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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060046
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】船外機
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/32 20060101AFI20220407BHJP
   B63H 25/36 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B63H20/32 100
B63H25/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168028
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢亮
(57)【要約】
【課題】本開示は、ライトユニットを船外機に取り付けるための構造に関するものである。
【解決手段】駆動ユニットは、プロペラ軸を回転させる。ハウジングは、駆動ユニットを収容する。取付座は、ハウジングに設けられる。ライトユニットは、取付座に取り付けられ、複数の光源を含む。コントローラは、ライトユニットに接続される。コントローラは、船外機の運転状態に応じたパターンで複数の光源を点灯する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラ軸と、
前記プロペラ軸を回転させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットを収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられた取付座と、
前記取付座に取り付けられ、複数の光源を含むライトユニットと、
前記ライトユニットに接続され、船外機の運転状態に応じたパターンで前記複数の光源を点灯するコントローラと、
を備える船外機。
【請求項2】
前記取付座は、前記ライトユニットが配置される凹部を含む、
請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
前記取付座は、前記ライトユニットが固定される複数のボスを含む、
請求項1に記載の船外機。
【請求項4】
前記ライトユニットは、
前記複数の光源が配置されたライト本体と、
前記ライト本体に接続された電気ケーブルと、
をさらに含み、
前記取付座は、前記電気ケーブルが通される孔を含む、
請求項1に記載の船外機。
【請求項5】
前記孔の縁と前記電気ケーブルとの間を封止するシール部材をさらに備える、
請求項4に記載の船外機。
【請求項6】
前記複数の光源に対応して配置された複数の孔を含み、前記ライトユニットに取り付けられた不透明なライトカバーをさらに備える、
請求項1に記載の船外機。
【請求項7】
前記ライトユニットに対応して配置された開口を含み、前記ハウジングに取り付けられる外装カバーをさらに備える、
請求項1に記載の船外機。
【請求項8】
前記ライトユニットは、前記ハウジングの内側へ向かって前記外装カバーの表面から離れて配置される、
請求項7に記載の船外機。
【請求項9】
前記外装カバーは、前記外装カバーの表面から前記ライトユニットまで延びる前記開口の内面を含み、
前記開口の内面は、前記外装カバーの表面へ向かって広がるように傾斜している、
請求項8に記載の船外機。
【請求項10】
前記駆動ユニットは、エンジンを含み、
前記ハウジングは、
前記エンジンを覆うボトムカウルと、
前記ボトムカウルに取り付けられるトップカウルと、
を含み、
前記取付座は、前記ボトムカウルに設けられる、
請求項1に記載の船外機。
【請求項11】
前記ハウジングは、前記取付座の周囲に配置された補強リブを含む、
請求項1に記載の船外機。
【請求項12】
プロペラ軸と、
前記プロペラ軸を回転させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットを収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、船外機の運転状態に応じたパターンで点灯するライトユニットを取り付けるための取付座と、
前記ハウジングに取り付けられ、前記取付座を覆うカバーと、
を備える船外機。
【請求項13】
前記取付座は、前記ライトユニットを配置するための凹部を含む、
請求項12に記載の船外機。
【請求項14】
前記取付座は、前記ライトユニットを固定するための複数のボスを含む、
請求項12に記載の船外機。
【請求項15】
前記取付座は、前記ライトユニットの電気ケーブルを通すための孔を含む、
請求項12に記載の船外機。
【請求項16】
前記孔を閉塞するグロメットをさらに備える、
