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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060515
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】折畳み式砕土装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 73/02 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A01B73/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027363
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2018153767の分割
【原出願日】2018-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
(72)【発明者】
【氏名】天間 修一
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(57)【要約】
【課題】異物等の付着による折畳状態時の側部作業体に連結された整地板の回動又は垂れ下る状態を回避できる折畳み式砕土装置を提供すること。
【解決手段】折畳み式砕土装置は側部作業体2を有し、この側部作業体2は折畳部と、側部砕土ロータリー20と、側部ロータリー上面カバー21と、側部第1整地板22と、側部第2整地板23と、を備える。側部作業体2上には側部第1揺動リンク61と、アクチュエータ63と、アクチュエータの他端を連結する側部第2揺動リンク62と、側部作業体に回動自在に連結され案内部50cを設けた側部第1リンク50と、側部第1リンクに回動自在に連結されると共に側部第2整地板と回動自在に連結される側部第2リンク51と、を備える。案内部50cは、側部第1リンク50の回動を規制する規制範囲50eと、側部第1リンクの回動を可能にする規制解除範囲50dと、を含む。
【選択図】 図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕土作業をする作業体の後方部に位置して上下方向に回動自在に設けられる第1整地板と、該第1整地板に上下方向に回動可能に設けられる第2整地板と、を備え、
前記作業体上に設置され左右方向を支点軸にして回動可能な側部第1揺動リンクと、
前記作業体上に回動自在に設けた側部第2揺動リンクと、
一端が前記作業体に回動自在に連結され、下方部に開口部を有し該開口部から連続して前記第2揺動リンクを案内する案内部を設けた側部第1リンクと、
一端が前記側部第1リンクの他端に回動自在に連結され他端が第2整地板と回動自在に連結される側部第2リンクと、を備え、
前記案内部は、前記側部第1リンクの回動を規制する規制範囲と、
前記側部第1リンクの回動を可能にする規制解除範囲と、
を含むことを特徴とする折畳み式砕土装置。
【請求項2】
前記規制範囲には、前記第2揺動リンクが規制解除範囲への移動を阻止する突起部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の折畳み式砕土装置。
【請求項3】
前記側部第1揺動リンクには、該側部第1揺動リンクを回動方向に付勢可能な弾性体と、をさらに備え、
前記側部第1リンクの回動が規制された状態と前記側部第1リンクの回動が規制解除された状態とでは付勢する方向が異なる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳み式砕土装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行車に装着して使用する代掻きや砕土等を行う砕土装置に係る。詳細には、中央で走行車に連結される中央作業体と、該中央作業体左右の延長部分である左右の側部作業体とで砕土等の作業が可能であり、各側部作業体が中央作業体側へ折畳んで走行することが可能な折畳み式砕土装置に関する。更に詳細には、これら折畳み式の砕土装置における、中央作業体に対して折畳むことでコンパクトにできる側部作業体において、側部作業体に付帯し耕耘作業時に整地作業を行う整地板が、上下回動させた折畳み状態時に回動または垂れ下がるのを防止する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の走行車に装着して代掻きや砕土等を行う砕土装置であって、中央作業体と、該中央作業体左右の側部に位置する側部作業体とを備え、側部作業体を折畳み可能な砕土装置として、特許文献1の折畳み式砕土装置が開示されている。この折畳み式砕土装置は、「側部作業体折畳み時には、中央作業体との当接が解除し、係止ロッドが挿脱可能な貫通孔からなる側部第2リンクに設けた規制係止部の規制係止孔内に挿入状態となり側部第2リンクを規制する。側部作業体展開時には、摺動ロッドが中央作業体当接部と当接して摺動され、摺動ロッドと共に係止ロッドが摺動して規制係止孔から離脱し側部第2リンクの規制を解除する。」([要約]の解決手段より)とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013―236589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の折畳み式砕土装置は、規制係止孔内に泥土等の異物が入る等の原因で係止ロッドが規制係止部の規制係止孔内に挿入できない状況が発生した場合、側部第2リンクを規制することはできない状態になる。結果として、折畳状態時に側部作業体に連結された整地板が回動又は垂れ下がることがしばしば発生する問題がある。
【0005】
