(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060516
(43)【公開日】2022-04-14
(54)【発明の名称】吸入用一酸化窒素の合成
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20220407BHJP
【FI】
A61M16/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022027388
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2020181231の分割
【原出願日】2014-03-14
(31)【優先権主張番号】61/789,161
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/792,473
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】ザポル、ワレン、エム
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ビンラン
(72)【発明者】
【氏名】ハーディン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヒックコックス、マシュー
(57)【要約】
【課題】吸入による肺への一酸化窒素ガスの投与が、全身の副作用をもたらさずに、肺高血圧症、肺炎、新生児の低酸素血症呼吸不全などを治療するために局部的な平滑筋の弛緩を生成することが示されてきた。
【解決手段】いくつかの追加の態様では、装置が、反応ガスを受けるための入口弁および製品ガスを搬送するための出口弁を備える室と、室内部に配置され、室内の圧力を調節するために室の長さに沿って移動するように構成されているピストンと、患者に付随する呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関連する情報を収集するためのセンサと、収集された情報に基づいて1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定するための制御装置と、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生させるために、患者の外部に一連の電気アークを起動するための室内部に配置されている1つまたはそれ以上の電極対と、を備えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素および酸素を含む反応ガスを受け入れるように構成された入口と、
一酸化窒素を含む生成ガスを提供するように構成された出口であって、前記生成ガスは前記反応ガスの合成によって形成される、出口と、
前記入口と前記出口の間に配置された反応チャンバと、
一連の電気アークを開始して前記反応ガスを前記生成ガスに合成するように構成される、前記反応チャンバ内の1対又は複数対の電極と、
前記生成ガスが前記出口から供給される人工呼吸器回路内のガスの流れを測定するように構成されたセンサと、
前記電極の1つまたは複数のペアおよび前記センサと通信するコントローラと、からなる装置であって、
前記コントローラが、測定された流量に基づいて、生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御するために、パルス幅、パルス周期、パルスグループあたりのパルス数、1秒あたりのパルスグループ、前記1対又は複数対の電極によって生成されるエネルギー、アーク周波数、アーク電流、および前記1対又は複数対の電極に供給される電圧の少なくとも1つを調整するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記1対又は複数対の電極は貴金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1対又は複数対の電極はイリジウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記入口の上流に配置されたフィルタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記生成ガス中の二酸化窒素の濃度を最小化するために、パルス幅、パルス周期、パルスグループあたりのパルス数、1秒あたりのパルスグループ、前記1対又は複数対の電極によって生成されるエネルギー、アーク周波数、アーク電流、および電圧の少なくとも1つを調整することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記反応ガスの流量で前記生成ガスの一酸化窒素濃度を制御することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
窒素および酸素を含む反応ガスを受け入れるように構成された入口と、
一酸化窒素を含む生成ガスを提供するように構成された出口であって、前記生成ガスは前記反応ガスの合成によって形成される、出口と、
前記入口と前記出口の間に配置された反応チャンバと、
一連の電気アークを開始して前記反応ガスを前記生成ガスに合成するように構成される、前記反応チャンバ内の1対又は複数対の電極と、
前記生成ガスが前記出口から供給される人工呼吸器回路内のガスの流れを測定するように構成されたセンサと、
前記1対又は複数対の電極および前記センサと通信するコントローラと、からなる装置であって、
前記コントローラが、前記人工呼吸器回路内の測定された流量に基づいて生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御するために、前記反応チャンバ内の1つまたは複数の条件を調整するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記1対又は複数対の電極は貴金属を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記1対又は複数対の電極はイリジウムを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置
。
【請求項10】
前記入口の上流に配置されたフィルタをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記生成ガスが供給されるガスは、人工呼吸器回路に関連する吸気肢に流れ込むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、測定された流量に基づいて、パルス幅、パルス周期、パルスグループあたりのパルス数、1秒あたりのパルスグループ、前記1対又は複数対の電極によって生成されるエネルギー、アーク周波数、アーク電流、および前記1対又は複数対の電極に供給される電圧の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、前記反応チャンバを通る前記反応ガスの流れの速度を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項14】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、前記反応チャンバに関連する圧力を含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項15】
