(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060176
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】液液抽出器、及び当該液液抽出器を備える装置
(51)【国際特許分類】
B01D 11/04 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B01D11/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021161292
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】2010084
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェ・ルーセル
(72)【発明者】
【氏名】フランク・デュチール
【テーマコード(参考)】
4D056
【Fターム(参考)】
4D056BA04
4D056CA02
4D056CA03
4D056CA06
4D056CA40
(57)【要約】
【課題】低い流量に伴う特有の問題は、毛細管力が、液相の流れを不規則にする可能性があり、相レベルの変動、又はコンパートメントにおけるその混合の変動を伴うことである。
【解決手段】これらの液液抽出器は、それらを通過する流体の非常に低い流量に適合される。流れを不規則にする可能性のある毛細管現象及び空気現象の影響を低減するために、出口ダクトは、重相及び軽相が分離される沈殿セル(9)の下流に、その縁部が、例えば、鋸歯状など高さが不規則な、相の排出口(18)を備える。相の循環チャネルは、気泡による妨害のリスクをさらに低減するように開口しているので有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連通している混合セル(8)及び沈殿セル(9)、前記混合セルに通じている2つの液相の入口ダクト(10,11)、並びに前記沈殿セルに通じている2つの前記液相の出口ダクト(12,13)によって中空になっている、ブロック(1)を備えている液液抽出器(60)において、
前記出口ダクトが、前記沈殿セル(9)に隣接している排出口(18,24)を備えており、前記出口ダクトそれぞれが、前記液相の排出口縁部を備えており、前記排出口縁部が、複数のレリーフの境界を形成している折れ線状の不規則な高さを有していることを特徴とする液液抽出器(60)。
【請求項2】
前記排出口(24)の少なくとも1つの前記排出口縁部(30)が、幅が零になるまで下方に向かって狭くなっていると共に2つの傾斜縁部によって形成されている、複数の凹部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液液抽出器。
【請求項3】
前記排出口の少なくとも1つの前記排出口縁部が、鋸歯状になっており、一様に分散された同一のレリーフから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液液抽出器。
【請求項4】
前記排出口のうち一方の排出口(18)が、前記沈殿セルと2つの前記液相のうち一方の液相、すなわち軽相の前記出口ダクトとの間の接合部に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項5】
前記排出口のうち他方の排出口(24)が、重相として知られる2つの前記液相のうち他方の液相、すなわち重相の前記出口ダクト(14)の入口ウェル(16)の内部において、前記入口ウェルの調整可能な高さで配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項6】
前記出口ダクトが、前記ブロック(1)の上面で開口しているチャネル(14、15)から構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項7】
前記チャネル(14、15)が、前記ブロック(1)の側面(2,3)に対して平行に測定された前記ブロックの長さの少なくとも半分に亘って、前記出口ダクトが開口している前記ブロック(1)の前記側面(2,3)に対して平行に延在しており、前記重相の前記入口ダクト及び前記出口ダクトが、前記側面に対して垂直な第1の線に従って位置合わせされた位置において前記ブロック(1)から延伸しており、また前記軽相の前記入口ダクト及び前記出口ダクトが、前記側面に対して垂直な第2の線に従って位置合わせされた位置において前記ブロックから延伸していることを特徴とする請求項6に記載の液液抽出器。
