(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060297
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプのための改良されたケーシング
(51)【国際特許分類】
F04D 29/58 20060101AFI20220407BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
F04D29/58 F
F04D29/42 G
F04D29/42 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017505
(22)【出願日】2022-02-07
(62)【分割の表示】P 2018551469の分割
【原出願日】2017-03-27
(31)【優先権主張番号】1652879
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】516257464
【氏名又は名称】アリアーヌグループ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ ドゥリ
(57)【要約】
【課題】ロケットエンジンのための推進剤供給ターボポンプのケーシングを改良する。
【解決手段】ロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプの改良されたケーシング。ロケットエンジン(50)のための推進剤供給ターボポンプ(10)のケーシング(20)であって、ケーシング(20)は冷却回路(30)を具備し、冷却回路(30)はケーシング(20)の壁に少なくとも部分的に形成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケットエンジン(50)用の推進剤供給ターボポンプ(10)のケーシング(20)において、前記ケーシング(20)は冷却回路(30)を具備し、前記冷却回路は、前記ケーシング(20)の壁に少なくとも部分的に形成される、ケーシング(20)。
【請求項2】
前記冷却回路(30)は、前記推進剤供給ターボポンプ(10)のポンプ入口部分(20a)の壁において少なくとも部分的に延びている、請求項1に記載のケーシング(20)。
【請求項3】
前記冷却回路(30)は、前記推進剤供給ターボポンプ(10)のボリュート部分(22)の壁において少なくとも部分的に延びている、請求項1又は2に記載のケーシング(20)。
【請求項4】
前記冷却回路(30)は、軸受(14a、14b)を受容するように構成された部分の壁において少なくとも部分的に延びている、請求項1~3のいずれか一項に記載のケーシング(20)。
【請求項5】
前記冷却回路(30)は、前記ケーシングの前記壁の外側においてダクト(30cd)を具備する、請求項1~4のいずれか一項に記載のケーシング(20)。
【請求項6】
ロケットエンジン(50)用の推進剤供給ターボポンプ(10)であって、このターボポンプが請求項1~5のいずれか一項に記載のケーシング(20)を具備する、ターボポンプ。
【請求項7】
請求項6に記載のロケットエンジンのための推進剤供給ターボポンプ(10)を具備する、ロケットエンジン(50)。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載のロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプ(10)のケーシング(20)の製造方法であって、前記製造方法は、付加製造の少なくとも1つのステップを具備する、ケーシング(20)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプのケーシングに係わり、その様なケーシングを具備するロケットエンジン推進剤供給ターボポンプ、及びその様なターボポンプを備えたロケットエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロケットエンジン推進剤供給ターボポンプを始動する前に、ターボポンプは、冷却される必要がある。冷却が行われている間に、ターボポンプケーシングの全部又は一部は、ターボポンプがその必要な運転状態になるように、一般的にケーシングを冷却することにより、所定の温度に設定される。
【0003】
