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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060109
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】皮膚用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20220407BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168122
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 栄里
(72)【発明者】
【氏名】今井 陽介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC912
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083CC02
4C083CC03
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE10
4C083EE12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐水性および持続性(特にシャンプー耐久性および摩擦耐久性)が向上した被膜を形成する、肌荒れ防止効果に優れた皮膚用化粧料組成物の提供。
【解決手段】ポリアクリレート-49を含有する皮膚用化粧料組成物。ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有し、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位が有するカルボキシル基は添加した塩基性化合物によって全部または一部が中和された構造を有するポリアクリレート-49であって、添加した塩基性化合物のpKaが、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルのpKaよりも大きい、皮膚用化粧料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアクリレート-49を含有する皮膚用化粧料組成物。
【請求項2】
前記(A)ポリアクリレート-49の重量平均分子量が、1.0×10以上2.6×10以下である、
請求項1に記載の皮膚用化粧料組成物。
【請求項3】
前記(A)ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)が、-30℃以上40℃以下である、
請求項1または2に記載の皮膚用化粧料組成物。
【請求項4】
前記(A)ポリアクリレート-49を基準構造に換算したときの窒素含有量が、0.1mg/g以上20mg/g以下である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
【請求項5】
前記(A)ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有し、前記(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位が有するカルボキシル基は添加した塩基性化合物によって全部または一部が中和された構造を有するポリアクリレート-49であって、
前記(A)ポリアクリレート-49が有するカルボキシル基の物質量に対し、前記添加した塩基性化合物を1価の塩基性化合物に換算した物質量の割合が、25%以上である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
【請求項6】
前記(A)ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有し、前記(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位が有するカルボキシル基は添加した塩基性化合物によって全部または一部が中和された構造を有するポリアクリレート-49であって、
前記添加した塩基性化合物のpKaが、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルのpKaよりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の皮膚用化粧料組成物を皮膚に塗布し、乾燥させる工程、およびその後、洗浄剤を使用する工程を有する使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚用化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水仕事によって、手の表面にある皮脂が失われることにより、水分が蒸発しやすくなり、手荒れが生じることは知られている。このため、手荒れの予防策として、手袋の着用またはハンドクリーム等の外用剤の使用が推奨されてきた。
しかし、洗髪等を行う理美容師における約半数が手荒れに悩んでいるといわれている。これは、手袋を使用するとシャンプーのときにお客さんの髪が絡まることがあり、クリーム類では、乾きが遅く、べたつくことがあるため、サロンワークに支障をきたすことがあった。このため、手袋またはハンドクリームを使用した手荒れ予防策の実施率は低いものであった。
【0003】
特許文献1は、サロンワーク向けの皮膚を保護する耐水性および耐薬品性(例えば、染毛剤またはパーマ剤等)を有する皮膚保護剤を開示する。また、特許文献2および3は、耐水性およびアルカリ可溶性のアクリル酸系樹脂含有皮膚保護剤を開示する。
これらの皮膚保護剤は、シャンプー作業および染毛剤によって、剥がれることがあり、肌(手)荒れ予防効果が十分とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-242528号公報
【特許文献2】特開平5-32535号公報
【特許文献3】特開2011-126797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サロンワークにおいても、耐水性の高い被膜で手等の皮膚をコーティングすることによって、シャンプー等の洗浄成分および染毛剤等から皮膚を保護し、肌荒れを予防する優れた効果と、高い柔軟性および持続性を有する被膜によるサロンワークへの支障のなさとを両立した皮膚用化粧料組成物が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、耐水性および持続性(特に、シャンプー耐久性および摩擦耐久性)が向上した被膜を形成する肌荒れ防止効果に優れた皮膚用化粧料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の皮膚用化粧料組成物は、(A)ポリアクリレート-49を含有する。
【0008】
