(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060107
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】レジシステム、ゲートシステム、及び装置
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20220407BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20220407BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/01 301D
G07G1/00 331B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168120
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】506359288
【氏名又は名称】株式会社アスタリスク
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 規之
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142DA08
3E142EA04
3E142FA25
3E142FA42
3E142GA32
3E142GA41
3E142JA01
(57)【要約】
【課題】客やスタッフに負担をかけることなく、スムーズに会計を行うことができるレジシステムを提供する。
【解決手段】会計に関する会計情報を客に提示する提示部20と、前記会計の支払いを行う支払部33と、前記会計情報が提示されている前記客を認識する認識部54と、前記認識された客が位置する前記支払部33を特定する特定部55と、を備え、前記提示した会計情報を前記特定された支払部33に転送することを特徴とする、レジシステム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計に関する会計情報を客に提示する提示部と、
前記会計の支払いを行う支払部と、
前記会計情報が提示されている前記客を認識する認識部と、
前記認識された客が位置する前記支払部を特定する特定部と、
を備え、
前記提示した会計情報を前記特定された支払部に転送することを特徴とする、レジシステム。
【請求項2】
前記提示部と前記支払部の一方または両方を複数備える請求項1に記載のレジシステム。
【請求項3】
前記提示部と前記支払部の一方または両方が可動形であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジシステム。
【請求項4】
前記提示部および前記支払部を撮像するカメラを備え、
前記カメラによって生成された画像に基づいて、前記認識部は前記客を認識し、前記特定部は前記支払部を特定することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレジシステム。
【請求項5】
前記カメラは赤外線カメラであることを特徴とする請求項4に記載のレジシステム。
【請求項6】
前記客が前記会計の支払いを行う際に、前記会計情報を表示する表示部を備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のレジシステム。
【請求項7】
前記認識部は、複数の前記客を認識し、
前記特定部は、前記複数の客のいずれかが位置する前記支払部を特定する、ことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のレジシステム。
【請求項8】
前記会計情報を記憶する記憶部を備え、
前記記憶部は、前記支払部において支払いが行われたことを会計情報に対応づけて記憶することを特徴とする請求項1から請求項7に記載のレジシステム。
【請求項9】
前記支払部は、
前記提示部から離れた位置に設けられた第1支払部と、
前記提示部と同じ位置に設けられた第2支払部と、
を備える、レジシステム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のレジシステムと、
前記レジシステムと連携するゲートと、
を備え、