ロケットエンジンの推進剤供給ターボポンプを冷却するための既知の回路は一般的に、複雑であり、ロケットエンジン燃焼室に推進用推進剤を供給するためのターボポンプのポンプ回路との流体流接続を提示するので、冷却目的のためのその様な回路の使用は、困難な場合がある。更に、爆発の任意の危険性を回避するために、明白な安全性の理由から、冷却のために使用される冷却流体は、推進用推進剤と常に同一である。これは、避けることが望ましい、幾つかの制約が課される。
【発明の概要】
【0004】
従って、この意味において必要性が存在する。本開示は、ロケットエンジンのための推進剤供給ターボポンプのケーシングに関する。
【0005】
実施例では、ロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプのケーシングであって、ケーシングが冷却回路を具備しており、冷却回路はケーシングの壁において、少なくとも部分的に形成される、ケーシングが提供されている。
【0006】
ターボポンプのケーシングは、単一部品として形成されていてもよいし、さもなければ、一旦共に組み立てられてターボポンプの完全なケーシングを形成する、複数の別個の部分として形成されてもよいことが理解できる。
【0007】
ターボポンプが、推進目的用のロケットエンジンの燃焼室に推進剤を圧送するためのポンプ回路(即ち推進用推進剤)と、ターボポンプのタービンを回転駆動するための推進剤が流れる駆動回路(即ち駆動推進剤)と、冷却回路と、を有することもまた理解可能である。ポンプ回路、駆動回路及び冷却回路は、共通の任意の流体ダクト(導管)を有さず、従って相互に独立することもまた理解可能である。従って、ポンプ回路、駆動回路及び冷却回路は、お互いから流体流れ分離の状態にある。言い換えれば、冷却回路は、冷却に単に専用の回路であり、冷却回路は、冷却のためにのみ使用される。
【0008】
ターボポンプを冷却するための冷却回路は、ターボポンプのケーシングの少なくとも1つの壁において一体化された、ダクトを有することも理解可能である。言い換えると、冷却回路は、ケーシングの壁の厚み内において延びている、少なくとも1つのダクトを具備する。これにより、冷却回路とポンプ回路及び更にターボポンプ駆動回路の両方との間における完全な分離を提供しながら、ケーシングの冷却を改善することが可能になる。
【0009】
ポンプ回路とは別個の冷却回路を有することは、両者が共通するダクト内を次々に流れる、冷却目的のための流体(即ち冷却流体)及び更に推進用推進剤(即ち、推進目的用の燃焼室内に注入されるべき推進剤)の両者を有することに関連する制約により影響されないことを可能にする。
【0010】
最後に、ポンプ回路と駆動回路と冷却回路との間の独立性により、ポンプ回路において流れるべき推進剤及び駆動回路において流れるべき推進剤とは異なる、推進剤により、ターボポンプを冷却することが可能になる。これは、冷却回路が別個であるためにのみ可能となり、及び従って、ポンプ回路又は駆動回路と共通の流体ダクトを有さない。具体的には、もし回路が別個ではないならば、共通のダクト内で2つの異なる推進剤を交互に連続して流すことは、そのことが2つの推進剤間の反応により爆発の危険性を提示するであろうために、特に危険であろう。従って、冷却流体、例えば、ポンプ回路及びターボポンプの駆動回路内を流れる推進剤(単数又は複数)の性質とは無関係に、ターボポンプを冷却するための推進剤、を選択することが可能である。推進用推進剤が、必ずしも駆動推進剤と同一ではないことが認識されるべきである。
【0011】
幾つかの実施例において、冷却回路は、ターボポンプのポンプ入口部分の壁において少なくとも部分的に延びている。
【0012】
従って、ケーシングは、ポンプ回路のための入口を形成する、部分を具備することが理解可能である。冷却回路はこの入口部分の壁においてダクトを有するので、この部分を非常に効果的な状態で冷却することが可能であり、その部分は、推進用推進剤に接触する最初の部分である。これは、この入口部分がターボポンプの始動時に熱衝撃を受けることを回避し、更にまた、ターボポンプ内のキャビテーション(空洞現象)の危険の恐れがあるであろう、推進剤の部分的気化を引き起こし得るであろう、推進用推進剤の望ましくない加熱を回避するように作用する。
【0013】
幾つかの実施例において、冷却回路は、ターボポンプのボリュート(渦巻き室)部分の壁において少なくとも部分的に延びている。
【0014】