本発明の一態様にかかる皮膚用化粧料組成物において、前記(A)ポリアクリレート-49の重量平均分子量が、1.0×10以上2.6×10以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様にかかる皮膚用化粧料組成物において、前記(A)ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)が、-30℃以上40℃以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の一態様にかかる皮膚用化粧料組成物において、前記(A)ポリアクリレート-49を基準構造に換算したときの窒素含有量が、0.1mg/g以上20mg/g以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様にかかる皮膚用化粧料組成物において、前記(A)ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有し、前記(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位が有するカルボキシル基は添加した塩基性化合物によって全部また一部が中和された構造を有するポリアクリレート-49であって、前記(A)ポリアクリレート-49が有するカルボキシル基の物質量に対し、添加した塩基性化合物を1価の塩基性化合物に換算した物質量の割合が、25%以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の一態様にかかる皮膚用化粧料組成物において、前記(A)ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有し、前記(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位が有するカルボキシル基は添加した塩基性化合物によって全部または一部が中和された構造を有するポリアクリレート-49であって、前記添加した塩基性化合物のpKaが、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルのpKaよりも大きいことが好ましい。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、前記皮膚用化粧料組成物を皮膚に塗布し、乾燥させる工程、およびその後、洗浄剤を使用する工程を有する使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐水性および持続性(特に、シャンプー耐久性および摩擦耐久性)が向上した被膜を形成する肌荒れ防止効果に優れた皮膚用化粧料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の皮膚用化粧料組成物について説明する。本明細書において、「(メタ)アクリル」はメタクロイル基およびアクリロイル基の両官能基の総称を意味する用語である。同様に、「(メタ)アクリレート」は、メタクロイルオキシ基またはアクリロイルオキシ基を有する化合物の総称を意味する用語である。
【0016】
本発明における皮膚用化粧料組成物に含有される各成分について、以下に説明する。
[(A)ポリアクリレート-49]
本発明の皮膚用化粧料組成物は、含有するポリアクリレート-49により、皮膚に被膜が形成されることによって、洗浄等による皮膚から皮脂の流出を防ぎ、皮膚からの過剰な水分の蒸発を抑制することによって、皮膚の荒れを防止するという効果を奏する。
本発明におけるポリアクリレート-49は、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルおよびメタクリル酸2-ジメチルアミノエチルを必須とし、これに(メタ)アクリル酸および一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される1種単独または2種以上の単量体とを共重合して得られるアクリル系共重合体の構造(以下、「ポリアクリレート-49の基準構造」という。)、またはそのアクリル系共重合体に塩基性化合物もしくは酸性化合物を加えて製造したアクリル系共重合体の塩の構造を有するものである。
【0017】
【化1】
(ここで、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1~4のアルキル基である。)
【0018】
したがって、ポリアクリレート-49の構造は、一般式(2)で表される繰り返し単位、一般式(3)で表される繰り返し単位および一般式(4a)で表される繰り返し単位または一般式(4b)で表される繰り返し単位を必須の構造とし、残余の繰り返し単位は、一般式(5a)で表される繰り返し単位、一般式(5b)で表される繰り返し単位および一般式(6)で表される繰り返し単位からなる群から選択される少なくとも1種の構造とからなる。
また、ポリアクリレート-49の構造は、1、2-結合と2、1-結合が混在してもよく、重合方法により必然的に生じる場合がある分岐構造を含んでいてもよい。
【0019】
【化2】
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
(ここで、Xは、m価のアニオンである。)
【0023】
【化6】
(ここで、Rは、水素原子またはメチル基である。)
【0024】
【化7】
(ここで、Rは、水素原子またはメチル基であり、Yはn価のカチオンである。)
【0025】
【化8】
(ここで、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数1~4のアルキル基である。)
【0026】
ポリアクリレート-49は、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよい。
【0027】
また、本発明において、「ポリアクリレート-49の基準構造に換算した場合」とは、ポリアクリレート-49の基準構造以外の構造を有する場合(例えば、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルから誘導される繰り返し単位がポリアクリレート-49の繰り返し単位に含まれるカルボキシル基以外の酸で中和された構造を有する場合)に、ポリアクリレート-49の基準構造であると仮定することをいう。
具体的には、「ポリアクリレート-49の基準構造に換算した場合」とは、一般式(4b)で表される構造を有する場合には、一般式(4a)で表される構造を有すると仮定し、一般式(5b)で表される構造を有する場合には、一般式(5a)で表される構造を有すると仮定し、一般式(4b)で表される構造および一般式(5b)で表される構造を有する場合には、それぞれ、一般式(4a)で表される構造および一般式(5a)で表される構造を有すると仮定することをいう。
【0028】
ポリアクリレート-49は、アクリル酸から誘導される繰り返し単位のみ、メタクリル酸から誘導される繰り返し単位のみまたは両者を含む繰り返し単位を有してもよい。
ポリアクリレート-49は、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有することが好ましい。(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有すると耐水性が向上する。
【0029】
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルにおけるRおよび一般式(6)で表される繰り返し単位におけるRで表される炭素数1~4のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基およびtert-ブチル基を挙げることができる。
ポリアクリレート-49において、一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位(一般式(6)で表される繰り返し単位)は、1種単独であってよく、2種以上であってもよい。
【0030】
本発明において、ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレンを標準物質として測定された相対重量平均分子量である。
ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)は、1.0×10以上が好ましく、1.3×10以上がより好ましい。ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10以上であると、肌荒れ防止効果、持続性(シャンプー耐久性および摩擦耐久性)およびべたつきが向上する。
