(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060177
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】食品残渣物堆肥化装置および食品残渣物堆肥化方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20220407BHJP
C05F 9/02 20060101ALI20220407BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20220407BHJP
【FI】
A01G9/02 103U
C05F9/02 A
B09B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161381
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020167788
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520385168
【氏名又は名称】ローカルフードサイクリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】平 由以子
【テーマコード(参考)】
2B327
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
2B327NC02
2B327NC05
2B327NC08
2B327NC26
2B327NC37
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2B327NC42
2B327NC43
2B327NC44
2B327ND01
2B327RA13
2B327RA22
2B327RC32
4D004AA03
4D004AC01
4D004CA19
4D004CB04
4D004CB06
4D004CC02
4D004CC03
4D004CC07
4D004CC08
4D004CC15
4H061AA03
4H061CC42
4H061CC47
4H061CC55
4H061EE66
4H061GG08
4H061GG41
4H061GG48
(57)【要約】
【課題】適度な通気性と適度な保湿性とが確保できることで、微生物の働きが活発になり分解が早くなることで、不快な臭いの発生と、虫の発生を抑えることができる食品残渣物堆肥化装置を提供する。
【解決手段】食品残渣物堆肥化装置10は、食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋2と、処理用袋2が収納される通気性を有する外袋3と、処理用袋2に投入され、食品残渣物を発酵させるための基材4とを備えている。この処理用袋2は、保湿性および通気性を調整する機能を備えている。食品残渣物堆肥化装置10は、通気性を有する外袋3に、処理用袋2が収納されることで、二重袋構造となり、処理用袋2の機能により通気性と保湿性とが調整される。それにより、微生物による分解速度が早まり不快な臭いの発生が抑制できる。また、二重袋構造であるため、産卵管は外袋3と処理用袋2との間までにしか届かないため、虫の発生を抑止させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋と、
前記処理用袋が収納される通気性を有する外袋と、
前記処理用袋に投入され、前記食品残渣物を発酵させるための基材とを備えた食品残渣物堆肥化装置。
【請求項2】
前記外袋は、その上部に一対のハンドルが設けられたバッグ型容器に形成された請求項1記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項3】
前記外袋は、その開口縁部にファスナーが設けられた請求項1または2記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項4】
前記処理用袋の少なくとも開口縁部は、前記外袋の内面に沿って接合された請求項1から3のいずれかの項に食品残渣物堆肥化装置。
【請求項5】
前記処理用袋の開口縁部は、前記外袋の開口縁部に接合され、
前記処理用袋は、その外底面から開口縁部までの高さが、前記外袋の開口縁部から内底面までの深さに形成された請求項4記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項6】
前記処理用袋および前記外袋は、樹脂繊維による不織布により形成された請求項1から5のいずれかの項に記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項7】
