(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060113
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】殺菌光線による高効率な流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/08 20060101AFI20220407BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220407BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220407BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20220407BHJP
G02B 5/10 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A61L2/08
A61L9/20
C02F1/32
G02B19/00
G02B5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168128
(22)【出願日】2020-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】717004043
【氏名又は名称】阿部 修治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 修治
【テーマコード(参考)】
2H042
2H052
4C058
4C180
4D037
【Fターム(参考)】
2H042DD06
2H042DE04
2H052BA03
2H052BA07
2H052BA11
4C058AA20
4C058BB06
4C058EE23
4C058EE26
4C058KK01
4C058KK02
4C058KK12
4C058KK22
4C058KK27
4C058KK28
4C058KK32
4C058KK33
4C058KK42
4C058KK50
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH11
4C180LL04
4C180MM08
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】確実かつ効果的な流体の殺菌方法の確立が望まれる。
【解決手段】殺菌光線によるコリメート光の光路と殺菌対象の流体の流路とを略合致させ、長大な直線路を形成することにより、確実かつ効果的な殺菌を可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の殺菌装置であり、
殺菌灯、当該殺菌灯から放射される殺菌光線の一部をコリメート光に変換する位置に設置されたコリメーター、および、殺菌流路を含む流路とからなり、
当該殺菌流路には、
内部を当該コリメート光により照射され、長さが、当該コリメート光の幅に対し、4倍以上である、直線路が含まれる、装置
【請求項2】
前記請求項1に記載の装置は、当該コリメーターが、放物面鏡である、装置
【請求項3】
前記請求項1から2のいずれかに記載の装置は、当該直線路について、内部を通過する当該流体の流れの方向と、内部を照射する当該コリメート光の方向とが、略平行である、装置
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれかに記載の装置は、当該直線路上の任意の位置を通る当該直線路に直交する平面で切断した、当該直線路内部空間と当該コリメート光の光路の断面が、略一致する、装置
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、屈曲部分により接続される複数の直線路を含み、
当該屈曲部分は、それぞれ、当該殺菌流路内に面して、平面の反射面を具有し、
当該平面の反射面は、
当該屈曲部分に接続される2の直線路の方向同士が成す内角の二等分線を法線とする角度を成し、かつ、
当該2の直線路の、それぞれの範囲上の任意の位置におけるそれぞれの方向を法線とする平面で切断したそれぞれの断面と、当該反射面の、それぞれの当該方向の、それぞれの当該平面への射影が、略一致する、装置
【請求項6】
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、一定の長さ以内ごとに180度折り返し、直線路と折り返し部分とを交互に繰り返して成るつづら折り状の部分を含む、装置
