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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060125
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】抗菌性シート
(51)【国際特許分類】
   A01N 61/00 20060101AFI20220407BHJP
   A01N 25/10 20060101ALI20220407BHJP
   A01N 25/34 20060101ALI20220407BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A01N61/00 B
A01N25/10
A01N25/34 A
A01P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020176339
(22)【出願日】2020-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】520036525
【氏名又は名称】大串 孝
(71)【出願人】
【識別番号】513288894
【氏名又は名称】古川 猛
(72)【発明者】
【氏名】大串 孝
(72)【発明者】
【氏名】古川 猛
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011AA03
4H011BB20
4H011BC19
4H011DA07
4H011DD05
4H011DD06
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】 モンモリロナイト自体のデトック性、遠赤外線放射性、抗菌・除菌・消臭性の特性を最大に利用できるようにした抗菌性シートを提供する。
【解決手段】 前記目的を達成するための抗菌性シートは、粒径10~300nmに微粉砕したアドバンスクレイをEVA樹脂100重量部に対し5~30重量部混入して成型し、表面を除いて前記アドバンスクレイを表面に露出させたシートとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)にアドバンスクレイを混入し、成型し、表面を除いて前記アドバンスクレイを表面に露出させたシートとしたことを特徴とする抗菌性シート。
【請求項2】
前記アドバンスクレイを粒径10~300nmとしたことを特徴とする請求項1に記載の抗菌性シート。
【請求項3】
エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂樹脂100重量部に対しアドバンスクレイを5~30重量部としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抗菌性シート。
【請求項4】
抗菌性商品の加工素材として前記抗菌性シートを利用することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の抗菌性シート。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大気、水、食品、人体等に接触することによりイオン吸着、遠赤外線放射等の作用で、接触物の細菌の増殖を抑えるとともに滅菌する作用や消臭する作用等を有するアドバンスクレイを混入した抗菌性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化が進む社会環境下、健康な日常生活を送るため、健康関連商品が多数出現している。その中で、衛生性が重視され、これに対応するように抗菌機能や消臭機能を有する多くの商品が出現している。商品に抗菌性を付与する方法としては、銀系無機抗菌剤に代表される無機抗菌剤や、光触媒機能を示す無機材料、モンモリロナイト等に抗菌剤を吸蔵・担持させる方法が主流(特許文献1、2)である。また、別の方法としては、抗菌性剤を商品の表面に塗工する方法もある。シートにおいても同様に抗菌性を付与されて製造する方法が採用されている。
【0003】
モンモリロナイト自体を抗菌剤としてエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)に混入して製造した汎用性の高いシートはなかった。また、アドバンスクレイを抗菌剤としてエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)のシート内に混入して製造したシートはなかった。
【0004】
すなわち、抗菌性のモンモリロナイト粒子を樹脂組成物中に混入した場合、その粒子径は、数μm~数十μmである。そのため、モンモリロナイトをシート樹脂中に混入しても、モンモリロナイトが樹脂に覆われてモンモリロナイトの有する抗菌効果等を十分得ることができないことが多い等の問題点がある。また、その表面積も粒子径がμmのオーダーなので、その粒子の外部に露出する表面積が限定され、十分に活用できないことになり、それら粒子の持つ優れた抗菌性が活かされないことになる。さらに、表面積を大きくして活用する余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-142832号公報
【特許文献2】特開平1-313533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであって、ナノメートル単位のアドバンスクレイを母材に均一に分散させることが困難であったため、存在しなかった抗菌性シートを得ることを目的としている。また、自然界に多量に存在している粘土鉱物を微粉砕化したアドバンスクレイを使用することで、安定した品質を得ることができる抗菌性シートを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1に記載の抗菌性シートは、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)にアドバンスクレイを混入し、成型し、表面を除いて前記アドバンスクレイを表面に露出させたシートとしたことを特徴とする。
【0008】
表面を除いて前記アドバンスクレイを表面に露出させたシートとしたことにより、モンモリロナイトが有するデトックス性や炎症や痛みを抑える抗菌性・殺菌性、遠赤外線放射機能や各種のものに対する吸着性を有効に利用できる。
【0009】
エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)は、成形加工性、透明性にすぐれ、耐候性、耐ストレスクラック性にすぐれている。そのため、EVAは、アドバンスクレイを混合してシートとしたとき、衛生感があるうえ、抗菌性等のアドバンスクレイの効能を十分利用できる樹脂である。
【0010】
アドバンスクレイは、総称ベントナイト(ナノクレイ)と言われているモンモリロナイトを超微粉化したクレイである。モンモリロナイトを超微粉化し、均一にシート内に均一に分散したことにより、デトックス性や炎症や痛みを抑える抗菌性・殺菌性の効果を最大限に発揮させることができる。
【0011】
この発明の抗菌性シートで、アドバンスクレイをシート表面に露出させる方法としては、特に限定されない。厚い素材シートを厚み方向に切断(スライス)して、薄い製品シートとする方法が好ましい。製品シート(以下、単にシートという)の厚みとしては、2~10mm程度がアドバンスクレイの効能を効率よく発揮でき、使い勝手がよく、好ましい。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の抗菌性シートにおいて、前記前記アドバンスクレイは粒径を10~300nmとしたことを特徴とする。粒径10~300nm程度がアドバンスクレイの効能を効率よく発揮できる。
【0013】
アドバンスクレイは、モンモリロナイトを粒径10~300ナノメートル(nm)に超微細化したベントナイト(ナノクレイ)である。
【0014】
この発明の抗菌性シートは、モンモリロナイトを超微細化して得た母材のEVA樹脂中に均一に分散し、しかもアドバンスクレイをシート表面に露出させているので、その抗菌性・殺菌性等のモンモリロナイトの性能を最大限に発揮させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の抗菌性シートにおいて、前記EVA樹脂100重量部に対しアドバンスクレイを5~30重量部としたことを特徴とする。
【0016】
EVA樹脂に対しアドバンスクレイの量が少ないと、抗菌性・殺菌性の性能を十分に得ることができない。また、EVA樹脂に対しアドバンスクレイの量が多すぎると、成型が困難になると共に、身体に接触させて使用するときに違和感を感じる等の快適性が悪くなる恐れがある。そのため、5~30重量部として、性能を落とさず快適に使用できる範囲の混合割合とした。
【0017】
快適に使用できるシートであるとともに、粒径10~300nmに超微粉化したアドバンスクレイをEVA樹脂100重量部に対して5~30重量部を均一に分散したことにより抗菌性も得られる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3に記載の抗菌性シートにおいて、前記シートを加工素材として利用することを特徴とする。
【0019】
シートから加工される商品の例としては、容器等の箱状の物、袋状の物等が挙げられる。
【0020】
シートからどのような用度の商品に成形してもアドバンスクレイを露出したままなので、抗菌性シートの性能をそのまま利用することができる。そのため、その商品においても、抗菌性と殺菌性等の性能が得られ且つ快適に使用できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明においては、抗菌性シートは、超微細化されたアドバンスクレイを母材のEVA樹脂中に均一に分散させているとともに、表面を除いて前記アドバンスクレイを表面に露出させている。これにより、アドバンスクレイの抗菌性・殺菌性、遠赤外線放射性等の性能を最大限に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0023】
この実施形態による抗菌性シート1は、抗菌成分であるモンモリロナイトがナノメートル単位に超微粉化された粒径10~300nmのアドバンスクレイがEVA樹脂100重量部に対し5~30重量部混入されて成型され、アドバンスクレイがシート表面に露出している。
【0024】
EVA樹脂は、摂取しても毒性が無く、透明であり、耐候性、耐ストレスクラック性にすぐれ、成型が容易であることから使用される。この性質により、食品関連に広く使える抗菌性シートを得ることができる。
【0025】
アドバンスクレイは、総称ベントナイトと言われているモンモリロナイトを粒径10~300nmの超微粉化している。これにより、モンモリロナイトの効能のデトックス、遠赤外線放射性等の効果をシートにおいても十分に得ることができる。
【0026】
モンモリロナイト(クレイ)は美容と健康にいい影響を与えてくれる要素がたくさんあり、デトックス、遠赤外線放射、抗菌・殺菌、消臭、炎症や痛みを抑える、瘢痕形成・皮膚の再生の効能があるとされている。
【0027】
アドバンスクレイの粒径を10~300nmとしたのは、細かすぎると微細化のコストがかかりすぎるのと樹脂中への均一分散が難しくなるからである。また、粒径が300nm以上では殺菌・抗菌の効果が減衰される恐れがあるからである。
【0028】
アドバンスクレイをEVA樹脂100重量部に対し5~30重量部としたのは、5重量部未満では、モンモリロナイトの効能のデトックス、抗菌・殺菌、消臭等の効果をシートにおいても十分に得ることができないからである。また、30重量部以下としたのは、使用時の違和感の軽減および成型時と型決定時の容易さからである。
【0029】
上記の構成のシートの製造方法の一例として、EVA樹脂を主成分とした樹脂にアドバンスクレイを混入して混練し、成型して素材シートを得る。次いで、表裏面層を除去してシートを得る。素材シートの厚みが厚くシートの厚みが薄いときは、素材シートを複数層にスライスして製造すればよい。
【0030】
以上のように、EVA樹脂に、微粉砕化したアドバンスクレイを混入することにより、シートに接触した物品や雰囲気の細菌の増殖を抑制することや遠赤外線の放射が可能となる。
【0031】
本発明のシートの用度としては、遠赤外線放射機能を利用した血流促進を図った、布団用シート、ベッドカバー、枕カバー、腹巻き・腕巻き・ふくらはぎ巻き・首巻き、首巻き、膝掛け・肩掛け・膝カバー、ふんどし、アイマスク・フェイスマスク、インソール、岩盤浴等がある。除菌・抗菌・消臭を主に利用した用度では、冷蔵庫・食器棚・トレイ・弁当箱等がある。その他、除菌・抗菌・消臭を主に利用した用度では、タンス、トイレ、玄関、下駄箱、洗面所クローゼットでの利用がある。さらに、ペットの血流改善と除菌・消臭の利用がある。さらに、植物の成長促進や日持ち延長、果物の円熟促進や日持ちの効果がある。ワイン・焼酎・日本酒・ウイスキーの瓶に巻くとまろやかに美味しくなり、水道管に巻くと水がまろやかになりまた浴槽に水垢が着きにくくなり、また湯冷めしにくい、ガス管に巻くとガス消費量の節約になるとも考えられる。