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  • 特開-微生物測定方法、及び微生物測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060043
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】微生物測定方法、及び微生物測定装置
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/04 20060101AFI20220407BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220407BHJP
   C12M 1/12 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
C12Q1/04
C12M1/34 B
C12M1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168024
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500479164
【氏名又は名称】株式会社シバサキ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 貴大
(72)【発明者】
【氏名】余語 敏文
(72)【発明者】
【氏名】工藤 岳史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優嘉
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC01
4B029CC02
4B029CC10
4B029CC11
4B029FA01
4B029GB04
4B029GB05
4B029HA02
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ01
4B063QR66
4B063QS03
4B063QS10
4B063QS12
4B063QX01
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】圧縮ガスに含まれている微生物を精度良く測定すること。
【解決手段】微生物測定装置10では、メンブレンホルダ18内に保持されているメンブレンフィルタ19に対して、測定用通路12からメンブレンホルダ18内に導入された圧縮空気を通過させて、圧縮空気に含まれる微生物を捕捉する。これによれば、微生物が含まれている圧縮空気をメンブレンフィルタ19に直接接触させて、微生物をメンブレンフィルタ19によって捕捉することができるため、圧縮空気に含まれている微生物を精度良く測定することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を含む圧縮ガスが流れる主通路から分岐される測定用通路に前記主通路を流れる圧縮ガスの一部を流すとともに、前記測定用通路から排出される圧縮ガスを筒状のメンブレンホルダに導入するガス導入工程と、
前記ガス導入工程後に、前記メンブレンホルダ内に保持されているメンブレンフィルタに対して、前記測定用通路から前記メンブレンホルダ内に導入された圧縮ガスを通過させて、前記圧縮ガスに含まれる微生物を捕捉する微生物捕捉工程と、
前記微生物捕捉工程後に、前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色する蛍光染色工程と、
前記蛍光染色工程後に、前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物を測定する微生物測定工程と、を行う微生物測定方法。
【請求項2】
前記測定用通路における前記メンブレンホルダよりも上流側の部位に設けられた流量調整部によって、前記メンブレンホルダに導入される圧縮ガスを減圧し、前記圧縮ガスの流量を予め定められた流量以下に調整する請求項1に記載の微生物測定方法。
【請求項3】
微生物を含む圧縮ガスが流れる主通路から分岐されるとともに前記主通路を流れる圧縮ガスの一部が流れる測定用通路と、
前記測定用通路から排出される圧縮ガスが導入される筒状のメンブレンホルダと、
前記メンブレンホルダ内に保持されるとともに前記メンブレンホルダ内に導入された圧縮ガスに含まれる微生物を捕捉するメンブレンフィルタと、
前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物を測定する微生物測定部と、を備えた微生物測定装置。
【請求項4】
前記測定用通路における前記メンブレンホルダよりも上流側の部位に流量調整部が設けられている請求項3に記載の微生物測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガスに含まれている微生物を測定する微生物測定方法、及び微生物測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場等で用いられる圧縮空気等の圧縮ガスには、細菌やカビなどの微生物が含まれている場合がある。このため、従来から、圧縮ガスに含まれている微生物の測定が行われている。微生物を測定する方法としては、まず、例えば特許文献1のように、純水が入れられているインピンジャー内に対して圧縮ガスを送り込むことにより、圧縮ガスに含まれている微生物を純水によってバブリング水捕集する。続いて、例えば特許文献2のように、微生物が捕集されている所定量の被検体液を、メンブレンフィルタによって濾過することにより、メンブレンフィルタで微生物を捕捉する。そして、メンブレンフィルタに捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色するとともに、メンブレンフィルタに向けてレーザ光を照射し、CCDカメラ等の撮像部によってメンブレンフィルタを撮像する。これにより、メンブレンフィルタに微生物が捕捉されていれば、撮像部によって、蛍光染料が染色されている微生物が発光点として撮像されるため、メンブレンフィルタに捕捉されている微生物を測定できる。したがって、圧縮ガスに含まれている微生物の測定が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6516662号公報