したがって、本発明は上記問題点に着眼してなされたものであり、異物等の付着による折畳状態時の側部作業体に連結された整地板の回動又は垂れ下る状態を回避できる折畳み式砕土装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、砕土作業をする作業体の後方部に位置して上下方向に回動自在に設けられる第1整地板と、この第1整地板に上下方向に回動可能に設けられる第2整地板と、を備え、作業体上に設置され左右方向を支点軸にして回動可能な側部第1揺動リンクと、作業体上に回動自在に設けた側部第2揺動リンクと、一端が作業体に回動自在に連結され、下方部に開口部を有しこの開口部から連続して第2揺動リンクを案内する案内部を設けた側部第1リンクと、一端が側部第1リンクの他端に回動自在に連結され他端が第2整地板と回動自在に連結される側部第2リンクと、を備え、案内部は、側部第1リンクの回動を規制する規制範囲と、側部第1リンクの回動を可能にする規制解除範囲と、を含む折畳み式砕土装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異物等の付着による折畳状態時の側部作業体に連結された整地板の回動又は垂れ下る状態を回避できる折畳み式砕土装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態である折畳み式砕土装置の側部作業体を作業状態に展開した状態の背面図
図2】本発明の実施形態である折畳み式砕土装置の側部作業体が折畳み状態の背面図
図3】実施形態の側部作業体を作業状態に展開した状態の側面図
図4】実施形態の側部作業体を折畳み状態に展開した状態の側面図
図5】実施形態の中央作業体の断面をあらわす要部側面図である、図1のA-A線断面説明図
図6】実施形態の側部作業体の断面をあらわす要部側面図である、図1のB-B線断面説明図
図7】実施形態の駆動伝達図
図8】実施形態の展開状態における折畳部及び側部整地板リンク機構付近の拡大背面視説明図
図9】実施形態の展開状態における折畳部及び側部整地板リンク機構付近の拡大平面視説明図
図10】実施形態の展開状態における側部第1整地板固定機構部の図3の矢示C視説明図
図11】実施形態の展開状態と折畳み状態の中間状態における図3の矢示C視説明図
図12】実施形態の折畳み状態における側部第1整地板固定機構部の図3の矢示C視説明図
図13】実施形態の中央整地板リンク機構を図1のA-A線で断面して拡大した側面視説明図
図14】実施形態の側部整地板リンク機構を図1におけるD-D線で断面して拡大した側面視説明図
図15】実施形態の側部整地板リンク機構の図1におけるB-B線で断面して拡大した側面視説明図
図16】実施形態の中央作業体の土寄せ状態の断面をあらわす要部側面図である、図1のA-A線で断面して拡大した説明図
図17】実施形態の側部作業体の土寄せ状態の断面をあらわす要部側面図である、図1のB-B線で断面して拡大した説明図
図18】実施形態の側部作業体が折畳み状態で中央作業体が土寄せ状態の断面をあらわす要部側面図で板材62aを除いて表示した、図2のE-E線断面説明図
図19】実施形態の側部作業体が折畳み状態で中央作業体が砕土作業状態の断面をあらわす要部側面図で板材62aを除いて表示した、図2のE-E線断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付すことがある。但し、図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。説明において、図1に示す、左側を進行方向の左側、右側を進行方向の右側、図3に示す左方を進行方向の前方、右方を進行方向の後方として表している。
又、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
折畳み式砕土装置は、図1に表すように、中央作業体1と、中央作業体1の左右に作業幅を延長する左右の側部作業体2L,2Rとの3部分から構成される。そして、左右の各々の側部作業体2L、2Rは、中央作業体1の端部で回動可能に連結され、上方に回動することで中央作業体1の上方へ折畳まれる。
中央作業体1と、その左右に位置する各側部作業体2L、2Rとの折り畳み部分は折畳部3であり、折畳部3の周辺には側部第1整地板固定機構4が配置されている。
【0011】
中央作業体1は、図7に表すように、左右方向に亘って設けられる中央砕土ロータリー10及びパイプ状のセンターフレーム11を有する。中央砕土ロータリー10は、中央回転軸10aを設け、更に中央回転軸10aから放射方向に複数の砕土爪10bを設けてある。センターフレーム11は、中央部に、前方へ向けて入力軸12aを配置した入力ケース12を設けている。入力軸12aは中央作業体1の前方に位置するトラクタ等から動力を受領可能である。さらに、入力ケース12の周囲には装着フレーム19を設けている。装着フレーム19は、入力ケース12の上部にトップマスト19aと入力ケース12の両側に設けたロアピン19bを設けている。トップマスト19a及びロアピン19bはトラクタの3点リンク機構(図示せず)に連結されて昇降可能に設けられ、トラクタPTO軸より駆動伝達するようユニバーサルジョイント(図示せず)が入力軸12aへ連結される。入力軸12aは、入力ケース12内部のベベルギア12bを介してセンターフレーム11内に設ける出力軸11aに受領した動力を伝達可能に連結している。
【0012】
図7に図示されるように、センターフレーム11の片側に伝動チェーンケース13を設ける。伝動チェーンケース13内には、出力軸11a端部に設けるスプロケット13a、中央回転軸10a端部に設けるスプロケット13b、スプロケット13a及びスプロケット13bに架け渡し動力伝達を行うローラーチェーン13cを設ける。これにより、入力軸12aから受領した動力は、スプロケット13a、ローラーチェーン13c、スプロケット13bを介して中央砕土ロータリー10の中央回転軸10aに回転動力として伝達可能となる。そして、中央作業体1は、中央回転軸10aに周囲幅方向に亘って多数設けられている砕土爪10bによって土壌を砕土する。
【0013】
