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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060395
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】液体消費システム及び配送システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20220407BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20220407BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B41J2/175 305
B41J2/175 119
B41J2/175 301
B41J2/17
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/175 141
B41J2/175 307
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024983
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2017252686の分割
【原出願日】2017-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 貞明
(72)【発明者】
【氏名】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】稲田 肇
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 雅史
(57)【要約】
【課題】液面センサが出力する信号や、カートリッジ内の液体の残量及びタンク内の液体の残量である総残量値に基づいて、カートリッジの発注を行う日を決定する。
【解決手段】プリンタ10のコントローラ130は、液面センサ33から取得した信号がハイレベル「H」であると判断すると(S101:Yes)、カートリッジ200の発注を情報収集サーバ40に行わせるための連絡情報を生成し(S103、S105)、情報収集サーバ40に送信する。または、プリンタ10のコントローラ130は、総残量値が第1所定値未満になると、連絡情報を生成し、情報収集サーバ40に送信する。連絡情報を受信した情報収集サーバ40は、カートリッジ200の発注を行うための発注情報を発送サーバ50に送信する。発注情報を受信した発送サーバ50は、新しいカートリッジ200の発送を手配する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が貯留された第1液室と、一端が前記第1液室と連通され他端が外部と連通される供給管とを有し、大気と連通可能に構成されたカートリッジが装着される装着ケースと、
第2液室と、一端が前記第2液室と連通され他端が外部と連通され、前記カートリッジが前記装着ケースに装着されたときに、前記供給管と共に前記第1液室及び前記第2液室を連通させる流路と、前記流路より鉛直方向の下方に位置する流出口とを有し、大気と連通可能に構成されたタンクと、
液面センサと、
前記流出口を介して前記第2液室と連通されたヘッドと、
第1通信インタフェースと、
コントローラシステムと、を備え、
前記コントローラシステムは、
前記供給管内及び前記第2液室内の液面の位置が所定位置以上であることに応じて前記液面センサが出力する第1信号を受信し、
前記供給管内及び前記第2液室内の液面の位置が前記所定位置未満であることに応じて前記液面センサが出力する第2信号を受信し、
前記第1信号を受信した後に、前記第2信号を前記液面センサから受信したことに基づいて、前記カートリッジの発注を指示する第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する液体消費システム。
【請求項2】
前記コントローラシステムは、
前記第2信号を前記液面センサから受信した後に、前記ヘッドを通じて液体を排出させる排出指示を受信し、
前記排出指示を受信したことに応じて、前記ヘッドを通じて液体を排出させ、
前記排出指示を受信したことに応じて、前記排出指示で指示される液体の排出量をカウントし、
カウントした液体の排出量が、所定の排出量に到達したかを判断し、
カウントした液体の排出量が、前記所定の排出量に到達したと判断したことに応じて、前記第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する請求項1に記載の液体消費システム。
【請求項3】
前記コントローラシステムは、
前記タンクの前記第2液室に貯留された液体の量を少なくとも含む残量を決定し、
決定した前記残量が、前記第2液室内の液面の位置が前記所定位置にあるときの液体の量よりも少ない所定の残量に到達したかを判断し、
前記第1信号を受信したこと、かつ、決定した前記残量が前記所定の残量に到達したことに応じて、前記第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する請求項2に記載の液体消費システム。
【請求項4】
前記コントローラシステムは、
前記タンクの前記第2液室に貯留された液体の量を少なくとも含む残量を決定し、
所定時点から、前記残量が所定量に到達したと判断したときまでの経過時間を計測し、
前記経過時間が、第1時間に到達したかを判断し、
前記経過時間が、前記第1時間に到達していないと判断したことに応じて、前記第1情報と、前記液体の消費速度が速いことを示す第2情報とを前記第1通信インタフェースを通じて送信する請求項1から3のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項5】
前記コントローラシステムは、
前記タンクの前記第2液室に貯留された液体の量を少なくとも含む残量を決定し、
所定時点から、前記残量が所定量に到達したと判断したときまでの経過時間を計測し、
前記経過時間が、第1時間に到達したかを判断し、
前記経過時間が、前記第1時間に到達していないと判断したことに応じて、前記第1情報と、前記カートリッジの配達の速さを示す第2情報とを、前記第1通信インタフェースを通じて送信する請求項1から3のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項6】
前記コントローラシステムは、
所定時点から、前記第2信号を受信したときまでの経過時間を計測し、
前記経過時間が、所定時間に到達したかを判断し、
前記経過時間が、前記所定時間に到達していないと判断したことに応じて、前記第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する請求項1から3のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項7】
報知機をさらに備えており、
前記コントローラシステムは、
前記第1信号を受信した後に、前記第2信号を受信したことに基づいて、前記報知機を作動させる請求項1から6のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項8】
前記タンクは、検出物体を有し、
前記検出物体は、前記第2液室内の液面の位置が前記所定位置以上であるときに第1状態となり、前記第2液室内の液面の位置が前記所定位置未満であるときに前記第1状態とは異なる第2状態となり、
前記液面センサは、前記第1状態の前記検出物体を検出したことに応じて前記第1信号を出力し、前記第2状態の前記検出物体を検出したことに応じて前記第2信号を出力する請求項1から7のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項9】
前記第2液室の一部は、前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1液室よりも下方に位置しており、
前記所定位置は、前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1液室よりも下方に位置する請求項1から8のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項10】
液体消費装置及び情報処理装置を備えており、
前記液体消費装置は、前記装着ケースと、前記タンクと、前記ヘッドと、第1コントローラと、第2通信インタフェースと、を有しており、
前記情報処理装置は、前記第1通信インタフェースと、第2コントローラと、を有しており、
前記コントローラシステムは、前記第1コントローラ及び前記第2コントローラを備え、
前記第1コントローラは、
前記第1信号を受信した後に、前記第2信号を受信したかを判断し、
前記第1信号を受信した後に、前記第2信号を受信したと判断したことに応じて、前記第1信号を受信した後に前記第2信号を受信したことを示す情報を前記第2通信インタフェースを通じて前記情報処理装置に送信し、
前記第2コントローラは、
前記第1通信インタフェースを通じて前記情報を受信し、
前記情報を受信したことに基づいて、前記第1通信インタフェースを通じて前記第1情報を送信する請求項1から9のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項11】
前記カートリッジを備えた請求項1から10のいずれかに記載の液体消費システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の液体消費システムと、サーバと、を備えており、
前記サーバは、コントローラ及び通信インタフェースを有しており、
前記サーバの前記コントローラは、
前記液体消費システムが送信した前記第1情報を前記サーバの前記通信インタフェースを通じて受信し、
前記第1情報を受信したことに応じて、前記カートリッジの配送を手配する情報を作成する配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が貯留されたカートリッジの発注を行う液体消費装置、液体消費システム、及び配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクなどの液体が貯留されたカートリッジの発注を行う方法や制御装置やプログラムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。カートリッジは、プリンタや複合機などの液体消費装置に装着されて、液体消費装置に液体を供給する。
【0003】
従来の発注方法では、カートリッジ内の液体の残量を示す残量情報を取得し、カートリッジが貯留する液体が無くなる日を推定する。次に、推定した日から、カートリッジに液体が残っている所定の日を決定する。さらに、決定した所定の日に、新しいカートリッジの発注を行う。これにより、液体消費装置に装着されたカートリッジに貯留された液体が無くなる日までに、新しいカートリッジが当該液体消費装置のユーザの元に届く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-47537号公報
【特許文献2】特開2003-15477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の発注方法等では、上記発注を行う日を決定する元となる残量情報が、液体消費装置に装着されていたカートリッジ内の液体の残量を示している。
【0006】
本発明の目的は、カートリッジ内の液体の残量以外の情報を含む情報に基づいて、カートリッジの発注を行う日を決定する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体消費システムは、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、第2液室を有するタンクと、一方が前記第2液室に連通されており、他方が前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1液室と連通される流路と、前記第2液室と連通されたヘッドと、第1通信インタフェースと、コントローラシステムと、を備える。前記コントローラシステムは、前記タンクの前記第2液室内の液体の量を少なくとも含む残量を決定し、決定した前記残量が所定量に到達したかを判断し、決定した前記残量が前記所定量に到達したと判断したことに基づいて、前記カートリッジの発注を指示する第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する。
【0008】
本発明に係る他の液体消費システムは、液体が貯留された第1液室を有するカートリッジが装着される装着ケースと、第2液室を有するタンクと、一方が前記第2液室に連通されており、他方が前記装着ケースに装着された前記カートリッジの前記第1液室と連通される流路と、前記第2液室と連通されたヘッドと、液面センサと、第1通信インタフェースと、コントローラシステムと、を備える。前記コントローラシステムは、前記第2液室内の液面の位置が、所定位置以上であることに応じて前記液面センサが出力する第1信号を受信し、前記第2液室内の液面の位置が前記所定位置未満であることに応じて前記液面センサが出力する第2信号を受信し、前記第1信号を受信した後に、前記第2信号を前記液面センサから受信したことに基づいて、前記カートリッジの発注を指示する第1情報を前記第1通信インタフェースを通じて送信する。
【0009】
本発明の配送システムは、上述のいずれかの液体消費システムとサーバとを備える。前記サーバは、コントローラ及び通信インタフェースを有する。前記サーバの前記コントローラは、前記液体消費システムが送信した前記第1情報を前記サーバの前記通信インタフェースを通じて受信し、前記第1情報を受信したことに応じて、前記カートリッジの配送を手配する情報を作成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カートリッジ内の液体の残量以外の情報を含む情報に基づいて、カートリッジの発注を行う日を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る配送システム5の構成図である。
図2図2は、プリンタ10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が被覆位置である状態、(B)はカバー87が開放位置である状態を示す。
図3図3は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
図4図4は、装着ケース150の縦断面図である。
図5図5は、カートリッジ200の構造を示す図であって、(A)は前方斜視図を、(B)は縦断面図を示す。
図6図6は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態の縦断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係る印刷処理のフローチャートである。
図8図8(A)は、第1更新処理のフローチャートであり、図8(B)は、第2更新処理のフローチャートであり、図8(C)は、第3更新処理のフローチャートであり、図8(D)は、第4更新処理のフローチャートである。
図9図9は、連絡情報送信処理のフローチャートである。
