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特開2022-60153内部センサグリッドならびにセンサワイヤおよび熱交換管のための拘束部を有する熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060153
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】内部センサグリッドならびにセンサワイヤおよび熱交換管のための拘束部を有する熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F22G 3/00 20060101AFI20220407BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220407BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20220407BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20220407BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20220407BHJP
   F22B 37/20 20060101ALI20220407BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20220407BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20220407BHJP
   F22B 37/38 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
F22G3/00 A
F01D25/00 V
F02C6/18 A
F02C7/00 A
F01K23/10 W
F22B37/20 D
F28F9/013 B
F28D1/053 Z
F22B37/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021119048
(22)【出願日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】16/942,986
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ウィリアム・ベアリー
(72)【発明者】
【氏名】スコット・ウィリアム・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ウィリアム・ムーア
(72)【発明者】
【氏名】ジン・クァンスク
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ニール・ギャラガー
【テーマコード(参考)】
3G081
3L103
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BA11
3G081BC07
3L103AA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱交換器内の熱交換管のための管拘束部内の開口部を通って延びるセンサリード線を有するセンサグリッドを含む熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、熱交換器内の熱交換管146のための管拘束部190を通って延びるセンサリード線184を含む。管拘束部190は、内部に画定された複数の管開口部194を有する本体192を含み、各管開口部194は、それを通して熱交換管146のセットのうちの1つを受け入れる。本体192はまた、それを通してセンサリード線184を受け入れるように内部に画定されたセンサリード線開口部200を含む。センサグリッドは、現場ではなく製造中に設置され、センサグリッドが熱交換器内の熱交換管の最外側および内側のセットにあることを可能にする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(108)であって、
互いに隣接して配置された熱交換管(146)の複数のセット(176)であって、熱交換管(146)の各セット(176)は、その端部(210,212)でヘッダ(174)に流体結合されている、熱交換管(146)の複数のセット(176)と、
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)の間に配置されたセンサグリッド(180)であって、前記センサグリッド(180)は複数のセンサ(182)を含み、各センサ(182)は、そこから延びるセンサリード線(184)を含む、センサグリッド(180)と、
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)のうちの少なくとも1つをエンクロージャ(148)に対して位置決めするための管拘束部(190)であって、前記管拘束部(190)は、熱交換管(146)のそれぞれのセット(176)の前記熱交換管(146)の各々のための管開口部(194)と、センサリード線開口部(200)と、を含む、管拘束部(190)と、
を含み、
前記センサグリッド(180)の少なくとも1つのセンサリード線(184)は、前記センサリード線開口部(200)を通って延びる、熱交換器(108)。
【請求項2】
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)は、熱交換管(146)の第1の最外側セット(176A)と、熱交換管(146)の第2の最外側セット(176B)と、熱交換管(146)の前記第1の最外側セット(176A)と熱交換管(146)の前記第2の最外側セット(176B)との間の熱交換管(146)の少なくとも1つの内側セット(176C)と、を含み、前記センサグリッド(180)は、熱交換管(146)の前記少なくとも1つの内側セット(176C)内の少なくとも1つの熱交換管(146)に結合された少なくとも1つのセンサ(182)を含む、請求項1に記載の熱交換器(108)。
【請求項3】