【請求項8】
前記チャネル(14,15)がそれぞれ、前記側面(2,3)に対して垂直に測定された前記沈殿セル(9)の幅の少なくとも3分の1の幅を有していることを特徴とする請求項7に記載の液液抽出器。
【請求項9】
前記液液抽出器が、前記混合セル(8)と前記沈殿セル(9)との間に第3の排出口(38)を備えており、
前記第3の排出口(38)が、複数のレリーフの境界を形成している折れ線状の不規則な高さを有している前記液相の排出口縁部を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項10】
前記液液抽出器が、沈殿機器(42)を備えており、
前記沈殿機器(42)が、並進させることによって前記沈殿セルに差し込み可能とされ、
前記沈殿機器(42)が、前記沈殿セルの底部との保護距離に至るまで連続して前記沈殿セルに突入するドローダウンプレート(43)を備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項11】
前記沈殿機器(42)が、前記沈殿セル(9)に突入する凝集グリッド(44,45)を備えていることを特徴とする請求項10に記載の液液抽出器。
【請求項12】
前記沈殿機器が、第2の凝集グリッド(45)を備えており、前記凝集グリッドが、前記液相のうち一方の液相に対して反対の湿潤特性を有していることを特徴とする請求項11に記載の液液抽出器。
【請求項13】
前記ブロックが、コンソール(49)を含んでおり、再循環ポンプ(48)が、前記コンソール(49)の上面に取り付けられており、前記再循環ポンプが、垂直な吸入管及び放出管(50,51)を備えており、前記吸入管及び前記放出管(50,51)それぞれが、前記液相のうち一方の液相の前記出口ダクト(12)に突入し、前記ブロック(1)に中空に形成されると共に前記混合セル(8)と連通している再循環ウェル(52)に突入することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の液液抽出器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの液液抽出器を備えている液液抽出装置であって、少なくとも1つの前記液液抽出器(60)と端部モジュール(67、68)とが、サポートで位置合わせされ且つ締め付けられ、前記端部モジュールが、前記装置において反対に流れる液相の回路に対する接続部を備えており、前記液相それぞれの入口ダクト及び出口ダクトが、前記抽出器の間に延在していることを特徴とする液液抽出装置。
【請求項15】
前記液液抽出装置が、前記抽出器に対して締め付けられている分割プレート(71)と、前記液相の入口開口部及び出口開口部を囲んでいる支持シール(74、75)と備えていることを特徴とする請求項14に記載の液液抽出装置。
【請求項16】
前記液液抽出器と前記端部モジュールと任意選択の前記分割プレートとが、レールに相互固定されており、前記レールに沿って摺動させることによって前記サポートを構成することを特徴とする請求項14又は15に記載の液液抽出装置。
【請求項17】
前記サポートが、ヒータマットを含んでいることを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の液液抽出装置。
【請求項18】
前記液液抽出装置が、少なくとも1つの前記液液抽出器の前記ブロックを通過する冷却液を循環させるためのデバイスを備えていることを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の液液抽出装置。
【請求項19】
請求項7に記載の前記抽出器のすべてが、前記レールに対して平行な線に従って位置合わせされた前記抽出器の対応する構成要素と共に配置されていることを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の液液抽出装置。
【請求項20】