図10図10(A)は、発注情報送信処理のフローチャートであり、図10(B)は、発送情報生成処理のフローチャートである。
図11図11(A)は、第2実施形態に係る印刷処理のフローチャートであり、図11(B)は、第2実施形態に係る第5更新処理のフローチャートである。
図12図12は、第2実施形態に係る連絡情報送信処理のフローチャートである。
図13図13は、変形例1に係る連絡情報送信処理のフローチャートである。
図14図14は、変形例2に係る連絡情報送信処理のフローチャートである。
図15図15は、変形例3に係る連絡情報送信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0013】
[第1実施形態]
本実施形態では、図1に示される配送システム5が説明される。配送システム5は、プリンタ10と、一乃至複数のプリンタ10から情報を収集する情報収集サーバ40とを備える。プリンタ10と情報収集サーバ40とは、インターネットなどの通信回線6によって接続されている。プリンタ10と情報収集サーバ40とは、TCP/IPなどの通信プロトコルを用いて相互に通信可能である。また、情報収集サーバ40は、通信回線6を介して、発注を受け付ける発送サーバ50へ情報を送信可能である。プリンタ10及び情報収集サーバ40は、本発明の液体消費システムの一例である。プリンタ10は、液体消費装置の一例である。情報収集サーバ40は、情報処理装置の一例である。発送サーバ50は、サーバの一例である。
【0014】
[プリンタ10の概要]
図2に示されるプリンタ10は、インク滴を吐出してシートに画像を印刷するインクジェットプリンタである。プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する複合機であってもよい。
【0015】
以下では、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。すなわち、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0016】
プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14を有している。筐体14の内部には、図3及び図4に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、プラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、装着ケース150と、タンク160とが位置している。
【0017】
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、タンク160からチューブ19を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が印刷される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が印刷されたシートを排出トレイ16に排出する。
【0018】
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向(左右方向9と平行)に沿って往復移動するキャリッジ20に搭載されている。キャリッジ20は、不図示のモータの駆動力が伝達されて、主走査方向(図3の紙面と垂直な方向)に沿って移動する。プリンタ10は、搬送ローラ25によるシートの搬送が停止されている間に、主走査方向に沿ってキャリッジ20を移動させつつ、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域(以下、「1パス」と記載)に画像が印刷される。次に、プリンタ10は、次に画像が印刷されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させる。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が印刷される。
【0019】
[ディスプレイ28]
筐体14は、ディスプレイ28を有する。ディスプレイ28は、筐体14の前面に位置している。ディスプレイ28は、表示パネルの上にタッチセンサが配置された、所謂タッチパネルである。ただし、ディスプレイ28に代えて、或いはディスプレイ28とともに、表示パネル及び押しボタンが筐体14の前面に位置していてもよい。ディスプレイ28は、ユーザからの入力を受け付ける。
【0020】
[カバー87]
図2に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を被覆する被覆位置(図3(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図3(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、カートリッジ200が装着される装着ケース150が位置している。
【0021】
[装着ケース150]
装着ケース150は、図4に示されるように、接点152と、ロッド153と、装着センサ32と、液面センサ33と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ32、液面センサ33は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
【0022】
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87が開放位置に位置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に開放させる。
【0023】
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に装着され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8の後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8の前向きに通過する。
【0024】
[接点152]
接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ130に電気的に接続されている。
【0025】
[ロッド153]
ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
【0026】
[装着センサ32]
装着センサ32は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ32は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ32は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245は、装着センサ32の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ32の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0027】
装着センサ32は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(以下、「装着信号」と記載)を出力する。装着センサ32は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、装着センサ32は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0028】
[液面センサ33]
液面センサ33は、後述するアクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出するためのセンサである。液面センサ33は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。換言すれば、被検出部194が検出位置に位置するとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置している。一方で、被検出部194が検出位置に位置していないとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置していない。液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号を出力する。液面センサ33は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液面センサ33は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0029】
[ロックピン156]
ロックピン156は、装着ケース150の内部空間の上端で且つ開口85付近において、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックピン156の左右方向9の両端は、装着ケース150の一対の側壁に固定されている。ロックピン156は、4つのカートリッジ200が収容可能な4つの空間に亘って左右方向9に延びている。ロックピン156は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、図6に示される装着位置に保持するためのものである。カートリッジ200は、装着ケース150に装着された状態で、ロックピン156に固定される。
【0030】
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。詳細には、マゼンタのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、マゼンタのインクが貯留されるタンク160と、シアンのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、シアンのインクが貯留されるタンク160と、イエローのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、イエローのインクが貯留されるタンク160と、ブラックのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、ブラックのインクが貯留されるタンク160と、を備える。4つのタンク160の構成は、概ね共通するため、以下では、1つのタンク160を説明する。
【0031】
タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、図4に示されるように、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2液室の一例である。
【0032】
タンク160を構成する壁のうち、少なくとも液面センサ33に対面する壁は、透光性を有している。これにより、液面センサ33が出力した光は、液面センサ33に対面する壁を透過することができる。後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。
【0033】
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ19に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ19は、一端(流出口174)が液室171に連通され、且つ他端89(図3参照)がヘッド21に連通されている。
【0034】
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。すなわち、大気連通室175は、一端(貫通孔176)が液室171に連通され、且つ他端(大気連通ポート177)がプリンタ10の外部に連通されている。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。
【0035】
[ジョイント180]
ジョイント180は、図4に示されるように、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の前端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184を通じて液室171に連通されている。ニードル181は、一端(開口183)がタンク160の外部に連通され、且つ他端(貫通孔184)が液室171に連通されている。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、前端が開口している。
【0036】
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う前向きに付勢している。ニードル181の内部空間は、流路の一例である。
【0037】
[アクチュエータ190]
図4に示されるように、液室171には、アクチュエータ190が位置している。アクチュエータ190は、液室171内に配置された不図示の支持部材によって、矢印198、199の向きに沿って回動可能に支持されている。アクチュエータ190は、図4の実線で示される第1状態と破線で示される第2状態との間を回動することができる。さらに、アクチュエータ190は、不図示のストッパ(例えば、液室171の内壁)によって、実線の位置より矢印198の向きへの回動が規制される。アクチュエータ190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検出部194とを備える。アクチュエータ190は、検出物体の一例である。
【0038】
フロート191は、液室171に貯留されるインクより比重が小さい材料で形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸192は、支持部材に形成された不図示の孔に挿入されている。これにより、アクチュエータ190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。アーム193は、フロート191から略上方へ延びている。被検出部194は、アーム193の先端部に位置している。すなわち、アーム193は、被検出部194と軸192との間に位置する。被検出部194は、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿って延びる板状の部材である。被検出部194は、液面センサ33の発光部から出力された光を遮光する材料又は色で形成されている。
【0039】
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、浮力によって矢印198の向きに回動されたアクチュエータ190は、ストッパによって図4の実線で示される検出位置に保持される。一方、インクの液面が基準位置P未満のとき、アクチュエータ190は、液面の降下に追従して矢印199の向きに回動する。これにより、アクチュエータ190の被検出部194は、検出位置とは異なる位置に移動する。被検出部194は、アクチュエータ190の一部であるため、当該被検出部194は、液室171に貯留されたインクの量に対応する位置に移動する。
【0040】
基準位置Pは、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。しかしながら、基準位置Pは、上下方向7における流出口174より上方の位置であれば、前述の位置に限定されない。他の例として、基準位置Pは、ニードル181の内部空間の上端や下端の高さでもよいし、インク供給口234の上端や下端の高さでもよい。