熱交換管(146)の第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の端部(210)は、そこから延在するバッフル(220)を含み、かつ前記バッフル(220)を通って延在する導管(222)であって、前記導管(222)は、その中に延びる前記センサグリッド(180)の複数のセンサリード線(184)を含む、導管(222)をさらに含む、請求項1に記載の熱交換器(108)。
【請求項4】
熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)に隣接する熱交換管(146)の第2のセット(176E)の前記ヘッダ(174)の端部(210)は、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の前記端部(210,212)から前記バッフル(220)と同じ長さまで延在する、請求項3に記載の熱交換器(108)。
【請求項5】
前記導管(222)は、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の前記端部(210)に沿って延びる第1の長さ(230)と、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の長さに沿って延びる第2の長さ(232)と、を含む、請求項3に記載の熱交換器(108)。
【請求項6】
前記第1の長さ(230)は、前記ヘッダ(174)の前記端部(210)に固定して結合される、請求項5に記載の熱交換器(108)。
【請求項7】
前記第1の長さ(230)は、前記第2の長さ(232)に対して実質的に垂直な角度にある、請求項5に記載の熱交換器(108)。
【請求項8】
前記導管(222)は、互いに結合された一対の長手方向に延びる部分(234,236)を含む、請求項3に記載の熱交換器(108)。
【請求項9】
複合サイクル発電所(CCPP)(100)であって、
ガスタービンシステム(102)と、
蒸気タービンシステム(110)と、
前記ガスタービンシステム(102)の排気を使用して前記蒸気タービンシステム(110)のための蒸気を生成するために前記ガスタービンシステム(102)に結合された排熱回収ボイラ(108)と、を含み、前記HRSG(108)は、
それを通して前記排気を導くように構成されたエンクロージャ(148)と、
前記エンクロージャ(148)内で互いに隣接して配置された熱交換管(146)の複数のセット(176)であって、熱交換管(146)の各セット(176)が、その一方の端部(210)でヘッダ(174)に流体結合されている、熱交換管(146)の複数のセット(176)と、
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)の間に配置されたセンサグリッド(180)であって、前記センサグリッド(180)は複数のセンサ(182)を含み、各センサ(182)は、そこから延びるセンサ(182)リード線を含む、センサグリッド(180)と、
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)のうちの少なくとも1つをエンクロージャ(148)に対して位置決めするための管拘束部(190)であって、前記管拘束部(190)は、熱交換管(146)のそれぞれのセット(176)の前記熱交換管(146)のための管開口部(194)と、センサリード線開口部(200)と、を含む、管拘束部(190)と、
を含み、
前記センサグリッド(180)の少なくとも1つのセンサリード線(184)は、前記センサリード線開口部(200)を通って延びる、複合サイクル発電所(CCPP)(100)。
【請求項10】
熱交換管(146)の前記複数のセット(176)は、熱交換管(146)の第1の最外側セット(176A)と、熱交換管(146)の第2の最外側セット(176B)と、熱交換管(146)の前記第1の最外側セット(176A)と熱交換管(146)の前記第2の最外側セット(176B)との間の熱交換管(146)の少なくとも1つの内側セット(176C)と、を含み、前記センサグリッド(180)は、熱交換管(146)の前記少なくとも1つの内側セット(176C)内の少なくとも1つの熱交換管(146)に結合された少なくとも1つのセンサ(182)を含む、請求項9に記載のCCPP(100)、請求項1に記載の熱交換器(108)。
【請求項11】
熱交換管(146)の第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の端部(210)は、そこから延在するバッフル(220)を含み、かつ前記バッフル(220)を通って延在する導管(222)であって、前記導管(222)は、その中に延びる前記センサグリッド(180)の複数のセンサリード線(184)を含む、導管(222)をさらに含む、請求項9に記載のCCPP(100)。
【請求項12】
熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)に隣接する熱交換管(146)の第2のセット(176E)の前記ヘッダ(174)の端部(210)は、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の前記端部(210)から前記バッフル(220)と同じ長さまで延在する、請求項11に記載のCCPP(100)。
【請求項13】
前記導管(222)は、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の前記端部(210)に沿って延びる第1の長さ(230)と、熱交換管(146)の前記第1のセット(176D)の前記ヘッダ(174)の長さに沿って延びる第2の長さ(232)と、を含む、請求項11に記載のCCPP(100)。
【請求項14】
前記第1の長さ(230)は、前記ヘッダ(174)の前記端部(210)に固定して結合される、請求項13に記載のCCPP(100)。
【請求項15】
前記第1の長さ(230)は、前記第2の長さ(232)に対して実質的に垂直な角度にある、請求項13に記載のCCPP(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に熱交換器に関し、より詳細には、熱交換器内の熱交換管のための管拘束部内の開口部を通って延びるセンサリード線を有するセンサグリッドを含む熱交換器に関する。センサグリッドは、現場ではなく製造中に設置され、センサグリッドが熱交換器内の熱交換管の最外側および内側のセットにあることを可能にする。
