(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060417
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 153
B41J2/175 501
B41J2/175 119
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022025355
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2017172822の分割
【原出願日】2017-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小林 昭仁
(57)【要約】
【課題】インクカートリッジがカートリッジ装着部へ接続される際、インクカートリッジの導出孔とカートリッジ装着部の導入孔の開放順を安定して制御可能なインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】複合機10は、記録部24と、連通口61を閉鎖する栓部材62を有するインクカートリッジ50と、上開口部125及び下開口部126を閉鎖する栓部材120を有するカートリッジ装着部71と、栓部材62と当接し、連通口61を開放する位置に栓部材62を移動させる第1シール部材201と、栓部材120と当接し、上開口部125及び下開口部126を開放する位置に栓部材120を移動させる第2シール部材202と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジと、前記インクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、を備えたインクジェット記録装置であって、
前記インクカートリッジは、
インクを収容するインク収容室と、前記インク収容室を内包する本体に形成され、前記インク収容室内のインクを外部に導出するための導出孔と、前記導出孔を閉止する第1位置と開放する第2位置との間を移動する第1弁と、前記第1弁を前記第2位置から前記第1位置へ向けて付勢する第1付勢部材と、前記第1付勢部材によって付勢された前記第1弁と当接して前記第1弁を前記第1位置に位置づける第1当接面と、を有し、
前記カートリッジ装着部は、
前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際の前記インクカートリッジの移動方向である第1方向に延び、内部に前記記録ヘッドへインクを供給するインク供給路が形成されたインク供給部材と、前記インク供給部材に形成され、前記インク収容室内のインクを前記インク供給路に導入するための導入孔と、前記導入孔を閉止する第3位置と開放する第4位置との間を移動する第2弁と、前記第2弁を前記第4位置から前記第3位置に向けて付勢する第2付勢部材と、前記第2付勢部材によって付勢された前記第2弁と当接して前記第2弁を前記第3位置に位置づけることで、前記導入孔を閉止する第2当接面と、を有し、
前記インクカートリッジは、
前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第2弁を押圧して前記第2弁を前記第3位置から前記第4位置へ移動させる第1押圧面を、更に有し、
前記カートリッジ装着部は、
前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第1弁を押圧して前記第1弁を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる第2押圧面と、
前記インク供給路内において前記第1方向に延在し、前記インク供給路をインクが流れる液体流路と、空気が流れる気体流路とに区画する流路区画部材と、を更に有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インク供給部材は、先端に向けて前記第1方向に延在する円柱部を有し、
前記導入孔は、前記円柱部の外周面上に形成され、
前記第2押圧面は、前記円柱部の前記先端に設けられており、
前記第2弁は、前記円柱部の前記外周面を取り囲む環状に形成されるものであり、前記第3位置に位置するときに前記導入孔を閉止する第1部分と、前記第1部分と一体に形成され、前記第1方向と直交する方向において前記第1部分よりも前記円柱部の前記外周面から離れて位置する第2部分と、を有し、前記円柱部の前記外周面に沿って前記第1方向に沿って擦動することで前記第3位置と前記第4位置との間を移動し、
前記第1押圧面は、前記本体において前記導出孔を取り囲む環状に形成され、
前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際には、前記第1押圧面が前記第2弁の前記第2部分に接触することで、前記導出孔から導出されたインクを外部に漏洩させないように封止するとともに前記第2弁を前記第1方向に向けて押圧することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1弁は、前記第2押圧面と接触する被押圧面を有し、
前記第1部分は、前記円柱部の前記外周面上を擦動する擦動面を有し、
前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第1押圧面が前記第2弁の前記第2部分に当接した時点において、
前記第2押圧面と、前記被押圧面との間の前記第1方向における距離である第1距離は、前記擦動面の前記第1方向における前記先端側の一端と、前記導入孔の前記第1方向における前記先端側の一端との間の前記第1方向における距離である第2距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記カートリッジ装着部は、前記インク供給部材の前記円柱部の前記外周面を取り囲む環状に形成され、且つ、前記第2弁と一体に設けられ、前記第2弁が前記第3位置と前記第4位置との間を移動する間、前記円柱部の前記外周面と擦動しながら移動可能な擦動部材を更に有する、請求項2または3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第2押圧面は、前記流路区画部材に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記導入孔は、前記液体流路と連通する第1開口と、前記気体流路と連通する第2開口と、を有し、
前記第2弁は、前記第3位置にあるとき前記第1開口および前記第2開口を閉止し、前記第4位置にあるとき前記前記第1開口および前記第2開口を開放する請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第2開口は、前記第1開口の上方に配置されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクカートリッジ、及びインクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、簡便且つ安価に画像記録を行う画像記録装置として、インクジェット方式の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置が知られている。このようなインクジェット記録装置には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給装置が設けられている。
【0003】
従来のインク供給装置は、記録装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジと、インクカートリッジが接続され、インクカートリッジ内のインクを記録ヘッドへ供給するカートリッジ接続部と、を備えている。
【0004】
インクカートリッジやカートリッジ接続部にはインク流路が設けられており、また、インク流路内から外部へのインクの流出、あるいはインク流路内への空気の混入を防止するために、インク流路を開閉するための弁がそれぞれ設けられている。インクカートリッジがカートリッジ接続部に装着されていない状態では、弁はインク流路を閉止しているが、インクカートリッジの装着時には2つの弁がそれぞれ移動することにより、インクカートリッジのインク流路とカートリッジ接続部のインク流路とを開放、且つ、連通させ、インクカートリッジから記録ヘッドへインクを供給する。