前記抽出器(60)は、沈殿セル(9)に向かって開いている少なくとも1つの部分(20)において透明になっていることを特徴とする請求項19に記載の液液抽出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工学の分野に関し、より詳細には、液液抽出器、及び当該液液抽出器を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これらの抽出器は、一般に水性相と溶媒もしくは有機相、又は重相と軽相と呼ばれる2つの混ざらない相の間で溶質の移動を実行するように意図される。それらは、混合器-沈殿器の系列に属する。2つの液相は、エマルジョンを生成することにより混合され、次いで、沈殿させることによって分離され、それにより、最初は液体の一方に含まれていた溶質を、第2のものへと移動できるようにする。相が、ステージのそれぞれを連続して通過する方法において良好な抽出を得るために、このような抽出器をそれぞれが備える複数ステージの装置が使用されることがしばしば生ずる。抽出器は、概して、可動の本体を動かすことによりエマルジョンが形成される混合器コンパートメントと、液相が分離される沈殿器コンパートメントとを備える。これらの装置における相の循環は、概して対向流である。
【0003】
ステージあたり数十立方メートルを含むことのできる大きな産業用装置から、その抽出器が、ステージあたり数百ミリメートルをそれぞれが含むことのできる小容積の装置まで、様々な寸法の液液抽出器が提案されている。
【0004】
非常に小さな容量、及び非常に低い抽出流量を有する抽出器が、核燃料の分野で使用するために設計されてきた。非常に低減された流量は、1時間あたり数十から数百ミリメートルとすることができる。この種の抽出器の例は、特許文献1に述べられている。このような用途に適合され、且つ遠隔操作により、容易に取り付けることができ、且つ修正できるようにする抽出器の装置が、特許文献2で述べられている。
【0005】
他の抽出器は、特に特許文献3及び特許文献4により開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許出願公開第1580163号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2831075号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0531213号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第2459064号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低い流量に伴う特有の問題は、毛細管力が、液相の流れを不規則なものにする可能性があり、受け入れることのできない相レベルの変動、又はコンパートメントにおけるその混合の変動を伴う。別の高い頻度で遭遇する問題は、例えば、核など、非友好的な環境において、抽出器の装置を修正することが困難であること、又は遠隔操作手段により、もしくはグローブボックスを介して、特に低い流量用の小型のものであることの多い個々の抽出器を分解、もしくは調整するのが困難なことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、まず、向上させた液液抽出器に関し、それは、非常に小型のものであり、且つ特に非常に低い流量であっても良好に規則的に流れるようにし、沈殿を容易化し、また必要に応じて遠隔操作により、抽出器の固定構造上に容易に取り付けられる機器の様々な品目を保証する様々な改良点を備えることができる。本発明の別の態様は、このような抽出器を備え、且つ遠隔操作により取付け及び組立が大幅に容易になったおかげで、核環境において、すなわち、グローブボックス又はシールドされたチェーン(chain)において、容易に使用できるような方法で設計された装置である。
【0009】
一般的な形態では、本発明は、連通している混合セル及び沈殿セルによって中空になっているブロックと、混合セルへと続く2つの液相の入口ダクトと、沈殿セルに接続された2つの液相の出口ダクトとを備える液液抽出器に関し、液液抽出器は、出口ダクトが、沈殿セルに隣接した排出口を備え、それぞれが、複数のレリーフを画定する折れ線の形態の不規則な高さを有する、液相の排出口縁部を備えることを特徴とする。
【0010】