ポンプ回路がボリュート(渦巻き室)を通過する状態で、ケーシングがボリュートを形成する部分を具備することは理解可能である。冷却回路が、このボリュート部分の壁においてダクトを有するので、この部分を非常に効果的な状態で冷却することが可能であり、その部分は、大量の推進用推進剤と接触する。これは、ターボポンプを始動する時に、ボリュート部分が熱衝撃を受けることを回避するように、更にまた、ターボポンプ内のキャビテーションの危険性の恐れがあるであろう、推進剤の部分的気化を引き起こし得るであろう、推進用推進剤の不都合な加熱を回避するように作用する。
【0015】
幾つかの実施例において、冷却回路は、軸受を受容するように構成された、部分の壁において少なくとも部分的に延びている。
【0016】
ケーシングが、軸受、例えば、ターボポンプのロータ(回転体)を支持する軸受、が配置される部分を具備することは理解可能である。冷却回路がこの部分の壁においてダクトを有するので、この部分を非常に効果的な状態で冷却することが可能であり、軸受のための良好な作動条件を確保するために、その部分は、非常に正確に制御されたその温度を有する必要がある。
【0017】
幾つかの実施例において、冷却回路は、ケーシングの壁の外側においてダクトを具備する。
【0018】
その様なダクトが、ケーシングの壁の厚みにおいて設けられないことは理解可能である。一例として、その様なダクトは、ケーシングの異なる部分の壁に形成されたダクトを共に接続することを可能にする。これは、ケーシングの壁内に形成されたダクトを有する、区域を余りにも多く生成することにより、ケーシングを機械的に弱めることを回避すること、及び冷却する必要のないターボポンプのケーシングの冷却部分を回避することを可能にする。
【0019】
本開示はまた、ロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプを提供しており、ターボポンプは、本開示に記載の実施例のいずれかによるケーシングを具備する。
【0020】
本開示はまた、本開示に記載の実施例のいずれかによるロケットエンジン推進剤供給ターボポンプを具備する、ロケットエンジンを提供する。
【0021】
本開示はまた、本開示に記載の実施例のいずれかによるロケットエンジン用の推進剤供給ターボポンプのケーシングを製造する方法であって、付加製造の少なくとも1つのステップを具備する方法を提供する。
【0022】
付加製造は、連続する層を積み重ねることにより、材料を付加することにより製造する方法であることが想起されるべきである。
【0023】
その様な製造方法は、本開示のターボポンプケーシング等の、複雑な部品の製造に特に良好に適合する。
【0024】
本発明及びその利点は、非限定的な例として与えられる、本発明の様々な実施例の以下の詳細な説明を読むことにより、より良好に理解可能である。説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、ロケットエンジンを備えた宇宙船を示す。
【
図2A】
図2Aは、
図1の宇宙船ロケットエンジンのターボポンプの断面の半分図である。
【
図2B】
図2Bは、ターボポンプ冷却回路の配置を示す図である。
【
図3】
図3は、宇宙船内の
図2Aのターボポンプを冷却するための完全な回路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、推進剤タンク60から供給される、ロケットエンジン50を有する宇宙船100を示す。
図2Aは、ロケットエンジン50に推進剤を供給するためのターボポンプ10の軸線方向Xに平行な断面の半分図である。
【0027】
推進剤供給ターボポンプ10は、細線で描かれた様々な内部要素、及び特には、シャフト(軸)12aを有するロータ(回転体)12と、インデューサ(入口導翼)15と、インペラ(羽根車)12bと、タービンホイール(車輪)12cと、を具備する。ロータ12は、軸受14a及び14bによりターボポンプ10内で回転するように支持される。ロータ12の回転軸線は、ターボポンプ10の軸線方向Xを画定する。以下で、及び反対の言及がなされない限り、半径方向Rは、軸線Xに垂直な方向である。方位角方向は、軸線方向の周りの輪を説明する方向に対応する。軸線方向、半径方向及び方位角方向は、それぞれ、円柱座標系における高さ、半径及び角度により規定される方向に対応する。
【0028】
ターボポンプ10の囲いは、太線で描かれたケーシング20により画定される。この例において、ケーシング20は、3つの別個の要素、即ち、ポンプ入口ケーシング20aと、中間ケーシング20bと、タービン出口ケーシング20cと、を具備する。これらの入口、中間及び出口ケーシングは共に、ケーシング20を形成する。
【0029】