中央回転軸10aの左右両端には、図4及び図7に表すように、中央側クラッチ爪14を設けている。中央側クラッチ爪14は、左側を例に説明すれば、左側部作業体2Lを展開状態とした場合に、左側部作業体2Lの側部回転軸20a端部に設ける側部クラッチ爪20bと接続可能であり、中央回転軸10aの動力を左側部作業体2Lへ伝達される。同様に、中央回転軸10aの右端部に設ける中央側クラッチ爪14は、右側部作業体2Rへ動力伝達される。図4は側部作業体2を上方へ折畳んだ状態であるので、中央側クラッチ爪14が表れているが、図3のように側部作業体2展開状態では側面からは視認されない。側部作業体2、側部回転軸20a、側部クラッチ爪20bの詳細は後述する。
【0014】
中央砕土ロータリー10の上方には、図4及び図5に表すように、中央ロータリー上面カバー15を設ける。中央ロータリー上面カバー15の後端辺には、同じく中央ロータリー上面カバー15の後端辺に配置された第1整地板回動軸16aを軸に上下回動可能に設けた中央第1整地板16が設けられている。中央第1整地板16の後端辺(若しくは下端辺)には、第2整地板回動軸17aを介して上下回動可能に設けた中央第2整地板17が取り付けられている。中央第1整地板16からは、中央サイドロータリー10側にレーキ16cが設けられている。この実施例ではレーキ16cは左右方向に等間隔に1列設ける。また、中央第2整地板17は、その上面に中央第2リンク18bの一端を回動自在に連結され、中央第2リンク18bの他端を中央第1リンク18aの一端へ連結している。さらに、中央第1リンク18aの他端を中央作業体1本体に連結している。中央第1整地板16、中央第2整地板17、中央第2リンク18b、中央第1リンク18aによって中央整地板リンク機構180を構成している。
【0015】
中央第1リンク18aの前後方向の中央部付近には、下方に向けて三角状に突出した突出部を設けている。この突出部の進行方向前方側には、下方に向けて開放された切欠き部が上方且つ後方に向けて形成されている。この切欠き部は中央案内部181として機能し、後述する中央リンク規制手段180と連係することによって、中央整地板の回動を規制及び規制解除する。中央案内部181は、クランク状に折り曲げられたL字状の切欠き溝であり、中央第1リンク18a下方から上方に向けて形成した溝は途中で後方側に折れ曲がったように形成されている。中央案内部181には、中央第1リンク18aを回動可能にする規制解除範囲18cと、中央第1リンク18aを回動不可能にする規制範囲18dと、が設けられている。
【0016】
規制範囲18dは、図13に示すL字状の切欠き溝の後方側奥部に設けられていて、この範囲に後述する中央リンク規制手段182が位置すると、切欠き溝の下部に位置する端縁18eによって、中央第1リンク18aの回動が阻止される状態になり、回動が規制される。中央第1リンク18aの回動が規制されると、中央第1整地板16及び中央第2整地板17は回動が規制された状態になり、回動動作ができなくなる。
規制解除範囲18cは、図13に示すL字状の切欠き溝の開口部付近に設けられていて、この範囲に後述する中央リンク規制手段182が位置しても、中央第1リンク18aの回動を規制する端縁18eが回動を規制する位置に無いため、中央第1リンク18aの回動が規制されない。中央第1リンク18aの回動が規制解除されると、上下動が可能になる。中央第1リンク18aの回動を規制及び規制解除するために、中央第1リンク18aの近傍には中央リンク規制手段182が位置している。
【0017】
図1及び図5及び図13に図示されるように、中央リンク規制手段182は中央第1リンク18aを板面で挟むように上下方向に長い板材を配置させ、それぞれの板材を架け渡すように棒材で繋いで固着している。板材の長手方向の下端部に位置する棒材は中央作業体1本体状に回動自在に連結され、他端の上方側は中央案内部181に位置するように回動自在に設けられる。この他端の上方側が中央案内部181の規制解除範囲18c又は規制範囲18dに位置することによって中央第1リンク18aの回動を規制及び規制解除できる。
【0018】
さらに、中央リンク規制手段182を駆動可能にするようにアクチュエータ183が設けられている。アクチュエータ183は長手方向に伸縮可能な部材であり、伸縮動作によって中央第1リンク18aを回動させることが可能である。アクチュエータ183は、一端を中央ロータリー上面カバー上に回動自在に連結され、他端を中央リンク規制手段182の上端側の棒材に連結されている。説明するこの実施形態においては油圧シリンダを用いていて、本発明の折畳み式砕土装置の前方に位置して走行する走行機体(図示せず)から油圧を享受して配管(図示せず)されることで伸縮動作が可能である。
【0019】
アクチュエータ183は伸長することで、中央リンク規制手段182を後方に押し出し、中央リンク規制手段182を後方側に回動させる。後方側に回動した中央リンク規制手段182は、中央案内部181を移動することで中央第1リンク18aを回動規制状態にさせる。この状態では、中央第1整地板16及び中央第2整地板17は固定された状態になり、回動はできない。
反対にアクチュエータ183を、短縮させることで棒材62dを中央リンク規制手段182を前方に回動させる。前方側に回動した中央リンク規制手段182の上部棒材は、中央案内部181の開口部まで移動した状態になるため、中央第1リンク18aが回動可能な状態になる。この状態では、中央第1整地板16及び中央第2整地板17は回動可能状態なり、中央砕土ロータリー10で砕土した泥土を均平にする整地作業が可能である。
【0020】
さて、図7に図示されるように、左右の側部作業体2L、2Rは、それぞれ中央作業体1の左右に設けられ、中央作業体1の中央ロータリー軸10aに相当する側部回転軸20aを回転自在に設け、側部回転軸20aには中央作業体1の中央砕土ロータリー10に相当する側部砕土ロータリー20を設ける。側部砕土ロータリー20は、側部回転軸20aに放射方向に複数の砕土爪10bを設けていて、回転することで土壌を砕土可能にしている。側部砕土ロータリー20の上方には、中央作業体1の中央ロータリー正面カバー15に相当する側部ロータリー上面カバー21を設けている。側部回転軸20aの中央作業体1側の端部には側部クラッチ爪20bが設けられていて、中央側クラッチ爪14と噛合することで、側部砕土ロータリー20は中央作業体1の中央回転軸10aから動力を得て回転駆動が可能である。従って、左右の側部作業体2L、2Rは、中央作業体1を延長する作業体として砕土機能を発揮する。