【請求項7】
前記請求項6に記載の装置は、当該折り返し部分が、それぞれ、当該殺菌流路内に面し、相互に直角の内角を成し隣接し合う2面の平面の反射面を具有し、
当該2面の平面の反射面同士が交差して成す辺は、当該屈曲部に接続する2の直線路の方向に対し直角、かつ、当該2の直線路を隔てる殺菌流路板の略延長面上にある、装置
【請求項8】
前記請求項5に記載の装置は、当該殺菌流路が、当該直線路と当該屈曲部分とを交互に繰り返し、渦巻き状の殺菌流路を形成する、装置
【請求項9】
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、等圧チャンバーを介し、並列状に分岐して接続される、平行に配置された複数の直線路を具有する、装置
【請求項10】
前記請求項1から9のいずれかに記載の装置は、室内の空気に対する殺菌装置であり、
当該室内の壁面に対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して被装される面状体を具備し、
当該殺菌流路は、当該間隙から成り、または、当該間隙に殺菌流路板を挟入されて成り、
当該面状体の上下端それぞれに近接して、当該殺菌流路内の空気と当該室内の空気とを流通自在に接続する水平スリットを具有する、装置
【請求項11】
前記請求項1から4のいずれか記載の装置は、室内の空気に対する殺菌装置であり、
当該室内の、壁面および天井面のそれぞれに対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して設置される水平材と、
当該壁面および当該室内の床面のそれぞれに対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して設置される水平材と、
当該水平材のいずれか一方に取り付けられ、当該水平材間に張架される遮光スクリーンとを具備し、
当該直線路は、当該壁面と当該スクリーンとの間隙から成り、
当該殺菌灯は略線光源であり、かつ、当該コリメーターは、当該殺菌灯に平行な略柱体であり、
当該殺菌灯および当該コリメーターは、当該水平材のいずれか一方に、当該水平材に平行に、または、当該間隙の側方の壁面に、鉛直に、設置される、装置
【請求項12】
前記請求項11に記載の装置は、
当該殺菌灯および当該コリメーターが、当該水平材のいずれか一方に設置され、
当該殺菌灯または当該コリメーターが、重力により、投射されるコリメート光の方向が略鉛直方向に調整される回転自在な支持機構を介し、当該水平材に取り付けられる、装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
殺菌光線による流体の殺菌装置に関するもの
【背景技術】
【0002】
従来の殺菌光線を用いた流体の殺菌装置には、冷陰極管を容器内に設置し、室内空気を取り込み殺菌して循環させる機器や、水槽内の水を殺菌する機器などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、コロナウィルス(COVID-19)による感染防止策の開発が喫緊の課題とされており、とりわけ、屋内での空気感染防止は重要な課題となっている。そこで、建築設備への組み込み装置や機器として、室内空気の殺菌(除菌や滅菌を含み、以下「殺菌」という)装置は、このような課題解決に、大変重要となるが、従来の紫外線(殺菌のための光線を、以下、「殺菌光線」という)による流体の殺菌装置、とりわけ室内空気の殺菌装置の構造では、投射される殺菌光線が光学的に効果的に活用されにくく、省エネルギーや省スペースと確実な殺菌を両立することが困難であった。殺菌光線による殺菌は、放射照度と照射時間との積による、一定以上の殺菌線量が必要となる。固体表面の殺菌は容易であるが、流体の場合、従来の殺菌装置の構造では、次のような要因により、合理的な殺菌が困難であり、流れ続ける(循環し続ける)流体に対し、連続的に、省電力で確実に殺菌できる装置や器具の実現も困難であった。
【0005】
<幾何学的な要因>
従来の、殺菌光線を用いた流体の殺菌装置には、冷陰極管による殺菌灯を容器内や槽内に設置し、当該容器内や槽内の流体を殺菌する構造のものが多いが、当該殺菌灯から放射される殺菌光線は、当該殺菌灯からの距離により減衰する。殺菌灯が冷陰極管であれば、略線光源となり(以下、殺菌灯が略線光源である場合、当該略線光源の中心線を当該略線光源の位置とみなし、当該中心線の方向を当該線光源の方向とみなす)、当該殺菌灯が無限の長さを有する略線光源であると仮定した場合、当該殺菌灯から放射される殺菌光線の、当該殺菌灯周囲での単位面積あたりの放射束密度は、当該殺菌灯からの距離に略反比例する。また、殺菌灯が、小型のLED等、略点光源の場合、当該殺菌灯から放射される殺菌光線の、当該殺菌灯の周囲での単位面積あたりの放射束密度は、当該殺菌灯からの距離の2乗に略反比例する。