排水口又は余水路は、それを越えると流れが開始する高さを画定する液相の流れに対する障害物である。本明細書で論ずる排水口は、この位置において相のそれぞれの高さを調整するような方法で、沈殿セルの出口において、異なる高さに配置される。本明細書における折れ線は、通常、傾斜を有することにより、交互に突き出し、且つ凹んでいる複数のレリーフを画定する線を指しており、その革新性は、線に沿って複数の逆方向を備える不規則性にある。非常に低流量である場合、流れは、その狭さにより、凹んだレリーフの底部を通って存続し、それにより、毛細管力のかなりの影響、及び排出口の上流における液の停留を回避する。このような効果は、直線的な排出口、水平な流れ面、もしくは低い傾斜を有する表面上では存在せず、又はその曲率半径がここで考えられるレリーフよりもはるかに大きくなる円形断面の溝の底部であっても存在しない。
【0011】
好ましい形態によれば、排水口の少なくとも1つの排水口縁部は、下方に幅零になるまで狭くなり、且つ2つの傾斜縁部により形成される複数の凹部から構成されている。
【0012】
別の形態によれば、先行するものと互換性があるように、排水口の少なくとも1つの排水口縁部は、鋸歯状になっており、交互に同一且つ一様に分散されたレリーフから構成されている。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、排出口の1つは、沈殿セルと、軽相として知られる前記液相の一方の出口ダクトとの間の接合部に配置され、それは、沈殿セルにおける相の全体高さを画定する。
【0014】
先行するものと互換性のあるさらに別の実施形態によれば、排出口の別のものを、抽出器における2つの液相の相対的な停留時間を調節するために、入口ウェルにおいて調整できる高さに、重相として知られる別の液相の出口ダクトの入口ウェル内に配置することができる。
【0015】
任意選択であるが、重要な改良点によれば、出口ダクトは、主として、又は基本的に、抽出器の構造を形成するブロックの上面で開いたチャネルから構成されている。しかし、開いた出力チャネルのこの構成の効果は、排出口のレリーフのものと同様であり、毛細管現象、低流量における流れの停留、及び気泡の閉じ込めもまた低減され、したがって、流れの良好な規則性がさらに得られる。
【0016】
液相の重力流れの座であるこれらの開いたチャネルは、例えば、出口ダクトが開いているブロックの側面に平行に、直線で延びるので有利であり得る。それらは、不具合なく、かなり長くすることができ、また例えば、側面に平行に測定したとき、ブロックの長さの少なくとも半分に亘って延びることができる。流れは、安定して規則的なままであり、抽出器ブロックは小型のままである。この構成は、液相のそれぞれの入口及び出口開口部が、側面に垂直な2つの線に従って位置合わせされた抽出器を得るために有用である。その利益は、側面により組み立てられた複数のステージを備える装置において明らかであるが、その場合、抽出器は、その同様の機器が平行線に従って位置合わせされた状態で、すべて同じ方向を有しており、こうすることは、装置に対する操作を容易にし、その外観を向上させ、且つ沈殿セルが、すべて観察者の方向に向けられ、例えば、小窓又は別の透明な壁を通して見えるように露出された場合、装置のステージのすべてに対して、沈殿全体を一目で、調べることを可能にする。
【0017】
出口チャネルはまた、かなり広いと有利であり、これらの位置における重力流れをさらに規制できるようにするために、任意選択で、それぞれが、側面に対して垂直に測定したとき、沈殿セルの幅の少なくとも3分の1に等しい幅を備える。
【0018】
抽出器は、混合セルと沈殿セルとの間に配置され、且つ先行するものと同様な方法で同じ効果を有する、複数のレリーフを画定する折れ線の形態の不規則な高さを有する液相の排出口縁部を備える第3の排出口を備えることができる。
【0019】
他の可能な任意選択の改良点によれば、
- 抽出器は、沈殿セルの中に突き出し、沈殿セルの底部との保護距離まで連続して延びるドローダウン(drawdown)プレートを備える。
- それは、並進により沈殿セルの中に差し込むことができ、且つ前に形成されたエマルジョンの凝集(coalescence)グリッドを備える沈殿機器を備え、沈殿セルの中に突き出し、且つ液相の一方の凝集を促進する。
- この沈殿機器は、液相の他方の凝集を促進する第2の凝集グリッドを備える。
- ブロックは、再循環ポンプをその上面に取り付けることのできるコンソールを含み、再循環ポンプは、垂直な吸入管及び放出管を備え、それぞれ、液相の一方の出口ダクトの中に、且つブロックの中に窪んでおり混合セルと連通する吸入チャンバの中に突き出ている。
【0020】