【0005】
例えば、特許文献1におけるインク供給装置では、インクカートリッジの装着時、カートリッジホルダに設けられたインク供給管がインクカートリッジの内部に挿入される。このとき、インクカートリッジの弁体とインク供給管の弁体が押し合うことで、インクカートリッジのインク流路とカートリッジホルダのインク流入口が開放、連通し、インクが記録ヘッドへ供給される。
【0006】
2つの弁体は、どちらも付勢部材によってインク流入口を塞ぐ方向に付勢されている。また、インク供給管の弁体を付勢する付勢部材の付勢力が、インクカートリッジの弁体を付勢する付勢部材の付勢力よりも小さくなるように構成されている。これにより、インクカートリッジの装着時、インクカートリッジの弁体とインク供給管の弁体が押し合った際にインク供給管の弁体が先にインク流入口を開放するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成では、インクカートリッジ側のインク流入口とカートリッジホルダ側のインク流入口の開放順を、各弁体を付勢する付勢部材の付勢力によって制御しているが、例えば経年劣化によって付勢部材の付勢力が変化することにより、付勢部材の付勢力の大きさが変化し、2つのインク流入口の開放順を安定して制御できない虞がある。
【0009】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクカートリッジ側のインク流路と、インクカートリッジが接続されるカートリッジ接続部側のインク流路の開放順を安定して制御することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、インクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジと、前記インクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、を備える。そして、前記インクカートリッジは、インクを収容するインク収容室と、前記インク収容室を内包する本体に形成され、前記インク収容室内のインクを外部に導出するための導出孔と、前記導出孔を閉止する第1位置と開放する第2位置との間を移動する第1弁と、前記第1弁を前記第2位置から前記第1位置へ向けて付勢する第1付勢部材と、前記第1付勢部材によって付勢された前記第1弁と当接して前記第1弁を前記第1位置に位置づける第1当接面と、を有し、前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際の前記インクカートリッジの移動方向である第1方向に延び、内部に前記記録ヘッドへインクを供給するインク供給路が形成されたインク供給部材と、前記インク供給部材に形成され、前記インク収容室内のインクを前記インク供給路に導入するための導入孔と、前記導入孔を閉止する第3位置と開放する第4位置との間を移動する第2弁と、前記第2弁を前記第4位置から前記第3位置に向けて付勢する第2付勢部材と、前記第2付勢部材によって付勢された前記第2弁と当接して前記第2弁を前記第3位置に位置づけることで、前記導入孔を閉止する第2当接面と、を有する。更に、前記インクカートリッジは、前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第2弁を押圧して前記第2弁を前記第3位置から前記第4位置へ移動させる第1押圧面を、更に有し、前記カートリッジ装着部は、前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第1弁を押圧して前記第1弁を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる第2押圧面を、更に有する。
【0011】
本構成によれば、インクカートリッジの第1押圧面が第2弁を押圧することにより導入孔が開放され、カートリッジ装着部の第2押圧面が第1弁を押圧することにより導出孔が開放される。これにより、第1弁と第2弁とが互いに押し合うことによって導出孔、及び導入孔を開放させる構成に比べて、より確実に所望の開放順で導出孔、及び導入孔を開放させることが可能となり、インクカートリッジをカートリッジ装着部に装着させる際におけるインク漏れの虞を低減することができる。
【0012】
(2) 好ましくは、前記インク供給部材は、先端に向けて前記第1方向に延在する円柱部を有し、前記導入孔は、前記円柱部の外周面上に形成され、前記第2押圧面は、前記円柱部の前記先端に設けられており、前記第2弁は、前記円柱部の前記外周面を取り囲む環状に形成されるものであり、前記第3位置に位置するときに前記開口を閉止する第1部分と、前記第1部分と一体に形成され、前記第1方向と直交する方向において前記第1部分よりも前記円柱部の前記外周面から離れて位置する第2部分と、を有し、前記円柱部の前記外周面に沿って前記第1方向に沿って擦動することで前記第3位置と前記第4位置との間を移動する。そして、前記第1押圧面は、前記本体において前記導出孔を取り囲む環状に形成され、前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際には、前記第1押圧面が前記第2弁の前記第2部分に接触することで、前記導出孔から導出されたインクを外部に漏洩させないように封止するとともに前記第2弁を前記第1方向に向けて押圧する。
【0013】
本構成によれば、第1弁を押圧する第2当接面がインク供給部材の先端に形成され、また、導入孔を開閉する第2弁が環状に形成されてインク供給部材の外周面に沿って移動可能に設けられている。更に、第2弁を押圧する第1当接面がインク供給部材を内側に挿入可能な環状に形成されているため、第1弁と第2弁を第1方向に沿った同一直線上に配置し、且つ、第1弁と第2弁が押し合わずに導出孔、及び導入孔を開閉させることが可能となる。これにより、装置の大型を抑制しつつ、所望の開放順で導出孔、及び導入孔を開放させることができる。更に、第2弁と第1押圧面がどちらも環状に形成されているため、第1押圧面が第2弁の第2部分と接触した際に第1弁と第2弁との間の空間を外部から封止し、インクが外部に漏洩する虞を低減することができる。
【0014】
(3) 好ましくは、前記第1弁は、前記第2押圧面と接触する被押圧面を有し、前記第1部分は、前記円柱部の前記外周面上を擦動する擦動面を有する。そして、前記インクカートリッジを前記カートリッジ装着部に装着させる際に前記第1押圧面が前記第2弁の前記第2部分に接触した時点において、前記第2押圧面と、前記被押圧面との間の前記第1方向における距離である第1距離は、前記擦動面の前記第1方向における前記先端側の一端と、前記開口の前記第1方向における前記先端側の一端との間の前記第1方向における距離である第2距離よりも大きい。
【0015】
本構成によれば、インクカートリッジをカートリッジ装着部に装着させる際、導入孔が開放された後に、導出孔が開放される。導出孔が開放した後に導入孔が開放する開放順では、導出孔から流出したインク収容室内のインクがインク供給路内へ流入することができず、第1弁と第2弁との間の空間にインクが溜まり、外部に漏洩する虞がある。本構成では導出孔が開放されたときには導入孔が開放されているため、導出孔から流出したインクがすぐに導入孔を介してインク供給路内へ流入することができ、第1弁と第2弁との間の空間にインクが溜まりにくく、インクが外部に漏洩する虞を抑制することができる。
【0016】
(4) 好ましくは、前記カートリッジ装着部は、前記インク供給部材の前記円柱部の前記外周面を取り囲む環状に形成され、且つ、前記第2弁と一体に設けられ、前記第2弁が前記第3位置と前記第4位置との間を移動する間、前記円柱部の前記外周面と擦動しながら移動可能な擦動部材を更に有する。
【0017】
本構成によれば、擦動部材が常にインク供給部材の外周面と密着するため、インクカートリッジをカートリッジ装着部に装着させる際、より確実に第1弁と第2弁との間の空間を外部から封止することができ、インクが外部に漏洩する虞を低減することができる。
【0018】
(5) 好ましくは、前記カートリッジ装着部は、前記インク供給路内において前記第1方向に延在し、前記インク供給路をインクが流れる液体流路と、空気が流れる気体流路とに区画する流路区画部材を更に有し、前記第2押圧面は、前記流路区画部材に設けられている。
【0019】