【特許文献2】特開2019-136023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インピンジャー内に対して圧縮ガスを送り込む前から、インピンジャーに入れられている純水に微生物が含まれている場合がある。この場合、圧縮ガスに含まれている微生物が、インピンジャー内に対して圧縮ガスを送り込む前から純水に含まれていた微生物と共にメンブレンフィルタに捕捉されることになるため、メンブレンフィルタに捕捉されている微生物を測定したとしても、圧縮ガスに含まれている微生物を正確に測定できていない可能性がある。したがって、圧縮ガスに含まれている微生物を精度良く測定することができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、圧縮ガスに含まれている微生物を精度良く測定することができる微生物測定方法、及び微生物測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する微生物測定方法は、微生物を含む圧縮ガスが流れる主通路から分岐される測定用通路に前記主通路を流れる圧縮ガスの一部を流すとともに、前記測定用通路から排出される圧縮ガスを筒状のメンブレンホルダに導入するガス導入工程と、前記ガス導入工程後に、前記メンブレンホルダ内に保持されているメンブレンフィルタに対して、前記測定用通路から前記メンブレンホルダ内に導入された圧縮ガスを通過させて、前記圧縮ガスに含まれる微生物を捕捉する微生物捕捉工程と、前記微生物捕捉工程後に、前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色する蛍光染色工程と、前記蛍光染色工程後に、前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物を測定する微生物測定工程と、を行う。
【0007】
上記微生物測定方法において、前記測定用通路における前記メンブレンホルダよりも上流側の部位に設けられた流量調整部によって、前記メンブレンホルダに導入される圧縮ガスを減圧し、前記圧縮ガスの流量を予め定められた流量以下に調整するとよい。
【0008】
上記課題を解決する微生物測定装置は、微生物を含む圧縮ガスが流れる主通路から分岐されるとともに前記主通路を流れる圧縮ガスの一部が流れる測定用通路と、前記測定用通路から排出される圧縮ガスが導入される筒状のメンブレンホルダと、前記メンブレンホルダ内に保持されるとともに前記メンブレンホルダ内に導入された圧縮ガスに含まれる微生物を捕捉するメンブレンフィルタと、前記メンブレンフィルタに捕捉された微生物を測定する微生物測定部と、を備えた。
【0009】
上記微生物測定装置において、前記測定用通路における前記メンブレンホルダよりも上流側の部位に流量調整部が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、圧縮ガスに含まれている微生物を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における微生物測定装置を説明するための模式図。
図2】メンブレンホルダ及びメンブレンフィルタの分解図。
図3】微生物測定方法を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、微生物測定方法、及び微生物測定装置を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態の微生物測定方法、及び微生物測定装置は、工場で用いられる圧縮ガスに含まれている微生物を測定するために用いられる。工場では、圧縮ガスとして、例えば、圧縮空気が用いられている。また、「微生物」とは、例えば、細菌、ウイルス、カビ等である。
【0013】
図1に示すように、微生物測定装置10は、工場内に設けられている主通路11から分岐される測定用通路12を備えている。主通路11は、例えば、微生物を含む圧縮空気が流れる配管である。主通路11には、圧縮空気の供給源であるコンプレッサ13が接続されている。主通路11には、コンプレッサ13から吐出される圧縮空気が流れる。測定用通路12には、主通路11を流れる圧縮空気の一部が流れる。
【0014】
微生物測定装置10は、レギュレータ14、圧力計15、可変絞り16、流量計17、及び筒状のメンブレンホルダ18を備えている。測定用通路12は、第1配管21、第2配管22、第3配管23、及び第4配管24を有している。また、レギュレータ14内の通路、可変絞り16内の通路、及び流量計17内の通路は、測定用通路12の一部を構成している。
【0015】