【背景技術】
【0002】
対流熱交換器は、互いに近接した複数列の熱交換管を含む。任意の熱交換器に適用可能であるが、本開示の実施形態の課題および利点を説明するために、本開示は、ガスタービン(GT)システムおよび蒸気タービン(ST)システムを含む複合サイクル発電所(CCPP)における排熱回収ボイラ(HRSG)の形態の熱交換器を検討する。この設定では、HRSGの効率は、いくつかの動作パラメータによって変動する。CCPPの例では、入熱は、限定はしないが、GTシステムの負荷、周囲温度、GTシステムの劣化、GTシステムの修正/アップグレード、ダクトバーナの負荷、予想される動作と実際の動作との間の偏差などの動作パラメータによって変動する場合がある。同様に、HRSG内の熱交換効率は、その洗浄度などのHRSGの動作パラメータによって変化する場合がある。
【0003】
高効率性能を達成するためにCCPPおよび熱交換器の動作を管理するには、限定はしないが、温度、圧力、流速などの熱交換プロセスの様々な動作パラメータを測定するために熱交換器内のセンサを使用する必要がある。現在の実施は、現場のHRSG上の熱交換管の最外列にセンサグリッドを取り付けることであり、すなわち、HRSGが使用される現場で組み立てられた後である。各センサは、そこから延びるセンサリード線を有する。センサの人手による設置およびHRSGを通る(およびHRSGから出る)センサリード線の配線には、通常、熱交換管の隣に足場または他の高揚力機器を使用する必要があるが、それは例えば10~25メートルの高さになる場合がある。一旦組み立てられると熱交換管の列内に到達することはほぼ不可能であるため、センサは熱交換器の最も外側の列にのみ取り付けられる。その結果、熱交換管の内側列内の熱交換プロセスの動作特性の測定は利用することができず、熱交換プロセスおよびシステムの全体的な効率に影響を与えるCCPPまたは熱交換器の動作をどのように最適に制御するかの理解が制限される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は熱交換器を提供し、熱交換器は、互いに隣接して配置された熱交換管の複数のセットであって、熱交換管の各セットは、ヘッダの少なくとも1つの端部に流体結合されている、熱交換管の複数のセットと、熱交換管の複数のセットの間に配置されたセンサグリッドであって、センサグリッドは複数のセンサを含み、各センサは、そこから延びるセンサリード線を含む、センサグリッドと、熱交換管の複数のセットのうちの少なくとも1つをエンクロージャに対して位置決めするための管拘束部であって、管拘束部は、熱交換管のそれぞれのセットの熱交換管の各々のための管開口部と、センサリード線開口部と、を含む、管拘束部と、を含み、センサグリッドの少なくとも1つのセンサリード線は、センサリード線開口部を通って延びる。
【0005】
本開示の別の態様は複合サイクル発電所(CCPP)を提供し、複合サイクル発電所は、ガスタービンシステムと、蒸気タービンシステムと、ガスタービンシステムの排気を使用して蒸気タービンシステムのための蒸気を生成するためにガスタービンシステムに結合された排熱回収ボイラ(HRSG)と、を含み、HRSGは、それを通して排気を導くように構成されたエンクロージャと、エンクロージャ内で互いに隣接して配置された熱交換管の複数のセットであって、熱交換管の各セットが、ヘッダの少なくとも1つの端部に流体結合されている、熱交換管の複数のセットと、熱交換管の複数のセットの間に配置されたセンサグリッドであって、センサグリッドは複数のセンサを含み、各センサは、そこから延びるセンサリード線を含む、センサグリッドと、熱交換管の複数のセットのうちの少なくとも1つをエンクロージャに対して位置決めするための管拘束部であって、管拘束部は、熱交換管のそれぞれのセットの熱交換管の各々のための管開口部と、センサリード線開口部と、を含む、管拘束部と、を含み、センサグリッドの少なくとも1つのセンサリード線は、センサリード線開口部を通って延びる。
【0006】
本開示の別の態様は、熱交換器の熱交換管のセットのための管拘束部を提供し、管拘束部は、本体と、本体に画定された複数の管開口部であって、各管開口部は、それを通して熱交換管のセットのうちの1つの熱交換管を受け入れるように構成される、複数の管開口部と、本体に画定され、かつそれを通してセンサリード線を受け入れるように構成されたセンサリード線開口部と、を含み、各管開口部は、センサリード線開口部よりも大きな寸法を有する。
【0007】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または論じられていない他の問題を解決するように設計されている。
【0008】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態による、熱交換器用の複合サイクル発電所の形態の例示的な用途の概略図である。
図2】本開示の一実施形態による、垂直熱交換管を備えた熱交換器の部分透明斜視図である。
図3】本開示の一実施形態による、水平熱交換管を備えた熱交換器の部分透明斜視図である。
図4】例示的な従来技術の熱交換管の斜視図である。
図5】本開示の実施形態による、熱交換管の複数のセットおよび熱交換器用のセンサグリッドの斜視図である。
図6】本開示の実施形態による、一対の熱交換管および熱交換器用のセンサグリッドの側面図である。
図7】本開示の実施形態による、熱交換管のセットおよび熱交換器用のセンサグリッドの拡大側面図である。
図8】本開示の実施形態による、管拘束部の斜視図である。
図9】本開示の実施形態による、熱交換器のヘッダの端部にあるバッフルを通る導管の斜視図である。
図10】本開示の実施形態による、バッフルを通る導管を有するヘッダの端部の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の図面は、必ずしも原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0011】
