部が開口した四周胴部面の底面開口を前方側から後方側に向かって開口する底蓋と、該底蓋の先端側に延成され、前記前方側の胴部面に折り返す折返し部と、該折返し部を前記前方側胴部面に着脱可能に保持する着脱部と、該底蓋と前記底面開口の左右両辺同士を接続する左右一対の側片と、該左右一対の側片と前記底面開口の前方辺同士を接続する前片とを備え、前記底蓋を閉じたとき、前記左右一対の側片と前記前片とが折り畳まれて、当該底蓋の折返し部と前記底面開口の前方辺との隙間から前記内容物の漏出を規制し、底蓋の開閉操作を胴部の前側から行うことができるため、特に高齢化が進む農家にとって、安全に内容物の排出作業を行い得るものとされたフレキシブルコンテナなどが散見される。
【0006】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているような粒体搬送容器などは、粒体収容部の下部に排出機構および振動手段が設けられ、それらを駆動してホース出口ケースから送出される粒体の量を調節することにより、該粒体収容部よりも小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類に供給することができるが、それら排出機構および振動手段を動作するには、排出用モータおよび振動用モータを駆動させる必要があり、外部電力などの入力が不可欠なものとなっており、構造が複雑でメンテナンスなどの維持、経費に要するコストが嵩むものであった。
そして、特許文献1(2)のフレキシブルコンテナなどは、底蓋の開閉操作を胴部の前側から行うことができ、しかも特別な送出駆動源を要さずとも収容物の自重による落下によって送出を行うものとなっているが、底蓋の全幅が開放されてしまう上、一度開放してしまうと内容物の放出を一時的に停止するなどの細かな送出制御が困難な構造のものであったため、収容物を該フレキシブルコンテナよりも小さな容器に供給するのが困難となっていた。
【特許文献1】(1)特開2009-102051号公報 (2)特開2018-2193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種粒体搬送容器などは、何れも排出用モータや、粒体の排出を促進する振動用モータなどの排出専用の駆動装置類を必要とするものであり、必ず外部からの駆動用エネルギーや駆動力などの供給が不可欠なものであり、その利便性を考慮すると、トラックなどの電力や駆動力の供給源を備えた車両などに搭載して利用するのが望ましいものであり、また、底蓋の全幅を開放するフレキシブルコンテナなどは、外部からのエネルギーの供給や駆動力の入力を必要とせず、手作業によって底蓋を開放可能なものとなっているが、より小容量で供給口の小さなフレキシブルコンテナバッグなどに粒体を供給する場合には、漏斗を介して供給するか、注ぎ口を有するバケットに一時的に収容した上で、小さなフレキシブルコンテナに注ぎ込むなどの作業を要するものであり、また、一端開放した底蓋を再度閉鎖して粒体の流出を停止するような作業は、略不可能なものであるなど、複数個の小さなフレキシブルコンテナバッグに小分けに詰めるような作業は、非常に困難なものであるという欠点が残るものであり、こうした粉・粒体の運搬や小分け作業などをより、効率的に行える新たなバケット技術の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0008】
(発明の目的)
そこで、この発明は、粉・粒体を効率的に収容し、簡便に運搬可能な上、底面の面積よりも小さく吐出口を開口し、より小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類に小分けする作業の効率化を実現化できる新たな粉・粒物用のバケット技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の粉・粒物用バケットを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の粉・粒物用バケットは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられた構成を要旨とする粉・粒物用バケットである。
【0010】
この基本的な構成からなる粉・粒物用バケットは、換言するならば、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられた箱型容器を有し、該底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた最内弁、該一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされた一対の中位弁、および、該一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられた最外弁からなる底壁ホッパー機構を有し、該底壁ホッパー機構には、該最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有する開閉機構が設けられ、該底壁ホッパー機構が、該底口の直下に最内弁、上下中間位置に一対の中位弁、最下位に最外弁が積層状に重なり合うよう全閉され、該最内弁および一対の中位弁が、該最外弁の開閉動作に従動して各弁の遊端縁およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口を開閉可能なものとされた構成からなる粉・粒物用バケットとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の粉・粒物用バケットによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、箱型容器の天面の供給口から粉・粒体を効率的に収容し、簡便に運搬可能な上、開閉機構の遠隔的操作によって底壁ホッパー機構の吐出口を、該箱型容器の底面の面積よりも小さく開口し、さらに、その開度を変更し、送出量を調節しながら粉・粒体を、その自重により落下、放出するから、排出用の動力源などを特に要さずとも自動的に排出することができる上、送出量を自在に調節し、自由に閉鎖して送出を停止することができるものとなり、従前までは多大な手数と労力とを要していた小さなフレキシブルコンテナバッグなどの容器類への小分け作業の作業性を大幅に改善し、格段に効率化することができるものになるという秀でた特徴が得られるものである。
