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特開2022-60244回収特徴が改良された埋込式泌尿器科デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060244
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】回収特徴が改良された埋込式泌尿器科デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20220407BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20220407BHJP
【FI】
A61F2/82
A61F2/95
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011315
(22)【出願日】2022-01-27
(62)【分割の表示】P 2020082036の分割
【原出願日】2013-05-20
(31)【優先権主張番号】61/649,253
(32)【優先日】2012-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514274409
【氏名又は名称】タリス バイオメディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒジン
(72)【発明者】
【氏名】ホー ドゥック,ホン,リン
(57)【要約】
【課題】留置された泌尿器科デバイスを患者から選択的に回収することを容易にするデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】回収用ストリングを有する泌尿器科医療デバイスを提供する。回収用ストリングは、デバイスに接続される近位端と、反対側の遠位端とを有する。第1実施形態では、回収用ストリングは初期の閉込形状に構成され、患者の膀胱内にある期間留置された後、回収用ストリングを引くことでデバイスが膀胱から引き出されることを可能にするように回収用ストリングの遠位端が尿道内に延出可能である非閉込形状に変化する。デバイスは、生体内分解性コンポーネントを含み得、該生体内分解性コンポーネントはそのインビボでの分解後に回収用ストリングが非閉込形状をとるのを許容する。別の実施形態では、回収用ストリングは、磁力的に捕捉されて膀胱からのデバイスの回収を容易にし得る強磁性材料を含む。強磁性回収用ストリングは、尿中に浮揚し得る。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
泌尿器科デバイスと、
前記泌尿器科デバイスに取り付けられる少なくとも1つの回収用ストリングであって、前記泌尿器科デバイスに接続される近位端と、反対側の遠位端とを有する回収用ストリングと、を含み、
前記回収用ストリングは、初期の閉込形状に構成され、前記医療デバイスが患者の膀胱内にある期間留置された後、前記少なくとも1つの回収用ストリングを引くことで前記医療デバイスが前記膀胱から引き出されることを可能にするように前記少なくとも1つの回収用ストリングの前記遠位端が前記膀胱の尿道内に延出可能である非閉込形状に変化する、医療デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントをさらに含み、前記生体内分解性コンポーネントは(i)前記少なくとも1つの回収用ストリングをその初期の閉込形状に維持し、(ii)前記少なくとも1つの回収用ストリングが前記生体内分解性コンポーネントのインビボの分解後に前記非閉込形状をとるのを許容するように機能する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記泌尿器科デバイスに前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントを介して取り付けられる流体力学的キャップをさらに含む、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントが、前記閉込形状の前記回収用ストリングの少なくとも一部分を含む、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントが、前記泌尿器科デバイスの周りに巻かれて前記回収用ストリングを前記泌尿器科デバイスの外表面上に固着させる複数のバンドを含む、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回収用ストリングがモノフィラメントである、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記閉込形状の前記少なくとも1つの回収用ストリングの少なくとも一部分がコイル状である、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記コイル状の回収用ストリングが水溶性粘着性コーティングを含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの回収用ストリングが絹または編みポリエステルで構成されている、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの回収用ストリングが浮揚性であり、強磁性材料を含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記泌尿器科デバイスが膀胱内薬物送達デバイスを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記泌尿器科デバイスが尿管ステントを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記泌尿器科デバイスが、(i)少なくとも1つの薬物収容ルーメンを有するデバイス本体と、(ii)前記少なくとも1つの薬物収容ルーメン内に配置された製剤とを含み、前記デバイスは、前記泌尿器科デバイスを膀胱内で保定する保持形状と、前記泌尿器科デバイスを患者の尿道を通して留置するための低プロファイル形状との間で弾性変形可能である、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記泌尿器科デバイスが、前記デバイスがその保持形状にあるとき、非閉込形状の前記回収用ストリングの前記遠位端が膀胱の尿道から延出するのを許容することで、前記患者または医師が前記回収用ストリングの前記遠位端を引いて前記デバイスにその低プロファイル形状をとらせることを可能にし、前記デバイスが前記患者の尿道を通って引き出されるのを許容するように構成されている、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
医療デバイスであって、
泌尿器科デバイスと、
前記泌尿器科デバイスに取り付けられる回収用ストリングであって、前記泌尿器科デバイスに接続される近位端と、反対側の遠位端とを有する回収用ストリングと、を含み、
前記回収用ストリングは強磁性材料を含む、医療デバイス。
【請求項16】
前記回収用ストリングが中空であり、前記強磁性材料が前記回収用ストリングのルーメンに含まれる、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項17】
前記回収用ストリングが中実であり、前記強磁性材料が前記回収用ストリングに埋め込まれている、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項18】
前記強磁性材料が前記回収用ストリングの外表面に配置されている、請求項15に記載の医療デバイス。
【請求項19】
前記回収用ストリングが尿中に浮揚する、請求項15~18のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項20】
前記泌尿器科デバイスが膀胱内薬物送達デバイスを含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項21】
前記回収用ストリングが尿中に浮揚する、請求項20に記載の医療デバイス。
【請求項22】
前記泌尿器科デバイスが尿管ステントを含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の医療デバイス。
【請求項23】
前記回収用ストリングが尿中に浮揚する、請求項22に記載の医療デバイス。
【請求項24】
前記泌尿器科デバイスが、(i)少なくとも1つの薬物収容ルーメンを有するデバイス本体と、(ii)前記少なくとも1つの薬物収容ルーメン内に配置された製剤とを含み、前記デバイスは、前記泌尿器科デバイスを膀胱内で保定する保持形状と、前記泌尿器科デバイスを患者の尿道を通して留置するための低プロファイル形状との間で弾性変形可能である、請求項15から18のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項25】
前記回収用ストリングが尿中に浮揚する、請求項24に記載の医療デバイス。
【請求項26】
患者から泌尿器科デバイスを回収する方法であって、
前記患者体内に留置された請求項1から14のいずれか一項に記載の医療デバイスの前
記少なくとも1つの回収用ストリングを把持することと、
前記少なくとも1つの回収用ストリングおよび取り付けられた前記泌尿器科デバイスを、前記患者の前記尿道を通って体外に引き出すことと、を含む、方法。
【請求項27】
前記把持するステップが、前記患者の尿道から体外に出ている前記回収用ストリングの前記遠位端部分を把持することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
患者から泌尿器科デバイスを回収する方法であって、
前記患者体内に留置された請求項15~25のいずれか1項に記載の医療デバイスの前記少なくとも1つの回収用ストリングを把持することと、