最初の問題として、現在の技術を明確に説明するために、複合サイクル発電所およびその部品の形態の例示的な用途における構成要素を参照および説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0012】
加えて、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則正しく使用することができ、このセクションの開始時にこれらの用語を規定することが有用であることがわかる。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。本明細書で使用する場合、「下流」および「上流」は、タービンエンジンを通る作動流体などの流体の流れ、または例えば、熱交換器を通る高温ガスの流れに対する方向を示す用語である。「下流」という用語は、流体の流れの方向に対応し、「上流」という用語は、流れとは反対の方向(すなわち、流れが発生する方向)を指す。「前方」および「後方」という用語は、別途指定のない限り、方向を指し、「前方」はエンジンの前部または圧縮機端部を指し、「後方」はエンジンの後部またはタービン端部を指す。
【0013】
多くの場合、中心軸線に関して異なる半径方向位置に位置する部品を説明することが要求される。「半径方向」という用語は、軸線に垂直な移動または位置を指す。このような場合、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線に近接して位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向内側」または「内方」にあると述べる。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸線から遠くに位置する場合には、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側」または「外方」にあると述べることができる。「軸方向」という用語は、軸線に平行な移動または位置を指す。最後に、「円周方向」という用語は、軸線周りの移動または位置を指す。このような用語は、タービンの中心軸線に関連して適用することができることが理解されよう。
【0014】
加えて、以下に記載されるように、本明細書ではいくつかの記述的用語を規則正しく使用することができる。「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の場所または重要性を示すことを意図するものではない。
【0015】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことを意図している。「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象もしくは状況が起こる場合も起こらない場合もあること、または後で述べられる構成要素もしくは特徴が存在する場合もしない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こるか、またはその構成要素が存在する事例と、それが起こらないか、または存在しない事例と、を含むことを意味する。
【0016】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合には、その別の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれか、ならびに1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。
【0017】
上述のように、本開示は、熱交換器内の熱交換管のための管拘束部を通って延びるセンサリード線を有するセンサグリッドを含む熱交換器を提供する。熱交換器は、互いに隣接して配置された熱交換管の複数のセット、例えば列を含む。管拘束部は、内部に画定された複数の管開口部を有する本体を含み、各管開口部は、それを通して熱交換管のセットのうちの1つを受け入れる。本体はまた、それを通してセンサリード線を受け入れるように内部に画定されたセンサリード線開口部を含む。各管開口部は、センサリード線開口部よりも大きい寸法を有する。
【0018】
センサグリッドは、現場ではなく製造中に設置される複数のセンサを含む。このようにして、センサグリッド用のセンサリード線は、管拘束部の上ではなく、管拘束部を通して設置することができる。熱交換管の各セットは、現場での設置位置とは対照的に、製造中にアクセス可能であるため、センサグリッドは、熱交換管の最外側セットだけでなく、熱交換器内の熱交換管の内側セットのいずれにも取り付けることができる。このように配置されたセンサグリッドにより、熱交換器の動作に関するより多くのデータを収集して使用し、それが使用される熱交換器または発電所のより効率的な運転を提供することができる。
【0019】
図1を参照すると、本開示の実施形態による熱交換器が、複合サイクル発電所(CCPP)100の形態の例示的な用途に関連して説明される。図1は、CCPP100の概略図を示す。本開示の教示は、任意の熱交換器に適用可能であることが強調される。CCPP100は、発電機104に動作可能に接続されたガスタービン(GT)システム102と、別の発電機112に動作可能に結合された蒸気タービン(ST)システム110と、を含んでもよい。発電機104およびGTシステム102は、シャフト106によって機械的に結合することができ、シャフト106は、GTシステム102の駆動シャフト(図示せず)と発電機104との間でエネルギーを伝達することができる。
【0020】
発電機104、112およびシャフト106は、当技術分野で知られている任意のサイズまたはタイプのものであってもよく、それらの用途またはそれらが接続されるシステムに応じて異なってもよいことが理解される。発電機とシャフトの共通の符号は明瞭にするためであり、必ずしもこれらの発電機またはシャフトが同一であることを示唆するわけではない。例示的な用途では、CCPP100は、2つの発電機を備えた単一のシャフトシステムであるが、当業者であれば、本開示の教示が任意の多様な複合サイクル発電システムに適用可能であることを容易に理解するであろう。
【0021】