【0012】
加えて、底壁ホッパー機構は、最内弁の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2の位置に配されその左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされ、一対の中位弁の夫々の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配され、該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、しかも各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされ、最外弁の遊端縁が、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該他辺(該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺)に隣合う対辺の各辺(該一辺に隣合う一辺)の長さの1/2であって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられたから、該最内弁、一対の中位弁および最外弁の各弁が、不要に大型化せず、簡素な構造に留めることができ、当該底壁ホッパー機構が全閉された場合には、該最内弁と最外弁との遊端縁同士が一致され、確りと閉鎖されるものとなり、吐出口を開放しその開度を調節した際にも各弁の各摺接縁と各摺接内面壁との間から粉・粒体が不用意に漏れ出すのをより確実に防止できるものになるという利点が得られる。
【0013】
さらに、底壁ホッパー機構は、最内弁が、二等辺三角形、または、該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、一対の中位弁の夫々が、二等辺三角形、または、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、最外弁が、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされたから、該最内弁、一対の中位弁および最外弁の各弁をよりコンパクト化、軽量化されたものとし、開閉機構の開閉操作性を格段に高め、この発明の粉・粒物用バケットをより軽量化されたものとすることができ、さらに、該最外弁の遊端縁に、全閉された場合に最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられたものとすることにより、より確りとした密閉を実現化できるものとなる。
【0014】
そして、運搬用係合部が、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が、フォークリフトの左右のフォークの挿し込み、および、該箱型容器の重量を安定支持可能とし、リフト作業の安全性を充分に確保できるものとなり、フォーク差し込み管路が設けられたものの場合には、各フォーク差し込み管路が、各フォーク差し込み口間に渡って密閉状態を維持できるから、フォークリフトの左右のフォークが挿し込まれていない状態であっても当該箱型容器に粉・粒体を充填することが可能であり、また、フォーク差し込み上側カバーが設けられたものの場合には、各フォーク差し込み上側カバーに沿ってフォークリフトの左右のフォークが挿し込まれた状態であれば、各フォークが各フォーク差し込み口を塞ぎ、当該箱型容器の密閉状態を確保できるものとなり、当該箱型容器に粉・粒体を充填することが可能なものとなるから、粉・粒体の収容および運搬の作業性を格段に高めたものとなる。
【0015】
さらに、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各摺接縁と各摺接内面壁との間をより密閉された状態を保つことが可能となり、各摺接縁と各摺接内面壁との間から不用意に粉・粒体が漏出してしまうのをより確実に防止できるものとなる。
また、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装された、この発明の粉・粒物用バケットや、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装された、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各摺接縁と各摺接内面壁との間から不用意に粉・粒体が漏出してしまうのをより完璧に阻止できるものとなる。
【0016】
そして、底壁ホッパー機構が、各ヒンジ機構に水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該中位弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方にずらして配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされた、この発明の粉・粒物用バケットによれば、各ヒンジ機構がより正確に動作可能となり、最内弁、一対の中位弁および最外弁が互いにより密閉された状態に閉鎖可能なものとなるから、当該底壁ホッパー機構の開閉性能および密閉性能を大幅に高めたものとすることができるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
箱型容器は、粉・粒体などの収容の対象物を上部から収容可能とし、運搬用係合部を機能させ、下部に底壁ホッパー機構を吊下支持し、開閉機構を支持するなど、この発明の粉・粒物用バケットの本体機能を担い、天面に供給口、底面に底口が開口され、運搬用係合部が設けられたものとしなければならず、収容対象物である粉・粒体などをより効率的に充填可能とするには、後述する実施例にも示すように、できるだけ天面の全面を供給口として開口されたものとするのが望ましいが、天面の一部にのみ供給口が開口されたものとすることが可能であり、開閉蓋が設けられたものとすることができ、底口は、最内弁、一対の中位弁および最外弁の4枚の弁を有する底壁ホッパー機構が設けられる都合上、水平な四角形状に開口されたものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、底面の全面に開口されたものとするのが望ましい。