前記ゲートは、前記支払部において支払いが行われたことを条件として、前記認識された客を通過させることを特徴とする、ゲートシステム。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の前記認識部および前記特定部を有し、前記会計情報を前記特定された支払部へと転送することを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店において用いられるレジシステム、ゲートシステム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商店などの店においてはレジカウンターが設置されており、当該レジカウンターには、商品に付されたバーコードから当該商品の識別情報を読み取り、読み取った識別情報を取引情報として登録する登録装置が設置されている。当該登録装置は、当該取引情報に基づいて精算処理を行う精算装置と協働することにより、POSシステムを構成する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のPOSシステムは、複数の登録装置と、登録装置とは別に、離れた場所に設置された複数の精算装置を備えており、店のスタッフが登録装置を用いて商品の読取作業のみを行い、客自身が精算装置を操作して支払いを行うセミセルフレジ方式を用いたシステムとなっている。
【0004】
上記POSシステムにおいて、複数の登録装置は並列的に設置されており、登録装置の各々にスタッフが配置される。このような登録装置は、客によって買い上げられる商品のバーコードから識別情報を読み取る読取部と、識別情報に基づいて生成された会計情報を二次元コードとしてレシートに印刷する印刷部と、を備えている。客は、スタッフから当該レシートを受け取り、いずれかの精算装置まで移動する。
【0005】
上記POSシステムの精算装置は、レシートに印刷された二次元コードから会計情報を読み取る読取部と、読み取った会計情報を表示する表示部と、支払操作が行われる支払部と、を備えている。客は、レシートの二次元コードを読取部に読み取らせることで、表示部に表示された会計情報を確認しながら支払操作を行う。
【0006】
当該POSシステムでは、客は、比較的空いている登録装置および精算装置を、適宜、選択して会計処理を行うことができるので、レジにおける待ち時間を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載のPOSシステムでは、読み取ったバーコードを集計せずにそのまま二次元コードに変換してレシートに印刷するため、商品の読取点数が多くなると、レシートに印刷される二次元コードが増大することとなる。したがって、多数の二次元コードがレシートに印刷される場合には、全ての二次元コードを精算装置に読み取らせる必要があり、客の手間が増大してしまうこととなる。
【0009】
一方で、レシートを用いない他のPOSシステムとしては、例えば、精算装置が登録装置の各々と通信可能に接続されており、精算装置は登録装置から受信した会計情報に基づいて精算処理を実施する態様が存在している。しかしながら、当該POSシステムでは、登録装置に配置されたスタッフが比較的空いている精算装置を選択して客に指示した上で、会計情報を該当する精算装置に送信する必要がある。このため、客は自由に精算装置を選択することができない。また、スタッフは精算装置を選択して指定する手間が生じるため、当該手間に起因して客一人当たりの対応時間が長くなり、登録装置においてレジ待ちが生ずるおそれがある。
【0010】
上記の様な問題を解決するため、本発明は、客やスタッフに負担をかけることなく、スムーズに会計を行うことができるレジシステム、ゲートシステム、及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のレジシステムは、会計に関する会計情報を客に提示する提示部と、前記会計の支払いを行う支払部と、前記会計情報が提示されている前記客を認識する認識部と、前記認識された客が位置する前記支払部を特定する特定部と、を備え、前記提示した会計情報を前記特定された支払部に転送することを特徴とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のゲートシステムは、上記のレジシステムと、前記レジシステムと連携するゲートと、を備え、前記ゲートは、前記支払部において支払いが行われたことを条件として、前記認識された客を通過させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の装置は、上記の認識部および特定部を有し、前記会計情報を前記特定された支払部へと転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、客やスタッフに負担をかけることなく、スムーズに会計を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)第1実施形態に係るレジシステム及びゲートシステムを用いた会計エリアの平面図、(b)当該会計エリアを横から見た図である。
【
図2】(a)上記レジシステムが備える登録装置の斜視図、(b)当該登録装置が有するハードウェアのブロック図である。
【
図3】(a)上記レジシステムが有するサーバのハードウェアのブロック図、(b)上記レジシステムが有するカメラのハードウェアのブロック図である。
【
