(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060415
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025353
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2017250522の分割
【原出願日】2017-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康雅
(72)【発明者】
【氏名】田中 訓史
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健二
(72)【発明者】
【氏名】半田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】梶田 真仁
(57)【要約】
【課題】記録媒体のカールが大きくなるのを抑制する定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置100は、エンドレスベルト121と、第1弾性体123と、第1弾性体123よりも硬い第2弾性体124と、外周に弾性層112を有するローラであって、第1弾性体123および第2弾性体124との間でエンドレスベルト121を挟み、エンドレスベルト121との間で記録媒体Sを搬送方向に搬送するローラ(加熱ローラ110)と、を備える。第1弾性体123は、第2弾性体124より搬送方向の上流側に位置している。弾性層112は、第1弾性体123より柔らかい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスベルトと、
第1弾性体と、
前記第1弾性体よりも硬い第2弾性体と、
外周に弾性層を有するローラであって、前記第1弾性体および前記第2弾性体との間で前記エンドレスベルトを挟み、前記エンドレスベルトとの間で記録媒体を搬送方向に搬送するローラと、を備え、
前記第1弾性体は、前記第2弾性体より前記搬送方向の上流側に位置し、
前記弾性層は、前記第1弾性体より柔らかいことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第1弾性体は、前記搬送方向の下流端に角部を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記搬送方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体の間に隙間を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記弾性層のデュロメータ硬さは、6より小さく、
前記第1弾性体のデュロメータ硬さは、6~20であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第2弾性体のデュロメータ硬さは、60~90であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記弾性層のデュロメータ硬さは、5以下であり、
前記第1弾性体のデュロメータ硬さは、6~10であり、
前記第2弾性体のデュロメータ硬さは、70~90であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記ローラは、ヒータを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にトナー像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の記録媒体を加熱ローラとエンドレスベルトでニップして熱定着する定着装置が知られている。エンドレスベルトの内側には弾性体が配置されており、弾性体が加熱ローラに向けて押し付けられている。特許文献1には、ニップ領域を大きくするために、弾性体が記録媒体の搬送方向に離れて2つ設けられた定着装置が記載されている。この定着装置では、下流側のニップ圧を高めて記録媒体のしわを低減するために、下流側の弾性体の硬さが、上流側の弾性体の硬さよりも大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上流側の弾性体が柔らかいと、弾性体を加熱ローラに押し付けたときに、加熱ローラに倣って弾性体が大きく変形する。このため、記録媒体が曲げられた状態で加熱されるため、ニップ部を通過した記録媒体のカール(湾曲)が大きくなってしまうという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は、記録媒体のカールが大きくなるのを抑制する定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の定着装置は、エンドレスベルトと、第1弾性体と、第1弾性体よりも硬い第2弾性体と、外周に弾性層を有するローラであって、第1弾性体および第2弾性体との間でエンドレスベルトを挟み、エンドレスベルトとの間で記録媒体を搬送方向に搬送するローラと、を備えている。第1弾性体は、第2弾性体より搬送方向の上流側に位置している。弾性層は、第1弾性体より柔らかい。