第1配管21は、主通路11とレギュレータ14とを接続している。第1配管21の一端は、主通路11の途中に接続されている。第1配管21の他端は、レギュレータ14の入口14aに接続されている。第2配管22は、レギュレータ14と可変絞り16とを接続している。第2配管22の一端は、レギュレータ14の出口14bに接続されている。第2配管22の他端は、可変絞り16の入口16aに接続されている。第3配管23は、可変絞り16と流量計17とを接続している。第3配管23の一端は、可変絞り16の出口16bに接続されている。第3配管23の他端は、流量計17の入口17aに接続されている。第4配管24は、流量計17とメンブレンホルダ18とを接続している。第4配管24の一端は、流量計17の出口17bに接続されている。第4配管24の他端は、メンブレンホルダ18の導入口18aに接続されている。
【0016】
レギュレータ14は、主通路11から第1配管21及びレギュレータ14の入口14aを介してレギュレータ14に供給された圧縮空気の圧力を予め定められた圧力に調整する。したがって、レギュレータ14は、測定用通路12を流れる圧縮空気の圧力を予め定められた圧力に調整する。
【0017】
可変絞り16は、レギュレータ14の出口14bから第2配管22に流出し、第2配管22及び可変絞り16の入口16aを介して可変絞り16に供給された圧縮空気を減圧し、圧縮空気の流量を予め定められた流量以下に調整した上で、可変絞り16の出口16bから排出する。したがって、可変絞り16は、測定用通路12を流れる圧縮空気を減圧し、圧縮空気の流量を予め定められた流量以下に調整する。
【0018】
可変絞り16は、測定用通路12におけるメンブレンホルダ18よりも上流側の部位に設けられた流量調整部である。よって、本実施形態の微生物測定装置10において、測定用通路12におけるメンブレンホルダ18よりも上流側の部位に流量調整部としての可変絞り16が設けられている。
【0019】
流量計17は、可変絞り16の出口16bから排出されて、第3配管23及び流量計17の入口17aを介して流量計17に供給された圧縮空気の流量を検出する。したがって、流量計17は、測定用通路12を流れる圧縮空気のうち、可変絞り16によって流量が調整された後の圧縮空気の流量を検出する。流量計17の出口17bから第4配管24に流出した圧縮空気は、第4配管24及びメンブレンホルダ18の導入口18aを介してメンブレンホルダ18内に導入される。よって、メンブレンホルダ18には、測定用通路12から排出される圧縮空気が導入される。したがって、本実施形態の微生物測定装置10では、可変絞り16によって、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気の流量が予め定められた流量以下に調整されている。
【0020】
測定用通路12は、圧力検出配管25を有している。圧力検出配管25は、測定用通路12におけるレギュレータ14と可変絞り16との間の部位に接続されている。したがって、圧力検出配管25は、第2配管22の途中から分岐した状態で第2配管22に接続されている。圧力検出配管25の一端は、第2配管22に接続されている。圧力検出配管25の他端は、圧力計15に接続されている。
【0021】
圧力検出配管25には、レギュレータ14の出口14bから第2配管22に流出し、第2配管22を流れる圧縮空気の一部が流れる。圧力計15は、圧力検出配管25を流れる圧縮空気の圧力を検出する。よって、圧力計15は、レギュレータ14の出口14bから流出して第2配管22を流れる圧縮空気の圧力を検出しているとも言える。したがって、圧力計15は、測定用通路12を流れる圧縮空気のうち、レギュレータ14によって圧力が調整された後の圧縮空気の圧力を検出する。
【0022】
微生物測定装置10は、制御コンピュータ30を備えている。制御コンピュータ30は、中央処理制御装置(CPU)を備えている。また、制御コンピュータ30は、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等により構成されるメモリを備えている。さらに、制御コンピュータ30は、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えている。
【0023】
制御コンピュータ30は、レギュレータ14、圧力計15、可変絞り16、及び流量計17にそれぞれ電気的に接続されている。制御コンピュータ30は、レギュレータ14の駆動を制御する。また、制御コンピュータ30は、圧力計15によって検出された圧力に関する情報を受信する。さらに、制御コンピュータ30は、可変絞り16の開度を制御する。また、制御コンピュータ30は、流量計17によって検出された流量に関する情報を受信する。
【0024】
制御コンピュータ30には、圧力計15によって検出された圧力が予め定められた圧力であるか否かを判定する圧力判定プログラムが予め記憶されている。そして、制御コンピュータ30には、圧力計15によって検出される圧力が予め定められた圧力となるように、レギュレータ14の駆動を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0025】
制御コンピュータ30には、流量計17によって検出された流量が予め定められた流量であるか否かを判定する流量判定プログラムが予め記憶されている。そして、制御コンピュータ30には、流量計17によって検出される流量が予め定められた流量となるように、可変絞り16の開度を制御する制御プログラムが予め記憶されている。
【0026】
図2に示すように、微生物測定装置10は、メンブレンホルダ18内に保持されるメンブレンフィルタ19を備えている。メンブレンホルダ18は、第1ホルダ部材41と、第2ホルダ部材42と、を有している。
【0027】
第1ホルダ部材41は、有底筒状である。第1ホルダ部材41は、第1ドーム部41aと、第1ドーム部41aの開口部から外方へ環状に突出する第1鍔部41bと、を有している。第1ホルダ部材41は、導入管41c有している。導入管41cは、第1ドーム部41aにおける開口部とは反対側の部位から突出している。導入管41cの先端の開口は、メンブレンホルダ18の導入口18aになっている。