図4】(a)上記レジシステムが備える精算装置の斜視図、(b)当該精算装置が有するハードウェアのブロック図である。
【
図5】上記サーバが会計情報を送信すべき精算装置を決定する際のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るレジシステム、ゲートシステム、及び装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1実施形態]
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るレジシステム1は、店におけるPOSシステムに用いられるものであり、登録装置10、精算装置30、及びサーバ50を備えており、当該サーバ50に対して登録装置10と精算装置30がネットワークを介して、
図1において破線に示すように通信可能に接続されている。
【0019】
登録装置10は、客が買い上げる商品をサーバ50に登録する装置であって、
図2に示すように、据置形のレジカウンター11上に立設された筐体12と、当該筐体12に設けられたバーコードリーダ13およびタブレット端末14を備える。バーコードリーダ13は、筐体12内に組み込まれる組込形の機器であって、商品に付されたバーコードから当該商品の識別情報を読み取る読取部15、及び当該識別情報をタブレット端末14へと送信する送信部として機能する。当該バーコードリーダ13(読取部15)は、レジカウンター11の内側(スタッフ側)に向かって光を出力する光源17と、商品のバーコードに反射した光を受光する受光部18と、受光部18の出力に基づいてバーコードの情報(商品の識別情報)を解析する解析部として機能するCPU19と、により構成されている。また、バーコードリーダ13は、タブレット端末14のコネクタに有線接続されており、上記CPU19から取得した商品の識別情報をタブレット端末14へと送信する送信部として機能する制御モジュール16を備えている。
【0020】
タブレット端末14は、
図2に示すように、会計情報を客に提示する提示部20、及び会計情報をサーバ50に対して送信する送信部として機能する機器であり、提示部20として機能するCPU21、メモリ22、液晶ディスプレイ23、周辺機器制御モジュール24、並びに、送信部として機能する通信モジュール25を備えている。これらメモリ22、周辺機器制御モジュール24、液晶ディスプレイ23、及び通信モジュール25は、CPU21と通信可能に接続されている。CPU21は、メモリ22に記憶されたプログラムをロードして実行することで、周辺機器制御モジュール24を、バーコードリーダ13を制御して商品の識別情報を受信する受信部として機能させる。また、CPU21はプログラムを実行することで、受信した商品の識別情報に対応する商品の会計情報を生成する生成部として機能し、さらに、液晶ディスプレイ23を、会計情報を表示する表示部として機能させ、さらにまた、通信モジュール25を上記の送信部として機能させる。なお、会計情報は、代表的には、明細(客が買い上げる商品の名称および価格)や支払いの合計金額を含む情報であり、CPU21がバーコードリーダ13から受信した商品の識別情報を検索キーとして、メモリ22やサーバ50に記憶された商品情報(商品の名称、価格等)を抽出することにより生成される。
【0021】
サーバ50は、
図3に示すように、登録装置10から受信した会計情報を管理するとともに、当該会計情報を精算装置30へと送信する装置である。当該サーバ50は、会計情報が登録された販売管理テーブルを記憶する記憶部として機能するメモリ51、並びに登録装置10から会計情報を受信する受信部及び会計情報を精算装置30へと送信する送信部として機能する通信モジュール52を備えている。これらメモリ51や通信モジュール52はCPU53と通信可能に接続されている。CPU53は、メモリ51に予め記憶されたプログラムをロードして実行することで、会計情報を送信すべき精算装置30を決定する決定部として機能する。
【0022】
精算装置30は、客が会計の支払いを行う機器であり、
図1に示すように、本実施形態の会計エリアEには登録装置10から少し離れた場所に2台の精算装置30a,30bが設置されている。
図4に示すように、精算装置30の側方には台座31が設けられており、客は当該台座31に商品や買い物カゴを置いた状態で当該精算装置30を操作して支払いを行う。精算装置30は、コンピュータ32および自動釣銭機33が組み込まれた筐体35の上にディスプレイ34が設置され、当該ディスプレイ34及び自動釣銭機33がコンピュータ32に有線接続された構成となっている。コンピュータ32は、通信モジュール36およびメモリ37がCPU38によって制御可能に接続された構成となっており、CPU38がメモリ37に記憶されたプログラムを実行することで、通信モジュール36を、サーバ50から会計情報を受信する受信部として機能させ、また支払がされた旨を示す支払情報をサーバ50に送信する送信部として機能させる。