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特開2022-60514ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療
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  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図1A
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図1B
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図2
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  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図6
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図7A
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図7B
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図8A
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図8B
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図9A
  • 特開-ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療 図9B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060514
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】ガバペンチノイドからの干渉が減少し、HGF異型体を発現するDNAコンストラクトを用いる神経病症の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20220407BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220407BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220407BHJP
   A61K 38/22 20060101ALN20220407BHJP
   A61K 31/195 20060101ALN20220407BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220407BHJP
【FI】
A61K48/00
A61P25/00
A61P25/02
A61P43/00 105
A61K38/22
A61K31/195
C12N15/12 ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027322
(22)【出願日】2022-02-24
(62)【分割の表示】P 2020522034の分割
【原出願日】2018-10-16
(31)【優先権主張番号】62/574,100
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518069438
【氏名又は名称】ヘリックスミス カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュン フン
(57)【要約】
【課題】本発明は、ガバペンチノイドを投与された神経病症患者の治療方法に関する。
【解決手段】特に、前記方法は、ガバペンチノイドを中断した後、ヒトHGFタンパク質をコードする核酸コンストラクトを投与する段階を含む。本発明は、ガバペンチノイドによる治療効果の干渉を避けることによって特定患者集団(population)がより優れた治療結果を達成する新規の方法を提供する。
【選択図】図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経病症(neuropathy)の治療方法における使用のためのVM202であって、前記方法は次の段階を含む、VM202:
ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階、
前記患者へのガバペンチノイド投与を中断する段階、及び
前記患者にVM202を投与する段階。
【請求項2】
前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも1週間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む、請求項1に記載のVM202。
【請求項3】
前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも10日間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む、請求項1に記載のVM202.
【請求項4】
前記ガバペンチノイド投与を中断する段階は、ガバペンチノイド投与を次第に減少させることを含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項5】
VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断された後に行われる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項6】
前記VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断されて少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、14日、21日、30日、60日又は90日後に行われる、請求項5に記載のVM202。
【請求項7】
前記神経病症は、糖尿病性末梢神経病症である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項8】
前記神経病症は、帯状疱疹後神経病症(post-herpetic neuropathy)である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項9】
前記ガバペンチノイドは、ガバペンチン又はプレガバリンである、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項10】
前記VM202を投与する段階は、患者の患肢(affected limb)当たり8mgのVM202を、複数回の筋肉内注射及び複数回の訪問に同等に分けて投与することを含み、所定の1回の訪問において複数回の筋肉内注射のそれぞれは、離隔した注射部位で行われる、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のVM202。
【請求項11】
前記VM202を投与する段階は、16mgの容量のVM202を64回の筋肉内注射で均等に分けて投与する段階を含み、
16回の筋肉内注射は、一番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、一番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、二番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、二番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、及び
64回の筋肉内注射のそれぞれは0.5ml体積中の0.25mgのVM202を用いて行われる、請求項10に記載のVM202。
【請求項12】
患者において神経病症を治療する方法に使用するためのVM202であって、前記方法は次の段階を含む、VM202:
神経病症の患者にここ一週(week)内にガバペンチノイドが投与されたか否か決定する段階;
患者にここ一週内にガバペンチノイドが投与された場合、患者へのガバペンチノイド投与を中断した後、患者にVM202を投与する段階;及び
患者にここ一週内にガバペンチノイドが投与されなかった場合、患者にVM202を投与する段階。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガバペンチノイドを投与された神経病症患者の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガバペンチノイド(Gabapentinoids)は、抑制性(inhibitory)神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)の誘導体である薬物部類(class of drugs)である。ガバペンチンプロドラッグ、ガバペンチンエナカルビル(gabapentin enacarbil;Horizant)だけでなく、ガバペンチン(gabapentin;Neurontin)とプレガバリン(pregabalin;Lyrica)を含むいくつかのガバペンチノイドが開発され、臨床的に承認された。
【0003】
ガバペンチノイドは、シナプス前(pre-synaptic)カルシウムチャネルのα2δサブユニットに主に作用し、ニューロンカルシウム流入(neuronal calcium influx)を抑制するものと見なされる。これは、神経線維からグルタメート、サブスタンスP及びカルシトニン遺伝子関連ペプチドのような興奮性(excitatory)神経伝達物質の放出を減少させて、神経又は組織損傷後神経興奮性(neuronal excitability)を抑制する。この薬物は、神経病症疼痛(neuropathic pain)のような神経損傷と関連した様々な状態の治療だけでなく、てんかん(epilepsy)、線維筋痛症(fibromyalgia)、全般性不安障害(generalized anxiety disorder)及びレストレスレッグス症候群(restless leg syndrome)を含む様々な他の神経系障害の治療に使用されてきた。それらはまた、片頭痛(migraine)、社交不安障害(social phobia)、パニック障害(panic disorder)、燥病(mania)、双極性障害(bipolar disorder)及びアルコール禁断(alcohol withdrawal)の治療に効果的なものとして提案された。
【0004】
近年、神経病症性疼痛は、ヒトHGFタンパク質の2つの異型体(isoform)を発現するDNAコンストラクト(すなわち、“VM202”とも呼ばれるpCK-HGF-X7)で治療可能であることが立証された。第II相臨床試験において、糖尿病性末梢神経病症(diabetic peripheral neuropathy)患者のふくらはぎの筋肉にVM202を注射すると、疼痛が有意に減少することが見出された-2週間隔で2日間治療することにより、3ケ月間、生活の質が改善された症状緩和を十分に提供した(Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015))。
【0005】
VM202が糖尿病性末梢神経病症を持つ患者を治療するのに効果的であることが立証されたが、第II相臨床試験データの追加分析は、VM202が、ガバペンチノイドを服用した患者におけるよりも、プレガバリン又はガバペンチンを服用していない患者において疼痛を緩和させる効果がより高いことを立証した(Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015))。しかし、事後解析(post hoc analysis)は、この観察の基礎となる生理学的メカニズムを説明できなかった。特に、このデータは、ガバペンチノイドの事前投与がVM202の事後効能(later efficacy)を妨げるかどうか予測できず、また事前にガバペンチノイドを服用した患者にVM202を効率よく投与する方法も予測できなかった。
【0006】
したがって、ガバペンチノイドを以前に投与された患者に効率よくVM202を投与する方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ガバペンチノイドによる神経病症に対するHGF(例えば、VM202)を暗号化する核酸コンストラクトの治療効果の干渉と関連した新規の発見に基づく。具体的に、本発明者らは、ガバペンチノイドがVM202の投与時点及び直後に投与されるとき、神経病症性疼痛の動物モデルにおいてガバペンチノイドがVM202に有害な影響を及ぼすということを発見した。VM202と共に投与されたか、或いはVM202投与直後に投与されたガバペンチノイドの前記抑制効果はガバペンチノイドの中断後にも持続した。しかし、VM202を投与して1週以上経過した後に投与されたガバペンチノイドは、VM202の治療効果に影響を与えなかった。これらの結果は、VM202の治療効能(efficacy)及び効果(potency)を最大化するためには、VM202投与前、投与中及び投与後の何日の間はガバペンチノイド治療を中断することが重要であることを示唆する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、第1態様において、ガバペンチノイドを投与した患者において、HGF(例えば、VM202)の異型体をコードする核酸コンストラクトで神経病症を治療する方法が提示される。
【0009】
具体的に、前記方法は、核酸コンストラクトの投与前、投与中及び投与後の特定期間の間にガバペンチノイドの投与を中断することを含む。したがって、本発明は、ガバペンチノイドによる干渉を避けることによって、特定患者集団にとってより良好な治療結果を達成できる新規な方法を提供する。
【0010】
具体的に、本発明の一部の具現例は、次の段階を含む神経病症(neuropathy)治療方法に関する:(1)ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階、(2)前記患者へのガバペンチノイド投与を中断する段階、及び(3)前記患者にVM202を投与する段階。一部の具現例において、前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも1週間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む。一部の具現例において、前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも10日間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む。
【0011】