【0018】
箱型容器は、例えば、各種パネル材の組み合わせからなる容器、木材製の容器、セラミック製の容器、金属、合成樹脂または複合素材などの一体成形品からなる容器、後述する実施例にも示しているように、金属製の骨格枠に対し、各種素材製のパネル材類が嵌め込まれてなる容器など、容器形状をなすものであれば如何なるものであっても利用可能であり、例えば、球形や筒状、漏斗状、その他の異形状の容器などに置き換えることが可能であり、後述する実施例にも示しているが、前面、左右側面、背面の何れか一つの壁面にシャッターや扉などが設けられ、収容対称物である粉・粒体を、底壁ホッパー機構とは別の水平方向に排出可能なものとすることが可能である。
【0019】
最内弁は、一対の中位弁および最外弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとしなければならず、より具体的には、箱型容器の底口の四辺の何れか一辺に対し、該一辺と一致する長さの基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、または、該基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺に隣合う一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁を有し、該基端縁の両端から遊端縁の両端に連なる左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとするのが良く、後述する実施例にも示すように、左右の各摺接縁が、円筒面形状のものとすることができる。
【0020】
一対の中位弁は、最内弁および最外弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺に隣合う対辺に対し、各基端縁が開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとしなければならず、各左右一対の直線状の摺接縁が、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称の角度姿勢に設定されたものとすべきであり、より具体的には、箱型容器の底口の四辺の何れか一辺に隣合う対辺の各辺の夫々に対し、該隣合う対辺の各辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、当該最内弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、二等辺三角形、または、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の何れか一方の平板とされ、該底口に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺の長さの1/2ないし1/5の何れかの位置に配される遊端縁の夫々を有し、各基端縁の両端から各遊端縁の両端までの各左右一対の斜辺の夫々が直線状の摺接縁とされたものとすることができる。
【0021】
最外弁は、最内弁および一対の中位弁と共に、底壁ホッパー機構を開閉可能とし、吐出口の開度の調節を可能とする機能を分担し、箱型容器の底口の一辺と対峙する他辺に対し、基端縁が開閉自在に吊下され、各中位弁の摺接縁に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられたものとしなければならず、より具体的には、該底口の四辺の何れか一辺と対峙する他辺に対し、該他辺の長さに一致する基端縁がヒンジ機構を介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、(換言すると、二等辺三角形、各基端縁の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形、または、該基端縁の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされ、)該底口に平行姿勢に全閉された場合に、他辺に隣合う対辺の各辺の長さの1/2ないし4/5の何れかであって、しかも閉鎖姿勢にて該最内弁の遊端縁に一致する位置に配される遊端縁を有し、各中位弁の摺接縁に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁が設けられ、該遊端縁には、全閉された場合に当該最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部が設けられたものとすることができる。
【0022】
最内弁および一対の中位弁の各摺接縁は、それら最内弁および一対の中位弁が開閉操作を受け、吐出口が開放される間に亘り、該一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁と密な接合状態を維持しながら、摺動自在となる機能を担い、各摺接縁は、摺接内面壁と隙間無く接する形状のものとされなければならず、より低摩擦抵抗の状態で摺接内面壁と接するものとするのが望ましく、例えば、最内弁および一対の中位弁の摺接縁が設けられる各斜辺の夫々に対し、三角柱や円筒棒状に成形されたセラミックスや鋼などの硬質素材製の硬質ブレードが添設されたものや、シリコン樹脂や軟質ゴムなどの軟質素材製の軟質ブレードが添設されたものなどとすることが可能である。
【0023】
一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁は、それら最内弁および一対の中位弁が開閉操作を受け、吐出口が開放される間に亘り、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁と密な接合状態を維持しながら、摺動自在となる機能を担い、各摺接内面壁は、摺接縁と隙間無く接する形状のものとされなければならず、より低摩擦抵抗の状態で摺接縁と接するものとするのが望ましく、例えば、一対の中位弁の夫々の最内弁の摺接縁に接合する範囲、および、最外弁の一対の中位弁の夫々の摺接縁に接合する範囲の夫々に対し、平滑面状のセラミックスや鋼、カーボンファイバー樹脂などの硬質素材製の硬質プレートが埋設されたものや、平滑面状のシリコン樹脂や軟質ゴムなどの軟質素材製の軟質プレートが埋設されたものなどとすることが可能である。