本構成によれば、第1弁を押圧する第2押圧面が、インク供給路内を液体流路と気体流路とに区画する流路区画部材に設けられている。これにより、インク供給路を液体流路と気体流路とに区画する部材と第1弁を押圧する部材とを共通部材で形成することができるため、部品点数の低減ができ、装置の小型化が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本構成によれば、インクカートリッジがカートリッジ装着部へ装着される際、インクカートリッジの導出孔とカートリッジ装着部の導入孔の開放順を安定して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る複合機10の外観斜視図であって、(A)はカバー48が閉塞位置にある状態、(B)はカバー48が開放位置にある状態を示す。
【
図2】
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、キャリッジ23及びインク供給装置15の配置を示す平面図である。
【
図4】
図4は、インク供給装置15を左前方から視た斜視図である。
【
図6】
図6は、インクカートリッジ50が取り外された状態におけるインクカートリッジ50とカートリッジ装着部71を模式的に表す模式図である。
【
図7】
図7は、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着された状態におけるサブタンク100の周辺部を示す
図4のV-V矢視断面図である。
【
図10】
図10は、サブタンク100の周辺部を示す
図4のIX-IX矢視断面図である。
【
図11】
図11は、サブタンク100及びバッファタンク90の左前方から視た斜視図である。
【
図13】
図13は、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着される過程におけるインクカートリッジ50、及びカートリッジ装着部71を模式的に表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、複合機10及び複合機10に取り付けられたインクカートリッジ50が使用可能に水平面に設置された姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0023】
[本実施形態]
以下、本実施形態における複合機10が説明される。
【0024】
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体形状である。複合機10は、プリンタ部11、スキャナ部12、及び操作パネル17を有している。プリンタ部11は、複合機10の下部に位置し、インクジェット記録方式で用紙に画像を記録する。スキャナ部12は、スキャン機能を有する装置であり、プリンタ部11の上方に位置する。プリンタ部11は、前方に開口する開口13を有する筐体14と、筐体14の内部において開口13の右方に位置するインク供給装置15と、を備えている。操作パネル17は、プリンタ部11による画像記録やスキャナ部12による画像読取りを複合機10に実行させるために、ユーザーが操作するものである。
【0025】
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1に示されるように、給送トレイ20は、開口13を通じて前後方向8に沿って筐体14に挿抜可能である。開口13は、複合機10の前面で且つ左右方向9の中央部に位置する。
図2に示されるように、給送トレイ20は、積層された複数の用紙を支持可能である。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されており、給送トレイ20と共に前後方向8に沿って挿抜される。排出トレイ21は、排出ローラ対46によって排出された用紙を支持する。
【0026】
[給送部16]
給送部16は、給送トレイ20に支持された用紙を搬送経路38(
図2参照)へ給送する。
図2に示されるように、給送部16は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。給送ローラ25は、給送アーム26の先端に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、不図示の給送用モータから駆動が伝達される。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給送トレイ20に向かって回動付勢されている。
【0027】
以下、用紙の搬送に関わる給送ローラ25、搬送ローラ34、及び排出ローラ36が、用紙を搬送向き38Aに搬送する向きに回転することを「正回転」と表記する。
【0028】
[搬送経路38]
図2に示されるように、搬送経路38は、その一部がプリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19などによって形成される空間を指す。搬送経路38は、給送トレイ20の後端部から後方に延びる経路である。搬送路38は、プリンタ部11の後部において上方に延びつつ前方にUターンし、記録部24とプラテン42との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。
図2及び
図3に示されるように、搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間における搬送経路38は、左右方向9における複合機10の概ね中央に設けられており、且つ前後方向8に延びている。搬送経路38における用紙の搬送向き38Aは、
図2において矢印で示されている。
【0029】
[搬送ローラ対45]
図2に示されるように、搬送ローラ対45は、記録部24より搬送向き38Aの上流に位置する。搬送ローラ対45は、互いに対向する搬送ローラ34及びピンチローラ35を有する。搬送ローラ34は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。ピンチローラ35は、搬送ローラ34の回転に伴って連れ回る。用紙は、正回転する搬送ローラ34及びピンチローラ35に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0030】
[排出ローラ対46]
図2に示されるように、排出ローラ対46は、記録部24より搬送向き38Aの下流に配置されている。排出ローラ対46は、互いに対向する排出ローラ36及び拍車37を有する。排出ローラ36は、不図示の搬送用モータから駆動伝達されて正回転又は逆回転する。拍車37は、排出ローラ36の回転に伴って連れ回る。用紙は、正回転する排出ローラ36及び拍車37に挟持されて搬送向き38Aに搬送される。
【0031】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送向き38Aにおける搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に位置する。記録部24は、搬送経路38を挟んでプラテン42と上下方向7において対向している。記録部24は、キャリッジ23と、キャリッジ23に搭載される記録ヘッド39とを備えている。
【0032】
図3に示されるように、キャリッジ23は、前後方向8に離間しており、各々が左右方向9に延びるガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、不図示のフレームに支持されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、不図示のキャリッジ駆動用モータから駆動伝達されて駆動する。キャリッジ23は、ベルト機構の駆動に伴って、ガイドレール43、44により案内されて左右方向9に往復移動する。キャリッジ23の移動範囲は、
図3の一点鎖線で示されるように、搬送経路38の幅38Bよりも右方及び左方にまで及ぶ。
【0033】
記録ヘッド39と、インク供給装置15に設けられた4つのサブタンク100(100M、100C、100Y、100B)とは、4本のインクチューブ32によって接続されている。記録ヘッド39は、フレキシブルフラットケーブル33によって、不図示の制御基板と接続されている。
【0034】
