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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060138
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】扁平状折り畳み式N95マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220407BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
A41D13/11 B
A41D13/11 Z
A41D13/11 K
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021064195
(22)【出願日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】63/087,161
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/122,058
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520202670
【氏名又は名称】アオク トゥーリング リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】トン メイ-ション
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA04
2E185CC32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】扁平状に折り畳むことが可能であるが、優れた呼吸シールを提供し、かつ装着しやすくする扁平状マスクを提供する。
【解決手段】フェイスマスクは、頂部、底部、側部第1端、側部第2端を有する本体を形成する少なくとも1つの層と、側部第1端と前記側部第2端との間に横方向にそれぞれ延在する本体の中央の上方に配置された上側プリーツと、本体の中央の下方に配置された下側プリーツと、着用者の顔面上にマスクを固定し、側部第1端及び側部第2端に配置された少なくとも2つのスポット溶接部であって、マスクが着用者の顔面上にあるときに、マスクの本体に各プリーツを固定して硬質パネルを形成するスポット溶接部と、第1プレス溶接部及び第2プレス溶接部のそれぞれに溶接された、少なくとも1つのストラップと、頂部の近くに配置され着用者の鼻の上で曲がり鼻腔領域上を密閉する鼻クリップとを備えるフェイスマスク。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスクであって、前記フェイスマスクは;
頂部、底部、側部第1端、側部第2端を有する本体を形成する少なくとも1つの層と;
前記側部第1端と前記側部第2端との間に横方向にそれぞれ延在する、前記本体の中央の上方に配置された少なくとも1つの上側プリーツと、前記本体の中央の下方に配置された少なくとも1つの下側プリーツと;
着用者の顔面上に前記マスクを固定する、前記側部第1端における第1プレス溶接部と、前記側部第2端における第2プレス溶接部と;
前記側部第1端及び前記側部第2端に配置された少なくとも2つのスポット溶接部であって、前記マスクが着用者の顔面上にあるときに、前記マスクの前記本体に各プリーツを固定して硬質パネルを形成する前記スポット溶接部と;
前記第1プレス溶接部及び前記第2プレス溶接部のそれぞれに溶接された、少なくとも1つのストラップと;
前記頂部の近くに配置され、着用者の鼻の上で曲がり、鼻腔領域上を密閉する鼻クリップと;を備える、
フェイスマスク。
【請求項2】
前記鼻クリップは、少なくとも1つの外側被覆金属芯ストリップ又は樹脂ストリップに埋め込まれたワイヤを含み、鼻との隙間を埋めて密閉の強度を与えるように構成される、
請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項3】
前記鼻クリップは、少なくとも3つの外側被覆金属芯ストリップ又は樹脂ストリップに埋め込まれたワイヤを含み、鼻との隙間を埋めて密閉の強度を与えるように構成される、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項4】
前記鼻クリップは、内部に埋め込まれた少なくとも3つの外側被覆金属芯を有する樹脂ストリップであり、各金属芯は樹脂ストリップ内に平行に配置される、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項5】
前記鼻クリップは記憶機能を有する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項6】
少なくとも1つのストラップは、マスクが着用者の顔面に置かれた場合に、密閉を可能にするための軟質ゴムアジャスターを含む、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項7】
少なくとも1つのストラップは、着用者の頭部を包むように構成されたループを形成する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項8】