【0024】
また、最外弁の遊端縁に設けられた舌縁部は、底壁ホッパー機構が全閉された場合に最内弁の遊端縁を外がわから隠蔽可能とする機能を分担するものであり、該底壁ホッパー機構の各最内弁、一対の中位弁および最外弁の夫々のヒンジ機構が、上下に各弁の夫々の厚み寸法相当分下方にずらされて配置された、この発明の粉・粒物用バケットの場合に、一対の中位弁の対峙された遊端縁間を、該中位弁の厚み寸法に相当する寸法分を密閉状に閉塞可能とすると共に、最内弁の遊端縁の外がわを覆う形状および寸法のものとするのが望ましい。
【0025】
運搬用係合部は、箱型容器をクレーンやフォークリフトなどの運搬用の機械類によってリフト可能とする機能を分担し、例えば、箱型容器の天面の供給口の周囲に点在状に配されるか、または、箱型容器の周囲壁または骨格枠などの周囲などに、点在状に配設されるかするなどした複数個のクレーン用のフックや、それらフックに繋着された複数叉、例えば三つ叉の索条、および、該索条に繋がれたロッキングフックなどとすることが可能である外、後述する実施例にも示すように、箱型容器の側壁の何れか一面壁および該一面壁に対峙する他面壁の上下端間の少なくとも何れか一つの高さの、該一面壁および他面壁の左右端間中央の仮想垂線を境に左右対称となる位置に、夫々フォーク差し込み口が水平方向に穿設された上、該一面壁および他面壁の左右の各フォーク差し込み口間に、夫々フォーク差し込み管路か、または、フォーク差し込み上側カバーかの何れか一方が横架されたものとすることができる。
【0026】
フォーク差し込み管路は、粉・粒体などの収容対象物を収容した箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、リフトアップ可能とする機能を担い、箱型容器の重量を左右のフォークに搭載可能とすると共に、箱型容器に収容された粉・粒体が、前後のフォーク差し込み口を通じて外部に漏出しないよう密閉状の管路で繋ぐものとしなければならず、フォークの形状に倣った矩形管路状のものとするのが良く、さらに、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根が、該フォーク差し込み管路の上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0027】
フォーク差し込み上側カバーは、箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、リフトアップ可能とする機能を担い、箱型容器にフォークリフトのフォークを挿脱自在に挿し込み、供給口より、粉・粒体を落下供給した場合に、左右のフォークに該粉・粒体が直接積もるのを防止すると共に、箱型容器の重量を左右のフォークに搭載可能とするものとしなければならず、前後方向の断面形が上下反転U字断面形とされ、各フォークの上面および左右側面の夫々を覆うように係合可能とされたものとすることができ、さらに、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根が、該フォーク差し込み上側カバーの上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0028】
底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示すように、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁に弾性素材製の漏出防止片が添設されたものとすることが可能であり、該漏出防止片は、天然ゴム製や合成ゴム製、合成樹脂製、布製、各種ブラシ製などとすることが可能であり、各摺接縁の厚み寸法内に収まる厚み寸法のものや、弁の閉鎖の圧力によって閉鎖の圧力を受けた場合に容易に圧縮や変形するなどして閉鎖の操作性に支障を来さないものとするのが望ましい。
また、この底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示しているように、最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートが内装されたものとすることが可能であり、該漏出防止シートは、天然ゴムシート製や合成ゴムシート製、合成樹脂シート製、布製などとすることが可能であり、弁の開閉の動作に追従して柔軟に変形および伸縮し、開閉操作に支障を来さないものとするのが良い。
【0029】
さらにまた、底壁ホッパー機構は、後述する実施例にも示しているように、底壁ホッパー機構の最内弁および一対の中位弁の各摺接縁の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁および最外弁の各摺接内面壁の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーが外装されたものとすることが可能であり、該漏出防止カバーは、前述の漏出防止シートと同様に、天然ゴムシート製や合成ゴムシート製、合成樹脂シート製、布製などとすることが可能であり、弁の開閉の動作に追従して柔軟に変形および伸縮し、開閉操作に支障を来さないものとするのが良い。
【0030】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構は、最内弁一対の中位弁および最外弁の夫々を開閉自在に吊下する機能を分担し、例えば、柔軟に変形可能なゴム板や複数本の索条などとすることが可能である外、水平軸を有したヒンジとするのが望ましく、より具体的には、後述する実施例にも示すように、水平軸を有し、最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、箱型容器の底口の直下に配され、一対の中位弁の各ヒンジ機構の一対の水平軸の軸心が、該最内弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該最内弁が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分下方であってしかも同一仮想水平面上に配され、さらに、最外弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、該一対の中位弁の各ヒンジ機構の水平軸の軸心よりも、該一対の中位弁が水平姿勢に全閉された場合の同一対の中位弁の一枚分の厚み寸法相当分下方に配され、該最内弁、一対の中位弁および最外弁が全閉された場合に、該底口に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとされたものとすることができる。