前記コントローラは、前記生成ガス中の二酸化窒素の濃度を最小限に抑えるために、前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件を調整することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項16】
窒素および酸素を含む反応ガスを受け入れるように構成された入口と、
一酸化窒素を含む生成ガスを提供するように構成された出口であって、前記生成ガスは前記反応ガスの合成によって形成される、出口と、
前記入口と前記出口の間に配置された反応チャンバと、
一連の電気アークを開始して前記反応ガスを前記生成ガスに合成するように構成され、生成ガス中の二酸化窒素の濃度を最小にするために前記反応チャンバ内のイリジウムを含む1対又は複数対の電極と、
前記生成ガスが前記出口から供給される人工呼吸器回路内のガスの流れを測定するように構成されたセンサと、
前記1対又は複数対の電極および前記センサと通信するコントローラと、からなる装置であって、
前記コントローラが、前記反応チャンバ内の1つまたは複数の条件を調整して、測定された流量に基づいて前記生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、前記反応チャンバを通る前記反応ガスの流れの速度を含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
一酸化窒素の生成方法であって、
窒素および酸素を含む反応ガスを、その中に1対又は複数対の電極を有する反応チャンバに提供し、
前記反応チャンバ内で一連の電気アークを開始して、前記反応ガスを一酸化窒素を含む生成ガスに合成し、
前記生成ガスが供給される人工呼吸器回路内のガスの流れを測定し、
前記反応チャンバ内の1つまたは複数の条件を調整して、前記人工呼吸器回路内の測定された流量に基づいて前記生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御することを特徴とする方法。
【請求項19】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件が、前記生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御するために、測定された流量に基づいて、一連の電気アークを制御するように、パルス幅、パルス周期、パルスグループあたりのパルス数、秒あたりのパルスグループ、前記1対又は複数対の電極によって生成されるエネルギー、アーク周波数、アーク電流、および前記1対又は複数対の電極に供給される電圧の、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、前記反応チャンバを通る空気の流れの速度を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記反応チャンバ内の前記1つまたは複数の条件は、前記反応チャンバに関連する圧力を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2013年3月15日に出願された米国特許第61/789,161号明細書、および米国特許第61/792,473号明細書の優先権を主張し、その内容の全体を本明細書に参照として組み込むものとする。
【0002】
本発明は、吸入用一酸化窒素の合成に関する。
【背景技術】
【0003】
一酸化窒素(NO)は、多くの生物学的システムの重要な媒体であり、全身および肺動脈血圧の制御の媒体となり、免疫システムが細胞に入る侵入寄生菌を殺すことを助け、がん細胞の分裂を抑制し、脳の細胞間に信号を伝達し、卒中または心臓発作を患う人々を衰弱させ得る脳細胞の死滅に貢献することで知られている。一酸化窒素は、例えば、血管壁、消化管および尿生殖路の壁の中に存在する平滑筋の弛緩をもたらす。吸入による肺への一酸化窒素ガスの投与が、全身の副作用をもたらさずに、肺高血圧症、肺炎、新生児の低酸素血症呼吸不全などを治療するために局部的な平滑筋の弛緩を生成することが示されてきた。
【0004】
吸入された一酸化窒素は、灌流による換気の適合を改善する効能のある局所的肺血管拡張薬であり、したがって、損傷した肺酸素運搬効率を上昇させ、動脈の酸素圧を高める。一酸化窒素を呼吸することによって、急速な作用の開始が数秒内に発生するが、全身性血管拡張は伴わない。一旦吸入されると、NOは肺血管系を通って血流の中に拡散し、ヘモグロビンと結合することによって急速に不活性化される。したがって、吸引される一酸化窒素の血管拡張効果は、肺血管系に限定される。
【0005】
一酸化窒素の肺血管を拡張する能力は、急性または慢性の肺高血圧症の治療上の利点を選択的に提供する。吸引されたNOは、心臓発作を有する成人に経皮的冠動脈形成術後に虚血再灌流損傷を防止するためにも使用されてきた。吸引されたNOは、循環するNOバイオ代謝物質および他の機構のレベルを上昇させることによって、全身の消炎性作用および抗血小板作用を生成することができる。
【0006】
Zapolの米国特許第5,396,882号は、医療目的のための、周囲圧力で空気から一酸化窒素(NO)の電気による生成を記載する。米国特許第5,396,882号に記載されるように、システムの空気入口が、電気アークの領域の中に空気を連続的に導入するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,396,882号明細書
【発明の概要】
【0008】
いくつかの態様では、方法が、患者に付随する呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関連する情報を収集することを含む。方法は、収集された情報に基づいて1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定することを更に含む。方法は、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生させるために、患者の外部に一連の電気アークを起動することを更に含む。
【0009】