請求項15に記載の船外機。
【請求項17】
前記駆動ユニットは、エンジンを含み、
前記ハウジングは、
前記エンジンを覆うボトムカウルと、
前記ボトムカウルに取り付けられるトップカウルと、
を含み、
前記取付座は、前記ボトムカウルに設けられる、
請求項12に記載の船外機。
【請求項18】
前記ハウジングは、前記取付座の周囲に配置された補強リブを含む、
請求項12に記載の船外機。
【請求項19】
プロペラ軸と、
エンジンを含み、前記プロペラ軸を回転させる駆動ユニットと、
前記駆動ユニットを収容するハウジングと、
前記ハウジングから船外機の外部に露出して配置される排気口を含み、前記エンジンに接続された排気通路と、
前記ハウジングに設けられ、前記排気口の上方に配置された取付座と、
前記取付座に取り付けられ、複数の光源を含むライトユニットと、
前記ライトユニットに接続され、船外機の運転状態に応じたパターンで前記複数の光源を点灯するコントローラと、
を備える船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
船外機には、船の周囲の遊泳者に船外機の運転状態を知らせるためのライトユニットが搭載されたものがある。ライトユニットは、船外機の運転状態に応じたパターンで点灯する。例えば、特許文献1のディスプレイシステムは、インジケータ装置とコントローラとを備えている。インジケータ装置は、複数の光源を含む。コントローラは、クランキング、ランニング、前進、後進などの船外機の運転状態に応じたパターンで、光源を点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,803,711号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、インジケータ装置は、船の船尾、或いは船外機の背面に取り付けられることが記載されている。しかし、特許文献1は、インジケータ装置を船外機に取り付けるための構造について何も開示していない。本開示は、ライトユニットを船外機に取り付けるための構造に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る船外機は、プロペラ軸と、駆動ユニットと、ハウジングと、取付座と、ライトユニットと、コントローラとを備える。駆動ユニットは、プロペラ軸を回転させる。ハウジングは、駆動ユニットを収容する。取付座は、ハウジングに設けられる。ライトユニットは、取付座に取り付けられ、複数の光源を含む。コントローラは、ライトユニットに接続される。コントローラは、船外機の運転状態に応じたパターンで複数の光源を点灯する。
【0006】
本開示の第2の態様に係る船外機は、プロペラ軸と、駆動ユニットと、ハウジングと、取付座と、カバーとを備える。駆動ユニットは、プロペラ軸を回転させる。ハウジングは、駆動ユニットを収容する。取付座は、ハウジングに設けられ、船外機の運転状態に応じたパターンで点灯するライトユニットを取り付けるための部分である。カバーは、ハウジングに取り付けられ、取付座を覆う。
【0007】
本開示の第3の態様に係る船外機は、プロペラ軸と、駆動ユニットと、ハウジングと、排気通路と、取付座と、ライトユニットと、コントローラとを備える。駆動ユニットは、エンジンを含み、プロペラ軸を回転させる。ハウジングは、駆動ユニットを収容する。排気通路は、エンジンに接続される。排気通路は、ハウジングから船外機の外部に露出して配置される排気口を含む。取付座は、ハウジングに設けられ、排気口の上方に配置される。ライトユニットは、取付座に取り付けられ、複数の光源を含む。コントローラは、ライトユニットに接続される。コントローラは、船外機の運転状態に応じたパターンで複数の光源を点灯する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ライトユニットを船外機に取り付けるための構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る船外機が搭載された船を示す斜視図である。
図2】船外機の側面図である。
図3】船の操船システムの構成を示す模式図である。
図4】船外機の制御を示す模式図である。
図5】船外機の後面図である。
図6】船外機の後部の斜視図である。
図7】船外機の後部の拡大図である。
図8】外装カバーと、ライトユニットと、ボトムカウルとの分解斜視図である。
図9】ライトユニットとボトムカウルとの分解斜視図である。
図10図6におけるX-X断面図である。
図11】取付座の拡大図である。
図12】第2実施形態に係る船外機の後面図である。
図13】第2実施形態に係る船外機の後部の拡大図である。
図14】第2実施形態に係る船外機の変形例を示す断面図である。
図15】取付座の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る船外機が搭載された船100を示す斜視図である。船100は、複数の船外機1a,1bを備えている。