一部の具現例において、前記ガバペンチノイド投与を中断する段階は、ガバペンチノイド投与を次第に減少させること(tapering)を含む。一部の具現例において、VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断された後に行われる。一部の具現例において、前記VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断されて少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、14日、21日、30日、60日又は90日後に行われる。
【0012】
一部の具現例において、前記神経病症は、糖尿病性末梢神経病症である。一部の具現例において、前記神経病症は、帯状疱疹後神経病症(post-herpetic neuropathy)である。
【0013】
一部の具現例において、前記ガバペンチノイドは、ガバペンチン又はプレガバリンである。
【0014】
一部の具現例において、前記VM202を投与する段階は、患者の患肢(affected limb)当たり8mgのVM202を複数回の筋肉内注射及び複数回の訪問で同等に分けて投与することを含み、所定の1回の訪問における複数回の筋肉内注射のそれぞれは、離隔した注射部位で行われる。
【0015】
一部の具現例において、VM202は、16mgの容量が64回の筋肉内注射で均等に分けて投与され、ここで、16回筋肉内注射は、一番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、他の16回筋肉内注射は、一番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、他の16回筋肉内注射は、二番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、他の16回筋肉内注射は、二番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、このとき、64回の筋肉内注射のそれぞれは、0.5ml体積中の0.25mgのVM202を用いて行われる。
【0016】
他の態様において、本発明は、次の段階を含む、VM202を投与して神経病症を治療する方法を提供する:ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階;前記患者へのガバペンチノイド投与を中断する段階;及び、その後、前記患者にVM202を投与する段階。
【0017】
さらに他の態様において、本発明は、次の段階を含む神経病症を治療する方法を提供する:神経病症の患者にここ1週間(week)内にガバペンチノイドが投与されたか否かを決定する段階;患者にここ1週間内にガバペンチノイドが投与された場合、患者へのガバペンチノイド投与を中断した後、患者にVM202を投与する段階;及び患者にここ1週間内にガバペンチノイドが投与されなかった場合、患者にVM202を投与する段階。
【0018】
また、ガバペンチノイドを投与された患者における神経病症治療方法に使用するための、HGF異型体をコードする核酸コンストラクト(例えば、VM202)が提供され、前記方法は、患者へのガバペンチノイドの投与を中断する段階、及び患者に核酸コンストラクトを投与する段階を含む。一部の具現例は、神経病症を治療する方法に使用するための、HGF異型体をコードする核酸コンストラクト(例えば、VM202)を提供し、前記方法は、ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階、前記患者へのガバペンチノイドを中断する段階、及び前記患者に核酸コンストラクトを投与する段階。一部の具現例は、神経病症を治療する方法に使用するための、HGF異型体をコードする核酸コンストラクト(例えば、VM202)を提供し、前記方法は、ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階、ガバペンチノイドの中断後にのみ核酸コンストラクトを投与する段階、及び少なくとも1週間の間に追加容量のガバペンチノイドを投与しない段階を含む。
【0019】
また、ガバペンチノイドを投与された患者において神経病症の治療のための医薬(medicament)を調製するための、HGFの異型体をコードする核酸コンストラクト(例えば、VM202)の用途(use)が提供される。
【0020】
一部の具現例は、ガバペンチノイドを投与された患者において神経病症を治療するための医薬(medicament)の調製のための核酸コンストラクトの用途(use)に関するが;ガバペンチノイド投与が中断されたか、中断中であるか、中断されるだろう。一部の具現例は、ガバペンチノイドを投与された患者において神経病症を治療するための医薬(medicament)の調製のための核酸コンストラクトの用途に関するが、前記核酸コンストラクトの投与前及び投与後に少なくとも1週間の間にガバペンチノイド投与が中断されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A図1Aは、Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015)から再現されたものであり、高用量VM202(0日目における脚当たり8mg、14日目における脚当たり8mg;両訪問及び両脚にわたる総容量、32mg)、低容量VM202(0日目における脚当たり4mg、14日目における脚当たり4mg;両訪問及び両脚にわたる総容量、16mg)、又は食塩水(プラシーボ)を投与して3月、6月、及び9月後の第2相臨床試験における全患者から測定した疼痛レベルにおける経時的変化(time-course change)を示す。
図1B図1Bは、Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015)から再現されたものであり、高用量VM202、低容量VM202、又は食塩水(プラシーボ)を投与して3月、6月、及び9月後のリリカ(Lyrica;pregabalin)及び/又はニューロンチン(Neurontin;gabapentin)を服用しなかった患者のグループから測定した疼痛レベルにおける経時的変化(time-course change)を示す。リリカ及び/又はニューロンチンを服用しなかった患者(図1B)は、低容量VM202の投与後、一般に総患者グループ(the total group)(図1A)に比べて基準線(baseline)から疼痛の大きな減少を経験した。
図2図2は、慢性収縮損傷(CCI)マウスを用いてVM202媒介疼痛減少に対するガバペンチンの効果を試験するための実験手順を示す。坐骨神経(CCI又はsham)に対する手術手順を行い、0日目に5週齢雄マウスにプラスミド(pCK又はVM202)を投与し、1日目から15日目までマウスにガバペンチン又はPBSを毎日注射し、それらの疼痛レベルはフォンフレイフィラメントテスト(von Frey filament test)によって14日目から始まって16日目まで測定された。
図3図3は、4個の異なる動物グループで測定された疼痛レベル(y-軸における足逃避反応頻度(paw withdrawal frequency)%)を示す。(a)慢性収縮のないシャム(Sham)動物は全経過時間において低いレベルの疼痛を示した(“Sham”、ダイアモンドを有する線);(b)ガバペンチンを毎日注射せず、pCKを注射したCCI-動物は、持続的に高いレベルの疼痛を示した(“pCK-PBS”、三角形を有する線);(c)ガバペンチンを毎日注射し、pCKを注射したCCI-動物は、ガバペンチン投与の直後に疼痛レベルが一時的に減少した(“pCK+ガバペンチン”、丸を有する線);及び(d)毎日ガバペンチンを注射せず、VM202を注射したCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示した(“VM202”、xを有する線)。
図4図4は、4個の異なる動物グループで測定された疼痛レベル(y-軸における足逃避反応頻度(paw withdrawal frequency)%)を示す。(a)慢性収縮のないシャム動物は、全経過時間において低いレベルの疼痛を示した(“Sham”、ダイアモンドを有する線);(b)ガバペンチンを毎日注射せず、pCKを注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示した(“pCK-PBS”、三角形を有する線);(c)ガバペンチンを毎日注射せず、VM202を注射したCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示した(“VM202”、xを有する線)、(d)毎日ガバペンチンを投与し、VM202を注射したCCI-動物は、ガバペンチンを投与した直後に疼痛が一時的に減少し、その後、疼痛レベルが急激に増加してから漸次減少した。
図5図5は、神経損傷マウス(nerve crush mouse)モデルにおいてVM202媒介神経再生に対するガバペンチン効果をテストするための実験手順を示す。神経損傷を誘導し、1日目にVM202を9週齢雄C57BL/6マウスに投与し、ガバペンチンを2日目から6日目まで毎日注射し、7日目に神経ピンチテスト(nerve pinch test)を行った。
図6図6は、神経損傷マウスモデルで測定された神経再生(例えば、再生された神経の長さ(mm))を示す。棒は、左側から右側まで(i)VM202に対する陰性対照区(pCKベクター)及びガバペンチンに対する陰性対照区(PBSを毎日注射);(ii)VM202及び毎日注射されたPBS;(iii)pCK及び毎日注射されたガバペンチン;及び(iv)VM202及び毎日注射されたガバペンチンが投与されたマウスにおける神経再生の程度を示す。VM202で処理したマウスは、PBS又はガバペンチンで処理したか否かに関係なく、より有意な神経再生を示した。しかし、VM202媒介の神経再生は、ガバペンチンで処理したマウスに比べてPBSで処理した対照区マウスにおいてより有意に改善された。
図7A図7Aは、PBS又はガバペンチンを毎日注射したシャムマウス(レーン1及び4);pCKを注射し、さらにPBS又はガバペンチンを毎日注射した神経損傷マウス(レーン2及び5);及びVM202を処理し、さらにPBS又はガバペンチンを毎日注射した神経損傷マウス(レーン3及び6)から得られたタンパク質サンプルのウェスタンブロット分析の結果を示す。c-Jun(上段)及びGAPDH(下段)の発現は、それぞれのタンパク質に特異的な抗体によって検出された。
図7B図7Bは、それぞれのサンプルにおけるc-Jun発現の相対的なレベルを示し、c-Junのバンド強度を測定することによって計算され、該強度とGAPDHのバンド強度とを比較した。
図8A図8Aは、VM202投与後、一番目の2週間又は二番目の2週間(3~4週間)の間にガバペンチンでさらに処理したとき、CCIマウスでVM202媒介の疼痛減少をテストするための実験手順を示す。
図8B図8Bは、4個の異なる動物グループにおける疼痛レベル(足逃避反応頻度(paw withdrawal frequency)、反応の#)を示す。(a)慢性収縮のないシャム動物は、全経過時間にわたって低いレベルの疼痛を示し(“Sham”)、(b)ガバペンチンを毎日注射せず、pCKを注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し(“CCI-pCK”)、(c)毎日ガバペンチンを注射せず、VM202を注射したCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示し(“VM202”)、(d)最初の2週間の間に毎日ガバペンチンを投与し、VM202を注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し(“CCI-VM202-Gaba1”)、及び(e)二番目の2週間の間に毎日ガバペンチンを投与し、VM202を注射したCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示した(“CCI-VM202-Gaba2”)。
図9A図9Aは、VM202投与後、0日目(“GP1”)、3日目(“GP2”)、7日目(“GP3”)、又は10日目(“GP4”)から始まったガバペンチンの毎日注射でさらに処理されたCCIマウスにおけるVM202媒介の疼痛減少を試験するための実験手順を示す。
図9B図9Bは、6個の異なる動物グループから測定した疼痛レベル(y-軸における足逃避反応頻度%)を示す。(a)VM202を注射せず、ガバペンチンを毎日注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し、(b)VM202を注射し、ガバペンチンを毎日注射しなかったCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示し、(c)VM202を注射し、0日目からガバペンチンを毎日注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し(“GP1”)、(d)VM202を注射し、3日目からガバペンチンを毎日注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し(“GP2”)、(e)VM202を注射し、7日目からガバペンチンを毎日注射したCCI-動物は、高いレベルの疼痛を示し(“GP3”)、(f)VM202を注射し、10日目からガバペンチンを毎日注射したCCI-動物は、低いレベルの疼痛を示した(“GP4”)。 全ての値は、3個の独立した実験から平均(mean)+標準誤差平均(standard error mean;SEM)を示す。値間の差は、one-way ANOVAに続くTukey’s post-hocテストによって決定された。
【0022】
各図面は単に例示の目的で本発明の様々な具現例を示す。当業者にとっては、後述する議論から、本明細書に示された構造及び方法の代案的な具現例が、本明細書に説明された本発明の原理を逸脱することなく採用され得るということが容易に認識できよう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.定義
特に定義されない限り、本願に使われた全ての技術及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における当業者に一般的に理解される意味を有する。本明細書で使われている通り、次の用語は、次に説明される意味を有する。
【0024】
本願に使われた用語“ガバペンチノイド”は、抑制性神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体である薬物部類を指し、α2δサブユニット含有電圧依存性カルシウムチャネルを遮断する。ガバペンチノイドは、ガバペンチン(Neurontin)及びプレガバリン(Lyrica)のような臨床的に承認されたガバペンチノイドだけでなく、ガバペンチンプロドラッグ、ガバペンチンエナカルビル(Horizant)も含むが、これに制限されない。
【0025】