また、ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)は、2.6×10以下が好ましく、2.0×10以下がより好ましい。ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)が2.6×10以下であると、肌荒れ防止効果が向上する。
【0031】
ポリアクリレート-49の基準構造に換算した場合において、ポリアクリレート-49 1g当たり窒素含有量(mg)は、0.1mg/g以上が好ましく、1mg/g以上がより好ましく、1.5mg/g以上がさらに好ましく、6mg/g以上が特に好ましい。0.1mg/g以上であると、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性およびシャンプー後の髪の感触が向上し、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりが抑制される。
また、ポリアクリレート-49の基準構造に換算した場合において、窒素含有量は、20mg/g以下が好ましく、10mg/g以下がより好ましく、7mg/g以下がさらに好ましい。20mg/g以下であると、肌荒れ防止効果および摩擦耐久性が向上する。
ポリアクリレート-49の基準構造において、窒素原子を含有する繰り返し単位は、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルから誘導される繰り返し単位のみである。
したがって、窒素含有量(mg/g)は、ポリアクリレート-49におけるメタクリル酸2-ジメチルアミノエチルから誘導される繰り返し単位の量に相関する値である。
【0032】
ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)は、-30℃以上が好ましく、-20℃以上がより好ましく、10℃以上がさらに好ましい。ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)が、-30℃以上であると、肌荒れ防止効果および持続性(シャンプー耐久性および摩擦耐久性)が向上し、べたつきおよびシャンプーのときの髪の絡まりが抑制される。
また、ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)は、40℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、15℃以下がさらに好ましい。ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)が、ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)が40℃以下であると、肌荒れ防止効果が向上する。
【0033】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、下記のFoxの式を用いて、不飽和単量体(M)の組成割合から算出した値をいう。
1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg (Foxの式)
(ここで、式中、Tgはポリアクリレート-49のガラス転移温度、pは、4以上の整数であり、ポリアクリレート-49を構成する繰り返し単位に相当する単量体の種類数を表す。また、ポリアクリレート-49を構成する繰り返し単位に相当する単量体の種類毎に番号を付与した場合、W、W、・・・Wは、番号に対応する単量体の質量分率を表し、Tg、Tg、・・・Tgは、番号に対応する単量体の単独重合体におけるガラス転移温度を表す。上記Foxの式におけるガラス転移温度の単位は絶対温度「K」である。)
【0034】
ポリアクリレート-49において、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を有する場合には、塩基性化合物が添加されることが好ましい。
塩基性化合物を添加すると、肌荒防止効果およびシャンプー耐久性がより向上する。
ポリアクリレート-49が有するカルボキシル基の物質量に対し、添加した塩基性化合物を1価の塩基性化合物に換算した物質量の割合は、25%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。ポリアクリレート-49が有するカルボキシル基の物質量に対し、添加した塩基性化合物を1価の塩基性化合物に換算した物質量の割合が、25%以上であると、シャンプー耐久性がより向上し、50%以上であると、肌荒防止効果がさらに向上する。
【0035】
本発明において、ポリアクリレート-49が有するカルボキシル基の物質量に対し、添加した塩基性化合物を1価の塩基性化合物に換算した物質量の割合を、カルボキシル基の中和率ともいう。カルボキシル基の中和率とは、添加した塩基性化合物に基づくものである。このため、カルボキシル基の中和率とは、ポリアクリレート-49における繰り返し単位中に含まれるカルボキシル基が、繰り返し単位中に含まれるジメチルアミノエチル基以外の塩基性化合物によって、中和された割合である。
したがって、(メタ)アクリル酸から誘導される繰り返し単位を含むポリアクリレート-49の基準構造では、カルボキシル基の中和率は「0」である。
【0036】
塩基性化合物としては、特に制限はない。例えば、塩基性化合物として、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム等)、水酸化マグネシウム、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化カルシウム等)、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭酸塩(炭酸カルシウム等)およびアミン(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)が挙げられる。
【0037】
また、添加する塩基性化合物としては、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルよりも強塩基性化合物を用いることが好ましい。
例えば、Chemicalize(https://chemicalize.com/welcome)を用いて計算したpKaは、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルは、pKa=8.42である。したがって、この場合、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルよりも強塩基性化合物とは、pKa=8.42を超えるpKaを有する塩基性化合物である。
限定するものではないが、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルよりも強塩基性化合物を添加すると、分子内結合が減少し、分子間の相互作用が増加することによって、シャンプー耐久性を向上させると考えられる。
本発明では、2価以上の塩基性化合物である場合におけるメタクリル酸2-ジメチルアミノエチルよりも強塩基性化合物とは、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチルよりもpKaが高い解離定数を有する塩基部分をいう。
【0038】
ポリアクリレート-49は、皮膚用化粧料組成物全体を基準として、1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。ポリアクリレート-49が1質量%以上であると、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性が向上する。