メモリ37は、精算処理に必要な情報(会計情報や支払情報)を記憶する記憶部として機能する。また、CPU38は、上記ディスプレイ34および自動釣銭機33を制御する制御部として機能する。具体的には、CPU38は、通信モジュール36を介して会計情報を受信すると、当該会計情報をディスプレイ34に表示させる。このようにディスプレイ34は会計情報を表示する表示部として機能する。また、CPU38は、受信した会計情報に含まれる合計金額を自動釣銭機33へと入力する。自動釣銭機33は、紙幣投入口および硬貨投入口を有しており、これらの投入口から投入された紙幣および硬貨を計算して、CPU38から入力された合計金額よりも多い場合には釣銭払出口を通じて釣銭を払い出す。このように、自動釣銭機33は、客によって支払いが行われる支払部として機能する。
【0023】
ここで、
図1に戻り、本実施形態のレジシステム1は、さらに、店内の会計エリアEを撮像するカメラ60を備えており、当該カメラ60によって生成された画像に基づいて、登録装置10から精算装置30までの客の移動を追跡することで、登録装置10によって生成された会計情報を転送すべき精算装置30を決定することとしている。なお、
図1(b)において、当該カメラ60の撮像範囲の例を一定鎖線で示した。
【0024】
具体的には、カメラ60は、
図1に示すように、登録装置10、精算装置30、及び袋詰め用テーブルwtを含む会計エリアEの天井に設置されており、
図3(b)に示すように、撮像部として機能するイメージセンサ61と、会計エリアEの象を当該イメージセンサ61の撮像面へと結像させるレンズ(広角レンズや魚眼レンズ)と、を備えている。当該イメージセンサ61によって出力された信号はカメラ60が備えるCPU62へと入力されて、当該CPU62によって画像が生成される。CPU62は、メモリ63に予め記憶されたプログラムをロードして実行することで、イメージセンサ61から入力された信号に基づいて画像を生成する生成部として機能する。カメラ60は、ネットワークを介してサーバ50と通信するための通信モジュール64を有しており、当該通信モジュール64はCPU62によって生成された画像をサーバ50へと送信する送信部として機能する。
【0025】
サーバ50では、CPU53(決定部)が会計情報を転送すべき精算装置30を決定するために、上記カメラ60から取得した画像を用いて
図5に示す処理が実行される。先ず、サーバ50のCPU53は、登録装置10から会計情報を受信したか否かを確認し、会計情報を受信した場合(s10:Yes)には、当該会計情報を販売管理テーブルに登録するとともに、認識処理(s20)を実行する。
【0026】
認識処理(s20)は、登録装置10にいる客Cを認識する処理であって、画像取得処理、差分処理、座標取得処理、判定処理がこの順に実行される。
画像取得処理は、カメラ60から画像を取得する処理であって、カメラ60に対して画像の送信をリクエストし、カメラ60から送信された画像を受信する。
差分処理は、予めメモリ51に記憶させた背景モデルと画像取得処理において取得した画像の差分を抽出する処理である。背景モデルとしては、会計エリアEに客がいない状態の画像が用いられる。当該差分処理によって、客が抽出された差分画像が得られることとなる。
座標取得処理は、差分画像における客の座標を取得する処理である。
判定処理は、取得した座標が適切であるか否かを判定する処理である。例えば、座標取得処理において座標が取得できなかった場合や、取得した座標がレジカウンター11正面付近の座標範囲内でない場合には、レジカウンター11正面における客Cを認識できなかったものとして、再度、上記画像取得処理から順に実行される。一方、適切に座標が取得されている場合には、当該取得された座標をレジカウンター11正面における客Cの位置情報として認識し、次の特定処理(s30)が実行される。
このように、サーバ50のCPU53は、登録装置10において会計情報が提示されている客Cを認識する認識部54として機能している。また、サーバ50のメモリ51は背景モデル、及びレジカウンター11正面付近の座標範囲を記憶する記憶部として機能している。
【0027】
特定処理(s30)は、客Cが精算を行う精算装置30を特定する処理であって、画像取得処理、差分処理、座標取得処理、追跡処理、及び判定処理がこの順に所定のフレームレートで実行される。画像取得処理は、差分処理、及び座標取得処理は上記認識処理と同様の処理である。
追跡処理は、会計エリアEにおける客Cの移動を追跡する処理であり、当該フレームにおける座標取得処理において新たに取得した新座標と前回フレームにおいて取得した前座標の差分を求め、当該差分が一定範囲にある新座標を客の位置としてメモリ51に記憶する。