【0021】
図3図6において、側部ロータリー上面カバー21の後端辺には、第1整地板回動軸22aを介して上下回動可能に設けた側部第1整地板22が設けられている。この側部第1整地板22の後端辺(若しくは下端辺)には、上下回動可能に連結された側部第2整地板23が位置している。また、側部第1整地板22の側部砕土ロータリー20側には、中央第1整地板16同様にレーキ22bを設けている。この実施例ではレーキ22bは左右方向に等間隔に1列のみ設ける。側部第2整地板23は、その上面で側部第2リンク51、側部第1リンク50を介して側部作業体2L、2R本体に連結していて、側部第1整地板22、側部第2整地板23、側部第2リンク51、側部第1リンク50によって側部整地板リンク機構5を構成している。側部第2リンク51の一端は側部第2整地板23の上面に前後方向に回動自在に設けられていて、側部第2リンク51の他端には側部第1リンク50の一端が回動自在に取付けられている。この側部整地板リンク機構5によって、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、互いに連動して回動し、耕耘作業時に適宜位置をとることが可能である。側部整地板リンク機構5の詳細は後述する。
【0022】
図1及び図8及び図9に表すように、中央作業体1と各側部作業体2L、2Rの折畳部分には折畳部3が位置している。折畳部3には、側部作業体2L、2Rに設けた側部作業体回動フレーム31と中央作業体1に設けた中央作業体回動フレーム32とを回動可能に連結する折畳回動軸30を設ける。各側部作業体2L、2Rは折畳回動軸30を中心に中央作業体1の上方へ180度折畳まれる。
中央作業体回動フレーム32及び側部作業体回動フレーム31は、中央作業体1及び側部作業体2L、2Rを回動した際に、中央作業体1及び側部作業体2L、2Rが歪む等の無い剛体からなる。この実施例では、側部作業体回動フレーム31は、向かい合った並行な2枚の板状体からなり、中央作業体回動フレーム32は、下面が開口する断面コ字形の角筒体からなる。
【0023】
図10乃至図12に図示されるように、折畳部3の近傍には側部第1整地板固定機構4を設けられる。また、図1図8に図示されるように、側部第1整地板固定機構4は、各側部作業体2L、2Rの各側部作業体回動フレーム31にストッパーアーム回動軸40を設ける。更に、ストッパーアーム回動軸40には、アーム捻りバネ44によって各側部作業体方向へ回動付勢されるようにストッパーアーム41を設ける。ストッパーアーム41は、変形L字状の板状体からなり、中間部がストッパーアーム回動軸40に回動可能に取付けられ、側部作業体2側の端部がL字状に後方へ直角に折れ曲がって側部側端部41aを形成し、他端が中央側端部41bを形成する。
ストッパーアーム41とストッパーアーム回動軸40とに両端が支持されるようにアーム捻りバネ44を設ける。このアーム捻りバネ44は、ストッパーアーム回動軸40に回動自在なストッパーアーム41を、図10乃至図12に図示する矢印R方向へ付勢する。
側部第1整地板固定機構4は、各側部第1整地板22の上面に突設する第1整地板係止突起42を有すると共に、中央作業体1の中央作業体回動フレーム32に設けるストッパーアーム回動牽制突起43を有する。
【0024】
第1整地板係止突起42は、側部作業体2L、2Rが展開状態から折畳み状態に移行し始めると、ストッパーアーム41の中央側端部41bが回動牽制突起43と当接した状態が続き側部側端部41aに第1整地板係止突起42が接近する。ストッパーアーム41はアーム捻りバネ44の付勢力によって回動する。
側部作業体2の回動移動が進むにつれ、ストッパーアームの41の側部側端部41aの位置も回動と共に移動されて行き、やがてL字状に後方へ直角に折れ曲がった側部側端部41aと当接係止面42aとが対向位置となる。すると、側部第1整地板22は図3及び図6中では上方向の回動が規制されることとなる。この状態では側部作業体2L、2Rの折畳み状態への移行が更に進み回動されても、側部第1整地板22は上方への回動が規制されることとなる。
【0025】
ストッパーアームの41の中央側端部41bは、図10乃至図12に表すように、側部作業体2Lの展開状態から折畳み状態への移行途中まで(あるいは展開状態へ移行する途中から展開状態まで)は、アーム捻りバネ44の付勢力により中央作業体回動フレーム32に設けるストッパーアーム回動牽制突起43と当接して係止している。
従って、ストッパーアーム41は、展開状態では係止状態で矢印R方向への回動は牽制されており、側部側端部41aは、第1整地板係止突起42と係止解除状態となり、係わらない状態で停止している。
【0026】
このように各側部作業体2L、2Rを展開した状態では、図10に表すように、ストッパーアーム41は、中央側端部41bがストッパーアーム回動牽制突起43に係止されるため、矢印R方向への回動は牽制された状態である。この状態では側部第1整地板22は、ストッパーアーム41と第1整地板係止突起42との係止が解除された状態であるため、各側部第1整地板22は、側部ロータリー上面カバー21に対して上下方向へ回動可能状態である。この状態で砕土作業を行う。
【0027】
次に、図11及び図12に表すように、各側部作業体2L、2Rが折畳回動軸30を中心に回動し始め展開状態から折畳み状態に移行し始めると、ストッパーアーム回動軸40、ストッパーアーム41及び第1整地板係止突起42の位置が移動し、ストッパーアーム41の側部側端部41aが、第1整地板係止突起42に当接する位置になるとともに、ストッパーアーム41の中央側端部41bとストッパーアーム回動牽制突起43との係止位置が変化する。
側部作業体2L、2Rが図11に表す状態から折畳み状態である図12に表す状態までは、ストッパーアーム41の側部側端部41aが第1整地板係止突起42の回動に伴いアーム捻りバネ44の付勢力によって側部第1整地板22側に当接するまで回動される。当接すると、中央側端部41bはストッパーアーム回動牽制突起43から離れて始める。