また、ポリアクリレート-49は、皮膚用化粧料組成物全体を基準として、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下が特に好ましい。ポリアクリレート-49が15質量%以下であると、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりが抑制され、シャンプー後の髪の感触が向上する。
【0039】
[(B)エタノール]
エタノールは、皮膚用化粧料組成物における固形成分をエタノール単独で、または他の溶剤とともに溶解する。
エタノールは、皮膚用化粧料組成物全体を基準として、80質量%以上、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
エタノールが、80質量%以上であると、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性、シャンプー後の髪の感触および速乾性が向上し、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりが抑制される。
【0040】
[(C)保湿剤]
本発明の皮膚用化粧料組成物は、保湿剤を含有することができる。保湿剤を含有することによって、皮膚に水分を浸透させることができ、浸透した水分を皮膚にとどめておく効果を向上させることができる。
保湿剤は、皮膚用化粧料組成物全体を基準として、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.25質量%以上がさらに好ましい。
保湿剤が、0.01質量%以上であると、肌荒れ防止効果が向上する。
また、保湿剤は、皮膚用化粧料組成物全体を基準として、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特により好ましい。
保湿剤が、20質量%以下であると、被膜中に保湿剤が残存し難く、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性、シャンプー後の髪の感触および速乾性が向上し、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりが抑制される。
【0041】
保湿剤としては、例えば、多価アルコール(グリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3‐ブチレングリコールまたはイソプレングリコール等)、糖類(グルコース、ショ糖、プルラン、トレハロースまたはマルトース等)、生体高分子(ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチンまたはキチン・キトサン等)、アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、植物・海藻エキス(ヤーバサンタエキス等)、セラミド、レシチン、ポリクオタニウム、アロエベラ液汁および2-ピロリドン-5カルボン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を併用することができる。
保湿剤として、多価アルコール、尿素、植物・海藻エキスまたはポリクオタニウムが好ましく、グリセリンまたはヤーバサンタエキス(ヤーバサンタ抽出物)がより好ましい。
【0042】
海藻抽出物としては、例えば、アルギン酸、カラギーナン、寒天、ファーセレラン等が挙げられる。
植物抽出物としては、例えば、アロエエキス、オウゴンエキス、オトギリソウエキス、カンゾウエキス、シソエキス、セイヨウサンザシエキス、ローズマリーエキス、ウコンエキス、カイソウエキス、ゴボウエキス、ショウキョウエキス、ゼニアオイエキス、チャエキス、ハマメリスエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ムクロジエキスおよびヤーバサンタエキス(ヤーバサンタ抽出物)等が挙げられる。
【0043】
ヤーバサンタエキス(ヤーバサンタ抽出物)とは、ヤーバサンタの花、果穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子又は全草等から溶媒抽出、超臨界流体抽出、水蒸気蒸留等の蒸留法、圧搾等の周知の方法により得られる抽出物をいう。当該抽出物は抽出により得られる物であれば良く、揮発性成分、不揮発性成分、乾固により構造が変化する成分を含んでよい。抽出物の調製に好ましい部位は茎または葉である。ヤーバサンタ抽出物は適宜市販品を使用しても良い。
【0044】
ヤーバサンタは、ハゼリソウ科(Hydrophyllaceae)、エリオディクティオン属(Eriodictyon)の植物:例えば、Eriodictyon angustifolium Nutt.、Eriodictyon californicum(Hook.et Arn.)Torr.、Eriodictyon tomentosum Benth.、Eriodictyon altissimum P.V.Wells、Eriodictyon capitatum Eastw.、Eriodictyon crassifolium Benth.、Eriodictyon traskiae Eastw.、Eriodictyon trichocalyx A.Heller等を含む概念である。好ましくは、Eriodictyon angustifolium Nutt.である。
【0045】
ヤーバサンタ抽出物は、季節変動がある場合は、フラボノイド産生が盛んな時期に採取したヤーバサンタの抽出物が好ましく、ステルビンを含むヤーバサンタの抽出物がより好ましい。具体的には、Eriodictyon angustifolium Nutt.が好ましい。
【0046】
溶媒等を用いて上記ヤーバサンタ抽出物を得る場合、抽出に用いる溶媒の種類は限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、エーテル類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびグリセリン等を挙げることができ、これらの1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。上記した抽出溶媒のうち特に、水、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびグリセリンが好ましい。
【0047】
[水]
皮膚用化粧料組成物の態様は、ポリアクリレート-49が皮膚に付着後、被膜を形成できればよいことから、ポリアクリレート-49が析出しないかぎり、水を使用することも可能である。
水は、単独または他の分散媒および溶媒(エタノール等)と併用することができる。
皮膚用化粧料組成物は、溶媒を揮発させ、被膜を形成することから、比較的揮発性の低い水を含有しないことが好ましい。
【0048】
[その他の成分]
本発明の皮膚用化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意のその他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、例えば、油成分、界面活性剤、抗炎症剤、清涼剤(メントール、サリチル酸メチル等)、紫外線吸収剤、動植物抽出物、水溶性高分子化合物、酸性化合物、防腐剤、収斂剤、老化抑制剤、酸化防止剤、顔料、染料、ビタミン類、美白剤、生薬抽出物、殺菌剤、抗菌剤、皮膚軟化剤、抗酸化剤、日焼け止め、溶媒・分散媒(エタノールおよび水を除く)、キレート剤、安定剤、香料、無機塩および分散剤等が挙げられる。
【0049】
<油成分>