図3に示されるように、記録ヘッド39と、インク供給装置15とは、4本のインクチューブ32によって接続されている。記録ヘッド39は、フレキシブルフラットケーブル33によって、不図示の制御基板と接続されている。
【0035】
4本のインクチューブ32は、マゼンダインクチューブ32M、シアンインクチューブ32C、イエローインクチューブ32Y、及びブラックインクチューブ32Bは、本明細書において特に区別する必要のない場合、インクチューブ32と総称される。4本のインクチューブ32は、一体に束ねられている。
【0036】
フレキシブルフラットケーブル33は、制御部が実装された制御基板及び記録ヘッド39を電気的に接続するものである。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部から出力される制御信号を記録ヘッド39に伝達する。
【0037】
図2に示されるように、記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が配置されている。複数のノズル40の先端は、記録ヘッド39の下面から露出している。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙に向けて記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙に画像が記録される。また、これにより、4つのサブタンク100に貯留されたインクが消費される。
【0038】
[プラテン42]
図2及び
図3に示されるように、プラテン42は、搬送経路38における搬送ローラ対45及び排出ローラ対46の間に配置されている。プラテン42は、搬送経路38を挟んで記録部24と上下方向7において対向配置されている。プラテン42は、搬送ローラ対45によって搬送される用紙を下方から支持する。
【0039】
[カバー48]
図1(B)に示されるように、筐体14の右前部には、開口47が形成されている。筐体14にはインク供給装置15が収納されており、インク供給装置15の前面が開口47から露出している。筐体14には、開口47を開閉可能なカバー48が取付けられている。カバー48の下端部は、開口47の下方において、左右方向9の軸周りに回転可能に筐体14に支持されている。カバー48は、開口47を閉鎖する閉鎖位置(
図1(A)に示される位置)と、開口47を開放する位置(
図1(B)に示される位置)との間を回転可能である。
【0040】
図1(A)に示されるように、カバー48は、透光部49を有している。透光部49は、カバー48の外側から内部の構成を視認可能な透光性を有する。カバー48が閉鎖位置にあるときに、透光部49から、インク供給装置15に取り付けられたインクカートリッジ50の前面が視認可能である。
【0041】
[インク供給装置15]
図4に示されるように、インク供給装置15は、4つのインクカートリッジ50と、収納ケース71と、4つのサブタンク100と、大気連通部70(
図5、
図11参照)と、を備えている。
【0042】
[インクカートリッジ50]
図1、
図3に示されるように、4つのインクカートリッジ50は、マゼンダインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bからなっている。マゼンダインクカートリッジ50M、シアンインクカートリッジ50C、イエローインクカートリッジ50Y、及びブラックインクカートリッジ50Bは、本明細書において特に区別される必要のない場合、インクカートリッジ50と総称される。
【0043】
図4は、4つのインクカートリッジ50のうち、左右方向9の最も左側に位置するマゼンダインクカートリッジ50Mのみが収納ケース71に収納された状態を示している。
【0044】
図6に示されるように、インクカートリッジ50は、カートリッジ本体51と、ジョイント受部52と、を備えている。カートリッジ本体51は、インクを貯留する第1貯留室53を有する。
【0045】
カートリッジ本体51は、概ね直方体状の箱形状を有している。カートリッジ本体51は、上下方向7及び前後方向8から見て概ね長方形状である。カートリッジ本体51は、カートリッジ本体51の前端部に下方に突出する凸部65を有している。カートリッジ本体51は、上壁54、サブ下壁55、右壁56(
図4参照)、左壁57(
図4参照)、後壁58、前壁59、下壁60を有している。下壁60は、カートリッジ本体51の前部かつ下端部に位置しており、サブ下壁55よりも下方に位置している。サブ下壁55は、下壁60よりも後方に位置している。カートリッジ本体51は、凸部65において、後方に開口する連通口61を有している。連通口61は、サブ下壁55、下壁60、右壁56、及び左壁57によって画定された開口である。
【0046】
図5に示されるように、上壁54には、前後方向8の中央部に上方に突出する当接部64が設けられている。当接部64は、収納ケース71のロックレバー79と当接する部分である。
【0047】
ジョイント受部52は、カートリッジ本体51において連通口61を囲む部分から後方に延びる円筒形状を有している。ジョイント受部52は、サブタンク100のジョイント102が挿入される部分である。
【0048】
図5は、インクカートリッジ50がサブタンク100に装着された装着状態を示している。
図6は、インクカートリッジ50がサブタンク100から分離された分離状態を示している。
【0049】
図6に示されるように、ジョイント受部52には、連通口61を閉鎖可能な栓部材62と、栓部材62を後方に付勢するバネ63と、第2シール部材202と、規制部材204が設けられている。インクカートリッジ50に外力が加わらない状態では、栓部材62は、バネ63の付勢力によって後方側に付勢され、規制部材204の前後方向8における前方側の側面204aと当接している。規制部材204は、ジョイント受け部204の内部に固定されており、栓部材62の後方側への移動を規制するための部材である。栓部材62が規制部材204の側面204aと当接することで、栓部材62は、連通口61を閉鎖する位置に保持される。バネ63は、栓部材62と前壁59との間において前後方向8に沿って延びており、前後方向8に圧縮可能である。一方、
図5に示されるように、ジョイント102によって、バネ63の付勢力よりも大きな前向きの外力が栓部材62に加えられると、栓部材62は前方向に移動して連通口61を開放する位置へと移動する。第2シール部材202については、後述する。
【0050】
[収納ケース71]
図4に示されるように、収納ケース71は、前方が開放された直方体状の箱形状である。収納ケース71は、上壁72、下壁73、右壁74、左壁75、後壁76、及び3つの仕切壁77を有している。上壁72、下壁73、右壁74、左壁75、及び後壁76により、前方が開放された内部空間78が画定されている。3つの仕切壁77は、右壁74及び左壁75と平行な壁であり、内部空間78を、4つの空間に区画している。区画された4つの空間のそれぞれに、4つのインクカートリッジ50のそれぞれが収納される。
【0051】
[サブタンク100]
図4から
図11には、サブタンク100が示されている。サブタンク100は、収納ケース71の下壁73の下方に位置している。
【0052】
図7に示されるように、サブタンク100は、タンク本体101と、ジョイント102と、を備えている。タンク本体101の内部に、インクを貯留する第2貯留室105が形成されている。サブタンク100は、第2貯留室105と連通する液体流路103及び気体流路104を備えている。液体流路103及び気体流路104は、タンク本体101の内部及びジョイント102の内部に形成されている。また、サブタンク100は、第2貯留室105を外部に連通する大気連通口106(
図9、
図10、
図12(A)参照)を備えている。
【0053】
[液体流路103及び気体流路104]
図7に示されるように、液体流路103及び気体流路104は、上下方向7において並列に設けられている。
【0054】
液体流路103は、第1開口131と、第2開口132と、鉛直部分133と、水平部分134と、を有している。第1開口131は、液体流路103の一端側(後端側)に形成され、且つ、第2貯留室105に連通する開口である。第1開口131は、上下方向7に沿って開口している。第2開口132は、液体流路103の一端側とは反対の他端側(前端側)に形成され、且つ、外部に開口する開口である。第2開口132は、前後方向8に沿って開口している。第2開口132は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53内に位置する。鉛直部分133は、液体流路103において開口131から上方に延びる部分である。水平部分134は、液体流路103において第2開口132から後方に延びる部分である。鉛直部分133の上端部は水平部分134の後端部に接続されている。