また、図1に示すように、熱交換器108は、GTシステム102およびSTシステム110に動作可能に接続される。本明細書でより詳細に説明されるように、熱交換器108は、本開示の実施形態に従って配置されたセンサグリッドを含む排熱回収ボイラ(HRSG)(図面にラベル付けされている)を含んでもよい。熱交換器108は、従来の導管(符号は省略)を介してGTシステム102とSTシステム110の両方に流体接続することができる。
【0022】
GTシステム102は、圧縮機120および燃焼器124を含むことができる。燃焼器124は、燃焼領域126および燃料ノズルアセンブリ128を含む。GTシステム102はまた、共通の圧縮機/タービンシャフト106に結合されたガスタービン130を含む。1つの非限定的な例では、GTシステム102は、サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラルエレクトリック社から市販されている7HA.03エンジンであってもよい。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えば、ゼネラルエレクトリック社の他のHA、F、B、LM、GT、TM、およびEクラスのエンジンモデル、ならびに他社のエンジンモデルを含むその他のエンジンと関連して実装することができる。
【0023】
動作中、空気は圧縮機120の入口に入り、圧縮されて燃焼器124に排出され、燃焼器で気体または液体燃料、例えば天然ガスまたはオイルなどが燃焼され、ガスタービン130を駆動する高エネルギー燃焼ガスを提供する。ガスタービン130では、高温ガスのエネルギーが仕事に変換され、その一部は回転シャフト106を通じて圧縮機120を駆動するために使用され、残部は電気を発生させるために発電機104などの負荷をシャフト106を介して駆動する有用な仕事に利用可能である。
【0024】
図1はまた、ガスタービン130を出る排気ガス中のエネルギーがさらなる有用な仕事に変換されるその最も単純な形態のCCPP100を表す。排気ガスは、HRSGの形態の熱交換器108に入り、そこで水がボイラの方式で蒸気に変換される。熱交換器108はまた、エネルギーを使用して高温給水を生成することができる。
【0025】
STシステム110は、1つまたは複数の蒸気タービンを含んでもよい。例えば、STシステム110は、高圧(HP)タービン132と、中圧(IP)タービン134と、低圧(LP)タービン136と、を含んでもよく、これらの各々はシャフト106に結合される。各蒸気タービン132、134、136は、シャフト106に機械的に結合された複数の回転ブレード(図示せず)を含む。動作中、熱交換器108、および多くの場合に他の供給源からの蒸気は、HPタービン132、IPタービン134、および/またはLPタービン136の入口に入り、それらのブレードに力を与えるように導かれてシャフト106を回転させる。理解されるように、上流のタービンからの蒸気は、下流のタービンで後で用いることができる。このように、熱交換器108によって発生された蒸気は、STシステム110の少なくとも一部を駆動し、さらなる仕事が抽出されてシャフト106を駆動し、次に第2の発電機112などのさらなる負荷がさらなる電力を発生させる。いくつかの構成では、タービン130、132、134、136が共通の発電機を駆動する。
【0026】
図1はまた、GTシステム102、熱交換器(すなわち、HRSG)108、およびSTシステム110に動作可能に結合されたCCPP制御システム138を示す。制御システム138は、CCPP100の自動制御を提供するための、任意の現在知られているまたは後に開発されるコンピュータ化されたコントローラを含んでもよい。後述するように、制御システム138は、熱交換器108内のセンサグリッドのいくつかのセンサからデータを受信することができ、データを使用して熱交換器108および/またはCCPP100の他の部分を制御することができる。
【0027】
図2および図3は、熱交換器108の実施形態の部分透明斜視図を示す。熱交換器108は、GTシステム102(図1)に結合し、かつ蒸気を、例えばSTシステム110(図1)に、かつ/または加熱水をCCPP100(図1)の他の部分に送達するように構成されたHRSGとして示されている。図示するように、熱交換器108は、流体142を含むように構成された断熱エンクロージャ140(以下、「エンクロージャ140」)を収容する。エンクロージャ140は、熱交換器エンクロージャ148内に収容され得る。エンクロージャ140は、例えば、炭素鋼またはステンレス鋼の内側ライナ、断熱層、および外側炭素鋼層を備えた、流体142を含むように構成された任意の現在知られているまたは後に開発される断熱ダクトを収容しでもよい。熱交換器エンクロージャ148は、任意の現在知られているまたは後に開発される構造的保護、例えば、建物または他の物理的保護を含んでもよい。
【0028】
流体142は、熱交換器108の複数の熱交換管146を通過する流体144(矢印のみによって示される)との熱差を有する任意の形態のガスであってもよい。熱は、流体142と流体144との間で交換される。流体142は、GTシステム102(図1)からの燃焼ガス排気であってもよく、流体144は、液体(例えば、水)および/または気体(例えば、蒸気)であってもよい。流体142は、複数の熱交換管146の外面を越えてその周囲を通過し、排気システム150、例えば、スタックおよび/またはスクラバなどを介してエンクロージャ140を出るが、流体144は、複数の熱交換管146の内部を通過する。
【0029】
図2では、管146が垂直方向または垂直配置で延在し、流体142がその周りを概して水平方向に通過するのに対し、図3では、管146が水平方向または水平配置で延在し、流体142がその周りを概して垂直方向に通過するという点で、図2および図3は異なる。本明細書で使用する場合、流体142の流れ方向に適用される「概して」は、流体が、その経路を妨げる可能性のある管146上またはその周りを通過するとき、通常、若干のまたは一時的な偏差を伴って指定された方向に進行することを示す。本開示の教示は、図2の実施形態に関して説明されるが、教示は、図3の実施形態にも等しく適用可能であることが容易に理解されよう。
【0030】
管146は、任意の現在知られているまたは後に開発される熱交換管の形態を有してもよく、所望の熱伝達特性、柔軟性、およびそれが曝露されている環境に耐える能力を提供することが可能な任意の材料で作製されてもよい。管146は、用途に応じてサイズが異なってもよく、例えば、いくつかの用途では、外径が1.25インチから2.0インチまで異なる。