油成分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油および動植物油を挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソヘキサドデカン、オレフィンオリゴマー、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィンおよびワセリン等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸プロピレングリコールおよびヒドロキシステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチコン、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンおよびエポキシ変性シリコーン等が挙げられる。
動植物油としては、例えば、椿油、大豆油、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油、水素添加パーム油、アボカド油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、ククイナッツ油、サフラワー油、アーモンド油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ種子油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油、タートル油、ミンク油および卵黄油等が挙げられる。
【0050】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
ここで、以下の記載において、POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を示し、これに続くカッコ内の数字は、その付加モル数を示している。また、アルキルに続くカッコ内の数字は、脂肪酸鎖の炭素数を示している。
【0051】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEラノリン、POEフィトステロール等が挙げられる。
【0052】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類および塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0053】
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムおよびメチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。特に好ましくは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウムおよび塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0054】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニル エーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤およびスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオンおよびトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0055】
より具体的には、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸およびその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸およびミリスチン酸並びにこれらの高級脂肪酸の塩が挙げられ、1種単独又は2種以上を使用することができる。
【0056】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤およびベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウムおよびパーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤並びにラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムおよびラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタインおよびステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤並びにラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0057】
<抗炎症剤>
抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸およびその塩等が挙げられる。
<清涼剤>
清涼剤としては、例えば、メントールおよびサリチル酸メチル等が挙げられる。
【0058】
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸メチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸エトキシエチル)、ジメトキシケイ皮酸モノエチルヘキサン酸グリセリル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、オクチルトリアゾン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコン-15、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オキシベンゾン-3、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベンゾトリアゾール、ベンジリデンカンファー、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチルおよびフェニルベンズイミダゾールスルホン酸等が挙げられる。
【0059】
<水溶性高分子化合物>
水溶性高分子化合物は、皮膚用化粧料組成物の粘度を調製し、取り易さを向上することできる。
水溶性高分子化合物の具体例としては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子および無機物系高分子が挙げられる。天然の水溶性高分子化合物としては、例えば、グアーガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリンおよびローカストビーンガム等の種子粘質物、アラビアガム、ガッティガム、カラヤガムおよびトラガカントガム等の樹液粘質物、アラビノガラクタン、ペクチンおよびマルメロ等の果実粘質物、小麦タンパク質および大豆タンパク質等の植物系タンパク質、アルブミン、カゼイン、ゼラチンおよびセラック等の動物系タンパク質、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、シクロデキストリン、デキストランおよびサクシノグルカン等の微生物の産生粘質物並びにムコ多糖等が挙げられる。
【0060】
半合成の水溶性高分子化合物としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステルおよびアルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)等が挙げられる。
【0061】
合成の水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテルおよびエチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体等が挙げられる。また、その他にも、例えばイタコン酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルとの半エステル等が挙げられる。