本明細書で使われた用語“中断(discontinue)”は、薬物投与の持続を断絶(breaking)させる過程を意味する。これは、突然な投与終了及び特定期間にわたって投与量及び/又は頻度を減少させることによる投与終了を含むが、これに制限されるものではない。しばしば、前記過程は、投与の量及び/又は頻度の一時的増加、減少又は維持を含むことができる。また、前記過程は、一つのガバペンチノイドから他のガバペンチノイドへの転換を含むことができる。
【0026】
本明細書で使われた用語“漸減(taper)”は、終了(end)まで薬物投与の量又は頻度を次第に減少させて薬物投与を中断する方法を意味する。
【0027】
本明細書で使われた用語“HGFの異型体(isoforms)”は、動物から自然的に発生するHGFポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。前記用語は、所定の全長野生型HGF(full length wild type HGF)ポリペプチドと少なくとも80%同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、自然発生HGF対立遺伝子変異体(naturally occurring HGF allelic variant)、スプライス変異体(splice variant)、又は欠失変異体(deletion variant)と少なくとも80%同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。本発明における使用に好適なHGFの異型体は、全長HGF(full-length HGF;flHGF)(同意語として、fHGF)、欠失変異体HGF(deleted variant HGF;dHGF)、NK1、NK2、及びNK4からなる群から選ばれる2つ以上の異型体を含む。本発明のより好ましい具現例によれば、本明細書に記載された方法で用いられるHGFの異型体は、flHGF及びdHGFを含む。
【0028】
ヒトHGFタンパク質の1-728アミノ酸で構成されたタンパク質を称するために、用語“ヒトflHGF”、“flHGF”及び“fHGF”が同じ意味で使われる。flHGFの配列は、配列番号1に提供されている。
【0029】
用語“ヒトdHGF”及び“dHGF”は、ヒトHGF遺伝子の選択的スプライシング(alternative splicing)によって生産されたHGFタンパク質の欠失変異体を意味するもので、同じ意味で使用される。具体的に“ヒトdHGF”又は“dHGF”は、全長HGF配列からアルファ鎖の最初クリングル(kringle)ドメインで5個のアミノ酸(F、L、P、S及びS)が欠失されたヒトHGFタンパク質を指す。ヒトdHGFは、長さ723のアミノ酸である。ヒトdHGFのアミノ酸配列は、配列番号2に提供される。
【0030】
本明細書で使われた用語“VM202”とは、pCKベクターにクローニングされたHGF-X7であるpCK-HGF-X7(配列番号11)とも呼ばれるプラスミドDNAを指す。VM202は、ブダペスト条約によって2002年3月12日付に受託番号KCCM-10361として韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託された。
【0031】
本明細書で使われた用語“ベクター”とは、核酸のクローニング及び/又は宿主細胞内への核酸の伝達のための任意のビークル(vehicle)を指す。ベクターは特にプラスミド、ウイルスベクター、リポプレックス(カチオン性リポソーム-DNA複合体)、ポリプレックス(カチオン性ポリマー-DNA複合体)、及びタンパク質-DNA複合体を含む。
【0032】
本明細書で使われた用語“発現ベクター”とは、宿主への形質転換後に挿入された核酸配列の発現が可能となるようにデザインされたベクターを指す。
【0033】
用語“再構成された(reconstituted)”又は“再構成(reconstitution)”は、例えば、保存及び貯蔵のために以前に変更された物質の再水和(rehydration)による原形(original form)への復元、例えば、以前に乾燥し貯蔵されたDNAプラスミド剤形の液状(liquid state)への復元を指す。本発明の凍結乾燥した組成物は、投与に適した、安定であるとともに単一分散された溶液を製造する任意の水溶液で再構成され得る。このような水溶液は次を含むが、これに制限されない:滅菌水(sterile water)、TE、PBS、トリスバッファ又は生理食塩水。
【0034】
本発明の方法で再構成された凍結乾燥DNAの濃度は、伝達される剤形の量、対象(subject)の年齢及び体重、伝達方法とルート、及び伝達される抗原の免疫原性を含む諸要因によって調整される。
【0035】
本明細書で使われた用語“治療”とは、(a)神経病症性疼痛抑制;(b)神経病症性疼痛の緩和;及び(c)神経病症性疼痛の除去を意味する。一部の具現例において、本発明の組成物は、神経細胞の成長又は神経細胞死滅の抑制によって神経病症性疼痛を治療することができる。
【0036】
本明細書で使われた用語“治療学的有効服量(therapeutically effective dose)”又は“有効量(effective amount)”は、所望の効果を生成する投与される服量(dose)又は量(amount)を指す。この方法に照らして、治療学的有効量は、神経病症の症状を治療するために効果的な量である。正確な服量(dose)又は量(amount)は治療の目的に依存し、公知の技術(参照:例えば、Lloyd(1999) The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding)を用いて当業者によって確認され得る。
【0037】
本明細書で使われた用語“十分量(sufficient amount)”は、所望の効果を生成するに十分な量を指す。
【0038】
本明細書で使われた用語“縮退配列(degenerate sequence)”は、レファレンス核酸配列から翻訳されたのと同じ核酸配列を提供するために翻訳され得る核酸配列を指す。
【0039】
2.他の解釈規則
本明細書で引用された範囲は、短縮したものと理解される。
例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50から構成された群からの任意の数、数の組合せ、又は下位範囲を含むものと理解される。
【0040】
特に表示されない限り、一つ以上の立体中心(stereocenter)を有する化合物に対する言及は、それぞれの立体異性質体及びそれらの立体異性質体の全ての組合せを意味する。
【0041】
3.ガバペンチノイドを投与された患者において神経病症を治療する方法
一態様において、ガバペンチノイドを投与された患者において神経病症を治療するための方法が提示される。これらの方法は、ガバペンチノイドを投与された神経病症を有する患者を選択する段階、ガバペンチノイド投与を中断する段階、及びヒトHGFタンパク質の2つの異型体を発現する核酸コンストラクトの治療学的有効量を投与する段階を含む。好ましい具現例において、核酸コンストラクトは、VM202である。
【0042】
3.1.神経病症を持つ患者
本願に記載された方法において、治療のために選択された患者は神経病症を持つ。前記患者は、末梢神経病症(peripheral neuropathy)、脳神経病症(cranial neuropathy)、自律神経病症(autonomic neuropathy)又は局所神経病症(focal neuropathy)を有し得る。神経病症は、疾病、負傷、感染又はビタミン欠乏状態によって発生し得る。例えば、神経病症は、糖尿病、ビタミン欠乏、自己免疫疾患、遺伝の(genetic)又は遺伝的(inherited)障害、アミロイド症(amyloidosis)、尿毒症(uremia)、毒素(toxins)又は毒(poisons)、外傷(trauma)又は傷害(injury)、腫瘍(tumors)によって誘発されるか、特発性(idiopathic)であり得る。
【0043】
本好ましい具現例において、患者は糖尿病性末梢神経病症を持つ。
【0044】
3.2.ガバペンチノイドを投与された患者
ガバペンチノイドを投与された患者は、従来知られた様々な方法によって選択され得る。例えば、標準化したアンケートに対する応答の一部として又はインタビュー時に患者又は患者の保護者から得られた情報に基づいて選択することができる。前記選択はまた、患者に関する医療、臨床、処方、又は保険記録、又は他の記録、又は患者のための医療専門家から得た情報に基づいてもよい。選択に関連している情報は、投与された薬物の名、及びその服量、頻度、投与経路、最初投与日、最終投与日などを含むが、これに制限されない。選択的に、前記選択は、血液検査のような診断によって得られた情報に基づいてもよい。
【0045】
一部の具現例において、患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、選択時点3ケ月未満前の日であろう。一部の具現例において、患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、選択時点前の1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週未満である。一部の具現例において、前記患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、選択時点前の1日、5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、又は50日未満である。
【0046】
一部の具現例において、患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、VM202の最初投与時点の3ケ月未満前である。一部の具現例において、患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、VM202の最初投与時点の1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週未満前である。一部の具現例において、患者のガバペンチノイドへの最後の露出は、VM202の最初投与時点の1日、5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、又は50日未満前である。
【0047】
一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、選択時点の3ケ月未満前である。一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、選択時点の1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週未満前である。一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、選択時点の1日、5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、又は50日未満前である。
【0048】
一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、VM202最初投与時点の3ケ月未満前である。一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、VM202最初投与時点の1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週未満前である。一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドへの患者の最後の露出は、VM202最初投与時点の1日、5日、10日、15日、20日、25日、30日、35日、40日、45日、又は50日未満前である。
【0049】
一部の具現例において、ガバペンチノイドに3日、5日、7日、14日、21日、28日又は35日間以上事前露出された患者が、ガバペンチノイドを投与されてきた患者として選択される。一部の具現例において、ガバペンチノイドに2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、又は18ヶ月間以上事前露出された患者が、ガバペンチノイドを投与されてきた患者として選択される。
【0050】
一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドに3日、5日、7日、14日、21日、28日又は35日間以上事前露出された患者が、ガバペンチノイドを投与されてきた患者として選択される。一部の具現例において、処方服量(prescribed dose)の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%より多いガバペンチノイドに対して2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、又は18ヶ月間以上事前露出された患者が、ガバペンチノイドを投与されてきた患者として選択される。
【0051】
3.3.ガバペンチノイドの中断(discontinuation)
患者が選択されると、ガバペンチノイド投与は中断される。一部の具現例において、ガバペンチノイド投与は中断される。一部の具現例において、ガバペンチノイド投与は、ガバペンチノイド投与を完全に中止させることによって中断される。
【0052】
一部の具現例において、ガバペンチノイド投与は、ガバペンチノイド投与を漸減(tapering)させることによって中断される。一部の具現例において、ガバペンチノイドの服量は、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週間にわたって減少する。一部の具現例において、ガバペンチノイドの服量は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、又は5ヶ月間にわたって減少する。一部の具現例において、ガバペンチノイド投与の頻度は、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週間にわたって減少する。一部の具現例において、ガバペンチノイド投与の頻度は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、又は5ヶ月間にわたって減少する。
【0053】
様々な具現例において、ガバペンチノイド投与は、週当たり10~100mg、週当たり20~100mg、週当たり20~90mg、週当たり30~80mg、週当たり40~80mg、週当たり50~75mg、週当たり55~70mg、週当たり55~65mg、又は週当たり約60mg減少する。
【0054】
一部の具現例において、ガバペンチノイド投与は、4日ごとに500mg、4日ごとに450mg、4日ごとに400mg、4日ごとに350mg、4日ごとに300mg、4日ごとに250mg、4日ごとに200mg、4日ごとに150mg、4日ごとに100mg、又は4日ごとに50mg未満の比率で減少する。