前記少なくとも1つの回収用ストリングおよび取り付けられた前記泌尿器科デバイスを、前記患者の前記尿道を通って体外に引き出すことと、を含む、方法。
【請求項29】
前記把持することが、尿道に挿入されたカテーテルの遠位端を前記少なくとも1つの回収用ストリングに磁力的に連結することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
医療デバイスであって、
泌尿器科デバイスと、
前記泌尿器科デバイスに取り付けられる回収用ストリングであって、前記泌尿器科デバイスに接続される近位端と、反対側の遠位端とを有する回収用ストリングと、を含み、
前記回収用ストリングは、前記遠位端に接続される流体力学的キャップを含む、医療デバイス。
【請求項31】
前記回収用ストリングと前記流体力学的キャップとが尿中に浮揚しない、請求項30に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2012年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/649,253号の利益を主張し、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
尿管ステントおよびCimaらの米国特許出願公報第2011/0152839号明細書に記載の膀胱内薬物送達デバイスなどの他の医療デバイスには、患者からデバイスを回収しやすくするため回収用ストリングが設けられ得る。回収用ストリングは、テザー、ダングラー、ダングラーストリング、回収用リガチャー、抜去用ストリング、プルストリング、プルストリング縫合糸またはプルアウト縫合糸と呼ばれ得る。理想的には、回収用ストリングは、患者や医師が、患者の尿管から膀胱と尿道とを通って膀胱鏡的手順の必要なしにデバイスを回収することを可能にする。
【0003】
回収用ストリングは、一般には、患者または医療専門家がストリングを把持することができるように、患者体内にデバイスが留置されている間中、患者の尿道を通り、体外に出ていなければならない。しかし、これにより他の問題が生じ得る。たとえば、患者がたとえば排尿中または排尿後に過ってストリングを引いてしまうことがあり、それにより尿管内でステントが偏移すると、痛みを感じることになる。また、デバイスが外れるかまたは早期に排出される原因にもなり得る。加えて、回収用ストリングは患者にとって不快であることがあり、排尿中に尿の流れの方向付けを邪魔しおよび/または細菌が入る経路を提供して感染の危険性を増加させ得る。
【0004】
Taylorらへの米国特許第6,258,098号明細書は、尿管ステントを盲目的に回収する磁気システムを開示している。強磁性ビーズは、弛緩性ストリングで尿管ステントの近位端に取り付けられている。ステントが導入されると、ビーズは膀胱内でステントからぶらさがる。回収は、非常に強力な磁界を有する希土類磁石を先端にとりつけたカテーテルを膀胱内に導入して行う。磁石はビーズを引き寄せ、カテーテルを抜去するときにビーズに十分な力を及ぼし、尿管および尿道からステントが引き出される。Kuntzへの米国特許第4,790,809号明細書も、強磁性要素が尿管ステントの先端に組み込まれたシステムを開示している。これらのシステムはすべて、留置箇所に閉じ込められたステントの回収を対象とする。一方、浮遊式の膀胱内デバイスは、そのような磁気システムとの使用には有用でないかまたは容易に適合しない。たとえば浮遊式デバイスは、膀胱内のどこにでも、そしておそらくどの方向にでも所在し得るので、一般には膀胱鏡で可視化せずとも所在と方向とがわかるステントなどと比べると、強磁性先端部での盲目的サーチがはるかに困難であり得る。さらに、上の特許に開示されるように大きい強磁性要素が加わると、固着されていないデバイスが膀胱頸部に沈む原因となり、早期に強磁性要素が尿道に移動し誤ってデバイスが膀胱から排出されるリスクを高め得る。
【0005】
したがって、従来の回収用ストリングおよび設計に関連する欠点を1つまたは複数回避しつつ、留置された泌尿器科デバイスを患者から選択的に回収することを容易にするデバイスおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
膀胱から医療デバイスを回収する改良されたシステムおよびデバイスが提供される。一態様では、システムは、泌尿器科デバイスに取り付けられた1つまたは複数の回収用ストリングが制御下で現出するように構成された泌尿器科デバイスを含む。一実施形態では、回収用ストリングは、泌尿器科デバイスに接続された近位端と反対側の遠位端とを有し、
初期の閉込形状に構成されるが、患者膀胱内での一定期間の医療デバイス留置後は、少なくとも1つの回収用ストリングを引くことで医療デバイスが膀胱から引き出されることを可能にするように少なくとも1つの回収用ストリングの遠位端が膀胱の尿道内に延出可能な非閉込形状に変わる。一つの特定の実施形態では、デバイスはさらに、(i)少なくとも1つの回収用ストリングを初期の閉込形状に維持し、(ii)少なくとも1つの回収用ストリングが生体内分解性コンポーネントのインビボの分解後に非閉込形状をとるのを許容するように機能する、生体内分解性コンポーネントを含む。特定の実施形態ではまた、システムは、回収用ストリングの遠位端に、尿道に容易に入って通過し回収用ストリングの遠位端が膀胱から現出しやすくする、流体力学的キャップを含む。
【0007】
別の態様では、システムは、患者の尿道を通して挿入される先端マグネットカテーテルとの磁力的連結など回収用ストリングの磁力的捕捉を容易にするのに有効な強磁性材料を含む回収用ストリングを有する泌尿器科デバイスを含む。特定の一実施形態では、強磁性回収用ストリングは、膀胱内で尿中に浮揚する。強磁性回収用ストリングは、患者の膀胱内で医療デバイスが一定期間留置された後上述した非閉込形状に変化する、初期の閉込形状を有するように構成されてもされなくてもよい。
【0008】
実施形態では、これらのシステムの1つまたは組合せを含む泌尿器科デバイスは、薬物送達デバイスである。特定の一実施形態では、泌尿器科デバイスは、(i)少なくとも1つの薬物収容ルーメンを有するデバイス本体と、(ii)少なくとも1つの薬物収容ルーメン内に配置された製剤とを含み、該デバイスは、泌尿器科デバイスを膀胱内で保定する保持形状と、該泌尿器科デバイスを患者の尿道を通して留置するための低プロファイル形状との間で弾性変形可能である。一実施形態では、泌尿器科デバイスは、該デバイスが保持形状にあるとき、非閉込形状の回収用ストリングの遠位端が膀胱の尿道から延出するのを許容することで患者または医師が回収用ストリングの遠位端を引いてデバイスに低プロファイル形状をとらせることを可能にし、デバイスが患者の尿道を通って引き出されるのを許容するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】変更されて本明細書に記載の回収システムの実施形態を含み得る従来技術の泌尿器科デバイスの平面図である。
図2】回収用ストリングが取り付けられた膀胱内薬物送達デバイスの一実施形態の平面図である。
図3図3Aから図3Dは、あるタイプの膀胱内薬物送達デバイスの端部片に回収用ストリングを取り付ける様々な実施形態を示す斜視図である。図3Eは、膀胱内薬物送達デバイスの一実施形態の筒状本体のルーメン内に取り付けられた、回収用ストリングを有する端部片の断面図を示す。
図4】保持形状と、患者の尿道を通ってデバイスを引くための低プロファイル形状の、短い回収用ストリングが端部に取り付けられている薬物送達デバイスの一実施形態を示す。
図5】回収用ストリング(と流体力学的キャップ)が周りに巻かれたロッド状の生体内分解性コンポーネントを有し、制御下での回収用ストリングの現出を提供する泌尿器科デバイスの一実施形態の平面図である。
図6図6Aは、生体内分解性キャップで覆われたコイル状回収用ストリング(と流体力学的キャップ)を有し、制御下での回収用ストリングの現出を提供する泌尿器科デバイスの一実施形態の平面図である。図6Bは、コイルに塗布された生体内分解性粘着性材料の複数の領域によりコイル構成に固着されたコイル状回収用ストリングの一実施形態の平面図である。
図7】埋め込まれた回収用ストリングと流体力学的キャップを有する生体内分解性コンポーネントを有し、制御下での回収用ストリングの現出を提供する泌尿器科デバイスの一実施形態の平面図である。
図8】回収用ストリングと流体力学的キャップを含む生体内分解性カプセルを有し、制御下での回収用ストリングの現出を提供する泌尿器科デバイスの一実施形態の平面図である。
図9】デバイス本体の外表面に沿って複数の環形状の生体内分解性コンポーネントにより折り畳み位置に閉じ込められた、流体力学的キャップを有する回収用ストリングを有し、制御下での回収用ストリングの現出を提供する泌尿器科デバイスの一実施形態の平面図である。
図10】強磁性回収用ストリングと先端マグネットカテーテルデバイスを含む回収システムの一実施形態を用いて膀胱から泌尿器科デバイスを回収する一連のステップを示す。
図11】本明細書に記載の回収用ストリングの2つの可能な構成を示す。
図12】本明細書に記載の回収システムとともに使用される強磁性材料を含む回収用ストリングのいくつかの可能な構成を示す。
図13図13Aおよび図13Bは、生体内分解性キャップにより固着されたコイル状回収用ストリングを有するプラセボ薬物送達を示す。デバイスが設計され簡易なインビトロ排出モデルで試験され、生体内分解性キャップの分解後、制御下での回収用ストリングの現出を示した。
図14】回収用ストリングがデバイスの中間部分かまたはデバイスの一端に取り付けられた細長いコイル状または曲線の膀胱内薬物送達デバイスの実施形態を示す。
図15】回収用ストリングがデバイスの中間部分かまたはデバイスの一端に取り付けられた細長いコイル状または曲線の膀胱内薬物送達デバイスの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