【0031】
図4は、フィン付き管の形態の1つの例示的な従来技術の熱交換管の斜視図を示す。図示するように、1つの非限定的な例では、管146は、長手方向156に整列された中心管154の周囲に配置された複数のディスク152を含んでもよい。各ディスク152は、実質的に平面であってもよく、少なくとも1つの隣接するディスク152の上および/または下に長手方向に配置されるように積み重ねられてもよい。中心管154は、例えば、ポンピングまたは他の力によって、流体144が通過することを可能にするように構成された任意の現在知られているまたは後に開発される管状部材を含んでもよい。各ディスク152は、ディスク中心部分160から半径方向外側に延在する複数のフィンセグメント158を含むことができ、したがってフィンセグメント158は、中心管154から外側に延在する。ディスク中心部分160は、中心管154の外周の周囲に円周方向に延在する。フィンセグメント158の各々は、セレーション163によって隣接するフィンセグメント158から分離されている。隣接するディスクのフィンセグメント158は、円周方向および/または縦方向に整列されてもよいし、あるいは円周方向および/または長手方向にオフセットされてもよい。フィンセグメント158は、それらの上および/または下において長手方向にフィンセグメント158同士で螺旋構成、交互パターン、および/またはランダムな構成で配置されてもよい。
【0032】
ディスク152は、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ベリリウム、銅、金、マグネシウム、イリジウム、モリブデン、ロジウム、銀、タングステン、および/または他の適切な材料、ならびにそれらの合金から少なくとも部分的に構成されてもよい。中心管154は、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、および/または十分な熱伝導性、耐応力性、および耐熱性を有する他の材料で少なくとも部分的に構成されてもよい。熱交換管146の一例が説明されてきたが、熱交換管は、多様な代替的な形態をとることができることが理解される。
【0033】
図5は、入口と呼ばれることもある熱交換器108の上側部分170の拡大斜視図を示す。図示するように、上側部分170は、熱交換管146への流体144の分配を提供するいくつかのマニホールドまたはヘッダを含む。例えば、いくつかのマニホールド172は、様々な上部ヘッダ174との間で流体144を導くことができる。熱交換器108は、互いに隣接して配置された熱交換管146の複数のセット176を含む。熱交換管146の各セット176は、その一方の端部で(上部)ヘッダ174に流体結合される。すなわち、各上部ヘッダ174は、マニホールド172から熱交換管146のセットに流体144を導くために、熱交換管146のセット176と流体連通している。
【0034】
図5では、熱交換管146のセット176はまた、それぞれの下部ヘッダ178と流体連通しており、これにより、管146の所与のセット176内の異なる管146を通る流体の方向の変更が可能になる。図示する例では、熱交換管146のセット176は、図2のように垂直に延在することができ、したがって、結合されたヘッダ174,178と共に、楽器のハープに似ているために「ハープ」と呼ばれることがある。代替的な実施形態では、管146は、下部ヘッダ178ではなくU字形の端部を有してもよく、例えば、図3および図7(右側)を参照されたい。
【0035】
例示的な実施形態では、熱交換管146のセット176は、流体144の共通のマニホールド(供給源)172を共有し、各列がそれ自体のそれぞれの上部ヘッダ174を有する列に配置される。熱交換管146のセット176は、必ずしも列になっている必要はなく、例えば、互い違いになっていてもよく、ランダムに配置されてもよく、一時的にずれていてもよいことなどが強調される。各セット176は、任意の数の熱交換管146、例えば、単一の列を横切って配置された38~50本の管を含むことができる。各ヘッダ174は、例えば、2~6メートルの長さであってもよい。
【0036】
熱交換管146のセット176は、熱交換管146の第1の最外側セット176Aと、熱交換管146の第1の最外側セット176Aの反対側の熱交換管146の第2の最外側セット176Bと、熱交換管の第1の最外側セット176Aと熱交換管の第2の最外側セット176Bとの間の熱交換管146の少なくとも1つの内側セット176Cと、を含む。熱交換管146の任意の数のセット176を使用してもよい。例えば、熱交換管146の10~30セット176のいずれでも、流体142と並んで設けることができる。図5に示す非限定的な例では、14個のセットの熱交換管176が、12個の内側セット176Cと共に示されている。
【0037】
本開示の実施形態によれば、図6は、熱交換管146の2つのセット176(並んでいる)の側面図を示し、図7は、熱交換管146のセット176の拡大部分側面図を示し、図8は、管拘束部190の拡大部分斜視図を示す。図示するセットは、最外側または内側の、図5の任意のセットであってもよい。図6および図7に示すように、熱交換器108は、熱交換管146の複数のセットの間に配置されたセンサグリッド180を含む。センサグリッド180は、複数のセンサ182を含む。「センサグリッド」180は、所望のセンサ182の分散レイアウトまたは配置を示すために本明細書では一般的に使用されるが、任意の特定の離間したフレームワークに配置されたセンサ182を説明するために必ずしも使用されない。
【0038】
各センサ182は、限定はしないが、熱電対、抵抗温度検知器(RTD)または他のタイプの温度センサ、ピトー管などの圧力または流速センサ、ひずみゲージ、ガスサンプリング管などの任意の現在知られているまたは今後開発されるセンサであってもよい。センサグリッド180内のセンサ182は、必ずしもすべて同じタイプでなくてもよい。センサ182は、例えば、流体温度、管またはフィン金属温度、ガス静圧、ガス速度、管またはヘッダひずみ、排気ガス組成(例えば、酸素、NOx、CO、CO2、炭化水素)、微粒子、アンモニアスリップなどを測定することができる。その結果、センサ182は、例えば、熱交換器108セクションの熱または圧力降下性能、バーナおよび排出制御機器の評価のためのガス温度または排気ガス組成分布、ガス速度分布、管またはヘッダの熱ひずみなどを決定するためのデータの収集を可能にする。