本発明の別の態様は、前述による少なくとも1つの抽出器を備える液液抽出装置であり、1つ又は複数の抽出器、及び端部モジュールは、レール上で位置合わせされ、且つ締め付けられ、端部モジュールは、装置における反対方向の液相回路への接続部を備え、相のそれぞれの入口及び出口は、抽出器の間で延びている。
【0021】
装置は、さらにデバイスの取付けを容易にするように、抽出器に対して締め付けられ、且つ液相の入口及び出口開口部を囲むシールを担持する分割プレートを備えると有利であり得る。
【0022】
液液抽出器、端部モジュール、及び任意選択で分割プレートはまた、取付けを容易にするために、それに沿って摺動できることにより、レール上に相互に固定することができる。
【0023】
考えられ得る別の改良点は、加熱手段を備えた装置を提供することである。これらの手段は、レールの内側又はその下に確立することができ、例えば、電気抵抗によるヒータマットから構成されている。別のデバイスは、装置の抽出器のそれぞれのブロックを通過する冷却液を循環させるためのデバイスを備えることができる。
【0024】
本発明の様々な態様、特徴、及び利点が、次に、添付図により非常に詳細に述べられ、それにより、一定の純粋に例示的な実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】重相の出口ダクトを通る長手方向断面図である。
【
図9】複数の抽出器ステージを備えた装置の図である。
【
図10】装置を取り付け且つ支持するためのレールの図である。
【
図13】一体化された加熱手段を備える、装置を支持するためのレールの実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最初に、
図1から示される個々の液液抽出器60が述べられる。それは、概してほとんど規則的な平行六面体であるブロック1から構成されており、また第1の側面2、及び前出のものに平行な第2の側面3である2つの長い垂直面により、前出のものに垂直な前面4及び後面5である2つの短い垂直面により、且つ前出のものすべてに対して垂直な底面6及び上面7により規定される。ブロック1は、混合セル8、沈殿セル9であるセル、並びにまた重相入口ダクト10、軽相入口ダクト11、重相出口ダクト12、及び軽相出口ダクト13によって中空になっている。重相の入口ダクト10及び軽相の入口ダクト11は、それぞれ、第2の側面3及び第1の側面2から混合セル8において終わり、重相の出口ダクト12及び軽相の出口ダクト13は、沈殿セル9から開始し、それぞれ、第1の側面2、及び第2の側面3において終わる。側面2及び3における重相の入口ダクト10及び出口ダクト12の開口部は、これらの側面2及び3に対して垂直な方向に位置合わせされ、また軽相の入口ダクト11及び出口ダクト13の開口部は、同様に、この方向に位置合わせされる。
【0027】
したがって、複数の連続的に結合されたステージから構成されている装置を取得することが可能であり、それぞれは、これらの抽出器60のうちの1つを備え、それは、混合セル8及び沈殿セル9のすべてを連続的に通過する単一の重相ダクト及び軽相ダクトを形成し、抽出器60を通る反対方向の経路に従う。このような装置をさらに述べるものとする。複数の抽出器60を通る通路は、溶質のより向上させた抽出を生成するために適用される。
【0028】
重相の出口ダクト12及び軽相の出口ダクト13は、主として、重相出口チャネル14及び軽相出口チャネル15とそれぞれ呼ばれる、側面2及び3に平行な部分を備え、重相出口チャネル14は、第1の側面2に隣接し、入口ウェル16から出口ウェル17へと延び、その第1のものは、沈殿セル9及び前面4に隣接しており、前面4と後面5との間の抽出器の長さの半分をわずかに超えている。軽相出口チャネル15は、軽相排出口18により沈殿セル9と連通しており、抽出器60の前記長さの約半分に亘って、第2の側面3に隣接することにより、出口ウェル19まで延びる。混合セル8、沈殿セル9、及び出口ダクト12及び13の最大部分、特にその出口チャネル14及び15は、その上面7へと続くことにより抽出器60の外へと開口している。この構成は、毛細管現象及び気泡の閉じ込めの影響を低減することを可能にし、非常に低い流量であっても、流出を阻止することができる。
【0029】
前面4は、部分的に透明であり、小窓20(
図2、
図6、及び
図9で示される)を備えており、それは、装置の各抽出器60に対して、相の沈殿及び排出のシーケンスを観察できるようにする、実際には、小窓20は、沈殿セル9、及び軽相出口ダクト13の入口を部分的に画定する。代替的に、ブロック1全体を透明にすることもできる。