【0028】
側部作業体2L、2Rが図12に示すような180度回動した折畳み状態になると、ストッパーアーム41の中央側端部41bは、ストッパーアーム回動牽制突起43との係止が解除された状態となっている。
この状態でストッパーアーム41は、アーム捻りバネ44の矢印R方向への回動付勢により側部側端部41aが、側部第1整地板22の第1整地板係止突起42と当接する位置で停止するため確実に第1整地板係止突起42に係止される。これにより、各側部第1整地板22は、側部ロータリー上面カバー21に対して下方への回動が牽制された状態になる。
【0029】
側部整地板リンク機構5の詳細を説明する。図3及び図6に図示するように、側部整地板リンク機構5は、側部第1整地板22、側部第2整地板23、側部第2リンク51、側部第1リンク50によって構成されている。側部整地板リンク機構5によって、側部作業体2本体に接続される側部第1整地板22及び側部第1リンク50は、それぞれの前方側を回動中心として回動自在に接続されている。
側部第1リンク50は、前方側端部50aを側部作業体2本体上に左右方向に並べて立てて設けられた取付板52a及び取付板52bに挟まれるようにして配置され、上下方向に回動自在に連結されている。側部第1リンク50の後方側端部50bには側部第2リンク51が位置していて、側部第2リンク51の上側端部51aと回動ピン510を介して回動自在に連結されている。側部第2リンク51の下側端部51bは側部第2整地板23の上面と回動自在に連結されている。そして、耕耘作業時には側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、側部第1リンク50及び側部第2リンク51を介して連動して上下動することが可能である。耕耘作業面に対して極力水平となるように側部第2整地板23の角度が制御されることとなる。
【0030】
側部第1リンク50の前後方向の中央部付近には、下方に向けて三角状に突出した突出部を設けている。この突出部の進行方向前方側には、下方に向けて開放された切欠き部が上方且つ後方に向けて形成されている。この切欠き部は案内部50cとして機能し、後述する側部リンク規制手段6と連係することによって、整地板の回動を規制及び規制解除する。案内部50cは、クランク状に折り曲げられたU字溝状であり、側部第1リンク50下方から形成したU字溝は途中で後方側に折れ曲がったようにL字状に形成されている。案内部50cには、後述する側部リンク規制手段6が位置する場所によって、回動可能にする規制解除範囲50dと、側部第1リンク50を回動不可能にする規制範囲50eと、が設けられている。側部第1リンク50の回動が規制されると、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は固定された状態になり、上下動ができなくなる。また、側部第1リンク50の回動が規制解除されると、上下動が可能になる。側部第1リンク50の回動を規制及び規制解除するために、側部第1リンク50の近傍には側部リンク規制手段6が位置している。また、案内部50cは、一端が下方に向けて開口された形状であるので異物が入り込んでも容易に落下することができ、後述する側部リンク規制手段6の動作を妨げない。
【0031】
図1図3図8図9に図示されるように、側部リンク規制手段6は側部第1リンク50の側方に位置していて、側部第1揺動リンク61、側部第2揺動リンク62、アクチュエータ63、弾性体64を備えている。
側部第1揺動リンク61は、前方側端部50aを連結している側部作業体2本体上の取付板52bと、取付板52aと反対側の取付板52bの側方に並べて立てられた取付板52cを挟むように配置され、前後方向に回動自在に連結されている。側部第1揺動リンク61は、前後方向に長い2枚の板材61a、61bの前後の端部間を架け渡すように左右方向に平行に設けられた2本の棒材61c、61dが固着されている。板材61a、61bの後方側に配置された棒材61cは、取付板52bの中央部及び取付板52cの前方側に設けられた側部第1揺動リンク支点孔52dに挿入されることで、側部第1揺動リンク61の前後方向への回動支点軸として機能する。板材61a、61bの前方側に配置された棒材61dは、取付板52b、52cの前方側の上端部に設けられた窪み状の受け部分52eに当接することで、側部第1揺動リンク61の下方への回動が阻止されている。
【0032】
側部第2揺動リンク62は、側部第1揺動リンク61より後方側に配置され、前後方向に回動自在に連結されている。側部第2揺動リンク62は、取付板52bと、取付板52aを挟むように上下方向に長い板材62a、62bを配置し、板材62a、62bの下端側に側部第2揺動リンク62の回動支点軸となる棒材62cと、板材62a、62bの上端側に棒材62dが、それぞれの板材62a、62bを架け渡すように左右方向に平行に固着されている。
【0033】
側部第2揺動リンク62の棒材62c、62dは側部第1リンク50の下方に位置するように配置され、棒材62dが側部第1リンク50に設けられた案内部50cに位置することで、側部第1リンク50の回動を規制及び規制解除することが可能である。詳細には、棒材62dが案内部50cの開口部付近に設定された規制解除範囲50dに位置しているときは、開口部の下方が解放された状態であるので、棒材62dによって案内部50cと係止することなく側部第1リンク50が上方に回動が可能である。反対に、棒材62dが案内部50c奥部に設定された規制範囲50eに位置しているときは、規制範囲50eの下方に形成された係止部50fが棒材62dによって係止され、側部第1リンク50が回動を規制された状態になる。
【0034】
図14乃至図19に示す案内部50cの切欠き部端縁の規制解除範囲50dと規制範囲50eの境目付近下部には、案内部50cの切欠き部内側に山状に盛り上げた形状の突起部53が設けられる。突起部53の頂点53aと、案内部50cに設けられたL字状のクランク溝の上方側の端縁50gとの距離は、棒材62dが通れる程度の隙間を有している。展開状態の側部第1リンク50は、自重により下方に垂れ下がった状態であるので、側部第2揺動リンク62は突起部53に引っ掛かることなく規制解除範囲50dと規制範囲50eとの間の移動が可能である。
