(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060416
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/14 20060101AFI20220407BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
G03G15/14 101F
G03G15/20 510
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025354
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2017183826の分割
【原出願日】2017-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 薫
(57)【要約】
【課題】定着器に入る前に、シートが分離ローラと分離パッドに挟まれて電荷が集中した部分を効率的に除電することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、シートに接触する分離ローラと、分離ローラとの間でシートを挟む分離パッドとを有し、シートを分離して送り出す分離部と、シートのおもて面に現像剤像を形成するプロセス部と、加熱部および加圧部とを有し、シートに現像剤像を定着させる定着器と、シートの搬送方向におけるプロセス部と定着器との間に配置され、搬送方向に直交するシートの幅方向において分離ローラと分離パッドによりシートを挟むニップ範囲より広く、幅方向において加熱部と加圧部によりシートを挟む定着範囲より狭い範囲でシートの裏面に対向する面を有する除電部材160と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに接触する分離ローラと、前記分離ローラとの間でシートを挟む分離パッドとを有し、シートを分離して送り出す分離部と、
シートのおもて面に現像剤像を形成するプロセス部と、
加熱部と、加圧部とを有し、シートに現像剤像を定着させる定着器と、
シートの搬送方向における前記プロセス部と前記定着器との間に配置され、前記搬送方向に直交するシートの幅方向において前記分離ローラと前記分離パッドによりシートを挟むニップ範囲より広く、前記幅方向において前記加熱部と前記加圧部によりシートを挟む定着範囲より狭い範囲でシートの裏面に対向する面を有する除電部材と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセス部と前記定着器との間に配置され、電気的に接地された導電部材をさらに備え、
前記除電部材は、前記導電部材に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記除電部材は導電性を有する布であり、一方の面がシートの裏面と対向することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセス部と前記定着器との間に配置され、シートの搬送方向に沿って延びる複数のリブをさらに備え、
前記除電部材は、本体部と、当該本体部からシートに向かって起毛する起毛部と、を有し、
前記複数のリブは、前記本体部よりシートに近いことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記除電部材は、前記複数のリブの間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセス部は、感光体と、前記感光体との間でシートを挟む転写ローラとを有し、 前記除電部材は、前記幅方向から見て感光体と前記転写ローラの共通接線と交差することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記分離部と前記プロセス部との間に配置された紙粉除去部であって、シートのおもて面に接触する樹脂製の第1ローラと、当該第1ローラとの間でシートを挟み、シートの裏面に接触するゴム製の第2ローラと、を有する紙粉除去部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記幅方向において、前記第1ローラがシートに接触する範囲は、前記ニップ範囲より広く、前記除電部材の範囲より狭いことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記除電部材は、画像形成装置で画像形成可能な最小のシート幅より狭い範囲に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
シートに接触する分離ローラと、前記分離ローラとの間でシートを挟む分離パッドとを有し、シートを分離して送り出す分離部と、
シートのおもて面に現像剤像を形成するプロセス部と、
加熱部と、加圧部とを有し、シートに現像剤像を定着させる定着器と、
シートの搬送方向における前記プロセス部と前記定着器との間に配置された除電部材と、を備え、