患者からデバイスを回収するための改良された泌尿器科デバイスおよび方法を提供する。デバイスおよび方法は、患者が強く避けたがる膀胱鏡の手順なしに、患者からデバイスを回収することを可能にする、1つまたは複数の回収特徴を有利にも含む。
【0011】
好ましい実施形態では、デバイスは、制御下での尿道からの回収用ストリングの現出を提供し、患者が自宅で、または医療専門家が簡易な外来患者用(オフィスの)手順で回収を行うことができる。別の実施形態では、デバイスは、回収用ストリングを尿道に入れ尿道を通して引く盲目的手順において尿道を通じて挿入されるカテーテルの端部に磁力的に連結可能な浮揚する磁性の回収用ストリングを含むので、該回収用ストリングを患者からデバイスを回収するのに使用でき、ここでも医療専門家は簡易な外来患者用(オフィスの)手順で膀胱鏡なしに回収を行うことができる。
【0012】
泌尿器科デバイスは、基本的には、患者の泌尿器系および泌尿生殖系において一時的な治療または診断に使用されるように設計されたどのデバイスでもよい。非限定例としては、尿管ステント、薬物送達デバイスまたはそれらの組合せが含まれる。好ましい実施形態では、泌尿器科デバイスは、参照により本明細書に組み込まれるCimaらの米国特許出願公報第2011/0152839号、Taris Biomedical, Inc.らのPCT出願公報国際公開第2012/019155号、Leeらの米国特許出願公報第2012/0089122号、Taris Biomedical, Inc.らのPCT出願公報国際公開第2012/018923号、Leeらの米国特許出願公報第2010/0331770号およびLeeらの米国特許出願公報第2011/0060309号に開示されるデバイスの1つである。
【0013】
回収用ストリングは、任意適切な材料で作製されてよく、天然または合成繊維を含み得る。回収用ストリングの構成は、モノフィラメントでもマルチフィラメント(たとえば編み、紡ぎ、捩じりなど)でもよい。滑面のため細菌増殖を低下させ得るのでモノフィラメ
ントストリングのほうが好ましい場合がある。ストリングは好ましくは弛緩性であり、患者の不快さを最小限にするため比較的細径であるが、取り付けられた医療デバイスを患者から抜去するのに引かれる際に破断しにくい十分な引っ張り強さを有する。実施形態では、回収用ストリングは、非吸収性縫合糸において/として当技術分野で知られるものから選択される材料を含む。そのような縫合糸のそのような構成材料の例としては、Nylon6、ポリプロピレン、絹、綿、ポリエステル、ポリエステル/Dacron、316ステンレス鋼および特にポリ(ビニリデンフルオライド-co-ヘキサフルオロプロピレン)とポリ(ビニリデンフルオライド)などの高分子ブレンドが挙げられる。回収用ストリングは、染色されても、透明でも、自然の色であってもよい。回収用ストリングは、当技術分野で既知の抗菌剤でコーティングされかつ/または抗菌剤を含み得る。回収用ストリングは、接着剤、デバイスの一部を通してまたは周りにストリングを結ぶなどの様々な手段により、泌尿器科デバイスに取り付けられ得る。
【0014】
回収用ストリングは、一本のストリングまたはループであり得る。本明細書では、回収用ストリングの部分に言及する「端部分」または「遠位端」という用語は、一本の糸とループのどちらでもあり得る。
【0015】
本明細書で開示されるデバイスおよび方法は、男女や成人小児の別なくヒトにおいて使用され得、または獣医学的または家畜用途など他の哺乳類で使用され得る。したがって、本明細書では「患者」という用語はヒトまたは他の哺乳類を指し得る。
【0016】
デバイスおよび方法は、例示的であって限定的ではない図1図15を参照して理解することができる。図面の縮尺比率は正確ではない。
【0017】
第1のタイプの実施形態(タイプ1)では、デバイスは、長い回収用ストリングを含み、泌尿器科デバイスが患者体内に導入されると、回収用ストリングの一方の端部分は、患者の尿道から体外に出た位置にある。回収用ストリングの他方の端部分は、デバイスのタイプと泌尿器科デバイスが患者体内で留置される位置により、泌尿器科デバイスの様々な場所に取り付けられ得る。ストリングは一本の糸またはループ様式であり得る。
【0018】
図1は、Leeらの米国特許出願公報第2012/0089122号明細書に開示の泌尿器科デバイスの一例、弾性変形可能な薬物送達デバイス10を示す。回収用ストリングの取付位置はデバイス10の本体14の中間部分(図1では「A」)またはいずれかの端部(図1では「B」と「C」)など様々であり得る。デバイス10に縫い付けてもよい。図2に示す一実施形態では、回収用ストリングは、当初薬物ペイロードを収容する(図示せず)薬物収容ルーメン22に隣接する保持フレームルーメン20の側壁の開口部18を通じてワイヤフォーム16(つまり保持フレーム)に取り付けられる。回収用ストリング12は、ワイヤフォーム16の周りにくくられ、結ばれ、または巻かれ得る。
【0019】
他の実施形態では、回収用ストリング12はデバイス10の端部分(図1では「B」と「C」)の一方に取り付けられる。実施形態では、薬物収容ルーメン22の端部の片方または両方が端部片で閉じられ、該端部片は、薬物収容ルーメンの開口端内に固着される栓であるか栓を含み得る。端部片は、基本的にはどの生体適合性材料で作製してもよい。構成材料の一例はシリコーンであるが、他の生体適合性高分子化合物および材料も使用され得る。
【0020】
回収用ストリングは、端部片の開口または泌尿器科デバイスの他の部分を通して結ばれループ化され得る。あるいは、回収用ストリングは、端部片または泌尿器科デバイス他の部分に詰められ得る。図3Aから図3Dは、回収用ストリング12が端部片30、31、32または33に取り付けられる可能な四種類の実施形態を示す。図3Aは、端部片の長
手方向軸を横断する1個の穴を有する端部片30を示し、回収用ストリング12がその穴に通されている。図3Bは、端部片の長手方向軸に平行な2つの穴を有する端部片31を示し、回収用ストリング12がその穴に通されている。図3Cは、回収用ストリング12の近位端部分がたとえば詰められて埋め込まれ、遠位端部分が端部片から外に出ている端部片32を示す。図3Dでは、ストリングの中間部分が端部片33に埋め込まれ、2本の回収用ストリング12が端部片33から延在している。図3Eは、薬物送達デバイス筐体の大ルーメンの端部に挿入された端部片コンポーネントを示す。
【0021】
上述のタイプ1の実施形態は好ましくない場合がある。すなわち、尿道から体外に出ている回収用ストリングを有することはデバイスの非膀胱鏡的な回収補助には便利であるが、不快感、感染の危険性、デバイスの不慮/早期の抜去および尿がまき散らされるかまたは尿が流れる方向に関する問題の可能性を伴う。これらの欠点を克服するため、以下詳述するような追加のタイプのデバイスの実施形態が提供される。
【0022】
第2のタイプの実施形態(タイプ2)では、(ループ形状であり得る)回収用ストリングの端部分は、自由であるが、尿道から体外に出ていない。したがって、医療専門家は、盲目的(デバイスまたは回収用ストリングの可視化なし)または膀胱鏡で可視化され得る低侵襲性手順により回収用ストリングの端部分を把持しなければならない。1つのサブタイプでは、回収用ストリングはタイプ1よりも短い。図4のデバイスは、ストリングが把持されると、たとえば膀胱鏡的回収の間、直線的に回収され得る。直線的に回収すると、デバイスが尿道を通過するとき患者に与え得る不快感を軽減することができる。2つめのサブタイプでは、回収用ストリングは磁性であり、好ましくは浮揚性であり、盲目的手順で容易に把持され抜去され得る。
【0023】
第3のタイプの実施形態(タイプ3)では、回収用ストリングの全部または一部分(たとえば端部分)は、デバイスの回収が必要なときまで、デバイス内またはデバイス上に巻かれ、コイル状にされ、包囲されかつ/またはそれ以外の方法で抑制される(つまり自由ではなく、尿道から体外に出ていない)。すなわち、デバイスは、回収用ストリングが尿道から制御下で現出するように設計される。
【0024】
タイプ3のデバイスの一実施形態を図5に示す。ここでは、泌尿器科デバイス本体54は端部片51を含み、回収用ストリング52は、ロッド状の生体内分解性コンポーネント58の周りに巻かれ、閉込形状にある。回収用ストリング52の近位端は端部片51に取り付けられ、回収用ストリングの遠位端は流体力学的キャップ56に取り付けられている。デバイスが患者体内に留置されると、生体内分解性コンポーネント58は分解する。所定期間後、生体内分解性コンポーネント58が流体力学的キャップ56および泌尿器科デバイス本体54を一体に接続できなくなると、図5の下図に示すように回収用ストリング52がたとえばほどけて閉込形状ではなくなる。次に流体力学的キャップ56が患者尿道内に移動し得る。流体力学的キャップ56が尿道内に入ると、排尿中にキャップ56にかかる流体力により流体力学的キャップ56と回収用ストリング52の遠位端部分が尿道から引き出され、そこでキャップは容易に把持され得、患者または患者の介護者は泌尿器科デバイスを引いて患者体内から抜去できる。
【0025】
本明細書では、「生体内分解性」または「生分解性」という用語は、デバイスまたはそのコンポーネント(たとえば回収用ストリングの解放に関連する生体内分解性コンポーネント)がインビボで溶解、酵素加水分解、浸食、再吸収またはそれらの組合せにより分解することを意味する。一実施形態では、この分解は、デバイスからの所期の薬物放出の動態に干渉しない時に生じる。たとえば生体内分解性部分の実質的な浸食は、製剤がほぼまたは完全に放出されるまで生じ得ない。
【0026】
好ましい実施形態では、流体力学的キャップ56は、(生体内分解性コンポーネントが無効になると)浮揚しないように作製され、膀胱内に沈んで尿と共に尿道に入り尿道から流出するのを容易にする。たとえば流体力学的キャップは、約1.0g/mLよりも大きい密度を有するように、生体適合性高分子化合物、金属またはそれらの組合せで作製され得る。