【0030】
重相出口チャネル14及び軽相出口チャネル15は、相の組成のオンライン解析を行うために分光光度プローブを受け入れることのできる中間ウェル21及び22を備える。軽相の流れの動きは、矢印53により示される。
【0031】
図2及び
図3は、重相出口ダクト12をさらに示す。入口ウェル16は、沈殿セル9の底部に連通する下側開口部23を含み、重相は、本方法中に入口ウェル16内に蓄積し、
図3に詳細に示される、分離された部分である重相排出口24に達することにより終了する。重相排出口24は、略円筒形であり、上から底部へと、把持ハンドル25、ねじ山26、及びソケット27を備える。ハンドル25は、抽出器上で、上面7の上に突き出し、ねじ山26は、入口ウェル16の上部に相当するタッピングに係合し、ソケット27は、その下側部分を除いて、後者の中へとクリアランスを含んで延び、下側部分は、下側開口部23の上であり、且つ重相出口チャネル14に対する接続部の下において、入口ウェル16に対して擦り合わされるOリングシール28を備える。
【0032】
シール28の上のソケット27の上側部分は、その周辺回りに分散された三角形の切抜き部29を備え、それは、三角形の切抜き29がそれぞれ、鋭角を形成する下側先端部31を有するように、下側の鋸歯状縁部30により画定される。下側先端部31は、重相出口チャネル14への接続部の前で延び、重相は、三角形の切抜き29のレベルに達した後、このチャネルの中へと放出される。それは、次いで、重相出力チャネル14の中へと流入することができ、その後に出口ウェル17に達して、抽出器60を離れる。重相の流れの動きは、矢印32により示される。
【0033】
単一の、且つ中空のブロック1から抽出器60を構成することは、多種多様な機器を、上面7を介して取り付けることにより、重相排出口24などを用いてねじ止めすることにより、又は次に述べることになる機器などを垂直に並進させて簡単に差し込むことにより、そこに追加することが可能になる。抽出器60に対する調整及び操作、並びに装置におけるその組立は、かなり容易になり、遠隔操作装置により、又はグローブボックスにより、達成することができる。
【0034】
図4は、狭いクリアランスで混合セル8の中に沈められる混合チャンバ33を示す。それは、中空の部品であり、ほぼ円筒形であり、上側に開いており、また一方の側部に、下側の縁部が混合排出口35である上側切り欠き34、底部における下側開口部36、及びその上面で垂直に起きている垂直なピン37を備える。混合チャンバ33が取り付けられたとき、上側切り欠き34、及び混合排出口35は、沈殿セル9の上側部分の前で延び、それを越えてチャンバ33内に存在する混合物が沈殿セル9に流入できるレベルを画定する。混合排出口35は、ギザギザのついた、又は刻み目が付けられた形状を有し、混合物がそれを通って沈殿セルに向けて流れるその上側縁部は、交互にわずかに突き出し、且つ凹んだレリーフを形成する折れ線形状である。したがって、この上側縁部の高さは不定である。加えて、凹んだレリーフは、有利には下方に狭くなっており、それは、レリーフが、斜めの面により分離された場合に検証される。極端な場合、斜めの面は、共に垂直に接合されて、凹んだレリーフの底部に零の幅を与えることも考えられ得る。これらの構成は、一時的に小滴として蓄積する、又は排出口の上にわずかに突き出ることによる液の停留、及び流れの飛散を生成し得る毛細管力にかかわらず、非常に低い流量であっても、流れを規制する効果を有する。複数のレリーフを形成する折れ線により画定される混合排出口の本明細書で提案される構成は、かろうじて排出口の上のレベルである場合、低い、又は最小の流れ幅が低い流れの液体に確実に提供されるようにし、それは、毛細管力の影響を低下させ、恒久的な流れを維持する結果となる。
【0035】
重相排出口24を特徴付ける折れ線の排出口縁部を備え、同じ目的を有する同様の構成がまた、軽相排出口18を特徴付けるが、それをさらに完全に述べるものとする。加えて、出口チャネル14及び15の開いた構成はまた、毛細管力の影響を低減させること、及び流れを規制することの同じ目的を有する。
【0036】
図5は、垂直なピン37のおかげで固定された角度位置に、混合チャンバ33の上側縁部40上に配置できる、垂直の羽根を備えた攪拌デバイス39を支持する支持ブロック38と、スイッチを入れたとき、攪拌デバイス39が回転するように支持ブロック38の上側縁部に配置できるモータ41であって、攪拌デバイス39が、混合チャンバ33の中へと貫通し、この時点で、液相を混合してエマルジョンを生成する、モータ41とを示す。