少なくとも1つのストラップは、着用者の耳を包むように構成されたループを形成する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項9】
前記ストラップと、前記鼻クリップと、アジャスターとが組み合わさって、前記着用者の顔に密閉を形成する、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項10】
少なくとも1層は、外層と内層を含む、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項11】
少なくとも1層は、更に、外層と内層との間に位置する少なくとも1つの中間層を含む、請求項10に記載のフェイスマスク。
【請求項12】
前記外層の外周と、少なくとも1つの中間層と、前記内層とが一緒に溶着される、請求項11に記載のフェイスマスク。
【請求項13】
更に、空気室を形成するように構成された本体の中心における少なくとも1つの上側プリーツ少なくとも1つの下側プリーツとの間に作成された水平の扁平なプリーツフリー領域を含む、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項14】
水平の扁平なプリーツフリー領域は、着用者の鼻の下面と着用者の口の上面との間の中心線を横切って当接する、請求項13に記載のフェイスマスク。
【請求項15】
前記マスクは、前記第1プレス溶接部及び前記第2プレス溶接部の端部が、前記少なくとも1つのストラップによって締め付けられるように引っ張られると、着用者の顔面に完全に密閉される、請求項1に記載のフェイスマスク。
【請求項16】
フェイスマスクであって、前記フェイスマスクは;
外層;1つ以上の中間層;及び内層を含み;各層は、頂部、底部、第1端、第2端を有する実質的に楕円形の形状を有する本体と、を備え、本体の中央の上方に横方向に配置された少なくとも1つの上側プリーツと、本体の中央の下方に配置された少なくとも1つの下側プリーツと、を含み、空気室を形成するように構成された本体の中央において少なくとも1つの上側プリーツと少なくとも1つの下側プリーツとの間に、水平の扁平なプリーツフリー領域が形成されており;第1端における第1プレス溶接部と、第2端における第2プレス溶接部であって、両溶接部の端部が硬質であり、マスクが引っ張られて着用者の頬に置かれると、マスクの第1端と第2端が変形するのを防ぐように構成されている、前記第1プレス溶接部及び前記第2端における第2プレス溶接部と;
第1端及び第2端に配置された少なくとも2つのスポット溶接部であって、前記マスクが着用者の顔面上にあるときに、マスクの本体に各プリーツを固定して硬質パネルを形成し;
第1プレス溶接部及び第2プレス溶接部のそれぞれに溶接された、少なくとも1つのストラップであって;前記マスクが着用者の顔面上にある場合に密着を可能にするアジャスターを備える、少なくとも1つのストラップと;
頂部の近くに配置された鼻クリップと、を備え、前記鼻クリップは、装着者の鼻の上で曲がり、鼻腔領域上を密閉するように構成されており;
前記マスクの本体は、前記第1プレス溶接部及び前記第2プレス溶接部の端部が、前記少なくとも1つのストラップによって締め付けられるように引っ張られたとき、着用者の顔面に完全に密閉され;
前記外層、少なくとも1つの中間層及び内層の外周が一緒に溶接される、フェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月2日付提出の米国仮特許出願第63/087,161、及び2020年12月7日付提出の米国仮特許出願第63/122,058の優先権を主張するものであり、それぞれの内容は全て、その全体を本明細書に引用することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
フェイスマスクは、着用者の呼吸器系を空気中に浮遊した粒子や不快ガス又は有害ガスから保護するために、多種多様な用途で使用される。フェイスマスクは、空気中に浮遊している望ましくない材料から着用者を守るために、一般的には鼻と口の上に着用するように設計されている。
【0003】
扁平状マスクは日常使用に欠かせないアイテムであり、着用者のための保護、快適さ及び容易な保存を可能にするので、特に望ましい。現在の扁平状マスクの構造は密封効果が悪く、マスクの両側(耳紐付近)で空気漏れが発生し、利用者の保護効果が損なわれている。更に、扁平状マスクの構造は、着用者が吸気しているときにマスクが圧し潰される原因となるため、不快感や長時間マスクを着用する意思のない不快感を引き起こす。
【0004】