【0011】
船外機1a,1bは、船100の船尾に取り付けられる。船外機1a,1bは、船100の幅方向に並んで配置されている。具体的には、船外機1aは、船100の左舷に配置される。船外機1bは、船100の右舷に配置される。船外機1a,1bは、それぞれ船100を推進させるスラストを発生させる。
【0012】
図2は、船外機1aの側面図である。以下、船外機1aの構造について説明するが、船外機1bも船外機1aの構造と同様である。船外機1aは、ブラケット11aを介して船100に取り付けられる。ブラケット11aは、ステアリング軸12a回りに回転可能に船外機1aを支持する。ステアリング軸12aは、船外機1aの上下方向に延びている。
【0013】
なお、本実施形態では、船外機1aにおいてブラケット11aが配置されている方向が前方と定義され、その反対の方向が後方と定義される。すなわち、船外機1aから船100へ向かう方向が前方と定義され、船100から船外機1aへ向かう方向が後方と定義される。
【0014】
船外機1aは、駆動ユニット2aと、ドライブ軸3aと、プロペラ軸4aと、シフト機構5aとを含む。駆動ユニット2aは、船100を推進させるスラストを発生させる。駆動ユニット2aは、内燃エンジンである。駆動ユニット2aは、クランク軸13aを含む。クランク軸13aは、船外機1aの上下方向に延びている。ドライブ軸3aは、クランク軸13aに接続されている。ドライブ軸3aは、船外機1aの上下方向に延びている。プロペラ軸4aは、船外機1aの前後方向に延びている。プロペラ軸4aは、シフト機構5aを介して、ドライブ軸3aに接続されている。プロペラ軸4aにはプロペラ6aが取り付けられる。
【0015】
シフト機構5aは、前進ギア14aと、後進ギア15aと、ドッグクラッチ16aとを含む。ドッグクラッチ16aによってギア14a,15aの接続が切り換えられることで、ドライブ軸3aからプロペラ軸4aへの回転の伝達方向が切り換えられる。それにより、船100の前進と後進とが切り換えられる。
【0016】
船外機1aは、ハウジング10aを含む。ハウジング10aは、駆動ユニット2aと、ドライブ軸3aと、プロペラ軸4aと、シフト機構5aとを収容している。ハウジング10aは、ボトムカウル17aと、トップカウル18aと、アッパケース19aと、ロアケース20aとを含む。ボトムカウル17aは、駆動ユニット2aを覆う。ボトムカウル17aは、樹脂製である。ただし、ボトムカウル17aは、アルミなどの金属製であってもよい。トップカウル18aは、ボトムカウル17aの上方に配置される。トップカウル18aは、ボトムカウル17aに取り付けられる。アッパケース19aは、ボトムカウル17aの下方に配置される。ロアケース20aは、アッパケース19aの下方に配置される。ロアケース20aは、プロペラ軸4aとシフト機構5aとを収容している。
【0017】
船外機1aは、排気通路21aを含む。駆動ユニット2aの排気ガスは、排気通路21aを通って、船外機1aの外部に排出される。排気通路21aは、排気管22aと排気口23aとを含む。排気管22aは、駆動ユニット2aに接続されている。排気管22aは、排気口23aに接続されている。排気口23aは、ハウジング10aから船外機1aの外部に露出して配置される。排気口23aは、ハウジング10aの後面に配置されている。
【0018】
図3は、船100の操船システムの構成を示す模式図である。図3に示すように、船外機1aは、シフトアクチュエータ7aとステアリングアクチュエータ8aとを含む。
【0019】
シフトアクチュエータ7aは、シフト機構5aのドッグクラッチ16aに接続されている。シフトアクチュエータ7aは、ドッグクラッチ16aを動作させることで、ギア14a,15aの接続を切り換える。それにより、船100の前進と後進とが切り換えられる。シフトアクチュエータ7aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0020】
ステアリングアクチュエータ8aは、船外機1aに接続されている。ステアリングアクチュエータ8aは、船外機1aをステアリング軸12a回りに回転させる。それにより、船外機1aの舵角が変更される。舵角は、船外機1aの前後方向に対するプロペラ軸4aの角度である。ステアリングアクチュエータ8aは、例えば電動モータである。ただし、シフトアクチュエータ7aは、電動シリンダ、油圧モータ、或いは油圧シリンダなどの他のアクチュエータであってもよい。
【0021】
船外機1aは、第1駆動コントローラ9aを含む。第1駆動コントローラ9aは、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。第1駆動コントローラ9aは、船外機1aを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。第1駆動コントローラ9aは、駆動ユニット2aを制御する。