実施形態は、以下の1つまたはそれ以上を含むことができる。呼吸システムに付随する状態が、反応ガスの酸素濃度、反応ガスの流量、吸気の体積およびタイミング、製品ガスの酸素濃度、製品ガスの一酸化窒素濃度、製品ガスの二酸化窒素濃度、製品ガスのオゾン濃度、吸気ガスの一酸化窒素濃度、ならびに吸気ガスの二酸化窒素濃度の1つまたはそれ以上を含むことができる。吸気の体積およびタイミングが、換気装置から受信されることが可能である。パルス列が一連の電気アークを起動し、パルス列が、様々なパルス幅を含むパルスを含むパルス群を備えることができる。パルス群の1つの中の初期パルスのパルス幅が、パルス群の中の他のパルスよりも幅広い可能性がある。一連の電気アークが、低減したレベルの二酸化窒素を発生させることができる。一連の電気アークが、低減したレベルのオゾンを発生させることができる。低減したレベルの二酸化窒素が、KaOH、CaOH、CaCO3、およびNaOHの1つまたはそれ以上を含む捕捉剤によって更に低減され得る。低減したレベルの二酸化窒素が、発生した一酸化窒素濃度の20%、10%、6%、または5%未満の濃度を含むことができる。一連の電気アークが、貴金属を含む電極によって生成され得る。一連の電気アークが、イリジウムを含む電極によって生成され得る。一連の電気アークが、ニッケルを含む電極によって生成され得る。
【0010】
いくつかの追加の態様では、装置が、反応ガスを受けるための入口弁および製品ガスを搬送するための出口弁を備える室を備える。装置が、患者に付随する呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関連する情報を収集することためのセンサを更に備える。装置が、収集された情報に基づいて1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定するための制御装置を更に備える。1つまたはそれ以上の電極対が、装置の中に含まれ、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生させるために、患者の外部に一連の電気アークを起動するために室内部に配置されている。
【0011】
実施形態は、以下の1つまたはそれ以上を含むことができる。呼吸システムに付随する状態が、反応ガスの酸素濃度、反応ガスの流量、吸気の体積およびタイミング、製品ガスの酸素濃度、製品ガスの一酸化窒素濃度、製品ガスの二酸化窒素濃度、製品ガスのオゾン濃度、吸気ガスの一酸化窒素濃度、吸気ガスの二酸化窒素濃度、ならびに室の圧力の1つまたはそれ以上を含むことができる。吸気の体積およびタイミングが、換気装置から受信されることが可能である。パルス列が一連の電気アークを起動し、パルス列が、様々なパルス幅を含むパルスを含むパルス群を備えることができる。パルス群の1つの中の初期パルスのパルス幅が、パルス群の中の他のパルスよりも幅広い可能性がある。一連の電気アークが、低減したレベルの二酸化窒素を発生させることができる。一連の電気アークが、低減したレベルのオゾンを発生させることができる。一連の電気アークが、室が1ATAより大きい、または1ATA未満の圧力を含む場合に起動され得る。低減したレベルの二酸化窒素を更に低減するための捕捉剤を更に含むことができ、捕捉剤が、KaOH、CaOH、CaCO3、およびNaOHの1つまたはそれ以上を含むことができる。低減したレベルの二酸化窒素が、発生した一酸化窒素濃度の20%、10%、6%、または5%未満の濃度を含むことができる。電極が、貴金属を含むことができる。電極が、イリジウムを含むことができる。電極が、ニッケルを含むことができる。
【0012】
いくつかの追加の態様では、装置が、反応ガスを受けるための入口弁および製品ガスを搬送するための出口弁を備える室を備える。装置が、室内部に配置され、室内の圧力を調節するために室の長さに沿って移動するように構成されているピストンを更に備える。装置が、患者に付随する呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関連する情報を収集することためのセンサを更に備える。装置が、収集された情報に基づいて1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定するための制御装置を備える。1つまたはそれ以上の電極対が含まれ、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生させるために、患者の外部に一連の電気アークを起動するために室内部に配置されている。
【0013】
実施形態は、以下の1つまたはそれ以上を含むことができる。呼吸システムに付随する状態が、反応ガスの酸素濃度、反応ガスの流量、吸気の体積およびタイミング、製品ガスの酸素濃度、製品ガスの一酸化窒素濃度、製品ガスの二酸化窒素濃度、製品ガスのオゾン濃度、吸気ガスの一酸化窒素濃度、吸気ガスの二酸化窒素濃度、ならびに室の圧力の1つまたはそれ以上を含むことができる。吸気の体積およびタイミングが、換気装置から受信されることが可能である。パルス列が一連の電気アークを起動し、パルス列が、様々なパルス幅を含むパルスを含むパルス群を備えることができる。パルス群の1つの中の初期パルスのパルス幅が、パルス群の中の他のパルスよりも幅広い可能性がある。一連の電気アークが、低減したレベルの二酸化窒素を発生させることができる。一連の電気アークが、低減したレベルのオゾンを発生させることができる。一連の電気アークが、室が1ATAより大きい、または1ATA未満の圧力を含む場合に起動され得る。低減したレベルの二酸化窒素を更に低減するための捕捉剤を更に含むことができ、捕捉剤が、KaOH、CaOH、CaCO3、およびNaOHの1つまたはそれ以上を含むことができる。低減したレベルの二酸化窒素が、発生した一酸化窒素濃度の20%、10%、6%、または5%未満の濃度を含むことができる。電極が、貴金属を含むことができる。電極が、イリジウムを含むことができる。電極が、ニッケルを含むことができる。
【0014】
本発明の1つまたはそれ以上の実施形態の詳細を添付の図面および以下の説明の中で説明する。本発明の他の特徴、目的および利点が、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】NOを生成するための呼吸システムのブロック図である。
【
図9A】NOを生成するための呼吸システムの例を示す写真である。
【
図11A】毎秒のスパークの関数としての平均電流および平均電圧を示す。
【
図11B】毎秒のスパークの関数としての平均電力を示す。
【
図12A】1スパーク/秒放電の2スパーク中の電圧および電流のトレースを示す。
【
図12B】1スパーク/秒放電の2スパーク中の電圧および電流のトレースを示す。
【
図13】様々な電極材料を使用するNO濃度およびNO
2濃度を示す。
【
図14】様々な反応ガス酸素濃度で、NO濃度およびNO
2濃度を示す。
【
図15】様々な反応ガス酸素濃度で、NO濃度およびNO
2濃度を示す。
【
図16】様々な反応ガス酸素濃度で、NO濃度およびNO
2濃度を示す。
【
図21】様々な反応ガス酸素濃度で、NO濃度およびNO
2濃度を示す。
【
図22】様々な大気圧で低圧室の中のNOレベルおよびNO
2レベルを測定するためのテスト設定を示す。
【
図23】様々な大気圧でNOレベルおよびNO
2レベルを示す。
【