このように、殺菌灯から放射状に放射される殺菌光線は、当該殺菌灯からの距離に応じて放射束密度が小さくなり殺菌能力が低下するため、効果的に殺菌が可能な範囲が限定され、また、容器内の位置により殺菌力にムラが生じ、結果、装置として、確実かつ効果的な殺菌が困難となる。
【0006】
<透明度による要因>
透明度の高い空気や水のような流体を殺菌する場合、殺菌光線の透過率も高く、当該殺菌光線は、ほとんど当該流体内では遮断されず、光線やエネルギーの大部分が、直接殺菌に寄与せずに容器内面への入射などにより熱に変換され、浪費されてしまう。
【0007】
<反射による要因>
当該容器内や槽内の面を、アルミ蒸着等、殺菌光線を有効に反射できる面(以下、「反射面」という)とし、反射光の有効活用を図ることも多いが、コストが高く、殺菌光線の反射率は可視光線ほど大きくなく、殺菌光線は反射する度に減衰してしまう。さらに、殺菌灯と反射面に囲まれた容器内や槽内の空間は、閉鎖的な形状である場合、反射した紫外線の大部分が再び光源を照射することとなり、短い光路で熱に変換されてしまう。
【0008】
<その他の要因>
室内の空気に対する殺菌装置の場合、容器を大きくすると装置自体が大きくなり邪魔になるため、室内の空気に直接照射する装置もあるが、照射された殺菌光線の反射光が在室者に照射され、健康被害を生じるおそれも考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
殺菌灯、および、殺菌対象の流体を通過させる流路を具備する殺菌装置を構成し、当該流路には、内部に殺菌光線を照射して殺菌を行う区間(以下、「殺菌流路」という)を具有させる。
当該殺菌灯から放射される殺菌光線の一部を、放物面鏡やコリメートレンズ等、コリメーターに入射させ、平行光(さらに平面の反射面により方向を転換された場合を含み、以下、「コリメート光」という。冷陰極管のように略線光源である殺菌灯と、高さ方向が当該殺菌灯に略平行である柱体形状の光学素子とを組み合わせ、当該殺菌灯から放射され当該光学素子により変換された殺菌光線の光路の、当該殺菌灯と直交する平面上への当該殺菌灯の方向の射影が平行光となる場合についても、以下、当該光学素子を「コリメーター」といい、当該変換された殺菌光線を、平面の反射面により方向を転換された場合を含み、「コリメート光」という。この場合、当該コリメート光は、厚みのある帯状の立体形状を成すが、当該コリメート光の幅および方向については、それぞれ、当該射影の幅および方向をいう)に変換する。
当該殺菌流路には、内部空間の形状が略柱体である直線区間を具有させ、当該直線区間内部の、当該略柱体の高さ方向に、当該コリメート光を投射する(当該直線区間を、以下、「直線路」といい、当該直線路の方向は、当該略柱体の高さ方向をいい、当該直線路の長さは、当該略柱体の高さをいう)。当該直線路内部空間と、投射された当該コリメート光の光路の、当該直線路に垂直な断面が、略一致するよう構成することで、当該コリメート光は、無駄なく、当該直線路内をもれなく確実に照射できる。コリメート光は、遮断物が存在しなければ、一定の放射束密度を維持したまま無限に進み続けるため、透過性の高い流体中であれば、長距離にわたりほとんど減衰せず透過することが可能である。このため、殺菌対象が十分に透過性の高い流体である場合、当該直線路内に存在する流体全体が、当該直線路方向の位置によらずほぼ均一な照度で照射されることとなり、当該直線路を、当該コリメート光の方向に長大な形状とすることにより、その分、大量の流体の殺菌が可能となる。
【0010】
また、連続的に流れ、通過し続ける流体に対して殺菌する場合についても、当該流体が直線路内部を通過する間中、もれなく継続的に殺菌光線を照射し殺菌することができ、さらに、送風機等により一定の流量を保つ構造とする場合、当該流体の全ての部分に対し、一定以上の時間にわたる殺菌光線の照射が可能となるため、より確実かつ効果的な殺菌を図ることができる。
【0011】
さらに、コリメート光による光路は、殺菌流路内に面して反射面を設置することにより方向を転換することが可能なため、反射面を内包した屈曲部により接続された複数の直線路から成る殺菌流路を形成すると、省エネルギーや省スペースと確実な殺菌を両立する、流体の殺菌装置を実現することができる。当該反射面は、このように当該コリメート光の光路の方向転換用であれば、局所的な設置で済むため、コストが抑えられ、鏡面等、反射率が高く高精度な仕様とすることも容易である。