前記不織布は、ニードルパンチ布である請求項6記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項8】
前記処理用袋を、植物栽培用のプランターとしたときに、堆肥ができた前記処理用袋に入れられる用土と、前記用土に播種される植物の種とを備えた請求項1から7のいずれかの項に記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項9】
前記外袋の底であり、前記外袋と前記処理用袋との間に、ダンボール紙が設けられた請求項1から8のいずれかの項に記載の食品残渣物堆肥化装置。
【請求項10】
食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋を、通気性を有する外袋に収納するステップと、
前記食品残渣物と、前記食品残渣物を発酵させるための基材とを投入するステップと、
前記基材により前記食品残渣物とを発酵させるステップとを含む食品残渣物堆肥化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭から排出される食品残渣物を減容して堆肥とすることができる食品残渣物堆肥化装置および食品残渣物堆肥化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食べ残しや調理したときに発生する食品残渣物を容器に入れ、堆肥化するものが広く知られている。
例えば、特許文献1に記載の生ゴミ堆肥化容器は、容器の下部に通風用の穴を設け、容器の底部に網板を敷き、その上から胴部を置き、その上に蓋を被せたものである。
この生ゴミ堆肥化容器は、生ゴミの投入時に適量の土を混ぜたものの醗酵が終わると堆肥を含んだ土になるので胴部、蓋を取り去ったあとに、容器をそのままプランターとして利用し、できた堆肥、土をそのまま利用して植物を育てることができる。
【0003】
また、特許文献2に記載の生ごみの堆肥化方法は、有機系多孔質多空間形成の材料または無機系多孔質多空間形成の材料を生ごみと共に通気性容器に入れて醗酵させるものであり、これら多孔質多空間形成の材料を混合することによって良好な醗酵を得ることができるというものである。また、通気性容器として、醗酵袋を外袋とし、その外袋の内側にメッシュ状で可撓性の合成樹脂等で製作の内袋を取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-4039号公報
【特許文献2】特開平9-278572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
食品残渣物を堆肥化するときには、ある程度の通気性と、ある程度の保湿性とが必要である。堆肥化をマンションやアパートのベランダ、住宅の空きスペースで行う場合には、戸建ての広い庭で堆肥化を行うより、水はけや臭い、ハエやアブなどの虫の飛来など、制約を受ける。
【0006】
特許文献1に記載の生ゴミ堆肥化容器では、蓋と胴部との隙間、容器下部の通風用の穴から通気することから、蓋、胴部および容器は通気しない素材により形成されていると思われる。従って、投入された食品残渣物の位置によっては、通気性や保湿性に偏りが生じる。また、胴部が下方から、または蓋を開けたときの上方からしか通気しないため、夏季などは胴部内の温度が上昇し過ぎるおそれがあり、水分が逃げないため水分過多になるおそれがある。
【0007】
特許文献2に記載の生ごみの堆肥化方法では、生ごみが通気性容器に入れられ、醗酵させられるので、通気性は充分であるが、水分が低下し過ぎるおそれがある。また、通気性容器に止まった虫が通気性容器に卵管を刺し、卵を産み付けるおそれがある。
更に、特許文献2の生ごみの堆肥化方法では、通気性容器がメッシュ状の袋を内袋とし、可撓性を有し且つ非通気性の袋を外袋として、その外袋に通気孔を穿設することが記載されているが、非通気性の袋に通気孔を穿設しただけでは、通気性が良好であるとは言い難い。
【0008】
そこで本発明は、適度な通気性と適度な保湿性とが確保できることで、微生物の働きが活発になり分解が早くなることで、不快な臭いの発生と虫の発生とを抑えることができる食品残渣物堆肥化装置および食品残渣物堆肥化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食品残渣物堆肥化装置は、食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋と、前記処理用袋が収納される通気性を有する外袋と、前記処理用袋に投入され、前記食品残渣物を発酵させるための基材とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の食品残渣物堆肥化方法は、食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋を、通気性を有する外袋に収納するステップと、前記食品残渣物と、前記食品残渣物を発酵させるための基材とを投入するステップと、前記基材により前記食品残渣物とを発酵させるステップとを含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の食品残渣物堆肥化装置および食品残渣物堆肥化方法によれば、外袋と処理用袋とは通気性を有している。