【0037】
機器の他の2つの品目をまた、上面7から差し込むことにより、抽出器に取り付けることができる。第1のものは、沈殿セル9に係合され、全体的に参照42(
図6)で示され、ドローダウンプレート43、並びに2つの凝集グリッド44及び45を備えることができ、すべて上側プレート46に接続される。示された状態において、ドローダウンプレート43は、垂直に、且つ混合セル8に隣接しており、その機能は、混合物を、中央部を通して沈殿セル9の中に入れるようにすることである。凝集グリッド44及び45は、その名前が示すように、他のものにおいてエマルジョン状態にある相のものの凝集を促進するように意図されており、それにより、沈殿セル9において、明確に分離され、且つ重なるように重相及び軽相を提供する。凝集グリッドの一方44は、疎水性であり、他方を親水性にすることができ、エマルジョンの範疇に従って、有機相(一般に、軽相)の凝集、並びに水性相(一般に、重相)の凝集を促進するようにする。代替的には、再構成するのが困難なエマルジョンにおける相に対しては、2つの同様な凝集グリッドを使用することもできる。凝集グリッド44及び45はさらに、ドローダウンプレート43に対して平行に、垂直であり、また任意の程度内で沈殿セル9の中央部に向けて延びる。上側に立ち上がっており、上側プレート46に取り付けられるプルタブ47が、機器の操作を可能にするために追加される。
【0038】
機器の別の取外し可能な品目が、
図7に示されており、一定の方法において有用な再循環ポンプ48から構成されており、それは、ここでは重相である相の一方を、混合セル8に向けて部分的な戻りを生成するために使用される。再循環ポンプ48は、ブロック1の後面5に取り付けられた水平のコンソール49に取り付けられ、後方へと越えている(しかし、明確化のために、本明細書では、再循環ポンプ48は、コンソール49から上げた状態で示されている)。それは、流量を中に吸入するために重相の出口ウェル17の中に、また混合セル8の近くでブロック1の中へと窪んだ垂直な再循環ウェル52の中に、それぞれ、貫通することのできる垂直な吸入管50、及び垂直な放出管51を備える。再循環ウェル52は、重相の入口ダクト10及び軽相の入口ダクト11と同様にして、混合セル8の中へと続き、それに追従する液体が、その後に、下側開口部36を介して混合チャンバ33の中に入る。
【0039】
図8は、軽相の出口チャネル15が、軽相排出口18に対して異なるレベルにあることを示す。ここの軽相排出口はまた、液体の流れにより横断され、且つ折れ線により形成された排出口縁部により具体化されており、ここで、水平な底部分及び斜めの部分を形成し、したがって、頂部が平坦な突き出たレリーフが、下方にテーパの付いた三角形の凹部を備えて交互に配置される。
【0040】
本発明の別の態様を次に、この説明の最後の
図9から
図13を用いることにより述べるものとする。今まで述べられた抽出器60の組立体は、抽出装置を形成する。
【0041】
このような装置が
図9に示されている。抽出器60は、平坦な支持レール61上に並べて配置され、その端部は、サポート62上に取り付けられる。小窓20は、装置において達成される方法の全体的な調査を迅速に提供するために、装置の同じ面上に位置合わせされることに留意されたい。この構成は、特に、相互に位置合わせされた混合セル8のレイアウトにより、また支持レールに平行に相互に位置合わせされた沈殿セル9のレイアウトにより、且つかなり長く、側面2及び3に平行な重相チャネル14及び軽相チャネル15によるものであり、それにより抽出器60が組み立てられて、各相の入口ダクト及び出口ダクトは、側面2及び3に対して垂直な方向に、且つ支持レール61に対して平行に位置合わせされた位置においてブロック1を離れるようにする、一方で、装置の抽出器の従来のレイアウトは、徹底的に(top-to-tail)、混合セル及び沈殿セルが、2つの平行線に沿って交互にあり、それは、短く、且つ側面に対してほとんど垂直な液相出口ダクトを可能にする(それはまた本明細書では入口ダクト10及び11である)が、したがって、ステージの沈殿の全体的な調査を行うことがもはや可能ではなくなる不利な点を有する。
【0042】