太い矢印は、推進用推進剤、即ち、ロケットエンジン50の燃焼室50aに送られるために、ターボポンプ10により圧送される推進剤、の流れを表す。
【0030】
推進用推進剤は、ポンプ入口ケーシング20aを介してターボポンプ10内に入り、インデューサ15を介してそしてその後インペラ12bを介して通過しており、インペラ12bは、推進剤を吸入して、更に中間ケーシング20bの一部により形成された、ボリュート(渦巻き室)22内に推進剤を吐出する。この様に加圧された推進剤は、図示されない接線出口を介してボリュート22から流れる。これらの通路は、ポンプ回路11aを形成する。
【0031】
加圧された推進剤はその後、燃焼室50aに到達する(
図1参照)。
【0032】
タービン12cを駆動するための推進剤の流れは、太字の矢印によっても表される。それら自体が当業者に既知の種々の形態(例えば、加熱された後、又は完全に又は部分的に燃焼された後の)であってもよい、駆動推進剤は、中間ケーシング20bの一部により形成された「タービン上流空洞」23内に、入口(図示せず)を介して導入され、その後、タービン12cを通り流れて、それによりロータ12を回転駆動し、更にその後続いて、タービン出口ケーシング20cにより区画される、排気空洞24に到達して、出口(図示せず)を介してポンプ10から吐出される。これらの通路は、タービン12cを駆動するための駆動回路11bを形成する。
【0033】
タービン12cのポンプ回路11a及び駆動回路11bは、ターボポンプの「主」推進剤が流れる、主回路11を形成すると考えることが出来る。ポンプ回路11aは、燃焼室50aに供給するための供給回路の一部を形成する。駆動回路11bは、供給回路(即ち、推進剤を燃焼室に供給するための回路)の一部を形成しない。推進用推進剤及び駆動推進剤は、必ずしもではないが、一般的には異なることが認識されるべきである。ターボポンプは、ポンプ回路と駆動回路との間の遮断を提供することでそれ自体が知られる、手段(図示せず)を有する。
【0034】
図2A及び2Bを参照して、ターボポンプ10のケーシング20を冷却するための冷却回路30の説明が続く。ケーシング20は、壁に形成されたダクト(導管)を有する、複数の壁を有する。この例において、これらのダクトの各々は、冷却回路30の一部を形成する。
【0035】
ターボポンプ10のポンプ入口部分を形成する、ポンプ入口ケーシング20aは、その壁に形成されていて且つ軸線方向Xにおいて延びている、環状のダクト30aを有する。従って、ダクト30aは、軸線Xの周りで概略螺旋状の形状を提示する。
【0036】
特に、ボリュート22又はターボポンプ10のボリュート部分を形成する、中間ケーシング20bは、それの壁に形成されていて且つ軸線方向X及び半径方向Rの両方において延びている、環状ダクト30bを有する。従って、ダクト30bは、概略螺旋であって且つ軸線Xの周りで半径が変化する、形状を提示する。
【0037】
中間ケーシング20bは同様に、軸受14a及び14bを受容するようにそれぞれ構成された、2つの部分20ba及び20bbを有する。これらの部分は、それらの壁に形成されたそれぞれの環状のダクト30c及び30dを有しており、それらのダクトは、軸線方向X及び更に半径方向Rの両方において延びている。従って、ダクト30c及び30dの各々は、概略螺旋状であって且つ軸線Xの周りで変化する半径からなる、形状を提示する。
【0038】
ダクト30a及び30bは、ポンプ入口ケーシング20aの壁及び中間ケーシング20bの壁に形成された、中間ダクト30abにより共に接続される。ダクト30b、30cはまた、中間ケーシング20bの壁に形成された中間ダクト30bcにより共に接続される。最後に、ダクト30c及び30dは、中間ケーシング20bの壁の外側にある、ダクト30cdにより共に接続される。ダクト30a、30ab、30b、30bc、30c、30cd及び30dは、ターボポンプ10を冷却するための、より特別にはターボポンプ10のケーシング20を冷却するための、冷却回路30を形成する。
【0039】
図2Bは、ターボポンプ10のケーシング20内の冷却回路30の図式図を示す。回路30内の冷却流体の流れ方向は、矢印により指示される。回路30の入口及び出口は、説明及び教示目的のために、不連続な線により象徴的な様式で表されることが認識されるべきである。同様に、冷却回路30のダクトに関して任意の別の形状を想定することが可能であり、
図2A及び
図2Bに示される例は、限定よりむしろ例示的である。当然、ターボポンプ10のケーシング20の任意の別の部分において冷却回路30のダクトを設けることも想定可能である。