【0041】
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、液面センサ33の発光部から出力された光が、検出位置に位置する被検出部194で遮られる。これにより、液面センサ33は、発光部からの光が受光部に到達しないので、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P未満のとき、液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部に到達するので、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。すなわち、コントローラ130は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを、液面センサ33から出力される信号によって検出することができる。基準位置Pは、所定位置の一例である。ローレベル信号「L」は、第1信号の一例であり、ハイレベル信号「H」は、第2信号の一例である。以下では、ローレベル信号を「L」、ハイレベル信号を「H」として説明する場合がある。
【0042】
[カートリッジ200]
カートリッジ200は、液体であるインクを内部に貯留する液室210(図3参照)を有する容器である。液室210は、第1液室の一例である。
【0043】
液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、図5(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
【0044】
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
【0045】
カートリッジ200の内部空間には、図5(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。
【0046】
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
【0047】
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通されている。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。
【0048】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前後方向8に沿う前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
【0049】
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から前後方向8に沿う後ろ向きに突出している。供給管230は、その後端が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213は、一端(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他端(後述するインク供給口234)がカートリッジ200の外部と連通されている。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
【0050】
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
【0051】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
【0052】
これにより、図6に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。
【0053】
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。さらに、液室210の底部よりも液室171の底部の方が、下方に位置している。その結果、液室210に貯留されたインクは、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、液室210の水頭と液室171の水頭との差によってタンク160の液室171に流出する。
【0054】
図5に示されるように、上壁204には、突起241が形成されている。突起241は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。突起241は、ロック面242と、傾斜面243とを有する。ロック面242及び傾斜面243は、上壁204より上方に位置している。ロック面242は、前後方向8に沿って前を向き且つ上下方向7及び左右方向9それぞれに沿って延びている(すなわち、上壁204と概ね直交する)。傾斜面243は、上方及び後方を向くように、上壁204に対して傾斜している。
【0055】
ロック面242は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、ロックピン156に当接される面である。傾斜面243は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロックピン156をロック面242と当接する位置まで案内する面である。ロック面242とロックピン156とが当接した状態では、コイルバネ186、223、233の付勢力に抗して、カートリッジ200が図6に示される装着位置に保持される。
【0056】
ロック面242より前方において上壁204から上方へと延びるようにして、平板状の部材が形成されている。この平板状の部材の上面は、カートリッジ200を装着ケース150から抜く際に、ユーザが操作する操作部244である。カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で且つカバー87が開放位置に位置しているとき、操作部244は、ユーザに操作可能となる。操作部244が下方へ押されると、カートリッジ200が回動することによって、ロック面242がロックピン156より下方へ移動する。その結果、カートリッジ200が装着ケース150から抜くことが可能となる。
【0057】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ32の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ32の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130(図1)に出力する。一方、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130に出力する。すなわち、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ32から出力される信号によって検出することができる。
【0058】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、ICチップ34が位置している。ICチップ34には、電極248が形成されている。また、ICチップ34は、不図示のメモリを備える。電極248は、ICチップ34のメモリと電気的に接続されている。電極248は、ICチップ34の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と導通する。コントローラ130は、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリに情報を書き込むことができる。
【0059】
ICチップ34のメモリは、カートリッジ200の種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を記憶する。種別情報とは、カートリッジ200が小容量カートリッジであるか、又は、大容量カートリッジであるか、貯留するインクの色などを示す情報である。シリアルナンバーは、カートリッジ200を個々に識別する情報である。カートリッジ残量値は、カートリッジ200が貯留するインクの量を示す値である。なお、未使用のカートリッジ200では、カートリッジ残量値は、初期インク残量を示す初期残量値がメモリに記憶されている。
【0060】
[コントローラ130]
プリンタ10は、コントローラ130を備える。コントローラ130は、図1に示されるように、CPU35、記憶部36、及び通信バス39を備えている。記憶部36は、ROM37、EEPROM61、及びRAM62を有する。コントローラ130は、第1コントローラの一例である。
【0061】
ROM37は、OS(Operating Systemの略)プログラム37Aや、制御プログラム37Bや、通信プログラム37Cなどを記憶する。制御プログラム37Bは、後述の印刷処理などを行うプログラムである。通信プログラム37Cは、情報収集サーバ40などの外部機器との通信を制御するプログラムである。OSプログラム37A、制御プログラム37Bとは異なるプログラムであり、さらに通信プログラム37Cで制御される動作とは異なる動作を制御するプログラムである。OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cは、CPU35によって、アドレスに記述された命令が処理されることによって実行される。以下では、OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行されることによって処理される動作を、コントローラ130の動作として記載することがある。なお、コントローラ130は、OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行する動作の一部または全部を実現するICを用いたハード回路を有していてもよい。
【0062】
EEPROM61は、プリンタ10の装置情報を記憶する。装置情報は、プリンタ10の識別情報を含む。プリンタ10の識別情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなどである。
【0063】
また、EEPROM61は、第1排出値、第2排出値、初期カートリッジ残量値、初期タンク残量値、S_Emptyフラグ、C_Emptyフラグ、緊急フラグ、及び送信済みフラグを記憶する。詳しくは、後述の印刷処理で説明する。
【0064】
通信バス39には、ヘッド21や、通信インタフェース(以下、通信I/Fと記載)31や、装着センサ32や、液面センサ33や、接点152や、クロック30や、ディスプレイ28や、不図示のモータなどが接続されている。クロック30は、日時情報を出力する。通信I/F31は、通信回線6に接続されている。通信I/F31は、第2通信インタフェースの一例である。
【0065】
コントローラ130は、通信バス39を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させる。また、コントローラ130は、通信バス39を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21からインク滴を吐出させる。
【0066】
また、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを装着センサ32を通じて検出する。さらに、コントローラ130は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを液面センサ33を通じて検出する。
【0067】
また、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶された種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を読み出す。さらに、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値の値を更新する。
【0068】
[情報収集サーバ40]
情報収集サーバ40は、プリンタ10のベンダによってインターネットなどの通信回線6上に設置されてもよいし、当該ベンダとは異なる事業者によって設置されてもよい。情報収集サーバ40は、CPU41と、記憶部42と、プリンタ用通信インタフェース43(以下、通信I/F43と記載)と、発送サーバ用通信インタフェース44(以下、通信I/F44と記載)と、クロック48と、通信バス49とを備える。CPU41、記憶部42、及び通信バス49は、コントローラ45を構成する。クロック48は、日時情報を出力する。通信I/F43は、通信回線6に接続されており、プリンタ10や発送サーバ50と通信を行う。プリンタ10のコントローラ130及び情報収集サーバ40のコントローラ45は、コントローラシステムの一例である。情報収集サーバ40のコントローラ45は、第2コントローラの一例である。通信I/F43は、第1通信インタフェースの一例である。
【0069】
記憶部42は、プログラム記憶領域46と、データ記憶領域47とを有する。プログラム記憶領域46は、ハードディスクなどである。データ記憶領域47は、RAMやハードディスクなどである。
【0070】
プログラム記憶領域46は、OSプログラム46Aや、制御プログラム46Bや、通信プログラム46Cなどのプログラムを記憶する。制御プログラム46Bは、後述の処理を実行する。通信プログラム46Cは、プリンタ10や発送サーバ50との通信を制御する。OSプログラム46Aは、制御プログラム46Bとは異なるプログラムであり、さらに通信プログラム46Cとは異なる制御をするプログラムである。以下では、OSプログラム46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cは、ハードディスクからRAMにコピーされ、RAMにコピーされた命令をCPU41が順に実行することによって実行される。以下では、OSプログラム46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cが実行されることによって処理される動作を、コントローラ45や情報収集サーバ40の動作として記載することがある。
【0071】
[発送サーバ50]
発送サーバ50は、プリンタ10のベンダによってインターネットなどの通信回線6上に設置されてもよいし、当該ベンダとは異なる事業者によって設置されてもよい。発送サーバ50は、情報収集サーバ40からの要求に応じて、プリンタ10のユーザにカートリッジ200を発送するサービスを提供する。
【0072】
発送サーバ50は、CPU51と、記憶部52と、通信インタフェース53(以下、通信I/F53と記載)と、通信バス54とを備える。CPU51、記憶部52、及び通信バス54は、コントローラ55を構成する。通信I/F53は、情報収集サーバ40との通信を行う。CPU51、記憶部52、通信I/F53、通信バス54の構成は、情報収集サーバ40のCPU41、記憶部42、通信I/F43、及び通信バス49の構成と同じである。
【0073】
[配送システム5によるインクの管理]
配送システム5では、情報収集サーバ40がプリンタ10からインクの残量情報を含む管理情報を収集し、インクの残量が少なくなると、発送サーバ50に対してカートリッジ200の発注を行う。このように、インク残量の管理及びカートリッジ200の発注を情報収集サーバ40が行うことで、プリンタ10のユーザによるインク残量の管理及びカートリッジ200の購入の手間を省くことができる。