従って、扁平状に折り畳むことが可能であるが、優れた呼吸シールを提供し、かつ着用しやすくする扁平状マスクの開発に対する当該技術分野におけるニーズが存在する。本発明は、この必要性に合致したものである。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本発明は、頂部、底部、側部第1端、側部第2端を有する本体を形成する少なくとも1つの層と;前記側部第1端と前記側部第2端との間に横方向にそれぞれ延在する、前記本体の中央の上方に配置された少なくとも1つの上側プリーツと、前記本体の中央の下方に配置された少なくとも1つの下側プリーツと;着用者の顔面上に前記マスクを固定する、前記側部第1端における第1プレス溶接部と、前記側部第2端における第2プレス溶接部と;前記側部第1端及び前記側部第2端に配置された少なくとも2つのスポット溶接部であって、前記マスクが着用者の顔面上にあるときに、前記マスクの前記本体に各プリーツを固定して硬質パネルを形成する前記スポット溶接部と;前記第1プレス溶接部及び前記第2プレス溶接部のそれぞれに溶接された、少なくとも1つのストラップと;前記頂部の近くに配置され、着用者の鼻の上で曲がり、鼻腔領域上に密閉を形成する鼻クリップと;を備える。一実施形態では、鼻クリップは、少なくとも1つの外側被覆金属芯ストリップ又は樹脂ストリップに埋め込まれたワイヤを含み、鼻との隙間(noze gap)を埋めて密閉の強度を与えるように構成される。一実施形態では、鼻クリップは、少なくとも3つの外側被覆金属芯ストリップ又は樹脂ストリップに埋め込まれたワイヤを含み、鼻との隙間を埋めて密閉の強度を与えるように構成される。一実施形態では、鼻クリップは、内部に埋め込まれた少なくとも3つの外側被覆金属芯を有する樹脂ストリップであり、各金属芯は樹脂ストリップ内に平行に配置される。一実施形態では、鼻クリップは記憶機能を有する。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップは、マスクが着用者の顔面に置かれた場合に、密閉を可能にするための軟質ゴムアジャスターを含む。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップは、着用者の頭部を包むように構成されたループを形成する。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップは、着用者の耳を包むように構成されたループを形成する。1つの実施形態において、ストラップ、鼻クリップ及びアジャスターは、組み合わさって、着用者の顔面に密閉を形成する。1つの実施形態において、少なくとも1つの層は外層及び内層を含む。1つの実施形態において、少なくとも1つの層は、更に、外層と内層の間に位置する少なくとも1つの中間層を含む。一実施形態では、外層、少なくとも1つの中間層及び内層の外周が一緒に溶接される。1つの実施形態において、マスクは、更に、空気室を形成するように構成された本体の中心における少なくとも1つの上側プリーツと少なくとも1つの下側プリーツとの間に形成された水平の扁平なプリーツフリー領域を含む。1つの実施形態において、水平の扁平なプリーツフリー領域は、着用者の鼻の下面と着用者の口の上面との間の中心線を横切って当接する。一実施形態では、マスクは、第1プレス溶接部及び第2プレス溶接部の端部が、少なくとも1つのストラップによって締め付けられるように引っ張られたとき、着用者の顔面に完全に密閉される。
【0006】
一態様では、本発明は、外層;1つ以上の中間層;及び内層を含み;各層は、頂部、底部、第1端、第2端を有する実質的に楕円形の形状を有する本体と、本体の中央の上方に横方向に配置された少なくとも1つの上側プリーツと、本体の中央の下方に配置された少なくとも1つの下側プリーツと、を含み、空気室を形成するように構成された本体の中央において少なくとも1つの上側プリーツと少なくとも1つの下側プリーツとの間に、水平の扁平なプリーツフリー領域が形成されており;第1端における第1プレス溶接部と、第2端における第2プレス溶接部であって、両溶接部の端部が硬質であり、マスクが引っ張られて着用者の頬に置かれると、マスクの第1端と第2端が変形するのを防ぐように構成されており;第1端及び第2端に配置された少なくとも2つのスポット溶接部であって、前記マスクが着用者の顔面上にあるときに、マスクの本体に各プリーツを固定して硬質パネルを形成し;第1プレス溶接部及び第2プレス溶接部のそれぞれに溶接された、少なくとも1つのストラップと;少なくとも1つのストラップは、前記マスクが着用者の顔面上にある場合に密着を可能にするアジャスターを備え;頂部の近くに配置された鼻クリップを備え、前記鼻クリップは、着用者の鼻の上で曲がり、鼻腔領域上に密閉を形成するように構成されており;前記マスクの本体は、第1プレス溶接部及び第2プレス溶接部の端部が少なくとも1つのストラップによって締め付けられるように引っ張られたとき、着用者の顔面に完全に密閉され;外層、少なくとも1つの中間層及び内層の外周が一緒に溶接される。
【0007】
本発明の以下の詳細な説明は、添付図と併せて読むとより良く理解されるであろう。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な配置及び器具類に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aから図1Bを含む図1は、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクを示す。図1Aは、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの背面図を示す。図1Bは、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を示す。