【0007】
このような構成によれば、第1弾性体とローラとのニップ領域では、ローラの弾性層が潰れて、ローラと第1弾性体に挟まれる記録媒体が平面に近づくので、記録媒体のカールを抑制できる。
【0008】
前記した定着装置において、第1弾性体は、搬送方向の下流端に角部を有する構成としてもよい。
【0009】
このような構成によれば、第1弾性体の下流端に角部を有するため、角部で記録媒体をローラに強く押し付けて、ローラに対して記録媒体を反らせることができる。このため、第1弾性体とローラとのニップ領域で、記録媒体がローラに巻き付くようにカールしたとしても、角部による押し付けで記録媒体を逆に反らせて戻し、カールを減少させることができる。
【0010】
前記した定着装置において、搬送方向において、第1弾性体と第2弾性体の間に隙間を有する構成としてもよい。
【0011】
このような構成によれば、ニップ領域を広くすることができる。
【0012】
前記した定着装置において、弾性層のデュロメータ硬さは、6より小さく、第1弾性体のデュロメータ硬さは、6~20である構成としてもよい。
【0013】
前記した定着装置において、第2弾性体のデュロメータ硬さは、60~90である構成としてもよい。
【0014】
前記した定着装置において、弾性層のデュロメータ硬さは、5以下であり、第1弾性体のデュロメータ硬さは、6~10であり、第2弾性体のデュロメータ硬さは、70~90である構成としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ニップ幅を広くしつつ、記録媒体のカールを抑制し、記録媒体の剥離性向上し、定着装置の駆動トルクを抑制することができる。
【0016】
前記した定着装置において、ローラは、ヒータを有する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、定着装置において、記録媒体のカールが大きくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の断面図である。
【
図2】実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
【
図3】ニップしていない状態の定着装置の断面図である。
【
図4】第1弾性体と第2弾性体の硬さを変えたときの、カール特性、剥離特性、ニップ荷重を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りがないかぎり
図1に示した上下方向を上下、
図1における右側を前、左側を後、紙面の手前側を左、紙面の奥側を右として、各方向を示す。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、筐体2と、記録シートなどの記録媒体Sを供給する供給部3と、記録媒体Sにトナー像を形成するためのプロセス部4と、定着装置100と、を主に備えている。
【0021】
供給部3は、筐体2内の下部に設けられ、記録媒体Sを収容する供給トレイ31と、供給トレイ31内の記録媒体Sをプロセス部4に向けて搬送する供給機構32と、を備えている。
【0022】
プロセス部4は、筐体2内に収容されており、露光装置5と、プロセスカートリッジ6と、転写ローラ63と、を備えている。
【0023】
露光装置5は、筐体2内の上部に配置され、一点鎖線で示すレーザ光を、後述する感光体ドラム61の表面に高速走査にて照射する。
【0024】
プロセスカートリッジ6は、露光装置5の下方に配置され、筐体2に対して着脱可能となっている。プロセスカートリッジ6は、静電潜像が形成される感光体ドラム61と、帯電器62と、トナーを収容するトナー収容部65と、トナー収容部65内のトナーを感光体ドラム61に供給する供給ローラ66および現像ローラ64を備えている。
【0025】
このプロセスカートリッジ6では、帯電器62が、回転する感光体ドラム61の表面を一様に帯電する。露光装置5は、感光体ドラム61の表面にレーザ光を出射して、感光体ドラム61の表面を露光することで、感光体ドラム61の表面に画像データに基づく静電潜像を形成する。
【0026】
次いで、回転駆動される現像ローラ64が感光体ドラム61の静電潜像にトナーを供給して、感光体ドラム61の表面上にトナー像を形成する。その後、感光体ドラム61の表面上に担持されたトナー像は、記録媒体Sが感光体ドラム61と転写ローラ63の間で搬送される際に、転写ローラ63に引き寄せられて記録媒体S上に転写される。
【0027】
定着装置100は、プロセスカートリッジ6の後方に設けられている。記録媒体S上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで記録媒体S上に熱定着される。
トナー像が熱定着された記録媒体Sは、搬送ローラ23,24によって排出トレイ22上に排出される。
【0028】