【0074】
具体的には、プリンタ10のユーザが、インク残量の管理及びカートリッジ200の発注サービスを行っているメーカと契約を締結する。インク残量の管理及びカートリッジ200の発注サービスは、プリンタごとに契約されるサービスであり、契約時に、ユーザ情報や、契約対象のプリンタ10の識別情報が情報収集サーバ40に登録される。ユーザ情報は、カートリッジ200の配送先のユーザの氏名、住所などの宛先に関する情報である。識別情報は、契約対象のプリンタ10を個別に識別するための情報であり、プリンタ10のシリアル番号やMACアドレスなどである。
【0075】
また、プリンタ10の識別情報とユーザ情報とが対応付けられて、情報収集サーバ40に登録される。以下、カートリッジ200の発注に関するプリンタ10、情報収集サーバ40、及び発送サーバ50の処理について、詳しく説明する。
【0076】
[プリンタ10のコントローラ130が実行する処理]
図7図9に示されるフローチャートを参照して、プリンタ10のコントローラ130が実行する処理を説明する。なお、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0077】
[印刷処理]
コントローラ130は、プリンタ10に印刷指示が入力されたことに応じて、図7に示される印刷処理を実行する。印刷指示の取得元は特に限定されないが、例えば、印刷指示に対応するユーザ操作を操作パネル22やディスプレイ28を通じて受け付けてもよいし、通信I/F31を通じて外部装置から受信してもよい。印刷指示は、排出指示の一例である。印刷指示には、画像を示す画像データが含まれる。当該画像データは、プリンタ10のRAM62に記憶される。
【0078】
まず、コントローラ130は、EEPROM61が記憶しているS_Emptyフラグの値が「ON」であるか「OFF」であるかを判断する(S11)。コントローラ130は、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が、タンク160からインクが流出する流出口174の上端に達する前にEEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。EEPROM61のS_Emptyフラグの値は、「ON」を記憶するまでは「OFF」を記憶している。なお、流出口174の上端にインクの液面が達すると、ヘッド21のノズルにエア(空気)が進入してしまう虞がある。ヘッド21のノズルに進入したエアがノズル内に滞留すると、ノズル内へのインクの進入が阻害されたり、ノズルからのインク滴の吐出が阻害されたりする虞が生じる。
【0079】
すなわち、S_Emptyフラグは、ヘッド21のノズルにエアが進入することを防止するためのものである。コントローラ130は、後述のステップS14において、EEPROM61のS_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、ステップS65において、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「ON」であることに応じて、ヘッド21を通じたのインクの排出を禁止する。また、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であることに応じて、ヘッド21を通じたインクの排出を許容する。
【0080】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S11:ON)、装着センサ32から装着信号を所定の時間間隔で取得する。次に、コントローラ130は、取得した装着信号がローレベル信号(以下、「L」と記載)からハイレベル信号(以下、「H」と記載)に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断する(S12)。すなわち、装着信号の変化により、カートリッジ200が装着されたか否かが判断される。以下、コントローラ130が、取得した装着信号が「L」から「H」に変化し、さらに取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断する、ことを、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたか否かを判断する、とする。また、コントローラ130が、取得した装着信号が「L」から「H」に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したかを判断する(S12:Yes)ことを、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたと判断することとする。
【0081】
コントローラ130は、カートリッジ200が装着されていないと判断すると(S12:No)、装着センサ32から装着信号の定期的な取得を継続する。コントローラ130は、カートリッジ200が装着されたと判断すると(S12:Yes)、第1更新処理(S13)を実行する。なお、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたか否かを判断する具体例として、ステップS12の処理を挙げたが、これに限られない。例えば、シリアルナンバーを用いてカートリッジ200が装着されたか否かが判断されてもよい。コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリからカートリッジ200のシリアルナンバーを読み出す。そして、コントローラ130は、読み出したシリアルナンバーと、EEPROM61が記憶しているシリアルナンバーとが一致するか否かを判断する。EEPROM61が記憶しているシリアルナンバーとは、装着ケース150に新しいカートリッジ200が装着される前に装着ケース150に装着されていたカートリッジ200のICチップ34のメモリが記憶しているシリアルナンバーである。この場合、コントローラが、カートリッジ200が装着されたと判断するときの具体例は、コントローラ130は、ICチップ34のメモリから読み出したシリアルナンバーと、EEPROM61が記憶しているシリアルナンバーとが一致しないと判断することである。
【0082】
[第1更新処理]
図8(A)に示される第1更新処理は、コントローラ130が、EEPROM61に記憶された初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値と、カートリッジ200のICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値とを更新する処理である。
【0083】
まず、コントローラ130は、接点152を通じて、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のICチップ34のメモリから、当該ICチップ34のメモリが記憶するカートリッジ残量値を読み出す(S31)。コントローラ130は、読み出したカートリッジ残量値を初期カートリッジ残量値としてEEPROM61に記憶させる(S32)。
【0084】
また、コントローラ130は、タンク残量値をRAM62から読み出す(S33)。なお、電源オフなどによってRAM62にタンク残量値が記憶されていない場合、コントローラ130は、後述の第4更新処理と同様にして、タンク残量値を算出し、当該算出したタンク残量値をRAM62に記憶する。RAM62から読み出されるタンク残量値は、カートリッジ200が装着される直前にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。換言すれば、タンク残量値は、カートリッジ200が抜かれた際にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。コントローラ130は、RAM62から読み出したタンク残量値を初期タンク残量値としてEEPROM61に記憶させる(S33)。
【0085】
コントローラ130は、初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値を加算し、インクの総残量を示す総残量値を算出する(S34)。コントローラ130は、算出した総残量値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する(S35)。
【0086】
具体的に説明すると、新たなカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、カートリッジ200の液室210から、当該液室210に貯留されていたインクの一部がタンク160の液室171へと流出する。カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へのインクの流出は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなると、停止する。新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態でのインク残量を示す。
【0087】
カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM61やROM37が記憶する計算式に基づく算出をすることで決定してもよい。或いは、カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM61やROM37が記憶するテーブルに基づいて決定してもよい。具体的に説明すると、カートリッジ200の液室210の形状及びタンク160の液室171の形状は、設計によって予め決められる。したがって、インクの総残量値が判れば、カートリッジ200に貯留されたインクの水頭とタンク160に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態におけるカートリッジ残量値及びタンク残量値も判る。EEPROM61やROM37は、総残量値からカートリッジ残量値及びタンク残量値を計算する計算式を予め記憶している。或いは、EEPROM61やROM37は、総残量値とカートリッジ残量値とタンク残量値との対応が示されたテーブルを予め記憶している。コントローラ130は、インクの総残量値と、当該計算式やテーブルと、により、新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する。
【0088】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM62に記憶させるとともに、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S36)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM62に記憶させる(S37)。次に、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報を装着日時としてEEPROM61に記憶させ(S38)、第1更新処理を終了する。
【0089】
コントローラ130は、図7に示されるように、第1更新処理が終了すると(S13)、EEPROM61のS_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、EEPROM61のC_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、EEPROM61の第1排出値及び第2排出値としてゼロを記憶させ、EEPROM61の緊急フラグに「OFF」を記憶させ、EEPROM61の送信済みフラグに「OFF」を記憶させる(S14)。コントローラ130は、ステップS14の処理の実行後に、ステップS11の処理を再び実行する。なお、C_Emptyフラグ、第1排出値、第2排出値、緊急フラグ、及び送信済みフラグについては後述する。
【0090】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、液面センサ33からの信号(以下、液面信号と記載)を取得する(S15)。その後、コントローラ130は、RAM62が記憶する画像データに従って、シートに印刷を行う(S16)。画像がシートに印刷されることにより、インクがヘッド21を通じて排出される。インクが排出されたことにより、タンク160におけるインクの液面が下がる。コントローラ130は、印刷の実行後(S16)、液面センサ33から液面信号を取得する(S17)。次に、コントローラ130は、ステップS15で取得した液面信号とステップS17で取得した液面信号との判断をする(S18)。以下、コントローラ130が、液面センサ33から取得するローレベル信号を「L」と記載することがある。また、コントローラ130が、液面センサ33から取得するハイレベル信号を、「H」と記載することがある。
【0091】
コントローラ130は、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「L」であると判断すると(S18:L→L)、第2更新処理(S19)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「L」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS15で取得した液面信号が「L」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS17で取得した液面信号が「L」)である。すなわち、印刷の実行(S16)後、コントローラ130がステップS17で取得した液面信号が「L」である際の、カートリッジ200の液室210には、インクが存在している。
【0092】
[第2更新処理]
図8(B)に示される第2更新処理は、コントローラ130が、印刷やメンテナンスにおいてヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する処理である。第1排出値は、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第1排出値をカウントする。コントローラ130は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出した量に相当する第1排出値をカウントする。すなわち、第1排出値は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出したインクの量の積算値である。この第1排出値は、EEPROM61が記憶している。第1排出値は、排出量の一例である。
【0093】
まず、コントローラ130は、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とをEEPROM61から読み出す(S41)。次に、コントローラ130は、読み出した初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とを加算して総残量値を算出する(S42)。コントローラ130は、算出した総残量値から第1排出値を減算し、新たな総残量値を算出する(S43)。その後、コントローラ130は、上述と同様に、計算式やテーブルを用いて新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する(S44)。
