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特開2022-60150燃料インジェクタ用の改良された燃料回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060150
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】燃料インジェクタ用の改良された燃料回路
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/28 20060101AFI20220407BHJP
   F02C 7/232 20060101ALI20220407BHJP
   F23R 3/34 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F02C7/232 B
F23R3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105661
(22)【出願日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】16/916,446
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・グラディ・ゴッドフレイ
(72)【発明者】
【氏名】マリッサ・シンレイ・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・カイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】再循環および流れの渦を好都合に最小化し、全長にわたって圧力降下を等しくすることによって、ガスタービンの全体的な排出物を削減する燃料インジェクタを提供する。
【解決手段】燃料インジェクタ200が、前端壁206と後端壁208とを含む。燃料インジェクタは、前端壁と後端壁との間を延びる側壁をさらに含む。前端壁、後端壁、および側壁は、空気の通過のための開口部210を協働して定める。少なくとも1つの燃料注入部材が、開口部内に配置され、端壁間に延在する。燃料回路が、燃料インジェクタ内に定められる。燃料回路は、燃料インジェクタの前端壁内に定められた入口プレナム252を含む。燃料回路は、入口プレナムから延び、入口プレナムに流体に関して連絡する燃料通路254をさらに含む。燃料通路は、少なくとも1つの燃料注入部材内に定められる。燃料通路は、燃料注入部材の長さに沿って変化する断面積を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端壁(206)および前記前端壁(206)の反対側に配置された後端壁(208)と、
前記前端壁(206)と前記後端壁(208)との間を延びており、前記前端壁(206)および前記後端壁(208)と協働して空気を通すための開口部(210)を定めている側壁(204)と、
前記開口部(210)内に配置され、前記端壁(206、208)間を延びている少なくとも1つの燃料注入部材(212)と、
燃料回路(250)と
を備える燃料インジェクタ(200)であって、
前記燃料回路(250)は、前記燃料インジェクタ(200)内に定められ、
前記燃料インジェクタ(200)の前記前端壁(206)内に定められた入口プレナム(252)と、
前記入口プレナム(252)から延び、前記入口プレナム(252)に流体に関して連絡しており、前記少なくとも1つの燃料注入部材(212)内に定められ、前記燃料注入部材(212)の長さに沿って変化する断面積を有している燃料通路(254)と
を備えている、燃料インジェクタ(200)。
【請求項2】
前記燃料注入部材(212)は、前記燃料注入部材(212)の全長にわたって均一な外側断面形状を含む、請求項1に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項3】
前記燃料注入部材(212)上に定められた複数の燃料ポート(214)をさらに備え、前記複数の燃料ポート(214)は、前記燃料通路(254)と前記開口部(210)との間の流体の連絡をもたらす、請求項1に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項4】
前記複数の燃料ポート(214)の各々は、面取りされた入口(286)または丸みを帯びた入口(287)の一方を含む、請求項3に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項5】
前記燃料通路(254)の前記断面積は、前記入口プレナム(252)から前記燃料インジェクタ(200)の前記後端壁(208)へと徐々に収束する、請求項1に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項6】
前記燃料通路(254)は、第1の収束部分(266)と、発散部分(268)と、第2の収束部分(270)とを含む、請求項1に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの燃料注入部材(212)は、前記側壁(204)の間に配置された1対の燃料注入部材(212)を備え、前記燃料通路(254)は、前記1対の燃料注入部材(212)のうちの第1の燃料注入部材(212)内に定められ、第2の燃料通路(254)が、前記1対の燃料注入部材(212)のうちの第2の燃料注入部材(212)内に定められている、請求項1に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項8】
前記第1の燃料通路(254)および前記第2の燃料通路(254)の各々は、前記入口プレナム(252)から前記後端壁(208)へと変化するそれぞれの断面積を有する、請求項7に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項9】
前記側壁(204)は、第1の側壁燃料注入部材(212)および第2の側壁燃料注入部材(212)を備え、第1の側壁燃料通路(254)が、前記第1の側壁燃料注入部材(212)内に定められ、第2の側壁燃料通路(254)が、前記第2の側壁燃料注入部材(212)内に定められ、前記第1の側壁燃料通路(254)および前記第2の側壁燃料通路(254)は、前記入口プレナム(252)から延び、前記入口プレナム(252)に流体に関して連絡している、請求項7に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項10】
前記第1の側壁燃料通路(254)および前記第2の側壁燃料通路(254)の各々は、前記入口プレナム(252)から前記後端壁(208)へと変化するそれぞれの断面積を有する、請求項7に記載の燃料インジェクタ(200)。
【請求項11】
端部カバー(126)と、
前記端部カバー(126)と燃焼ライナ(42)との間を延びている少なくとも1つの燃料ノズル(122)であって、前記燃焼ライナ(42)は、前記少なくとも1つの燃料ノズル(122)と後部フレームとの間を延び、燃焼室を定めている少なくとも1つの燃料ノズル(122)と、
前記少なくとも1つの燃料ノズル(122)の下流に配置され、前記燃焼室に流体に関して連絡している燃料インジェクタ(200)と
を備え、
前記燃料インジェクタ(200)は、
前端壁(206)および前記前端壁(206)の反対側に配置された後端壁(208)と、