判定処理は、客Cがいずれかの精算装置30a,30bの前に移動したか否かを判定する処理であって、各精算装置30a,30bの正面エリアに対応する座標範囲内に新座標があるか否かを判定する。具体的には、新座標が、精算装置30aの正面エリアに対応する座標範囲内にある場合には、客Cが精算装置30aを選択したものと判定する。又は、新座標が、精算装置30bの正面エリアに対応する座標範囲内にある場合には、客Cが精算装置30bを選択したものとして判定する。このように判定された場合には次の送信処理(s40)を実行する。一方、このように判定さなかった場合、すなわち、どちらの座標範囲内にない場合には、客Cが移動中であるとして、再度、上記画像取得処理から順に実行する。
このように、サーバ50のCPU53は、客Cが位置する精算装置30を特定する特定部55として機能している。また、サーバ50のメモリ51は、会計エリアEにおける客の位置座標、及び各精算装置30の正面エリアに対応する座標範囲を記憶する記憶部として機能している。
【0028】
送信処理(s40)は、前記特定処理(s30)において特定された精算装置30に対して、販売管理テーブルに登録された会計情報を送信する処理である。
【0029】
サーバ50のCPU53は、上記送信処理(s40)を実行すると、登録処理を実行する。登録処理では、客が会計を支払ったことを販売管理テーブルに登録する処理であって、送信処理において会計情報を送信した精算装置30に対して支払情報の送信をリクエストし、当該精算装置30から支払情報を受信した場合に販売管理テーブルに設けられている支払フラグをセットする処理である。
【0030】
本実施形態によれば、レジカウンター11ではスタッフSによる商品の読取作業のみが実施され、読取作業後は客Cが空いている精算装置30を選択して精算することができるので、スムーズな会計処理が実施できる。さらに、レジカウンター11における客の存在が認識部により認識され、当該客が精算する精算装置30が特定部により特定された結果、特定された精算装置30に対して会計情報を転送することができるので、従来のようにレシートに印刷された会計情報を精算装置30に読み取らせる操作や、スタッフSが精算装置30を特定する必要がないため、客CやスタッフSに負担が生じない。
【0031】
次に、本実施形態のゲートシステム100は、
図1に示すように、上記レジシステム1と連動するゲート70を備える。当該ゲート70は、代表的には店の出入口に設けられた自動ドアであって、ネットワークを介してサーバ50と通信可能に接続されている。当該ゲート70は、客Cの入店時には当該客Cを検出したことを条件にドアを開けるが、客Cの退店時にはサーバ50から許可がある場合にドアを開けることとしている。
【0032】
具体的には、サーバ50は、上記登録処理(s50)を実行した後、開閉処理(s60)を実行する。開閉処理(s60)は、ゲート70のドアを開閉させる処理であって、画像取得処理、差分処理、座標取得処理、及び判定処理をこの順に実行する。画像取得処理、差分処理、及び座標取得処理は、上記の特定処理と同様の処理である。
判定処理は、ゲートのドア70を開閉させるか否かを判定する処理であって、退店しようとする客を検出したことをゲート70から受信した場合に、座標取得処理において取得した客の新座標を参照し、当該客の新座標がゲート70の内側エリアに対応する座標範囲に位置するか否かを判定する。座標範囲に位置する場合には当該新座標に対応する会計情報を参照し、当該会計情報に対応する支払フラグがセットされているか否かを確認する。当該支払フラグがセットされている場合には、ゲート70に対して、ドアを開ける許可を出力する。ゲート70は、当該許可を受信すると、ドアを開放する。一方で、支払フラグがセットされていない場合には、ゲート70に対してドアを開ける許可を出力しないので、ドアが開かず、未払い客の退店を防止することができる。このように、サーバ50のCPU53は、ゲート70の開閉を制御する開閉制御部56として機能している。
【0033】
このように、本実施形態のゲートシステム100によると、支払済の客が退店する場合にのみゲート70のドアを開けることができる。
【0034】
[第2実施形態]
【0035】
上記の第1実施形態では、客Cの移動を追跡することで会計情報を転送すべき精算装置30を特定し、ゲート70の開閉を制御したが、第2実施形態では、客Cの顔を照合することで会計情報を転送すべき精算装置30を特定し、ゲート70の開閉を制御する点で第1実施形態とは異なっている。以下、第2実施形態において第1実施形態とは異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と同じ構成については、適宜、説明を省略することとする。
【0036】
第2実施形態では、第1実施形態のカメラ60に代えて、登録装置10、精算装置30、及びゲート70の各々に客Cの顔を撮像するカメラを設けており、各カメラは生成した画像をサーバ50に送信する。サーバ50は、各カメラから受信した画像に基づいて下記の認識処理(s20)、特定処理(s30)、および開閉処理(s60)を実行する。