【0022】
船外機1bは、駆動ユニット2bと、シフトアクチュエータ7bと、ステアリングアクチュエータ8bと、第2駆動コントローラ9bとを含む。船外機1bの駆動ユニット2b、シフトアクチュエータ7b、ステアリングアクチュエータ8b、及び第2駆動コントローラ9bは、船外機1aの駆動ユニット2a、シフトアクチュエータ7a、ステアリングアクチュエータ8a、及び第1駆動コントローラ9aと、それぞれ同様の構成である。
【0023】
操船システムは、ステアリングホイール24と、リモートコントローラ25と、ジョイスティック26と、入力装置27とを含む。図1に示すように、ステアリングホイール24と、リモートコントローラ25と、ジョイスティック26と、入力装置27とは、船100の操船席に配置されている。
【0024】
ステアリングホイール24は、オペレータが船100の旋回方向を操作するための装置である。ステアリングホイール24は、センサ240を含む。センサ240は、ステアリングホイール24の操作方向及び操作量を示すステアリング信号を出力する。
【0025】
リモートコントローラ25は、第1スロットルレバー25aと第2スロットルレバー25bとを含む。第1スロットルレバー25aは、オペレータが船外機1aのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第1スロットルレバー25aは、オペレータが船外機1aのスラストの方向を前進と後進とに切り替えるための装置である。第1スロットルレバー25aは、中立位置から前進方向と後進方向とに操作可能である。中立位置は、前進方向と後進方向との間の位置である。第1スロットルレバー25aはセンサ251を含む。センサ251は、第1スロットルレバー25aの操作方向及び操作量を示すスロットル信号を出力する。
【0026】
第2スロットルレバー25bは、オペレータが船外機1bのスラストの大きさを調整するための装置である。また、第2スロットルレバー25bは、オペレータが船外機1bのスラストの方向を前進と後進とに切り替えるための装置である。第2スロットルレバー25bの構成は、第1スロットルレバー25aと同様である。第2スロットルレバー25bはセンサ252を含む。センサ252は、第2スロットルレバー25bの操作方向及び操作量を示すスロットル信号を出力する。
【0027】
ジョイスティック26は、オペレータが船100の移動方向を前後左右の各方向に操作するための装置である。また、ジョイスティック26は、オペレータが船100の回頭動作を操作するための装置である。ジョイスティック26は、中立位置から、少なくとも前後左右の4方向に傾倒可能である。ジョイスティック26は、4方向以上の方向への指示が可能であってもよく、全方位への指示が可能であってもよい。ジョイスティック26は、回転軸Ax1を中心に回転可能である。すなわち、ジョイスティック26は、回転軸Ax1を中心に、中央位置から時計回り及び反時計回りに捻り操作可能である。
【0028】
ジョイスティック26は、センサ260を含む。センサ260は、ジョイスティック26の操作を示すジョイスティック信号を出力する。ジョイスティック信号は、ジョイスティック26の傾倒方向及び傾倒量を含む。ジョイスティック信号は、ジョイスティック26の捻り方向及び捻り量を含む。
【0029】
操船システムは、操船コントローラ30を含む。操船コントローラ30は、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとを含む。操船コントローラ30は、船外機1a及び船外機1bを制御するためのプログラム及びデータを記憶している。操船コントローラ30は、第1、第2駆動コントローラ9a,9bと有線、或いは無線を介して接続されている。操船コントローラ30は、ステアリングホイール24、リモートコントローラ25、ジョイスティック26、及び入力装置27と、接続されている。
【0030】
操船コントローラ30は、センサ240からステアリング信号を受信する。操船コントローラ30は、センサ251,252からスロットル信号を受信する。操船コントローラ30は、センサ260からジョイスティック信号を受信する。操船コントローラ30は、センサ240,251,252,260からのこれらの信号に基づいて、第1、第2駆動コントローラ9a,9bへ指令信号を出力する。指令信号は、第1、第2駆動コントローラ9a,9bを介して、シフトアクチュエータ7a,7b、ステアリングアクチュエータ8a,8bに送信される。
【0031】
例えば、操船コントローラ30は、第1スロットルレバー25aの操作方向に応じて、シフトアクチュエータ7aへの指令信号を出力する。それにより、船外機1aの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ30は、第1スロットルレバー25aの操作量に応じて、駆動ユニット2aへのスロットル指令を出力する。第1駆動コントローラ9aは、スロットル指令に応じて、船外機1aの出力回転速度を制御する。