前記前端壁(206)と前記後端壁(208)との間を延びており、前記前端壁(206)および前記後端壁(208)と協働して空気を通すための開口部(210)を定めている側壁(204)と、
前記開口部(210)内に配置され、前記端壁(206、208)間を延びている少なくとも1つの燃料注入部材(212)と、
前記燃料インジェクタ(200)内に定められた燃料回路(250)と
を備えており、
前記燃料回路(250)は、
前記燃料インジェクタ(200)の前記前端壁(206)内に定められた入口プレナム(252)と、
前記入口プレナム(252)から延び、前記入口プレナム(252)に流体に関して連絡しており、前記少なくとも1つの燃料注入部材(212)内に定められ、前記燃料注入部材(212)の長さに沿って変化する断面積を有している燃料通路(254)と
を備えている、燃焼器(17)。
【請求項12】
前記燃料注入部材(212)は、前記燃料注入部材(212)の全長にわたって均一な外側断面形状を含む、請求項11に記載の燃焼器(17)。
【請求項13】
前記燃料注入部材(212)上に定められた複数の燃料ポート(214)をさらに備え、前記複数の燃料ポート(214)は、前記燃料通路(254)と前記開口部(210)との間の流体の連絡をもたらす、請求項11に記載の燃焼器(17)。
【請求項14】
前記複数の燃料ポート(214)の各々は、面取りされた入口(286)または丸みを帯びた入口(287)の一方を含む、請求項13に記載の燃焼器(17)。
【請求項15】
前記燃料通路(254)の前記断面積は、前記入口プレナム(252)から前記燃料インジェクタ(200)の前記後端壁(208)へと徐々に収束する、請求項11に記載の燃焼器(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くには、ガスタービンの燃焼器用の燃料インジェクタに関し、より詳細には、このような燃焼器に関連する軸方向燃料多段化(axial fuel staging:AFS)システムにおいて使用するための燃料インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギ伝達の目的で、さまざまな産業および用途において利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、タービンセクションと、排気セクションとを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに流入する作動流体の圧力を徐々に高め、この圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体および燃料(例えば、天然ガス)は、燃焼セクションにおいて混合され、燃焼チャンバ内で燃焼して、高圧および高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、燃焼セクションからタービンセクションへと流れ、タービンセクションにおいて膨張し、仕事を生む。例えば、タービンセクションにおける燃焼ガスの膨張は、例えば発電機に接続されたロータシャフトを回転させ、電気を発生させることができる。次いで、燃焼ガスは、排気セクションを介してガスタービンから排出される。
【0003】
いくつかの燃焼器において、燃焼ガスの発生は、2つの離れて位置する段において生じる。そのような燃焼器は、本明細書において、燃料および酸化剤を燃焼器のヘッドエンドの下流の1つ以上の燃料インジェクタへと届ける「軸方向燃料多段化」(AFS)システムを備える燃焼器と呼ばれる。AFSシステムを有する燃焼器においては、燃焼器の上流端の一次燃料ノズルが、燃料および空気(または、燃料/空気混合物)を一次燃焼ゾーンへと軸方向に注入し、一次燃料ノズルの下流の位置に配置されたAFS燃料インジェクタが、燃料および空気(または、第2の燃料/空気混合物)を一次燃焼ゾーンの下流の二次燃焼ゾーンに交差流として注入する。交差流は、一次燃焼ゾーンからの燃焼生成物の流れに対しておおむね横方向である。場合によっては、燃料および空気を混合物として二次燃焼ゾーンに導入することが望ましい。したがって、AFSインジェクタの混合能力が、ガスタービンの全体としての動作の効率および/または排出物を左右する。
【0004】
典型的には、AFSインジェクタは、二次燃焼ゾーンにおける燃焼に先立って空気と混合されるように燃料を注入する複数の燃料出口を有する中空注入部材を含む。しかしながら、中空燃料注入部材の使用には問題が存在する。例えば、中空注入部材における燃料の再循環および多数の燃料出口の各々における燃料の不均一な圧力降下により、燃料インジェクタにおける燃料の分配が不均一になる可能性がある。燃料注入部材における再循環および不均一な圧力降下の両方は、燃料インジェクタにおける燃料および空気の不均一な混合をもたらし、ガスタービンの全体的な動作効率に損失を引き起こす可能性がある。
【0005】
したがって、燃料を全長にわたって均一に分配することができる改良された燃料インジェクタが、当技術分野において望まれている。とくには、再循環および流れの渦を好都合に最小化し、全長にわたって圧力降下を等しくすることによって、ガスタービンの全体的な排出物を削減する燃料インジェクタが望まれる。
【発明の概要】
【0006】
本開示による燃料インジェクタおよび燃焼器の態様および利点は、以下の説明に部分的に記載され、あるいは説明から自明であってよく、あるいは本技術の実施を通して習得可能である。
【0007】
一実施形態によれば、燃料インジェクタが提供される。燃料インジェクタは、前端壁と、前端壁の反対側に配置された後端壁とを含む。燃料インジェクタは、前端壁と後端壁との間に延在する側壁をさらに含む。前端壁、後端壁、および側壁は、空気の通過のための開口部を協働して定める。少なくとも1つの燃料注入部材が、開口部内に配置され、端壁の間に延在する。燃料回路が、燃料インジェクタ内に定められる。燃料回路は、燃料インジェクタの前端壁内に定められた入口プレナムを含む。燃料回路は、入口プレナムから延び、入口プレナムに流体に関して連絡した燃料通路をさらに含む。燃料通路は、少なくとも1つの燃料注入部材内に定められる。燃料通路は、燃料注入部材の長さに沿って変化する断面積を有する。
【0008】
別の実施形態によれば、燃焼器が提供される。燃焼器は、端部カバーを有するヘッドエンド部分と、端部カバーから延びる少なくとも1つの燃料ノズルとを含む。燃焼ライナが、ヘッドエンド部分と後部フレームとの間に延在し、燃焼室を定める。燃焼器は、少なくとも1つの燃料ノズルの下流に配置され、燃焼室に流体に関して連絡した燃料インジェクタをさらに含む。燃料インジェクタは、前端壁と、前端壁の反対側に配置された後端壁とを含む。燃料インジェクタは、前端壁と後端壁との間に延在する側壁をさらに含む。前端壁、後端壁、および側壁は、空気の通過のための開口部を協働して定める。少なくとも1つの燃料注入部材が、開口部内に配置され、端壁の間に延在する。燃料回路が、燃料インジェクタ内に定められる。燃料回路は、燃料インジェクタの前端壁内に定められた入口プレナムを含む。燃料回路は、入口プレナムから延び、入口プレナムに流体に関して連絡した燃料通路をさらに含む。燃料通路は、少なくとも1つの燃料注入部材内に定められる。燃料通路は、燃料注入部材の長さに沿って変化する断面積を有する。
【0009】
本燃料インジェクタおよび燃焼器のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本技術の実施形態を例示し、明細書における説明と併せて本技術の原理を説明する役に立つ。