従って、処理用袋内の湿気が外袋の外へ流れたり、外袋の外から空気が処理用袋内に流れたりするが、外袋と処理用袋との間に空気層ができるので、直接、処理用袋内の湿気が外へ逃げずに、一旦空気層に溜まり、外袋の外へ逃げるようになる。そのため、外袋および処理用袋の両方が通気性を有していても、通気が過度に行われず、多湿になったり湿度が低下し過ぎたりすることが防止できる。
また、二重袋構造であるため産卵管を挿入しても、産卵管は外袋と処理用袋との間までにしか届かないため、虫の発生を抑止させることができる。
【0012】
前記外袋は、その上部に一対のハンドルが設けられたバッグ型容器に形成されたものとすることができる。外袋がハンドルを設けたバッグ型容器に形成されているため、ハンドルを持って持ち運ぶことができる。
【0013】
前記外袋は、その開口縁部にファスナーが設けられたものとすることができる。ファスナーにより、容易に、外袋を開けたり閉めたりすることができるので、作業性を向上させることができる。また、ファスナーを閉めることで、簡単に外袋の開口部からの虫の混入を阻止することができる。
【0014】
前記処理用袋の少なくとも開口縁部は、前記外袋に接合されたものとすることができる。虫が産卵管を外袋に挿入して外袋と処理用袋との間に卵を産み付け、孵化した幼虫や成長した成虫が処理用袋の周囲を徘徊しても、処理用袋の少なくとも開口縁部が、外袋に接合されているため、虫が処理用袋の開口部から入り込むことを防止することができる。
【0015】
前記処理用袋の開口縁部は、前記外袋の開口縁部に接合され、前記処理用袋は、その外底面から開口縁部までの高さが、前記外袋の開口縁部から内底面までの深さに形成されたものとすることができる。
処理用袋の外底面から開口縁部までの高さが、外袋の開口縁部から内底面までの深さに形成されているため、処理用袋の開口縁部が、外袋の開口縁部に接合されてと、処理用袋の外底面が外袋の内底面上に位置する。従って、処理用袋に重量がある基材が投入されても、外袋が支持する。
【0016】
前記処理用袋および前記外袋は、樹脂繊維による不織布により形成されたものとすることができる。処理用袋が、樹脂繊維による不織布により形成されることで通気性を有するので、水分が処理用袋および外袋を通って放散される。従って、処理用袋内部の水分量を低下させることができ、発酵に適した水分量に維持させることができる。
【0017】
前記不織布は、ニードルパンチ布とすることができる。ニードルパンチ布であれば、外袋および処理用袋に、通気性と保湿性を維持しつつ、適度な保型性と耐久性を付与することができる。
【0018】
前記処理用袋を、植物栽培用のプランターにしたときに、堆肥ができた前記処理用袋に入れられる用土と、前記用土に播種される植物の種とを備えたものとすることができる。
初心者でも、本発明の食品残渣物堆肥化装置を購入するだけで、食品残渣物を堆肥化し、続けて、ベランダや空きスペースにてガーデニングを楽しむことができる。
【0019】
前記外袋の底であり、前記外袋と前記処理用袋との間に、ダンボール紙が設けられたものとすることができる。適量な水量より少し多く給水して処理用袋から漏れても、ダンボール紙が受け止め、外袋外に拡がってしまうことを防止することができる。また、ダンボール紙が保水するため、堆肥が乾燥したときに、ダンボール紙から湿気が上昇して処理用袋2を通気して堆肥に湿気を供給することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の食品残渣物堆肥化装置および食品残渣物堆肥化方法によれば、通気性を有する処理用袋と、通気性を有する外袋とによる二重袋構造であるため、適度な通気性と適度な保湿性とが確保でき、微生物の働きが活発になり分解が早くなることで不快な臭いの発生と虫の発生とを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る食品残渣物堆肥化装置を示す図である。
【
図2】(A)から(F)は、
図1に示す食品残渣物堆肥化装置の使用状態を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係る食品残渣物堆肥化装置の外袋に処理用袋が収納された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る食品残渣物堆肥化装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す食品残渣物堆肥化装置10は、生ごみなどの食品残渣物を発酵させて堆肥とする容器である。