図25】本明細書に説明する操作および技術を実施するために使用され得るコンピュータデバイスおよびモバイルコンピュータデバイスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
様々な図面の中の同じ符号は、同じ要素を示す。
【0017】
吸入向けNOの合成は、N2およびO2を含む反応ガス(例えば、空気)を電気的にスパークすることによって達成され、それによって、電気的に合成されたNOを含む製品ガスを形成する。合成は、低圧状態または高圧状態下で達成され得る。本明細書で使用する場合、「低圧」は、一般的に1ATA(絶対気圧)未満の圧力に言及し、「高圧」は、1ATAより大きい圧力に言及する。製品ガスは、医療上受容できるレベルのNO2(例えば、通常は5ppm未満、時には1~2ppm未満)を含むことができる。製品ガスは、製品ガス中のNO2の濃度を低減して、または低減せずに吸入され得る。本明細書に記載する、一酸化窒素の合成向け装置は、携帯型、軽量、自己発電式であることができ、0.5ppm~500ppmの範囲のNOの濃度、およびNO濃度の1%未満のNO2濃度、または捕捉剤として使用後に更に低い(例えば、1%未満)NO2濃度を含む、治療上使用するための製品ガスを提供するために使用され得る。
【0018】
図1は、NOを生成するための呼吸システム100の例を示す。反応ガス(例えば、空気、または窒素内に10~90%酸素混合気)が、NO発生器102の中に入り、製品ガス(NOを含む)が、NO発生器102を出る。NO発生器102は、電極106および制御装置110を含む。反応ガスが空気ではないガスである場合、NO発生器102は、酸素レベルセンサ112を含むことができる。NO生成は、酸素および窒素濃度に比例し、大気圧(1ATA)で約50%の酸素において最大になる。以下により詳細に説明するように、酸素レベルセンサ112は、反応ガス内の酸素濃度を検出するように構成されている電極であることができる。本明細書に説明するように、電極106は、反応ガスの存在の中でスパークを発生して、NO104を生成する。
【0019】
図2は、NO発生器200の例を示す。NO発生器200は、入口弁204および出口弁206を含む室202を備える。いくつかの場合、フィルタ208が、NO発生器200に結合されて、入口弁204を通って室に入るN
2およびO
2を含む混合ガスがろ過されて、粒子状物質(例えば、ほこり)または水蒸気を除去する。室202は、電極210を含む。電極210は、空隙によって分離されており、一方の電極は電圧源212に結合されている。電圧源212は、電極210の間に、N
2およびO
2からNOを生成することができるスパーク放電またはコロナ放電を生成するために適している。電圧源212の例は、限定しないが、圧電結晶、電池(例えば、モータサイクルバッテリ)、太陽電池、風発電機、あるいはナノアンペア、またはミリアンペア程度の電流および1~25kVの電圧(例えば、1~100ワットの電力)、または1~10kV、または1~5kVの電力を生成するために適する他の供給源を含む。
【0020】
NO発生器200がNOの低圧合成または高圧合成のために使用される場合、室202は容積式ポンプの中の空所であることができる。
図2に示すように、室202は、ピストンポンプの中の空所であることができ、筒216の中のピストン214の位置によって画定される可変容積を有する。ピストン214は、アクチュエータ218に結合されている。一例では、アクチュエータ218は、ロッドまたはシャフトによって駆動される偏心機構を含む。
【0021】
アクチュエータ218は、原動機120によって往復運動する様式で駆動される。原動
機220は、例えば、アクチュエータ218によって筒216に関してピストン214を並進させるように配置されるモータまたはエンジンであることができる(例えば、電気、ガソリンまたはディーゼルによって駆動されるエンジン)。シール222は、ピストン214と筒216との間で室202に入り、または出る空気流を防止する。したがって、入口弁204および出口弁206が両方とも閉鎖される場合、アクチュエータ218によってピストン214が電極210から離れる並進運動によって、室202の容積が増加し、それによって、室202内の圧力を大気圧より小さい圧力に低減し、室内に存在する反応ガス中のガス(例えば、N2およびO2)の濃度を減少させる。逆に、アクチュエータ218による電極210に向かうピストン214の並進運動が、室202の容積を減少させ、それによって、室202内の圧力を大気圧を超える圧力に増加させ、室内に存在する反応ガス中のガスの圧力および濃度を増加させる。NO生成量は酸素濃度に比例するので、室202の圧力がNOの生成に影響を与える可能性がある。例えば、室202が相対的に高い圧力(例えば、2ATA)を有する場合、NO生成量は増加する。
【0022】
入口弁204は、環境に露出される可能性があるので、入口弁が開くとともに、周囲空気(またはN2およびO2を含有する他の反応ガス)が室202に入るようになる。室202内の空気と共に、入口弁が閉鎖され、ピストン214が電極210から離れて並進し、それによって、室202の容積を増加させ、室202内部の圧力を大気圧未満に減少させる。室202の容積が増加するにつれて、室内のO2濃度が、大気圧での空気のO2濃度よりも低くなる(例えば、21体積%未満に低下する)。アクチュエータ218は、2、3、4倍などに室202の容積を増加させるように制御可能であり、それによって、室202内の圧力を大気圧よりも低減する(例えば、1/2、1/3、1/4など)。室202内の圧力が大気圧未満である間、電圧源212は、電極210を跨いでスパーク放電またはコロナ放電を起動し、それによって電気的にNOを発生させる。スパーク放電またはコロナ放電に続いて、アクチュエータ218は、その往復運動サイクルを継続し、出口弁206は開かれて、電気的に生成されるNOを含む製品ガスを放出する。したがって、入口弁204および出口弁206は、互いに位相を異にして作動して、入口弁104が開いているときに出口弁206は閉じ、出口弁206が開いているときに入口弁204は閉じている。
【0023】
逆に、室202内の空気と共に、入口弁が閉鎖され、ピストン214が電極210に向かって並進し、それによって室202の容積を減少させ、室202内部の圧力を大気圧より高く増加させる。室202の容積が減少するにつれて、室内のO2の圧力(濃度)が、大気圧での空気のO2圧力(濃度)よりも高く上昇する(例えば、21体積%を超えて上昇する)。アクチュエータ218は、室202の容積を減少させる(例えば1/2、1/3、1/4など)ように制御可能であり、それによって、室202内の圧力を大気圧の2、3、4倍などに増加させる。室202内の圧力が大気圧を超えている間、電圧源212は、電極210を跨いでスパーク放電またはコロナ放電を起動し、それによって電気的にNOを発生させる。
【0024】