【0062】
<酸性化合物>
酸性化合物としては、例えば、リン酸、クエン酸、乳酸等が挙げられる。
<防腐剤>
防腐剤としては、例えば、安息香酸Na、フェノキシエタノール、メチルパラベン、サリチル酸等が挙げられる。
【0063】
<収斂剤>
収斂剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、オキシド水和物、酸化アルミニウム水和物(ベーマイト)および水酸化物並びにカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウムまたは亜鉛のクロロハイドレート等が挙げられる。
<老化抑制剤>
老化抑制剤としては、例えば、アスタキサンチン類およびリオニレシノール等が挙げられる。
【0064】
<溶媒または分散媒>
本発明における溶媒または分散媒は、ポリアクリレート-49が析出しない限り、特に制限はない。溶媒または分散媒としては、例えば、ケトン類(アセトン等)およびエーテル類(ジエチルエーテル等)を挙げることができる。
【0065】
[皮膚用化粧料組成物]
本発明における皮膚用化粧料組成物を適用できる部位は、特に限定されず、例えば、顔、首、手(腕、肘、指、甲および掌等)、足(脚、膝、くるぶし、かかと、指、甲および裏等)または胴(肩、胸、腹および背中等)等のいずれであってもよい。洗浄が比較的多く行われる手首から指先にかけての部位に適用することが好ましい。
【0066】
本発明の皮膚用化粧料組成物の態様は、ポリアクリレート-49が皮膚に付着後、被膜を形成できればよく、ゾル、ジェル、ムース、クリーム、エマルション(W/O型またはO/W型)または液体等であってもよい。本発明の皮膚用化粧料組成物を皮膚に付着させる方法も特に制限はなく、スプレーまたは手もしくは刷毛を利用した塗布であってもよい。また、本発明の皮膚用化粧料組成物による被膜を十分に形成させるため、皮膚に塗布後に乾燥を行うことが好ましい。乾燥は、例えば、自然乾燥、ドライヤー等の乾燥機を用いた風、温風または熱風を用いて行ってもよい。
被膜は耐水性を有することから、洗浄剤を使用しても、被膜が水によって洗い流されることがなく、皮膚を保護し、皮脂を残し、肌荒れを防止することができる。
【0067】
[皮膚用化粧料組成物の用途]
被膜を形成させ、皮膚を保護する用途であれば、特に限定されるものではない。好ましくは、例えば、手首から指先まで塗布することによって、被膜を形成させ、水洗または洗浄剤を使用した洗浄であっても、皮脂の流失を防ぎ、肌荒れを防止することができる化粧料として使用することができる。
【実施例0068】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
各表中、各成分の欄に記載した値およびその合計値の単位は質量部である。
【0069】
本発明では、用いた測定方法および評価方法が以下のとおりである。
また、ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式より算出した。
[1]測定方法
ポリアクリレート-49における重量平均分子量(Mw)、窒素含有量およびカルボキシル基の中和率は以下のように測定した。
(1)重量平均分子量(Mw)
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて測定した。
装置:昭和電工社製 SHODEX SYSTEM 11
検出器:RI
カラム:SHODEX KF-800P,KF-005,KF-003およびKF-001の4本直列
カラム温度:45℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1mL/分、
標準物質:ポリスチレン
【0070】
(2)窒素含有量
窒素含有量は、平成18年3月31日付け薬食発第0331030号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬部外品原料規格2006について」の別添において「医薬部外品原料規格2006」の一部改正(平成25年3月29日付け薬食発0329第18号)における一般試験測定法の部45.窒素定量法の欄に記載の第1法(セミミクロケルダー法)に基づき、スーパーケル1500-N型(株式会社アクタック製)を用いて、測定終点検出法(比色測定法)で測定した。
単位は、ポリアクリレート-49の基準構造に換算した樹脂1g当たりに含まれる窒素の質量(mg)である。
【0071】
(3)カルボキシル基の中和率
ア カルボキシル基の数の決定
カルボキシル基の数の決定は、平成18年3月31日付け薬食発第0331030号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬部外品原料規格2006について」の別添において「医薬部外品原料規格2006」における一般試験測定法27.酸価測定法の欄の第3法に準じて行った。
具体的には、基準構造のポリアクリレート-49 約5gを精密に量り、エタノール(99.5%)50mLに溶かし、測定試料とした。
測定試料は、電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、製品名AT-610)を用い、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール液で電位差測定法により滴定した。
同様の操作で空試験を行って補正した。
測定結果から、式(1)に基づいて、基準構造のポリアクリレート-49 1g中におけるカルボキシル基の量(mmol)を算出した。

基準構造のポリアクリレート-49 1g中におけるカルボキシル基の量(mmol)=
{KOHエタノールの消費量(mL)×0.1×10-3}/{測定試料中の基準構造のポリアクリレート-49の量(g)}・・・(1)

イ カルボキシル基の中和率
カルボキシル基の中和率は、上記の式(1)で算出した基準構造のポリアクリレート-49 1g中におけるカルボキシル基の量(mmol)の値に基づき、次の式(2)によって求めた。

カルボキシル基の中和率(%)=
{基準構造のポリアクリレート-49 1g当たりに添加した塩基性化合物の量(mmol)×添加した塩基性化合物の価数}/{基準構造のポリアクリレート-49 1g中におけるカルボキシル基の量(mmol)}×100・・・(2)
【0072】
[2]評価方法
(1)肌荒れ防止効果
ア 意義
経表皮水分蒸散量(TEWL)は、皮膚の乾燥状態を調べるために測定されるものの一つで、汗によらず角層を通って蒸散する僅かな水分量で表される。このTEWLの値が低いほど角層のバリア機能が高いことを意味する。一般に、シャンプーやドライヤーにより天然保湿因子(NMF)が失われ、乾燥することでTEWLの値は上昇、すなわちバリア機能が低下する。この肌バリア機能低下を抑制する効果を、肌荒れ防止効果という。
【0073】
イ 試料調製
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物0.02gを前腕内側皮膚4cmに塗布し、室温で3分間放置して乾燥させ、被膜を形成させた。
被膜が形成された前腕内側皮膚を、プロマスターカラーケア スタイリッシュ シャンプー(ホーユー株式会社製、以下、「試験シャンプー」という。)3gを用いて、洗浄した。
洗浄後、ドライヤー(1200W)の温風を30cm離した位置から前腕内側皮膚に1分間当てて乾燥させた。
その後、シャンプー処理およびドライヤー処理を、さらに2回繰返した(合計して3回行った。)
処理終了後、25℃50%RHのチャンバー室内にて20分間静置し、皮膚を馴化させ、測定に用いた。
【0074】
ウ TEWL測定
AquaFlux AF200(Biox Systems Ltd製)を使用して、同一部位にてサンプル処理前およびサンプル処理後のTEWLを各3回測定し、平均した。
TEWLの増加率を以下の式(3)を使って算出した。