【0037】
認識処理(s20)では、画像取得処理、特徴抽出処理、および特徴登録処理が実行される。画像取得処理は、登録装置10に設けられたカメラから画像を受信する処理である。特徴抽出処理は、公知の顔認識方法を用いて、画像取得処理において受信した画像に含まれている客Cの顔の特徴を抽出する処理である。登録処理は、上記抽出した特徴を会計情報に対応づけてメモリ51(販売管理テーブル)に記憶させる処理である。
【0038】
特定処理(s30)では、画像取得処理、特徴抽出処理、及び照合処理が実行される。画像取得処理は、精算装置30に設けられたカメラから画像を受信する処理である。特徴抽出処理は、公知の顔認識方法を用いて、画像取得処理において受信した画像に含まれている客Cの顔の特徴を抽出する処理である。
照合処理は、登録装置10における顔の特徴と、精算装置30における顔の特徴が一致するか否かを照合する処理、すなわち、認識処理(s20)において抽出した特徴と、特定処理(s30)において抽出した特徴を照合する処理である。当該特徴が一致する場合には、当該精算装置30に対して客Cが移動したものであると判定し、当該精算装置30に対して会計情報を送信する。
【0039】
開閉処理(s60)では、画像取得処理、特徴抽出処理、及び確認処理が実行される。画像取得処理は、ゲート70に設けられたカメラから画像を受信する処理である。特徴抽出処理は、上記の認識処理(s20)の特徴抽出処理と同様に、画像取得処理において受信した画像に含まれている客の顔の特徴を抽出する。
確認処理は、退店する客Cが既に会計を済ませたか否かを確認する処理であり、上記抽出した顔の特徴に対応する会計情報の支払フラグがセットされているか否かを確認する。フラグがセットされている場合にはゲート70に対してドアを開けることを許可することを送信する。
【0040】
[第3実施形態]
【0041】
上記第1実施形態および第2実施形態に係るレジシステムは、カメラ60等によって生成された画像に基づいて、登録装置10から精算装置30までの客Cの移動を追跡することで、登録装置10によって生成された会計情報を転送すべき精算装置30を決定しているが、第3実施形態に係るレジシステムは、登録装置10において、買い物カゴやカートに付されたRFタグが有する固有情報を取得することで客を認識し、さらに、精算装置30において当該固有情報を取得することで客が操作する精算装置30を特定することで、会計情報を転送すべき精算装置30を決定してもよい。当該態様においては、登録装置10および精算装置30は、RFタグから固有情報を読み取るRFIDリーダを備える。登録装置10は、読み取った固有情報を会計情報に対応づけてサーバ50に送信する。精算装置30は、読み取った固有情報に会計情報の送信リクエストを対応づけてサーバ50に送信する。
【0042】
また、登録装置10において、Bluetooth(登録商標)などの無線通信部を有する機器に記憶された固有情報に基づいて客を認識し、また、会計情報を転送すべき精算装置30を特定しても構わない。当該機器は、買い物カゴやカートに取り付けられてもよいし、当該機器を客に手渡ししても構わない。
【0043】
本発明は上記第1実施形態から第3実施形態に記載された実施態様に限定されず、下記のような変形が加えた態様で実施されても構わない。
【0044】
<変形例1>
上記実施形態では、単独客Cが会計を行う場合を例に説明したが、例えば家族単位などグループ単位で会計を行っても構わない。例えば、グループ単位で会計を行う場合には、認証処理(s20)の判定処理において、レジカウンター11正面における複数の客の新座標を位置情報として認識する。そして、特定処理(s30)の判定処理において、複数の客のいずれかの新座標がいずれかの精算装置30の正面エリアに対応する座標範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、いずれかの客の新座標が、精算装置30aの正面エリアに対応する座標範囲内にある場合には、当該客がグループにおける精算者であり、精算装置30aを選択したものと判定する。一方、グループ内の全ての客の新座標が、いずれの座標範囲内にない場合には、グループが移動中であるとして、再度、画像取得処理から順に実行する。
【0045】
<変形例2>
上記の実施形態のカメラ60は、赤外線カメラであっても構わない。また、サーモグラフィであっても構わない。赤外線カメラやサーモーグラフィを用いた場合には、暗い店内においても客を認識し、当該客を追跡することが可能となる。
【0046】
<変形例3>
第1実施形態では、差分画像に基づいて客を認識しているが、当該態様に限定されず、カメラ60から取得した画像に含まれる人の特徴に基づいて客を認識しても構わない。たとえば、サーバ50は機械学習部を備え、サーバ50は機械学習部に対してカメラ60から取得した画像を入力し、当該機械学習部から人物の座標を取得しても構わない。なお、当該機械学習部は、教師データとして、多数の人物の画像データが入力されており、当該教師データに基づいて学習することにより得られた人物の特徴に基づいて、カメラ60の画像から人物を検出することとしている。