食品残渣物堆肥化装置10は、食品残渣物が投入される通気性を有する処理用袋2と、処理用袋が収納される通気性を有する外袋3と、食品残渣物を発酵させるための基材4と、ガーデニングを行う際の用土5と、種6と、ダンボール紙7とがセットになったものである。
【0023】
処理用袋2は、樹脂繊維による厚手の不織布により形成されている。本実施の形態1では、処理用袋2は、ニードルパンチ布により形成されていることで、通気性だけでなく、充分な耐久性を備えている。
【0024】
ニードルパンチ布は、針がドラム周面に設けられたカード機により、短繊維を送り出しウェブを形成し、このウェブを複数層に重ね、微少な突起により繊維同士を交絡させることで製作される。
なお、処理用袋2は、ニードルパンチ布とする以外に、蝋引き紙とすることができる。蝋引き紙は、所定間隔で穿孔したり、ワックスの非付着部分を形成したりすることで通気性を有する。
【0025】
また、処理用袋2は、不織布製とする以外に、通気性と耐久性を備えた綿と合成繊維との混紡により織られた布とすることができる。例えば、処理用袋2は、綿、ナイロン、ポリエステルの生地に格子状にナイロン繊維が縫い込まれたリップストップ生地により形成されたものとすることができる。綿のみであれば厚くすることで産卵管の侵入を防ぐことができるが重くなる。しかし、合成繊維による混紡とすることで、通気性と保湿性を維持しつつ、薄く、かつ軽く形成することができ、布面の強度を向上させることができ、産卵管が挿入し難くなる。
【0026】
本実施の形態1では、処理用袋2の開口部を閉じたときの正面視が、上底の方が下底より長い台形状に形成されている。処理用袋2の底面は、四角形状に形成されている。
また、処理用袋2の上端の横幅は約42cm,高さ約30cm、四角形状の底面の横幅が約22cm、奥行きが約20cmである。また、外袋3の生地の厚みは、約0.5mm~約1mmである。
【0027】
外袋3は、袋本体3aの上部に一対のハンドル3bが形成された通気性を有するバッグ型容器である。外袋3の開口縁部には、開けたり閉めたりするためのファスナー3cが形成されている。外袋3は、処理用袋2と同じ素材により形成されており、樹脂繊維による厚手の不織布により形成されている。本実施の形態1では、処理用袋2がニードルパンチ布により形成されているため、外袋3もニードルパンチ布により形成されていることで、通気性だけでなく、充分な耐久性を備えている。
【0028】
本実施の形態1では、袋本体3aの開口部を閉じたときの正面視が、上底の方が下底より長い台形状に形成されている。袋本体3aの底面は、四角形状に形成されている。
また、本実施の形態1では、袋本体3aの上端の横幅が約47cm,高さ約37cm、四角形状の底面の横幅が約30cm、奥行きが約22cmである。また、外袋3の生地の厚みは、約0.5mm~約1mmである。
【0029】
基材4は、籾殻の燻炭等の自然由来の素材を組み合わせたものである。基材4は、1600gが添付されている。
【0030】
用土5は、食品残渣物を堆肥とした後に、外袋3を植木鉢(プランター)の代わりにしてガーデニングを楽しむための土である。用土は添付される種などの条件に合わせて決めることができるが、本実施の形態1では、用土5として、2100gが添付されている。
種6は、食品残渣物堆肥化装置10の購入時期に合わせて決めることができる。例えば、食品残渣物堆肥化装置10の購入時期が1月であった場合には、播種が2月~3月頃になる春に咲く花の種とすることができる。
種6は、花を楽しむ植物の種としたり、観葉植物の種としたり、野菜の種としたりすることができる。
【0031】
ダンボール紙7は、矩形状に形成されている。ダンボール紙7は、処理用袋2の底面と同じまたは少し大き目に形成されている。
【0032】
以上のように構成される実施の形態1に係る食品残渣物堆肥化装置10による堆肥化方法を図面に基づいて説明する。
まず、
図1に示す外袋3のファスナー3cを開け、外袋3の底にダンボール紙7を敷いた後に、処理用袋2を入れ、ダンボール紙7の上に載せる。このとき、籠状トレイをひっくり返したような、格子状に多数の通気孔が並ぶ台座8の上に、外袋3を載置する。こうすることで、外袋3の底面にも通気性を確保し、向上させることができる。
【0033】
次に、
図2(A)に示すように、外袋3の袋本体3aに入れた処理用袋2に、基材4を投入して、生ごみなどの食品残渣物を300g/日を目安に投入し、スコップなどによりかき混ぜる。
【0034】
食品残渣物を投入し、かき混ぜた後は、
図2(B)に示すように、外袋3のファスナー3cを閉じる。これで準備は完了である。そうすることで、内部の水分が蒸発することが抑止され、適度に保湿性が維持される。また、ファスナー3cを閉じることで、外袋3の上部開口部は隙間が無くなるため、開口部からの虫の侵入を阻止することができる。