【0094】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM62に記憶させるとともに、ICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S45)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM62に記憶させ(S46)、第2更新処理を終了する。
【0095】
コントローラ130は、図7に示されるように、第2更新処理(S19)が終了すると、次ページの画像データがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S23)。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていると判断すると(S23:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていないと判断すると(S23:No)、印刷処理を終了する。
【0096】
なお、上述したカートリッジ残量値及びタンク残量値の決定方法は一例であり、他の方法によってカートリッジ残量値及びタンク残量値が決定されてもよい。
【0097】
コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、再び、ステップS15からS18までの処理を実行する。コントローラ130は、ステップS15で取得した液面信号が「L」であり、且つステップS17で取得した液面信号が「H」であると判断すると(S18:L→H)、第3更新処理(S20)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15で取得した液面信号が「L」であり、且つS17で取得した液面信号が「H」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P以上(ステップS15で取得した液面信号が「L」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS17で取得した液面信号が「H」)である。すなわち、印刷の実行(S16)中に、カートリッジ200の液室210内にあったインクが存在しなくなったのである。換言すれば、印刷の実行(S16)中にカートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたことを意味する。
【0098】
[第3更新処理]
図8(C)に示される第3更新処理は、コントローラ130が、初期カートリッジ残量値を第1所定値に更新し、かつ初期タンク残量値を第2所定値に更新する処理である。具体的に説明すると、印刷などによってヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値は、誤差を含む。例えば、コントローラ130は、ヘッド21に、ある特定の量のインクの吐出を指示したとしても、実際にヘッド21から吐出されるインクの量と、ヘッド21に指示した特定の量、とに差が生じる場合がある。この差は、例えば、上記インクの吐出を指示した時の温度が原因で生じることがある。温度が低くなるほど、インクの粘度が高くなるため、ノズル29を通じてインクが排出されにくくなるためである。さらに、コントローラ130は、ヘッド21に繰り返し上記の指示を行うと、繰り返し実際にヘッド21を通じて排出されるインクの量と、特定の量を繰り返した量とで、差がより開くこともある。つまり、印刷がされる度に、算出される第1排出値が示す量と、実際にヘッド21を通じて排出された量とでは、誤差が積算される可能性がある。
【0099】
カートリッジ残量値は、上記第1排出値に従って決定されるため、カートリッジ残量値が示すインク残量と、実際の液室210に貯留されたインク残量と、に誤差が発生する。また、タンク残量値は、上記第1排出値に従って決定されるため、タンク残量値が示すインク残量と、実際の液室171に貯留されたインク残量と、に誤差が発生する。したがって、印刷がされる度に決定されるカートリッジ残量値及びタンク残量値は、積算された誤差を含む。第3更新処理は、積算された誤差をリセットする処理である。
【0100】
具体的に説明すると、コントローラ130は、ICチップ34のメモリに記憶された初期カートリッジ残量値を第1所定値で更新する(S51)。第1所定値は、例えば「ゼロ」である。また、コントローラ130は、初期タンク残量値を第2所定値としてRAM62及びEEPROM61に記憶させる(S52)。第2所定値は、基準位置Pにインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第1所定値及び第2所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0101】
次に、コントローラ130は、EEPROM61のC_Emptyフラグに「ON」を記憶させる(S53)。次に、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報をカートリッジエンプティ日時として取得する(S54)。そして、コントローラ130は、ステップS38でEEPROM61に記憶させた装着日時から、ステップS54で取得したカートリッジエンプティ日時までの経過時間を算出する(S55)。なお、カートリッジエンプティとは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたことを示す。
【0102】
コントローラ130は、算出した経過時間が、ROM37またはEEPROM61に記憶された第1時間未満か否かを判断する(S56)。コントローラ130は、算出した経過時間が第1時間未満であると判断すると(S56:Yes)、EEPROM61の緊急フラグに「ON」を記憶させ、第3更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、算出した経過時間が第1時間以上であると判断すると(S56:No)、ステップS57の処理をスキップし、第3更新処理を終了する。すなわち、算出した経過時間が第1時間以上であると、EEPROM61の緊急フラグは、ステップS14で記憶された「OFF」のままとなる。
【0103】
第1時間は、コントローラ130が、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いか否かを判断するための閾値である。具体的に説明すると、カートリッジ200が装着ケース150に装着されてから、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られるまでの時間である経過時間が短いことは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いことを意味する。経過時間が第1時間未満か否かにより、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いか否かが判断される。すなわち、EEPROM61の緊急フラグは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いことに応じて、「ON」が記憶される。一方で、EEPROM61の緊急フラグは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速くないことに応じて、「OFF」が記憶される。
【0104】
コントローラ130は、図7に示されるように、第3更新処理(S20)が終了すると、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたことを示す、カートリッジエンプティを報知する(S22)。具体的には、コントローラ130は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られた旨、又はカートリッジ200を交換する旨、を示すカートリッジエンプティ画像をディスプレイ28に表示させる。なお、カートリッジエンプティの報知は、例えば、ステップS14にて、EEPROM61のC_Emptyフラグに「OFF」が記憶されるまで実行される。すなわち、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られた後から新しいカートリッジ200が装着されるまで、カートリッジエンプティ画像がディスプレイ28に表示される。
【0105】
ディスプレイ28は、報知機の一例である。なお、ディスプレイ28に代えて、或いは、ディスプレイ28とともに、プリンタ10はスピーカを備えていてもよい。この場合、ステップS22において、コントローラ130は、警告音をスピーカに出力させる。スピーカは、報知機の一例である。なお、ディスプレイ28に代えて、或いは、ディスプレイ28とともに、プリンタ10はLEDなどのランプを備えていてもよい。この場合、ステップS22において、コントローラ130は、LEDなどのランプに点滅や点灯をさせる。ランプは、報知機の一例である。
【0106】
コントローラ130は、ステップS22の処理の実行後、次ページの画像データがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S23)。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていると判断すると(S23:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM62に記憶されていないと判断すると(S23:No)、印刷処理を終了する。
【0107】
コントローラ130は、ステップS11の処理で、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、再び、ステップS15からS18までの処理を実行する。コントローラ130は、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「H」であると判断すると(S18:H→H)、第4更新処理(S21)を実行する。ステップS18で、コントローラ130が、ステップS15及びS17で取得した液面信号が共に「H」であると判断した際は、タンク160の液室171に貯留されたインクは、以下の状態である。すなわち、印刷の実行(S16)前のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS15で取得した液面信号が「H」)である。及び、印刷の実行(S16)後のタンク160の液室171に貯留されたインクの液面の位置が基準位置P未満(ステップS17で取得した液面信号が「H」)である。すなわち、印刷の実行(S16)の前後で、コントローラ130が、カートリッジ200の液室210には、インクが存在していない。
【0108】
[第4更新処理]
図8(D)に示される第4更新処理は、コントローラ130が、タンク残量値を算出し、さらに、印刷を禁止するか否かを判断する処理である。まず、コントローラ130は、第2所定値に更新された初期タンク残量値をEEPROM61から読み出す(S61)。コントローラ130は、読み出した初期タンク残量値から第2排出値を減算し、新たなタンク残量値を算出する(S62)。第2排出値は、第1排出値と同様に、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第2排出値をカウントする。コントローラ130は、液面センサ33から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から、現在までにヘッド21が排出したインクの量を示す第2排出値をカウントする。すなわち、第2排出値は、液面センサ33から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から現在までにヘッド21が排出したインクの量の積算値である。この第2排出値は、EEPROM61が記憶している。
【0109】
コントローラ130は、算出した新たなタンク残量値を、RAM62に記憶させる(S63)。次に、コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達したか否かを判断する(S64)。閾値は、ROM37やEEPROM61に予め記憶された値である。コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達していないと判断すると(S64:Yes)、第4更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達したと判断すると(S64:No)、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S65)、第4更新処理を終了する。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」が記憶されていると判断すると、印刷及びメンテナンスを含めて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。
【0110】
閾値は、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174よりも若干上の位置になるような値とされる。詳しく説明すると、液面センサ33が検知する設計上の基準位置Pと、液面センサ33が実際に検知する基準位置Pとの間には、誤差がある場合がある。この誤差は、例えば、アクチュエータ190の動作の不具合等で発生したりする。閾値は、当該誤差が設計時に想定し得る最大の誤差であっても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされる。コントローラ130が、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止することにより、ヘッド21にエアが混入することが抑制される。なお、閾値は、上述の誤差に加え、プリンタ10が傾斜した面に載置されることも考慮して、プリンタ10が所定の傾斜角度の面に載置されても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされてもよい。また、第2排出値は、第1排出値と同様に誤差を含む場合がある。閾値は、第2排出値が有する誤差が最大であっても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされてもよい。
【0111】
コントローラ130は、図7に示されるように、第4更新処理(S21)が終了すると、次ページがRAM62に記憶されているか否かを判断する(S23)。コントローラ130は、次ページがRAM62に記憶されていると判断すると(S23:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ130は、次ページがRAM62に記憶されていないと判断すると(S23:No)、印刷処理を終了する。
【0112】