【0027】
流体力学的キャップ56は基本的には任意適切な形を有し得る。実施形態では、キャップの最長寸法は5mm未満である。形は筒形、弾丸形、球根形、楕円形、円形、弓形、球形、長円形、三日月形、半円、豆形、バナナ形、ドーナツ形または長方形であり得る。他の形も考えられる。流体力学的キャップは任意適切な生体適合性材料で作製され得る。
【0028】
流体力学的キャップは随意であり、流体力学的キャップなしで回収用ストリングの制御下の現出を提供する泌尿器科デバイスの変形が考えられる。たとえば、回収用ストリング自体は十分に浮揚せずかつ/または遠位端部分が尿に移動しやすい形状にされ得る。
【0029】
タイプ3のデバイスの別の実施形態では、閉込形状の回収用ストリングが生体内分解性コンポーネントに埋め込まれるかまたは収容されている。たとえば図7に示すように、デバイス本体74は流体力学的キャップ76を有する回収用ストリング72を含み、泌尿器科デバイス本体74に回収用ストリングを固着するのに使用される回収用ストリング72の近位端部分71以外は、生体内分解性コンポーネント78に埋め込まれている。選択された期間に及ぶデバイスの膀胱内留置後、生体内分解性コンポーネントは分解して回収用ストリング72と流体力学的キャップ76に自由な非閉込形状をとらせ、これらは次いで尿と共に尿道を通り、患者からのデバイス抜去を容易にし得る。
【0030】
タイプ3のデバイスの別の実施形態を図8に示す。ここではデバイス本体84は流体力学的キャップ86を有する回収用ストリング82を含み、泌尿器科デバイス本体84に回収用ストリングを固着するのに使用される回収用ストリング82の近位端部分81以外は、生体内分解性カプセル88に閉じ込められている。選択された期間に及ぶデバイスの膀胱内留置後、生体内分解性カプセルは分解して破裂し、回収用ストリング82と流体力学的キャップ86に自由な非閉込形状をとらせ、これらは次いで尿と共に尿道を通り、患者からのデバイス抜去を容易にし得る。一実施形態では、空気(または別の生体適合性ガス)が回収用ストリング82を有する生体内分解性カプセル88内に供給され、生体内分解性カプセル82が分解し破裂してストリング、流体力学的キャップおよび空気を解放するまで膀胱内でデバイス全体の浮揚性を促進するのに有効に使用され得る。
【0031】
上述の実施形態の回収用ストリングが閉込位置にあるとき(たとえば狭小空間で巻かれたり閉じ込められているとき)は相当な力がかかりがちなので、好ましい実施形態では、回収用ストリングは、モノフィラメントナイロンまたはモノフィラメントポリプロピレンの縫合糸材料ではなく細い絹または編みポリエステルの縫合糸材料からなる。
【0032】
タイプ3のデバイスのさらに別の実施形態を図9に示す。ここではデバイス本体94が流体力学的キャップ96を有する回収用ストリング92を含む。回収用ストリングの近位端91が薬物送達デバイスであり得るデバイス本体の一端に固着されている。回収用ストリング92の残部は折り畳まれて4個の生体内分解性コンポーネント98によりデバイスの長さ方向に閉じ込められている。使用される生体内分解性コンポーネントの数は、たとえばデバイス本体と生体内分解性コンポーネント(複数を含む)の具体的な形と寸法によってはより少なくても多くてもよい。選択された期間に及ぶデバイスの膀胱内留置後、生体内分解性コンポーネントは分解して回収用ストリング92と流体力学的キャップ96に自由な非閉込形状をとらせ、これらは次いで尿と共に尿道を通り、患者からのデバイス抜去を容易にし得る。この実施形態では、ストリング92は比較的弱い力を受け得るのでモ
ノフィラメントの縫合糸材料が好ましいかもしれない。生体内分解性コンポーネント98の数、形および配置は様々であり得る。流体力学的キャップは随意である。
【0033】
図9の平面図は、生体内分解性コンポーネント98が単ルーメンまたは多ルーメンタイプであり得ることも示す。単ルーメンタイプでは、デバイス本体と回収用ストリングの両方が1本のルーメン(C1)を通り得る。多ルーメンタイプでは、デバイス本体は大ルーメンを通り回収用ストリングは大ルーメンまたは小ルーメンのいずれかを通り得る。デバイス94は、上図に示す泌尿器科デバイスを膀胱内に保定する保持形状と、泌尿器科デバイスを患者の尿道を通して留置するための低プロファイル形状との間で弾性変形し得る。この留置カテーテル内または膀胱鏡内の低プロファイル形状を図9の下図に示す。
【0034】
回収用ストリングが閉じ込められる構成は、回収用ストリングが生体内分解性キャップコンポーネントの分解後に展開される信頼性、タイミングおよび容易さに影響を与え得る。たとえば、ストリングは、ストリング自体または泌尿器科デバイスに絡まることなく容易にほどけなくてはならない。図6Aは、タイプ3デバイスのさらに別の実施形態を示す。ここでは回収用ストリング62はらせん状に巻かれて生体内分解性キャップ68内に閉じ込められている。回収用ストリングの端部Aは泌尿器科デバイス64に取り付けられ、回収用ストリングの端部Bは自由である。生体内分解性キャップが尿中で溶解または分解すると、回収用ストリング62はほどける。
【0035】
別の実施形態では、生体内分解性コンポーネントは生分解性で一時的に粘着性の材料の形をとり得、回収用ストリングを閉込構造にする過程で使用され得る。たとえば粘着性のポリサッカライド水溶液を用いて図6Bに示すようなストリングのコイル化過程を容易にしてもよい。ここでは粘着性材料69が図6Bに示すように回収用ストリング62のコイルの限定された部分のみに塗布される。あるいは、材料は、ストリングを折り畳むかコイル化して閉込形状にする前または後に、ストリング全体またはほぼ全体に沿って塗布され得る。ストリングは、その材料と太さにより、部分的または全体的に真っ直ぐになる傾向がある。粘着性材料はストリングのコイル化過程の間粘着性を維持し、コイル化過程の後で乾燥または固形化し得る。
【0036】
タイプ2のデバイスの別の実施形態では、回収用ストリングは磁性または強磁性浮揚性ストリングであるかまたはそれを含む。ストリングを尿中に浮揚させることで、ストリングが膀胱底部に沈み、場合によっては排尿中に流体力により引き出され患者の不快感、感染、膀胱壁と常に接触して炎症の原因となり得るありがちな膀胱頸部でのデバイスの引っ掛かりを引き起こすことが減少または防止され得る。一実施形態では、回収用ストリング(好都合には回収用ストリングのみ)が先端マグネットカテーテルに磁力的に連結される。ストリングが体外に出ると、患者または介護者により把持され、デバイスは完全に患者体外へと引き出され得る。
【0037】
なお、尿道を通ってストリングを引き出すのに必要な磁力は、デバイスを直接引き出すのに必要な磁力よりも一般にははるかに低い。したがって、回収に要する磁力を得るのに必要な強磁性要素のサイズも小さい。このことは、強磁性要素のコンパクト化を可能にするが、ただしストリングを回収するための磁石の十分な磁気引力は維持されている。
【0038】
さらに、好ましい実施形態では、回収用ストリングに取り付けられる磁性コンポーネントは回収用ストリングの端部だけでなく大部分に渡り、このことは、回収用ストリングまたは泌尿器科デバイスの先端のみが磁性である盲目的手順と比べて、盲目的手順でストリングが先端マグネットカテーテルに磁力的に連結する確率と容易さを高めるのに有効である(強磁性要素/ストリングが膀胱全体でより多くの場所に散在することになるので)。
【0039】
図10は、一実施形態で回収過程がいかに働くかを表す一連の図を示す。1番目(一番上)の図では、薬物送達デバイスなどの泌尿器科デバイスは膀胱底部にあり、浮揚性回収用ストリングは膀胱上部に向けて浮かび、尿道を通って引き出される可能性のある膀胱頸部付近にはない。2番目の図では、先端マグネットカテーテルが尿道から膀胱に挿入され、強磁性材料を含んだ回収用ストリングに磁石が磁力的に連結する。次いで、先端マグネットカテーテルと回収用ストリングの連結された部分が膀胱から抜去される。最後に、ストリングが尿道を通って体外に出され、尿道を通って膀胱からデバイスを回収するために引かれる。
【0040】
図11は、2種類の回収用ストリング構成を示す。図の上部ではストリングは中空である。すなわち、ルーメンを有する環形状であり、ルーメンは、ルーメンに適合する寸法の1つまたは好ましくは複数の強磁性要素(図示せず)を充填することができる。図の下部ではストリングは中実である。ルーメンはない。そのような実施形態では、強磁性要素はストリングを形成する材料中に分散され得る。たとえばストリングは合成ポリマーで形成され得るが、該ポリマーは融解されてから1つまたは複数のフィラメントに押出し成形される。強磁性材料は、押出し成形前に融解物中に混合/分散され得る。
【0041】
図12は、強磁性要素を有するストリングのいくつかの可能な構成を示す。実装用に選択される構成は、尿道からストリングを引き出すのに実際どのくらいの大きさの力が必要か、および、その要件にどの構成が合うかということに左右され得る。強磁性要素は、必ずしもストリングの全長にわたり配置する必要はない。たとえば、ストリングの特定部分を確実に磁石に付けたい場合はストリングの一部に沿ってのみ配置され得る。
【0042】
本明細書に記載される回収用ストリングまたは磁性浮揚性回収用ストリングシステムの制御下での現出は、基本的には、患者の膀胱内または膀胱を通じて留置される固定式または浮遊式医療デバイスのどのタイプとでも使用され得る。具体的には、非限定例としては、尿管ステントおよび膀胱内薬物送達デバイスたとえば非係留式または浮遊式の薬物送達デバイスが挙げられる。別の実施形態では、泌尿器科デバイスは、Neemanらの米国特許出願第2010/0076261号に開示されるような診断または画像診断デバイスであり得る。一実施形態では、磁性浮揚性回収用ストリングは、制御下での現出用に構成されている。
【0043】