【0047】
<変形例4>
上記実施形態では、会計エリアを撮像する一つのカメラ60を用いたが、複数のカメラ60を設けても構わない。当該態様においては、サーバ50は、複数のカメラ60から受信した画像を繋げて一つの画像を生成した上で、当該画像に基づいて認識処理、特定処理及び開閉処理を実行する。
【0048】
<変形例5>
上記の実施形態のカメラ60の位置は店の天井に限定されず、店の壁に設けられても構わない。また、カメラ60は店の天井や壁など複数箇所に設けても構わない。
【0049】
<変形例6>
上記の実施形態の登録装置10は、据置形のレジカウンター11上に設置される態様であったが、店内の混雑状況に応じて店内に設置される可動形のレジカウンター上にも設置される態様であっても構わない。
【0050】
<変形例7>
登録装置10は、買い物カゴに設けられても良い。すなわち、登録装置は、買い物カゴに取り付けられるバーコードリーダと小型のタブレット端末を備え、小型のタブレット端末は、バーコードリーダから取得した識別情報に対応する商品の情報を表示するものであっても構わない。また、同様に、登録装置は店内のショッピングカートに設けられても構わない。
【0051】
<変形例8>
上記の実施形態の登録装置10が設置されたレジカウンター11は、商品を搬送するコンベアを備えても構わない。このような態様において、登録装置10のバーコードリーダ13(読取部15)は、当該コンベアの搬送経路に設けられ、コンベアによって搬送される商品のバーコードを読み取るように設置される。当該バーコードリーダ13は、コンベアの上方、両側、下方のいずれか又は全部に設けることができる。客は、コンベアの上流に商品を置き、コンベアの下流にて商品を回収する。コンベアの下流には登録装置10の液晶ディスプレイ23(提示部20)が設けられており、客は、液晶ディスプレイ23で会計情報を確認したうえで、精算装置30を選択して支払いを行う。
【0052】
<変形例9>
上記の実施形態の登録装置10は、読取部15として、商品に付されたバーコードから情報を読み取るバーコードリーダ13を用いているが、読取部15はバーコードリーダ13に限定されず、商品に付されたRFタグから情報を読み取るRFIDリーダであっても構わない。このようなRFIDリーダとしては、上記実施形態のレジカウンター11に埋め込まれる板状のRFIDリーダや、上記変形例のコンベアの側方に設けられるRFIDリーダを用いることができる。また、買い物カゴを収容する読取空間を備えるRFIDリーダであっても構わない。
【0053】
<変形例10>
上記の実施形態のレジシステム1は、一台の登録装置10と、2台(複数)の精算装置30と、を備えているが、複数の登録装置10と、複数の精算装置30と、を備えるレジシステムであってもよい。また、複数の登録装置10と、当該登録装置10よりも多い台数の精算装置30を備えるレジシステムであってもよい。
【0054】
<変形例11>
精算装置30のディスプレイ34はタッチパネルを備え、タッチパネルを操作して支払操作を行っても構わない。また、タッチパネルに代えてカメラを備え、客Cのモーションを検出することで支払操作が行われても構わない。
【0055】
<変形例12>
上記実施形態では、支払部である精算装置30として現金精算機を例にして説明したが、精算装置30は、現金で支払いを行う現金支払部と、クレジットカードで支払いを行うカード支払部と、電子マネーで支払いを行う電子マネー支払部と、を有する装置であっても構わない。また、現金での支払いのみを行うことのできる現金精算装置30と、クレジットカードでの支払いのみを行うことのできるカード精算装置30と、電子マネーでの支払いを行うことのできる電子マネー精算装置30と、を併設しても構わない。
【0056】
<変形例13>
上記実施形態では、レジカウンター11(登録装置10)から離れた位置に支払部である精算装置30を設置しているが、このような態様に限定されない。例えば、実施形態の精算装置30に加えて、レジカウンター11の近傍に他の支払部である精算装置30を設置しても構わない。このような態様においてはレジカウンター11での支払いをスムーズに行うために、クレジットカードでの支払いや電子マネーでの支払いが可能な精算装置30をレジカウンター11の近傍に設置するのが好ましい。
【0057】
<変形例14>
上記実施形態においてゲート70は、サーバ50からの許可に基づいて開閉しているが、当該態様に限定されず、サーバ50からの警報命令に基づいて警報を発するものであっても構わない。すなわち、サーバ50は、退店する客Cの位置座標に対応する支払フラグがセットされていないときに、警報を発する旨の命令をゲート70に送信し、ゲート70は、スピーカーを備え、サーバ50からの警報命令に従って警報をスピーカーから出力する態様であっても構わない。