上述のように、コントローラ130は、ステップS16の印刷を実行する度に、印刷に使用したインクの量に応じてカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する。なお、上述では、コントローラ130が、1ページ分の印刷を実行する度にカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する例を説明した。これに代えて、コントローラ130は、カートリッジ残量値及びタンク残量値を、1パスの印刷を実行する度に決定してもよい。また、コントローラ130は、第2更新処理、第3更新処理、及び第4更新処理を、印刷だけでなく、メンテナンスなどのためにヘッド21を通じてインクが排出されるごとに実行する。メンテナンスの実行指示は、排出指示の一例である。
【0113】
[連絡情報送信処理]
プリンタ10のコントローラ130は、図9に示される連絡情報送信処理を定期的に実行する。具体的には、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が、ROM37又はEEPROM61に記憶された所定時刻になると、連絡情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ130は、所定の時刻ごとに、連絡情報送信処理を実行する。なお、コントローラ130は、所定の時間間隔で連絡情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ130は、クロック30によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、連絡情報送信処理を実行する。
【0114】
連絡情報送信処理は、プリンタ10が、連絡情報を情報収集サーバ40に送信する処理である。連絡情報は、情報収集サーバ40が、発送サーバ50にカートリッジ200を発注する発注情報を送信するか否か判断するための情報である。図9を参照して、連絡情報送信処理の詳細を説明する。
【0115】
まず、コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S100)。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S100:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S100:Yes)、液面センサ33から液面信号を取得し、取得した液面信号が「H」であるか否かを判断する(S101)。
【0116】
すなわち、ステップS101では、今回の連絡情報送信処理を実行するまでに、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られているか否かが判断される。コントローラ130は、取得した液面信号が「H」でないと判断すると(S101:No)、連絡情報送信処理を終了する。
【0117】
一方、コントローラ130は、取得した液面信号が「H」であると判断すると(S101:Yes)、ステップS102に示す処理を実行する。ステップS102において、コントローラ130は、EEPROM61が記憶する緊急フラグが「ON」であるか否かを判断する(S102)。EEPROM61が記憶する緊急フラグの値が「ON」であるときは、カートリッジ200が装着されてから、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置Pに到達したまでの経過時間が、比較的短いときである。つまり、EEPROM61が記憶する緊急フラグの値が「ON」であるときは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いことを示す。
【0118】
コントローラ130は、EEPROM61が記憶する緊急フラグの値が「ON」であると判断すると(S102:Yes)、緊急情報を含む連絡情報を生成する(S103)。具体的には、コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリからカートリッジ200の種別情報を読み出し、さらに、EEPROM61からプリンタ10の装置情報及び緊急情報を読み出す。コントローラ130は、読み出した種別情報と、装置情報と、緊急情報とを含む連絡情報を生成する。なお、コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリから読み出した種別情報をEEPROM61に記憶しておき、当該種別情報をEEPROM61から読み出して連絡情報に含めてもよい。
【0119】
カートリッジ200の種別情報は、例えば、カートリッジ200が、小容量カートリッジであるか、大容量カートリッジであるかや、貯留するインクの色などを示す情報などである。プリンタ10の装置情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなど、プリンタ10の識別情報を含む。プリンタ10の識別情報は、EEPROM61に記憶されている。
【0120】
緊急情報は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いことを示す情報である。なお、緊急情報は、EEPROM61が記憶する緊急フラグの値(ON)そのものであってもよい。
【0121】
一方、コントローラ130は、EEPROM61が記憶する緊急フラグが「OFF」であると判断すると(S102:No)、クロック30が出力する日時情報が、EEPROM61に記憶された所定の送信時刻になったか否かを判断する(S104)。所定の送信時刻は、例えば、0時や12時などの毎日の定刻である。
【0122】
コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が所定の送信時刻になっていないと判断すると(S104:No)、連絡情報送信処理を終了する。一方、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が所定の送信時刻になったと判断すると(S104:Yes)、緊急情報を含まない連絡情報を生成する(S105)。
【0123】
コントローラ130は、連絡情報を生成すると(S103、S105)、通信I/F31を通じて、連絡情報を情報収集サーバ40に送信し(S106)、さらに、EEPROM61の送信済みフラグに「ON」を記憶させ、連絡情報送信処理を終了する。プリンタ10から送信された連絡情報は、情報収集サーバ40に受信される。
【0124】
[発注情報送信処理]
連絡情報を受信した情報収集サーバ40のコントローラ45が実行する発注情報送信処理の詳細を、図10(A)を参照して説明する。情報収集サーバのコントローラ45は、図10(A)に示される連絡情報送信処理を定期的に実行する。具体的には、コントローラ45は、クロック48が出力する日時情報が、記憶部42に記憶された所定時刻になると、発注情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ45は、所定の時刻ごとに、発注情報送信処理を実行する。なお、コントローラ45は、所定の時間間隔で発注情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ45は、クロック48によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、発注情報送信処理を実行する。なお、コントローラ45は、発注情報送信処理を、プリンタ10が連絡情報を送信する時刻を含む時間帯に実行してもよい。
【0125】
まず、情報収集サーバ40のコントローラ45は、通信I/F43を通じて連絡情報を受信したか否かを判断する(S401)。コントローラ45は、連絡情報を受信していないと判断すると(S401:No)、発注情報送信処理を終了する。一方、コントローラ45は、通信I/F43を通じて連絡情報を受信したと判断すると(S401:Yes)、発注情報を生成する(S402)。
【0126】
発注情報は、連絡情報に含まれるカートリッジ200の種別情報や、カートリッジ200を届ける宛名や住所を含むユーザ情報などを含む。コントローラ45は、連絡情報に含まれるプリンタ10の識別情報に対応するユーザ情報を記憶部42から読み出し、発注情報にユーザ情報を含める。
【0127】
また、図には示されていないが、コントローラ45は、受信した連絡情報に緊急情報が含まれているか否か、或いは、値が「ON」である緊急フラグが連絡情報に含まれているか否かを判断する。コントローラ45は、受信した連絡情報に緊急情報が含まれている、或いは、値が「ON」である緊急フラグが連絡情報に含まれていると判断すると、指定情報を発注情報に含める。指定情報は、速達など、通常の配達よりも配達日数の少ない配達を示す情報である。発注情報は、第1情報の一例である。指定情報は、第2情報の一例である。一方、コントローラ45は、受信した連絡情報に緊急情報が含まれていない、或いは、値が「ON」である緊急フラグが連絡情報に含まれていないと判断すると、発注情報に指定情報を含めることはしない。
【0128】
なお、指定情報は、発注情報に常に含まれていてもよい。その場合、コントローラ45は、受信した連絡情報に緊急情報が含まれている、或いは、値が「ON」である緊急フラグが連絡情報に含まれていると判断すると、速達など、通常の配達よりも配達日数の少ない配達を示す指定情報を発注情報に含める。一方、コントローラ45は、受信した連絡情報に緊急情報が含まれていない、或いは、値が「ON」である緊急フラグが連絡情報に含まれていないと判断すると、通常の配達を示す指定情報を発注情報に含める。
【0129】
コントローラ45は、発注情報を生成すると(S402)、生成した発注情報を記憶部42に記憶させるとともに、通信I/F44を通じて発送サーバ50に送信する(S403)。情報収集サーバ40が送信した発注情報は、通信I/F53を通じて発送サーバ50に受信される。
【0130】
[発送情報生成処理]
図10(B)を参照して、発注情報を受信した発送サーバ50のコントローラ55が実行する発送情報生成処理について説明する。発送サーバ50のコントローラ55は、定期的に発注情報生成処理を実行する。なお、コントローラ55は、発注情報生成処理を、情報収集サーバ40が連絡情報を送信する時刻を含む時間帯に実行してもよい。発送サーバ50のコントローラ55は、通信I/F53を通じて発注情報を受信したか否かを判断する(S501)。コントローラ55は、発注情報を受信していないと判断すると、発送情報生成処理を終了する(S501:No)。一方、コントローラ55は、発注情報を受信したと判断すると(S501:Yes)、発送情報を生成し(S502)、発送情報生成処理を終了する。
【0131】
発送情報は、発注情報に含まれる種別情報が示すカートリッジ200を、発注情報に含まれるユーザ情報が示す宛名及び住所宛てに発送することを示す情報である。コントローラ55は、受信した発注情報に指定情報が含まれる場合、指定情報が指定する配達の種類(速達か通常の配達か)でカートリッジ200が発送されるように、発送情報を生成する。生成された発送情報は、カートリッジ200の発送作業に用いられる。
【0132】
[第1実施形態の効果]
本実施形態では、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたことを液面センサ33によって検出する。したがって、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたことを第1排出値によって検出する場合に比べ、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたことの検出が正確になる。この液面センサ33による検知に基づいて、送信された発注情報を、発送サーバ50が受信する。その結果、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られた後に新しいカートリッジ200がユーザの元に届く可能性が高くなる。したがって、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されてインクが無駄に捨てられるおそれが低減する。
【0133】
また、本実施形態では、カートリッジ200の液室210内からインクが流入するタンク160を備えている。したがって、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られても、タンク160の液室171に貯留されたインクにより、印刷を継続して行うことができる。
【0134】
また、本実施形態では、コントローラ130は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されてから、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られるまでの時間である経過時間を算出する。コントローラ130は、算出した経過時間から、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いか否かを判断する。コントローラ130は、インクの排出速度が速いと判断すると、その旨を示す緊急情報または「ON」である緊急フラグを発注情報に含めて送信する。したがって、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られる前に新しいカートリッジ200がユーザの元に届く可能性が高くなる。その結果、新しいカートリッジ200がユーザの元に届くまでにタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれが低減する。なお、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られた、とは、上述のように液室171に貯留されたインクの液面が流出口174よりも上記若干上の位置にある、ということである。
【0135】
また、本実施形態では、配達の速さを示す指定情報が発注情報に含められるので、新しいカートリッジ200がユーザの元に届くまでにタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれがさらに低減する。
【0136】
[第2実施形態]
第1実施形態では、コントローラ130が、カートリッジ200の装着後、連絡情報を送信しておらず(図9、S100:Yes)、且つ取得した液面信号が「H」であると判断すると(図9、S101:Yes)、コントローラ130が、情報収集サーバ40に連絡情報を送信する例を説明した。すなわち、液面センサ33が出力する液面信号に基づいて、プリンタ10が連絡情報を送信する例を説明した。第2実施形態では、第5更新処理(図11(B))で算出する新たな総残量値が第1所定残量値未満になると、プリンタ10から情報収集サーバ40に連絡情報が送信される例を説明する。すなわち、第2実施形態では、プリンタ10は、液面センサ33を備えてなくてもよい。
【0137】
第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、プリンタ10のコントローラ130は、図7に示される印刷処理に代えて、図11(A)に示される印刷処理を実行し、図9に示される連絡情報送信処理に代えて、図12に示される連絡情報送信処理を実行する。なお、以下で説明する処理以外の処理は、第1実施形態で説明した処理と同じである。図11及び図12に示される処理において、第1実施形態と同じ処理については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0138】