仮に、側部第2揺動リンク62を規制範囲50eから規制解除範囲50dに移動する際に、突起部53が側部第2揺動リンク62の棒材62dと干渉するように側部第1リンク50を持ち上げると側部第2揺動リンク62の回動が阻止される。この突起部53による作用と効果は、後述する側部作業体2が折畳み状態のときに発揮される。
【0035】
側部第1揺動リンク61の棒材61dと、側部第2揺動リンク62の棒材62dを連結するようにアクチュエータ63が設けられていて、回動自在である。アクチュエータ63は長手方向に伸縮可能な部材であり、伸縮動作によって側部第1揺動リンク61及び側部第2揺動リンク62を回動させることが可能である。説明するこの実施形態においては油圧シリンダを用いていて、本発明の折畳み式砕土装置の前方に位置して走行する走行機体(図示せず)から油圧を分配して配管(図示せず)されることで伸縮動作が可能である。アクチュエータ63と連結する棒材62dは、アクチュエータ63との連結部の長さより長く設けられていて、アクチュエータ63と隣接する側方は、何も部材等を設けてはいない。この部材等を設けていない部分に側部第1リンク50が位置し、棒材62dと案内部50cが当接することで側部第1リンク50の回動を規制又は規制解除している。
【0036】
アクチュエータ63は、棒材61dを支点軸として伸長することで、棒材62dを後方に押し出し、側部第2揺動リンク62を後方側に回動させる。後方側に回動した側部第2揺動リンク62は、案内部50cを棒材62dが移動することで棒材62dが規制範囲50eに位置することになり、側部第1リンク50を回動規制状態にさせる。この状態では、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は固定された状態になり、回動はできない。
反対にアクチュエータ63を、棒材61dを支点軸として短縮させることで棒材62dを前方に引き戻し、側部第2揺動リンク62を前方側に回動させる。前方側に回動した側部第2揺動リンク62は、案内部50cを棒材62dが移動することで棒材62dが規制解除範囲50dに位置することになり、側部第1リンク50を回動可能な状態にさせる。この状態では、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は回動可能状態になり、側部砕土ロータリー20で砕土した泥土を均平にする整地作業が可能である。
【0037】
側部第1揺動リンク61の側部第1リンク50側に位置する板材61aには、弾性体64が設けられる。この実施形態において弾性体64は引張ばねを用いているが、縮む方向に付勢できれば弾性体の形態は問わない。弾性体64の一端側は板材61aに設けた引掛け部材61eに引掛け、他端は側部ロータリー上面カバー21上の取付板52bに設けられた引掛け部材52fに引掛けている。図14乃至図17に示す側部整地板22、23が作業状態において弾性体64を引掛け部材52f、61eに引掛けることで結ばれる仮想線64aは、第1揺動リンク61の回動支点軸である棒材61cより下方に位置する。これにより第1揺動リンク61は常時下方側に付勢された状態になり、第1揺動リンク61が不意に回動することがなくなる。弾性体64によって、側部第1揺動リンク61が安定的に決められた位置を保持できるので、側部整地板22、23の安定回動が可能になると共に、安定した整地作業を可能にする。
【0038】
次にこの発明の折畳み式砕土装置の側部整地板リンク機構5、側部リンク規制手段6の作動について説明する。トラクタ前進方向の右側の側部作業体2Rにおいても展開状態から折畳み状態となるまでの工程は、左右が異なるが左側の側部作業体2Lの工程と同様であり、説明において特に明記しない場合は左側の側部作業体2Lを例にしている。
【0039】
図10は、左側の側部作業体2Lを展開した状態である。展開状態では、側部第1整地板固定機構4のストッパーアーム41は、中央側端部41bがストッパーアーム回動牽制突起43に係止されるため、矢印R方向への回動が牽制されており、側部第1整地板22は、ストッパーアーム41と第1整地板係止突起42との係止解除された状態である。このため、各側部第1整地板22は、側部ロータリー上面カバー21に対して上下方向へ回動可能状態である。
さらに、中央第1整地板16及び中央第2整地板17、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、中央リンク規制手段182が中央第1リンク18aの回動規制解除範囲に位置し、且つ、側部第2揺動リンク62が側部第1リンク50の回動規制解除範囲50dに位置している場合、回動可能状態になる。この状態で砕土作業を行い、各整地板が紙面に追従するように上下動することで泥土を均平にする。
【0040】
中央第1整地板16及び中央第2整地板17、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、回動規制状態にして各整地板を固定状態にすることで、土寄せ作業が可能になる。土寄せ作業は、固定された各整地板の中央砕土ロータリー10側及び側部砕土ロータリー20側に面した部分で、泥土を強制的に寄せる作業である。展開状態での砕土作業から土寄せ作業への移行は、中央作業体1上のアクチュエータ183及び側部作業体2上のアクチュエータ63を伸長させて行う。この実施形態において中央部及び側部のアクチュエータ183、63は制御バルブ184で油圧を制御され、同時に伸縮動作する。これは、個別のアクチュエータ183、63をそれぞれ個別に操作するよりも、それぞれのアクチュエータ183、63を一括して1つの操作部(図示せず)で操作することで、作業者に対する操作性の向上が可能である。
【0041】
展開状態での砕土作業状態から土寄せ作業状態への移行動作を説明する。