図2図2は、平らな状態での本発明の例示的な平らな折り畳み式N95マスクの立体分解図を示す。
図3図3は、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの立体分解図を示し、使用中に3次元構造を形成する。
図4図4は、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの背面図を示し、使用中に3次元構造を形成する。
図5図5は、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの透視図を示し、使用中に3次元構造を形成する。
図6図6は、本発明の例示的なスモールサイズの扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を示す。
図7図7は、本発明の例示的なミディアムサイズの扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を示す。
図8図8は、本発明の例示的なラージサイズの扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を示す。
図9図9は、本発明の例示的な特大サイズの扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を示す。
図10図10は、本発明の例示的な扁平状折り畳み式N95マスクの正面図を扁平状状態で描いている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[定義]
本発明の図及び記載は、本発明の明確な理解に関連する構成要素を説明するために簡略化されているが、一方で、明確化の目的のために、当該技術分野で一般的に見出される多くの他の構成要素を排除していることは理解されるべきである。当業者は、他の構成要素及び/又はステップが本発明を実施する上で望ましい、及び/又は必要であることを認識することができる。しかし、そのような構成要素及びステップは当該技術分野において周知であり、本発明のより良い理解を促進させないため、ここではそのような構成要素及びステップの考察を提供しない。ここでの開示は、当業者に知られているそのような構成要素及び方法に対する全てのこのような変更及び改変を対象とする。
【0010】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の実施又は試験において、本明細書に記載されている方法及び材料と同様又は同等の方法及び材料を用いることができるが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0011】
本明細書中で使用される場合、以下の各用語は、本節中でそれに関連する意味を有する。
【0012】
論文「a」及び「an」は、ここでは、論文の文法的物の1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を意味するために使用される。例として、「構成要素」は、1つ又は複数の構成要素を意味する。
【0013】
ここでいう「約」とは、量、時間的持続時間などの測定可能な値を指すときに、バラツキが適切であるように、規定された値から±20%、±10%、±5%、±1%、±0.1%のバラツキを含むことを意味する。
【0014】
本開示全体を通して、本発明の様々な局面を範囲形式で提示することができる。範囲形式の説明は、単に便利かつ簡潔であるというだけであり、本発明の範囲に関する柔軟性のない制限と解釈すべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能性のある全てのサブ範囲(sub range)を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1~6等の範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等のサブ範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、6、及びその間の任意の全体及び部分的な増加分等を具体的に開示したものと考えるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず適用される。
【0015】
[扁平状折り畳み式N95マスク]
本発明は、扁平状折り畳み式N95フェイスマスクを提供し、このマスクは、両側の空気漏れに起因する扁平状マスクの効果的でない保護の課題を解決する一方、長期間着用した場合の快適性を提供する。一実施形態において、本発明は、N95規格に適合して、着用者の顔を完全に密閉するプリーツ扁平状マスクを提供するように構成される。これに対して、従来のプリーツ扁平状マスクは、着用者の顔を完全に密封しない。
【0016】
次に、図1A及び図1Bを参照すると、例示的な扁平状N95マスク500が示される。扁平状折り畳み式N95マスク500は、少なくとも1つの層501、少なくとも1つのストラップ508、鼻クリップ510、第1端512、及び第2端514を含む。