前記搬送方向に直交するシートの幅方向において、前記除電部材は、シートの前記分離ローラと分離パッドによって挟まれたニップ範囲に対する除電能力が、シートの他の部分に対する除電能力よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記搬送方向における前記プロセス部と前記定着器の間に、シートの裏面に向かって延びる毛を有する除電ブラシをさらに備え、
前記除電ブラシは、前記幅方向において、画像形成装置で画像形成可能な画像形成範囲より広い範囲に配置されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記幅方向において、前記除電ブラシは、前記ニップ範囲に対応する部分が、他の部分よりシートに近接するように突出していることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記幅方向において、前記除電部材は、前記ニップ範囲に対応する部分が、他の部分より前記搬送方向に沿う寸法が大きいことを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを除電する除電部材を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートトレイに積載されたシートが定着器に入るまでの搬送経路において、シートが搬送経路の部品と擦れて、帯電することがある。帯電したシートは紙粉などの異物が付着しやすいため、シートが帯電したまま定着器を通過すると、異物が定着器の加熱部などに蓄積して画像を悪化させる場合がある。このため、特許文献1の画像形成装置では、定着器の入口に除電ブラシを設けてシートを除電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートを分離するときに、シートの分離ローラと分離パッドに挟まれて擦られた部分に電荷が集中して蓄積する場合がある。特許文献1の技術では、電荷が集中した部分を効率的に除電することができないという問題点があった。また、除電ブラシの除電能力をシートの幅方向全体に大きくすると、シートの搬送抵抗が大きくなる可能性があった。
【0005】
そこで、本発明は、シートが分離ローラと分離パッドに挟まれて電荷が集中した部分を、定着器に入る前に効率的に除電することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、シートに接触する分離ローラと、分離ローラとの間でシートを挟む分離パッドとを有し、シートを分離して送り出す分離部と、シートのおもて面に現像剤像を形成するプロセス部と、加熱部および加圧部とを有し、シートに現像剤像を定着させる定着器と、シートの搬送方向におけるプロセス部と定着器との間に配置され、搬送方向に直交するシートの幅方向において分離ローラと分離パッドによりシートを挟むニップ範囲より広く、幅方向において加熱部と加圧部によりシートを挟む定着範囲より狭い範囲でシートの裏面に対向する面を有する除電部材と、を備える。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、プロセス部と定着器の間に、ニップ範囲に対応して除電部材が配置されているので、シートが分離ローラと分離パッドにニップされたニップ範囲に対応する部分を、定着器に入る前に効率的に除電することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートが分離ローラと分離パッドに挟まれて電荷が集中した部分を、定着器に入る前に効率的に除電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【
図6】シートと各種ローラと除電部材の幅方向の寸法を比較した図である。
【
図7】他の実施形態における除電ブラシを示す図である。
【
図8】他の実施形態における導電部材を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、シートSに画像を形成する画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、筐体2内に、給紙部3と、プロセス部4と、定着器6と、排出部7とを主に備えている。
【0011】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、
図1における上下方向を「上下」とする。
【0012】
給紙部3は、プロセス部4にシートSを供給するための構成であり、筐体2内の下部に設けられている。この給紙部3は、シートトレイ31と、シート押圧板32と、ピックアップローラ33と、分離ローラ34と、分離パッド35と、紙粉除去部36と、シートセンサ37とから主に構成されている。
【0013】
ピックアップローラ33は、シートトレイ31からシートSを送り出すローラである。
【0014】
分離ローラ34は、シートSの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)において、ピックアップローラ33の下流側に設けられている。分離ローラ34は、シートSの裏面と接触する。なお、本発明において、シートSの面のうち、画像が形成される面を「おもて面」とし、おもて面の裏側の面を「裏面」とする。