第2実施形態に係るプリンタ10のコントローラ130は、図11(A)に示される印刷処理を実行する。コントローラ130は、第1実施形態と同様に、ステップS11からS14までの処理及びステップS16の処理を実行する。コントローラ130は、ステップS11において、EEPROM61のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、ステップS16の処理を実行した後、第5更新処理を実行する(S24)。
【0139】
図11(B)を参照して第5更新処理について説明する。コントローラ130は、第1実施形態で説明した第2更新処理(図8(B))と同様に、ステップS41からS46までの処理を実行する。ステップS46の実行後、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第2所定残量値未満か否かを判断する(S71)。第2所定残量値は、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られたときのインク残量の理論値であり、ROM37又はEEPROM61に予め記憶される。
【0140】
コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第2所定残量値未満であると判断すると(S71:Yes)、EEPROM61のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S72)、第5更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第2所定残量値未満でないと判断すると(S71:No)、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満か否かを判断する(S73)。
【0141】
第1所定残量値は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られた時点でのタンク160の液室171に貯留されたインク残量の理論値である。この第1所定残量値は、ROM37又はEEPROM61に予め記憶される。ステップS43で算出される新たな総残量値は、タンクの第2液室内の液体の量を少なくとも含む残量の一例である。第1所定残量値は、所定量の一例である。
【0142】
なお、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満であるか否かを判断する代わりに、第1排出値が所定値以上か否かを判断してもよい。所定値は、例えば、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値との和である総残量値から、第1所定残量値を減算した値である。新たな総残量値は、第1排出値を用いて算出される値であるので、総残量値が第1所定値未満か否かの判断は、第1排出値が所定値以上か否かの判断と同義である。総残量値が第1所定残量値未満か否かの判断と同等の他の判断は、総残量値が第1所定残量値未満か否かの判断に含まれる。
【0143】
コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満でないと判断すると(S73:No)、第5更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満であると判断すると(S73:Yes)、EEPROM61のC_Emptyフラグに「ON」を記憶させる(S74)。次に、コントローラ130は、第1実施形態と同様に、ステップS54からS57までの処理を実行する。その後、ステップS57の処理を実行したことに応じて、第5更新処理を終了する。
【0144】
第2実施形態のプリンタ10は、図12に示される処理を実行する。具体的には、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が、ROM37又はEEPROM61に記憶された所定時刻になると、図12に示される連絡情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ130は、所定の時刻ごとに、連絡情報送信処理を実行する。なお、コントローラ130は、所定の時間間隔で連絡情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ130は、クロック30によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、連絡情報送信処理を実行する。
【0145】
連絡情報送信処理は、プリンタ10が、連絡情報を情報収集サーバ40に送信する処理である。連絡情報は、第1実施形態と同様である。図12を参照して、第2実施形態の連絡情報送信処理の詳細を説明する。なお、第1実施形態で説明した連絡情報送信処理(図9)と同一の処理については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0146】
まず、プリンタ10のコントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S100)。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S100:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S100:Yes)、第5更新処理のステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満か否かを判断する(S111)。
【0147】
コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満でないと判断すると(S111:No)、連絡情報送信処理を終了する。一方、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満であると判断すると(S111:Yes)、第1実施形態と同様に、ステップS102からステップS106までの処理を実行し、連絡情報を情報収集サーバ40に送信する。
【0148】
プリンタ10が送信した連絡情報は、情報収集サーバ40によって受信される。連絡情報を受信した情報収集サーバ40は、第1実施形態と同様の発注情報送信処理(図10(A))を実行する。また、図10(A)に示される発注情報送信処理によって情報収集サーバ40が送信した発注情報を、通信I/F53を通じて受信した発送サーバ50は、第1実施形態と同様の発送情報生成処理(図10(B))を実行する。
【0149】
[第2実施形態の効果]
本実施形態では、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたか否かが、液面センサ33に代えて、第1排出値に基づいて算出された総残量値によって判断される。
【0150】
また、本実施形態では、カートリッジ200の液室210内からインクが流入するタンク160を備えるので、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られても、タンク160の液室171に貯留されたインクにより、印刷を継続して行うことができる。
【0151】
また、本実施形態では、コントローラ130は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されてから、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られたと想定される時(カートリッジエンプティ日時)までの時間である経過時間を算出する。コントローラ130は、算出した経過時間から、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いか否かを判断する。コントローラ130は、インクの排出速度が速いと判断すると、その旨を示す緊急情報または「ON」である緊急フラグを発注情報に含めて送信する。したがって、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られる前に新しいカートリッジ200がユーザの元に届く可能性が高くなる。その結果、新しいカートリッジ200がユーザの元に届くまでにタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれが低減する。
【0152】
また、本実施形態では、配達の速さを示す指定情報が発注情報に含められるので、新しいカートリッジ200がユーザの元に届くまでにタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれがさらに低減する。
【0153】
[変形例1]
上述の第1実施形態では、コントローラ130が、カートリッジ200の装着後、連絡情報を送信しておらず(図9、S100:Yes)、且つ取得した液面信号が「H」であると判断すると(図9、S101:Yes)、コントローラ130が連絡情報を送信する例を説明した。変形例1では、コントローラ130が、取得した液面信号が「H」であると判断すると、ヘッド21を通じて排出されたインクの排出量に基づいて、連絡情報を送信する例を説明する。
【0154】
変形例1では、プリンタ10は、図9に示される連絡情報送信処理に代えて、図13に示される連絡情報送信処理を実行する。図13に示される処理以外の処理は、第1実施形態で説明された処理と同じである。
【0155】
変形例1では、プリンタ10は、図13に示される連絡情報送信処理を実行する。具体的には、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が、ROM37又はEEPROM61に記憶された所定時刻になると、図13に示される連絡情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ130は、所定の時刻ごとに、連絡情報送信処理を実行する。なお、コントローラ130は、所定の時間間隔で連絡情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ130は、クロック30によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、連絡情報送信処理を実行する。
【0156】
連絡情報送信処理は、プリンタ10が、連絡情報を、情報収集サーバ40に送信する処理である。連絡情報は、第1実施形態と同様である。図13を参照して、連絡情報送信処理の詳細を説明する。なお、第1実施形態で説明した連絡情報送信処理(図9)と同一の処理については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0157】
まず、プリンタ10のコントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S100)。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S100:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S100:Yes)、第1実施形態と同様にステップS101の処理を実行する。コントローラ130は、取得した液面信号が「H」でないと判断すると(S101:No)、連絡情報送信処理を終了する。
【0158】
一方、コントローラ130は、取得した液面信号が「H」であると判断すると(S101:Yes)、ステップS121の処理を実行する。ステップS121の処理は、第2排出値が所定排出値未満か否かを判断する処理である。第2排出値は、液面センサ33が出力する液面信号が「L」から「H」に変化してから、ヘッド21を通じて排出されたインクの量である。
【0159】
なお、コントローラ130は、第2排出値が所定排出値未満か否かを判断する代わりに、第4更新処理(図8(D))で算出されるタンク残量値が閾値以上か否かを判断してもよい。タンク残量値は、第2排出値を用いて算出される値であるので、タンク残量値が閾値以上か否かの判断は、第2排出値が所定排出値未満か否かの判断と同義である。第2排出値が所定排出値未満か否かの判断と同等の他の判断は、第2排出値が所定排出値未満か否かの判断に含まれる。
【0160】
所定排出値は、例えば、液面センサ33が検知するインクの液面に応じて設定され、ROM37やEEPROM61に予め記憶される。例えば、液面センサ33が検知するインクの液面の位置が、基準位置Pより上である場合、液面センサ33がインクの液面を検知する際は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られる前であって、所定量のインクがカートリッジ200に残った状態である。所定排出値は、当該所定量に応じた値に設定される。
【0161】
コントローラ130は、第2排出値が所定排出値未満でないと判断すると(S121:No)、連絡情報送信処理を終了する。一方、コントローラ130は、第2排出値が所定排出値未満であると判断すると(S121:Yes)、第1実施形態と同様に、ステップS102からS106までの処理を実行し、連絡情報送信処理を終了する。すなわち、コントローラ130は、取得した液面信号が「H」であり、かつ第2排出値が所定排出値未満である場合に、連絡情報を生成する(S103、S105)。その後、コントローラ130は、連絡情報を送信し、さらにEEPROM61の送信済みフラグに「ON」を記憶させる(S106)。
【0162】
プリンタ10が送信した連絡情報は、情報収集サーバ40によって受信される。連絡情報を受信した情報収集サーバ40は、第1実施形態と同様の発注情報送信処理(図10(A))を実行する。また、図10(A)に示される発注情報送信処理によって情報収集サーバ40が送信した発注情報は、通信I/F53を通じて発送サーバ50によって受信される、発注情報を受信した発送サーバ50は、第1実施形態と同様の発送情報生成処理(図10(B))を実行する。
【0163】
[変形例1の効果]
変形例1では、コントローラ130は、液面センサ33が出力する液面信号が「H」に変化した後に、ヘッド21を通じて排出されたインクの排出量である第2排出値に応じて連絡情報を送信する。したがって、当該コントローラ130を備えるプリンタ10の、液面センサ33の検知位置を自由に選択できる。
【0164】
また、コントローラ130は、液面センサ33が出力する液面信号が「H」に変化した後に、ヘッド21を通じて排出されたインクの排出量である第2排出値に応じて連絡情報を送信する。したがって、所定排出値の値を変更することにより、プリンタ10が連絡情報を送信するタイミングを自由に変えることができる。
【0165】
[変形例2]
上述の第1実施形態では、コントローラ130が、カートリッジ200の装着後、連絡情報を送信しておらず(図9、S100:Yes)、且つ取得した液面信号が「H」であると判断すると(図9、S101:Yes)、コントローラ130が連絡情報を送信する例を説明した。変形例2では、液面センサ33やアクチュエータ190の故障などによって、液面センサ33が出力する液面信号が「L」から「H」に変化しなくなった場合でも、コントローラ130が、情報収集サーバ40に、連絡情報を送信する例を説明する。
【0166】
変形例2では、プリンタ10は、図9に示される連絡情報送信処理に代えて、図14に示される連絡情報送信処理を実行する。図14に示される処理以外の処理は、第1実施形態で説明された処理と同じである。
【0167】