【0031】
底壁ホッパー機構の各ヒンジ機構は、表現を変えて示すと、後述する実施例にも示すように、各ヒンジ機構の水平軸の軸心が、各弁の厚み寸法の中央位置に配された場合に、下位の弁のヒンジ機構の水平軸の軸心が、平行姿勢に全閉された上位の弁の上下厚み寸法と、該上位の弁に積層され平行姿勢に全閉された下位の弁の上下厚み寸法との合計の1/2の寸法分を、該上位の弁のヒンジ機構の水平軸の軸心よりも下方に配されたものとすることができると言い換えることができる。
【0032】
開閉機構は、電力や燃料などを要する特別な駆動源などを要さずに、人による操作入力のみによって底壁ホッパー機構を開閉操作し、底壁ホッパー機構を開放した際には、吐出口の開放度合いを複数の段階に調節可能とし、しかも閉鎖状態に仮固定し、また、開放した際には、調節した開放度合いの状態に仮固定可能とする機能を分担し、最外弁を全閉から全開姿勢まで複数の角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部、および、該角度調節部を当該箱型容器の外がわから操作可能な遠隔操作部を有するものとしなければならず、後述する実施例にも示すように、箱型容器の天面の供給口の前後端間の中央に左右端間に横架された横架軸の外端に操作レバーおよび係止パネルが配され、該横架軸の両端間中央に結合された牽引杆から該箱型容器内に吊下された索条の下端が、最外弁の遊端縁の近傍に繋着され、該操作レバーを回動操作して該最外弁を開閉操作可能としたものとすることができる外、箱型容器の前面または後面の何れかの中央に鈎爪ブレーキを有する雁木車および索条が巻きかけられたプーリーが同軸に一体化された回転ハンドルが回転自在に軸着され、該索条の先端が、箱型容器の天面の供給口を通じてか、箱型容器の天面および背面を回り込むよう迂回されるかして最外弁の遊端縁の近傍に繋着され、該鈎爪ブレーキを解除して回転ハンドルを回動操作し、最外弁閉鎖、開放、および開放度合いの調節を行い、該鈎爪ブレーキを該雁木車に噛合させて仮固定可能なものとすることができるなど、既存の様々な機構によってこれと略同等の機能を果たし得る当該角度調節部および遠隔操作部を実現化することが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面は、この発明の粉・粒物用バケットの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図2】粉・粒物用バケットを示す一方の側面図である。
図3】粉・粒物用バケットを示す他方の側面図である。
図4】粉・粒物用バケットを示す背面図である。
図5】粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図6】粉・粒物用バケットを示す底面図である。
図7】底壁ホッパー機構の各弁毎のヒンジ機構の上下位置を拡大して示す正面図である。
図8】僅かに開放した吐出口を示す平面図である。
図9】より広く開放した吐出口を示す平面図である。
図10】僅かに開放した吐出口を示す底面図である。
図11】より広く開放した吐出口を示す底面図である。
図12】吐出口を開放した粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図13】底壁ホッパー機構の全ての弁を垂下した粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図14】前壁のシャッターを開放した粉・粒物用バケットを示す側面図である。
図15】開閉機構の一例が設けられた粉・粒物用バケットを示す側面図である。
図16】開閉機構の一例が設けられた粉・粒物用バケットを示す正面図である。
図17】摺接縁が円筒面形とされた最内弁の一例を示す正面図である。
図18】漏出防止片が添設された粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図19】漏出防止シートが内装された粉・粒物用バケットを示す平面図である。
図20】漏出防止カバーが外装された粉・粒物用バケットを示す底面図である。
図21】フォークリフトのフォークが差し通された粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
図22】フォークリフトに持ち上げられた粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
図23】小型のフレキシブルコンテナバッグに小分けする粉・粒物用バケットを示す斜視図である。
【実施例0034】
図1ないし図20に示す事例は、天面に供給口20、底面に底口21が開口された箱型容器2を有し、該底口21の一辺Aに対し、基端縁40が吊下され、該基端縁40の両端から遊端縁41の両端に連なる左右一対の斜辺42,42の夫々が直線状の摺接縁42,42とされた最内弁4、該一辺Aに隣合う対辺D,Dに対し、各基端縁50,50が吊下され、当該最内弁4の摺接縁42,42に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁53,53が設けられ、各基端縁50,50の両端から各遊端縁51,51の両端までの各左右一対の斜辺52,52の夫々が直線状の摺接縁52,52とされた一対の中位弁5,5、および、該一辺Aと対峙する他辺Bに対し、基端縁6が吊下され、各中位弁5,5の摺接縁52,52に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁62が設けられた最外弁6からなる底壁ホッパー機構3を有し、該底壁ホッパー機構3には、該最外弁6の開閉機構7が設けられた、この発明の粉・粒物用バケットにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