図2に示すように、定着装置100は、ローラの一例としての加熱ローラ110と、加熱ローラ110に対向して配置された加圧ユニット120を主に備えている。
【0029】
加熱ローラ110は、円筒状のローラである。加熱ローラ110は、金属などからなる素管111と、素管111の外周に設けられた弾性層112と、素管111の内側に設けられたヒータ113とを有している。弾性層112の外側には、耐熱性、耐摩耗性を有する被覆などが設けられていてもよい。加熱ローラ110は、定着装置100の図示しないフレームに回転可能に支持されており、レーザプリンタ1の筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が入力されることで
図2の時計回りに回転駆動する。
【0030】
弾性層112は、例えば、シリコンゴムなどのゴムからなる。弾性層112は、後述する第1弾性体123より柔らかい。具体的に、弾性層112のデュロメータ硬さは、6より小さいことが望ましく、5以下であるとさらに望ましい。
【0031】
ここで、硬さとは、ISO7619-1に規定されているデュロメータ硬さのことである。デュロメータ硬さは,規定した条件下で試験片に規定の押針を押し込んだときの押針の押込み深さから得られる値である。
【0032】
なお、シリコンゴムの硬さは、製造時に添加する添加物(シリカ系充填剤やカーボン系充填剤)の比率を変えることで調整することができる。具体的には、添加物の比率を大きくすると、ゴムの硬さが大きくなる。また、シリコン系のオイルを添加することで、硬さを小さくすることもできる。ゴムの製法としては、液状射出成型や押出成型を採用することができる。一般的には、低硬度ゴムは、液状射出成型が適しており、高硬度ゴムは、押出成形が適している。
【0033】
ヒータ113は、加熱ローラ110の弾性層112を加熱するものである。ヒータ113としては、例えば、通電によって発光し、輻射熱によって加熱するハロゲンランプを用いることができる。
【0034】
加圧ユニット120は、図示しない押圧機構により加熱ローラ110に向けて押圧され、記録媒体Sを熱定着させるためのニップ部Nを形成している。ニップ部Nは、第1ニップ部N1と、第2ニップ部N2と、第3ニップ部N3から形成されている。
【0035】
加圧ユニット120は、エンドレスベルト121と、ベルトガイド122と、第1弾性体123と、第2弾性体124と、ホルダ125と、摺動シート126と、ステイ127を主に備えている。ベルトガイド122、第1弾性体123、第2弾性体124、ホルダ125、摺動シート126およびステイ127は、エンドレスベルト121の幅方向から見てエンドレスベルト121の内側に位置している。
【0036】
エンドレスベルト121は、加熱ローラ110と、第1弾性体123および第2弾性体124に挟まれている。エンドレスベルト121は、耐熱性と可撓性を有する無端状のベルトである。エンドレスベルト121は、その両端部が図示せぬサイドガイドによって回転可能に支持されている。エンドレスベルト121は、加熱ローラ110の回転によって
図2の反時計回りに従動回転するように設けられている。
加熱ローラ110とエンドレスベルト121との間で記録媒体Sを搬送方向に搬送する。なお、搬送方向は、加熱ローラ110とエンドレスベルト121との間で形成されるニップ部Nの入り口から出口に向かう方向と等しい。
【0037】
ベルトガイド122は、エンドレスベルト121の内周面と接触可能に配置され、エンドレスベルト121をガイドする部材である。
【0038】
第1弾性体123は、第2弾性体124より搬送方向の上流側に位置している。第1弾性体123は、加熱ローラ110との間でエンドレスベルト121を挟んでいる。第1弾性体123は、加熱ローラ110との間で第1ニップ部N1を形成している。
図3に示すように、加熱ローラ110がエンドレスベルト121と接触していない状態において、第1弾性体123は直方体であり、左右方向に長い長尺状に形成されている。
【0039】
第1弾性体123は、例えば、シリコンゴムなどのゴムからなる。第1弾性体123は、加熱ローラ110の弾性層112より硬く、第2弾性体124より柔らかい。具体的に、第1弾性体123は、デュロメータ硬さが6~80であり、6~20であることが望ましく、6~10であることがさらに望ましい。
【0040】
第1弾性体123は、搬送方向の下流端に角部123Aを有している。より具体的には、エンドレスベルト121の内周面と接する第1弾性体123の表面と、第2弾性体124と対向する第1弾性体123の側面とが接続する部分に、略直角の角部123Aを有している。
【0041】
第2弾性体124は、第1弾性体123から搬送方向の下流側に所定距離離れて配置されている。そして、第1弾性体123と第2弾性体124の間には、所定距離離れた分だけ隙間128を有している。第2弾性体124は、加熱ローラ110との間でエンドレスベルト121を挟んでいる。第2弾性体124は、加熱ローラ110との間で第2ニップ部N2を形成している。また、エンドレスベルト121は、搬送方向における隙間128に対応する位置において、第3ニップ部N3を形成している。第2弾性体124は、加熱ローラ110がエンドレスベルト121と接触していない状態において、直方体であり、左右方向に長い長尺状に形成されている。第2弾性体124の寸法は、加熱ローラ110と加圧ユニット120が並ぶ方向、本実施形態では上下方向において、第1弾性体123の寸法より小さい。