TEWLの増加率(%)={(サンプル処理後のTEWL平均値)-(サンプル処理前のTEWL平均値)}/(サンプル処理前のTEWL平均値)×100・・・(3)
【0075】
(評点基準)
5:TEWLの増加率が5%以下
4:TEWLの増加率が5%を超え、10%以下
3:TEWLの増加率が10%を超え、15%以下
2:TEWLの増加率が15%を超え、20%以下
1:TEWLの増加率が20%を超える
【0076】
(2)シャンプー耐久性
ア 意義
皮膚用化粧料組成物によって形成される被膜にシャンプー溶液が接触した状態での被膜の耐久性を示す。
シャンプー耐久性が高いものは、シャンプー溶液に浸漬しても被膜の状態は変わらないが、耐久性が低いものは、被膜が白濁し、さらに剥離が起こる。
シャンプー耐久性は、持続性の指標の一つである。
【0077】
イ 試料調製
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物0.01gをスライドガラス上に滴下し、室温で3分間乾燥させ、被膜を形成させた。
その後、シャーレ上にスライドガラスを乗せ、精製水で10%(w/w)に希釈した試験シャンプースライドガラスが浸漬する十分な量入れた。
被膜が形成されたスライドガラスを10%試験シャンプー溶液に1分間浸漬し、取り出した後、室温で一晩乾燥させた。
【0078】
ウ 評価
10%試験シャンプー溶液に浸漬していない被膜と比較して、被膜の状態をパネラー10名で目視評価した。各パネラーは、「変化なし:5点」、「若干白濁している:4点」、「少し白濁している:3点」、「かなり白濁している:2点」および「剥離している:1点」なる基準に従って、採点した。
【0079】
10名のパネラーの採点結果を平均し、その平均点を下記評価基準に当てはめシャンプー耐久性を評価した。
(評価基準)
5(優れる) :4.6点以上
4(良好) :3.6点以上4.6点未満
3(可) :2.6点以上3.6点未満
2(やや不良):1.6点以上2.6点未満
1(不良) :1.6点未満
【0080】
(3)摩擦耐久性
ア 意義
皮膚用化粧料組成物によって形成される被膜に摩擦を加えた場合の耐久性を示す。
摩擦耐久性が高いものは、摩擦後も被膜が持続しているが、摩擦耐久性が低いものは、被膜の部分的なあるいは完全な剥離が起こる。
摩擦耐久性は持続性に関する指標の一つである。
【0081】
イ 試料調製
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物のエタノールのうち、0.5質量%分をカーボンブラックに置換えたサンプルを作成し、評価に用いた。
上記サンプル0.02gを前腕内側皮膚4cmに塗布し、室温で3分間放置して乾燥させ、被膜を形成させた。
形成させた被膜の上に、試験シャンプーを塗り、1分間指の腹を使って擦り、その後水洗して乾燥させた。
ウ 評価
摩擦前の被膜と比較して、カーボンブラックの残存割合をパネラー10名が目視評価した。各パネラーは、「全く剥離せず残存している:5点」、「わずかに剥離するがほとんど残存している:4点」、「やや剥離するが残存している:3点」、「ほとんど剥離し、わずかに残存している:2点」および「完全に剥離し、残存していない:1点」なる基準に従って採点した。
【0082】
10名のパネラーの採点結果を平均し、その平均点を下記評価基準に当てはめ摩擦耐久性を評価した。
(評価基準)
5(優れる) :4.6点以上
4(良好) :3.6点以上4.6点未満
3(可) :2.6点以上3.6点未満
2(やや不良):1.6点以上2.6点未満
1(不良) :1.6点未満
【0083】
(4)べたつき
ア 評価
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物1gを両手に塗り広げて乾燥させた。乾燥中~乾燥後の手のべたつきをパネラー10名が評価した。各パネラーは、「全くべたつかない:5点」、「ほとんどべたつかない:4点」、「あまりべたつかない:3点」、「少しべたつく:2点」および「べたつく:1点」なる基準に従って採点した。
【0084】
10名のパネラーの採点結果を平均し、その平均点を下記評価基準に当てはめべたつきを評価した。
(評価基準)
5(優れる) :4.6点以上
4(良好) :3.6点以上4.6点未満
3(可) :2.6点以上3.6点未満
2(やや不良):1.6点以上2.6点未満
1(不良) :1.6点未満
【0085】
(5)シャンプー中の髪の絡まり
ア 評価
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物1gを両手に塗り広げて乾燥させた。その後、試験シャンプー3gを手に取り、毛束10gをシャンプー処理した。
その際の毛束と指の絡まりを、素手でシャンプーした場合と比較して、パネラー10名が評価した。各パネラーは、「素手でシャンプーした場合と同等である:5点」、「素手でシャンプーした場合と比べてわずかに髪が絡まる:4点」、「素手でシャンプーした場合と比べてやや髪が絡まる:3点」、「素手でシャンプーした場合と比べて髪が絡まる:2点」および「素手でシャンプーした場合と比べてとても髪が絡まる:1点」なる基準に従って採点した。
【0086】
10名のパネラーの採点結果を平均し、その平均点を下記評価基準に当てはめシャンプー中の髪の絡まりを評価した。
(評価基準)
5(優れる) :4.6点以上
4(良好) :3.6点以上4.6点未満
3(可) :2.6点以上3.6点未満
2(やや不良):1.6点以上2.6点未満
1(不良) :1.6点未満
【0087】
(6)シャンプー後の髪の感触
ア 試料調製
各実施例および比較例の皮膚用化粧料組成物1gを両手に塗り広げて乾燥させた。その後、試験シャンプー3gを手に取り、毛束10gをシャンプー処理した。
そして、水洗、タオルドライし、ドライヤーで乾燥させた毛束を、恒温恒湿条件(25℃、50%RH)下にて1晩放置した。
イ 評価
パネラー10名が、上記アで調製した毛束と、素手でシャンプーした毛束とを比較し、毛束の指通りの良さと、柔らかさとを評価した。各パネラーは、「素手でシャンプーした毛束と同等である:5点」、「素手でシャンプーした毛束と比べてわずかに指通りが悪い、またはわずかに硬さを感じる:4点」、「素手でシャンプーした毛束と比べてやや指通りが悪い、またはやや硬さを感じる:3点」、「素手でシャンプーした毛束と比べて指通りが悪い、または硬さを感じる:2点」および「素手でシャンプーした毛束と比べてとても指通りが悪い、またはとても硬さを感じる:1点」なる基準に従って採点した。
【0088】
10名のパネラーの採点結果を平均し、その平均点を下記評価基準に当てはめシャンプー後の髪の感触を評価した。
(評価基準)
5(優れる) :4.6点以上
4(良好) :3.6点以上4.6点未満
3(可) :2.6点以上3.6点未満
2(やや不良):1.6点以上2.6点未満
1(不良) :1.6点未満
【0089】
実施例で使用したポリアクリレート-49(互応化学工業(株)社製)は、いずれもメタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-ジメチルアミノエチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸メチルの7元共重合体である。また、ポリアクリレート-49におけるカルボキシル基の中和には、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(pKa=10.04。Chemicalize(https://chemicalize.com/welcome)を用いて計算したpKa値)を用いた。重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度および窒素含有量は、基準構造における値である。
【0090】
[実施例1]