【0055】
気体流路104は、第1開口141と、第2開口142と、鉛直部分143と、水平部分144と、を有している。第1開口141は、気体流路104の一端側(後端側)に形成され、且つ、第2貯留室105に連通する開口である。第1開口141は、上下方向7に沿って開口している。第2開口142は、気体流路104の一端側とは反対の他端側(前端側)に形成され、且つ、外部に開口する開口である。第2開口142は、前後方向8に沿って開口している。第2開口142は、インクカートリッジ50の装着状態において、インクカートリッジ50の第1貯留室53に連通する。鉛直部分143は、気体流路104において第1開口141から上方に延びる部分である。水平部分144は、気体流路104において第2開口142から後方に延びる部分である。鉛直部分143の上端部は水平部分144の後端部に接続されている。
【0056】
[タンク本体101]
タンク本体101は、概ね直方体状の外壁を有している。タンク本体101は、上下方向7から見て概ねT字形状(
図9、
図10参照)であり、前後方向8から見て概ね長方形状(
図8参照)であり、左右方向9から見てL字形状(
図4から
図7参照)である。
【0057】
図4から
図11に示されるように、タンク本体101の外壁は、後側上壁107、屈曲上壁130、前側上壁108、下壁109、2つの後側側壁110、2つの前側屈曲側壁111、後壁112、及び前壁113を有している。後側上壁107は、後端から水平面に対して上方へ傾斜しながら前方に延びる壁である。屈曲上壁130は、後側上壁107の前端から延びる壁であって、前方に向かって上方へ屈曲している。前側上壁108は、屈曲上壁130の上端から、水平面と平行に前方へ延びている。下壁109は、水平面と平行に前後方向8に延びている。下壁109は、上下方向7から見てT字形状を有している。後側側壁110は、左右方向9から見て概ね長方形である。
図9に示されるように、後側側壁110は、隣り合う異なるインクのタンク本体101において共有されている。前側屈曲側壁111は、屈曲上壁130及び前側上壁108と、下壁109とを上下方向7に接続している。前側屈曲側壁111は、左右方向9から見て概ね長方形であり、上下方向7から見て隅部が弧を描くL字形状である、後壁112は、下壁109の後端部から上方に延びており、左右に位置する2つの後側側壁110と、後側上壁107とに接続されている。前壁113は、下壁109の前端部から上方に延びており、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111に接続されている。
【0058】
図7、
図11に示されるように、下壁109には、第2貯留室105に連通する連通口129が形成されている。連通口129には、インクチューブ32の一端部が接続されており、インクチューブ32を介して、第2貯留室105と記録ヘッド39とが連通接続されている。
【0059】
図7、
図11に示されるように、タンク本体101の前端部且つ上部には、前後方向8に延びる円筒形状の内筒部114が設けられている。内筒部114の内部は、前壁113、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111、及び前側上壁108によって形成され、開口に連通している。内筒部114には、ジョイント102の後端部が取付け可能である。内筒部114にジョイント102が取付けられた装着状態では、内筒部114とジョイント102の内部が連通する。
【0060】
[幅広部150及び幅狭部151]
図10に示されるように、タンク本体101は、前後方向8に沿って並ぶ幅広部150及び幅狭部151を有している。幅広部150は、タンク本体101において前後方向8の後部に位置し、2つの後側側壁110及び後壁112を含む部分である。幅狭部151は、タンク本体101において前後方向8の前端部に位置し、2つの前側屈曲側壁111及び前壁113を含む部分である。幅狭部151の左右方向9における幅は、幅広部150の左右方向9における幅よりも小さい。第2貯留室105は、幅広部150及び幅狭部151に亘って形成されている。
【0061】
[鉛直壁115及び水平壁116]
図7、
図11に示されるように、タンク本体101は、タンク本体101の前部且つ上部に、鉛直壁115及び水平壁116を備えている。
【0062】
鉛直壁115は、上下方向7に延びる壁であり、前後方向8において前壁113と屈曲上壁130との間に位置している、鉛直壁115は、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111を接続しており、前壁113、前側上壁108、2つの前側屈曲側壁111に画定される空間を前後に区画している。鉛直壁115の下端位置が、液体流路103の第1開口131の上下方向7における位置であり、且つ、気体流路104の第1開口141の上下方向7における位置である。鉛直壁115の下端位置は、後側上壁107の前端の下端位置と等しい。
【0063】
水平壁116は、鉛直壁115の上端から前方に延びる壁である。水平壁116は、内筒部114の内部まで延びている。水平壁116は、左右に位置する2つの前側屈曲側壁111を接続し、且つ、内筒部114の内面を左右方向9において接続している。水平壁116は、前側上壁108、2つの前側屈曲側壁111によって画定される空間と、内筒部114によって画定される空間とを、上下に区画している。
【0064】
図10に示されるように、液体流路103の鉛直部分133は、鉛直壁115、前壁113、及び2つの前側屈曲側壁111によって形成されている。液体流路103の鉛直部分133において上下方向7と直交する断面の形状は、矩形である。液体流路103の鉛直部分133は、第2貯留室105を区画する2つの前側屈曲側壁111と面一に連続している。したがって、液体流路103の鉛直部分133の左右方向9における幅は、幅狭部151によって画定される第2貯留室105の左右方向9における幅と、同じである。
【0065】
図10示されるように、気体流路104の鉛直部分143は、屈曲上壁130、鉛直壁115、及び2つの前側屈曲側壁111によって形成されている。気体流路104の鉛直部分143において上下方向7と直交する断面の形状は、矩形である。気体流路104の鉛直部分143は、第2貯留室105を区画する2つの前側屈曲側壁111と面一に連続している。したがって、気体流路104の鉛直部分143の左右方向9における幅は、幅狭部151によって画定される第2貯留室105の左右方向9における幅と、同じである。
【0066】
図10に示されるように、気体流路104の第1開口141の前後方向8に沿った長さ149は、液体流路103の第1開口131の前後方向8に沿った長さ148よりも長い。気体流路104の第1開口141の左右方向9に沿った長さは、液体流路103の第1開口131の左右方向9に沿った長さに等しい。そのため、気体流路104の第1開口141の開口面積は、液体流路103の第1開口131の開口面積よりも大きい。
【0067】
図7に示されるように、気体流路104の鉛直部分143において、気体流路104の開口面積は、気体流路104の第1開口141に近づくにつれて拡大している。液体流路103の鉛直部分133では、液体流路103の開口面積は、上下方向7において一定である。
【0068】
図7に示されるように、タンク本体101内における液体流路103の水平部分134は、前側上壁108、水平壁116、2つの前側屈曲側壁111、及び内筒部114によって形成されている。タンク本体101内における気体流路104の水平部分144は、水平壁116、2つの前側屈曲側壁111、及び内筒部114によって形成されている。
【0069】
[第1リブ117]
図7、