【0028】
第2ホルダ部材42は、有底筒状である。第2ホルダ部材42は、第2ドーム部42aと、第2ドーム部42aの開口部から外方へ環状に突出する第2鍔部42bと、を有している。第2ホルダ部材42は、排出管42c有している。排出管42cは、第2ドーム部42aにおける開口部とは反対側の部位から突出している。排出管42cの先端の開口は、外部に連通する排出口18bになっている。
【0029】
第1ホルダ部材41と第2ホルダ部材42とは、第1鍔部41bと第2鍔部42bとが突き合わさった状態で、互いに連結されている。第1ホルダ部材41と第2ホルダ部材42とは、例えば、図示しない複数のボルトによって互いに締結されている。メンブレンフィルタ19は、メンブレンフィルタ19の外周縁が、第1鍔部41bと第2鍔部42bとの間に挟持された状態で、メンブレンホルダ18内に保持されている。したがって、メンブレンフィルタ19は、メンブレンホルダ18内において、第1ホルダ部材41と第2ホルダ部材42との境界部分に配置されている。
【0030】
メンブレンフィルタ19は、メンブレンホルダ18内に導入された圧縮空気に含まれる微生物を捕捉する。具体的には、導入口18aから導入管41cを介してメンブレンホルダ18内に導入された圧縮空気は、メンブレンホルダ18内を排出管42cに向けて流れる。圧縮空気は、メンブレンホルダ18内を導入管41cから排出管42cに向けて流れる途中で、メンブレンフィルタ19を通過する。これにより、メンブレンフィルタ19によって、圧縮空気に含まれる微生物が捕捉される。メンブレンフィルタ19を通過した圧縮空気は、排出管42cを通過して排出口18bから外部に排出される。
【0031】
図1に示すように、微生物測定装置10は、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物を測定する微生物測定部50を備えている。微生物測定部50は、例えば、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色する蛍光染色部51と、メンブレンフィルタ19を撮像する撮像部52と、を有している。蛍光染色部51は、例えば、メンブレンホルダ18の導入管41cからメンブレンホルダ18内に蛍光染料を滴下することが可能に構成されている。撮像部52は、例えば、CCDカメラ等である。
【0032】
制御コンピュータ30は、撮像部52に電気的に接続されている。制御コンピュータ30は、撮像部52によって撮像された画像に関する情報を受信する。制御コンピュータ30には、撮像部52によって撮像された画像に基づいて、メンブレンフィルタ19に捕捉されている微生物を測定する測定プログラムが予め記憶されている。例えば、制御コンピュータ30は、測定プログラムにおいて、撮像部52によって撮像された画像に発光点が撮像されているか否かを判定する。そして、制御コンピュータ30は、測定プログラムにおいて、撮像部52によって撮像された画像に発光点が撮像されていると判定した場合には、発光点をカウントすることで、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物の数を測定する。したがって、制御コンピュータ30は、微生物測定部50の一部を構成している。
【0033】
次に、本実施形態の微生物測定方法を説明しながら、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、まず、微生物測定装置10は、ステップS11において、微生物を含む圧縮空気が流れる主通路11から分岐される測定用通路12に主通路11を流れる圧縮空気の一部を流すとともに、測定用通路12から排出される圧縮空気をメンブレンホルダ18に導入するガス導入工程を行う。このとき、測定用通路12におけるメンブレンホルダ18よりも上流側の部位に設けられた可変絞り16によって、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気が減圧されて、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気の流量が予め定められた流量以下に調整されている。
【0034】
次に、微生物測定装置10は、ステップS12において、ガス導入工程後に、メンブレンホルダ18内に保持されているメンブレンフィルタ19に対して、測定用通路12からメンブレンホルダ18内に導入された圧縮空気を通過させて、圧縮空気に含まれる微生物を捕捉する微生物捕捉工程を行う。このとき、可変絞り16によって、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気が減圧されて、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気の流量が予め定められた流量以下に調整されているため、メンブレンフィルタ19を通過する圧縮空気によって、メンブレンフィルタ19が変形してしまうことが抑制されている。したがって、「予め定められた流量」とは、圧縮空気がメンブレンフィルタ19を通過しても、メンブレンフィルタ19が変形しない程度の流量であり、実験等によって予め求められている。具体的には、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気は、可変絞り16によって、例えば、50kPa~100kPaへ減圧される。より望ましくは、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気は、可変絞り16によって、55kPa~80kPaへ減圧される。