樹脂A5質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
【0091】
[比較例1]
実施例1における樹脂Aの代わりに、メタクリル酸コポリマーL(レーム・ファーマ社製、オイドラギットL100)を使用し、製造した皮膚用化粧料組成物を、比較例1とした。
【0092】
[比較例2]
トリメチルシロキシケイ酸(信越化学工業社製、製品名:X-21-5595、固形分濃度60%)8.3質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
【0093】
[比較例3]
アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン(ダウケミカル社製、アキュリン33A、固形分濃度28%)17.8質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
[比較例4]
ウォーターグローブ(株式会社ネオラファ社製、ニトロセルロース含有)100質量部を用い、皮膚用化粧料組成物とした。
[比較例5]
全量をエタノールとした。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
本発明の皮膚用化粧料組成物は、メタクリル酸コポリマーL、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンまたはウォーターグローブ(ニトロセルロース含有)を使用した皮膚用化粧料組成物に比較し、経表皮水分蒸散量は半分未満であり、肌荒れ防止効果およびシャンプー耐久性が顕著に優れる。
また、本発明の皮膚用化粧料組成物は、摩擦耐久性、べたつき、シャンプー中の髪の絡まりおよびシャンプー後の感触の各評価項目において、いずれも他の被膜形成成分を使用した場合に比較し、同等以上の評価となった。
【0096】
[実施例2]
樹脂B5質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
[実施例3~5]
実施例2における樹脂Bの代わりに、表2に記載の樹脂を、各々使用し、製造した皮膚用化粧料組成物を、実施例3、実施例4および実施例5とした。
【0097】
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表2に示す。
評価に用いた樹脂A、B、C、DおよびEのガラス転移温度は12.2℃およびカルボキシル基の中和率は90%であり、重量平均分子量(Mw)は1.8×10であった。また、各樹脂の窒素含有量(mg/g)は、カルボキシル基の中和前における各樹脂の基準構造であるときの測定値である。
【0098】
【表2】
【0099】
窒素含有量は、肌荒れ防止効果および摩擦耐久性に影響する。肌荒れ防止効果および摩擦耐久性は、窒素含有量10mg/g以下で、さらに向上する。
【0100】
[実施例6]
樹脂F5質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
【0101】
[実施例7~9]
実施例6における樹脂Fの代わりに、表3に記載の樹脂を各々使用し、製造した皮膚用化粧料組成物を、実施例7、実施例8および実施例9とした。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表3に示す。
評価に用いた樹脂F、G、HおよびIのガラス転移温度は12.2℃およびカルボキシル基の中和率は90%であった。
【0102】
【表3】
【0103】
ポリアクリレート-49の重量平均分子量(Mw)が1.0×10以上であれば、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性および摩擦耐久性が向上し、べたつきが抑制される。
重量平均分子量(Mw)が、1.3×10以上2.0×10以下の範囲で、肌荒れ防止効果が、いっそう向上する。
【0104】
[実施例10]
樹脂J5質量部およびエタノールとを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
[実施例11~13]
実施例10における樹脂Jの代わりに、表4に記載の樹脂を、各々使用し、皮膚用化粧料組成物を製造し、実施例11、実施例12および実施例13とした。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表4に示す。
評価に用いた樹脂J、K、LおよびMのカルボキシル基の中和率は90%であり、重量平均分子量(Mw)は1.8×10であった。
【0105】
【表4】
【0106】
ポリアクリレート-49のガラス転移温度(Tg)は、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりに影響する。
ガラス転移温度(Tg)が、20℃以下であると、肌荒れ防止効果が、より向上する。
ガラス転移温度(Tg)が、12℃以上であると、シャンプー耐久性がより向上する。
ガラス転移温度(Tg)が、0℃以上であると、摩擦耐久性がより向上し、べたつきおよびシャンプー中の髪の絡まりもより抑制される。
【0107】
[実施例14]
樹脂N5質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
[実施例15~18]
実施例14における樹脂Nの代わりに、表5に記載の樹脂を、各々使用し、皮膚用化粧料組成物を製造し、実施例15、実施例16、実施例17および実施例18とした。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表5に示す。
評価に用いた樹脂A、O、P、QおよびRは、樹脂Nのカルボキシル基を2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールで中和して製造した。
【0108】
【表5】
【0109】
ポリアクリレート-49のカルボキシル基の中和率は、肌荒れ防止効果およびシャンプー耐久性に影響する。カルボキシル基の中和率が50%以上であれば、肌荒れ防止効果が、より向上する。また、カルボキシル基の中和率が、25%以上であれば、シャンプー耐久性がより向上する。
【0110】
[実施例19]
樹脂A1質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
[実施例20および21]
実施例19において、樹脂Aの含有量を表6に記載の量に変更し、皮膚用化粧料組成物を製造し、実施例20および実施例21とした。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表6に示す。
【0111】
【表6】
【0112】
ポリアクリレート-49の濃度は、3質量%以上で、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性および摩擦耐久性がより向上する。また、5質量%付近で、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性および摩擦耐久性がいっそう向上する。
【0113】
[実施例22]
樹脂A5質量部、グリセリン(保湿剤)1質量部およびエタノール(99.5%)とを混合し、全体を100質量部とした皮膚用化粧料組成物を製造した。
【0114】
[実施例23]
実施例22におけるグリセリンの代わりに、ヤーバサンタ抽出物(Eriodictyon angustifolium Nutt.の抽出物)を使用し、皮膚用化粧料組成物を製造した。
製造した皮膚用化粧料組成物の評価をした。結果を表7に示す。
【0115】
【表7】
【0116】
本発明の皮膚用化粧料組成物に、保湿剤を本明細書に規定する範囲で添加しても、肌荒れ防止効果、シャンプー耐久性、摩擦耐久性、べたつき、シャンプー中の髪の絡まりおよびシャンプー後の髪の感触の各種効果を保つことができる。