【0040】
図3を参照すると、宇宙船100内のターボポンプ10用の完全な冷却回路80の例の説明が続く。当然ながら、完全な冷却回路80は、ターボポンプ10の一部を形成する、冷却回路30を具備する。
【0041】
完全な冷却回路80は、ターボポンプ10を冷却するための冷却流体として使用される、推進剤を含む推進剤タンク82を具備する。推進剤タンク82は、ターボポンプ10を冷却するように使用するための推進剤のみを受容するように構成された、タンク(
図3に示すように、タンク60及びタンク82はその場合、別個のタンクである)であり得るか、さもなければ、推進用推進剤を有するターボポンプのポンプ回路に供給するように作用する、タンク(変更例は、図示されない)であり得ることが認識されなければならない。この様な状況下では、タンク82及びタンク60は、一致しており、単一のタンク82を形成しており、このタンク82はその場合、供給回路(即ち、推進用推進剤を供給するために専門化された回路)に対して及びそれにも係わらずお互いに別個であって且つ独立状態に維持される、完全な冷却回路80に対して共通の唯一の要素である。例えば、2つの回路は、オン/オフ(開閉)弁、逆止弁、又は当業者に知られる任意の別のデバイス(装置)により独立した状態に保持される。
【0042】
モータ駆動式ポンプ84は、タンク82から、推進剤をターボポンプ10の回路30に供給する推進剤供給管86に、推進剤を送る。この管86は、回路30をタンク82から分離するための弁86aを有する。
【0043】
戻り管88は、回路30を通って流れる、推進剤を取り込み、更に推進剤をタンク82に戻すように作用する。管88は、タンク82を回路30から分離することを可能にするように弁88aを備える。
【0044】
推進剤供給管86及び戻り管88は、回路80が宇宙船100の外部と連通することを可能にするように、入口分岐回路及び出口分岐回路をそれぞれ形成する、それぞれの分岐回路86b及び88bを有する。これらの分岐回路により、例えば、飛行中に行われる追加の冷却のためにタンク82に含まれる推進剤を保存するように、宇宙船が地上にある間に、回路80において冷却流体を流すことが可能である。
【0045】
更に、戻り管88は、弁88ccにより管88から分離された、吐出ノズル88cを有する。従って、回路80に含まれる流体の全てを宇宙船100の外部に吐出するために、弁88ccを開くことにより、回路80を一掃することが可能である。
【0046】
従って、完全な冷却回路80により、宇宙船100が地上にある間に、弁86a及び88aが閉じられた状態で、さもなければ独立した状態で、飛行中であろうと又は地上であろうと、タンク82内に含まれた推進剤を使用することにより、分岐回路86b及び88bを介してターボポンプ10を冷却することができる (分岐回路86b及び88bは当然にその際、遮断される)。回路80を一掃するために、弁86a及び88aが閉じられており(タンク82を一掃することがやはり望まれない限り)、更に吐出ノズル88cの弁88ccは開かれる。回路80が使用されている間に、ノズル88cを介して徐々に冷却推進剤を排出することも可能であり、その場合において、弁86a及び88ccが開かれる一方で、弁88aは、閉じられる。
【0047】
当然に、変形例において、完全な冷却回路80は、外部への分岐回路を有さない。別の変形例において、完全な冷却回路80は、タンク82を有さないが、しかし外部への分岐回路のみを有する。更に別の変形例において、戻り管88は、吐出ノズル88c内に直接的に導かれており、タンク82に接続されない(推進剤供給管86が、タンク82及び/又は分岐回路86bに接続される)。更に、吐出ノズルは、選択可能である。
【0048】
本発明は特定の実施例を参照して説明されるが、特許請求の範囲により規定される、本発明の一般的な範囲を逸脱することなく、修正及び変更がこれらの実施例に実施されてもよいことは明らかである。特には、図示され及び/又は言及された、様々な実施例の個々の特徴は、追加的な実施例において組み合わされてもよい。従って、説明及び図面は、限定的よりむしろ、例示的な意味で考慮されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロケットエンジン(50)用の推進剤供給ターボポンプ(10)のケーシング(20)において、前記ケーシング(20)は冷却回路(30)を具備し、前記冷却回路は、前記ケーシング(20)の壁に少なくとも部分的に形成される、ケーシング(20)。
【外国語明細書】