回収用ストリングを泌尿器科デバイスに取り付ける箇所は、回収力に影響を及ぼし得る。たとえば、膀胱内薬物送達デバイスの実施形態では、ストリングを(図14のように)中間部分に、または少なくともデバイスが内尿道口の両端に架かることが可能な箇所に取り付けると、ストリングがデバイスの一端に、またはデバイスが尿道口の両端に架からないところに取り付けられている(図15のような)場合と比較して、デバイスを尿道内に導入するのに(座屈させる)力がより必要となる。図14の実施形態は、デバイスが過って引き出されるのを防止するために治療の期間中ストリングを尿道から体外に出しておく場合に好ましい。
【0044】
上記回収ストリングシステムは、種々の埋込式泌尿器科デバイスとともに使用されることとしてもよい。このようなデバイスの実施形態の追加の記載は、以下に提供される。
【0045】
一実施形態では、泌尿器科デバイスは、尿道を通る挿入および膀胱での浮動的保持のために設計された薬物送達デバイスである。一実施形態では、デバイスは、薬剤貯蔵部、保持フレーム部、および回収ストリング部を含む。デバイスは、膀胱における保持に適する、比較的膨張した形状を有するが、膀胱鏡またはカテーテルのような、展開器具のチャネルを通して展開するための比較的低いプロファイル形状を取るために弾性圧縮され得る。それの展開(つまり、膀胱内への放出)の後に、デバイスは、薬物送達デバイスを保持す
るための比較的膨張した形状を呈することとしてもよい。
【0046】
別の実施形態では、泌尿器科デバイスは、ステントの膀胱がある側の端部にまたはその近くに回収ストリング部を含む、尿管のステントデバイスである。また、一実施形態では、尿管のステントデバイスは、ステント端部の1つを有するような、尿管のステント部に関連する少なくとも1つの薬物送達部を含む。特定の実施形態では、ステントの端部がまっすぐであるかまたはピッグテイル状であるかに関わらず、腎臓がある側の端部もまた薬物送達部と関連し得、または両方の端部が別個の薬物送達コンポーネントと関連し得るが、薬物送達部は、膀胱へ局所的に薬剤を送達するために、膀胱がある側の端部上に配置される。また、薬物送達部は、いくつかの実施形態において、尿管のステント部の中心体の全てまたはいくつかに沿って伸びることとしてもよい。
【0047】
本開示の目的のために、「比較的膨張した形状」、「比較的高いプロファイル形状」、「保持形状」のような用語は、一般的に、膀胱にデバイスを保持するのに適しているコイルまたはプレッツェル形状を含むがこれらに限定されないデバイスを、意図される埋め込み位置に保持するのに適するあらゆる形状を指す。同様に、「比較的低いプロファイル形状」、「低プロファイル形状」、または「展開形状」のような用語は、一般的に、尿道のような身体の内腔に配置されるカテーテル、膀胱鏡、または他の展開器具の作業チャネルを通してデバイスを展開するのに適している、直線のまたは細長い形状を含む、体内に薬物送達デバイスを展開するのに適するあらゆる形状を指す。実施形態では、薬物送達デバイスは、比較的膨張した形状を自然に呈し得、体内への挿入のために、手動または外部装置のいずれかにより、比較的低いプロファイル形状へと変形されることとしてもよい。いったん展開されると、デバイスは、体内での保持のために、最初の、比較的膨張した形状へと自発的にまたは自然に戻ることとしてもよい。
【0048】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、薬剤貯蔵内腔を定義する管または壁および保持フレーム内腔を定義する管または壁を含む。1つまたはそれ以上の薬剤を含む1つまたはそれ以上の固形の薬剤単位(例えば、タブレットまたはカプセル)を含むこととしてもよい製剤は、薬剤貯蔵内腔に含まれることとしてもよい。エンドプラグは、薬剤貯蔵内腔および/または保持フレーム内腔の端部を閉じることとしてもよい。一実施形態では、回収ストリングは、デバイスの一端または両端と関連して操作可能であることとしてもよい。別の実施形態では、回収ストリングは、保持フレームそれ自体とまたは薬剤貯蔵内腔および/もしくは保持フレーム内腔を定義する管(複数を含む)と関連して操作可能であることとしてもよい。
【0049】
保持フレーム内腔は、伸縮性ワイヤであることとしてもよい、保持フレーム(「ワイヤフォーム」と呼ばれる場合もある)を入れることとしてもよい。ある場合には、保持フレームは、ニチノールワイヤを含む。保持フレームは、図示される「プレッツェル」形状または他のコイル形状のように、自発的に保持形状に戻るように構成されることとしてもよい。例えば、保持フレームは、デバイスを比較的低いプロファイル形状で体内に導入することを可能にし、いったん体内に入るとデバイスが比較的膨張した形状に戻ることを許容し、並びに、排尿筋の収縮および排尿に関連する流体力のような、予想される力に反応して、体内でデバイスが比較的低いプロファイル形状を呈することを妨げる、弾性限界および係数を有することとしてもよい。よって、デバイスは、いったん埋め込まれたら、体内で保持されることとしてもよく、不慮の排出を制限又は防止する。
【0050】
薬物送達デバイス本体を形成するために使用される材料は、展開および保持形状間でデバイスを動かすことを許容するために、弾性または可撓性があることとしてもよい。また、デバイス本体を形成するのに使用される材料は、デバイスがいったん埋め込まれたら、薬剤ユニットを可溶化するための薬剤貯蔵部に可溶化液が入り得るように、透水性または
多孔性であることとしてもよい。例えば、シリコーンまたは別の生体適合性のエラストマー材料が使用されることとしてもよい。
【0051】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、膀胱に埋め込まれるように設計され、薬物送達デバイスは、膀胱鏡検査的に、尿道を通って膀胱内に挿入されるように設計される。よって、デバイスは、カテーテルまたは膀胱鏡のような展開器具の狭い管状の小道を通って適合するようなサイズおよび形状とすることとしてもよい。典型的には、ヒト成人の膀胱鏡は、約5~7mmの外径および約2.4mmから約2.6mmの内径を有する作業チャネルを有する。他の実施形態では、膀胱鏡は、4mmまたはそれ以上の内径のような、より大きな内径を有する作業チャネルを有する。よって、デバイスは、比較的小さいサイズであることとしてもよい。例えば、デバイスが比較的低いプロファイル形状に弾性変形される場合、成人患者用のデバイスは、約2.6mmまたはそれ未満のような、約3.75mmまたはそれ未満である総外径を有することとしてもよい。小児患者については、デバイスの寸法は、より小さくなることが予測される。
【0052】
膀胱内デバイスの全体的な形状は、膀胱壁との係合または接触を低減させるために、デバイスをそれ自体で膀胱内にて再配向させることを可能とすることとしてもよい。また、デバイスは、膀胱内での可動性を許容する保持形状において十分小さいこととしてもよい。特に、展開したときのデバイスは、膀胱がほとんど満ちていることが多い状態下で、膀胱全体を通して自由にまたは妨げられずに移動するためのような、膀胱内を移動するのに十分小さいこととしてもよく、デバイスの患者の寛容性を促進させる。また、デバイスの自由な移動は、放出開口部の近くに位置する特定の膀胱位置とは対照的に、膀胱全体を通して均一な薬物送達を促進させる。しかしながら、それ以外で膀胱内を自由に移動するデバイスは、膀胱が空である場合には自由に移動することを妨げられるかもしれず、まだ十分に圧縮できる場合には、デバイスはまだ許容されるかもしれない。
【0053】
いくつかの実施形態では、デバイスは少なくとも部分的に非生体分解可能である。好ましい材料の構造は、医療グレードのシリコーン、天然ラテックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE、ポリ(乳酸‐共‐グリコール酸)(PLGA)、ポリ(グリセロールセバシン酸)(PGS)、ステンレススチール、ニチノール、エルジロイ(elgiloy)(非強磁性の合金)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン、またはこれらの組み合わせを含むこととしてもよい。製剤の放出の後に、デバイスおよび/または保持フレームは、実質的に完全なまままたは複数の部分に分けて取り除かれることとしてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、部分的な侵食時に、デバイスが膀胱から排出されるのに十分小さな非受食性部分に分解されるように、部分的に生体分解可能である。有用な生体適合性の受食性および非受食性の構造の材料は当該技術分野で知られている。
【0054】
一般的に、薬物送達デバイスは、少なくとも1つの薬剤貯蔵部を含む。実施形態では、薬剤貯蔵部は、少なくとも1つの薬剤の製剤を収容する、少なくとも1つの薬剤貯蔵内腔を形成するデバイス本体の一部を含む。薬剤貯蔵部は、側壁を境とすることとしてもよい。薬剤貯蔵内腔は、ポリマーチューブのような弾性チューブを備えることとしてもよい。一実施形態では、デバイスの薬剤貯蔵内腔は、細長いチューブを含む。チューブの内部は、1つまたはそれ以上の薬剤貯蔵部が定義され、製剤は薬剤貯蔵部(複数を含む)に収容されることとしてもよい。他の実施形態では、薬剤貯蔵内腔は、チューブ以外の形態である。
【0055】
薬剤貯蔵部は、浸透圧ポンプとして操作することとしてもよい。このような実施形態では、チューブは、シリコーンのような透水性の材料から形成されていることとしてもよく、またはチューブは、多孔性構造もしくは両方を有していることとしてもよい。埋め込み