【0055】
一部の具現例において、ガバペンチノイド投与は、3日ごとに500mg、3日ごとに450mg、3日ごとに400mg、3日ごとに350mg、3日ごとに300mg、3日ごとに250mg、3日ごとに200mg、3日ごとに150mg、3日ごとに100mg、又は3日ごとに50mg未満の比率で減少する。
【0056】
一部の具現例において、2日ごとに500mg、2日ごとに450mg、2日ごとに400mg、2日ごとに350mg、2日ごとに300mg、2日ごとに250mg、2日ごとに200mg、2日ごとに150mg、2日ごとに100mg、2日ごとに50mg、2日ごとに25mg、2日ごとに10mg、又は2日ごとに5mg未満の比率で減少する。
【0057】
一部の具現例において、毎日500mg、毎日450mg、毎日400mg、毎日350mg、毎日300mg、毎日250mg、毎日200mg、毎日150mg、毎日100mg、毎日50mg、毎日25mg、毎日10mg、毎日5mg、又は毎日2mg未満の比率で減少する。
【0058】
一部の具現例において、ガバペンチノイド投与減少の比率は、前記減少に対する患者の反応に基づいて調整される。例えば、特定の比率は、反跳不安(rebound anxiety)、不眠症(insomnia)、頭痛、神経質(nervousness)、憂うつ(depression)、疼痛(pain)、発汗増加(increased sweating)、目眩(dizziness)などのような患者の症状除去(withdrawal)に基づいて決定され得る。一部の具現例において、特定比率は疼痛(pain)のような神経病症と関連した症状に基づいて決定され得る。
【0059】
一部の場合に、ガバペンチノイド投与の量は、患者の反応に基づく中断の間に一時的に増加したり或いは同一レベルに維持され得る。例えば、ガバペンチノイド投与の量は、患者の反跳不安(rebound anxiety)、不眠症(insomnia)、頭痛、神経質(nervousness)、憂うつ(depression)、疼痛(pain)、発汗増加(increased sweating)、目眩(dizziness)などのような患者の症状除去(withdrawal)に基づいて一時的に増加するか又は同一レベルに維持され得る。一部の場合に、ガバペンチノイド投与の量は疼痛のような神経病症に関連した患者の症状に基づいて一時的に増加又は同一レベルに維持され得る。
【0060】
一部の具現例において、ガバペンチノイド投与の減少比率は、ガバペンチノイドへの患者の過去露出に基づいて決定され得る。例えば、特定比率は、ガバペンチノイド投与の容量又は頻度、又はガバペンチノイドへの以前露出の量又は時間に基づいて決定され得る。
【0061】
3.4.2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体をコードする核酸コンストラクトの投与
選択された患者に、ヒトHGFタンパク質の2つの異型体を発現する核酸コンストラクトの治療学的有効量が投与される。
【0062】
患者へのガバペンチノイド投与を中断した後、核酸コンストラクトが投与され得る。
【0063】
様々な具現例において、核酸コンストラクトはガバペンチノイド投与の完全な中断後に投与される。一部の具現例において、核酸コンストラクトは、ガバペンチノイド投与を完全に中断して少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、7日、14日、21日、30日、60日、又は90日後に投与される。一部の具現例において、核酸コンストラクトは、ガバペンチノイド投与を完全に中断して少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、又は6ヶ月後に投与される。
【0064】
特定具現例において、核酸コンストラクトは、ガバペンチノイド投与の完全な中断後に初めて投与される。一部の具現例において、核酸コンストラクトの初投与は、ガバペンチノイド投与を完全に中断して少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、7日、14日、21日、30日、60日、又は90日後である。一部の具現例において、核酸コンストラクトの初投与は、ガバペンチノイド投与を完全に中断して少なくとも1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、又は8週後である。一部の具現例において、核酸コンストラクトの初投与は、ガバペンチノイド投与を完全に中断して少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、又は6ヶ月後である。
【0065】
一部の具現例において、核酸コンストラクトは、ガバペンチノイド投与を次第に減少させる間に初めて投与される。一部の具現例において、核酸コンストラクトの初回の服量は、漸減療法(tapering regimen)の0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、21日、28日、又は35日目に投与される。特定の具現例において、核酸コンストラクトの初回の服量は漸減プロセスの1週、2週、3週、4週、5週、又は6週に投与される。一部の具現例において、核酸コンストラクトの初回の服量は、ガバペンチノイド投与を完全に中断して0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、14日、21日、28日、又は35日後に投与される。
【0066】
一部の具現例において、2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトの投与後、ガバペンチノイドは少なくとも4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日間再び投与されない。一部の具現例において、2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトの投与後、ガバペンチノイドは少なくとも1週、2週、3週、4週、又は5週間再び投与されない。一部の具現例において、2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトの投与後、ガバペンチノイドは5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、又は14日間再び投与されない。一部の具現例において、2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトの投与後、ガバペンチノイドは少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、24ヶ月又は36ヶ月間再び投与されない。
【0067】
一部の具現例において、2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトは、複数の訪問で投与される。この場合に、ガバペンチノイドの投与は各訪問前に中断される。一部の具現例において、ガバペンチノイドは各訪問前の少なくとも1週、2週、3週、4週、5週、又は6週間投与されない。一部の具現例において、ガバペンチノイドは各訪問前の少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日又は15日間投与されない。一部の具現例において、ガバペンチノイドは、各訪問後に少なくとも1週、2週、3週、4週、5週、又は6週間投与されない。一部の具現例において、ガバペンチノイドは、各訪問後に少なくとも5日、6日、7日、8日、9日、10日又は15日間投与されない。一部の場合に、複数の訪問中ずっと、核酸コンストラクト投与の完了までガバペンチノイドは投与されない。
【0068】
3.5.2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクト
本明細書に記載された方法において、核酸コンストラクトは、ヒトHGFタンパク質の少なくとも2つの異型体を発現する。一部の具現例において、前記核酸コンストラクトは2つの異型体を発現する。典型的な具現例において、前記核酸コンストラクトは少なくとも一つのflHGF及びdHGFを発現する。特定の具現例において、前記核酸コンストラクトはflHGF及びdHGFの両方を発現する。
【0069】
3.5.1.発現された配列(Expressed sequences)
一部の具現例において、前記コンストラクトは、各異型体コーディング配列(CDS)に対する発現調節配列を含むことによって2つ又はそれ以上のHGF異型体を発現する。一部の具現例において、前記コンストラクトは、例えば、(1)発現調節配列-(2)一番目の異型体のコーディング配列-(3)IRES-(4)二番目の異型体のコーディング配列-(5)転写終結配列の順に、2つのコーディング配列間のIRES(internal ribosomal entry site)を含む。IRESはIRES配列において翻訳が始まるようにし、単一コンストラクトから関心の2つの遺伝子の発現を可能にする。さらに他の具体例において、それぞれHGFの単一異型体をコードする複数のコンストラクトは、投与された対象(subject)においてHGFの1つ以上の異型体の発現を誘導するために共に使用される。
【0070】
本方法の好ましい具現例は、選択的なスプライシング部位を含むことによって、HGFの2つ又はそれ以上の他の類型の異型体-例えば、flHGF及びdHGF-を同時に発現するコンストラクトを使用する。選択的スプライシングを通じたHGFの2つの異型体(flHGF及びdHGF)をコードするコンストラクトが1つのHGF異型体をコードするコンストラクトに比べてより多い(略250倍高い)発現効率(expression efficiency)を有するということが、本明細書に参照として統合された米国特許第7,812,146号で既に知られたことがある。典型的な具現例において、前記コンストラクトは、(1)ヒトHGF遺伝子のエクソン1~4を含む一番目の配列又は該一番目の配列の縮退配列;(2)ヒトHGF遺伝子のイントロン4を含む二番目の配列又は該二番目の配列の断片;及び(3)ヒトHGF遺伝子のエクソン5~18を含む三番目の配列又は該三番目の配列の縮退配列を含む。前記コンストラクトから、エクソン4とエクソン5との間の選択的なスプライシングによってHGFの2つの異型体(flHGF及びdHGF)が生成され得る。
【0071】
一部の具現例において、前記コンストラクトはイントロン4の全体配列を含む。一部の具現例において、前記コンストラクトはイントロン4の断片を含む。好ましい具現例において、前記コンストラクトは、配列番号3~10からなる群から選ばれるヌクレオチド配列を含む。前記配列番号3のヌクレオチド配列は、flHGF及びdHGFをコードする7113bpポリヌクレオチドに相応し、イントロン4の全体配列を含む。配列番号4~10のヌクレオチド配列は、flHGF及びdHGFをコードするポリヌクレオチドに相応し、イントロン4の様々な断片を含む。
【0072】
ヒトHGFのエクソン1~18に相応するcDNA及びヒトHGF遺伝子のイントロン4又はその断片を含む様々な核酸コンストラクトは“HGF-X”と命名され、米国特許第7,812,146号で記述された通り、固有番号が続く。出願人によってテストされたHGF-Xは、配列番号3~10のヌクレオチド配列を有するHGF-X1、HGF-X2、HGF-X3、HGF-X4、HGF-X5、HGF-X6、HGF-X7、及びHGF-X8を含むが、これに制限されない。
【0073】
HGFの2つの異型体(例えば、flHGF及びdHGF)はそれぞれのコンストラクトからエクソン4及びエクソン5間の選択的なスプライシングによって生成され得るということが既に立証された。しかも、様々なHGFコンストラクトのうち、HGF-X7は、その全体内容が参照として本明細書に統合された米国特許第7,812,146号に開示された通り、HGFの2つの異型体(例えば、flHGF及びdHGF)の最高の発現レベルを示す。したがって、HGF-X7を含む核酸コンストラクトを、本発明の方法の好ましい具現例において用いることができる。
【0074】
特に好ましい具現例において、pCK-HGF-X7(“VM202”とも表記される)(配列番号11)が、本明細書に記載された方法で用いられる。pCK-HGF-X7はブダペスト条約によって2002年3月12日付に受託番号KCCM-10361として韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託された。
【0075】
本明細書に記載された方法で用いられるHGF異型体のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列は、さらに、野生型ヒトHGF異型体の配列と実質的に同じアミノ酸配列及びヌクレオチド配列を含むことができる。実質的な同一性は少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%同一性、及び最も好ましくは少なくとも95%同一性を有する配列を含み、前記野生型ヒトHGF異型体のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、他の配列に対して最大限にアラインされる。比較のための配列のアラインメント方法は、当技術分野でよく知られている。具体的には、米国国立生物学情報センター(NCBl、Bethesda、Md)ウェブサイトのNCBI基本ローカルアラインメント検索ツール(BLAST)に開示されており、且つシーケンス分析プログラムblastp、blasm、blastx、tblastn、tblastxに関連して使用され得る配列アルゴリズムを、相同性を決定するために用いることができる。
【0076】
3.5.2.ベクター
本発明の方法で用いられるコンストラクトは、発現された配列に作動的に連結された1つ又はそれ以上の調節配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)を有するベクターを典型的に含む。
【0077】
HGFタンパク質の1つ又はそれ以上の異型体をコードするポリヌクレオチドは、発現コンストラクト内のプロモーターに作動的に連結されることが好ましい。用語“作動的に連結される(operatively linked)”とは、核酸発現調節配列(プロモーター、信号配列、又は転写因子結合部位のアレイのような)と二番目の核酸配列間の機能的連結を意味し、前記発現調節配列は、前記二番目の配列に相応する核酸の転写及び/又は翻訳に影響を与える。
【0078】