図11に示されるように、タンク本体101は、鉛直壁115と連続する第1リブ117を備えている。第1リブ117は、前側屈曲側壁111から突出しており、鉛直壁115から下方に延びている。第1リブ117と下壁109との間は離間している。左右に位置する2つの前側屈曲側壁111のそれぞれに第1リブ117が設けられており、1つの第2貯留室105内には、2つの第1リブ117が左右方向9に離れて位置している。
【0070】
[インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウト]
以下、インクカートリッジ50及びサブタンク100のレイアウトについて説明する。レイアウトは、インクカートリッジ50が収納ケース71に装着され、インクカートリッジ50及びサブタンク100が
図5に示される使用姿勢であるとして説明する。
【0071】
図5に示されるように、インクカートリッジ50の凸部65は、上下方向7において、ジョイント102と略同じ位置にあるが、インクカートリッジ50の凸部65より上方の部分は、ジョイント102よりも上方にある。そのため、インクカートリッジ50の第1貯留室53の大部分は、ジョイント102よりも上方にある。また、サブタンク100の上部、すなわち屈曲上壁130付近から上方の部分は、ジョイント102と略同じ位置にあるが、サブタンク100の屈曲上壁130付近よりも下方の部分は、ジョイント102よりも下方にある。そのため、サブタンク100の第2貯留室105の大部分は、ジョイント102よりも下方にある。
【0072】
第1貯留室53の凸部65よりも上方の部分は、液体流路103の水平部分134及び気体流路104の水平部分144よりも上方に位置している。第2貯留室105は、液体流路103の水平部分134及び気体流路104の水平部分144よりも下方に位置している。第1貯留室53の下側部分と、第2貯留室105の上側部分とは、前後方向8の同軸上に並んでいる。第1貯留室53の容積は、第2貯留室105の容積よりも大きい。
【0073】
気体流路104の水平部分144は、液体流路103の水平部分134よりも上方に位置している。
【0074】
図7に示されるように、第1貯留室53の連通口61から後方に向けて、液体流路103の第1開口131、気体流路104の第1開口141、及び大気連通口106が順に位置している。第1貯留室53の連通口61の上下方向7の位置が、第1貯留室53と液体流路103とが連通する上下方向7における位置に相当し、その上下方向7の位置において連通口61から後方に向かう方向が、第1貯留室53から遠ざかる方向である。
【0075】
[大気連通部70]
図5、
図11、
図12に示されるように、大気連通部70は、バッファタンク90と、連通流路145と、大気連通路147と、を備えている。
【0076】
[バッファタンク90]
図5、
図11に示されるように、バッファタンク90は、収納ケース71の下方且つサブタンク100の上方に位置している。
【0077】
図5、
図11に示されるように、バッファタンク90は、上壁91、下壁92、2つの側壁93、3つの仕切壁94、後壁95、及び突出壁96を備えている。上壁91は、水平面に対して傾斜した面に沿って拡がる壁である。下壁92は、後方から水平面と平行に延びながら、前方に向かうにつれて上方に屈曲する壁である。下壁92の前端部は上壁91の前端部に接続している。2つの側壁93は、上壁91及び下壁92の左右方向9の両端部をそれぞれ上下方向7に接続する壁である。3つの仕切壁94は、2つの側壁93と左右方向9に並列に配置された壁である。後壁95は、上壁91及び下壁92の後端部を接続する壁である。突出壁96は、上壁91の後端部から上方に延びる壁である。後壁95と突出壁96との間には、前後方向8に隙間が形成されている。
【0078】
[バッファ室97]
上壁91、下壁92、2つの側壁93、後壁95によって画定される内部空間は、3つの仕切壁94により4つのバッファ室97として区画されている。4つのバッファ室97は、それぞれ4つのサブタンク100に連通接続されている。4つのバッファ室97は、気液置換により第1貯留率53内のインクが第2貯留室105に供給されるに伴って第1貯留室53に送られる空気を、貯留可能な空間である。4つのバッファ室97は、記録部24よりも上方に位置している。
【0079】
図5に示されるように、第1貯留室53の下方にバッファ室97が位置し、バッファ室97の下方に第2貯留室105が位置している。凸部65内に形成された第1貯留室53の一部及びバッファ室97の一部は、前後方向8の同軸上に並んでいる。さらに、凸部65の一部、ジョイント102の一部、及びバッファタンク90の一部が、前後方向8の同軸上に並んでいる。また、第1貯留室53の一部及びバッファ室97の一部は、上下方向7の同軸上に並んでいる。
【0080】
[連通流路145]
図12(A)に示されるように、バッファタンク90の下壁92は、バッファ室97に連通する開口部98を有している。インク供給装置15は、タンク本体101の大気連通口106とバッファタンク90の開口部98とを接続する接続管99を備えている。接続管99は、円筒形状である。接続管99の内面によって、第2貯留室105とバッファ室97とを接続する連通流路145が形成されている。連通流路145は、上下方向7に延びている。
【0081】
[大気連通路147]
図12(B)に示されるように、上壁91の後端部には、バッファ室97毎に開口部146が形成されている。上壁91は、突出壁96の後方に4つの開口部146を有している。上壁91の下面は、前後方向8に沿って開口部98と反対(後方)に向かって上方に傾斜している。開口部146は、上壁91の下面が上下方向7の最も高い位置において、上壁91に開口している。ここで、後壁95の前面と突出壁96の後面とによって、上下方向7に延びる大気連通路147が形成されている。大気連通路147は、開口部146を介してバッファ室97から上方に延びており、複合機10の筐体14の外部に連通している。
【0082】
[ジョイント102]
図6、
図7に示されるように、ジョイント102は、ジョイント本体118、内壁119、栓部材120、第1シール部材201、及びバネ121を備えている。
【0083】
[ジョイント本体118]
図7に示されるように、ジョイント本体118は、後端部に位置する外筒部122と、前端部に位置する先端部123と、外筒部122及び先端部123を接続する本体部124と、を備えている。外筒部122は、円筒形状を有しており、前後方向8に延びている。先端部123は、前後方向8の軸を軸芯とする円板形状を有している。本体部124は、円筒形状を有しており、前後方向8に延びている。ジョイント本体118の外周面上における本体部124と先端部123との間には、上方及び下方にそれぞれ開口する上開口部125及び下開口部126が形成されている。
【0084】
[内壁119]
図6、
図7に示されるように、内壁119は、ジョイント本体118の内部に固定されている。内壁119は、仕切壁127と、第2リブ128とを備えている(
図7、
図8参照)。
図8に示されるように、内壁119は、前後方向8から視てT字形状を有している。仕切壁127の後端面は、タンク本体101の水平壁116の前端面に接触している。仕切壁127及び水平壁116により、ジョイント本体118とタンク本体101との接続部分の内部空間が、液体流路103及び気体流路104に区画されている。
【0085】
仕切壁127は、ジョイント本体118の内部において左右方向9に拡がる壁である。仕切壁127は、先端部123から後方に延びている。第2リブ128とジョイント本体118の内面との間には隙間がある。
【0086】
第2リブ128は、仕切壁127の左右方向9の中央部から下方に突出している。第2リブ128は、先端部123から後方に延びている。第2リブ128とジョイント本体118の内面との間には隙間がある。
【0087】
ジョイント102内における液体流路103の水平部分134は、ジョイント本体118の内面及び内壁119の下面によって形成されている。ジョイント102内における液体流路103の水平部分134の断面は、略半円形状である。より正確には、水平部分134の断面は、反円形状の上側部分が第2リブ128によって左右に分割されており、反円形状の下側部分が左右に分割されずに繋がっている。ジョイント102内における気体流路104の水平部分144は、ジョイント本体118の内面及び内壁119の上面によって形成されている。ジョイント102内における気体流路104の水平部分144の断面は、半円形状である。
【0088】