【0015】
分離パッド35は、分離ローラ34との間でシートSを挟み、シートに摩擦力を与える部材である。分離パッド35は、シートSのおもて面と接触する。分離パッド35は、例えばウレタンゴム等の弾性部材からなり、略矩形状に形成されている。分離ローラ34と、分離パッド35とは、複数枚が重なったシートを挟み、分離ローラで1枚ずつ送り出す機能を有する分離部を構成する。
【0016】
紙粉除去部36は、分離ローラ34とプロセス部4との間に配置されている。紙粉除去部36は、シートSのおもて面に接触する樹脂製の第1ローラ36Aと、シートSの裏面に接触するゴム製の第2ローラ36Bと、を有している。第2ローラ36Bは、第1ローラ36Aとの間でシートSを挟む。第1ローラ36Aは、シートSのおもて面の紙粉などを静電気的に吸着させて除去する機能を有する。
【0017】
シートトレイ31に載置されたシートSは、シート押圧板32によってピックアップローラ33に寄せられ、シートSの裏面がピックアップローラ33に接触してピックアップローラ33よって送り出される。送り出されたシートSは、分離ローラ34と分離パッド35によって1枚ずつ分離され、紙粉除去部36によって搬送される。そして、シートSは、シートセンサ37で検知され、プロセス部4、詳しくは円筒形の感光体ドラムである感光体51と転写ローラ53の間に向けて搬送される。
【0018】
プロセス部4は、給紙されたシートSのおもて面に現像剤像を形成するための構成であり、シートトレイ31の上方に設けられている。このプロセス部4は、露光装置40と、プロセスカートリッジ50と、を主に備えている。
【0019】
露光装置40は、筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42と、反射鏡44とを主に備えている。レーザ発光部から出射された画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44の順に反射または通過して、感光体51の表面で高速走査される。
【0020】
プロセスカートリッジ50は、露光装置40の下方に配置され、筐体2に設けられたフロントカバー23を開いたときにできる開口から筐体2に対して着脱することで交換可能に構成されている。このプロセスカートリッジ50は、感光体51と、帯電器52と、感光体51との間でシートSを挟む転写ローラ53と、現像ローラ54と、供給ローラ55と、現像剤を収容する現像剤収容部56とを主に備えている。
【0021】
定着器6は、シートSに現像剤像を定着させるためのものである。定着器6は、プロセス部4の後方に設けられ、中空のローラである加熱部61と、加熱部61と対向配置され、表面が非導電性の弾性体で構成されたローラである加圧部62とを備えている。加熱部61の内部には、ハロゲンヒータからなる熱源61Aが設けられている。加熱部61と加圧部62は、図示しない押圧部材によって互いに押圧されている。定着器6とプロセス部4との間には、プロセス部4から送り出されたシートSを定着器6に案内するシュート10が配置されている。シュート10は、シートSの裏面側に接触して案内するように搬送経路の下側に配置されている。
【0022】
プロセス部4では、感光体51の表面が、帯電器52により一様に正極性に帯電された後、露光装置40からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体51上に静電潜像が形成される。また、現像剤収容部56内の現像剤は、供給ローラ55を介して現像ローラ54に供給され、現像ローラ54上に担持される。
【0023】
そして、現像ローラ54上に担持された現像剤が、感光体51上の静電潜像に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体51上に現像剤像が形成される。その後、給紙部3から供給されたシートSが、感光体51と転写ローラ53の間を搬送され、転写ローラ53に負極性の転写バイアスが印加されることで、感光体51上の現像剤像がシートS上に転写される。次いで、シートSが加熱部61と加圧部62の間を搬送されることで、シートS上に転写された現像剤像が熱定着される。
【0024】
排出部7は、現像剤像が熱定着されたシートSを筐体2の外部に向けて搬送するための構成であり、搬送ローラ72と、排出ローラ73とから主に構成されている。
【0025】
排出ローラ73は、排出経路71の出口付近に設けられており、シートSを筐体2の外部の排紙トレイ22へ排出する。
【0026】
図2に示すように、シュート10は、筐体2に支持された樹脂フレーム2Aと、導電部材100とを有している。
【0027】
導電部材100は、樹脂フレーム2Aの上に配置された導電性を有する部材である。導電部材100は、一枚の金属板から形成されている。導電部材100は、電気的に接地されている。
【0028】
導電部材100は、シートSに対向する第1部分110と、第1部分110より下に位置し、第1部分110の搬送方向下流端から下流側に延びる第2部分120と、第2部分120より下に位置し、第2部分120の搬送方向下流端から下流側に延びる第3部分130と、第1部分110の搬送方向上流端から下に向けて延びるフランジ140とを有している。