典型的な具現例において、ポリヌクレオチドに連結されたプロモーターは、好ましくは動物内で、より好ましくは哺乳動物細胞内で、ポリヌクレオチドの転写を制御するために作動でき、哺乳動物細胞のゲノムから又は哺乳動物ウイルスから由来したプロモーターを含み、例えば、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、HSV tkプロモーター、RSVプロモーター、EF1アルファプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ベータ-アクチンプロモーター、ヒトIL-2遺伝子プロモーター、ヒトIFN遺伝子プロモーター、ヒトIL-4遺伝子プロモーター、ヒトリンフォトキシン遺伝子プロモーター及びヒトGM-CSF遺伝子プロモーターを含むが、これに制限されない。より好ましくは、本発明に有用なプロモーターは、ヒトCMV(hCMV)又はEFlアルファプロモーターのIE(immediately early)遺伝子から由来したプロモーターであり、最も好ましくは、ATG開始コドン直前の配列にわたるエクソン1及びエクソン2の全体配列を含むhCMV IE遺伝子由来プロモーター/エンハンサー及び5’-UTR(非翻訳領域)である。
【0079】
本発明に用いられた発現カセットは、例えば、ウシの成長ホルモン終結剤(bovine growth hormone terminator)(Gimmi,E.R.,et al.,Nucleic Acids Res.17:6983-6998(1989))、SV40-誘導されたポリアデニル化配列(Schek,N,et al.,Mol.Cell Biol.12:5386-5393(1992))、HIV-1ポリA(Klasens,B.I.F.,et al.,Nucleic Acids Res.26:1870-1876(1998))、β-グロビンポリA(Gil,A.,et al,Cell49:399-406(1987))、HSV TKポリA(Cole,C.N.and T.P.Stacy,Mol.Cell.5Biol.5:2104-2113(1985))又はポリオマウイルスポリA(Batt,D.Band G.G.Carmichael,Mol.Cell.Biol.15:4783-4790(1995))を含むポリアデニル化配列を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0080】
3.5.2.1.非ウイルス性ベクター
具体的な具現例において、核酸コンストラクトは、2つ又はそれ以上のHGF異型体を発現可能な非ウイルス性ベクターである。
【0081】
典型的な具現例において、非ウイルス性ベクターはプラスミドである。現在、好ましい具現例において、プラスミドは、pCK、pCP、pVAX1又はpCYである。特に好ましい具現例において、プラスミドはpCKであり、詳細な内容はWO2000/040737号及びLee et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.272:230-235(2000)から検索でき、両文献はいずれもその全体が本明細書に参照として挿入される。pCKで形質転換されたE.coli(Top10-pCK)は、ブダペスト条約によって2003年3月21日に韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託された(受託番号KCCM-10476)。pCK-VEGF165で形質転換された大腸菌(すなわち、VEGFコーディング配列を有するpCKベクター-Top10-pCK/VEGF165’)は、1999年12月27日付にブダペスト条約の条件によって韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託された(受託番号:KCCM-10179)。
【0082】
pCKベクターは、Lee et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.272:230(2000);WO2000/040737号(両文献はその全体が参照として統合される)に詳細に開示されているように、遺伝子、例えばHGF遺伝子の発現がヒトサイトメガロウイルスのエンハンサー/プロモーター下で調節されるように構成される。pCKベクターは、人体に対する臨床試験のために使用され、安全性及び効能が確認された(Henry et al.,Gene Ther.18:788(2011))。
【0083】
特に好ましい具現例において、HGF-X7発現配列を含有するpCKプラスミドは、本発明の方法における核酸コンストラクトとして用いられる。好ましい一具現例であるpCK-HGF-X7(“VM202”とも表記される)は、ブダペスト条約の条項によって韓国微生物保存センター(KCCM)に受託番号KCCM-10361で寄託した(前記プラスミドで形質転換されたE.coli菌株の形態で寄託)。
【0084】
3.5.2.2.ウイルス性ベクター
他の具現例において、従来公知された様々なウイルス性ベクターが本発明の1つ又は2つ以上のHGF異型体タンパク質を運搬し発現することに用いられ得る。例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス又はアデノ関連ウイルスを用いて開発したベクターが本発明の一部の具現例で用いられ得る。
【0085】
(a)レトロウイルス
比較的大きい外因性遺伝子を運搬できるレトロウイルスは、それらがそれらのゲノムを宿主ゲノムに統合させ、広い宿主スペクトルを有するということから、ウイルス遺伝子伝達ベクターとして用いられてきた。
【0086】
レトロウイルスベクターを構築するために、本発明のポリヌクレオチドは特定ウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入されて複製欠陥ウイルス(replication-defective virus)を生成する。ビリオンを生産するために、gag、pol及びenv遺伝子を含むが、LTR(long terminal repeat)及びW成分は含まないパッケージング細胞株が構築された(Mann et al.,Cell,33:153-159(1983))。本発明のポリヌクレオチド、LTR及びWを含有する組換えプラスミドがこの細胞株に導入される時、W配列は、組換えプラスミドのRNA転写体がウイルス粒子内にパッケージングされるようにし、次いで、培養培地に分泌された(Nicolas and Rubinstein “Retroviral vectors,” In:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses,Rodriguez and Denhardt(eds.)、Stoneham:Butterworth,494-513(1988))。その後、組換えレトロウイルスを含む培地が収集され、選択的に濃縮され、遺伝子伝達のために利用された。
【0087】
第2世代レトロウイルスベクターを使用した成功的な遺伝子伝達が報告された。Kasahara et al.(Science,266:1373-1376(1994))は、エンベロープ領域の代わりにEPO(Etythropoietin)配列が挿入されて新しい結合特性を有するキメラタンパク質を生産するモロニーマウス白血病ウイルス(moloney murine leukemia virus)の変異体を製造した。同様に、この遺伝子伝達システムは2世代レトロウイルスベクターの構築戦略によって構築され得る。
【0088】
(b)レンチウイルス
レンチウイルスも本発明の一部の具現例で用いられ得る。レンチウイルスはレトロウイルスの下位クラスである。しかし、レンチウイルスは非分裂細胞のゲノムに統合され得るのに対し、レトロウイルスは分裂細胞(dividing cells)だけを感染させることができる。
【0089】
レンチウイルスベクターは通常、いくつかのプラスミドで形質転換されたパッケージング細胞株、一般にHEK293から生産される。プラスミドは、(1)カプシド及び逆転写酵素のようなビリオンタンパク質をコードするプラスミドパッケージング、(2)ターゲットに伝達される外因性遺伝子を含むプラスミドを含む。
【0090】
ウイルスが細胞に入る時、RNA形態のウイルスゲノムは逆転写されてDNAを生成し、次いでウイルスインテグラーゼ(integrase)酵素によってゲノムに挿入される。したがって、レンチウイルスベクターと共に伝達された外因性質(exogenous)はゲノムに残留でき、細胞が分裂される時に細胞の子孫に伝達される。
【0091】
(c)アデノウイルス
アデノウイルスは一般に、その中間サイズのゲノム(mid-sized genome)、操作容易性、高い力価(high titer)、広いターゲット-細胞範囲及び高い感染性の点で遺伝子伝達システムとして採用されてきた。ウイルスゲノムの両端は100~200bp ITR(inverted terminal repeats)を含み、これはウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なシース要素(cis elements)である。El領域(ElA及びElB)は、ウイルスゲノム及びいくつかの細胞遺伝子の転写調節を担当するタンパク質をコードする。E2領域(E2A及びE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を招く。
【0092】
いままで開発されたアデノウイルスベクターのうち、削除されたE1領域を有する複製不能アデノウイルス(replication incompetent adenovirus)が一般的に使用される。アデノウイルスベクターにおいて欠失されたE3領域は、トランスジーン(transgene)に対する挿入部位を提供することができる(Thimmappaya,B.et al.,Cell,31:543-551(1982);及びRiordan,JR et al.,Science,245:1066-1073(1989))。したがって、デコリン-コーディングヌクレオチド配列が、欠失されたEl領域(ElA領域及び/又はElB5領域、好ましくはElB領域)又は欠失されたE3領域に挿入されることが好ましい。本発明のポリヌクレオチドは、欠失されたE4領域に挿入され得る。ウイルスゲノム配列と関連して用語“削除”は、全体欠失及び部分欠失も含む。事実上、アデノウイルスは約105%の野生型ゲノムをパッケージ化して約2extra kbのDNAを受容することができる(Ghosh-Choudhury et al.,EMBO J.’6:1733-1739(1987))。これと関連して、アデノウイルスに挿入された前記記載された外来配列は、アデノウイルス野生型ゲノムにさらに挿入され得る。
【0093】
アデノウイルスは公知の血清型又はサブグループA~Fのいずれかであり得る。サブグループCのアデノウイルスタイプ5は、本発明のアデノウイルス遺伝子伝達システムを構築するための最も好ましい出発物質である。アデノウイルスタイプ5に対する多くの生化学的及び遺伝的情報が知られている。アデノウイルス遺伝子伝達システムによって伝達される外来遺伝子はエピソーマル(episomal)であり、宿主細胞に対して遺伝毒性を示す。したがって、アデノウイルス遺伝子伝達システムを使用する遺伝子治療は、非常に安全であり得る。
【0094】
(d)アデノ関連ウイルス(AAV)
アデノ関連ウイルスは非分裂細胞及び様々なタイプの細胞を感染させることができ、それらを本発明の遺伝子伝達システムの構築において有用にさせる。AAVベクターの使用及び製造に関する詳細な説明は、米国特許第5,139,941号及び第4,797,368号に記載されている。
【0095】
遺伝子伝達システムとしてのAAVに対する研究結果は、LaFace et al,Viology,162:483-486(1988)、Zhou et al.,Exp.Hematol.(NY)、21:928-933(1993)、Walsh et al.,J.Clin.Invest.,94:1440-1448(1994)及びFlotte et al.,Gene Therapy,2:29-37(1995)に開示されている。典型的に、組換えAAVウイルスは2個のAAV末端反復(terminal repeats)が側面に結合された(flanked)関心遺伝子(すなわち、伝達されるヌクレオチド配列)を含有するプラスミド(McLaughlin et al.,1988;Samulski et al.,1989)及び末端反復を持たない野生型AAVコーディング配列を含有する発現プラスミド(McCarty et al.,J.Viral.,65:2936-2945(1991))を共形質感染(co-transfection)させることによって製造される。
【0096】
(e)他のウイルスベクター
他のウイルスベクターが本発明における遺伝子伝達システムとして用いられ得る。ワクシニアウイルス(Puhlmann M.et al.,Human Gene Therapy 10:649-657(1999);Ridgeway,“Mammalian expression vectors,” In:Vectors:A survey of molecular cloning vectors and their uses.Rodriguez and Denhardt,eds.Stoneham:Butterworth,467-492(1988);Baichwal and Sugden,“Vectors for gene transfer derived from animal DNA viruses:Transient and stable expression of transferred genes,” In:Kucherlapati R,ed.Gene transfer.New York:Plenum Press,117-148(1986) and Coupar et al.,Gene,68:1-10(1988))、レンチウイルス(Wang G.et al.,J.Clin.Invest.104(11):RS 5-62(1999))、及びヘルペスシンプルレックスウイルス(Chamber R.,et al.,Proc.Natl.10 15 Acad.Sci USA 92:1411-1415(1995))のようなウイルスから由来したベクターは、細胞内で本発明の両ポリヌクレオチドを全て転移させるための本発明の伝達システムにおいて用いられ得る。
【0097】
3.6.2つの肝細胞成長因子(HGF)異型体を発現する核酸コンストラクトの投与
3.6.1.伝達方法
本明細書に記載された方法においてHGFの1つ以上の異型体を発現するポリヌクレオチドコンストラクトを投与するために様々な伝達方法が用いられ得る。
【0098】
3.6.1.1.注射
典型的な具現例において、核酸コンストラクトは液状薬剤学的組成物の注射によって投与される。
【0099】
現在、好ましい具現例において、ポリヌクレオチドコンストラクトは、筋肉内注射(intramuscular injection)によって投与される。典型的に、ポリヌクレオチドコンストラクトは、疼痛部位又は患者認識疼痛部位に近接する筋肉内注射によって投与される。一部の具現例において、ポリヌクレオチドコンストラクトは対象(subject)の手、足、脚又は腕の筋肉に投与される。
【0100】
一部の具現例において、コンストラクトは皮下(subcutaneously)又は皮内(intradermally)注射される。