【0017】
次に、図2及び図3を参照すると、例示的な扁平状N95マスク500の立体分解図が示されている。一実施形態では、少なくとも1つの層501は外層502と内層504を含み、外層502は着用者の顔面から最も遠く、内層506は着用者の顔面に最も近い。一実施形態では、少なくとも1つの層501は、更に、外層502と内層506の間に位置する1つ以上の中間層504を含む。一実施形態では、外層502と内層506は、不織布を含むがこれらに限定されない材料から作られる。一実施形態では、外層502と内層506は不織布材料であってもよい。1つの実施形態において、布は織物材料であってもよい。一実施形態では、中間層504は、シート、布、フィルム、織布、織物、不織材料、及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されないフィルター材料から作られる。一実施形態では、不織材料は、ウェットレイド繊維、ドライレイド繊維、スパンレース繊維、スパンボンド繊維、メルトブローン繊維、スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)繊維、梳毛繊維、熱可塑性繊維、再生繊維、及びシース-コア繊維などの複合繊維を含むことができるが、これらに限定されない。これらの不織材料は、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、PETなどのポリエステル樹脂、天然繊維、及びセルロース材料を含むことができるが、これらに限定されない。扁平状N95マスク500の1つ以上の中間層504を形成する不織布材料は、2つ以上の上記の繊維タイプの混合物を含み得る。
【0018】
1つの実施形態において、1つ以上の中間層504は、(ファイバーグラスなどの)微細な無機繊維又は高分子合成繊維の1つ以上の織布を含むことができる。1つの実施形態において、1つ以上の中間層504は、メルトブローン織布を含むことができる。1つの実施形態において、メルトブローン織布は、その通気抵抗を減少させながら、メルトブローン織布の静電吸着面積を増加させるために、エレクトレットマスターバッチを使用する静電エレクトレット処理工程を採用する。これにより防護マスクのろ過能力を高め、防護マスクの寿命を延ばすことができる。
【0019】
外層502、1つ以上の中間層504、及び内層506は、それぞれ頂部507、底部509、及び本体511を含む。各層は、頂部507に少なくとも1つの上側プリーツ503、底部509に少なくとも1つの下側プリーツ505を含み、各プリーツは、第1の折り畳みと、それに続く第2の後ろの折り畳みを含み、それにより2つ折りの構造を形成する(図4)。1つの実施形態において、少なくとも1つの上側プリーツ503の内側の折り畳みの開口は、少なくとも1つの下側プリーツ505の内側の折り畳みの開口と反対である。背側から見ると、少なくとも1つの上側プリーツ503が下向きであるのに対し、少なくとも1つの下側プリーツ505の内側の折り畳みの開口は、上向きである。マスク500が開かれる時のように、少なくとも1つの上側プリーツ503の内側の折り畳みの折り畳み方向は、少なくとも1つの下側プリーツ505の内側の折り畳みの折り畳み方向と反対であるため、少なくとも1つの上側プリーツ503は上方に展開し、少なくとも1つの下側プリーツ505は下方に展開する。展開後、マスク本体511は、三次元カップ状になり、その結果、マスク500の2つの側面は、顔を効果的に密閉する。
【0020】
1つの実施形態において、少なくとも1つの上側プリーツ503及び少なくとも1つの下側プリーツ505の各々は、熱溶接によって一緒に固定される。一実施形態では、マスク500は、頂部507と底部509において2つのプリーツを含み、頂部507のプリーツと本体511の中心位置との間の幅は、約2.5~4.5cmの範囲である。1つの実施形態において、頂部507及び底部509の2つのプリーツは、3つの層に折りたたまれる。そのようにして、背面から見ると、マスク500には4つの折り目がある。
【0021】
水平プリーツのない表面が、本体511の中央に形成され、鼻の底部と口の頂部との間の中心線を横切って当接する。これにより左右に広い空気室ができ、呼吸時にマスクがつぶれるのを防ぐ。これにより、呼吸時の抵抗が効果的に減少し、着用者が長期間にわたってマスクを継続的に着用できるようになる。
【0022】
頂部507及び底部509において、本体511は、実質的に楕円形をしており、ここで、中央部は最も広く、第1端512又は第2端514の方へ移動するときに狭くなる。マスクを着用して広げた後、幅は着用者の鼻とあごを完全に覆うが、一方、着用者の顔は両側とも完全に密閉されている。マスクが広げられ着用された後、マスクの本体511は、頂部507の鼻のブリッジから底部509の顎にかけて、着用者の顔を完全に覆い、一方、両側の頬は完全に密封されている。
【0023】