いくつかの例では、NO発生器の中の電極(例えば、電極210)は、スペアを提供するという安全上の目的から二重にすることが可能である。電極210は、増加した電力、および大きい一回呼吸量を含むNO生成のために、二重または三重にすることができる。
図13を簡潔に参照すると、電極210は、ほんの数例を挙げれば、イリジウム、タングステン、ステンレス鋼、またはニッケルを含むことができる。いくつかの例では、貴金属(例えば、イリジウム)を含む電極210は、最も小さいNO
2/NO比率を生成する。
【0025】
図3は、NO発生器300の例を示す。NO発生器300は、
図2に関して説明するように、NO発生器200の構成要素を含み、入口弁204に結合され、反応ガスを室202に提供するように配置されている供給源302を備える。いくつかの例では、供給源3
02は、21体積%未満、または20体積%未満のO
2濃度を含む反応ガスを提供するように配置される装置である。いくつかの例では、供給源302は、21体積%以上、しかし90体積%以下のO
2濃度を含む反応ガスを提供するように配置される装置である。例えば、供給源302は、N
2または不活性ガス(例えば、アルゴンまたはヘリウム)のボンベ、およびN
2または不活性ガスを空気または供給源を含む濃縮酸素と選択された比率で混合する機構を備えることができ、室202に供給される反応ガスの中のO
2、N
2、および/または他の構成要素の所望の濃度を達成する。いくつかの例では、酸素ボンベ、酸素濃度、または酸素発生器が、反応ガスの中の酸素濃度を上昇させるために使用される。反応ガスは、通常は、1ATA(絶対気圧)で、または1ATA(絶対気圧)を超える圧力で(例えば、わずかに上昇して、3ATAまで)室202に提供されて、反応ガスと空気との混合を回避する。室202に入る前に、供給源302からの反応ガスは、均衡バッグ304を通過することができ、大気圧よりわずかに高く保たれる。反応ガスの圧力を大気圧近くに保たれることを可能にするために、吹き出し弁306を設けることができる。
【0026】
いくつかの例では、供給源302は、酸素濃縮器、酸素発生器または酸素ボンベを含むことができる。
図4は、酸素濃縮器400を図示しており、圧縮空気が、入口402を通って酸素濃縮器400に入り、分子ふるい404を通過して、酸素富化ガス(例えば、少なくとも30体積%または50体積%のO
2を含む)を生成する。周囲空気のO
2濃度未満のO
2濃度を含み、周囲空気のN
2濃度を超えるN
2濃度を有する排気が、弁406を通って酸素濃縮器400を出て、入口弁204に供給される。
【0027】
いくつかの例では、供給源302は、空気を冷却するための装置(例えば、銅管熱交換器)を備えて、室温未満の温度の空気(例えば、0°Kに近い温度)が、弁204を通って室202に提供され、室温未満の温度を含む冷却された反応ガスの中でスパーク放電またはコロナ放電が発生するようにする。供給源302は、当分野で公知の冷却または熱交換方法によって空気を冷却するように作動することができる。
図5は、冷却装置500の一例を示しており、空気または他の反応ガス(例えば、空気およびN
2、またはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの混合気)が、コイル502を通って流れ、冷却剤504によって冷却され、入口508を通って室506に入り、出口510を通って室を出る。コイル502は、例えば銅管など、熱伝導性管であることができる。冷却剤504は、例えば、液体N
2または循環冷却剤(例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン)であることができる。
【0028】
ある例では、
図3に関して前述する供給源302の1つまたはそれ以上の実施が組み合わされて、混合気を形成する。例えば、供給源302は、N
2または不活性ガス(例えば、アルゴンまたはヘリウム)のボンベ、およびN
2または不活性ガスを空気と選択された比率で混合する機構を備えて、例えば電極を含むセンサ、ならびに反応ガスが室202に供給される前に反応ガスを冷却するための装置を用いて測定されるO
2の所望の濃度を達成する。反応ガスを冷却するための装置は、2つ以上の箇所で(例えば、ガスボンベの調節器またはシリンダヘッドで、弁204でなど)反応ガスを冷却することができる。
【0029】
別の実施形態では、
図6に示すように、NO発生器600が、一定容積室602を含む。いくつかの場合、入口弁204は環境に露出されるので、入口弁が開くとともに、周囲空気が室602に入るようになる(例えば、フィルタ208を通って)。入口弁204および出口弁206は、同期されることができ、混合気が入口弁204を通って室602の中に流入し、スパーク放電またはコロナ放電が起動される前に入口弁は閉鎖されるようにする。出口弁206は、入口弁204が開いている間に、通常は閉じており、スパーク放電またはコロナ放電の起動前、起動中、または起動後に開くことができる。ある場合には、一定容積室602は、供給源302に結合され、反応ガスは供給源302によって室6
02に供給される。フィルタ208は、供給源302と室602との間に配置され得る(例えば、図示のように供給源302と均衡バッグ304との間、または
図3に示すように吹き出し弁306と入口弁204との間)。酸素濃縮器の排気は、減少したO
2含有量を含む反応ガスを室602に提供するために使用され得る。NO発生器600は、1ATA未満の大気圧を含む環境で(例えば、高緯度で)作動され得る。別法として、一定容積602室は、弁606を通ってポンプ604に結合される。ポンプ604は、室602内のガス圧力を減少させるように配置される、例えば、ローブポンプまたはベーンポンプなどの容積式ポンプであることができ、それによって、室602内の反応ガス内のO
2およびN
2濃度を減少させる。同様に、ポンプ604は、室602内のガス圧力を上昇させるために配置可能であり、それによって、室602内の反応ガス内のO
2およびN
2濃度を上昇させて、より高いレベルのNO生成を達成することができる。
【0030】
図7は、NO発生器700の例を示す。NO発生器700は、
図6に関して説明するように、NO発生器500の構成要素を含み、
図3に関して説明するように、入口弁204に結合され、反応ガスを室602に提供するように配置されている供給源302を備える。
図6に関して注記するように、大気圧で、ポンプ604を用いて達成される減少した圧力で、または上昇した圧力で、室602内で選択的に合成され得る。
【0031】