【0029】
第1部分110は、搬送方向上流側に位置する第1面111と、第1面111の搬送方向下流端から下流側に向けて、斜め上方に延びる第2面112とを有している。詳しくは、平面状に構成された第1面111および第2面112の間が屈曲部113となっている。
【0030】
図3に示すように、第1部分110には、搬送方向に沿って延びる複数のスリット115が形成されている。スリット115は、第1部分110の前端から後端まで延びており、さらに第2部分120の前端部まで延びている。
【0031】
図2に戻り、樹脂フレーム2Aは、シートSの搬送方向に沿って延びる複数のリブ2Bを有している。リブ2Bは、導電部材100のスリット115を通り抜けて、導電部材100からシートSの搬送経路に向けて突出している。樹脂フレーム2Aは、樹脂からなるので、リブ2Bは、非導電性である。
【0032】
導電部材100には、第1除電部の一例としての除電ブラシ150と、第2除電部の一例としての除電部材160と、第3除電部の一例として加圧部除電部材170とが設けられている。なお、本発明において、シートSの幅方向は、搬送方向に直交する方向であり、転写ローラ53等のシートSを搬送するローラの回転軸線方向である。
【0033】
除電ブラシ150は、シートSの幅方向の略全体を除電するための部材である。除電ブラシ150は、シートSの裏面に向かって延びる毛を有している。除電ブラシ150の毛は、幅方向の全体に渡って均一な長さを有している。除電ブラシ150は、幅方向において、レーザプリンタ1で画像形成可能な最大の画像形成範囲より広い範囲に配置されている。詳しくは、除電ブラシ150の毛は、プロセス部4によってシートSに形成される現像剤像の幅方向の最大範囲よりも広い範囲に配置されている。除電ブラシ150は、導電部材100の前端、具体的には、フランジ140に固定されている。
【0034】
除電部材160は、シートSの幅方向における電荷が集中する範囲を除電するための部材であり、搬送方向において、プロセス部4と定着器6の間に配置されている。除電部材160は、導電部材100の第1部分110の第2面112に接着されている。除電部材160は、幅方向において、分離ローラ34と分離パッド35がシートSをニップするニップ範囲N(
図6参照)に対応して、第2面112の幅方向の中央部に配置されている。除電部材160は、導電部材100を介して電気的に接地されている。
【0035】
除電部材160は、3つの矩形形状の導電性の布からなる。3つの各布は、幅方向に並んで複数のリブ2Bの間に配置されている。除電部材160は、例えば、導電性を有したナイロンの不織布からなる。除電部材160の電気抵抗率は、導電部材100より小さい。
【0036】
加圧部除電部材170は、加圧部62を除電するための部材である。加圧部除電部材170は、導電部材100の第3部分130の上側の面に配置されている。加圧部除電部材170は、加圧部62に沿って幅方向に延びている。加圧部除電部材170は、導電性を有した面状の布からなる。これにより、加圧部62の表面を非導電性の材質で構成した場合でも、電荷の蓄積を抑制することができる。
【0037】
図4に示すように、除電部材160は、一方の面がシートSの裏面と対向する。除電部材160は、本体部161と、本体部161からシートSに向かって起毛する起毛部162と、を有している。起毛部162は、長い毛や短い毛が混在している。
【0038】
シートSがリブ2Bに接触したとき、除電部材160の本体部161は、シートSから離れるように配置されている。つまり、複数のリブ2Bは、除電部材160の本体部161よりシートSの近くに位置する。また、シートSがリブ2Bに接触したとき、除電部材160の起毛部162は、先端がシートSと接触または近接する。
【0039】
図5に示すように、除電部材160は、幅方向から見て、感光体51と転写ローラ53の共通接線Kと交差している。つまり、感光ドラム51と転写ローラ53の間から搬出されるシートSがリブ2Bに到達する位置P1よりも搬送方向下流側には、除電部材160が配置されている。このため、シートSは、その前端が除電部材160に近接し、その後、裏面がリブ2Bに沿って除電部材160に対向しながら案内されるようになっている。
【0040】
図6に示すように、各種ローラおよび除電部材160は、幅方向の中央Cに対して対称に配置されている。幅方向において、除電部材160の範囲L1は、加熱部61と加圧部62によりシートSを挟む定着範囲L5より狭くなっている。また、幅方向において、除電部材160の範囲L1は、レーザプリンタ1において画像形成可能な最大の画像形成範囲L2より狭く、レーザプリンタ1で画像形成可能な最小のシートS1の範囲L3より狭くなっている。詳しくは、画像形成可能な最小のシートS1は、幅方向の中央CからL3/2離れた場所に配置されたシートセンサ37によって検知可能な幅である。
【0041】
また、幅方向において、除電部材160の範囲L1は、ピックアップローラ33の範囲L4より広くなっている。
また、幅方向において、除電部材160の範囲L1は、分離ローラ34と分離パッド35によりシートSを挟むニップ範囲Nより広くなっている。