一実施形態では、マスク500は、更に、内層506の頂部507上に位置する鼻クリップ510を備える。一実施形態では、鼻クリップ510は、樹脂ストリップに埋め込まれた少なくとも1つの外側被覆金属芯ストリップ又はワイヤを含む。一実施形態では、鼻クリップ510は、樹脂ストリップに埋め込まれた3つ以上の外側被覆金属芯ストリップ又はワイヤを含む。一実施形態では、鼻クリップ510は、樹脂ストリップに埋め込まれた4つ以上の外側被覆金属芯ストリップ又はワイヤを含む。一実施形態では、鼻クリップ510は、内部に埋め込まれた4つの外側被覆金属芯を有する樹脂ストリップであり、各金属コアは樹脂ストリップ内に平行に配置されている。一実施形態では、樹脂ストリップに埋め込まれた外側被覆金属芯ストリップ又はワイヤは、マスク500を鼻上で完全に密閉状態に保つために、4~5倍のクランプ力を発生するように構成される。鼻クリップ510は、プラスチック内に金属コアを埋め込むように構成された一貫した成形工程を用いて作製することができる。一実施形態では、鼻クリップ510は記憶機能を有する。1つの実施形態において、鼻クリップ510はISO 10993規格に適合し、皮膚に対して刺激性がない。鼻梁(nose bridge)510の曲げ及び成形の強度が、3層マスク材料が反発する張力よりも大きいので、鼻梁510を調整することによって、マスク500が、顔の鼻及び側面上で完全に密閉することが可能になる。1つの実施形態において、鼻クリップ510は、異なる着用者にフィットするように形作ることができる。
【0024】
1つの実施形態において、ストラップ508は耳ループ状(ear-looped)であってもよい(図4)。この構成では、2つのストラップ508が用いられ、少なくとも1つのストラップ508が第1端512に取り付けられ、少なくとも1つのストラップが第2端514に取り付けられており、各ストラップ508の第1端及び第2端が着用者の耳の周りにループを形成するためのループを形成する。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、マスク500が着用者の顔面に配置されるときにシールを調節することを可能にするために、軟らかいゴムアジャスター522を更に含むことができる。例えば、ストラップ508に沿って動くアジャスター522は、ストラップ508によって形成されるループのサイズを調節する。着用者は、アジャスター522を動かして、着用者の耳の周りで楽なループを形成することができ、アジャスター522を動かして、各ストラップ508内のループの大きさを小さくして、着用者の顔に対するマスク500の密閉を強化することができる。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は弾性である。一実施形態では、少なくとも1つのストラップ508は、熱可塑性エラストマー、弾性ポリウレタン、ポリイソプレン、アセチレン-スチレンコポリマーなどを含むが、これらに限定されない、当業者に公知の任意の材料から作製することができる。
【0025】
1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、第1端512及び第2端514において外層502に取り付けられている。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、着用者の頭部を包むように構成されたループを形成することができる(図5)。この構成では、少なくとも1つのストラップ508は、一方の端部で第1端512に、他方の端部で第2端514に取り付けられ、少なくとも1つのストラップ508は、着用者の頭部を囲み、フェイスマスクが着用者の顔面に密封係合するように、結び付けられ、固定され、又は引き伸ばすことができる。一実施形態では、マスク500は、着用者の頭部を包むように構成されたループを形成する2つのストラップ508を備える。
【0026】
1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は非弾性バンドであってもよい。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、ウェットレイド又はドライレイドの両方のプロセスによって形成され、レーヨン、ポリエステル樹脂又はそのような繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリエステル樹脂の光沢仕上げスパンボンド不織布、及び強化紙の両方で構成される不織布材料を含むが、これらに限定されない材料から作られてもよい。
【0027】
1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、着用者の顔面に対するマスクの密封を高めてN95マスク規格を満たすために、着用者の頭部を包むように構成されている。1つの実施形態において、少なくとも1つのストラップ508は、レベル1又はレベル2の外科用マスクの基準を満たすために、着用者の顔面に対するマスクの密封を強化するために着用者の耳の周囲を巻くように構成される。
【0028】
一実施形態では、少なくとも1つのストラップ508、鼻梁510、及び軟質ゴムアジャスター522の組み合わせは、高い密閉能力を生成し、マスク500が、より良好な保護を提供するN95認証に適することを可能にする。
【0029】
一実施形態では、外層502、1つ又は複数の中間層504及び内層506が一緒に切断及び溶接され、使用前にマスク全体が平坦な状態になることを可能にする。例えば、外層502の外周は、1つ以上の中間層504の外周に溶接される。