【0012】
尚、直線路は、内部を通過する流体の流れの方向と、内部に投射されるコリメート光の方向とを略平行とすると、装置を合理的に構成でき、よりよい。
その他、室内空気に対する殺菌装置を構成する場合、殺菌光線が当該室内の内装面を照射し、間接光が在室者に照射されないよう、当該装置には、気流の流通を妨げず有害な紫外線を遮断する板等を具備させると、よりよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示により、主に、透明度の高い水等の液体や空気に対し、省エネルギーや省スペースと、効果的かつ確実な殺菌を両立可能な殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1 断面図兼光路および殺菌流路説明図
【
図2】実施例2 断面図兼光路および殺菌流路説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
当該「発明を実施するための形態」では、請求項記載の開示に関すること、本願による開示全体に関することや実施例等について記載する。
尚、当該「発明を実施するための形態」記載の事項は、請求項記載の事項を限定するものではない。
以下、請求項記載の開示について、記載する。
【0016】
本願請求項1記載の開示は、
流体の殺菌装置であり、
殺菌灯、当該殺菌灯から放射される殺菌光線の一部をコリメート光に変換する位置に設置されたコリメーター、および、殺菌流路を含む流路とからなり、
当該殺菌流路には、
内部を当該コリメート光により照射され、長さが、当該コリメート光の幅に対し、4倍以上である、直線路が含まれる、装置
【0017】
本願請求項2記載の開示は、
前記請求項1に記載の装置は、当該コリメーターが、放物面鏡である、装置
【0018】
本願請求項3記載の開示は、
前記請求項1から2のいずれかに記載の装置は、当該直線路について、内部を通過する当該流体の流れの方向と、内部を照射する当該コリメート光の方向とが、略平行である、装置
【0019】
本願請求項4記載の開示は、
前記請求項1から3のいずれかに記載の装置は、当該直線路上の任意の位置を通る当該直線路に直交する平面で切断した、当該直線路内部空間と当該コリメート光の光路の断面が、略一致する、装置
【0020】
本願請求項5記載の開示は、
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、屈曲部分により接続される複数の直線路を含み、
当該屈曲部分は、それぞれ、当該殺菌流路内に面して、平面の反射面を具有し、
当該平面の反射面は、
当該屈曲部分に接続される2の直線路の方向同士が成す内角の二等分線を法線とする角度を成し、かつ、
当該2の直線路の、それぞれの範囲上の任意の位置におけるそれぞれの方向を法線とする平面で切断したそれぞれの断面と、当該反射面の、それぞれの当該方向の、それぞれの当該平面への射影が、略一致する、装置
【0021】
本願請求項6記載の開示は、
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、一定の長さ以内ごとに180度折り返し、直線路と折り返し部分とを交互に繰り返して成るつづら折り状の部分を含む、装置
【0022】
本願請求項7記載の開示は、
前記請求項6に記載の装置は、当該折り返し部分が、それぞれ、当該殺菌流路内に面し、相互に直角の内角を成し隣接し合う2面の平面の反射面を具有し、
当該2面の平面の反射面同士が交差して成す辺は、当該屈曲部に接続する2の直線路の方向に対し直角、かつ、当該2の直線路を隔てる殺菌流路板の略延長面上にある、装置
【0023】
本願請求項8記載の開示は、
前記請求項5に記載の装置は、当該殺菌流路が、当該直線路と当該屈曲部分とを交互に繰り返し、渦巻き状の殺菌流路を形成する、装置
【0024】
本願請求項9記載の開示は、
前記請求項1から4のいずれかに記載の装置は、当該殺菌流路が、等圧チャンバーを介し、並列状に分岐して接続される、平行に配置された複数の直線路を具有する、装置
【0025】
本願請求項10記載の開示は、
前記請求項1から9のいずれかに記載の装置は、室内の空気に対する殺菌装置であり、
当該室内の壁面に対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して被装される面状体を具備し、