【0042】
第2弾性体124は、例えば、シリコンゴムなどのゴムからなる。第2弾性体124は、第1弾性体123よりも硬い。具体的に、第2弾性体124は、デュロメータ硬さが10~90であり、60~90であることが望ましく、70~90であることがさらに望ましい。
【0043】
ホルダ125は、第1弾性体123と第2弾性体124を保持する部材である。摺動シート126は、エンドレスベルト121の内周面と、第1弾性体123および第2弾性体124に挟まれている。ステイ127は、ベルトガイド122とホルダ125の間に配置され、ベルトガイド122とホルダ125を支持している。
【0044】
以上に説明した本実施形態の定着装置によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
【0045】
定着装置100に記録媒体Sが搬送されると、まず、記録媒体Sは、第1ニップ部N1でニップされる。加熱ローラ110の弾性層112は、第1弾性体123より柔らかいので、第1ニップ部N1では、加熱ローラ110の弾性層112が潰れて、加熱ローラ110と第1弾性体123に挟まれる記録媒体Sが平面に近い形状を保ったまま熱定着される。この結果、記録媒体Sのカールを抑制できる。
【0046】
第1ニップ部N1において、記録媒体Sは加熱ローラ110に巻き付くようにカールする場合がある。しかし、第1弾性体123は下流端に角部123Aを有するので、角部123Aが記録媒体Sを加熱ローラ110に強く押し付け、これにより、記録媒体Sを加熱ローラ110に対して反らせることができる。このため、記録媒体Sが第1ニップ部N1でカールした場合であっても、記録媒体Sを逆向きに戻すことができる。このため、記録媒体Sのカールが大きくなるのを抑制することができる。
【0047】
そして、第1ニップ部N1を通過した後、記録媒体Sは、第3ニップ部N3でニップされる。隙間128に対応して位置する第3ニップ部N3でも記録媒体Sをニップすることが可能なので、ニップ領域を広くすることができる。
【0048】
そして、第3ニップ部N3を通過した後、記録媒体Sは、第2ニップ部N2でニップされる。第2ニップ部N2では、第2弾性体124が弾性層112よりかなり硬いので、第2弾性体124はほとんど変形しない。この結果、第2ニップ部N2では、第1ニップ部N1および第3ニップ部N3に比べて、ニップ圧が大きくできるとともに、記録媒体Sの剥離性が良くなる。
【0049】
また、第2弾性体124が第1弾性体123より上下方向の寸法が小さいので、第2弾性体124は、非常に弾性変形しにくい。
【0050】
以上に説明した本実施形態における第1弾性体123および第2弾性体124の硬さを変えたときの、カール特性、剥離特性、ニップ荷重を測定した結果を
図4に示し、以下に説明する。
【0051】
記録媒体は普通紙とし、各部材のデュロメータ硬さを以下のようにした。
定着ローラの弾性層 5
第1弾性体 4,6,7,8,9,10,15,20
第2弾性体 40,50,60,70,80,90
【0052】
カール特性は、記録媒体が定着装置で熱定着された後、記録媒体の湾曲(カール)の程度を目視で判定し、ほとんど湾曲していないものを「A」とし、湾曲が大きくなるにつれて、「B」「C」「D」とした。
剥離特性は、定着装置から剥離する特性を目視で評価した。もっとも剥離性が良いものを「A」とし、剥離性が悪くなるにつれて「B」「C」「D」とした。
ニップ荷重は、搬送方向におけるニップ部のニップ幅を一定に保つようにするためのニップ荷重、つまり、加圧ユニットを加熱ローラに押圧する荷重を測定して、ニップ荷重が最も小さいものを「A」とし、ニップ荷重が大きくなるにつれて「B」「C」「D」と評価した。なお、ニップ荷重が大きくなると、加熱ローラ110を回転駆動するためのモータのトルクを大きくする必要があるため、ニップ荷重が小さいほどよい。
【0053】
図4に示す実験結果より、第1弾性体123のデュロメータ硬さが4のときは、カール特性が良くないことがわかる。また、第2弾性体124のデュロメータ硬さが40,50のときは、剥離特性が悪く、ニップ荷重が大きくなることがわかる。
まとめると、第1弾性体123のデュロメータ硬さが6~20であり、かつ、第2弾性体124のデュロメータ硬さが60~90であると、ニップ幅を広くしつつ、記録媒体Sのカールが抑制される。
また、第1弾性体123のデュロメータ硬さが6~10であれば、ニップ荷重が小さくなるので、定着装置100の駆動トルクを抑制することができる。そして、第2弾性体124のデュロメータ硬さが70~90であれば、カール特性を良好にすることができる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0055】