中央作業体1の中央リンク規制手段182がアクチュエータ183の伸長によって中央案内部181を移動し、図13に示す規制範囲18dに達し始める。すると、中央リンク規制手段182は中央案内部181を移動することで、中央第2整地板17が徐々に下方に回動する。中央リンク規制手段182が中央案内部181の規制範囲18dに完全に達すると中央第2整地板17の下方への回動が停止する。すると図16に示す状態となり、中央第1整地板16及び中央第2整地板17は、中央第2リンク18bを介して回動が規制された状態になる。また、側面視で土寄せ作業状態の中央第2整地板17は、中央第1整地板16を下方に延長したような位置に設定されている。
【0042】
側部作業体2も同様に、側部第2揺動リンク62がアクチュエータ63の伸長によって案内部50cを移動し、規制解除範囲50dから規制範囲50eに達し始める。このときの案内部50cは下方に向けた開口部によって異物が下方落下し、案内部50cの内側は清浄に保たれている。すると、側部第2揺動リンク62は案内部50c内を移動し、側部第2整地板23が徐々に下方に回動する。側部第2揺動リンク62が案内部50cの規制範囲50eに完全に達すると側部第2整地板23の下方への回動が停止する。すると図17に示す状態となり、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、側部第2リンク51を介して回動が規制された状態になる。また、側面視で土寄せ作業状態の側部第2整地板23は、側部第1整地板22を下方に延長したような位置に設定されている。
【0043】
展開状態での土寄せ作業状態から砕土作業状態への移行動作は、砕土作業状態から土寄せ作業状態への移行動作と逆の手順を踏むことで行われる。
【0044】
展開状態から折畳み状態への移行動作を説明する。
側部作業体2を回動させて中央作業体1の上方へ折畳み状態とする場合は、各整地板を土寄せ作業状態に移行後に行う。
【0045】
側部第1整地板固定機構4は図10及び図11に示すように、側部作業体2L(左側)を展開状態から折畳み状態に移行させ始めると、側部作業体2Lは、側部回動作業体回動フレーム31に設ける折畳回動軸30を中心に回動し始め、ストッパーアーム回動軸40、ストッパーアーム41及び第1整地板係止突起42の位置が移動し始める。
この回動によってストッパーアーム回動軸40と第1整地板係止突起42との相対的位置は変化しないが、ストッパーアーム41は、その中央側端部41bで回動しないストッパーアーム回動牽制突起43との係止のため位置及び姿勢が変化する。
側部作業体2Lの折畳回動軸30を中心の回動により図12の位置になると、ストッパーアーム41の側部側端部41aが、第1整地板係止突起42に当接する位置に変化するとともに、ストッパーアーム41の中央側端部41bとストッパーアーム回動牽制突起43との係止位置も変化する。
【0046】
この時の側部作業体2、中央作業体1の位置関係を表す図10乃至12を用いて説明する。
側部作業体2を図10に表す展開状態から図12に表す中央作業体1上方への折畳み状態とする場合には、その途中工程を表す図11のように、折畳回動軸30を中心として回動されるため中央作業体1と側部作業体2とが徐々に離れて行く。
側部第1整地板固定機構4は、側部作業体2が、そのまま折り畳まれて図12に示すような180度回動した折畳み状態になると、ストッパーアーム41の中央側端部41bは、ストッパーアーム回動牽制突起43との係止が完全に外れ離れた位置に来ており、側部側端部41aは、アーム捻りバネ44の矢印R方向へ付勢される回動により確実に側部第1整地板22の第1整地板係止突起42と係止される。この係止により各側部第1整地板22は、側部ロータリー上面カバー21に対して下方への回動が規制された状態になる。
【0047】
さらに、側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、側部第1リンクの回動が規制された状態(土寄せ作業状態)のままであるので、側部作業体2が折畳み移行中及び折畳み動作完了後も側部ロータリー上面カバー21に対する相対的な姿勢や位置は保持したままである。このように側部作業体2を構成したので、折畳み状態時の側部第1整地板22及び側部第2整地板23が不意に回動したり、下方に垂れ下がることがない。これは、走行機体によって移動中の折畳み式砕土装置の側部第1整地板22及び側部第2整地板23が動くことがないので、安全性を向上させて走行できる。
また、側部第1整地板固定機構4と側部整地板リンク機構5によって、折畳み動作中の側部第1整地板22及び側部第2整地板23は、側部ロータリー上面カバー21に対し相対的に位置及び姿勢を保持しているので動くことがない。すなわち、折畳み動作に関する部分のみが動くので、より安全に折畳み動作ができる。
【0048】
次に側部作業体2が折畳み状態で、中央作業体1のみで砕土作業及び土寄せ作業を行なう場合を説明する。本発明の折畳み式砕土装置を折畳み状態にすることで、進行方向に対する左右幅が狭い場所でも中央作業体1のみで砕土作業及び土寄せ作業を行なうことが可能である。
展開状態から折畳み状態に移行完了直後の中央第2整地板17と、側部第2整地板23は土寄せ作業状態になっている。すなわち、中央第1整地板16と中央第2整地板17、及び側部第1整地板22と側部第2整地板23は、それぞれ回動が規制された状態になっている。この状態では中央作業体1は砕土作業を行なうことができないので、中央第1整地板16と中央第2整地板17の回動を規制解除する必要がある。
【0049】
中央第1整地板16と中央第2整地板17の回動を規制解除は、上述したように操作部(図示せず)を操作して制御バルブ184を通じてアクチュエータ183を縮めることで、土寄せ作業状態から砕土作業状態へ移行させる。このとき、側部作業体2のアクチュエータ63をも同時に縮まることになる。このままでは、側部第2整地板23が回動可能状態になってしまう。これを阻止するために突起部53を利用する。
【0050】