当該殺菌流路は、当該間隙から成り、または、当該間隙に殺菌流路板を挟入されて成り、
当該面状体の上下端それぞれに近接して、当該殺菌流路内の空気と当該室内の空気とを流通自在に接続する水平スリットを具有する、装置
【0026】
本願請求項11記載の開示は、
前記請求項1から4のいずれか記載の装置は、室内の空気に対する殺菌装置であり、
当該室内の、壁面および天井面のそれぞれに対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して設置される水平材と、
当該壁面および当該室内の床面のそれぞれに対し、平行かつ一定の間隙を空けて近接して設置される水平材と、
当該水平材のいずれか一方に取り付けられ、当該水平材間に張架される遮光スクリーンとを具備し、
当該直線路は、当該壁面と当該スクリーンとの間隙から成り、
当該殺菌灯は略線光源であり、かつ、当該コリメーターは、当該殺菌灯に平行な略柱体であり、
当該殺菌灯および当該コリメーターは、当該水平材のいずれか一方に、当該水平材に平行に、または、当該間隙の側方の壁面に、鉛直に、設置される、装置
【0027】
本願請求項12記載の開示は、
前記請求項11に記載の装置は、
当該殺菌灯および当該コリメーターが、当該水平材のいずれか一方に設置され、
当該殺菌灯または当該コリメーターが、重力により、投射されるコリメート光の方向が略鉛直方向に調整される回転自在な支持機構を介し、当該水平材に取り付けられる、装置
【0028】
以下、本願による開示全体に関する共通事項や実施例について記載する。
<共通事項>
殺菌光線は、殺菌対象とする流体を直接照射し殺菌する他、殺菌流路の表面に酸化チタニウム等の光触媒を塗布または被装し、当該光触媒への光線の投射の作用による殺菌効果を見込むこともできる。
また、殺菌光線は、含まれる波長により、空気への照射時に、殺菌作用をもつオゾンを発生させることができるが、この場合、発生したオゾンが在室者等に対し健康被害を与えないことを十分確認して計画する。
【実施例0029】
当該開示について、空調設備の還気系統ダクトへの導入の実施例を示す。
当該実施例では、ダクトの長い直線路1aの端部に殺菌灯1bおよび放物面鏡であるコリメーター1cを設置し、風道内の長手方向にコリメート光1dを照射することにより、当該ダクトを通過する空気に対する、効果的な殺菌を図っている。
ダクト直線路1aの端部に設置したコリメーター1cおよび殺菌灯1bにより投射されるコリメート光1dは、一般的なダクトにおける直線路の長さ程度の空気の透過では、ほとんど減衰せず、およそ一定の強度を維持するため、当該ダクトに取り込まれた空気は、当該直線路1a内部を通過する間中、ほぼ一定の強度の殺菌光線により継続的に殺菌される。このため、殺菌の出力が同一であっても、当該直線路1aが長いほど、当該ダクトを通過する空気は長時間殺菌されることとなり、より効果的な殺菌が可能となる。
当該殺菌灯1bから放射される殺菌光線は、背後のコリメーター1cに投射され反射しコリメート光1dとなる他、前方へ投射される直接光1e(殺菌灯1bから放射され、直接コリメーター1cに入射しない殺菌光線を、以下、「直接光」という)を含むが、当該直接光1eも当該ダクトを通過する空気を照射し、殺菌に寄与する。当該直線路1aの内面を、殺菌光線に対し反射率の高い材料や反射面とすると、当該直接光1eは、当該内面に反射し、また、反射を繰り返すことにより、当該直線路1a内の遠方まで到達させることができるため、当該直接光1eを効果的に活用することができ、よりよい。但し、一般的に、殺菌光線に用いられる紫外線は可視光線と比較して反射率が小さく、反射を繰り返すほどに減衰する。このため、殺菌灯1bから前方に放射される直接光1eについては、レンズを設置し透過させ(極力当該殺菌灯1bに近づけて設置することにより当該レンズの口径を小さくして背後のコリメーター1cから投射されるコリメート光1dにほとんど干渉させないように構成することができる)、当該直線路1a内の空間を極力効果的に殺菌する光路を計画すると、よりよい。
また、当該直線路1aの、当該殺菌灯1bおよび当該コリメーター1cと反対側の、突き当りとなる端部を、アルミ蒸着による鏡面等、平滑で殺菌光線の反射率が高い平面である反射面(以下、「コリメート光反射面」という)とすると、当該コリメート光反射面1fに到達した殺菌光線を、反射により折り返させ、再び当該直線路1a内の空間の殺菌を行わせることができ、よりよい。
尚、図に示す気流の向き1gは、逆転させてもよい。