また、幅方向において、紙粉除去部36の第1ローラ36Aの範囲L6は、シートSと分離パッド35が擦れることにより発生した紙粉を除去するため、ニップ範囲Nより広い。また、範囲L6は、除電部材160の範囲L1より狭い。逆にいうと、除電部材160の範囲L1は、第1ローラ36Aの範囲L6よりも広い。
すなわち、除電部材の範囲L1は、ピックアップローラ33の範囲L4、分離ローラ34と分離パッド35のニップ範囲N、第1ローラ36Aおよび第2ローラ36Bのニップ範囲L6のいずれよりも広い。このため、給紙に用いられるこれらのローラ類とシートSの接触により、シートSが帯電したとしても、この帯電した部分を除電することができるようになっている。
【0042】
なお、各範囲の方向の寸法は、適宜変更可能であるが、一例を示すと、例えば、中央Cを中心として、L1=37mm、L2=210mm、L3=100mm、L4=20mm、N=20mm、L5=220mm、L6=36mm、第1ローラ36Aの寸法=36mm、第2ローラ36Bの寸法=43mmとすることができる。
【0043】
以上のような本実施形態のレーザプリンタ1によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
レーザプリンタ1は、分離ローラ34と分離パッド35とを有する分離部と、シートのおもて面に現像剤像を形成するプロセス部4と、加熱部61と加圧部62とを有する定着器6と、プロセス部4と定着器6との間に配置され、ニップ範囲Nより広く、定着範囲L5より狭い範囲でシートSの裏面に対向する除電部材160と、を備える構成とすることができる。この構成においては、分離ローラ34と分離パッド35にニップされたニップ範囲Nでは、分離ローラ34および分離パッド35がシートSと強く擦れて、シートSに電荷が蓄積しやすい。
シートSに電荷が蓄積したままの状態でシートSが定着装置6を通過すると、シートSに付着した紙粉などの異物が定着装置6の加熱ローラ61などに異物が蓄積して画像を悪化させる場合がある。
しかし、本実施形態のレーザプリンタ1は、プロセス部4と定着器6の間に、分離ローラ34と分離パッド35のニップ範囲Nに対応して除電部材160が配置されているので、シートSが分離ローラ34と分離パッド35にニップされたニップ範囲Nに対応する部分を定着器6に入る前に重点的に除電することができる。このため、定着器6の加熱ローラ61などに異物が蓄積しにくい。
【0044】
また、レーザプリンタ1では、除電部材160は導電性を有する布とすることができる。これによれば、一方の面がシートSの裏側と面で対向するため、シートSの帯電した部分を効率的に除電することができる。
【0045】
また、レーザプリンタ1では、プロセス部4と定着器6との間に搬送方向に沿って延びる複数のリブ2Bを備え、除電部材160は、本体部161と本体部からシートSに向かって起毛する起毛部162とを有し、複数のリブ2Bは、本体部161よりシートSに近い構成とすることができる。これによれば、シュート10によってシートSがプロセス部4から定着器6に案内されるとき、樹脂フレーム2Aのリブ2Bが、導電部材100から突出しており、除電部材160の本体部161よりシートSに近いので、シートSがリブ2Bと接触し、本体部161に接触することが抑制される。このためシートSの搬送抵抗が大きくなることが抑制される。そして、導電部材100の起毛部162の有する長い毛がシートSと接触または近接していることで、シートSを効率的に除電することができる。
【0046】
また、レーザプリンタ1では、除電部材160は、複数のリブ2Bの間に配置されている構成とすることができる。これによれば、リブ2Bの間の空間を利用しているので、除電部材160を配置してもプリンタ1が大型化することを抑制できる。
【0047】
また、
図5に示すように、レーザプリンタ1では、除電部材160は、幅方向から見た感光体51と転写ローラ53の共通接線Kと交差している構成とすることができる。これによれば、プロセス部4から送り出された後、シートSの前端が除電部材160に確実に近接するので、搬送方向において、シートSの全長にわたって除電することができる。
【0048】
また、加圧部除電部材170が加圧部62に対向して配置されているため、加圧部62の表面を除電することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。なお、前記実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0050】
前記実施形態においては、ニップ範囲に対応して除電部材160を配置する構成としたが、除電部材はシートのニップ範囲における除電能力を、シートの他の部分における除電能力より大きくしてもよい。具体的には、前記実施形態においては、導電ブラシの毛の長さが均一であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、幅方向において、除電ブラシは、分離ローラと分離パッドによりシートを挟むニップ範囲に対応する部分が、他の部分よりシートに近接するように突出している構成としてもよい。
【0051】
例えば、