【0032】
操船コントローラ30は、第2スロットルレバー25bの操作方向に応じて、シフトアクチュエータ7bへの指令信号を出力する。それにより、船外機1bの前進と後進とが切り替えられる。操船コントローラ30は、第2スロットルレバー25bの操作量に応じて、駆動ユニット2bへのスロットル指令を出力する。第2駆動コントローラ9bは、スロットル指令に応じて、船外機1bの出力回転速度を制御する。
【0033】
操船コントローラ30は、ステアリングホイール24の操作方向及び操作量に応じて、ステアリングアクチュエータ8a,8bへの指令信号を出力する。ステアリングホイール24が中立位置から左方に操作されると、操船コントローラ30は、船外機1aと船外機1bとが右方に回転するように、ステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する。それにより、船100は左方に旋回する。
【0034】
ステアリングホイール24が中立位置から右方に操作されると、操船コントローラ30は、船外機1aと船外機1bとが左方に回転するように、ステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する。それにより、船100は右方に旋回する。また、操船コントローラ30は、ステアリングホイール24の操作量に応じて、船外機1aと船外機1bとの舵角を制御する。
【0035】
操船コントローラ30は、ジョイスティック26の傾倒方向及び傾倒量に応じて、駆動ユニット2a,2b、シフトアクチュエータ7a,7b、及びステアリングアクチュエータ8a,8bへの指令信号を出力する。操船コントローラ30は、ジョイスティック26の傾倒方向に対応した方向に、傾倒量に対応した速度で、船100が平行移動するように、駆動ユニット2a,2b、シフトアクチュエータ7a,7b、及びステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する。
【0036】
ジョイスティック26が前方に倒されているときには、操船コントローラ30は、船100を前方に移動させる(前移動モード)。ジョイスティック26が後方に倒されているときには、操船コントローラ30は、船100を後方に移動させる(後移動モード)。
【0037】
ジョイスティック26が左方又は右方に倒されているときには、操船コントローラ30は、船100を左方又は右方に横移動させる(横移動モード)。例えば、ジョイスティック26が右方に倒されているときには、操船コントローラ30は、図4に示すように、船外機1aのスラストF1と船外機1bのスラストF2との合力F3が、船100の右方を向くように、船外機1a,1bのスラストと舵角とを制御する。図示を省略するが、ジョイスティック26が左方に倒されているときには、操船コントローラ30は、船外機1aのスラストF1と船外機1bのスラストF2との合力F3が、船100の左方を向くように、船外機1a,1bのスラストと舵角とを制御する。
【0038】
操船コントローラ30は、ジョイスティック26の捻り方向に対応した方向に、捻り量に対応した速度で、船100が回頭するように、駆動ユニット2a,2b、シフトアクチュエータ7a,7b、及びステアリングアクチュエータ8a,8bを制御する(回頭モード)。例えば、操船コントローラ30は、船外機1aと船外機1bとの一方に前進のスラストを発生させ、船外機1aと船外機1bとの他方に後進のスラストを発生させることで、船100を回頭させる。
【0039】
操船システムは、位置センサ31を含む。位置センサ31は、船100の位置を検出する。位置センサ31は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機である。ただし、位置センサ31は、GNSSの受信機以外センサであってもよい。位置センサ31は、船100の位置を示す信号を出力する。操船コントローラ30は、位置センサ31と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、位置センサ31からの信号により、船100の位置を取得する。また、操船コントローラ30は、位置センサ31からの信号により、船100の速度を取得する。操船システムは、船100の速度を検出するための別途のセンサを含んでもよい。
【0040】
操船システムは、方位センサ32を含む。方位センサ32は、船100の針路を検出する。方位センサ32は、例えば、IMU(inertial measurement unit)である。ただし、方位センサ32は、IMU以外のセンサであってもよい。操船コントローラ30は、方位センサ32と通信可能に接続されている。操船コントローラ30は、方位センサ32からの信号により、船100の針路を取得する。