【0058】
<変形例15>
上記実施形態では、認識部および特定部はサーバ50に設けられているが、当該認識部および特定部を登録装置10または精算装置30に設けても構わない。また、サーバ50は単一の装置に限られず、決定部を備える一のサーバと、販売管理テーブルを記憶する記憶部を備える他のサーバと、を備え、一のサーバと他のサーバが協働するものであっても構わない。
【0059】
<変形例16>
上記実施形態のレジシステムおよびゲートシステムは、レジカウンター11で読み取られ登録された商品の一部または全部の買い上げをキャンセルする機能を備えても構わない。例えば、精算装置30の近くにサービスカウンターを設け、当該サービスカウンター上にキャンセル用の装置を設置する。当該キャンセル用の装置の構成は登録装置10と同じ構成であり、商品のバーコードを読み取るバーコードリーダと、バーコードリーダが接続されたタブレット端末と、を備え、当該タブレット端末はバーコードリーダから取得した識別情報に対応する商品情報をキャンセル対象の商品情報としてサーバ50に送信する。サーバ50は、キャンセル対象の商品情報を取得した場合に、当該サービスカウンターのエリア内に含まれる客の位置座標に対応づけられた会計情報からキャンセル対象の商品を削除して会計情報を更新する。なお、当該キャンセル用の装置は登録装置10と同じ構成であるため、登録装置10に当該キャンセル機能を含めても構わない。
【0060】
<変形例17>
上記実施形態のレジシステムおよびゲートシステムは、支払いを一時的に保留する機能を備えても構わない。具体的には、精算装置30の近くにサービスカウンターを設け、当該サービスカウンター上に発券装置を備える。当該発券装置は、保留IDがバーコード等で印刷されたレシートを発券する装置である。例えば、客は財布を車や自宅に忘れた際に、支払いを一時的に保留にするために当該発券装置からレシートを取得する。発券装置は、レシートに印刷された保留IDをサーバ50へと送信する。サーバ50は保留IDを受信すると、サービスカウンターのエリア内に含まれる客の位置座標に対応する会計情報に保留IDを対応づけて記憶し、当該位置座標の追跡をストップする。当該客はサーバ50によって追跡されていないので、自由にゲートの出入りが可能となる。サービスカウンターには読取装置が設置されており、客が支払の保留を解除する場合には当該読取装置にレシートの保留IDを読み取らせる。読取装置はサーバ50と通信可能に接続されており、読み取った保留IDをサーバ50に送信する。サーバ50は読取装置から保留IDを受信すると、サービスカウンター前にいる客の座標を取得し、保留IDに対応する会計情報を当該客の座標に対応づけて客の移動を監視する。なお、保留IDは、バーコードだけではなく、RFタグやビーコンなどの通信機器を用いてもよい。また、発券装置による保留IDの発行に変えて、カメラによって撮像した画像に基づく顔認証により取得した特徴点を会計情報に対応付けて記憶しても構わない。
【0061】
<変形例18>
上記実施形態では、スーパーマーケット等の商店におけるレジシステム1を例に説明したが、飲食店におけるレジシステムとして採用しても構わない。飲食店におけるレジシステムとして用いる場合には、各テーブルに設置されたオーダを行うためのタブレット端末14が、オーダしたメニューとその料金を客に提示する提示部20として機能する。そして、飲食店の出入口付近に精算装置30が設置される。カメラは、飲食店の天井に設置される。サーバ50のメモリには、背景データとして客がいない状態の店内画像が記憶されており、認識処理および特定処理の差分処理において、当該背景データとカメラから受信した画像の差分画像が生成される。そして、認識処理および特定処理の座標取得処理において、差分画像に基づいて客の位置座標が取得されることとなる。認識処理の判定処理では、会計情報を提示するタブレット付近の客の位置座標が認識され、特定処理の判定処理では当該客の位置座標が追跡されることで精算装置30が特定されることとなる。
【0062】
<変形例19>
上記実施形態は、中古品等の買取システムに用いても構わない。すなわち、持ち込まれた中古品等の買取に関する会計情報を客に提示する提示部として機能する登録装置と、中古品等の買取に関する支払いを行う支払部として機能する支払機と、サーバと、を備え、当該サーバは、買取に関する会計情報が提示されている客を認識する認識部と、前記認識された客が位置する前記支払機を特定する前記特定部と、を有し、提示した会計情報を前記特定された支払機に転送するシステムであっても構わない。
【符号の説明】
【0063】
1 レジシステム
20 提示部
33 支払部
34 ディスプレイ(表示部)
50 サーバ(装置)
51 メモリ(記憶部)
54 認識部
55 特定部
60 カメラ
100 ゲートシステム