図2(C)に示すように、外袋3のファスナー3cを開けて食品残渣物を追加投入して、スコップSなどにより処理用袋2内の食品残渣物と基材4とをかき混ぜ、外袋3のファスナー3cを閉じる作業を、3週間続ける。
【0035】
次に、
図2(D)に示すように、3週間程度の食品残渣物の投入が終わると、外袋3のファスナー3cを閉めた状態のまま、食品残渣物が発酵した堆肥を熟成させる。熟成は、3週間程度であるが、1週間に3回程度かき混ぜ、堆肥が乾燥している場合には500cc程度の水を補充する。
【0036】
水が補充されると堆肥に染み込み保水されるが、少し多く給水し過ぎて全てが保水し切れずに処理用袋2を透過したものは、処理用袋2の下敷きとなったダンボール紙7が吸水する。
従って、適量な水量より少し多く給水して処理用袋2から漏れても、処理用袋2の下に敷いたダンボール紙7(
図1参照)が受け止め、外袋3の外に漏れ拡がってしまうことを防止することができる。そのため、食品残渣物堆肥化装置10をベランダで使用しているときでも、周囲を汚してしまうことが防止できる。
【0037】
また、ダンボール紙7が保水するため、堆肥が乾燥したときに、ダンボール紙7から湿気が上昇して処理用袋2を通気して堆肥に湿気を供給することができるため、堆肥を乾燥から防ぐことができる。
【0038】
このようにして熟成期間である3週間が経過すると、完全に堆肥となっているため、次に、ガーデニングを行うことができる。
ガーデニングは、
図2(E)に示すように、外袋3から処理用袋2を取り出し、処理用袋2の上部の縁部を、例えば、内側方向に1回か2回折り返して、処理用袋2を植物栽培用のプランターにする。そして、
図1に示す用土5を処理用袋2に入れ混ぜてから、種6を蒔く。このとき、種6は、1cm間隔で蒔く。
【0039】
次に、
図2(F)に示すように、日当たりのよい場所で、水やりをこまめに行うことで、植物を大きく生長させることができる。多数の種から芽が数多く延びたときには間引きを行う。
このようにして使用者は、堆肥化だけでなく、ガーデニングに楽しむことができる。
【0040】
以上のように本実施の形態1に係る食品残渣物堆肥化装置10によれば、
図1に示す外袋3に、処理用袋2が収納されることで、二重袋構造となるため、外袋3に処理用袋2が収納されていることで、二重袋構造となるので、充分な強度を確保することができる。
例えば、外袋を、外袋と処理用袋とを足し合わせた厚みに形成し、基材と食品残渣物を外袋に入れた場合には、外袋内の湿気は、直接、外に流れ、外からの空気は、直接、外袋内に流入する。従って、内部の湿気や温度が大きく変化して、良好な保湿が得られず、良好な発酵が得られない。
【0041】
しかし、外袋3と処理用袋2とが通気性を有しており、外袋3の中に処理用袋2を入れているため、外袋3と処理用袋2との間に空気層ができるので、処理用袋2内の湿気が外袋3の外へ流れたり、外袋3の外から空気が処理用袋2内に流れたりする際に、直接、処理用袋2内の湿気が外へ逃げずに、一旦空気層に溜まり、外袋3の外へ逃げるようになる。そのため、外袋3および処理用袋2の両方が通気性を有していても、通気が過度に行われず、多湿になったり湿度が低下し過ぎたりすることが防止できる。
【0042】
また、虫が外袋3の側面から産卵管を刺して外袋3を通過しても、外袋3は内袋である処理用袋2を備えているため、産卵管が外袋3と処理用袋2との間の隙間までにしか届かない。従って、虫の発生を抑止することができる。
このとき、産卵管が処理用袋2まで到達したとしても、処理用袋2が蝋引き紙により形成されたものであれば、蝋引き紙は産卵管が挿せないため、処理用袋2の通過を阻止することができる。
従って、食品残渣物に付着した卵による虫の発生は阻止が難しいが、外部から産卵管を刺すことによる虫の発生を抑止することができる。
【0043】
よって、食品残渣物堆肥化装置10は、適度な通気性と適度な保湿性とが確保できるので、微生物の働きが活発になり分解が早くなることで不快な臭いの発生を抑えることがっできると共に、虫の発生を阻止または抑えることができる。
【0044】
また、植物を栽培するときのプランターに処理用袋2をしたときに、堆肥ができた処理用袋2に入れられる用土5と、用土5に播種される植物の種6とを備えている。
従って、外袋3から処理用袋2を取り出すだけで、肥沃な堆肥を含む用土5が入った処理用袋2をプランターとすることができるので、初心者でも、食品残渣物堆肥化装置10を購入するだけで、食品残渣物を堆肥化し、続けて、ベランダや空きスペースにてガーデニングを楽しむことができる。
【0045】
従って、食品残渣物堆肥化装置10は、食事ごとに発生する食品残渣物が少ない夫婦二人暮らしや、食品残渣物の堆肥化を初めて行う初心者などに好適である。
【0046】