【0035】
そして、微生物捕捉工程では、メンブレンフィルタ19によって、メンブレンフィルタ19を通過する圧縮空気が濾過されて、メンブレンフィルタ19に微生物が捕捉されるようになっている。メンブレンフィルタ19を通過した圧縮空気は、排出管42cを通過して排出口18bから外部に排出される。
【0036】
続いて、微生物測定装置10は、ステップS13において、微生物捕捉工程後に、蛍光染色部51によって、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色する蛍光染色工程を行う。具体的には、微生物捕捉工程後、第4配管24に対してメンブレンホルダ18を取り外し、蛍光染色部51によって、メンブレンホルダ18の導入管41cからメンブレンホルダ18内に蛍光染料を滴下する。これにより、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物に対して蛍光染料が染色される。
【0037】
次に、微生物測定装置10は、ステップS14において、蛍光染色工程後に、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物を測定する微生物測定工程を行う。具体的には、まず、蛍光染色工程後に、メンブレンホルダ18からメンブレンフィルタ19を取り出し、撮像部52によってメンブレンフィルタ19を撮像する。そして、制御コンピュータ30は、撮像部52によって撮像された画像を受信し、受信した画像に基づいて、メンブレンフィルタ19に捕捉されている微生物を測定する。制御コンピュータ30は、撮像部52によって撮像された画像に発光点が撮像されているか否かを判定し、画像に発光点が撮像されていると判定した場合には、発光点をカウントする。制御コンピュータ30によって行われる発光点のカウントは、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物の数のカウントと同義である。このようにして、圧縮空気に含まれている微生物の測定が微生物測定装置10によって行われる。
【0038】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)微生物測定装置10では、メンブレンホルダ18内に保持されているメンブレンフィルタ19に対して、測定用通路12からメンブレンホルダ18内に導入された圧縮空気を通過させて、圧縮空気に含まれる微生物を捕捉する。これによれば、微生物が含まれている圧縮空気をメンブレンフィルタ19に直接接触させて、微生物をメンブレンフィルタ19によって捕捉することができるため、圧縮空気に含まれている微生物を精度良く測定することができる。
【0039】
(2)微生物測定装置10では、測定用通路12におけるメンブレンホルダ18よりも上流側の部位に設けられた可変絞り16によって、メンブレンホルダ18に導入される圧縮空気を減圧し、圧縮空気の流量を予め定められた流量以下に調整する。これによれば、メンブレンフィルタ19を通過する圧縮空気によって、メンブレンフィルタ19が変形してしまうことを抑制することができる。よって、例えば、メンブレンフィルタ19が変形することでメンブレンフィルタ19に生じる皺等の変形部位が蛍光染色されることにより、制御コンピュータ30が、その発光点を微生物と誤ってカウントしてしまうといった不具合を回避することができる。したがって、圧縮空気に含まれている微生物をさらに精度良く測定することができる。
【0040】
(3)本実施形態の微生物測定装置10によれば、圧縮空気に含まれている微生物を精度良く測定することができるため、少ない微生物の測定も精度良く測定することが可能となる。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・ 実施形態において、可変絞り16に代えて、例えば、流量調整部として、固定絞りを採用してもよい。この場合、圧縮空気がメンブレンフィルタ19を通過しても、メンブレンフィルタ19が変形しない程度の流量となるように、固定絞りの開度を予め調整しておく必要がある。
【0043】
・ 実施形態において、可変絞り16に代えて、例えば、流量調整部として、エゼクタを採用してもよい。
・ 実施形態において、微生物測定装置10は、測定用通路12におけるメンブレンホルダ18よりも上流側の部位に可変絞り16のような流量調整部が設けられていない構成であってもよい。
【0044】
・ 実施形態において、微生物捕捉工程後に、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物に対して蛍光染料を染色する蛍光染色工程の具体的なやり方は特に限定されるものではない。
【0045】
・ 実施形態において、蛍光染色工程後に、メンブレンフィルタ19に捕捉された微生物を測定する微生物測定工程の具体的なやり方は特に限定されるものではない。
・ 実施形態において、主通路11は、工場内に設けられている配管に限らない。要は、測定用通路12が、微生物を含む圧縮ガスが流れる主通路11から分岐されていればよく、主通路11の具体的な用途は特に限定されるものではない。
【0046】
・ 実施形態において、主通路11を流れる圧縮ガスとしては、圧縮空気に限らず、例えば、窒素ガスや炭酸ガスであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…微生物測定装置、11…主通路、12…測定用通路、16…流量調整部としての可変絞り、18…メンブレンホルダ、19…メンブレンフィルタ、50…微生物測定部。
図1
図2
図3