【0039】
各センサ182は、そこから延びるセンサリード線184を含むことができる。センサ182はまた、センサリード線184を共有してもよい。センサリード線184は、1つまたは複数のそれぞれのセンサ182および制御システム138(図1)と通信することができる任意の形態の線形構造、例えば、任意の形態のシールドを有する電線、ピトー管型センサ用の気送管などを含んでもよい。センサ182およびセンサリード線184は、熱交換器108の動作環境に耐えるために適切な材料で構成される。
【0040】
本開示の実施形態によれば、センサグリッド180およびそのそれぞれのセンサ182は、製造中に熱交換管146の1つまたは複数のセット176に結合することができる。すなわち、センサグリッド180は、「ハープ」を形成するために熱交換管146をヘッダ174と結合する間、および発電所の現場で熱交換管146の複数の他のセット176と並べて最終的に設置する前に設置される。したがって、従来の熱交換器センサシステムとは対照的に、熱交換器108のセンサグリッド180は、現場で組み立てられると、熱交換管146の少なくとも1つの内側セット176C(図5)内の少なくとも1つの熱交換管146に結合された少なくとも1つのセンサ182を含むことができる。このようにして、熱交換器108内の任意の位置および任意の熱交換管146から動作データを測定することができる。任意の数のセンサ182を使用することができ、センサ182を任意の方法で配置することができる。例えば、図6では、5つの熱電対は、熱交換管146の任意のセット176のレベルTC1~TC5で垂直に離間することができる。センサリード線184は、熱交換器108内の任意の位置に配線することができる。
【0041】
熱交換器108はまた、熱交換管146の複数のセット176のうちの少なくとも1つをエンクロージャ140に対して位置決めするための管拘束部190を含む。熱交換管146の任意の所与のセット176に沿って熱交換器108内で任意の数の管拘束部190を使用することができる。例えば、図5および図7の部分図は2つの管拘束部190を示し、図6は8つを示す。管拘束部190は、熱交換管146の位置を支持するのに必要な任意の方法で、例えば図示するように垂直に、離間させることができる。
【0042】
図8は、本開示の実施形態による、管拘束部190の部分斜視図を示す。各管拘束部190は、本体192と、本体に画定された複数の管開口部194と、を含む。各管開口部194は、それを通して熱交換管146のセット176のうちの1つの熱交換管146(図8に示すセットの一部のみ)を受け入れるように構成される。図示する例では、管開口部194は、本体192の穴196の形態である。他の実施形態では、管開口部194は、スカラップ状のバーを形成する開いたシートであってもよい。いずれの場合でも、管拘束部190は、熱交換管146を位置決めし、それらが望ましくない方法で移動するのを抑制するか、または例えば熱膨張または制御されたアクチュエータ(図示せず)によって制御された移動を可能にする。
【0043】
従来の管拘束部とは対照的に、管拘束部190はまた、本体192に画定されたセンサリード線開口部200を含むことができる。センサリード線開口部200は、それを通してセンサリード線184を受け入れるように構成される。各管開口部194は、センサリード線開口部200よりも大きい寸法、例えば、円形である場合はより大きい直径を有する。従来の管拘束部は、センサリード線184が管の外側に結合され、かつ管拘束部が最外側セットの熱交換管のみに結合されるので必要ではないため、センサリード線開口部200を必要とせず、提供しない。
【0044】
熱交換管146のセット176は、センサグリッド180が結合された状態で製造されるため、センサグリッド180のセンサ182は、熱交換管146のセット176上の所望の場所に配置することができ、それぞれのセンサリード線184は、センサリード線開口部200を通して容易に配置することができる。センサリード線開口部200は、センサリード線184の集合的なルーティング、および例えば現場での熱交換器108の輸送および組み立て中のワイヤの保護を可能にする。各センサリード線開口部200は、それを通して配置される任意の数のセンサリード線184を収容するようなサイズにすることができる。例えば、センサリード線184がエンクロージャ140から出る位置により近い管拘束部190は、任意の数の下流センサ182のセンサリード線を収容するために、より大きなセンサリード線開口部200を有することができる。
【0045】
センサ182およびセンサリード線184は、限定はしないが、管146および/または管拘束部190へのワイヤタイなどの任意の現在知られているまたは今後開発される方法で、熱交換管146のセット176に結合することができる。センサ182は、所望の動作パラメータ、例えば温度を測定するために、必要に応じて動作可能に配置することができる。センサリード線184は、図6の拡大断面に示すように、熱交換器108の熱膨張/収縮に対応するために、その中に膨張屈曲部202を含んでもよい。
【0046】
図9は、一対の隣接するヘッダ174A、174Bの端部の拡大斜視図を示し、図10は、一対の隣接するヘッダ174A、174Bの端面図を示す。図5および図9の拡大斜視図を参照すると、隣接するヘッダ174の端部(図9の174A、174B)は、同じ長さまで延びていない(それらは非同一平面上の端部を有する)。ヘッダ174の端部は、図5に示すように、長さが交互になっていてもよい。より具体的には、図9に最もよく示されているように、熱交換管146の第1のセット176Dのヘッダ174Aの端部210は、熱交換管146の第2のセット176Eの隣接するヘッダ174Bの端部212と同じ程度まで長手方向に延びていない。図9および図10(明確にするために図5ではない)に示すように、より短いヘッダ174Aは、例えば、流体142が間隙を通って上方に移動するのを防止するために、またはそうでなければ流体142を熱交換器108を通して所望の方法で導くために、その端部から延在するバッフル220を含む。バッフル220は、隣接するヘッダ174Bの同じ長手方向範囲まで延在することができる。すなわち、熱交換管146の第1のセット176Dのヘッダ174Aに隣接する熱交換管146の第2のセット176Eのヘッダ174Bの端部212は、熱交換管146の第1のセット176Dのヘッダ174Aの端部210からバッフル220と同じ長さまで延びることができる。