【0041】
入力装置27は、船外機1a,1bの制御モードを選択するためにオペレータによって操作可能である。入力装置27は、例えばタッチスクリーンである。或いは、入力装置27は、スイッチであってもよい。入力装置27は、リモートコントローラ25、或いは、ジョイスティック26に配置されてもよい。或いは、入力装置27は、リモートコントローラ25、或いは、ジョイスティック26とは別に配置されてもよい。入力装置27は、オペレータによって選択された制御モードを示す指令信号を出力する。
【0042】
制御モードは、定点保持モードを含む。定点保持モードでは、操船コントローラ30は、船100の位置を所定の地点に保持するように、船外機1a,1bを制御する。例えば、定点保持モードでは、操船コントローラ30は、定点保持モードが選択されたときの船100の位置に、船100を保持するように、船外機1a,1bを制御する。或いは、定点保持モードでは、操船コントローラ30は、入力装置27によって指定された位置に船100を保持するように、船外機1a,1bを制御してもよい。
【0043】
図5は、船外機1aの後面図である。図6は、船外機の後部の斜視図である。図7は、船外機の後部の拡大図である。図5から図7に示すように、船外機1aは、ライトユニット40aを含む。ライトユニット40aは、ハウジング10aの後面に配置されている。ライトユニット40aは、ボトムカウル17aの後面に配置されている。ライトユニット40aは、排気口23aの上方に配置されている。
【0044】
ボトムカウル17aには、外装カバー28aが取り付けられている。図8は、外装カバー28aと、ライトユニット40aと、ボトムカウル17aとの分解斜視図である。図9は、ライトユニット40aと、ボトムカウル17aとの分解斜視図である。図9に示すように、ライトユニット40aは、ライト本体41と電気ケーブル42とを含む。ライト本体41は、円形の外形を有する。ライト本体41は、複数の光源43-46を含む。光源43-46は、例えばLED或いはバルブである。複数の光源43-46は、第1~第4光源43-46を含む。第1~第4光源43-46は、上下及び左右に並んで配置されている。なお、光源の数は、4つに限らない。光源の数は、4つより少なくてもよく、或いは、4つより多くてもよい。
【0045】
電気ケーブル42は、ライト本体41に接続されている。電気ケーブル42は、第1駆動コントローラ9aに接続されている。操船コントローラ30は、第1駆動コントローラ9aを介して、ライトユニット40aに指令信号を送信する。操船コントローラ30は、船外機1aの運転状態に応じたパターンで複数の光源43-46を点灯する。例えば、操船コントローラ30は、定点保持モードでの船外機1aの動作中に、特定のパターンで光源43-46を点滅させる。
【0046】
ライトユニット40aには、ライトカバー47が取り付けられる。ライトカバー47は、ライト本体41と同様に、円形の外形を有する。ライトカバー47は、ライト本体41を覆う。ライトカバー47は、不透明な材料製である。例えば、ライトカバー47は、ゴム製である。ライトカバー47は、複数のライト孔51-54を含む。複数のライト孔51-54は、複数の光源43-46に対応して配置されている。複数のライト孔51-54は、第1~第4ライト孔51-54を含む。第1~第4ライト孔51-54は、それぞれ第1~第4光源43-46に対応して配置されている。第1~第4光源43-46の光は、第1~第4ライト孔51-54を通して、船外機1aの外部へ照射される。ライトカバー47は、第1~第4ライト孔51-54以外の部分からの第1~第4光源43-46の光の漏れを防止する。
【0047】
図9に示すように、ボトムカウル17aは、取付座48を含む。ライトユニット40aは、取付座48に取り付けられる。取付座48は、ボトムカウル17aの後面に配置されている。取付座48は、ボトムカウル17aと一体的に形成されている。取付座48は、排気口23aの上方に配置されている。排気口23aは、ボトムカウル17aの下方に配置されている。
【0048】
取付座48は、凹部49を含む。凹部49は、ライトユニット40aの輪郭に沿った形状を有している。凹部49の縁は、円形の形状を有している。ライトユニット40aとライトカバー47とは、凹部49内に配置される。取付座48は、複数のボス55-58を含む。複数のボス55-58は、凹部49内に配置されている。ライトユニット40aは、複数のボス55-58に固定される。複数のボス55-58は、第1~第4ボス55-58を含む。ライトユニット40aは、第1~第4取付孔61-64を含む。第1~第4取付孔61-64は、第1~第4光源43-46の外径側に配置されている。第1~第4ボス55-58は、第1~第4取付孔61-64に対応して配置されている。ライトカバー47は、第1~第4孔65-68を含む。第1~第4孔65-68は、第1~第4ライト孔51-54の外径側に配置されている。第1~第4孔65-68は、第1~第4取付孔61-64に対応して配置されている。