の粉・粒物用バケット1は、その箱型容器2が、L字断面形の冷間引き抜き可能によって製造されたアルミニウム製の骨格材料を組み合わせ、溶接またはボルト・ナット結合などの結合構造によって矩形枠状に組み立てられた骨格枠22、および、該骨格枠22の左右側面壁および背面壁に相当する範囲に、アルミ製の矩形状の側面パネル23,23および背面パネル24が装着されたものとされ、天面20、前面25および底面21の夫々が全面開口され、天面20は、骨格枠22の上端の四辺に囲まれた供給口20とされ、底面21が、骨格枠22の下端の四辺に囲まれた底口21とされ、同骨格枠22の前面25の左右内がわの上下間には、夫々シャッターレール26,26が配設され、該左右のシャッターレール26,26に沿って、左右上端に昇降操作用の取っ手が設けられた前面シャッター25が、天面20がわから底面21に向けて摺動自在に装着され、該前面25の全体が開放自在とされている。
【0036】
骨格枠22の底口21直上に相当する前面シャッター25および背面パネル24の下端には、フォークリフトの左右のフォークが前後方向且つ水平に差し通されるフォーク差し込み口F,Fが穿設され、各フォーク差し込み口F,Fの前後間には、アルムニウム管製のフォーク差し込み管路F,Fの前後両端が、夫々底面口21の骨格枠22部分に対し、溶接またはボルト・ナット結合などの結合構造を介して強固に一体化され、同フォーク差し込み管路F,Fの各後端に図示しないフランジ部が設けられ、背面パネル24の各フォーク差し込み口F,Fに対し、それらのフランジ部がボルト・ナット結合されたものとするか、または溶接によって結合されたものとするなどして密閉状に一体化され、同フォーク差し込み管路F,Fの前端が、前面シャッター25の各フォーク差し込み口F,Fに対し密に対峙されるよう配されたものとなっており、必要に応じてフォーク差し込み管路F,Fの前端と前面シャッター25の各フォーク差し込み口F,Fとの接合部間に樹脂製のパッキンが設けられたものとすることができる。
【0037】
フォーク差し込み管路F,Fは、前面シャッター25および背面パネル24のフォーク差し込み口F,Fに対応する位置の夫々のみに上下反転U字形の吊り金具または矩形環状吊り金具が、骨格枠22の底口21直上に一体化され、左右のフォークの各前後端がわにのみ吊下保持される前後の環状金具を有するもの、または、該前後の環状金具のみに置き換えられたものの何れか一方とすることが可能である外、天壁および左右側壁のみを有し底壁を有さないフォーク差し込み上側カバー(F,F)に置き換えられたものとすることが可能である。
そして、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れの場合であっても、前後方向の断面形が上下反転V字断面形または上下反転Y字断面形の何れか一方とされた切妻屋根形か、または、左右方向の何れか一方に下り勾配を有した片流れ屋根形かの何れか一方とされた粉・粒体避け屋根(図示せず)が、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方の上部の前後端間に渡り、一体に設けられたものとすることができる。
【0038】
最内弁4は、骨格枠22の底口21の四辺の何れか一辺Aに対し、該一辺Aと一致する長さの基端縁40がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、該基端縁40の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺Aに隣合う一辺Dの長さの1/2の位置に配される遊端縁41を有し、該基端縁40の両端から遊端縁41の両端に連なる左右一対の斜辺42,42の夫々が直線状の摺接縁42,42とされたものとなっている。
【0039】
一対の中位弁5,5は、底口21の四辺の何れか一辺Aに隣合う対辺の各辺D,Dの夫々に対し、該隣合う対辺の各辺D,Dの長さに一致する基端縁50,50がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、当該最内弁4の摺接縁42,42に対し、全閉から全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁53,53が設けられ、各基端縁50,50の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、該一辺Aの長さの1/2ないし1/5の中の7/20の位置に配される遊端縁51,51の夫々を有し、各基端縁50,50の両端から各遊端縁51,51の両端までの各左右一対の斜辺52,52の夫々が直線状の摺接縁52,52とされている。
【0040】
最外弁6は、底口21の四辺の何れか一辺Aと対峙する他辺Bに対し、該他辺Bの長さに一致する基端縁60がヒンジ機構Hを介して開閉自在に吊下され、二等辺三角形、ないし、図13に示すように、該基端縁60の両端に直交する二辺を有する正方形または長方形の何れか一つの平板とされたものであって、より具体的には、該基端縁60の両端間中央に直交する仮想軸線を境に線対称形とされた台形の平板とされ、該底口21に平行姿勢に全閉された場合に、他辺Bに隣合う対辺の各辺D,Dの長さの1/2の位置に配される遊端縁61を有し、各中位弁5,5の摺接縁52,52に対し、全閉ないし全開姿勢の間に接合する範囲に平滑面状の摺接内面壁62,62が設けられ、該遊端縁61には、全閉された場合に当該最内弁4の遊端縁41を外がわから隠蔽可能な密閉用の舌縁部63が、同遊端縁61に沿って細長い長方形状のものとして設けられている。
【0041】