の後に、水または尿が、チューブの壁、チューブを通って形成された1つまたはそれ以上の開口、または多孔性チューブを通って形成された1つまたはそれ以上の通過孔を通って透過する。水は貯蔵部に入り、製剤により吸収される。可溶化した薬剤は、貯蔵部において浸透圧により動かされて、1つまたはそれ以上の開口を通って貯蔵部の外にコントロールされた割合で分配される。浸透圧ポンプの送達速度および全体の性能は、他の因子との間ではとりわけ、チューブの表面積;チューブを形成するために使用される材料の液体に対する透過性;開口の形状、サイズ、数および配置;並びに製剤の溶解プロファイルのようなデバイスパラメータにより影響される。送達速度は、よく知られた原理に従って、特定の薬物送達システムを定義する物理化学的パラメータから予測され得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、最初にゼロオーダーの放出速度を示すかもしれず、その後、低減された、非ゼロオーダーの放出速度を示すかもしれず、その場合に全体の薬物放出プロファイルは、最初のゼロオーダーの放出速度および総ペイロードによって、測定され得る。
【0056】
代替的な実施形態では、デバイスは、(i)1つもしくはそれ以上の、チューブの壁に形成された別個の開口または多孔性のチューブの壁に形成された通過孔、または(ii)薬剤に対して透過性のあり得るチューブそれ自体の壁を通る、または、(iii)もしくはチューブの一端または両端に配置された末端部もしくは壁を通る、または(iv)これらの組み合わせ、を通るチューブからの薬剤の拡散により基本的に操作されることとしてもよい。拡散が壁を通って生じる実施形態においては、開口または通過孔は含まれないこととしてもよい。さらに他の実施形態では、デバイスは、浸透と拡散の組み合わせにより操作することとしてもよい。
【0057】
薬剤貯蔵部は、例えば、膀胱鏡またはカテーテルのような展開器具によるその展開の間に、患者内へのその挿入のためのデバイスを弾性変形することを許容し得る、エラストマー材料から形成されることとしてもよい。例えば、チューブは、膀胱内埋め込みのための保持フレームに沿って伸縮自在変形されることとしてもよい。一実施形態では、薬剤貯蔵部は、弾性と透水性の両方である材料から形成される。他の生体適合性材料が使用されることとしてもよいが、弾性と透水性の両方である一材料はシリコーンである。
【0058】
デバイス本体またはそのコンポーネントは、非吸収性材料からなることとしてもよい。例えば、それは医療グレードのシリコーンチューブからなることとしてもよい。適切な非吸収性材料の他の例は、ポリ(エーテル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ウレタン)、セルロース、アセチルセルロース、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、PTFEおよび他のフッ素化ポリマー、ポリ(シロキサン)、そのコポリマー、並びにこれらの組み合わせから選択される合成ポリマーを含む。
【0059】
デバイス本体またはそのコンポーネントは、生体分解可能であることとしてもよい。例えば、もし患者が、デバイスまたは薬剤から、予期しない副作用に見舞われた場合に、そのとき治療期間の終了よりも早くデバイスを取り除くことが望ましいかもしれず、完全な生体分解可能デバイスであっても回収ストリングを含むことが望ましいかもしれない。実施形態では、デバイス本体、回収ストリングを抑制するために使用される生体内分解性コンポーネント、または両方が、生体分解性または生体吸収性のポリマーからなることとしてもよい。このような材料の適切な例は、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルソエステル)、ポリホスファゼン、疑似ポリ(アミノ酸)、PGS、そのコポリマー、およびこれらの混合物から選択される合成ポリマーを含む。好ましい実施形態では、吸収性の合成ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、PLGA、ポリ(カプロラクトン)、およびこれらの混合物から選択される。他の硬化性の生体吸収性のエラストマーは、ポリ(カプロラクトン)(PC)誘導
体、アミノアルコール系ポリ(エステルアミド)(PEA)およびポリ(オクタン‐ジオールクエン酸塩)(POC)を含む。
【0060】
また、デバイス本体は、保持フレームなく、または少なくとも保持フレームを必要とすることなく、保持形状を維持するように構成されることとしてもよい。例えば、デバイス本体は、その保持形状においてデバイスを保持する「バックボーン」を含むこととしてもよい。「バックボーン」は、薬剤貯蔵部が形成される材料のより厚いおよび/またはより強い部分であることとしてもよい。「バックボーン」は、薬剤貯蔵部の長さを直線状に、らせん状に、または曲がりくねって、のいずれかで横切ることとしてもよい。具体的な実施形態では、デバイス本体は、デバイスが保持形状と展開形状との間で変形可能なように処理されまたは変更された材料で形成される。例えば、薬剤貯蔵部を形成するために使用される材料は、膀胱に入ったときの体温にさらされるときのように、デバイスに対する熱の適用で比較的膨張した形状を「記憶」し、自発的に呈することとしてもよい。いくつかの例では、熱は、デバイスが膀胱で展開したときに保持形状を保持することが可能であるようにポリマー材料の少なくとも一部を架橋させることとしてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、とりわけ浸透、拡散、またはこれらの組み合わせを介するような、薬剤を分注するための1つまたはそれ以上の開口または開口部を含む。開口は、製剤の放出用の通路を提供するためのチューブに沿って配置されることとしてもよい。開口または開口部は、チューブの側壁または端を通って配置されることとしてもよい。
【0062】
製剤は、基本的に、局所的または局部的治療のために膀胱または尿管に/へと局所的に放出するために有用であるような、あらゆる治療、予防薬、または診断薬を含み得る。製剤は、1つの薬剤のみからなることとしてもよく、または1つもしくはそれ以上の薬学的に許容された賦形剤が含まれることとしてもよい。薬剤は、生物学的であることとしてもよい。薬剤は、代謝産物であることとしてもよい。本明細書で使用されるように、本明細書に記載されるあらゆる特定の薬剤に関する用語「薬剤」は、塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、溶媒和化合物、および水和物のような、その代替の形状を含む。薬学的に許容された賦形剤は当該技術分野で知られており、薬剤の取り扱い、安定性、分散性、湿潤性および/または放出動態の促進が意図される、製剤の潤滑剤、粘度調整剤、界面活性剤、浸透圧剤、希釈剤、および他の非活性成分を含むこととしてもよい。
【0063】
薬物送達デバイスは、痛みを治療するために使用されることとしてもよい。種々の麻酔薬、鎮痛薬、およびこれらの組み合わせが使用されることとしてもよい。麻酔薬は、コカイン類似物であることとしてもよい。特定の実施形態では、麻酔薬は、アミノアミド、アミノエステル、またはこれらの組み合わせである。アミノアミドまたはアミドクラス麻酔薬の代表例は、アルチカイン、ブピバカイン、カルチカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、およびトリメカインを含む。アミノエステルまたはエステルクラスの麻酔剤の代表例は、アミロカイン(amylocaine)、ベンゾカイン、ブタカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン(dimethocaine)、ヘキシルカイン、ラロカイン(larocaine)、メプリルカイン、メタブトキシカイン、オルトカイン、ピペロカイン、プロカイン、プロパラカイン、プロポキシカイン、プロキシメタカイン、リソカイン(risocaine)、およびテトラカインを含む。また、麻酔剤は遊離塩基または水和物形態で使用され得るが、これらの麻酔剤は、典型的には、弱塩基であり、それらに水溶性を付与するような、塩酸塩のような塩として処方されることとしてもよい。また、ロントカイン(lontocaine)のような他の麻酔剤が使用されることとしてもよい。また、薬剤は、オキシブチニンまたはプロピベリンのような麻酔効果を示す抗ムスカリン化合物であり得る。また、薬剤は、単体でまたは麻酔薬と組み合わ
せて、本明細書に記載される他の薬剤を含むこととしてもよい。
【0064】
鎮痛薬は、オピオイドであることとしてもよい。オピオイドアゴニストの代表的な例は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン(benzylmorphine)、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼンフェンタニル(etonitazene fentanyl)、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、その薬学的に許容された塩、およびこれらの混合物を含む。ミュー、カッパ、デルタ、および侵害受容オピオイド受容体アゴニストのような、他のオピオイド薬剤が考えられる。
【0065】
鎮痛薬は、麻酔性または非麻酔性薬剤であることとしてもよい。鎮痛剤の代表的な例は、アセトアミノフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジヒドロコデイン、フェンタニール、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、メタドン、モルヒネ、ニコモルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン、ピリジウム(フェナゾピリジン)、テバイン、トラマドール、アリシルアルコール(alicyl alcohol)、フェナゾピリジン塩酸塩、アセチルサリチル酸、フルフェニサール(flufenisal)、イブプロフェン、インドプロフェン、インドメタシン、およびナプロキセンを含む。鎮痛薬は、例えば、他のタイプとの間ではとりわけ、非オピオイド、非ステロイド性鎮痛剤、オピオイド鎮痛剤、およびサリチル酸塩から選択されることとしてもよい。
【0066】