NO発生器200、300、600および700の出口弁206を通って室202または602を出る製品ガスは、電気的に発生されたNOを含み、低いレベルのNO2およびO3を含むことができる。いくつかの場合、製品ガスまたは流出ガスは、換気装置の中に注入するために製造されたガスの圧力を上昇させるようにピストンに規格標準を合わせることが可能であり、あるいは連続的注入、または吸気に結合され、気道流に比例する注入のために気管内チューブに連結されることが可能である。製品ガスは、一時的に大気圧で貯蔵されることができる(例えば、マスクを通して患者によって直接吸入される前、換気のための空気流の中に注入される前、または換気装置を駆動するために製品ガスを使用する前の数秒間貯蔵される)。製品ガスは、換気ガスの中に混合されることができる。ある場合には、製品ガスは、ガス中の1つまたはそれ以上の構成要素の濃度を低減するように処理され得る。一例では、製品ガスは、周囲または圧縮空気または酸素と混合されて、より有効性の低い濃度のNOを生成する。いくつかの例では、製品ガスを捕捉剤(例えば、捕捉剤226)と接触させることによって、1つまたはそれ以上の望ましくない副産物(例えば、NO2およびO3)を除去するために処理される。いくつかの例では、捕捉剤226は、KaOH、CaOH、CaCO3およびNaOHの1つまたはそれ以上を含む。
【0032】
図2を参照すると、捕捉剤226は、出口弁206を出る製造されたガスを加工するためにカートリッジ228の中に配置され得る。カートリッジ228、捕捉剤226、またはその両方は、捕捉材料の吸収能力に限界があるので、交換可能である。捕捉剤226は、その吸収の程度(すなわち、捕捉剤が最大吸収に近づいている度合い)を色の変化によって示すことができる。いくつかの例では、製品ガスの中の80ppmのNO濃度で、100mlの体積を有する捕捉剤226が、NO
2の濃度を約0ppmまで低減することができる。
【0033】
ある場合には、酸素濃縮器からの排気がNOの低圧合成のために使用されるNO発生器300および700の実施を含めて、出口弁206を通って室202または602を出る製品ガスは、酸素濃縮器からのO2富化空気、または供給源からの純粋O2と化合されて、低レベルのNO2を含むO2を多く含む空気中に医療的に有効なレベルのNOを含む混合気を形成することができる。製品ガスを処理する1つまたはそれ以上の方法は、任意の順番で組み合わせることが可能であり、例えば、出口弁206を通って室202または602を出る製品ガスからNO2が除去されて、混合気を生成し、次いでこの混合気が酸素濃縮器からのO2富化空気と化合される、あるいは出口弁206を通って室202または
602を出る製品ガスが、酸素濃縮器からのO2富化空気と化合されて、混合気を形成し、次いでNO2が混合気から除去されるようにする。最終的な混合気は、再びNO2を除去するように掃気することを受けることができる。
【0034】
いくつかの例では、製品ガス中の1つまたはそれ以上の構成要素の濃度が、入口弁を通るガス流を変化させること、スパークまたは放電周期を変化させること、以下により詳細に説明するように、電極に供給される電圧または電流を変化させること、あるいは複数の一連のスパーク電極を加えることによって調節可能である。
【0035】
図8は、NOの電気的合成のための呼吸システム800を図示しており、NO発生器802の出口弁206から製品ガスが、モニタ804に供給される。モニタ804は、呼吸システムに関連する1つまたはそれ以上の状態に関する情報を収集することができる。NO発生器802は、本明細書に説明する任意のNO発生器であってよい。
【0036】
モニタ804は、製品ガス中の1つまたはそれ以上の構成要素の濃度を評価するための1つまたはそれ以上のセンサを含むことができる。いくつかの例では、センサは、NO、NO2、O3、O2またはその任意の組合せの濃度を測定するために、電極、化学発光手段または紫外線吸収手段を使用する。いくつかの場合、モニタ804は、NOの製造を調節し、NO2またはO3などの製造を減少させるために、NO発生器802または供給源302にフィードバックを提供する。例えば、評価されたNO濃度が、室(例えば、室202または602)の中に、反応ガスまたは反応ガス(例えば、N2、不活性ガス、空気またはO2)と混合される反応ガスまたはガスの流れまたは濃度、電極の寸法、間隔または温度、スパーク周期、または電圧、ピーク電流、またはNO発生器の制限電流を調節するために使用される。一例では、評価されたNO濃度が所望よりも高い場合、したがって室内へのガス流は増加され、それによって、製品ガス中のNO濃度を低減する。いくつかの例では、ガスポンプによって、ガスが室内に流れ込む。モニタ804は、室に入るガスの流量を測定するためのガス流センサを含むことができる。
【0037】
本明細書に説明するように、NO発生器は、0.5ppmから500ppm(例えば、少なくとも0.5ppmから1ppm、5ppm、10ppm、20ppm、40ppm、80ppm、または500ppmまで)のNO濃度を含む呼吸のためのガスを生成する。製造ガスは、吸入前に希釈され得る。ガスは、体外でヘモグロビンを酸化する(例えば、貯蔵された輸血の中で)ために使用可能であり、または成人、小児または新生児によって吸入されて、肺線維症、感染症、マラリア、心筋梗塞、卒中、肺高血圧症、新生児遷延性肺高血圧症、およびヘモグロビンを酸化し、またはNO代謝物質を循環の中に搬送するためにNOを呼吸することが有用である他の症状を含む、選択的肺血管拡張による呼吸器障害を治療的に処理することができる。いくつかの場合、NO発生器は、航空機または宇宙船の爆発的減圧の結果として、肺高血圧症および低酸素症を経験する人間に呼吸用ガスを供給するために、高高度肺水腫を治療するために、および/またはガスボンベなしに、NOを含む呼吸に適した治療用ガスの急速な低圧合成を含む利点を用いて、低圧環境で空気のスパーク放電またはコロナ放電による高緯度での任意の医療上の状態を治療するために使用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、例えば、NO発生器が換気装置に入力を提供するために使用される場合、NO発生器の作動(例えば、タイミング、スパーク放電またはコロナ放電の周期、入口弁および出口弁の開放および閉鎖など)は、吸気加圧、または気道内のガス流(例えば、熱線風力計または呼吸気流計によって測定される)と同期して、呼吸のために必要な量のNOが補完されるガスが、製造され、必要な場合に注入されるようにする。医療用途向けNOのこのような協調的製造が、NOが酸素含有混合気内で製造されるにつれて、NOが呼吸されるという追加の利点を提供し、吸入前にNOがNO2に酸化する時間
をより減らすことができる。NOが製造されるとき、短い時間しかNOは存続しない。短い時間の後、NOはNO2に酸化し始め、NO2は水の中に溶解するとき、硝酸および硝酸塩を形成する。ユーザが吸気の用意ができる前にNOが製造される場合、NOは、吸入時にこれらの有害な製品に酸化される可能性がある。硝酸および硝酸塩は、NO発生器の構成要素ならびに肺を損傷する可能性がある。自然換気と組み合わせて、吸入が、横隔膜のEMG(筋電図)、あるいは胸部または腹部インピーダンスベルト、または様々な気道流センサによって追跡され、換気装置ソフトウェア起動プログラムから直接取り入れられることが可能であり、電気的に生成されたNOが、チューブまたはマスクを用いて鼻または気管を経て、吸気の開始時に呼吸ガスの中に注入され得る。
【0039】