【0010】
当業者へと向けられた本システムおよび方法を製作および使用する最良の態様を含む本燃料インジェクタおよび燃焼器の充分かつ実施可能な開示が、添付の図面を参照して本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態によるターボ機械の概略図である。
図2】本開示の実施形態による燃焼器の断面概略図である。
図3】本開示の実施形態による燃焼器から取り外された燃料注入アセンブリの斜視図を示している。
図4】本開示の実施形態による燃焼器に取り付けられた燃料注入アセンブリの断面平面図を示している。
図5】本開示の実施形態による燃料注入アセンブリの部分断面平面図を示している。
図6】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面側面図を示している。
図7】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面側面図を示している。
図8】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面側面図を示している。
図9】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面平面図を示している。
図10】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面平面図を示している。
図11】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面平面図を示している。
図12】本開示の実施形態による燃料インジェクタの断面平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本燃料インジェクタおよび燃焼器の実施形態を詳細に参照するが、その1つ以上の例が図面に示されている。各々の例は、本技術を説明するために提示され、本技術を限定するものではない。実際、特許請求される技術の範囲または趣旨から逸脱することなく、修正および変更が本技術において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、或る実施形態の一部として図示または記載された特徴を、別の実施形態において使用して、またさらなる実施形態をもたらすことができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるような修正および変更を包含することを意図している。
【0013】
詳細な説明において、図面中の特徴を参照するために、数字および文字による符号を使用する。図面および説明における類似または同様の符号は、本発明の類似または同様の部分を指して使用されている。本明細書において使用されるとき、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、或る構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。
【0014】
本明細書において使用されるとき、「上流」(または、「前方」)および「下流」(または、「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに対する相対的な方向を指す。例えば、「上流」は、流体が流れてくる方向を指し、「下流」は、流体が流れていく方向を指す。「半径方向」という用語は、特定の構成要素の軸中心線に実質的に垂直な相対的な方向を指し、「軸方向」という用語は、特定の構成要素の軸中心線に実質的に平行および/または同軸に整列する相対的な方向を指し、「円周方向」という用語は、特定の構成要素の軸中心線の周囲を延びる相対的な方向を指す。
【0015】
「おおむね」または「約」などの近似の用語は、記載された値のプラスマイナス10パーセントの範囲内の値を含む。角度または方向の文脈において使用されるとき、そのような用語は、記載された角度または方向のプラスマイナス10度の範囲を含む。例えば、「おおむね垂直」は、例えば時計回りまたは反時計回りなどの任意の方向に垂直から10度の範囲内の方向を含む。
【0016】
ここで図面を参照すると、図1は、図示の実施形態においてはガスタービン10であるターボ機械の一実施形態の概略図を示している。産業用または陸上用のガスタービンが本明細書に示されて説明されているが、本開示は、特許請求の範囲にとくに明記されない限り、産業用または陸上用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書において説明される本発明を、これらに限られるわけではないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン、または船舶用ガスタービンを含む任意の種類のターボ機械に使用することが可能である。
【0017】
図示のように、ガスタービン10は、一般に、入口セクション12と、入口セクション12の下流に配置された圧縮機セクション14と、圧縮機セクション14の下流に配置された燃焼器セクション16内の複数の燃焼器17(図2)と、燃焼器セクション16の下流に配置されたタービンセクション18と、タービンセクション18の下流に配置された排気セクション20とを含む。加えて、ガスタービン10は、圧縮機セクション14とタービンセクション18との間に接続された1つ以上のシャフト22を含むことができる。
【0018】
圧縮機セクション14は、一般に、複数のロータディスク24(そのうちの1つが図示されている)と、各々のロータディスク24から半径方向外側に延び、各々のロータディスク24に接続されている複数のロータブレード26とを含むことができる。次いで、各々のロータディスク24は、圧縮機セクション14を通って延びるシャフト22の一部分に接続されてよく、あるいはそのような一部分を形成することができる。
【0019】
タービンセクション18は、一般に、複数のロータディスク28(そのうちの1つが図示されている)と、各々のロータディスク28から半径方向外側に延び、各々のロータディスク28に接続されている複数のロータブレード30とを含むことができる。次いで、各々のロータディスク28は、タービンセクション18を通って延びるシャフト22の一部分に接続されてよく、あるいはそのような一部分を形成することができる。タービンセクション18は、シャフト22の一部分およびロータブレード30を周状に取り囲むことによってタービンセクション18を通る高温ガス経路32を少なくとも部分的に定める外側ケーシング31をさらに含む。
【0020】
動作時に、空気15などの作動流体が入口セクション12を通って圧縮機セクション14に流入し、圧縮機セクション14において空気15が徐々に圧縮され、したがって加圧された空気または圧縮された空気19が燃焼器セクション16の燃焼器へともたらされる。加圧された空気は、燃料と混合され、各々の燃焼器において燃やされて、燃焼ガス34を発生させる。燃焼ガス34は、高温ガス経路32を通って燃焼器セクション16からタービンセクション18に流入し、タービンセクション18においてエネルギ(運動エネルギおよび/または熱エネルギ)が燃焼ガス34からロータブレード30に伝達されることにより、シャフト22の回転が生じる。次いで、この機械的回転エネルギを、圧縮機セクション14の動作および/または発電に使用することができる。次いで、タービンセクション18から出る燃焼ガス34を、排気セクション20を介してガスタービン10から排出することができる。