薬物送達デバイスは、IC/BPS(間質性膀胱炎/膀胱の疼痛症候群)のような炎症状態、並びに放射線性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、外科手術後の痛み、および腎臓結石を治療するために使用されることとしてもよい。これらの状態に関する特定の薬剤の非限定的な例は、リドカイン、グリコサミノグリカン(例えば、コンドロイチン硫酸、スロデキシド)、ペントサンポリ硫酸ナトリウム(PPS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、オキシブチニン、マイトマイシンC、ヘパリン、フラボキセート、ケトロラック、またはこれらの組み合わせを含む。腎臓結石について、薬剤(複数を含む)は、痛みを治療するためおよび/または腎結石の溶解を促進するために選択されることとしてもよい。IC/BPSの治療で使用されることとしてもよい薬剤の他の例は、タネズマブのような神経成長因子モノクローナル抗体(MAB)アンタゴニスト、およびPD‐299685またはガバペンチン(gabepentin)のような、カルシウムチャネルアルファ‐2‐デルタモジュレーターを含む。
【0067】
薬物送達デバイスは、尿管のステント配置から得られる、痛み、尿意切迫または頻尿を治療するためのような、尿管のステントの配置に関連して使用されることとしてもよい。このような治療についての特定の薬剤の非限定的な例は、とりわけ、抗ムスカリン剤、α
ブロッカー、麻酔剤、およびフェナゾピリジンを含む。
【0068】
薬物送達デバイスは、尿失禁、頻尿、または切迫尿失禁および神経性尿失禁を含む尿意切迫、並びに膀胱三角部炎を治療するために使用されることとしてもよい。使用されることとしてもよい薬剤は、抗コリン剤、鎮けい剤、抗ムスカリン剤、β‐2アゴニスト、アルファアドレナリン作用薬、抗けいれん薬、ノルエピネフリン吸収阻害剤、セロトニン吸収阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、カリウムチャネル開口薬、および筋弛緩剤を含む。尿失禁の治療に関する適切な薬剤の代表的な例は、オキシブチニン、S‐オキシブチニン(S‐oxybutytin)、エメプロニウム、ベラパミル、イミプラミン、フラボキセート、アトロピン、プロパンテリン、トルテロジン、ロシベリン、クレンブテロール、ダリフェナシン、テロジリン、トロスピウム、ヒヨスチアミン(hyoscyamin)、プロピベリン、デスモプレシン、バミカミド、臭化クリジニウム、ジサイクロミンHCl、グリコピロレートアミノアルコールエステル、イプラトロピウムブロミド、臭化メペンゾレート、臭化メトスコポラミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化イオトロピウム、フェソテロジンフマル酸塩、YM‐46303(Yamanouchi Co.,Japan)、ランペリゾン(Nippon Kayaku Co.,Japan)、イナペリソン、NS‐21(Nippon Shinyaku Orion,Formenti,Japan/Italy)、NC‐1800(Nippon Chemiphar Co.,Japan)、ZD‐6169(Zeneca Co.,United Kingdom)、およびヨウ化スチロニウムを含む。
【0069】
薬物送達デバイスは、膀胱癌および前立腺癌のような尿路癌を治療するために使用されることとしてもよい。使用されることとしてもよい薬剤は、抗増殖剤、細胞傷害性薬物、化学療法薬、またはこれらの組み合わせを含む。尿路癌の治療のために適していることとしてもよい薬物の代表例は、カルメット‐ゲラン桿菌(BCG)ワクチン、シスプラチン、ドキソルビシン、バルルビシン、ゲムシタビン、マイコバクテリア細胞壁‐DNA複合体(MCC)、メトトレキサート、ビンブラスチン、チオテパ、マイトマイシン、フルオロウラシル、リュープロリド、ジエチルスチルベストロール、エストラムスチン、メゲストロールアセテート、シプロテロン、フルタミド、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(つまり、タモキシフェンのようなSERM)、ボツリヌス毒素、およびシクロホスファミドを含む。薬剤は生物学的であってもよく、モノクローナル抗体、TNFインヒビター、抗ロイキン等を含むこととしてもよい。また、薬剤は、イミキモドを含むTLRアゴニストまたは別のTLR7アゴニストのような免疫調節物質であることとしてもよい。また、薬剤は、とりわけ、キナーゼインヒビター、例えば、線維芽細胞増殖因子受容体‐3(FGFR3)選択的チロシンキナーゼインヒビター、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)インヒビター、もしくはマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)インヒビター、またはこれらの組み合わせであることとしてもよい。他の例は、セレコキシブ、エロロチニブ(erolotinib)、ゲフィチニブ、パクリタキセル、ポリフェノンE、バルルビシン、ネオカルチノスタチン、アパジコン、ベリノスタット、インゲノールメブテート、ウロシジン(Urocidin)(MCC)、プロキシニウム(Proxinium)(VB4845)、BC819(BioCancell Therapeutics)、キーホールリンペットヘモシアニン、LOR2040(Lorus Therapeutics)、ウロカニン酸、OGX427(OncoGenex)、およびSCH721015(Schering‐Plough)を含む。他の膀胱内の癌の治療は、アパジコン、アドリアマイシン、AD‐32、ドキソルビシン、ドキセタキセル(doxetaxel)、エピルビシン、ゲムシタビン、HTI‐286(ヘミアステリン類似体)、イダルビシン、γ‐リノレン酸、ミトザントロン(mitozantrone)、メグルミン、およびチオテパのような小分子;活性化マクロファージ、活性化T細胞、EGF‐デキストラン、HPC‐ドキソルビシン、IL‐12、IFN‐a2b、IFN‐γ、α‐ラクトアルブミン、p53アデノベクター(adenovect
or)、TNFαのような大分子;エピルビシン+BCG、IFN+ファルマルビシン(farmarubicin)、ドキソルビシン+5‐FU(経口)、BCG+IFN、および百日咳毒素+膀胱切除のような組み合わせ;マクロファージおよびT細胞のような活性化細胞;IL‐2およびドキソルビシンのような膀胱内注入;BCG+抗線維素溶解薬(antifirinolytic)(パラメチル安息香酸(paramethyl benzoic acid)またはアミノカプロン酸)およびドキソルビシン+ベラピミルのような化学療法増感剤;ヘキシルアミノレブリン酸(Hexylaminolevulinate)、5‐アミノレブリン酸、ヨードデキシウリジン、HMFG1 Mab+Tc99mのような診断/造影剤;およびホルマリン(Formaline)(出血性膀胱炎)のような局所毒性のマネージメントについての薬剤を含む。
【0070】
薬物送達デバイスは、膀胱、前立腺、および尿道を含む感染を治療するために使用されることとしてもよい。抗生物質、抗菌薬、抗真菌薬、抗原虫薬、防腐剤、抗ウイルス薬、および他の抗感染症薬が、このような感染の治療のために投与され得る。感染の治療のための薬剤の代表的な例は、マイトマイシン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、メタンアミン、ニトロフラントイン、アンピシリン、アモキシシリン、ナフシリン、トリメトプリム、スルホンアミドトリメトプリムスルファメトキサゾール、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、テトラサイクリン、カナマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、およびアミノグリコシドを含む。
【0071】
薬物送達デバイスは、膀胱または子宮のような泌尿生殖器部位の線維症を治療するために使用されることとしてもよい。子宮筋腫の治療のための薬剤の代表的な例は、ペントクスフィリン(pentoxphylline)(キサンチン類似体)、抗TNF、抗TGF剤、GnRH類似体、外因性プロゲスチン、抗プロゲスチン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、ダナゾールおよびNSAIDを含む。
【0072】
薬物送達デバイスは、神経因性膀胱を治療するために使用されることとしてもよい。神経因性膀胱を治療するための薬剤の代表的な例は、リドカイン、ブピバカイン、メピバカイン、プリロカイン、アルチカイン、およびロピバカインのような鎮痛剤または麻酔薬;抗コリン薬;オキシブチニンまたはプロピベリンのような抗ムスカリン;カプサイシンまたはレシニフェラトキシンのようなバニロイド;M3ムスカリンアセチルコリン受容体(mAChR)に作用するもののような抗ムスカリン;バクロフェンのようなGABAアゴニストを含む鎮痙剤;ボツリヌス毒素;カプサイシン;アルファ‐アドレナリンアンタゴニスト;抗けいれん薬;アミトリプチリンのようなセロトニン再吸収阻害剤;並びに神経成長因子アンタゴニストを含む。種々の実施形態では、薬剤は、Reitz et al., Spinal Cord 42:267-72 (2004)に記載されるように、膀胱求心(afferent)に作用するものまたは遠心性のコリン作用性伝達に作用するものであることとしてもよい。
【0073】
薬剤は、神経性排尿筋過活動および/または低い柔順性の排尿筋に起因する尿失禁の治療について知られるものから選択されることとしてもよい。これらのタイプの薬剤の例は、膀胱弛緩剤(例えば、オキシブチニン(明らかな筋弛緩活性および局所麻酔活性を有する抗ムスカリン剤)、プロピベリン、インプラトロプリウム、チオトロピウム、トロスピウム、テロジリン、トルテロジン、プロパンテリン、オキシフェンサイクリミン、フラボキセート、および三環系抗うつ剤;膀胱および尿道を神経支配する神経をブロックするための薬剤(例えば、バニロイド(カプサイシン、レシニフェラトキシン)、ボツリヌス‐A毒素);または排尿筋収縮強さ、排尿反射、排尿筋括約筋協調不全(detrusor