【0030】
一実施形態では、マスク500は、縁部溶接点540及び少なくとも2つのスポット溶接点550を更に含んでもよい。1つの例示的な実施形態において、マスク500は、8つのスポット溶接点を有してもよい。一実施形態では、少なくとも2つのスポット溶接点550は、マスクが広げられて着用者の顔面上に配置されるときに、各プリーツをマスクの本体に固定して硬質パネルを作り出すように構成される。加えて、マスク500は、マスク500の左右側部の近くに、ほぼ水平な溶接線560及びほぼ垂直な溶接線570を含んでもよい。マスク500の左右側部の近くにエンボス加工された線を溶接することは、本体511の両側を強化する一方で、より滑らかになり、着用者の顔面に対して密閉することを可能にするように構成される。一実施形態では、水平な溶接線560及びほぼ垂直な溶接線570の幅は、約2cmである。一実施形態では、マスク500の左右側部における溶接領域の高さは、マスクのサイズに応じて変化する。一実施形態では、スモールサイズのマスクの場合、最も広い中央における高さは、約50~70mmである(図6)。一実施形態では、スモールサイズのマスクの場合、幅は約180mmである(図6)。一実施形態では、スモールサイズのマスクの場合、左右側部の高さは、約26~46mmである(図6)。1つの実施形態において、ミディアムサイズのマスクについて、最も広い中央での高さは、約54~74mmである(図7)。一実施形態では、ミディアムサイズマスクの場合、幅は約200mmである(図7)。一実施形態では、ミディアムサイズのマスクの場合、左右側部の高さは、約31~51mmである(図7)。一実施形態では、ラージサイズのマスクの場合、最も広い中央における高さは、約64~84mmである(図8)。一実施形態では、ラージのマスクの場合、幅は約210mmである(図8)。一実施形態では、ラージサイズのマスクの場合、左右側部の高さは、約44~64mmである(図8)。一実施形態では、特大サイズのマスクの場合、最も広い中央における高さは、約68~88mmである(図9)。一実施形態では、特大マスクの場合、幅は約230mmである(図9)。一実施形態では、特大マスクの場合、左右側部の高さは、約48~68mmである(図9)。
【0031】
一実施形態では、溶接部の両端部は剛性であり、マスクが引っ張られて頬上に配置されるときにマスク500の端部が変形するのを防止する。1つの実施形態において、押された端部は、少なくとも1つのストラップ508によって引き締められるように引っ張られると、マスク500の本体を顔面に完全に密封させることができる。
【0032】
これらのアイテムは、協同的に働いて、利用者にしっかりした密閉を形成する。すべてのマスクについて、使用者を保護するためにしっかりした密閉が必要である。しかし、通常の3層マスクは一般に、鼻梁領域又は耳ストラップ領域のいずれかに開口部があり、飛沫に対して保護の効果を失わせる。溶接線の上部及び下部の湾曲した線は、引っ張られて開いたときにマスク自体を湾曲させることを可能にし、かくして、マスクの両側における開口を制限する。例えば、マスク上の8個のスポット溶接点550は、着用によってマスクが広がるときに、マスク上のしっかりした密閉を妨げるであろう過度な広がりにならないように、マスクの形状を維持する。
【0033】
図10を参照すると、1つの実施形態において、本体511の高さは、最も広い中央で約50~105mmである。一実施形態では、マスク500は、中央から第1端512及び第2端514まで狭くなる。
【0034】
一実施形態では、マスク500は、湾曲した輪郭を有する頂部507及び底部509を有し、各湾曲は、特定の弧を有する。この湾曲を展開すると、扁平状N95マスク500は、9つの片又はファセット(図5)によって形成されるように見える。ここで、各片又はファセットは、本体511内の折り目の面である。一実施形態では、頂部507及び底部509における本体511の円弧は、非対称である。この非対称なデザインは、異なる人々の集団の鼻と口の大きさと距離との関係による。この構成により、異なる人が着用した場合でも、マスクがしっかりと密着することができる。
【0035】
一実施形態では、マスク500は、着用者の鼻及び口内に入る空気をろ過し、有害なガス、臭気、及び液滴が着用者の鼻及び口内に出入りするのを防ぐように構成されている。
【0036】
一実施形態では、マスク500は、従来の扁平状マスク装置で製造されてもよく、量産段階に入ってもよい。1つの実施形態において、マスク500は、より少ない人件費で製造することができ、その結果、マスクを一般の人々に手頃な価格にすることができる。
【0037】
ここに引用される各々の特許、特許申請、及び出版物の開示は、ここにその全体を引用してここに組み込まれる。本発明は、具体的な実施形態を参照して開示されているが、本発明の他の実施形態及びバリエーションは、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得ることは明らかである。添付のクレームは、そのような全ての実施形態及び同等の変化量を含むように解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】