【0021】
図2は、大型ガスタービン用のカニュラ(can annular)型燃焼システムに含まれ得る燃焼器17の概略図である。カニュラ型燃焼システムにおいては、複数(例えば、8個、10個、12個、14個、16個、またはそれ以上)の燃焼器17が、圧縮機セクション14をタービンセクション18に接続するシャフト22を中心とする環状のアレイに配置される。タービンセクション18を、電力を発生させるために発電機(図示せず)に(例えば、シャフト22によって)動作可能に接続することができる。
【0022】
図2に示されるように、燃焼器17は、軸方向A、および軸方向Aの周りに延びる円周方向Cを定めることができる。さらに、燃焼器17は、軸方向Aに垂直な半径方向Rを定めることができる。
【0023】
図2において、燃焼器17は、燃焼ガス34を封じ込めてタービンへと運ぶ燃焼ライナ42を含む。燃焼ライナ42は、多くの従来からの燃焼システムと同様に、円筒状のライナ部分と、円筒状のライナ部分とは別のテーパ状のつなぎ部分とを有することができる。あるいは、燃焼ライナ42は、円筒状の部分とテーパ状の部分とが互いに一体化された一体型本体(または、「ユニボディ」)の構成を有してもよい。したがって、本明細書における燃焼ライナ42の説明は、別個のライナおよびつなぎピースを有する従来からの燃焼システム、ならびにユニボディのライナを有する燃焼システムの両方を包含するように意図される。さらに、本開示は、つなぎピースとタービンの第1段のノズルとが「つなぎノズル」または「一体化出口ピース」と呼ばれることもある単一のユニットに一体化されている燃焼システムにも同様に適用可能である。
【0024】
燃焼ライナ42は、外側スリーブ44によって囲まれており、外側スリーブ44は、燃焼ライナ42と外側スリーブ44との間に冷却流用環状部132を定めるように、燃焼ライナ42から半径方向外側に離れて位置している。外側スリーブ44は、多くの従来からの燃焼システムと同様に、前端部に位置するフロースリーブ部分と、後端部に位置するインピンジメントスリーブ部分とを含むことができる。あるいは、外側スリーブ44は、フロースリーブ部分とインピンジメントスリーブ部分とが軸方向Aに互いに一体化された一体型本体(または、「ユニスリーブ」)の構成を有してもよい。前述のように、本明細書における外側スリーブ44の説明は、別個のフロースリーブおよびインピンジメントスリーブを有する従来からの燃焼システム、ならびにユニスリーブの外側スリーブを有する燃焼システムの両方を包含するように意図される。
【0025】
燃焼器17のヘッドエンド部分120が、燃焼器17の前端部の端部カバー126から延びる1つ以上の燃料ノズル122を含む。燃料ノズル122は、上流端(または、入口端)に燃料入口124を有する。燃料入口124は、端部カバー126を貫いて形成されてよい。燃料ノズル122の下流端(または、出口端)は、燃焼器キャップ128を貫いて延びる。
【0026】
燃焼器17のヘッドエンド部分120は、前部ケーシング130によって少なくとも部分的に囲まれており、前部ケーシング130は、圧縮機吐出ケース140に物理的に結合し、流体に関して接続されている。圧縮機吐出ケース140は、圧縮機セクション14(図1に示されている)の出口に流体に関して接続され、燃焼器17の少なくとも一部分を囲む加圧空気プレナム142を定める。圧縮された空気19が、圧縮機吐出ケース140から、燃焼器17の後端部118の付近の外側スリーブ44の穴を通って、冷却流用環状部132に流入する。冷却流用環状部132は前端部分120に流体に関して結合しているため、圧縮された空気19は、燃焼器17の後端部118の付近からヘッドエンド部分120へと上流に移動し、ヘッドエンド部分120において、圧縮された空気19は、方向を反転させ、燃料ノズル122に進入する。
【0027】
燃料ノズル122は、一次燃料/空気混合物46としての燃料および空気を、燃料および空気を燃焼させる燃焼ライナ42の前端部の一次燃焼ゾーン50へと導入する。一実施形態において、燃料および空気は、燃料ノズル122内で(例えば、予混合燃料ノズルにおいて)混合される。他の実施形態においては、燃料および空気を一次燃焼ゾーン50へと別々に導入し、一次燃焼ゾーン50において混合することができる(例えば、拡散ノズルで生じさせることができるとおり)。本明細書における「第1の燃料/空気混合物」への言及は、いずれも燃料ノズル122によって生成することができる予混合の燃料/空気混合物および拡散式の燃料/空気混合物の両方を説明するものと解釈されるべきである。
【0028】
一次燃焼ゾーン50からの燃焼ガスは、燃焼器17の後端部118に向かって下流に移動する。1つ以上の燃料インジェクタ100が、二次燃料/空気混合物56としての燃料および空気を二次燃焼ゾーン60へと導入し、二次燃焼ゾーン60において、この燃料および空気が一次ゾーンの燃焼ガスによって点火され、複合の燃焼ガス生成物の流れ34を形成する。単一の燃焼器17内に軸方向に分離された燃焼ゾーンを有するこのような燃焼システムは、「軸方向燃料多段化」(AFS)システムと表現され、インジェクタアセンブリ100を、本明細書において「AFSインジェクタ」と呼ぶことができる。
【0029】
図示の実施形態において、各々のインジェクタアセンブリ100のための燃料は、燃料入口154を介して燃焼器17の前端部から供給される。各々の燃料入口154は、それぞれのインジェクタアセンブリ100に結合した燃料供給ライン104に結合している。燃料をリングマニホルドから供給し、あるいは圧縮機吐出ケース140を通って延びる半径方向に向けられた燃料供給ラインから供給するなど、インジェクタアセンブリ100に燃料をもたらす他の方法も使用できることを、理解すべきである。
【0030】
図2は、インジェクタアセンブリ100を燃焼器17の中心線70に対して角度θ(シータ)に向けることができることをさらに示している。図示の実施形態においては、インジェクタ100の前縁部分(すなわち、インジェクタ100のうちのヘッドエンドの最も近くに位置する部分)が、燃焼器17の中心線70から離れるように向けられている一方で、インジェクタ100の後縁部分が、燃焼器17の中心線70の方へと向けられている。インジェクタ100の長手軸75と中心線70との間に定められる角度θは、0度~±90度の間、0度~±80度の間、0度~±70度の間、0度~±60度の間、0度~±50度の間、0度~±40度の間、0度~±30度の間、0度~±20度の間、または0度~±10度の間、またはこれらの間の任意の中間値であってよい。
【0031】
図2は、燃焼器の中心線70に対して正の角度にあるインジェクタアセンブリ100の向きを示している。他の実施形態(別途の図示は省略)においては、前縁部分が中心線70に最も近く、後縁部分が中心線70から遠くなるように、インジェクタ100を中心線70に対して負の角度に向けることが望ましいかもしれない。一実施形態においては、燃焼器17のすべてのインジェクタアセンブリ100が、非ゼロの角度に配置される場合に、同じ角度に向けられる(すなわち、すべてが同じ正の角度に向けられ、あるいはすべてが同じ負の角度に向けられる)。
【0032】
インジェクタアセンブリ100は、第2の燃料/空気混合物56を燃焼ライナ42へと中心線70および/または一次燃焼ゾーンからの燃焼生成物の流れを横切る方向に注入することによって、二次燃焼ゾーン60を形成する。一次および二次燃焼ゾーンからの複合の燃焼ガス34は、燃焼器17の後端部118を通ってタービンセクション18(図1)へと下流に移動し、タービンセクション18において燃焼ガス34が膨張し、タービンセクション18を駆動する。