【0101】
一部の具現例において、ポリヌクレオチドコンストラクトは、血管内伝達(intravascular delivery)によって投与される。特定の具現例において、コンストラクトは、逆行性静脈注射(retrograde intravenous injection)によって注射される。
【0102】
3.6.1.2.電気穿孔法(Electroporation)
プラスミドDNAのin vivo細胞への形質転換効率は、一部の場合に、注射に続く電気穿孔(electroporation)を行うことによって改善され得る。したがって、一部の具現例において、ポリヌクレオチドは注射に続く電気穿孔によって投与される。特定の具現例において、電気穿孔は、TriGridTMDelivery System(Ichor Medical Systems,Inc.,San Diego,USA)を用いて投与される。
【0103】
3.6.1.3.超音波穿孔法(Sonoporation)
一部の具現例において、超音波穿孔法(Sonoporation)は、本発明のコンストラクトの形質転換効率を向上させるために用いられる。超音波穿孔法は、超音波を用いて細胞膜を一時的に透過性にさせてDNAの細胞内吸収を許容する。ポリヌクレオチドコンストラクトはマイクロバブル内に統合され、全身循環で投与された後、超音波の外部適用が続き得る。超音波はターゲット組織内のマイクロバブルの空洞化(cavitation)を誘導してコンストラクトの放出及び形質感染の結果を誘導する。
【0104】
3.6.1.4.磁気注入法(Magnetofection)
一部の具現例において、磁気注入法は、本発明のコンストラクトの形質転換効率を向上させるために用いられる。前記コンストラクトは磁性ナノ粒子に結合された後に投与される。高い勾配(gradient)外部磁石の適用は、ターゲットに複合体が捕獲され、維持されるようにする。ポリヌクレオチドコンストラクトは、架橋された分子の酵素分解、電荷相互作用又はメトリックス分解によって放出され得る。
【0105】
3.6.1.5.リポソーム
一部の具現例において、本発明のポリヌクレオチドはリポソームによって伝達され得る。リン脂質が過量の水性媒質に懸濁される時にリポソームが自動的に形成される。リポソーム媒介核酸伝達は、Nicolau and Sene,Biochim.Biophys.Acta,721:185-190(1982)及びNicolau et al.,Methods Enzymol.,149:157-176(1987)に記述された通り、非常に成功的だった。リポソームを用いて動物細胞を形質感染させるための市販試薬の例は、リポフェクタミン(Gibco BRL)を含む。本発明のポリヌクレオチドを捕獲するリポソームは、エンドサイトーシス、吸着(adsorption)及び融合(fusion)のようなメカニズムによって細胞と相互作用した後、細胞内に配列を運搬する。
【0106】
3.6.1.6.形質感染(Transfection)
ウイルスベクターがHGFをコードするポリヌクレオチドを運搬するために用いられるとき、ポリヌクレオチド配列は従来知られた様々なウイルス感染方法によって細胞内に伝達され得る。ウイルスベクターを用いた宿主細胞の感染は、上に言及された引用文献に記載されている。
【0107】
好ましくは、本発明の薬剤学的組成物は非経口投与され得る。非経口投与のために、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射又は局所注射が採用され得る。例えば、薬剤学的組成物は逆行性静脈注射(retrograde intravenous injection)によって注射され得る。
【0108】
好ましくは、本発明の薬剤学的組成物は、筋肉内に投与され得る。一部の具現例において、前記投与は、神経病症疼痛に影響を受ける筋肉をターゲットとする。
【0109】
3.6.2.服量(Dose)
ポリヌクレオチドコンストラクトは、治療学的有効服量で投与される。本願に記載された方法において、治療学的有効服量は、対象(subject)において神経病症を治療するのに効果的な服量である。
【0110】
本明細書に記載された方法の一部の具現例において、ポリヌクレオチドコンストラクトは総容量1μg~200mg、1mg~200mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~20mg、5mg~10mg、16mg、8mg又は4mgで投与される。
【0111】
典型的な具現例において、総容量は複数の個別的注射容量に分割される。一部の具現例において、総容量は複数の同一の注射容量に分割される。一部の実施態様において、総容量は不均等な注射容量に分けられる。
【0112】
様々に分割された容量具現例において、総容量は4カ所、8カ所、16カ所、24カ所又は32カ所の異なる注射部位に投与される。
【0113】
一部の具現例において、注射容量は0.1~5mgである。特定の具現例において、注射容量は、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg又は0.5mgである。
【0114】
総容量は、1回訪問の間に又は2回以上の訪問の間に投与され得る。
【0115】
典型的な分割された容量具現例において、複数の注射容量はいずれも互いに1時間以内に投与される。一部の具現例において、複数の注射容量はいずれも互いに1.5時間、2時間、2.5時間又は3時間以内に投与される。
【0116】
本方法の様々な具現例において、単一容量で投与されようが複数の注射容量で分けられようが、総容量のポリヌクレオチドコンストラクトは対象に1回だけ投与される。
【0117】
一部の具現例において、1回、2回、3回又は4回の訪問にわたる複数の注射部位への総容量のポリヌクレオチドコンストラクトの投与は、単一サイクルを含むことができる。特に、2回訪問にわたって32mg、16mg、8mg又は4mgのポリヌクレオチドコンストラクトを複数の注射部位に投与することは、単一サイクルを含むことができる。2回の訪問は3日、5日、7日、14日、21日又は28日の間隔であり得る。
【0118】
一部の具現例において、前記サイクルは反復され得る。前記サイクルは2回、3回、4回、5回、6回又はそれ以上反復され得る。
【0119】
一部の具現例において、サイクルは、以前サイクル後、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月又はそれ以上反復され得る。
【0120】
一部の具現例において、後続サイクルに投与される総容量は、以前サイクルに投与された総容量と同一である。一部の具現例において、後続サイクルで投与される総容量は以前サイクルで投与された総容量と異なり得る。
【0121】
現在の好ましい具現例において、核酸コンストラクトは患肢当たり8mgの容量で投与され、複数の筋肉内注射及び複数の訪問で同一に分けられ、任意の単一訪問における複数の注射のそれぞれが、分離された注射部位で行われる。特定の具現例において、核酸コンストラクトは、患肢(affected limb)当たり8mgの容量で投与され、0日目に肢当たり4mgの第1容量及び14日目に肢当たり4mgの第2容量で同一に分けられ、ここで、第1及び第2容量は、複数の注射容量に均等に分割される。
【0122】
実際の投与量、投与速度及び経時変化は、治療される神経病症の本質及び重症度に左右されるだろう。典型的な具現例において、ポリヌクレオチドコンストラクトは神経病症、例えば神経病症疼痛(neuropathic pain)の症状を減少させるのに効果的な量で投与される。一部の実施具現例において、前記量は、投与1週以内に神経病症疼痛を減少させるのに効果的である。一部の具現例において、前記量は、投与2週、3週又は4週内に神経病症疼痛を減少させるのに効果的である。
【0123】
一部の具現例において、2つの互いに異なるタイプのコンストラクト(すなわちflHGFをコードする第1コンストラクト及びdHGFをコードする第2コンストラクト)が共に投与されてHGFの2つの異型体の発現を誘導する。一部の具現例において、flHGF及びdHGFを両方ともコードする単一コンストラクトが伝達され、flHGF及びdHGF両方の発現を誘導する。
【0124】
当業者に公知された通常の技術によれば、薬剤学的組成物は、前記記載されたように、薬剤学的に許容される担体及び/又はビークルで剤形化可能であり、最終的に、単位投与量形態(unit dose form)及び多重投与量形態(multidose form)のようないくつかの形態を提供する。剤形(formulation)の非制限的な例は、溶液(solition)、オイル又は水性媒質の懸濁液(suspension)又は乳剤(emulsion)、抽出物、エリキシル(elixir)、粉末(powder)、顆粒(granule)、錠剤(tablet)及びカプセル(capsule)を含むが、これに制限されず、分散剤(dispersion agent)又は安定化剤(stabilizer)をさらに含むことができる。
【0125】
3.6.3.変異型(Vatiations)
In vivo及び/又はIn vitro分析は、最適の投与量範囲を確認することに役立つように任意に用いられ得る。また、製剤(formulation)に使用される正確な投与量は投与経路及び状態の深刻性によって可変可能であり、医師の判断及び各対象subject)の状況(circumstances)によって決定される必要がある。効果的な投与量は、In vitro又は動物モデルテストシステムから誘導された容量-反応カーブから推定され得る。
【0126】
ポリヌクレオチドコンストラクトは単独で又は他の治療と併用して投与され得る。
【0127】
4.薬剤学的組成物
典型的な具現例において、核酸コンストラクトは液状薬剤学的組成物として投与され得る。
【0128】
4.1.薬理学的組成物(Pharmacological composition)及び単位投与量形態
静脈内(intravenous)、筋肉内(intramuscular)、皮内(intradermal)又は皮下(subcutaneous)注射の場合、核酸コンストラクトは非経口的に許容される水溶液の形態で存在でき、発熱源がなく(pyrogen-free)、適度のpH、等張性及び安定性を有する。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射剤(Sodium Chloride Injection)、リンゲル注射剤(Ringer’s Injection)、乳酸加リンゲル液(Lactated Ringer’s Injection)のような等張性ビークルを用いて適切な溶液を製造することができる。必要によって、保存剤(preservatives)、安定化剤(stabilizers)、緩衝剤(buffers)、酸化防止剤(antioxidants)及び/又は他の添加剤(other additives)が含まれ得る。
【0129】
様々な具現例において、核酸コンストラクトは、液体組成物に0.01mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.25mg/ml、0.5mg/ml又は1mg/mlの濃度で存在する。一部の具現例において、単位投与量形態は2mlの薬剤学的組成物を0.01mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml又は1mg/mlの濃度で含有するバイアルである。
【0130】
一部の具現例において、単位投与量形態は、バイアル、アンプル、瓶又は予め満たされた注射器である。一部の具現例において、単位投与形態は、0.01mg、0.1mg、0.2mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2.5mg、5mg、8mg、10mg、12.5mg、16mg、24mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg又は200mgの本発明のポリヌクレオチドを含有する。
【0131】
典型的な具現例において、単位投与量形態における薬剤学的組成物は、液状形態である。様々な具現例において、単位投与量形態は、0.1mlと50mlとの間の薬剤学的組成物を含有する。一部の具現例において、単位投与量形態は、0.25ml、0.5ml、1ml、2.5ml、5ml、7.5ml、10ml、25ml又は50mlの薬剤学的組成物を含有する。
【0132】
特定の具現例において、単位投与量形態は、皮下(subcutaneous)、皮内(intradermal)又は筋肉内(intramuscular)投与に適した単位投与量形態具現例において、1mlの薬剤学的組成物を含有するバイアルであり、それぞれ前記記載された薬剤学的組成物の予め決められた量を含有する予め充填された注射器(preloaded syringe)、自動注射器(auto-injector)及び自動注射ペン(auto-inject pen)を含む。
【0133】
様々な具現例において、単位投与形態は、注射器及び予め決定された量の薬剤学的組成物を含む予め充填された注射器である。特定の予め充填された注射器具現例において、前記注射器は皮下投与に適用される。特定の具現例において、前記注射器は自己投与に適する。特定の具現例において、予め充填された注射器は使い捨て注射器である。
【0134】
様々な具現例において、予め充填された注射器は、約0.1ml~約0.5mlの薬剤学的組成物を含有する。特定の具現例において、前記注射器は約0.5mlの薬剤学的組成物を含有する。特定の具現例において、前記注射器は約1.0mlの薬剤学的組成物を含有する。特定の具現例において、前記注射器は約2.0mlの薬剤学的組成物を含有する。
【0135】
特定の具現例において、前記単位投与量形態は自動注射ペンである。前記自動注射ペンは、本明細書に記載された薬剤学的組成物を含有する自動注射ペンを含む。一部の具現例において、自動注射ペンは、予め決められた体積の薬剤学的組成物を伝達する。他の具現例において、前記自動注射ペンは、使用者によって設定された体積の薬剤学的組成物を伝達するように構成される。
【0136】
様々な具現例において、自動注射ペンは約0.1ml~約5.0mLの薬剤学的組成物を含有する。特定の具現例において、自動注射ペンは約0.5mlの薬剤学的組成物を含有する。特定の具現例において、自動注射ペンは約1.0mlの薬剤学的組成物を含有する。他の具現例において、自動注射ペンは約5.0mlの薬剤学的組成物を含有する。
【0137】
4.2.凍結乾燥したDNA剤形
一部の具現例において、本発明の核酸コンストラクトは、凍結乾燥剤形から再構成された液状組成物として投与される。具体的な具現例において、本明細書にその全体が参照として統合された米国特許第8,389,492号に開示された凍結乾燥したDNA剤形は、再構成された後に用いられる。
【0138】