[インクカートリッジ50の装着状態]
図7に示されるように、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着された装着状態では、カートリッジ装着部71のジョイント本体118が、インクカートリッジ50の連通口61内に挿入されている。この装着状態では、インクカートリッジ50のインク貯留室53に、カートリッジ装着部71の液体流路103の第2開口132と、気体流路104の第2開口142が進入している。
【0089】
[栓部材120]
図7、
図8、
図9に示されるように、栓部材120は、前後方向8に延びる円筒状の部材である。栓部材120にはジョイント本体118が挿通されており、栓部材120はジョイント118の外側に位置している。栓部材120の後方側にはバネ121が設けられ、バネ121の前端部が栓部材120の後端部に当接している。バネ121は、前後方向8に圧縮可能であり、弾性力によって栓部材120を前方に向けて付勢している。
図6に示されるように、栓部材120に外力が加えられない状態では、栓部材120は、バネ121の弾性力によって前方に付勢されて第1シール部材201と当接している。この状態では、上開口部125及び下開口部126は、栓部材120によって閉鎖されている。バネ121の弾性力よりも大きな後向きの外力が栓部材120に加えられると、栓部材120はバネ121の弾性力に抗して後方に移動し、
図7に示されるように上開口部125及び下開口部126が開放される。
【0090】
図6、
図7に示されるように、栓部材120は、第1部分201aと、第1部分201aよりも上下方向7に突出する第2部分202bとから構成されている。第1部分202aは、
図6に示されるように、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着されていない状態において第1シール部材201と当接し、上開口部125及び下開口部126を閉止している。また、栓部材120は、擦動面120cを有している。
図7に示されるように、擦動面120cは、ジョイント118の外周面と接触する面であり、栓部材120は前後方向8に移動する際、擦動面120cがジョイント本体118の外周面と擦動しながら移動する。
【0091】
[第1シール部材201]
図6、
図7に示されるように、ジョイント本体118の前方端には、第1シール部材201が設けられている。第1シール部材201は、ゴム等の弾性体から形成されており、
図11に示されるように、前後方向8から見て円形状の部材である。第1シール部材201は、ジョイント本体118の先端部123に固定されている。
図6に示されるように、カートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着されていない分離状態では、第1シール部材201の後方側の側面201aが栓部材120の前方側の側面と当接しており、これにより上開口部125と下開口部126とが外部に対して閉鎖されている。栓部材120はバネ121によって前方に向かって付勢されているため、
図7に示される装着状態では、栓部材120は、バネ121によって第1シール部材201に押圧されている。栓部材120に押圧されることにより第1シール部材201は弾性変形し、栓部材120と第1シール部材201は強いシール圧によって当接される。これにより、ジョイント本体118の内部空間が密閉状態となり、カートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着する際や、インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71から取り外す際にジョイント本体118の内部空間内に残留したインクが上開口部125及び下開口部126から外部に漏れることが抑制される。なお、栓部材120は、第1シール部材201と同様に弾性体によって形成されていても、或いは、非弾性体によって形成されていてもよいが、第1シール部材201との間のシール圧を考慮すると、弾性体同士で当接するよりも、一方が弾性体、他方が非弾性体で当接する方がシール圧は大きくなるため、栓部材120は非弾性体で形成される方が好ましい。また、本実施形態では栓部材120と当接する第1シール部材201が弾性体で形成される例を説明したが、栓部材120を弾性体で形成し、第1シール部材201を非弾性体で形成するようにしてもよい。
【0092】
[第2シール部材202]
図6、
図7に示されるように、インクカートリッジ50には、第2シール部材202が設けられている。第2シール部材202は、前後方向8を長手方向とした円筒形状を有する部材であり、ゴム等の弾性体から形成されている。第2シール部材202は、栓部材62よりも後方側において、カートリッジ受部52の内側に固定されている。第2シール部材202の内径は、第1シール部材201及びジョイント本体118の直径よりも大きくなるように形成されており、これにより、インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着する際に第1シール部材201とジョイント本体118は第2シール部材202に挿通される。インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着された装着状態では、
図7に示されるように、第2シール部材202の前後方向8における後方側の側面202aが、栓部材120の第2部分202bと当接している。栓部材120はバネ121によって前方に向かって付勢されているため、栓部材120の第2部分202bは、バネ121によって第2シール部材202に押圧されている。第2シール部材202は栓部材120に押圧されることにより弾性変形するため、栓部材120と第2シール部材202は強いシール圧によって当接される。これにより、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着される際にインクが外部に漏れることを抑制している。
【0093】
[第3シール部材203]
図6、
図7に示されるように、栓部材120の後方には、第3シール部材203が設けられている。第3シール部材203は、円筒形状を有する部材であり、ゴム等の弾性体によって形成されている。第3シール部材203は、栓部材120に固定されており、栓部材120と一体的に移動可能である。第3シール部材203は、ジョイント本体118が挿通されており、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着、及び取り外しされる際において栓部材120が前後方向8に移動する間、ジョイント本体118の外周面を擦動しながら前後方向8に移動する。第3シール部材203が常にジョイント本体118の外周面に密着されていることにより、インクが栓部材120の内周面とジョイント本体118の外周面の隙間から外部に漏れることを抑制している。
【0094】
[インクカートリッジ50の装着動作]
以下、空のサブタンク100にインクカートリッジ50が装着される動作について説明する。
【0095】
図6に示される、インクカートリッジ50の装着前状態では、インクカートリッジ50はカートリッジ装着部71から分離されている。装着前状態では、インクカートリッジ50の連通口61は栓部材62と規制部材204とによって閉鎖されており、インク貯留室53が密閉状態となっている。そのため、インク貯留室53に満たされたインクは、外部に漏れることはない。また、装着前状態では、カートリッジ装着部71の上開口部125及び下開口部126は、栓部材120の第1部分120aによって閉鎖されている。
【0096】
図13(a)は、インクカートリッジ50のカートリッジ装着部71への装着が開始されたときの状態を示しており、
図13(b)は、インクカートリッジ50のカートリッジ装着部71への装着が完了したときの状態を示している。
【0097】
本実施形態では、インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着させる際、第2シール部材202の側面202aが栓部材120の第2部分120bと当接した瞬間における、第1シール部材201の前後方向8における前方側の側面201bと栓部材62の前後方向8における後方側の側面62aとの間の前後方向8における距離が、栓部材120の擦動面120cの前方端と上開口部125及び下開口部126の前方端との間の前後方向8における距離よりも大きくなるように構成されている。これにより、