【0033】
とりわけ、ガスタービン10の動作効率を高め、排出物を低減するために、インジェクタ100が燃料および圧縮されたガスを徹底的に混合して第2の燃料/空気混合物56を形成することが望ましい。したがって、以下で説明されるインジェクタの実施形態は、混合の改善を促進する。加えて、燃料インジェクタ100は、さらに後述されるように多数の燃料注入ポートを含むがゆえに、広い範囲の熱放出値を有する燃料を導入する能力が高められ、ガスタービンの運転者にとってさらに高い燃料柔軟性がもたらされる。
【0034】
図3が、本開示の実施形態による例示的な燃料インジェクタアセンブリ100を示している。図示のとおり、インジェクタアセンブリ100は、燃料インジェクタ200およびボス300を含むことができる。燃料インジェクタ200およびボス300は、互いに結合した2つの別個の構成要素であるとして図3に示されているが、多数の実施形態において、燃料インジェクタ200およびボス300は、単一の一体的に形成された構成要素であってもよい。
【0035】
図示のように、燃料インジェクタ200は、互いに間隔を空けて位置した端壁202と、端壁202間に延在する側壁204とを含む。多数の実施形態において、燃焼器17に組み込まれたとき、燃料インジェクタ200の側壁204は、軸方向Aに平行に延びてよい(図5)。燃料インジェクタ200の端壁202は、互いに対向して配置された前端壁206および後端壁208を含む。側壁204は、互いに間隔を空けて位置することができ、前端壁206と後端壁208との間に延在することができる。
【0036】
多数の実施形態においては、端壁202および側壁204が幾何学的スタジアムとして形作られた断面を有する第1の開口部210を協働して定めるように、前端壁206および後端壁208の両方が、弓形であり、おおむね丸みを帯びた断面形状を有し、側壁は、端壁202間をおおむね真っ直ぐに延びることができる。さまざまな実施形態において、側壁204は、燃焼器17に取り付けられたときに開口部210が軸方向Aにおいて最も長くなるように、端壁202よりも長くてよい。いくつかの実施形態においては、図示のように、端壁202および側壁204が、第1の開口部210の周囲を輪郭付けて定める幾何学的スタジアムの形状の領域、すなわち丸みを帯びた端部を有する長方形を、協働して定めることができる。他の実施形態においては(図9および図10に示されるように)、端壁202および側壁204が長方形の領域を協働して定めるように、端壁202が直線状であってよい。
【0037】
多数の実施形態において、第1の開口部210は、加圧空気プレナム142からの圧縮された空気19が二次燃焼ゾーン60に到達する前に通過して燃料と混合される経路をもたらすように機能することができる。図3に示されるように、燃料インジェクタ200は、第1の開口部210内に配置され、端壁202間に延在することができる少なくとも1つの燃料注入部材212をさらに含むことができる。例示的な実施形態において、燃料注入部材212は、端壁202間を軸方向に延びてよい。燃料注入部材212は、燃料注入部材212を貫いて定められた複数の燃料ポート214を介して第1の開口部210へと燃料を供給するように機能する実質的な中空体であってよい。各々の燃料注入部材212は、前端壁206に位置する第1の端部から、後端壁208に位置する第2の端部まで延びてよい。多数の実施形態において、燃料注入部材212は、軸方向Aに前端壁206から後端壁208まで真っ直ぐに、すなわち方向を急激に変えることなく延びてよい。
【0038】
図3に示される実施形態において、燃料インジェクタは、開口部210内に互いに間隔を空けて位置する2つの燃料注入部材212を有するものとして示されている。しかしながら、燃料インジェクタ200は、第1の開口部210内に配置された任意の数(例えば、1つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上)の燃料注入部材212を有することができ、本開示は、特許請求の範囲に具体的に記載されない限り、燃料注入部材212のいかなる特定の数にも限定されない。
【0039】
図3に示されるように、燃料インジェクタ200は、前端壁206と一体に形成された導管継手220をさらに含む。導管継手220を、燃料供給ライン104から燃料の流れを受け取るべく機能するように、燃料供給ライン104に流体に関して結合させることができる。これにより、導管継手220は、燃料を第1の開口部210内に噴出させて、圧縮された空気19と混合させるために、燃料注入部材212および/または側壁燃料注入部材222、224(図4)の各々に分配することができる。導管継手220は、任意の適切なサイズおよび形状を有することができ、導管継手220が本明細書に記載のとおりに機能することを可能にする燃料インジェクタ200の任意の適切な部分と一体に形成されてよく、あるいはそのような部分に結合することができる。
【0040】
多数の実施形態においては、燃料インジェクタ200の全体が単一の構成要素として一体的に形成されてよい。すなわち、燃料インジェクタ200の下位構成要素、例えば端壁202、側壁204、燃料注入部材212、および任意の他の下位構成要素の各々を、単一体として一緒に製造することができる。例示的な実施形態においては、燃料インジェクタ200のこの単一体を、3D印刷などの付加製造方法を利用することによって製造することができる。この点に関して、付加製造方法を利用して、燃料インジェクタ200を連続的な金属の単一片として形成することができ、したがって含まれる下位構成要素および/または接合部の数を、これまでの設計と比べて少なくすることができる。付加製造による燃料インジェクタ200の一体的形成は、全体としての組み立てプロセスを好都合に改善することができる。例えば、一体的形成は、組み立てなければならない別個の部品の数を減らすことにより、関連の時間および全体としての組み立てコストを低減する。さらに、例えば、漏れ、別個の部品間の接合の品質、および全体の性能に関する既存の問題を、好都合に軽減することができる。他の実施形態においては、鋳造または他の適切な技術などの製造技術を使用することができる。
【0041】
図3に示されるように、燃料インジェクタアセンブリ100は、ボス300をさらに含むことができる。図4および図5に示されるように、ボス300は、第1の端部302において燃焼ライナ42に固定に結合することができ、冷却流用環状部132を半径方向に貫いて第2の端部304に配置されたフランジ部分306まで延びることができる。フランジ部分306は、ガスタービン10の稼働中の燃料/空気の漏れの可能性を最小限に抑える燃料インジェクタ200を漏れがないように結合させるための滑らかな表面を提供するように、実質的に平坦かつ平面状であってよい。多数の実施形態において、ボス300は、第1の端部302とフランジ部分306との間に延在するジャケット部分308を含むことができる。
【0042】
ボス300は、第1の開口部210に整列し、燃料および空気を二次燃焼ゾーン60(図4)へと導入するための経路を形成する第2の開口部310を定めることができる。例えば、いくつかの実施形態において、第2の開口部310および第1の開口部210は、共通の中心軸を共有することができる(図4および図5)。この構成において、ボス300は、燃料インジェクタ200と二次燃焼ゾーン60との間の流体の連絡をもたらす。より具体的には、第2の開口部310を、ボス300のフランジ部分306およびジャケット部分308によって定めることができ、幾何学的なスタジアム、すなわち半円形の端部を有する長方形として形作ることができる。