一部の具現例において、本発明の核酸コンストラクトは、凍結乾燥に先立ち、炭水化物及び塩を含む特定賦形剤と共に剤形化される。診断剤又は治療剤として用いられる凍結乾燥したDNA剤形の安定性は、安定化量(stabilizing amount)の炭水化物を含む水溶液で凍結乾燥する前にDNAを製剤化することによって増加し得る。
【0139】
本発明のDNA製剤の炭水化物は、単糖類、オリゴ糖又は多糖類、例えばスクロース(sucrose)、グルコース(glucose)、ラクトース(lactose)、トレハロース(trehalose)、アラビノース(arabinose)、ペントース(pentose)、リボース(ribose)、キシロース(xylose)、ガラクトース(galactose)、ヘキソース(hexose)、イドース(idose)、マンノース(mannose)、タロース(talose)、ヘプトース(heptose)、果糖(fructose)、グルコン酸(gluconic acid)、ソルビトール(sorbitol)、マンニトール(mannitol)、メチルa-グルコピラノシド(methyl a-glucopyranoside)、マルトース(maltose)、イソアスコルビン酸(isoascorbic acid)、アスコルビン酸(ascorbic acid)、ラクトン(lactone)、ソルボース(sorbose)、グルカル酸(glucaric acid)、エリトロース(erythrose)、トレオース(threose)、アロース(allose)、アルトロース(altrose)、グロース(gulose)、エリトルロース(erythrulose)、リブロース(ribulose)、キシルロース(xylulose)、プシコース(psicose)、タガトース(tagatose)、グルクロン酸(glucuronic acid)、ガラクツロン酸(galacturonic acid)、マンヌロン酸(mannuronic acid)、グルコサミン(glucosamine)、ガラクトサミン(galactosamine)、ノイラミン酸(neuraminic acid)、アラビナン(arabinan)、フルクタン(fructan)、フカン(fucan)、ガラクタン(galactan)、ガラクツロナン(galacturonan)、グルカン(glucan)、マンナン(mannan)、キシラン(xylan)、レバン(levan)、フコイダン(fucoidan)、カラギーナン(carrageenan)、ガラクトカロロース(galactocarolose)、ペクチン、ペクチン酸(pectic acids)、アミロース(amylose)、プルラン(pullulan)、グリコーゲン(glycogen)、アミロベクチン(amylopectin)、セルロース(cellulose)、デキストラン(dextran)、シクロデキストリン(cyclodextrin)、プスツラン(pustulan)、キチン(chitin)、アガロース(agarose)、ケラチン(keratin)、コンドロイチン(chondroitin)、デルマタン(dermatan)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、アルギン酸(alginic acid)、キサンタンガム(xanthan gum)又は澱粉(starch)である。
【0140】
一連の一具現例において、炭水化物はマンニトール又はスクロースである。
【0141】
凍結乾燥に先立つ炭水化物溶液は、水単独中の炭水化物に相応するか、又は緩衝液が含まれ得る。このような緩衝液の例には、PBS、HEPES、TRIS又はTRIS/EDTAが含まれる。典型的に炭水化物溶液は、約0.05%~約30%スクロース、典型的に0.1%~約15%スクロース、例えば0.2%~約5%、10%又は15%スクロース、好ましくは約0.5%~10%スクロース、1%~5%スクロース、1%~3%スクロース、及び最も好ましくは約1.1%スクロースの最終濃度でDNAと結合される。
【0142】
本発明のDNA製剤の塩は、NaC1又はKClである。特定態様において、DNA製剤の塩はNaClである。追加の態様において、DNA製剤の塩は、約0.001%~約10%、約0.1%~5%、約0.1%~4%、約0.5%~2%、約0.8%~1.5%、約0.8%~1.2% w/vからなる群から選ばれる量で存在する。特定の具現例において、DNA製剤の塩は約0.9% w/vの量で存在する。
【0143】
凍結乾燥した製剤から再構成された液状組成物中の最終濃度は、約1ng/ml~約30mg/mlのプラスミドである。例えば、本発明の製剤は、約1ng/ml、約5ng/ml、約10ng/ml、約50ng/ml、約100ng/ml、約200ng/ml、約500ng/ml、約1μg/ml、約5μg/ml、約10μg/ml、約50μg/ml、約100μg/ml、約200μg/ml、約400μg/ml、約500μg/ml、約600μg/ml、約800μg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、又は約30mg/mlのプラスミドの最終濃度を有することができる。本発明の特定の具現例において、DNAの最終濃度は100μg/ml~2.5mg/mlである。本発明の特定の具現例において、DNAの最終濃度は0.5mg/ml~1mg/mlである。
【0144】
本発明のDNA製剤は、当業界に公知された標準条件下で凍結乾燥する。本発明のDNA剤形の凍結乾燥方法は、(a)DNA剤形、例えばプラスミドDNA、塩及び炭水化物を含むDNA剤形を有するコンテナ、例えばバイアルを凍結乾燥器内にローディング(loading)する段階;前記でプラスミドDNAはHGF遺伝子、又はそれらの変異体を含み、前記凍結乾燥器は約5℃~約-50℃の開始温度を有する;(b)DNA剤形を零下の温度(例えば、-10℃~-50℃)に冷却させる段階;及び(c)続いてDNA剤形を乾燥させる段階を含むことができる。本発明のDNA剤形の凍結乾燥条件、例えば、温度及び期間は、凍結乾燥パラメータに影響を与え得る因子、例えば、使用された凍結乾燥装置のタイプ、使用されたDNAの量、及び使用されたコンテナのサイズを考慮して当業者が調整することができる。
【0145】
凍結乾燥したDNA剤形を保有する容器は、様々な温度(例えば、室温~約-180℃、好ましくは約2~8℃~約-80℃、より好ましくは約-20℃~約-80℃、及び最も好ましくは約-20℃)で延長された時間周期の間に密封されて保管され得る。特定の態様において、凍結乾燥したDNA剤形は、好ましくは約2~8℃~約-80℃の範囲内で少なくとも6ケ月の期間の間に有意な活性の損失なく好適に安定である。
【0146】
プラスミドDNA剤形の安定した保管は、また、研究又はプラスミド基盤治療のような使用前に、長期間安定した形態でプラスミドDNAを保管することに該当し得る。保管時間は、数ケ月、1年、5年、10年、15年又は20年であり得る。好ましくは、製剤は、少なくとも約3年間安定である。
【0147】
5.実施例
下記の実施例は、当業者に本発明を作って使用する方法に関する完全な開示及び説明を提供するために提示されるもので、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を制限しようとする意図はなく、以下の実験が、行われた全部又は唯一の実験であることを示そうとする意図はない。使用された数字(例えば、量、温度など)と関連して正確性を保障するために努力したが、一部の実験の誤り及び偏差が考慮されるべきだろう。特に指示しない限り、部(parts)は重量部(parts by weight)、分子量(molecular weight)は重量平均分子量(weight average molecular weight)であり、温度は摂氏温度、圧力は大気圧又は周辺大気圧(near atmospheric)である。標準略語、例えば、bp、塩基対(base pair(s));kb、キロベース(kilobase(s));pl、ピコリットル(picoliter(s));s又はsec、秒;min、分;h又はhr、時間;aa、アミノ酸;nt、ヌクレオチド;など。
【0148】
特に指示されない限り、本発明の実施は、当業者に通常の方法である、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学的公知方法が用いられるだろう。
【0149】
5.1.実施例1:神経病症に対する慢性収縮損傷(CCI)動物モデルにおけるVM202媒介疼痛減少に対するガバペンチンの効果
【0150】
図1Aは、Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015)から再現されたものであり、糖尿病性末梢神経病症の治療に対するVM202の臨床第2相で全患者から測定した疼痛レベルの経時的変化を示す。実験データは、高用量VM202(0日目における脚当たり8mg、14日目における脚当たり8mg;両訪問及び両脚にわたる総容量、32mg)、低容量VM202(0日目における脚当たり4mg、14日目における脚当たり4mg;両訪問及び両脚にわたる総容量、16mg)、又は食塩水(プラシーボ)の投与後3月、6月、9月後に測定した疼痛深刻度を示す。図1Bはまた、Kessler et al.,Annals Clin.Transl.Neurology 2(5):465-478(2015)から再現されたものであり、高用量VM202、低容量VM202、又は食塩水(プラシーボ)の投与後、3月、6月、及び9月後のリリカ(Lyrica;pregabalin)及び/又はニューロンチン(Neurontin;gabapentin)を服用しなかった患者グループから測定した疼痛レベルにおける経時的変化(time-course change)を示す。また、Kessler et al.に報告された通り、リリカ及び/又はニューロンチンを服用しなかった患者(図1B)は、低容量VM202の投与後、一般に、総患者グループ(the total group)(図1A)に比べて、基準線(baseline)から疼痛のより大きな減少を経験した。
【0151】
第II相臨床試験データの事後分析(post hoc analysis)は、ガバペンチノイドとVM202の明白な有害な(deleterious)相互作用の基礎となる生理学的メカニズムを明らかにすることができなかった。特に、前記データは、ガバペンチノイドの事前投与がVM202の以降の効能を妨げるかどうか予想できず、事前にガバペンチノイドを服用した患者にVM202をどのように効果的に投与すればよいか予想できなかった。
【0152】
VM202効能とのガバペンチノイド干渉の背後のメカニズムを探求するために、本発明者らは、図2に提示するように、慢性収縮損傷(CCI)マウスでVM202媒介疼痛減少に対するガバペンチンの効果を試験した。CCIは神経病症疼痛研究に広く使用される動物モデルである。具体的に、5週齢雄マウスの坐骨神経(sciatic nerve)に緩く収縮性リガチャー(constrictive ligature)を適用することによって、慢性収縮損傷(CCI)を導入した。CCIマウスは3個のグループに分けられた。第1グループにおいて、200μgのpCKベクターがVM202投与のための陰性対照群として頭蓋大腿筋肉(cranial thigh muscle)に投与され(pCKはVM202に用いられたベクターであるが、HGFベクター搭載がない)、第2グループにおいて、200μgのVM202を頭蓋大腿筋肉(cranial thigh muscle)に投与し、第3グループにおいて、DNAコンストラクトを投与しなかった。第1及び第2グループの各動物を2個の下位群にさらに分け、第1下位グループは毎日100mg/kgのガバペンチンを注射し、第2下位グループはガバペンチン投与に対する陰性対照群としてPBSを腹腔内空洞(intraperitoneal cavity)を通って2週間毎日注射した。CCIのないシャムグループも維持され、PBSを毎日注射した。14日から16日まで、フォンフレイフィラメント検査(Von Frey filament test)を行って神経病症疼痛(機械的アロディニア(mechanical allodynia))のレベルを評価した。
【0153】
5個の異なるグループでフォンフレイフィラメント試験(Von Frey filament test)によって測定された足逃避反応頻度(paw withdrawal frequencies)を図3及び図4に示した。シャム手術群(sham-operated group)(“Sham”、図3及び図4のダイアモンドを有する線)は、実験期間を通じて非常に低い基底頻度(very low basal frequency)の足逃避(paw withdrawal)を示した。これに対し、pCKが投与され(VM202に対する陰性対照群)、PBSが毎日投与された(ガバペンチンに対する陰性対照群)CCI手術群(CCI-operated group)(“pCK-PBS”、図3及び図4の三角形を有する線)は、実験期間を通じて持続的に高い疼痛レベルを示した。一方、pCKを投与し、毎日ガバペンチンを注射したCCI手術群は、足逃避頻度(paw withdrawal frequencies)の減少によって立証された通り、ガバペンチン投与直後に疼痛レベルの減少を示した(“pCK-ガバペンチン”、図3の丸を有する線)。しかし、ガバペンチンの疼痛緩和効果は、約6時間しか持続しなかった。
【0154】
VM202を注射したCCI手術群は、全実験期間を通じて有意に低い疼痛レベルを示した(“VM202”、図3でxを有する線)。VM202処理されたCCIマウスにガバペンチンを毎日注射したとき(“VM202+ガバペンチン”、図4のxを有する線)、疼痛レベルは、VM202によって達成されたレベルから、非常に短い時間の間に格段に減少した後、疼痛レベルは約10時間の間に増加してpCK-PBSレベルに近接し、その後、ガバペンチンの二番目の投与時まで漸次減少した。
【0155】
初期注射24時間後に二番目の時間の間にガバペンチンを投与したとき、疼痛レベルは、非常に短い時間の間に再びVM202レベル以下に減少した後、pCK-PBSレベルとVM202レベルとの間の安定したポイントまで上昇した。全般的に、VM202の疼痛減少効果は、30.56%の頻度から46.1%頻度へと、50%以上ガバペンチンによって損傷した。
【0156】
5.2.実施例2:神経病症に対する神経損傷動物モデル(nerve crush animal model)においてVM202媒介神経再生に対するガバペンチンの効果
VM202媒介神経再生に対するガバペンチノイドの効果は神経損傷動物モデルで試験した。プロトコルは、図5に図式化している。具体的に、9週齢C57BL/6マウスに短い圧力を加えることによってその坐骨神経(sciatic nerve)に神経損傷を導入した。その当日(1日)、マウスに神経損傷直後、頭蓋大腿筋肉(cranial thigh muscle)に200μgのVM202を注射した。翌日(2日)から、100mg/kgのガバペンチンを毎日投与した。
【0157】