図7に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6は、互いに同じ板厚寸法に設定されており、各ヒンジ機構H,H,……は、夫々水平軸(軸心HL,HL,HL)を有し、最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、箱型容器2の底口21の直下に配され、一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの一対の水平軸の軸心HLが、該最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法相当分TD下方であってしかも同一仮想水平面上に配され、さらに、最外弁6のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、該一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該一対の中位弁5,5が水平姿勢に全閉された場合の同一対の中位弁5,5の一枚分の厚み寸法相当分TD下方に配され、該最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6が全閉された場合に、該底口21に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能なものとなっている。
【0042】
図7を参照しながら、表現を変えて示すと、底壁ホッパー機構3の各ヒンジ機構H,H,……が、最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6の夫々の板厚寸法の1/2の位置に水平軸(軸心HL,HL,HL)を有し、最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、箱型容器2の底口21から、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法の1/2に相当する寸法分下方に配され、一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの一対の水平軸の軸心HLが、該最内弁4のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該最内弁4が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該中位弁5が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分TD下方に配され、さらに、最外弁6のヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLが、該一対の中位弁5,5の各ヒンジ機構Hの水平軸の軸心HLよりも、該中位弁5が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法と、該最外弁6が平行姿勢に全閉された場合の上下厚み寸法との合計の1/2に相当する寸法分TD下方に配され、該最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6が全閉された場合に、該底口21に対し積層状に重なり合うよう密に閉じ合わせ可能とされたものとすることができる。
【0043】
図15および図16に示すように、開閉機構7は、底壁ホッパー機構3の最外弁6が底口21に平行姿勢に全閉された姿勢から、該底口21に垂下姿勢に全開された姿勢までの複数に分割された角度姿勢毎に仮固定可能な角度調節部70、および、該角度調節部70を箱型容器2の外がわから操作可能な遠隔操作部71を有するものとされ、該角度調節部70は、箱型容器2の骨格枠22の供給口20の前後端間中央の左右端間に、横架軸HAが水平姿勢に架け渡され、その両端が回動自在に支持され、同横架軸HAの一方端に対応する該箱型容器2の骨格枠22および側面パネル23には、該横架軸HAの一方端の周囲に配された凡そ1/4円弧形の平板とされ、同横架軸HAの周周りの例えば5°ないし30°置き、より具体的には18°置きとなる位置毎に水平方向の角度穴AH,AH,……が穿設された係止パネルLPが固着されており、該遠隔操作部71は、該横架軸HAの左右端間の中央から牽引杆TLが、該横架軸HAに直交する姿勢に立設され、同牽引杆TLの先端から延伸された索条CDの先端が、当該最外弁6の遊端縁61近傍となる内面壁に繋着され、該横架軸HAの該係止パネルLPに臨む一方端には、操作レバーLVの先端が結合され、同操作レバーLVの遊端には把持部GPが設けられ、該把持部GPの先端寄りの位置には、同操作レバーLVの中途周壁から当該係止パネルLPの角度穴AH,AH,……の何れかに選択的に嵌合する図示しない係合凸部を凸没操作可能な解除ボタンRBが設けられたものとなっている。
【0044】
図17に示すように、最内弁4の各摺接縁42,42は、円筒面形にされたものとすることが可能であり、これと同様に中位弁5,5の各摺接縁52,52も円筒面形にされたものとすることができる。また、図18に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4および一対の中位弁5,5の各摺接縁42,42,52,52の夫々の全長に渡って弾性素材製の帯状の漏出防止片L,L,……が、一対の中位弁5,5の摺接内面壁53、53、最外弁6の摺接内面壁62の夫々に弾性的に摺動自在に密接するよう添設されたものとすることができる。
【0045】
図19に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4の各摺接縁42,42夫々の近傍の内面壁と、それらに対応する一対の中位弁5,5の摺接内面壁53,53の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートS,Sが架け渡し結合されて内装され、また、一対の中位弁5,5の各摺接縁52,52の夫々の近傍の内面壁と、それらに対応する最外弁6の各摺接内面壁62,62の近傍の内面壁との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止シートS,Sが架け渡し結合されて内装されたものとすることができる。
【0046】
図20に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4の各摺接縁42,42夫々の近傍の外面壁と、それに対応する一対の中位弁5,5の各摺接内面壁53,53の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーV,Vが架け渡し結合されて外装され、また、一対の中位弁5,5の各摺接縁52,52の近傍の外面壁と、それに対応する最外弁6の各摺接内面壁62,62の側縁かまたは外面壁かの少なくとも何れか一方との間に、柔軟性または伸縮性の少なくとも何れか一方のシート状の漏出防止カバーV,Vが架け渡し結合されて外装されたものとすることが可能である。