【0049】
図10は、図6におけるX-X断面図である。図10に示すように、第1固定部材59が、第1取付孔61と第1ボス55とに通される。第2固定部材60が、第2取付孔62と第2ボス56とに通される。図示を省略するが、第3固定部材が第3取付孔63と第3ボス57とに通され、第4固定部材が第4取付孔64と第4ボス58とに通される。それにより、ライトユニット40aが取付座48に固定される。固定部材は例えばネジである。
【0050】
図10に示すように、取付座48は、ケーブル孔69を含む。ケーブル孔69は、ボトムカウル17aを貫通している。ケーブル孔69には、電気ケーブル42が通される。ケーブル孔69には、シール部材70が取り付けられている。シール部材70は、ゴムなどの弾性体製である。シール部材70は、ケーブル孔69の縁と電気ケーブル42との間を封止する。シール部材70は、ケーブル孔69からボトムカウル17a内への水の侵入を防止する。
【0051】
図9に示すように、ボトムカウル17aは、複数の補強リブ71,72を含む。なお、図9では、複数の補強リブ71,72の一部のみに符号が付されており、他の補強リブ71,72の符号は省略されている。複数の補強リブ71,72は、取付座48の周囲に配置されている。補強リブ71,72は、取付座48の左方と右方とに配置されている。補強リブ71は、左右方向に延びている。補強リブ71は、取付座48に接続されている。補強リブ71は、取付座48から左右に延びている。補強リブ72は、上下方向に延びている。
【0052】
図11は、取付座48の拡大図である。図11に示すように、ボトムカウル17aは、水抜き孔73を含む。水抜き孔73は、取付座48内に配置されている。水抜き孔73は、取付座48の底部に配置されている。水抜き孔7は、取付座48を上下方向に貫通している。取付座48内に侵入した水は、水抜き孔73を通って、ボトムカウル17aの外部に排出される。
【0053】
外装カバー28aは、ボトムカウル17aに着脱可能に取り付けられる。図5に示すように、外装カバー28aは、ボルト74,75によってアッパケース19aに固定される。図8に示すように、外装カバー28aは、第1開口76と第2開口77とを含む。第1開口76は、ライトユニット40aに対応して配置されている。第2開口77は、第1開口76の下方に配置されている。第2開口77は、排気口23aに対応して配置されている。
【0054】
図7に示すように、船外機1aの背面視で、第1開口76は、ライトユニット40aの外形よりも小さい。船外機1aの背面視で、外装カバー28aは、取付座48と重なる。第1~第4光源43-46は、第1開口76内に配置される。第1開口76を通して、第1~第4光源43-46が視認可能である。船外機1aの背面視で、外装カバー28aは、補強リブ71,72と重なる。
【0055】
図6に示すように、ライトユニット40aは、ハウジング10aの内側へ向かって外装カバー28aの表面から離れて配置されている。外装カバー28aは、第1開口76の内面を含む。第1開口76の内面は、外装カバー28aの表面からライトユニット40aまで延びている。第1開口76の内面は、外装カバー28aの表面へ向かって広がるように傾斜している。それにより、船外機1aの後方の広い範囲から、第1~第4光源43-46の光が視認可能である。
【0056】
詳細には、第1開口76の内面は、第1傾斜面81と第2傾斜面82と、第3傾斜面83と、第4傾斜面84とを含む。第1傾斜面81は、ライトユニット40aの上方に位置している。第2傾斜面82は、ライトユニット40aの下方に位置している。第3傾斜面83は、ライトユニット40aの左方に位置している。第4傾斜面84は、ライトユニット40aの右方に位置している。第1傾斜面81は、外装カバー28aの表面へ向かって上方に傾斜している。第2傾斜面82は、外装カバー28aの表面へ向かって下方に傾斜している。第3傾斜面83は、外装カバー28aの表面へ向かって、外側方に傾斜している。第4傾斜面84は、外装カバー28aの表面へ向かって、外側方に傾斜している。
【0057】
以上説明した第1実施形態に係る船外機1aでは、ライトユニット40aが被視認性のよい位置に取り付けられている。また、ライトユニット40aの点灯によって、船100の周囲の人が、制御モードの実行中であることを把握することができる。なお、図3に示すように、船外機1bは、ライトユニット40bを含む。ライトユニット40bの構造及び配置は、ライトユニット40aと同様である。
【0058】