7日に、損傷した神経の機能的回復を定量化するために神経ピンチテスト(nerve pinch test)を行った。神経ピンチテストのために、軽い麻酔(light anesthesia)を誘導し、坐骨神経(sciatic nerve)を露出させた。損傷した神経を反射反応(reflex response)が観察されるまで遠位(distal direction)から近位(proximal direction)の方向にピンチングした。その後、負傷部位と反応を起こした先頭部位との距離を測定した。この方法で測定した距離は、再生された神経の長さを表し、図6のy軸に示した。
【0158】
VM202処理されたマウスで測定された再生神経の長さは、陰性対照群プラスミドベクターであるpCK(1.5±0.5mm)で処理された対照群マウスで測定された長さよりも略2.7倍長い約4±0.2mmであった。この結果から、VM202が、損傷したニューロンの再生を誘導するのに効果的であることを確認した(図6で“PBS”と表示された左側の2本の棒)。神経再生のこのVM202媒介向上は、ガバペンチンで処理されたマウスで大きく減少した。VM202処理されたマウスで測定された再生神経の長さは、毎日ガバペンチンを注射したとき、1.95±0.3mmであった。したがって、マウスで神経再生(1.95±0.3mm)は、VM202を類似に投与したが、ガバペンチンを毎日注射しなかったマウス(4±0.2mm)に比べて有意に少なかった。この結果は、ガバペンチンがVM202媒介神経再生を妨害することを示す。しかし、ガバペンチンが存在しても、VM202はpCK対照群に比して相変らず神経再生を2.3倍増加させることができた(図6で“ガバペンチン”と表示された右側の2本の棒)。
【0159】
5.3.実施例3:c-JunのVM202媒介上向き調節に対するガバペンチンの効果
c-Junは、神経再生に関与する主要因子としてよく確立されており、その過程に対するマーカーとして用いられてきた。シャムマウス(”Sham”)又は神経損傷マウス(“Crush”)から得た後根神経節(Dorsal root ganglion;DRG)細胞から製造されたc-Junタンパク質の発現は、c-Junに対する抗体を用いてウェスタンブロット分析で測定された。c-Junの発現は、シャム動物に比べて神経損傷モデルで有意に増加した(図7Aのレーン1及び2比較)。VM202処理はc-Jun発現レベルを1.3倍さらに増加させたが(図7Aのレーン2及び3比較)、マウスがガバペンチンに露出されたとき、このような誘導は観察されなかった(図7Aのレーン5及び6比較)。ウェスタンブロット分析結果をバンド強度に基づいて定量化し、それらの分析及び比較のために図7Bに提示した。データは、VM202から生産されたHGFがカルシウム信号伝達経路を用いてc-Junタンパク質のレベルを増加させ、結局は、損傷した神経の再生につながり得ることを示唆した。
【0160】
5.4.実施例4:異なる時点に投与されたガバペンチンによるVM202の治療効果の干渉
VM202投与と関連して、異なる時点でガバペンチノイド投与の効果を慢性収縮損傷(CCI)マウスで試験した。CCIマウスを5個のグループに割り当て、図8Aに例示するように処理し、下表1に要約した。
【0161】
【表1】

【0162】
CCI手術後、1週間に1回フォンフレイフィラメントテスト(Von Frey‘s filament test)を用いて機械的アロディニア(mechanical allodynia)の発達を評価し、機械的頻度評価に基づいて疼痛減少倍率レベルを計算した。要するに、動物は、適応のために金属メッシュ底の上部のシリンダーに個別的に配置された。機械的感度の頻度を調べるために、一定の厚さのフィラメント(0.16g)を使って後足を刺激することによってマウスを評価した。
【0163】
図8Bの結果は、VM202の注射が、pCKベクター(CCI-pCK)で注射された対照群マウスと比較して、疼痛レベル(CCI-VM202)を有意に減少させることを立証した。しかし、ガバペンチンがVM202と同時に2週間毎日投与されたとき(CCI-VM202-Gaba1)、VM202の注射は、pCKベクター欠損挿入で処理されたCCIグループ(CCI-pCK)と比較できるような効果はなかった。これは、VM202注射と同時に及び/又は直後のガバペンチンの投与が、VM202の疼痛緩和効果を完全に妨害し除去し得ることを示唆する。さらに、追加のガバペンチン投与がない場合にも、このような干渉は続いた。具体的に、VM202で処理されたCCIマウス(CCI-VM202-Gaba1)は、追加のガバペンチン投与がないとき、14日から28日まで、pCKベクター(CCI-pCK)で処理されたCCI対照群マウスと類似な高レベルの疼痛が持続した。
【0164】
しかし、ガバペンチンによるVM202の治療効果の干渉は、ガバペンチン治療がVM202注射14日後に開始された時には観察されなかった(CCI-VM202-Gaba2)。CCIマウスを最初2週間にガバペンチン投与無しでVM202で治療したとき、ガバペンチンを15日から28日まで毎日投与した場合にもVM202の疼痛緩和効果が有意であるとともに維持された。これは、VM202投与とガバペンチン投与との間に十分の時間遅延がある場合、ガバペンチンがVM202の治療効果を干渉しないことを示唆する。
【0165】
干渉を防止するために要求される時間遅延をさらに調べるために、追加の実験において、VM202で注射されたCCIマウスは、0~14日範囲の様々な期間で遅延後にガバペンチンで処理した。具体的に、CCIマウスは、図9Aに示され、下表2に要約されたように、6個のグループに割り当てられた。CCIマウスには0日にVM202又はpCKが注射された。CCIマウスはガバペンチンで処理されていないか(CONT1、CONT2)、VM202注射後0日(その当日VM202注射、GP1)又は3日(GP2)、7日(GP3)又は10日(GP4)に始めてガバペンチンをさらに処理した。
【0166】
【表2】

【0167】
CCI手術及びVM202又はpCK注射2週後に、フォンフレイフィラメント試験(Von Frey’s filament test)を用いて機械的アロディニア(mechanical allodynia)の発達を評価し、疼痛減少倍率レベルを、それぞれの動物に対する機械的頻度評価に基づいて計算した。結果は図9Bに提供される。この結果は、VM202がGP1、GP2及びGP3で有意の疼痛減少効果を示さなかったが、VM202はCONT2又はGP4で有意の疼痛緩和を提供することを示した。これは、VM202投与と共に及び/又は最初の週にガバペンチン治療をすると、VM202の治療効果を妨害し得るが、VM202投与して約10日後に始めるガバペンチン治療は、VM202の治療効能に有意の影響を及ぼさないということを示唆する。
【0168】
本研究は、VM202の効能及び効果に対するガバペンチノイドの有害な効果が、VM202の第1投与に先立ってガバペンチノイド投与を中断することによって顕著に減少し、VM202の第1投与後に少なくとも約1週の間にガバペンチノイド投与を保留することによって弱化し得ることを示す。
【0169】
参照による統合
本明細書に引用された全ての刊行物、特許、特許出願及びその他文書は、それぞれの個別刊行物、特許、特許出願又はその他文書が個別的に全ての目的のために参照として含まれたものと表示されるのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照として本明細書に含まれる。
【0170】
等価物
様々な具体的な具現例が図示及び説明されてきたが、前記詳細な説明は制限的なものではない。本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解できよう。本発明の詳細な説明を検討することで多くの変形が当業者にとって明らかであろう。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
【配列表】
2022060514000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-03-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
等価物
様々な具体的な具現例が図示及び説明されてきたが、前記詳細な説明は制限的なものではない。本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解できよう。本発明の詳細な説明を検討することで多くの変形が当業者にとって明らかであろう。
本開示に係る態様は以下の態様も含む。
<1>
神経病症(neuropathy)の治療方法における使用のためのVM202であって、前記方法は次の段階を含む、VM202:
ガバペンチノイドを投与された神経病症患者を選択する段階、
前記患者へのガバペンチノイド投与を中断する段階、及び
前記患者にVM202を投与する段階。
<2>
前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも1週間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む、<1>に記載のVM202。
<3>
前記方法は、VM202投与段階後に少なくとも10日間の間にガバペンチノイド投与を保留する段階をさらに含む、<1>に記載のVM202.
<4>
前記ガバペンチノイド投与を中断する段階は、ガバペンチノイド投与を次第に減少させることを含む、<1>~<3>のいずれか一項に記載のVM202。
<5>
VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断された後に行われる、<1>~<4>のいずれか一項に記載のVM202。
<6>
前記VM202を投与する段階は、ガバペンチノイド投与が完全に中断されて少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、14日、21日、30日、60日又は90日後に行われる、<5>に記載のVM202。
<7>
前記神経病症は、糖尿病性末梢神経病症である、<1>~<6>のいずれか一項に記載のVM202。
<8>
前記神経病症は、帯状疱疹後神経病症(post-herpetic neuropathy)である、<1>~<6>のいずれか一項に記載のVM202。
<9>
前記ガバペンチノイドは、ガバペンチン又はプレガバリンである、<1>~<8>のいずれか一項に記載のVM202。
<10>
前記VM202を投与する段階は、患者の患肢(affected limb)当たり8mgのVM202を、複数回の筋肉内注射及び複数回の訪問に同等に分けて投与することを含み、所定の1回の訪問において複数回の筋肉内注射のそれぞれは、離隔した注射部位で行われる、<1>~<9>のいずれか一項に記載のVM202。
<11>
前記VM202を投与する段階は、16mgの容量のVM202を64回の筋肉内注射で均等に分けて投与する段階を含み、
16回の筋肉内注射は、一番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、一番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、二番目の訪問において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、二番目の訪問において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、及び
64回の筋肉内注射のそれぞれは0.5ml体積中の0.25mgのVM202を用いて行われる、<10>に記載のVM202。
<12>
患者において神経病症を治療する方法に使用するためのVM202であって、前記方法は次の段階を含む、VM202:
神経病症の患者にここ一週(week)内にガバペンチノイドが投与されたか否か決定する段階;
患者にここ一週内にガバペンチノイドが投与された場合、患者へのガバペンチノイド投与を中断した後、患者にVM202を投与する段階;及び
患者にここ一週内にガバペンチノイドが投与されなかった場合、患者にVM202を投与する段階。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VM202を含む神経病症(neuropathy)の治療のため医薬組成物であって、
前記医薬組成物はガバペンチノイドを投与された神経病症患者に、ガバペンチノイド投与が中断された後に投与され、
前記医薬組成物の投与後少なくとも10日間、前記患者に対するガバペンチノイド投与が保留される、
前記医薬組成物
【請求項2】
前記ガバペンチノイド投与中断、ガバペンチノイド投与を次第に減少させることを含む、請求項1に記載の医薬組成物
【請求項3】
前記ガバペンチノイド投与の中断は、ガバペンチノイド投与完全中断を含む、請求項1又は請求項2に記載の医薬組成物
【請求項4】
前記ガバペンチノイド投与の中断は、少なくとも1日、2日、3日、5日、7日、14日、21日、30日、60日間、又は90日間の完全な中断を含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項5】
前記保留の後にガバペンチノイドの投与が再開される、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記神経病症は、糖尿病性末梢神経病症である、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項7】
前記神経病症は、帯状疱疹後神経病症(post-herpetic neuropathy)である、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項8】
前記ガバペンチノイドは、ガバペンチン又はプレガバリンである、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記医薬組成物は、患者の患肢(affected limb)当たり8mgのVM202、複数回の筋肉内注射及び複数回の診察に同等に分けられるように投与され、所定の1回の診察において前記複数回の筋肉内注射のそれぞれは、離隔した注射部位で行われる、請求項1~請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物
【請求項10】
前記医薬組成物は、16mgの用量のVM20264回の筋肉内注射で均等に分けられるように投与され
16回の筋肉内注射は、一番目の診察において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、前記一番目の診察において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、二番目の診察において一番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
16回の筋肉内注射は、前記二番目の診察において二番目のふくらはぎの離隔した注射部位に投与され、
前記64回の筋肉内注射のそれぞれは0.5ml体積中の0.25mgのVM202を用いて行われる、請求項に記載の医薬組成物