【0043】
多数の実施形態において、第2の開口部310のサイズは、燃焼器17上の燃料注入アセンブリ100間で異なってもよい。例えば、第2の開口部310は、少なくとも部分的に、二次燃焼ゾーン60に導入される空気および燃料の流れを計量するように機能するため、いくつかの実施形態においては、燃焼器17上の燃料注入アセンブリ100のうちの1つ以上を通って導入される空気および燃料を他よりも多く/少なくすることが好都合となり得る。この差別的な計量を、円周上の所与の位置において二次燃焼ゾーン60に導入されるべき空気および燃料の所望の量に応じて、少なくとも1つの燃料インジェクタアセンブリ100の第2の開口部310のサイズを少なくとも1つの他の燃料インジェクタアセンブリ100と比べて変えることによって達成することができる。
【0044】
図4が、燃焼器17に結合した燃料注入アセンブリ100の断面図を示している。図4に示されるように、ジャケット部分308は、フランジ306から冷却流用環状部132を通って燃焼ライナ42まで延びる。多くの実施形態において、ジャケット部分308は、冷却流用環状部132(図4)を通る圧縮された空気19の流れに対して妨げを生じる。しかしながら、図3に示されるように、ジャケット部分308は、圧縮された空気19の流れの方向に平行または実質的に平行な長軸を有する幾何学的スタジアムとして形作られている。これにより、好都合なことに、冷却流用環状部132における圧縮された空気19に対する妨げが、例えば円形形状を有するジャケット部分と比べて小さくてすむ一方で、第2の開口部310を通って導入されて二次燃焼ゾーン60に取り込まれる燃料および空気のための適切な面積が、依然としてもたらされる。
【0045】
多数の実施形態において、図示されるように、側壁204は、第1の燃料注入部材222および第2の燃料注入部材224を含むことができる。例えば、第1および第2の燃料注入部材222、224は、第1の開口部210を部分的に定める役割、および燃料インジェクタ200内での混合のために燃料を複数の燃料ポート214を介して注入する役割の両方を果たすように、側壁204内に一体的に形成されてよい。さまざまな実施形態において、図示のように、燃料注入部材212は、側壁204内に定められた第1および第2の燃料注入部材222、224の間に配置された第3の燃料注入部材226および第4の燃料注入部材228を含むことができる。
【0046】
4つの燃料注入部材を有する実施形態においては、燃料インジェクタ200内に6つの注入面が存在し得る。例えば、燃料ポート214の単一の列を側壁燃料注入部材222、224の各々に定め、燃料注入面のうちの2つをもたらすことができる。さらに4つの燃料注入面を、中央に配置された燃料注入部材226、228上に配置することができる。例えば、燃料注入部材226、228の各々が、燃料注入部材226、228の両側に配置された単一列の燃料ポート214を有することができ、これにより、4つの燃料注入面がもたらされる。いくつかの実施形態において、第1の燃料注入部材222および第2の燃料注入部材224は、半径方向内側に延びるにつれてお互いに向かって収束してもよい。このようにして、端壁202および側壁204によって定められる全体としての幾何学的スタジアムの面積は、燃料インジェクタ200の半径方向外側の表面から半径方向内側の表面まで徐々に減少する。
【0047】
図4に示されるように、燃料注入部材226、228の各々は、涙滴形状を定める外側断面形状240を有することができる。図示のように、涙滴形状は、前縁234と、前縁234の反対側の後縁236と、壁238とを有することを特徴とする。壁238は、前縁234と後縁236との間に延在できる。多数の実施形態において、各々の燃料注入部材226、228の壁238は、複数の燃料注入ポート214を定める。少なくとも1つの実施形態においては、燃料注入ポート214を一列に配置することができる(図6)。燃料注入部材226、228は、涙滴形状を定める外側断面形状240を有するものとして図4に示されているが、燃料注入部材226、228の各々は、円形、三角形、ダイヤモンド形状、長方形、または任意の他の適切な断面形状のいずれかを定める外側断面形状を有することができる。
【0048】
図3図5にまとめて示されるように、燃料注入部材226、228の外側断面形状240は、前端壁206から後端壁208までの軸方向Aの延在において形状または向きの突然の変化が存在しないように、軸方向Aに均一であってよい。このようにして、内部形状は図6図8に示されるように軸方向Aに沿って変化してもよいが、外側断面形状240は軸方向Aに均一であってよい。
【0049】
図5が、燃料注入アセンブリ100の部分断面平面図を示している。図示のように、燃料インジェクタ200は、内部に定められた燃料回路250をさらに含むことができる。図示のように、燃料回路250を、導管継手220を介して燃料供給ライン104に流体に関して結合させることができる。多数の実施形態において、燃料回路250は、燃料インジェクタ200の前端壁206内に定められた入口プレナム252を含む。入口プレナム252は、燃料供給ライン104から燃料を受け取り、側壁燃料注入部材222、224および/または燃料注入部材226、228内に定められた1つ以上の燃料通路254に分配することができる。いくつかの実施形態においては、図5に示されるように、燃料通路254の各々が、入口燃料プレナム252から軸方向Aに沿って後端壁208まで直接延びることができる。多数の実施形態において、燃料通路254の各々は、互いに平行であってよい。
【0050】
図5に示されるように、複数の燃料ポート214を、側壁燃料注入部材222、224および/または燃料注入部材226、228に定めることができ、燃料を二次燃焼ゾーン60に進入する前に圧縮された空気19と混合されるように第1の開口部210へと供給するために、それぞれの燃料通路254に流体に関して連絡させることができる。例えば、多数の実施形態において、複数の燃料ポート214の各々の燃料ポート214は、それぞれの燃料通路254と開口部210との間に延在することができる。
【0051】
図6図8が、本開示の実施形態による燃料注入部材260を示す燃料インジェクタ200の断面側面図を示している。図6図8に示される燃料注入部材260は、本明細書で説明する側壁燃料注入部材222、224および/または燃料注入部材226、228のいずれかまたは両方を代表することができる。図示のように、注入部材260は、第1の開口部210内に配置され、端壁202の間を軸方向に延びる。
【0052】
本明細書において説明されるとおり、燃料インジェクタ200は、入口プレナム252および燃料通路254を有する燃料回路250をさらに定めることができる。多数の実施形態において、入口プレナム252を、燃料インジェクタ200の前端壁206内に定めることができる。燃料通路254は、燃料注入部材260内で入口プレナム252から直接延び、後端壁208の近くで終わることができる。多数の実施形態において、入口燃料プレナム252からの燃料は、燃料注入部材260に沿って配置された複数の燃料ポート214を介して開口部210に注入されるように、燃料通路254に流入することができる。いくつかの実施形態において、燃料通路254は、後端壁208内で終わってもよい。他の実施形態において、燃料通路254は、後端壁208の前方で終わってもよい。