sphincter dyssynergia)を調節する薬剤(例えば、GABAbアゴニスト(バクロフェン)、ベンゾジアザピン)を含む。別の実施形態では、薬剤は、神経性括約筋不全(neurologic sphincter deficiency
)に起因する尿失禁の治療について知られているものから選択される。これらの薬剤の例は、アルファアドレナリンアゴニスト、エストロゲン、ベータ‐アドレナリンアゴニスト、三環系抗うつ剤(イミプラミン、アミトリプチリン)を含む。さらに別の実施形態では、薬剤は、膀胱の空化を促進するために知られるもの(例えば、アルファアドレナリンアンタゴニスト(フェントラミン)またはコリン作動薬)から選択される。さらに別の実施形態では、薬剤は、抗コリン作動薬剤(例えば、ジサイクロミン)、カルシウムチャネルブロッカー(例えば、ベラパミル)トロパンアルカロイド(例えば、アトロピン、スコポラミン)、ノシセプチン/オルファニンFQ、およびベタネコール(例えば、m3ムスカリンアゴニスト、コリンエステル)間から選択される。
【0074】
一実施形態では、製剤は、例えば、製剤の全体の量を低減し、これによりデバイスのサイズを低減するために、および/または貯蔵中および放出前に安定した形態で薬剤を維持するために、固体のまたは半固体の形態である。半固体の形態は、例えば、乳濁液または懸濁液;ゲルまたはペーストであることとしてもよい。固形の形態は、薬剤貯蔵部(例えば、収容内腔)内に充填される固形の薬剤単位であることとしてもよい。薬剤単位は、(送達デバイスが、組立て、保存、および埋め込み前の操作中に、通常さらされるであろう温度および圧力条件で)実質的に、選択的に付与された形状を保持する固形で別個のものである。薬剤単位は、他の構成も可能であるが、タブレット、カプセル、ペレット、またはビーズの形態であることとしてもよい。
【0075】
本記載は、以下の非限定的な実施例によりさらに例示説明される。
【実施例0076】
ETHIBOND EXCEL(商標)(Ethicon Endo-Surgery
Inc.)ポリエステル縫合糸(サイズ5~0、グリーンに編まれている(braided))が、回収ストリングとして使用された。プラセボ薬物送達デバイス(プレッツェル形状の保持フレームを有するシリコーンチューブ)が、代表的な泌尿器科デバイスとして使用された。回収ストリングの一端が、デバイスの端部に取り付けられた。その後、ストリングはらせん状にまかれて、または渦巻き状とされ、面に制限され得るように圧潰された(図13Aおよび13B)。その後、生体分解性のキャップが、束ねられたストリングの上に配置された。具体的には、PLGAのような他の分解性ポリマーが使用され得たが、ゼラチンカプセルのキャップ(サイズ4)が、図13Aおよび13Bに示されるように使用された。
【0077】
ファンネル(16オンスの容量)およびラテックスチューブ(内径(ID):6.35mmおよび長さ:23cm)からなるシンプルな排尿モデルが試験装置として使用された。キャップされた/制限された回収ストリングを有する薬物送達デバイスが、ファンネル部内に配置され、水が満たされ、一方、ラテックスチューブの一端がクランプされた。重力のみによりファンネルが空になるように、ファンネルが空のときは、チューブはクランプされなかった。ゼラチンキャップが溶解したとき、束ねられたストリングは、水中で解けなかった。満たして空にするステップを数回繰り返した後に、回収ストリングがチューブの端部に現れた。よって、この実験は、回収ストリングの制御された出現を実証した。
【0078】
本明細書に挙げられる刊行物およびそれらが挙げられる材料は、具体的に、参照により組み込まれる。本明細書に記載される方法および装置の変更およびバリエーションは、上述の詳細な説明から当業者にとって自明なものであろう。このような変更およびバリエーションは、添付のクレームの範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
泌尿器科デバイスと、
前記泌尿器科デバイスに取り付けられる回収用ストリングであって、前記泌尿器科デバイスに接続される近位端と、反対側の遠位端と、を有する回収用ストリングと、を含み、
前記回収用ストリングは、前記遠位端に接続される流体力学的キャップを備える、医療デバイス。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱内薬物送達用のデバイスであって、
製剤を収容する薬物収容ルーメンを含むデバイス本体であって、前記デバイス本体は、患者の膀胱内で浮揚するように構成されている、デバイス本体と、
前記デバイス本体に取付けられる第1、及び前記患者の尿道を通って前記患者の膀胱内に前記デバイス本体から延びる長さを有する回収用ストリングと
前記回収用ストリングの第2端に取付けられる流体力学的キャップを備え
前記流体力学的キャップは、
(i)少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントによって前記デバイス本体に近接して固定され、
(ii)前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントの分解にともない、前記デバイス本体に近接して固定されなくなり、尿中で移動され、流体力で引っ張られて、前記尿道に入って通過する流体力学的キャップの侵入を促進することによって、前記膀胱から前記回収用ストリングの前記第2端の現出を促進する
ように構成されている、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記回収用ストリングと前記流体力学的キャップとが尿中に浮揚しない、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記流体力学的キャップは、約1.0g/mLよりも大きい密度を有するように、生体適合性高分子化合物、金属又はそれらの組合せで作製される、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、前記流体力学的キャップ及び前記回収用ストリングの非近位部分は、前記生体内分解性コンポーネントに埋め込まれている、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、前記生体内分解性コンポーネントは、生体内分解性カプセルであり、前記流体力学的キャップ及び前記回収用ストリングの非近位部分は、前記生体内分解性カプセルに閉じ込められている、デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスであって、前記生体内分解性カプセルは、生体適合性ガスを含み、前記生体適合性ガスは、前記生体内分解性カプセルの分解まで前記膀胱内で前記デバイス全体の浮揚性を促進する、デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のデバイスであって、前記生体内分解性コンポーネントは、生体内分解性リングを含み、前記回収用ストリング及び前記デバイス本体の一部は、前記生体内分解性リングによって低プロファイル形状に制限される、デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のデバイスであって、前記デバイス本体は、少なくとも1つの折り畳みで、前記低プロファイル形状に折り畳まれる、デバイス。
【請求項9】
請求項7に記載のデバイスであって、前記生体適合性リングは単ルーメンであり、前記回収用ストリング及び前記デバイス本体の両方が前記単ルーメンを通る、デバイス。
【請求項10】
請求項7に記載のデバイスであって、前記生体適合性リングは多ルーメンであり、前記デバイス本体は前記多ルーメンの第1ルーメンを通り、前記回収用ストリングは前記多ルーメンの第2ルーメンを通る、デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスであって、前記第2ルーメンは、前記第1ルーメンより小さい、デバイス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記流体力学的キャップは、筒形、弾丸形、球根形、楕円形、円形、弓形、球形、長円形、三日月形、半円、豆形、バナナ形、ドーナツ形または長方形、の形状を有する、デバイス。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイスであって、前記流体力学的キャップは、最長寸法において5mm未満である、デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントは、閉込形状に前記回収用ストリングの少なくとも一部を含んでいる、デバイス。
【請求項15】
請求項1に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの生体内分解性コンポーネントは、複数のバンドを含み、前記複数のバンドは、前記デバイス本体の周りに巻かれて、前記回収用ストリングを前記デバイス本体の外表面上に固着させる、デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、前記回収用ストリングはモノフィラメントである、デバイス。
【請求項17】
請求項1に記載のデバイスであって、閉込形状の前記少なくとも1つの回収用ストリングの少なくとも一部分がコイル状である、デバイス。
【請求項18】
請求項17に記載のデバイスであって、前記コイル状の前記回収用ストリングが水溶性粘着性コーティングを含む、デバイス。
【請求項19】
請求項1に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つの回収用ストリングが絹または編みポリエステルで構成されている、デバイス。
【外国語明細書】