図9Aは、NOを生成するための呼吸システム900の例を示す。いくつかの実施形態では、NOは周囲状態下で、あるいは低圧状態または高圧状態下で製造される。呼吸システム900は、電源902および室904を含む。様々な構成要素(例えば、オシロスコープ)が、呼吸システム900の電気的測定を行うことができる。いくつかの実施形態では、電源902はバッテリであり、呼吸システム900は携帯型または装着型である。
図9Bは、呼吸システム900のNO発生器916の例を示す。反応ガスが入口908を通って室904に提供され、製品ガスが出口910を経て室904を出る。電源902は、室904内の電極906に結合されて、電極間にスパークを発生させる。電源902は、パルスを発するように発生器912に作動可能に接続され得る。本明細書に説明するように、電極906を跨ぐスパークが、室904内にNOを形成する。NO発生器916などのNO発生器について、1kV~10kVで電極906間が10~30ミリ秒間スパークし、NO発生器916は、マイクロアンペアの電流を有し、パルス持続時間の長さ全体の平均に基づいて、20W未満または10W未満を必要とする。より長い時間(例えば、1秒)に亘って電力消費を平均化することによって、より低い平均電力消費を生み出す(例えば、1桁低いまたは2桁低い、あるいは約0.1W~1W)。
【0040】
本明細書に説明する、呼吸システム900およびその他を含むNOを製造するためのシステムは、制御装置914を更に含むことができる。制御装置914は、電圧源の起動を調整して、一連の電気パルスを電極(例えば、電極806)に搬送し、それによって、NOを生成する。電極は、望ましくない有毒な副産物を最小限度含む、NOを最適に製造することができる材料から構成されていてもよく、またはその材料でメッキされていてもよい。いくつかの例では、電極は、イリジウムなどの貴金属を含む。制御装置914は、パルス発生器912およびNO発生器916の少なくとも一部分(例えば、電極906)に接続されていてもよく、スパーク周期、スパーク持続時間などの制御パラメータを制御することができ、必要な量のNOおよび最低限の望ましくない有害な副産物(例えば、NO2、O3)を生成することができる。
【0041】
制御装置914は、呼吸システム900内の1つまたはそれ以上のセンサから情報を受信するように構成され得る。制御装置914は、センサから受信した情報を使用して、呼吸システム900のための1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定することができる。例えば、酸素レベルセンサ112の示度が制御装置914によって使用されて、1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定することができる。呼吸システム900は、吸気ガスの体積、タイミングおよび酸素濃度を測定するために、一回呼吸量または吸気ガス流センサ(例えば、サーミスタ、熱線式風速計)を含むことができる。制御装置は、吸気の換気時間または吸入された酸素濃度に関連する換気装置からの情報を受信することができる。いくつかの例では、制御装置914は、以下の1つまたはそれ以上に基づいて制御パラメータを決定することができ、数例を挙げれば、i)モニタから受信された情報(例えば、NO濃度およびNO
2濃度など、製品ガスまたは換気装置内の構成要素の濃度を評価するための
図8のモニタ804)、ii)反応ガス中の構成要素の濃度(例えば、酸素濃度)、iii)NO発生器900の作動パラメータ、iv)室202内の圧力(例えば、特
に、NO発生器200、300が室202内の圧力を調節するためのピストン214を含む実施形態について)、v)反応ガスの流量、vi)吸気の実際の、または期待される体積、およびvii)製造されたNOが他の呼吸ガス(例えば、酸素)によって希釈されるかどうかである。
【0042】
NO発生器900は、高頻度振動換気法(HFOV)の極めて高い呼吸周波で製品ガスのすべてまたは一部分を提供することができる。NO発生器900は、数例を挙げれば、陽圧換気装置、麻酔機械、連続的気道陽圧デバイスまたは手動蘇生器に製品ガスのすべてまたは一部分を提供することができる。
【0043】
成人は、通常毎分10~20回呼吸し、各呼吸は3~6秒の持続時間を有する。典型的には、呼吸の持続時間の約1/2~1/3は、吸気である。平均して、各呼吸は、約500mlの一回呼吸量を有する。小児では、各呼吸は典型的にはより少ない体積を有するが、しかし呼吸がより高い割合で発生する。したがって、平均的な成人では、1秒間の吸気で毎分約10~20回の呼吸が、毎分約10秒のスパーク発生のための間隔を可能にする。
【0044】
吸気の期待される体積は、前の一回呼吸量測定を使用して計算され得る。例えば、制御装置914は、次の吸気の期待される一回呼吸量が、直近の吸気の一回呼吸量の測定と同じになるように決定することができる。制御装置914は、次の吸気の期待される一回呼吸量を決定するために、いくつかの前の吸気の一回呼吸量を平均することもできる。いくつかの例では、制御装置914は、換気装置から期待される一回呼吸量を得ることができる。
【0045】
制御装置914の実施は、デジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアを含んでもよく、本明細書に開示する構造、およびその構造的均等物、またはそれらの1つまたはそれ以上の組合せを含んでもよい。スパークの発生を観察し、報告し、スパークが発生していない場合は警告を与えるために、光センサまたは電気センサを装置の中に組み込むことが可能である。例えば、制御装置914は、コントローラ(またはコントロールシステム)に基づくマイクロプロセッサ、ならびにコントローラ(またはコントロールシステム)に基づく電子機械であることができる。制御装置の中の命令および/または論理は、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムとして実施可能であり、すなわちデータ処理装置によって実施するため、またはデータ処理装置の作動を制御するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化されている、コンピュータプログラム命令の1つまたはそれ以上のモジュールとして実施可能である。別法として、または追加的に、プログラム命令は、データ処理装置によって実行するために適切な受信装置に伝送するための情報を符号化するために生成される、人工的に生成された伝播される非一時的信号、例えば、機械生成される電気信号、光信号、または電磁信号などの上に符号化され得る。
【0046】
制御装置914は、クライアントおよびサーバおよび/またはマスタコントローラおよびスレーブコントローラを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に互いから離れており、典型的には通信ネットワークを通って相互に作用する。クライアントおよびサーバの関係は、各コンピュータ上に走り、互いにクライアントーサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。いくつかの態様では、制御装置914は、通信要素(例えば、有線または無線)を通ってNO発生器の各構成要素と通信可能に接続される主コンピュータ(例えば、マスタ)を代表する。制御装置914は、室内で製造される製品ガスの成分に少なくとも部分的に基づいて、スパークの持続時間および周期に関するパラメータを調節するように構成され得る。