【0053】
多くの実施形態において、燃料通路254は、燃料注入部材260の軸方向長さ256に沿って変化する断面積を有することができる。具体的には、図示されるように、半径方向高さ258、すなわち半径方向に測定された燃料通路254の幅が、通路が軸方向Aの長さに沿って延びるにつれて変化してよく、これによって燃料通路254の全体的な断面積が減少する。いくつかの実施形態において、燃料通路260は、燃料通路254の半径方向内側および半径方向外側の流れ境界をそれぞれ定める半径方向内縁262および半径方向外縁264を含むことができる。
【0054】
図6に示される実施形態において、半径方向外縁264は、軸方向Aに沿って燃料注入部材260の前縁234におおむね平行な直線であってよい。流路254の半径方向内縁262は、通路が軸方向Aに延びるにつれて半径方向外縁264に向かって徐々に先細りになってよい。換言すると、半径方向内縁262は、軸方向Aに延びるにつれて半径方向外縁264に向かって徐々にかつ連続的に収束するように、半径方向外縁264に向かって傾斜した直線縁(曲線なし)であってよい。この構成においては、流路254が前端壁206から後端壁208まで軸方向Aに延びるにつれて、半径方向高さ258が一定の割合で減少し得る。
【0055】
図6に示される実施形態において、半径方向内縁262は、先細りを含むものとして示されており、半径方向外縁264は、前縁234に平行であるものとして示されている。他の実施形態(図示せず)においては、半径方向外縁264が先細りを含んでもよく、半径方向内縁262が前縁234に平行であってよい。
【0056】
図7に示されるように、燃料通路254は、直線部分265と、半径方向Rに沿った第1の収束部分266と、発散部分268と、第2の収束部分270とを含むことができる。燃料通路254の直線部分265は、入口プレナム252から第1の収束部分266まで延びることができ、発散部分268は、第1の収束部分266から第2の収束部分270まで延びることができる。図7に示されるように、直線部分は、燃料通路254が半径方向Aに延びるときに断面積が均一、すなわち一定または不変である燃料通路254の一部分であってよい。燃料通路254の収束部分266、270は、燃料通路254のうちの燃料通路254が軸方向Aに沿って延びるにつれて断面積が減少する部分であってよい。反対に、発散部分268は、燃料通路のうちの燃料通路254が軸方向Aに沿って延びるにつれて通路の断面積が増加する部分であってよい。
【0057】
図7に示されるように、半径方向外縁264は、燃料注入部材260の軸方向長さ256の全体にわたって燃料注入部材260の前縁234におおむね平行な直線であってよい。図示のように、直線部分265において、半径方向外縁264および半径方向内縁262は、半径方向高さ258が直線部分265の全体にわたって一定であるように互いに平行であってよい。燃料通路254の収束部分266、270において、半径方向内縁262は、弓形であってよく、燃料通路が軸方向Aに延びるにつれて半径方向外縁264に向かって収束でき、これによって燃料通路254の半径方向高さ258および総断面積を軸方向Aに沿って減少させる。反対に、燃料通路254の発散部分268において、半径方向内縁262は、弓形であってよく、半径方向外縁264から遠ざかるように発散でき、これによって燃料通路254の半径方向高さ258および総断面積を軸方向Aに沿って増加させる。
【0058】
図8に示されるように、半径方向外縁264は、湾曲部分272を含んでもよい。図示のように、半径方向外縁264の湾曲部分272は、弓形であってよく、燃料通路254が軸方向Aに延びるにつれて半径方向内縁262に向かって収束し、次いで半径方向内縁262から遠ざかるように発散でき、これによって燃料通路254の半径方向高さ258および総断面積を軸方向Aに沿って変化させる。多数の実施形態において、図示のように、湾曲部分272は、おおむね放物線状または「U」字状の形状を有することができる。湾曲部分は、燃料通路254が完全に直線状である場合に起こり得る流れの剥離、再循環、および流れの渦を好都合に低減するように機能することができる。
【0059】
図6図8に示される実施形態において、半径方向内縁262が、軸方向Aに沿って先細りになっており、さらには/あるいは湾曲しているものとして示されている一方で、半径方向外縁は、おおむね直線状であり、あるいは大部分がおおむね直線状である。しかしながら、他の実施形態(図示せず)においては、半径方向内縁262が直線状または大部分において直線状である一方で、半径方向外縁264が軸方向Aに沿って湾曲するように、縁の形状を入れ替えることも可能である。
【0060】
図6図8に示され、本明細書において説明されるように、燃料通路254は、燃料注入部材260内に定められてよく、軸方向Aにおいて変化する断面を有することができる。しかしながら、いくつかの実施形態においては涙滴として形作られてよい外側断面形状240は、燃料インジェクタ260が軸方向に延びるにつれて一定、均一、かつ/または不変であってよい。本明細書において説明される付加製造方法などの製造方法の進歩により、燃料注入部材260間の均一な空気の流れにとって重要な一定の外側断面形状240を維持しつつ、燃料注入部材260内の複雑かつ変化する燃料通路254が可能になる。
【0061】
図9図12が、本開示の実施形態による燃料インジェクタ200について、半径方向Rに沿って燃料インジェクタ200の半径方向外側から見た平面図を示している。図示のとおり、燃料インジェクタ200は、単一の燃料注入部材260のみを含む。図9図12に示される燃料注入部材260の特徴を、側壁燃料注入部材222、224および/または燃料注入部材226、228などの本明細書に記載の燃料注入部材のいずれにも取り入れることができることを、理解できるだろう。図9図12に示されるように、燃料インジェクタ200は、燃焼器の円周方向Cに対して接線方向であり、半径方向Rおよび軸方向Aの両方に対して垂直である横方向Tを含むことができる。
【0062】
図9に示される実施形態において、燃料通路254は、横方向Tに沿って収束部分274および発散部分276をさらに含むことができる。図示のように、燃料注入部材260の両側の壁238は、燃料通路254を通って移動する燃料について横方向Tにおける流れ境界を形成する対向して位置する内面278、280を含むことができる。燃料通路254の収束部分274において、内面278、280は、弓形であってよく、燃料通路254が軸方向Aに延びるにつれてお互いに向かって収束でき、これによって燃料通路254の横方向長さ282および総断面積が軸方向Aに沿って減少する。
【0063】
反対に、発散部分276において、内面278、280は、弓形であってよく、燃料通路254が軸方向Aに延びるにつれてお互いから遠ざかるように発散でき、これによって燃料通路254の横方向長さ282および総断面積が軸方向Aに沿って増加する。燃料通路254内の横方向長さ282を変化させることで、燃料通路における燃料の流れの剥離、再循環、および流れの渦を好都合に低減することができる。
【0064】
図11および図12に示される実施形態などの他の実施形態において、第1および第2の内面278、280は、横方向長さ282が軸方向に均一であるように直線状であってよい。このようにして、特定の実施形態において、燃料通路254は、半径方向長さのみ、横方向長さのみ、あるいは半径方向長さおよび横方向長さの両方において変化してもよい。