図13(a)に示されるように、インクカートリッジ50がカートリッジ装着部71に装着されると、まず、上開口部125及び下開口部126が開放される。
図13(a)の状態から更にインクカートリッジ50を後方に押し込むと、インクカートリッジ50の連通口61を閉鎖する栓部材62の側面62aが、カートリッジ装着部71の第1シール部材201の側面201bと当接する。これにより、栓部材62は、バネ63の付勢力に抗して前方に移動し、連通口61が開放される(
図13(b)参照)。これにより、第1貯留室53が液体流路103及び気体流路104を介して第2貯留室105に連通し、インクカートリッジ50の装着動作が完了する。
【0098】
第1貯留室53と第2貯留室105が連通すると、インクカートリッジ50の第1貯留室53内のインクが、液体流路103を介して自然落下して、サブタンク100の第2貯留室105内に導入される。大気連通口106が外気に開放されているため、第2貯留室105内に導入されたインクの量と同じ体積の空気が、大気連通口106及び気体流路104を介して第1貯留室53に導入される。このように、第1貯留室53内のインクが空気に置換されること(気液置換)により、第1貯留室53内のインクが第2貯留室105に供給される。
【0099】
気液置換の進行により、第2貯留室105のインクの液面は上昇する。インクの液面が上昇して鉛直壁115の下端位置に到達すると、気体流路104の第1開口141が閉じられる。そうすると、気液置換ができなくなるので、第1貯留室53から第2貯留室105へのインクの供給が停止される。このようにして、初期導入時におけるインクの供給が行われる。
【0100】
インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着する際、上開口部125及び下開口部126が開放した後、インクカートリッジ50の連通口61が開放する開放順が望ましい。もしも、連通口61が開放された後に上開口部125及び下開口部126が開放される開放順であれば、連通口61から外部に流れるインク貯留室53内のインクが液体流路103内に流入できず、外部に漏れる虞がある。
【0101】
本実施形態では、連通口61を開閉する栓部材62を第1シール部材201が押圧することにより、連通口61を開放する。また、上開口部125及び下開口部126を開閉する栓部材120を第2シール部材202が押圧することにより、上開口部125及び下開口部126を開放する。第1シール部材201は、ジョイント本体118に取り付けられており、ジョイント本体118はカートリッジ装着部71に固定されている。また、第2シール部材202は、ジョイント受部52に固定されて設けられている。つまり、栓部材62及び栓部材120は、どちらも固定部材と当接することにより、連通口61と、上開口部125及び下開口部126をそれぞれ開放するように構成されている。したがって、連通口61と、上開口部125及び下開口部126の開放順を確実に制御することができ、上開口部125及び下開口部126を開放した後に連通口61を開放する開放順で、インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着させることができる。これにより、上開口部125及び下開口部126よりも前に連通口61が開放されることによるインク漏れの虞を低減することが可能となる。
【0102】
また、第1シール部材201がジョイント本体118の前方端に設けられており、栓部材120が円筒形状に形成され、ジョイント本体118の外周面に沿って擦動可能に設けられている。更に、インクカートリッジ50をカートリッジ装着部71に装着する際に栓部材120を押圧する第2シール部材202がジョイント本体118を内部に挿入可能な円筒形状に形成されているため、栓部材62と栓部材120とを前後方向8において同一軸線状に配置でき、且つ、2つの栓部材同士が押し合わずに上開口部125及び下開口部126と、連通口61を開閉させることができる。従って、装置の大型化を抑制しつつ、所望の開放順で上開口部125及び下開口部126と連通口61を開放させることが可能となる。
【0103】
次に、インクカートリッジ50の装着状態においてプリンタ部11による記録動作が実行された場合のインク及び空気の流れを説明する。
【0104】
記録動作の実行時に記録ヘッド39からインクが吐出されると、第2貯留室105内のインクが連通口129から記録ヘッド39へと吸引される。インクの減少に伴って第2貯留室105内のインクの液面が下降するので、閉じられていた気体流路104の第1開口141が開放される。気体流路104の第1開口141が開放されると、上述したように、気液置換が実行されて、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給される。記録ヘッド39でのインクの消費を補うように、第1貯留室53から第2貯留室105にインクが供給され、第2貯留室105内のインクの液面の高さは、気体流路104の第1開口141の位置に保たれる。
【0105】
第1貯留室53内のインクが空になった場合、空になったインクカートリッジ50を、インクに満たされた別のインクカートリッジ50に交換することにより、複合機10は継続的に記録動作を実行できる。
【0106】
複合機10が、本発明のインクジェット記録装置の一例である。記録ヘッド39が、本発明の記録ヘッドの一例である。記録部24が、本発明の記録部の一例である。インク貯留室53が、本発明のインク収容室の一例である。カートリッジ本体50及びジョイント受部52の組み合わせが、本発明の本体の一例である。連通口61が、本発明のインク導出孔の一例である。栓部材62が、本発明の第1弁の一例である。
図6に示される、連通口61を閉鎖する栓部材62の位置が、本発明の第1位置の一例である。
図7に示される、連通口61を開放する栓部材62の位置が、本発明の第2位置の一例である。バネ63が、本発明の第1付勢部材の一例である。インクカートリッジ50が、本発明のインクカートリッジの一例である。規制部材204の側面204aが、本発明の第1当接面の一例である。ジョイント本体118が、本発明のインク供給部材の一例である。上開口部125及び下開口部126の組み合わせが、本発明の導入孔の一例である。液体流路103及び気体流路104の組み合わせが、本発明のインク供給路の一例である。栓部材120が、本発明の第2弁の一例である。
図6に示される、上開口部125と下開口部126を閉鎖する栓部材120の位置が、本発明の第3位置の一例である。
図7に示される、上開口部125と下開口部126を開放する栓部材120の位置が、本発明の第4位置の一例である。バネ121が、本発明の第2付勢部材の一例である。第1シール部材201の側面201aが、本発明の第2当接面の一例である。カートリッジ装着部71が、本発明のカートリッジ装着部の一例である。第2シール部材202の側面202aが、本発明の第1押圧面の一例である。第1シール部材201の側面202bが、本発明の第2押圧面の一例である。外筒部122、先端部123、及び本体部124の組み合わせが、本発明の円柱部の一例である。栓部材120の第1部分120aが、本発明の第1部分の一例である。栓部材120の第2部分120bが、本発明の第2部分の一例である。栓部材62の側面62aが、本発明の被押圧面の一例である。栓部材120の擦動面120cが、本発明の擦動面の一例である。第3シール部材203が、本発明の擦動部材の一例である。内壁119及び第1シール部材201の組み合わせが、本発明の流路区画部材の一例である。液体流路103が、本発明の液体流路の一例である。気体流路104が、本発明の気体流路の一例である。
【符号の説明】
【0107】
10・・・・・複合機
24・・・・・記録部
39・・・・・記録ヘッド
50・・・・・インクカートリッジ
52・・・・・ジョイント受部
53・・・・・インク貯留室
61・・・・・連通口
62、120・・・・・栓部材
63、121・・・・・バネ
71・・・・・カートリッジ装着部
118・・・・・ジョイント本体
125・・・・・上開口部
126・・・・・下開口部
103・・・・・液体流路
104・・・・・気体流路
201・・・・・第1シール部材
202・・・・・第2シール部材
203・・・・・第3シール部材