前記実施形態においては、画像形成装置の一例としてモノクロのレーザプリンタを例示したが、画像形成装置はカラーの画像形成装置であってもよいし、コピー機や複合機であってもよい。また、記録媒体は、用紙に限らず、OHPシートなどであってもよい。
【0056】
前記実施形態では、ローラがヒータを有する加熱ローラである構成を例示したが、ローラがヒータを有していなくてもよい。この場合、エンドレスベルトの内側にヒータを配置して、エンドレスベルトをヒータで加熱する構成とすればよい。また、ローラの外部にヒータを配置し、ローラ表面を加熱する構成としてもよい。
【0057】
前記実施形態では、第1弾性体と第2弾性体との間に隙間を有する構成としていたが、隙間がない構成としてもよい。
【0058】
前記実施形態では、第1弾性体および第2弾性体を直方体としたが、弾性体は直方体に限られず、他の形状であってもよい。
【0059】
前記実施形態では、第2弾性体の寸法は、上下方向において、第1弾性体の寸法より小さい構成としたが、第2弾性体の寸法は、第1弾性体の寸法以上としてもよい。
【0060】
前記実施形態では、ヒータとしてハロゲンランプを例示したが、ヒータは、例えばカーボンヒータなどであってもよい。また、熱源は、誘導加熱方式のヒータであってもよい。
【0061】
なお、前記実施形態で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 定着装置
110 加熱ローラ
112 弾性層
113 ヒータ
121 エンドレスベルト
123 第1弾性体
123A 角部
124 第2弾性体
128 隙間
S 記録媒体
【手続補正書】
【提出日】2022-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスベルトと、
第1弾性体と、
前記第1弾性体よりも硬い第2弾性体と、
外周に前記第2弾性体より柔らかい弾性層を有するローラであって、前記第1弾性体および前記第2弾性体との間で前記エンドレスベルトを挟み、前記エンドレスベルトとの間で記録媒体を搬送方向に搬送するローラと、を備え、
前記第1弾性体は、前記第2弾性体より前記搬送方向の上流側に位置し、
前記搬送方向において、前記第1弾性体と前記第2弾性体の間に隙間を有し、
前記第1弾性体は、前記ローラとの間で記録媒体をニップする第1ニップ部を形成し、
前記第2弾性体は、前記ローラとの間で記録媒体をニップする第2ニップ部を形成し、
前記エンドレスベルトは、前記隙間に対応する位置で記録媒体をニップする第3ニップ部を形成し、
前記第1弾性体は、直方体であり、前記ローラに近い端部に、前記搬送方向の上流端に位置する上流端の角部と、前記搬送方向の下流端に位置する下流端の角部であって、前記上流端の角部よりも変形量が大きい下流端の角部と、を有し、
前記第2弾性体は、直方体であり、前記ローラに近い端部に、前記搬送方向の上流端に位置する上流端の角部と、前記搬送方向の下流端に位置する下流端の角部であって、前記第2ニップ部を形成しない下流側の角部と、を有し、
前記第3ニップ部の寸法は、前記第2ニップ部の寸法より前記搬送方向において大きいことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2ニップ部では、前記第1ニップ部に比べてニップ圧が大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記ローラと前記エンドレスベルトとが並ぶ方向において、前記第2弾性体の寸法は、前記第1弾性体の寸法より小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1弾性体と前記第2弾性体とを前記ローラと前記エンドレスベルトとが並ぶ方向において保持するホルダを備え、
前記ホルダの前記第1弾性体を保持する面と前記第2弾性体を保持する面とは、前記ローラと前記エンドレスベルトとが並ぶ方向において位置が異なることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第1弾性体と前記第2弾性体とを前記ローラと前記エンドレスベルトとが並ぶ方向において保持するホルダを備え、
前記ホルダの前記第1弾性体を保持する面と前記第2弾性体を保持する面とは、平行であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1弾性体の前記ローラに向いた面と前記第2弾性体の前記ローラに向いた面とは、平行であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1弾性体および前記第2弾性体と、前記エンドレスベルトとの間に挟まれる摺動シートを備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記ローラは、ヒータを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。