【0065】
図10に示される実施形態において、燃料通路254は、軸方向において横方向長さ282が一定の割合で減少するように、入口プレナム252から軸方向に延びるにつれて収束でき、あるいは先細りであってよい。図示のように、燃料注入部材260の両側の壁238は、燃料通路254を通って移動する燃料について横方向Tにおける流れ境界を形成する対向して位置する内面278、280を含むことができる。図10に示される実施形態において、内面278、280は、一定の割合でお互いに向かって先細りになってよく、これによって燃料通路254の横方向長さ282および総断面積を軸方向Aに沿って減少させることができる。燃料通路254内の横方向長さ282を徐々に減少させることで、燃料通路における燃料の流れの剥離、再循環、および流れの渦を好都合に低減することができる。
【0066】
図9および図10に示されるように、複数の燃料ポート214の各々を、燃料注入部材260の壁238内に定めることができる。より具体的には、複数の燃料ポート214の各々の燃料ポート214は、壁238のそれぞれの内面278、280と壁238のそれぞれの外面288、290との間に延在できる。
【0067】
図11に示されるように、複数の燃料ポート214の各々は、面取りされた入口286を含むことができる。面取りされた入口286は、燃料ポート214が、入口における第1の直径292から、燃料ポート214の入口と出口との間に配置された移行点296における第2の直径294へと徐々に先細りになるように、円錐形とされてよい。図11に示されるように、第1の直径292は第2の直径294よりも大きくてよい。移行点296において、燃料ポート214の各々は、第2の直径が移行点296から燃料ポート214の出口まで一定であるように、円錐形から円柱形に移行することができる。面取りされた入口286を有する燃料ポート214を利用することにより、第1の開口部210内のより均一な燃料の分布を好都合にもたらすことができ、二次燃焼室60に進入する燃料および空気のより均一な混合を可能にすることができる。本明細書において説明されるとおり、均一に混合された燃料/空気混合物は、ガスタービン10の全体的な性能を高めることができる。
【0068】
図12に示されるように、複数の燃料ポート214の各々は、丸みを帯びた入口287を含むことができる。例えば、各々の燃料ポート214の丸みを帯びた入口287は、燃料ポート214が、入口における第1の直径293から、燃料ポート214の入口と出口との間に配置された移行点297における第2の直径295へと徐々に先細りになるように、おおむね凸状であってよく、あるいは他のやり方で丸みを帯びてよい。図12に示されるように、第1の直径293は第2の直径295よりも大きくてよい。移行点297において、燃料ポート214の各々は、第2の直径295が移行点297から燃料ポート214の出口まで一定であるように、丸みを帯びた形状から円柱形に移行することができる。丸みを帯びた入口287を有する燃料ポート214を利用することにより、第1の開口部210内のより均一な燃料の分布を好都合にもたらすことができ、二次燃焼室60に進入する燃料および空気のより均一な混合を可能にすることができる。本明細書において説明されるとおり、均一に混合された燃料/空気混合物は、ガスタービン10の全体的な性能を高めることができる。
【0069】
本明細書に開示されるとおり、例えば均一な断面積を有する燃料通路を有するのではなく、燃料注入部材260の長さに沿って燃料通路254の断面積を変化させることにより、燃料通路254を通って移動する燃料の再循環、流れの剥離、および流れの渦が好都合に最小化される。この断面の変化は、燃料ポート214による均等な燃料の分配をもたらす。均等な燃料の分配により、燃料インジェクタ200内の燃料および空気の混合が向上し、したがってガスタービン10の全体的な動作効率が向上する。さらに、燃料通路254の断面積を特定の部分において減少させることにより、燃料に燃料注入部材260の全長にわたってはるかに均一な圧力を持たせることが可能になる。例えば、燃料ポート214の各々における圧力の損失が存在するが、燃料通路254の断面積の減少が燃料の圧力を高め、燃料ポート214によって引き起こされる低下を補償する。
【0070】
本明細書は、本発明を最良の態様も含めて開示すると共に、あらゆる装置またはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実行を含む本発明の実施を当業者にとって可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者であれば想到できる他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を含む場合や、特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない同等の構造要素を含む場合に、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0071】
10 ガスタービン
12 入口セクション
14 圧縮機セクション
15 空気
16 燃焼器セクション
17 燃焼器
18 タービンセクション
19 加圧された空気
20 排気セクション
22 シャフト
24 ロータディスク
26 ロータブレード
28 ロータディスク
30 ロータブレード
31 外側ケーシング
32 高温ガス経路
34 燃焼ガス
42 燃焼ライナ
44 外側スリーブ
46 一次燃料/空気混合物
50 一次燃焼ゾーン
56 第2の燃料/空気混合物、二次燃料/空気混合物
60 二次燃焼ゾーン、二次燃焼室
70 中心線
75 長手軸
100 燃料インジェクタアセンブリ、燃料注入アセンブリ
104 燃料供給ライン
118 後端部
120 ヘッドエンド部分
122 燃料ノズル
124 燃料入口
126 端部カバー
128 燃焼器キャップ
130 前部ケーシング
132 冷却流用環状部
140 圧縮機吐出ケース
142 加圧空気プレナム
154 燃料入口
200 燃料インジェクタ
202 端壁
204 側壁
206 前端壁
208 後端壁
210 開口部
212 燃料注入部材
214 燃料注入ポート
220 導管継手
222 第1の側壁燃料注入部材
224 第2の側壁燃料注入部材
226 第3の燃料注入部材
228 第4の燃料注入部材
234 前縁
236 後縁
238 壁
240 外側断面形状
250 燃料回路
252 入口燃料プレナム
254 燃料通路、流路
256 軸方向長さ
258 半径方向高さ
260 燃料注入部材、燃料インジェクタ
262 半径方向内縁
264 半径方向外縁
265 直線部分
266 第1の収束部分
268 発散部分
270 第2の収束部分
272 湾曲部分
274 収束部分
276 発散部分
278 内面
280 内面
282 横方向長さ
286 面取りされた入口
287 丸みを帯びた入口
288 外面
290 外面
292 第1の直径
293 第1の直径
294 第2の直径
295 第2の直径
296 移行点
297 移行点
300 ボス
302 第1の端部
304 第2の端部
306 フランジ部分
308 ジャケット部分
310 第2の開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】