また、外袋3が袋本体3aの上部に一対のハンドル3bが形成されたバッグ型容器に形成されているため、ベランダで堆肥化を行うときに掃除や片づけなどを行う場合でも、簡単に持ち上げ移動させることができ、持ち運びに便利である。
特に、外袋3が逆台形状のトートバッグ型であるため、処理用袋2への食品残渣物や水の追加などは、外袋3の開口が大きく開くため容易であり、使用者が食品残渣物堆肥化装置10を移動させるときでも、外袋3を吊り下げて容易に移動させることができる。
また、外袋3は、開口縁部にファスナー3cが設けられているため、食品残渣物と基材4とをかき混ぜたり、水を補給してかき混ぜたりする際に、容易に、外袋3を開けたり閉めたりすることができるので、作業性を向上させることができる。
また、ファスナー3cを閉めることで、簡単に開口部からの虫の混入を阻止することができる。
【0047】
本実施の形態1では、処理用袋2をプランターにして植物を栽培するために、外袋3の大きさを小バッグにしているが、外袋3を大バッグとすると共に、処理用袋2もサイズを大きくすることで、大量に堆肥を作ることができ、堆肥ができる度に、新たな基材4を投入すれば、続けて食品残渣物を投入することができるため、堆肥を連続的に作ることができる。
【0048】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る食品残渣物堆肥化装置を図面に基づいて説明する。
図3に示す食品残渣物堆肥化装置は、外袋3に処理用袋20が配置された状態であり、
図1に示す食品残渣物堆肥化装置10と同様に、食品残渣物を発酵させるための基材4と、ガーデニングを行う際の用土5と、種6といったものが添付される。
【0049】
処理用袋20は、実施の形態1と同様に、不織布であるニードルパンチ布としたり、綿と合成繊維との混紡により織られた布としたりすることができる。
【0050】
処理用袋20は、外袋3に単に収納されているだけでなく、処理用袋20の開口縁部21が外袋3の内面に沿って接合されている(
図3では、接合領域S1にして示す。)。本実施の形態2では、処理用袋20の開口縁部21が、外袋3の開口縁部31に接合されている。
また、処理用袋20は、その外底面22(底面)から開口縁部21までの高さが、外袋3の開口縁部31から内底面32までの深さに形成されている。
従って、処理用袋20の開口縁部21が外袋3に接合された状態では、処理用袋20の外底面22が外袋3の内底面32上に位置する。また、ダンボール7が外袋3の内底面32上に設置されていれば、処理用袋20の外底面22がダンボール7上に位置する。
【0051】
そのため、処理用袋20に重量がある基材が投入されても、外袋3の底部33で支持するので、使用者が、外袋3を持って移動するときにでも、処理用袋20の接合部への負担を軽減することができ、また、処理用袋20は外袋3の中で固定された状態である。
従って、使用者が外袋3を持って移動しても、外袋3の中で、処理用袋20が揺動することなく、位置決めされた状態に維持することができるので、処理用袋20を外袋3の内部で安定させた状態で持ち運びできる。
また、移動先でも、外袋3のファスナー3cを開けば、処理用袋20の内部を外袋3の開口部34から視認できるため、容易に食品残渣物の追加、水分の補給、発酵状態の確認が容易である。
【0052】
このように、外袋3の胴部35などから、虫が産卵管を刺して外袋3を通過させ、産み付けた卵が孵化し、幼虫になって徘徊して、処理用袋20の胴部23から開口部24へ登って侵入しようとしても、処理用袋20の底部25は閉鎖されており、開口縁部21が外袋3の接合領域S1により接合されているため、虫の侵入を阻止することができる。
【0053】
なお、この接合は、縫製用糸による縫合としたり、接着材による接着としたり、融着としたりすることができる。
また、処理用袋20の接合部は、開口縁部21が接合されていれば、外袋3と処理用袋20との間に孵化した虫の侵入が阻止できるが、処理用袋20の胴部23や外底面22などを外袋3の内側面と接合するようにしてもよい。そうすることで、処理用袋20を外袋3の内部により安定させることができ、処理用袋20の開口縁部21と外袋3との接合への負担を更に軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、一般家庭から排出される食品残渣物を減容して堆肥とすることができるので、マンションやアパート、戸建てなどのベランダ、空きスペースでの堆肥化に好適である。
【符号の説明】
【0055】
10 食品残渣物堆肥化装置
2,20 処理用袋
21 開口縁部
22 外底面
23 胴部
24 開口部
25 底部
3 外袋
31 開口縁部
32 内底面
33 底部
34 開口部
35 胴部
3a 袋本体
3b ハンドル
3c ファスナー
4 基材
5 用土
6 種
7 ダンボール紙
8 台座
S スコップ
S1 接合領域