次に、第2実施形態に係る船外機1a’について説明する。図12は、第2実施形態に係る船外機1a’の後面図である。図13は、船外機1a’の後部の拡大図である。船外機1a’は、ライトユニット40aとライトカバー47とを備えていない。ただし、船外機1a’は、第1実施形態に係る船外機1aと同様の取付座48を含む。図13に示すように、船外機1a’は、外装カバー28a’を含む。外装カバー28a’には、第1開口76が設けられていない。従って、外装カバー28a’は、取付座48を覆っており、取付座48は、船外機1a’の外部から視認できない。外装カバー28a’を除いて、船外機1a’は、第1実施形態に係る船外機1aと同様の構造を有している。
【0059】
以上説明した第2実施形態に係る船外機1a’は、ライトユニット40a用の取付座48を有している。そのため、船外機1a’にライトユニット40aを被視認性の良い位置に容易に後付けすることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
船外機の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、駆動ユニット2aは、内燃エンジンに限らず、電動モータであってもよい。或いは、駆動ユニット2aは、内燃エンジンと電動モータとのハイブリッド操船システムであってもよい。
【0062】
取付座48の形状、或いは位置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。取付座48は、ハウジング10aにおいて、ボトムカウル17a以外の部分に配置されてもよい。例えば、取付座48は、トップカウル18aに配置されてもよい。或いは、取付座48は、アッパケース19aに配置されてもよい。取付座48は、円形に限らず、楕円形などの他の形状であってもよい。例えば、図15に示すように、取付座48は、下部が開放された形状であってもよい。凹部49は、円形に限らず、楕円形などの他の形状であってもよい。ボスの数、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。取付座48は、ボトムカウル17aと一体に限らず、別体であってもよい。例えば、取付座48は、ブラケットを介して、ボトムカウル17a、或いは他の部分に取り付けられてもよい。
【0063】
ライトユニットの形状、或いは位置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。ライトユニットは、円形に限らず、他の形状であってもよい。光源の数、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。取付孔の数、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。
【0064】
ライトカバーの形状、或いは位置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。ライトカバーは、円形に限らず、他の形状であってもよい。ライト孔の数、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。孔の数、或いは配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。ライトカバーは、樹脂などのゴム以外の材料製であってもよい。ライトカバーは、省略されてもよい。
【0065】
操船コントローラ30は、制御モードの実行中以外の状態で、光源を点灯してもよい。例えば、操船コントローラ30は、エンジンの始動時に光源を点灯してもよい。操船コントローラ30は、エンジンの駆動中に光源を点灯してもよい。操船コントローラ30は、前進、後進、旋回などの船外機1aの運転状態に応じて光源を点灯してもよい。
【0066】
図14は、第2実施形態に係る船外機1a’の変形例を示す断面図である。図14に示すように、船外機1a’は、ダミーカバー85を含んでもよい。ダミーカバー85は、取付座48の凹部49に沿った形状を有している。ダミーカバー85は、ライトユニット40aに代えて、取付座48に取り付けられている。また、ケーブル孔69には、グロメット86が取り付けられてもよい。グロメット86は、例えばゴムなどの弾性体製である。グロメット86は、ケーブル孔69を閉塞する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、ライトユニットを船外機に取り付けるための構造が提供される。
【符号の説明】
【0068】
4a:プロペラ軸,2a:駆動ユニット,10a:ハウジング,48:取付座,61:第1光源,40a:ライトユニット,30:操船コントローラ,49:凹部,55:第1ボス,41:ライト本体,42:電気ケーブル,69:第1ケーブル孔,70:シール部材,51:第1ライト孔,47:ライトカバー,76:第1開口,28a:外装カバー,17a:ボトムカウル,18a:トップカウル,71:補強リブ,85:ダミーカバー,86:グロメット,23a:排気口,21a:排気通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15