図7に示す実施形態における導電部材200の除電ブラシ250は、第1ブラシ部251と、第1ブラシ部251よりシートSに近接するように突出した第2ブラシ部252とを有している。第2ブラシ部252は、分離ローラ34と分離パッド35によりシートSをニップするニップ範囲Nに対応して配置されている。一例として、幅方向における第2ブラシ部252の範囲L10は、ニップ範囲N以上である。
【0052】
この導電部材200の除電ブラシ250によっても、シートSが分離ローラ34と分離パッド35にニップされたニップ範囲Nを、定着器6に入る前に効率的に除電することができる。
【0053】
前記実施形態においては、第1除電部として除電ブラシを配置していたが、第1除電部として導電性の布を配置してもよい。
【0054】
例えば、
図8に示す実施形態における導電部材300には、導電性の布からなる除電部材360が設けられている。除電部材360は、第1除電部の一例としての幅広部361と、第2除電部の一例としての幅狭部362とを有している。
幅広部361は、幅方向において、レーザプリンタ1で画像形成可能な画像形成範囲より広い範囲に配置されている。幅広部361は、導電部材100の第1面111に配置されている。幅狭部362は、幅方向において、分離ローラ34と分離パッド35にニップされたニップ範囲Nに対応して配置されている。具体的には、幅狭部362は、幅方向において、ニップ範囲Nよりも広く、画像形成範囲よりも狭い。
幅狭部362の上流端は、幅広部361と繋がって一体となっている。除電部材360は、搬送方向において、ニップ範囲Nに対応する部分の寸法L11が、他の部分の寸法L12より大きくなっている。
【0055】
この除電部材360によっても、第1除電部としての幅広部361によってシートSの画像形成範囲の全体を除電することができるとともに、ニップ範囲Nに対応した部分を定着器6に入る前に重点的に除電することができる。
【0056】
前記実施形態においては、画像形成装置の一例としてモノクロのレーザプリンタを例示したが、画像形成装置はカラーの画像形成装置であってもよいし、コピー機や複合機であってもよい。また、シートは、用紙に限らず、OHPシートなどであってもよい。さらに、加熱部および加圧部は、ローラを用いるものに限らず、ベルトを用いることもできる。
【0057】
前記実施形態においては、除電ブラシは導電部材に配置されていたが、他の部材に配置されていてもよい。
【0058】
前記実施形態においては、除電部材は、布であったが、導電性のゴムや導電性樹脂などであってもよい。
【0059】
また、前記した各実施形態の各要素は、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 レーザプリンタ
4 プロセス部
6 定着器
34 分離ローラ
35 分離パッド
61 加熱部
62 加圧部
160 除電部材
N ニップ範囲
S シート
【手続補正書】
【提出日】2022-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに現像剤像を形成するプロセス部と、
加熱部と、加圧部とを有し、シートに現像剤像を定着させる定着器と、
電気的に接地された導電部材と、
前記導電部材に配置され、シートの搬送方向に直交する幅方向において前記加圧部に対向して延びる第1除電部材であって、導電性を有した面状の布からなる第1除電部材と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1除電部材は、前記幅方向において、画像形成装置で画像形成可能な画像形成範囲より広い範囲に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送方向において前記プロセス部と前記定着器との間で前記導電部材に配置され、前記幅方向において前記加熱部と前記加圧部によりシートを挟む定着範囲より狭い範囲でシートに対向する面を有する第2除電部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセス部と前記定着器との間に配置され、シートの搬送方向に沿って延びる複数のリブをさらに備え、
前記第2除電部材は、本体部と、当該本体部からシートに向かって起毛する起毛部と、を有し、
前記複数のリブは、前記本体部よりシートに近いことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2除電部材は、前記複数のリブの間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送方向において前記プロセス部と前記定着器との間に、シートに向かって延びる毛を有する除電ブラシをさらに備え、
前記除電ブラシは、前記幅方向において、画像形成装置で画像形成可能な画像形成範囲より広い範囲で前記導電部材に配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記加熱部は、内部に熱源が配置された中空のローラであり、
前記加圧部は、ローラであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。