図18は、折畳み状態に移行完了直後の側部リンク機構5及び側部リンク規制手段6を示している。この状態では、案内部50cの規制範囲50e内に側部第2揺動リンクの棒材62dが位置していて、中央作業体1及び側部作業体2は土寄せ作業状態である。折畳み状態では、側部作業体2が砕土作業状態時と比較して上下方向が逆になっているため、側部第1整地板22及び側部第2整地板23及び側部第2リンク51の自重により、側部第1リンク50の後方側端部50bは、側部第1整地板22から離れる方向、すなわち図18において前方へ回動する方向に荷重が掛かる。このとき、第2揺動リンク51によって規制範囲50eにあり、アクチュエータ63によって突っ張る方向に負荷がかけられているため、側部第2整地板23は回動の規制が維持されている。さらに、突起部53に棒材62dが引っ掛かっている状態になる。
【0051】
この状態で、中央作業体1を砕土作業状態にするとアクチュエータ183の短縮開始と共にアクチュエータ63も同時に短縮を開始する。すると、アクチュエータ63に連結された棒材62dは突起部53に棒材62dが引っ掛かっているため、側部第2揺動リンク62の姿勢を維持しようとする。すると、図19に示すように、アクチュエータ63は短縮を続けようとするため、側部第1揺動リンク61を回動支点軸である棒材61cを軸にして、図示した回転方向S、すなわち、側部ロータリー上面カバー21から離れる方向に回転する。側部第1揺動リンク61は側部第1リンク50の前方側端部50aに当接して回転が停止した状態になり、その姿勢を維持する。
【0052】
アクチュエータ63の圧縮によって生まれるに側部第1揺動リンク61の回動トルクは、弾性体64によって側部ロータリー上面カバー21側に押さえつける付勢力より大きくなるため、側部第1揺動リンク61の回動が可能である。
アクチュエータ63の圧縮が完了すると、側部第1揺動リンク61の回動も停止する。このとき、弾性体64の引掛け部材52f、62eで形成された仮想線64aは、棒材61cの回動支点軸を乗り超えた状態である。このため、弾性体64の付勢力は、側部第1揺動リンク61を側部ロータリー上面カバー21から離そうとする方向に働く。この付勢力の働きは、アクチュエータ63を側部第1リンク50の後方側端部50bに押し付けるため、なお一層側部第2揺動リンク62を規制範囲50eに留める。結果、折畳み状態で中央作業体1を土寄せ状態から砕土作業状態にしても、側部作業体2の側部第1整地板22及び側部第2整地板23はそれぞれの回動の規制を維持できる。折畳み状態で土寄せ状態と砕土作業状態とでは、弾性体は側部第1揺動リンクの付勢する方向が互いに異なる。
【0053】
折畳み状態で、中央作業体1を砕土作業状態から土寄せ作業状態にする場合を説明する。アクチュエータ183を伸長させる方向に伸ばすと、中央整地板リンク機構180によって中央第1リンク18aの規制解除範囲18cから規制範囲18dに入り、中央第1リンク18aは回動が規制された状態になる。
同時に、側部作業体2のアクチュエータ63も伸長する。このとき、図19に示すアクチュエータ63は側部第2揺動リンク62を介して側部第1リンク50の後方側端部50b側に押し付ける。すると、アクチュエータ63は側部第1リンク50の姿勢を維持したままを伸長するので、側部第1揺動リンク61を図示した回転方向Sと反対の方向に回動させる。側部第1揺動リンク61は、棒材61dが取付板52cの受け部分52eに当接することで回動を停止する。このときアクチュエータ63は、側部第2揺動リンク62を側部第1リンク50の規制範囲50eに位置を維持したままを伸長しているので、するので側部第1リンク50の回動は規制された状態を維持している。すなわち、側部第1整地板22及び側部第2整地板23はそれぞれの回動の規制されたままである。
【0054】
また、弾性体64は、仮想線64aが側部第1揺動リンク61の回動支点軸である棒材61cを側面視で乗り越えた状態であるので、側部第1揺動リンク61を付勢する方向は側部第1揺動リンク61を側部ロータリー上面カバー21に近づける方向に働く。これにより、不意に側部第1揺動リンク61が回動することを防止すると共に側部第1整地板22及び側部第2整地板23の回動を安定的に規制する。
【0055】
側部作業体2を中央作業体1の上側に折り畳んだ状態から展開状態にする場合は、土寄せ作業状態にしてから行う。アクチュエータ183、63を伸長させる、つまり土寄せ状態にすると、側部整地板リンク機構5及び側部リンク規制手段は図19の状態から図18に示す状態になる。図18の状態に変更すると、展開状態への移行が可能になる。側部作業体2を折畳み状態から展開状態すると、展開への移行途中で側部第1整地板固定機構4のストッパーアーム41は、中央側端部41bがストッパーアーム回動牽制突起43に係止され、アーム捻りバネ44の矢印R方向への回動付勢力に抗して逆方向に回動して停止する。この状態で更に図10のように展開状態に移行するとストッパーアーム41の側部側端部41aは、第1整地板係止突起42との係止が解除された状態となり、側部第1整地板22は、側部ロータリー上面カバー21に対して上下方向へ回動可能状態になる。
【0056】
上記したように、側部作業体2が折畳み状態の場合、個別のアクチュエータを一括動作させても。中央作業体1の整地板が土寄せ作業又は砕土作業の姿勢状態によらず、側部作業体2の側部第1整地板22及び側部第2整地板23は回動の規制が維持できる。
また、側部作業体2が展開状態の場合は、中央作業体1と同時に、側部作業体2の整地板を土寄せ作業又は砕土作業の姿勢を選択ができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明は、延長作業体である折畳み可能な側部作業体を有し、圃場において代掻き作業、砕土作業を行うことができる整地板を有する代掻き装置又は砕土ロータリー装置などの折畳み式砕土装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 中央作業体
2 側部作業体
2L 左側部作業体
2R 右側部作業体
5 側部整地板リンク機構
50 側部第1リンク
50d 規制解除範囲
50e 規制範囲
51 側部第2リンク
53 突起部
6 側部リンク規制手段
61 側部第1揺動リンク
62 側部第2揺動リンク
63 アクチュエータ
64 弾性体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19