変形例2では、プリンタ10は、図14に示される連絡情報送信処理を実行する。具体的には、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が、ROM37又はEEPROM61に記憶された所定時刻になると、図14に示される連絡情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ130は、所定の時刻ごとに、連絡情報送信処理を実行する。なお、コントローラ130は、所定の時間間隔で連絡情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ130は、クロック30によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、連絡情報送信処理を実行する。
【0168】
連絡情報送信処理は、プリンタ10が、連絡情報を、情報収集サーバ40に送信する処理である。連絡情報は、第1実施形態と同様である。図14を参照して、連絡情報送信処理の詳細を説明する。なお、第1実施形態で説明した連絡情報送信処理(図9)と同一の処理については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0169】
まず、プリンタ10のコントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S100)。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S100:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S100:Yes)、第1実施形態と同様にステップS101の処理を実行する。コントローラ130は、取得した液面信号が「H」であると判断すると(S101:Yes)、第1実施形態と同様に、ステップS102からS106までの処理を実行し、連絡情報送信処理を終了する。
【0170】
一方、コントローラ130は、取得した液面信号が「H」でないと判断すると(S101:No)、ステップS131の処理を実行する。ステップS131の処理は、第2更新処理(図8(B))のステップS43で算出した新たな総残量値が下限残量値未満か否かを判断する処理である。
【0171】
下限残量値は、以下のように決定される。仮に、液面センサ33やアクチュエータ190が故障したとすると、印刷やメンテナンスの実行によってタンク160の液室171に貯留されたインクの液面位置が、基準位置Pの上方から基準位置Pより下方に下がっても、液面センサ33が出力する液面信号が「L」から「H」に変化しなくなる。そうすると、図7に示されるステップS18の判断処理において、コントローラ130は、液面信号が「L」から「H」に変化したと判断しなくなる。この場合、ステップS19の第2更新処理が継続して実行されることになる。下限残量値は、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面位置が、基準位置Pから、液面センサ33の検出誤差や、第1排出値の誤差等に相当する量だけ下方にある際の、タンク160の液室171に貯留されたインク残量の値として設定される。すなわち、第2更新処理で算出された新たな総残量値が下限残量値未満となることは、液面センサ33やアクチュエータ190が故障している可能性が高い。第2更新処理で算出される新たな総残量値は、タンクの第2液室内の液体の量を少なくとも含む残量の一例である。下限残量値は、所定の残量の一例である。
【0172】
なお、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が下限残量値未満か否かを判断する代わりに、第1排出値が所定値以上か否かを判断してもよい。所定値は、例えば、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値との和である総残量値から、下限残量値を減算した値である。総残量値は、第1排出値を用いて算出される値であるので、総残量値が下限残量値未満か否かの判断は、総残量値が下限残量値未満か否かの判断と同義である。総残量値が下限残量値未満か否かの判断と同等の他の判断は、総残量値が下限残量値未満か否かの判断に含まれる。
【0173】
コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が下限残量値未満でないと判断すると(S131:No)、連絡情報送信処理を終了する。一方、コントローラ130は、ステップS43で算出した新たな総残量値が下限残量値未満であると判断すると(S131:Yes)、緊急連絡情報を含む連絡情報を生成する(S103)。コントローラ130は、生成した連絡情報を通信I/F31を通じて情報収集サーバ40に送信し、さらにEEPROM61の送信済みフラグに「ON」を記憶させ(S106)、連絡情報送信処理を終了する。
【0174】
プリンタ10が送信した連絡情報は、情報収集サーバ40によって受信される。連絡情報を受信した情報収集サーバ40は、第1実施形態と同様の発注情報送信処理(図10(A))を実行する。また、図10(A)に示される発注情報送信処理によって情報収集サーバ40が送信した発注情報を、通信I/F53を通じて受信した発送サーバ50は、第1実施形態と同様の発送情報生成処理(図10(B))を実行する。
【0175】
[変形例2の効果]
変形例2では、例え液面センサ33やアクチュエータ190が故障したとしても、連絡情報が情報収集サーバ40に送信される。したがって、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られる前に新しいカートリッジ200がユーザの元に届けられる可能性が高くなる。その結果、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれを低減することができる。
【0176】
また、変形例2では、コントローラ130が、総残量値が下限残量値未満であると判断すると(S131:Yes)、緊急情報を含む連絡情報を生成し、当該連絡情報を情報収集サーバ40に送信する。したがって、緊急情報を含まない連絡情報が情報収集サーバ40に送信される場合に比べ、新しいカートリッジ200がユーザの元に早く届けられる。その結果、タンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれをさらに低減することができる。
【0177】
なお、コントローラ130は、総残量値が下限残量値未満であると判断すると(S131)、緊急情報を含まない連絡情報を生成してもよい。
【0178】
[変形例3]
上述の第2実施形態のプリンタ10は、上述の第1実施形態と同様に液面センサ33を備えていてもよい。
【0179】
変形例3では、プリンタ10は、図12に示される連絡情報送信処理に代えて、図15に示される連絡情報送信処理を実行する。図15に示される処理以外の処理は、第1実施形態や第2実施形態で説明された処理と同じである。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の処理については、第1実施形態及び第2実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0180】
まず、プリンタ10のコントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S100)。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S100:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM61の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S100:Yes)、第2実施形態と同様に、ステップS111の処理を実行する。コントローラ130は、第5更新処理(図11(B))で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満でないと判断すると(S111:No)、連絡情報送信処理を終了する。
【0181】
一方、コントローラ130は、第5更新処理で算出した新たな総残量値が第1所定残量値未満であると判断すると(S111:Yes)、第1実施形態と同様に、ステップS101からS106までの処理を実行する。
【0182】
プリンタ10が送信した連絡情報は、情報収集サーバ40によって受信される。連絡情報を受信した情報収集サーバ40は、第1実施形態と同様の発注情報送信処理(図10(A))を実行する。また、図10(A)に示される発注情報送信処理によって情報収集サーバ40が送信した発注情報は、通信I/F53を通じて発送サーバ50によって受信される、発注情報を受信した発送サーバ50は、第1実施形態と同様の発送情報生成処理(図10(B))を実行する。
【0183】
[変形例3の効果]
本変形例では、コントローラ130が、算出した総残量値が有する誤差に拘わらず、情報収集サーバ40に、連絡情報を送信する。したがって、新しいカートリッジ200がユーザの元に届くまでにタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷が継続できなくなるおそれがさらに低減する。
【0184】
[その他の変形例]
上述の第1実施形態では、カートリッジ200が装着されてから、液面センサ33が出力する液面信号が「L」から「H」に変化するまでの経過時間がステップS55(図8(D))で算出される例を説明した。また、第2実施形態では、カートリッジ200が装着されてから、総残量値が第1所定残量値未満になるまでの経過時間がステップS55(図11(B))で算出される例を説明した。しかしながら、第2更新処理または第5更新処理で算出される新たな総残量値がROM37やEEPROM61に記憶された第1の所定値(例えば、第1所定残量値と同じである)未満になった後、第1の所定値よりも小さい値である第2の所定値(第2所定残量値よりは大きい)になるまでの時間が経過時間として算出されてもよい。すなわち、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速いか否かが、カートリッジ200の液室210に貯留されたインク残量が第1の所定値が示す残量から第2の所定値が示す残量になるまでの経過時間によって判断されてもよい。総残量値が第1の所定値になったときの日時情報は、所定時点の一例である。
【0185】
また、上述の説明では、カートリッジ200が装着ケース150に装着された時点を、経過時間を算出する起点となる所定時点の例として説明した。しかしながら、経過時間を算出する起点となる所定時点は、カートリッジ200が装着ケース150に装着された後、初めてヘッド21を通じてインクが排出された時点や、初めて印刷が実行された時点など、種々の時点を所定時点とすることができる。
【0186】
また、上述の説明では、算出した経過時間に基づいて、緊急フラグに「ON」を記憶させるか否かを判断する例(S56)を説明した。しかしながら、算出した経過時間に基づいて、連絡情報を速やかに送信するか、後で送信するか否かが判断されてもよい。具体的に説明すると、プリンタ10のコントローラ130は、経過時間が第1時間未満か否かを判断する。この場合の第1時間は、所定時間の一例である。
【0187】
コントローラ130は、経過時間が第1時間未満であると判断すると、ステップS101の判断処理(S101:Yes)の後、或いは、ステップS111の判断処理の後(S111:Yes)、連絡情報を速やかに送信する(S106)。連絡情報を速やかに送信するとは、例えば、クロック30が出力する日時情報が定刻になることを待たずに送信することを意味する。一方、連絡情報を速やかに送信しないとは、例えば、クロック30が出力する日時情報が定刻になることを待って連絡情報を送信することを意味する。すなわち、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が遅い場合は、連絡情報が毎日或いは毎週の定刻に送信され、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速い場合には、毎日或いは毎週の定刻になるまで待たずに連絡情報が送信される。カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの排出速度が速い場合には、連絡情報が速やかに送信されるので、新しいカートリッジ200がユーザの元に届けられる前にタンク160の液室171に貯留されたインクが使い切られて印刷を継続できなくなるおそれがさらに低減する。
【0188】
上述の説明では、プリンタ10が連絡情報を送信し、連絡情報を受信した情報収集サーバ40が発注情報を通信I/F44を通じて発送サーバ50に送信する例を説明した。しかしながら、情報収集サーバ40のコントローラ45が実行する各処理が、プリンタ10のコントローラ130によって実行されてもよい。すなわち、プリンタ10は、連絡情報を送信する代わりに、発注情報を通信I/F31を通じて発送サーバ50に送信する。この場合、プリンタ10は、液体吐出システムの一例であり、プリンタ10及び発送サーバ50は、配送システムの一例である。また、プリンタ10のコントローラ130は、コントローラシステムの一例である。
【0189】
上述の説明では、水頭差によってインクがカートリッジ200からタンク160に流出する例を説明した。しかしながら、重力や、ポンプなどによってインクをカートリッジ200からタンク160に流出させてもよい。すなわち、本発明は、重力や駆動源によってインクをカートリッジ200からタンク160に供給するプリンタにも用いることができる。
【0190】
また、上述の説明では、コントローラ130が、液面センサ33が出力する信号に基づいて、アクチュエータ190の被検出部194が第1状態にあるか第2状態にあるかを検出する構成であるが、液室171におけるインクの液面を検出できれば、液面センサ33の構成は特に限定されない。例えば、液面センサ33は、液室171の後壁164にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室171におけるインクの液面を光学的に検出するセンサであってもよい。また、液面センサ33は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
【0191】
また、上述の説明では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液がカートリッジに貯留されていてもよい。また、ヘッド21を洗浄するための水がカートリッジに貯留されていてもよい。
【符号の説明】
【0192】
5・・・配送システム
10・・・プリンタ
21・・・ヘッド
30・・・クロック
31・・・通信I/F
33・・・液面センサ
36・・・記憶部
40・・・情報収集サーバ
42・・・記憶部
43・・・通信I/F
44・・・通信I/F
45・・・コントローラ
46・・・プログラム
48・・・クロック
50・・・発送サーバ
53・・・通信I/F
55・・・コントローラ
130・・・コントローラ
150・・・装着ケース
160・・・タンク
171・・・液室
190・・・アクチュエータ
200・・・カートリッジ
210・・・液室
図1
図2
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