図10は、支持レール61は、その接合部64における形状をねじ止め及び相互に固定することにより、互いに組み立てられた任意の数の個々のプレート63から構成できることを示す。支持レールの両端は、対向する停止部65及び66を担持し、少なくともその一方(66)は、装置を締め付けるためのキャプスタンを備え、その要素の分離を回避し、且つチャネル10から13の封止を確実にすることができる。抽出器60から離れて、装置は、その両端に、したがって、停止部65及び66と接触状態にある、同様に平行六面体であり、且つその循環回路の残りのものへと続く全体的に69で参照される相の入口及び出口接続部を備える2つの端部モジュール67及び68を備える。端部モジュール67及び68は、隣接する抽出器60の入口ダクト及び出口ダクトと連通している。装置の結合はまた、それらを起こすようにすることなく、支持レール61上で抽出器60を摺動させるために、スライド及び突片70(
図2に示される)の部分により、確実に行われる。同様のシステムが、端部モジュール67及び68に設けられる。加えて、装置は、シール74及び75を支持する2つの穴72及び73を備える、抽出器60の間の分割プレート71により完成される(
図11)。分割プレート71は、支持レール61上で調整し、それをレールの上の定位置に保持できるようにする下側溝部76を備える。締め付けが行われたとき、抽出器60の入口及び出口ダクト10から13は、それらの間の穴72及び73、並びにそれらの回りのシール74及び75を用いて、互いに延長され、液体回路の封止を保証する。
【0043】
最後に、液相の温度を規制する可能性に注意を払うべきである。それは、抽出器60を通る冷却液の循環によって達成され得る。
図12に示される一実施形態は、今までに述べられたブロック1よりも多少大きいブロック77において、冷却液ダクトを備えることができ、冷却液ダクトは、後面5の近くに位置する冷却液の入口ダクト78と、同様に後面5の近くに位置する冷却液の出口ダクト79と、入り口ダクト78及び出口ダクト79を接続する内部ダクトであって、第1の下降部分80、下面6の近くにあり、前面4の方向に向けられた長手方向部分81、後面5の方向に流体を戻し、第1の長手方向部分81に平行であり、且つ反対方向の第2の長手方向部分82、並びに上昇部分83を連続的に備える内部ダクトとを備える。長手方向部分81及び82は、区画84により分離される。それらは、冷却液を、混合セル8及び沈殿セル9の下を通過させるようにする。
【0044】
別の可能性が、
図13に関して述べられる。支持レール61の各プレート63によって、温度規制を行うことができ、支持レール61は、例えば、その下面において開口する空洞部85を備え、またそれは、外部への接続部87により給電される平坦な電気ヒータマット86で満たされる。空洞部85を閉じて、その中にヒータマット86を保持するために、カバー88がねじ止めされる。
【符号の説明】
【0045】
1 ブロック
2 第1の側面
3 第2の側面
4 前面
5 後面
6 底面、下面
7 上面
8 混合セル
9 沈殿セル
10 重相入口ダクト
11 軽相入口ダクト
12 重相出口ダクト
13 軽相出口ダクト
14 重相出口チャネル
15 軽相出口チャネル
16 入口ウェル
17 出口ウェル
18 軽相排出口
19 出口ウェル
20 小窓
21 中間ウェル
22 中間ウェル
23 下側開口部
24 重相排出口
25 把持ハンドル
26 ねじ山
27 ソケット
28 Oリングシール
29 切抜き
30 下側の鋸歯状縁部
31 下側先端部
32 矢印
33 混合チャンバ
34 上側切り欠き
35 混合排出口
36 下側開口部
37 垂直なピン
38 支持ブロック
39 攪拌デバイス
40 上側縁部
41 モータ
42 参照
43 ドローダウンプレート
44 凝集グリッド
45 凝集グリッド
46 上側プレート
47 プルタブ
48 再循環ポンプ
49 コンソール
50 吸入管
51 放出管
52 再循環ウェル
53 矢印
60 液液抽出器
61 支持レール
62 サポート
63 プレート
64 接合部
65 停止部
66 停止部
67 端部モジュール
68 端部モジュール
69 相の入口及び出口接続部
70 突片
71 分割プレート
72 穴
73 穴
74 シール
75 シール
76 下側溝部
78 冷却液の入口ダクト
79 冷却液の出口ダクト
80 第1の下降部分
81 第1の長手方向部分
82 第2の長手方向部分
83 上昇部分
84 区画
85 空洞部
86 電気ヒータマット
87 接続部
88 カバー
【外国語明細書】