【0047】
センサリード線184は、熱交換管146の任意の2つの隣接するセット176D、176E(内側または最外側のセット)の間で上方に延びる必要があり得る。センサリード線184をバッフル220に導くために、熱交換器108はまた、バッフル220を通って延在する導管222を含むことができる。導管222は、それを通って延びるセンサグリッド180(図5)の複数のセンサリード線184を含むことができる。このようにして、センサリード線184をバッフル220を通してルーティングすることができる。導管222は様々な形態をとることができるが、図示する例では、熱交換管146の第1のセット176Dのヘッダ174Aの端部210に沿って延びる第1の長さ230と、熱交換管146の第1のセット176Dのヘッダ174Aの長さに沿って延びる第2の長さ232と、を含む。必要に応じて、第1の長さ230は、例えばガセットまたは他の接続によって、ヘッダ174Aの端部210に固定して結合されてもよい。すべての場合に必要ではないが、第1の長さ230は、第2の長さ232に対して実質的に垂直な角度であってもよい。導管222は、任意の断面形状を有することができ、例えばセンサリード線184があまり可撓性ではない場合に、それを通ってセンサリード線184のルーティングを可能にするために、例えば溶接によって後に互いに締結される部分に形成されてもよい。例えば、導管222は、互いに結合された一対の長手方向に延びる部分234,236、例えば溶接継手238に沿って結合された半分の部分を含んでもよい。導管222は、熱交換器108の環境に耐えることができる任意の材料で作られてもよい。
【0048】
センサリード線184は、ヘッダ174A、174Bに沿って、最終的にエンクロージャ140を通って外にルーティングすることができる。図5では、エンクロージャ140の屋根224を通って出るセンサリード線184が示されているが、しかし、それらはエンクロージャ140の任意の部分を通って延びてもよい。センサリード線184は、CCPP100の任意の数の部品の動作制御のために、任意の現在知られているまたは今後開発される方法で制御システム138(図1)に結合されてもよい。
【0049】
本開示の実施形態はまた、本明細書に記載されるように、管拘束部190およびCCPP100を含む。特定のタイプの発電所および特定のタイプのCCPP100が本明細書に記載されているが、本開示の教示は任意のタイプの熱交換器に適用可能であることが強調される。
【0050】
本明細書で説明するように、本開示の実施形態は、センサグリッド180を熱交換管146の任意のセット176に沿って設置することを可能にする。したがって、センサグリッド180は、熱交換管146の内側セット176C(図5)に対しても、熱交換器108の任意の部分に関するデータを提供することができる。セットの製造中のセンサグリッド180の設置は、現場設置よりも容易かつ迅速であり、現場構築スケジュールの重要な経路上にセンサグリッド180を設置することを排除する。センサグリッド180はまた、オンライン性能監視、CCPP100効率最適化の能動的制御、および熱交換器108構成要素の寿命監視および最適化をサポートする。
【0051】
明細書および特許請求の範囲を通して本明細書で使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための計測器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、端の値の両方に適用され、値を測定する計測器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0052】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に特許請求された他の特許請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態の本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0053】
100 複合サイクル発電所(CCPP)
102 ガスタービン(GT)システム
104 発電機
106 圧縮機/タービンシャフト、回転シャフト
108 熱交換器、排熱回収ボイラ(HRSG)
110 蒸気タービン(ST)システム
112 第2の発電機
120 圧縮機
124 燃焼器
126 燃焼領域
128 燃料ノズルアセンブリ
130 ガスタービン
132 蒸気タービン、高圧(HP)タービン
134 蒸気タービン、中圧(IP)タービン
136 蒸気タービン、低圧(LP)タービン
138 CCPP制御システム
140 断熱エンクロージャ
142 流体
144 流体
146 熱交換管
148 熱交換器エンクロージャ
150 排気システム
152 ディスク
154 中心管
156 長手方向
158 フィンセグメント
160 ディスク中心部分
163 セレーション
170 上側部分
172 マニホールド
174 上部ヘッダ
174A ヘッダ
174B ヘッダ
176 熱交換管のセット、熱交換管
176A 第1の最外側セット
176B 第2の最外側セット
176C 内側セット
176D 第1のセット
176E 第2のセット
178 下部ヘッダ
180 センサグリッド
182 下流センサ
184 センサリード線
190 管拘束部
192 本体
194 管開口部
196 穴
200 センサリード線開口部
202 膨張屈曲部
210 端部
212 端部
220 バッフル
222 導管
224 屋根
230 第1の長さ
232 第2の長さ
234 長手方向に延びる部分
236 長手方向に延びる部分
238 溶接継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】