【0047】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の粉・粒物用バケット1は、図1ないし図4に示すように、前面シャッター25が開閉可能であるから、図14に示すように、底壁ホッパー機構3が全閉され状態の箱型容器2内に粉・粒体Gが収容されている場合に、該前面シャッター25をシャッターレール26,26に沿って開度を調節するよう引き揚げ操作すると、該箱型容器2内の粉・粒体Gを前方の下方に放出することが可能である。
【0048】
また、図5ないし図7に示すように、底壁ホッパー機構3の最内弁4、一対の中位弁5,5および最外弁6の夫々のヒンジ機構H,H,……の水平軸の軸心HL,HL,HLが、互いに各弁4,5,6の厚み寸法相当分TD上下にずれた配置とされているから、底口21に水平姿勢に全閉された場合に、互いの弁4,5,6の間に隙間が生じず、密に積層された状態に閉鎖されるから、箱型容器2内に収容された粉・粒体Gが漏出することがない。
【0049】
図8ないし図13図15および図16に示すように、開閉機構7の操作レバーLVの把持部GPを握持し、解除ボタンRBを押し込むと係止パネルLPの角度穴AHから係合凸部が離脱し、該操作レバーLVを横架軸HA回りに回動操作すれば、牽引杆TLおよび索条CDに従動された最外弁6がヒンジ機構H,H,Hを軸に開閉動作され、該最外弁6の開閉動作に従い、一対の中位弁5,5および最内弁4が、互いの摺接内面壁53,53,62および摺接縁42,42,52,52を介して閉鎖状態を維持しながら摺動し、各弁4,5,5,6の遊端縁41,51,51,61およびその近傍部分が無端状に連なってなる吐出口30を開閉可能なものとなっている。
【0050】
図5図6図8ないし図13図15図16および図21ないし図23に示すように、粉・粒物用バケット1は、フォーク差し込み口F,Fを通じてフォーク差し込み管路F,FにフォークリフトFLの左右のフォークLF,LFを差し通し、所望の高さに上昇させて運搬することが可能であり、供給口20から粉・粒体Gの供給を受けた場合に、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方が、フォークLF,LFに直接粉・粒体Gが積もるのを防止し、さらに、粉・粒体避け屋根(図示せず)が設けられたものの場合には、フォーク差し込み管路F,F、または、フォーク差し込み上側カバー(F,F)の何れか一方から、粉・粒体Gが速やかに滑落されるものとなる。
【0051】
供給口20から粉・粒体Gの供給を受けた後、箱型容器2の下に該箱型容器2よりも小さな、例えば、1mのフレキシブルコンテナバッグFCを置き、開閉機構7を操作して吐出口30の開放度合いを該フレキシブルコンテナバッグFCの開口寸法に合わせるよう調節しながら粉・粒体Gを該フレキシブルコンテナバッグFCに落下、供給し、該フレキシブルコンテナバッグFCが一杯になったら、底壁ホッパー機構3を閉じるよう開閉機構7を操作、仮固定した上、新たなフレキシブルコンテナバッグFCと入れ替えた上、引き続き吐出口30を開放して同様に粉・粒体Gの落下、充填作業を継続することが可能なものとなる。
【0052】
図1ないし図13および図17に示すように、円筒形とされた摺接縁42,42(52,52)によれば、摺接内面壁53,53(62)との抵抗摩擦力が大幅に軽減されたものとなり、開閉機構7の開閉操作性をより軽快なものとすることが可能となり、また、図18に示す漏出防止片L,L,……,図19の漏出防止シートS,S,……,および、図20の漏出防止カバーV,V,……,などが設けられた粉・粒物用バケット1は、箱型容器2内に収容した粉・粒体Gの漏出をより確実に防止可能なものとなる。
【0053】
(結 び)
叙述の如く、この発明の粉・粒物用バケットは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの粉体搬送用の容器類の、収容物の排出技術に比較して収容容器よりも小型のコンテナー類に対し、より効率的に小分けすることが可能となり、しかも必要に応じて全開放出も可能となるなど、その利用用途を大幅に拡大することが可能となる上、外部駆動源などを要さすに放出作業を行うことができ、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、小分け作業の際に取り扱いが困難であった粉・粒体の取り扱い作業性を大幅に改善し得るものとなることから、従前まで作業員を増員したり、粉体分配装置類などを準備したりして対応しなければならなかった小分け作業を格段に効率化できるものとなるから、穀物類を生産する農家は勿論のこと、粉・粒体を製造、輸送、保管、販売する各種工場や倉庫業界および販売業界などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0054】
1 粉・粒物用バケット
2 箱型容器
20 同 供給口(天面)
21 同 底口(底面)
A 同 一辺
B 同 他辺
D 同 一辺A(他辺B)に隣合う対辺
F 同 フォーク差し込み口(フォーク差し込み管路、フォーク差し込み上側カバー)
22 同 骨格枠
23 同 側面パネル
24 同 背面パネル
25 同 前面シャッター(前面)
26 同 シャッターレール
3 底壁ホッパー機構
30 同 吐出口
4 最内弁
40 同 基端縁
41 同 遊端縁
42 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
TD 同 上下厚み寸法相当分
【0055】
H ヒンジ機構
HL 同 水平軸の軸心
5 中位弁
50 同 基端縁
51 同 遊端縁
52 同 摺接縁(左右一対の斜辺)
53 同 摺接内面壁
6 最外弁
60 同 基端縁
61 同 遊端縁
62 同 摺接内面壁
63 同 舌縁部
7 開閉機構
70 同 角度調節部
71 同 遠隔操作部
HA 同 横架軸
CD 同 索条
TL 同 牽引杆
LV 同 操作レバー
GP 同 把持部
RB 同 解除ボタン
LP 同 係止パネル
AH 同 角度穴
L 漏出防止片
S 漏出防止シート
V 漏出防止カバー
G 粉・粒体(収容対象物)
FL フォークリフト
LF 同 フォーク
FC フレキシブルコンテナバッグ