【0047】
図10は、制御装置914によって引き起こされるパルス列1000の表示を示す。制御装置914は、パルス列を生成するために1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定することができる。
図10は、パルス列1000のパルス群1002の1つの拡大図を更に示す。電気パルスが電極(例えば、電極906)に搬送され、電極906は、一連のスパーク(電気アークと呼ばれることもある)を生成する。パルスのタイミング(およびその結果のスパーク)は、制御装置914によって制御され、必要な量のNOを製造する一方で、最小のNO
2およびO
3を製造するように最適化され得る。いくつかの例では、NOが他の呼吸ガス(例えば、酸素)でその後希釈される場合、制御装置914はより多くの量のNOを製造させる。複数のスパークがパルス群を形成し、複数のパルス群がパルス列を形成する。したがって、パルス列1000が、一連の電気アークを起動する。
【0048】
変数BおよびNが、電極906によって生成されるエネルギー全体を制御する。変数Nがパルス群毎のスパーク数を定め、変数Bが毎秒のパルス群の数を定める。BおよびNの値が、生成されるNO、NO2およびO3の量に影響を及ぼす。BおよびNの値は、電極806によって製造される熱の量にも影響を及ぼす。BまたはNのどちらかのより大きい値が、より多くのNOを生成し、電極906により多くの熱を生成させる。
【0049】
変数E、F、HおよびPが、各パルス群の中で製造されるスパークのタイミングを制御する。変数Hは、パルスの高時間である(例えば、電圧源が各電気パルスに対して起動される時間の量)。高時間は、パルス幅と呼ばれることがある。高時間およびパルス幅は、一定時間パルスの電圧のグラフの中に視覚的に表示され得る。高時間およびパルス幅は、パルスの電圧が電圧閾値を超える時間から、パルスの電圧が電圧閾値未満に低下する時間まで測定され、一般に約マイクロ秒程度である。
【0050】
特定の電気パルスに対して電圧源が活性化される時間が長いほど、特定の電気パルスの幅の視覚的表示がより大きくなる。
【0051】
Pは、パルス間の時間量である。したがって、P-Hは、パルスが全く発生しない時間を表す(例えば、電圧源が起動していない)。Hの値が大きいほど、かつPの値が小さいほど、電極906はより多くのエネルギーを生成する。電極906がスパークを生成する場合、プラズマが確立される。プラズマの温度は、電極906によって生成されるエネルギーの量に比例する。いくつかの例では、プラズマが生成されるために、反応ガスは窒素および酸素の両方を含有する。
【0052】
Bは、典型的には毎秒5~80パルス群の範囲にあり、Nは、典型的にはパルス群毎1~50スパークの範囲にあり、Pは、典型的には10~800マイクロ秒の範囲にあり、Hは、典型的には5~600マイクロ秒の範囲にある。
【0053】
NOおよびNO
2が製造される化学反応は、プラズマ温度の作用である。すなわち、より高いプラズマ温度によって、より多くのNOおよびNO
2が製造される。しかし、製造されるNOおよびNO
2の相対的比率は、様々なプラズマ温度に亘って変化する。いくつかの例では、パルス群の中の最初の2つのパルスによって生成されるスパークが、プラズマを確立する。最初の2つのスパークが、パルス群の中の残りのパルスによって製造されるスパークよりも長い高時間を有することができる。最初の2つのパルスが延長される時間量が、変数EおよびFによってそれぞれ示されている。最初の2つのパルスを過ぎて、パルスによって生成されるスパークは、プラズマを維持するためにより少ないエネルギーを必要とし、その結果、その後に続くパルス(変数Hによって示される)の高時間がより短くなって、プラズマ温度が高くなり過ぎることを防止することができる。例えば、相対的に高いプラズマ温度によって、製造されるNOおよびNO
2がより多くなる結果をもたらすが、相対的に高いプラズマ温度は、所望の比率のNOおよびNO
2を製造するために
理想的ではない場合がある。電極906の材料は、特定のスパークを生成するために必要なエネルギーの量を決定する際に重要な役割を果たす可能性があり、したがって製造されるNO
2/NO比率に影響を及ぼす。いくつかの例では、
図13に示すように、タングステン電極が相対的に高いNO
2/NO比率を製造し、ニッケル電極がより低いNO
2/NO比率を製造し、イリジウム電極が更により低いNO
2/NO比率を製造する。
【0054】
生成される各スパークは、特定の量のNOを生成する。NOは、製造されるガスの体積の中で希釈される。吸気ガス内のNO濃度が期待されるレベルであることを保証するために、制御装置914は、前述の一回呼吸量センサから情報を受信して、適切な吸気NO濃度を保つために制御パラメータを決定する。
【0055】
制御装置914は、NO発生器と無線で(例えば、Bluetoothを介して)通信するように構成され得る。制御装置914は、外部装置(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)と通信するようにも構成され得る。次いで、外部装置は、制御装置914の機能を実施するために、または制御装置914が機能を実施するのを助けるために使用され得る。
【0056】
いくつかの例では、制御装置914は、一連のスパークが生成される間、前または後で、NO発生器の特定の構成要素を無効にすることができる。いくつかの例では、制御装置914は、i)意図しないスパークを検出し、停止する、ii)一連のスパークを引き起こす前に一連のスパークが安全であることを確認する、iii)可変タイミングの破損を検出するために、各一連のスパークが生成される後、タイミング値のバックアップ・コピーに対してタイミング値が点検されることを確認する、iv)可変タイミングのバックアップ・コピーが破損しているかどうかを決定する、という特徴を更に含むことができる。
【0057】
NO発生器(例えば、NO発生器916)を用いて実施された結果を
図11~
図13に関して説明する。
【0058】
図11Aは、NO発生器916について、平均電流および平均電圧対スパーク/秒を示す平均電流および平均電圧のグラフ1100である。
図11Bは、NO発生器916について、平均電力対スパーク/秒を示す平均電力のグラフ1102である。平均電流および平均電力は、0.5~2スパーク/秒でピークに達し、平均電圧は、同じ範囲に亘って一時的に低下する。
図12Aは、1スパーク/秒放電の2スパーク間の電圧(上方のトレース)および電流(下方のトレース)についてのオシロスコープトレース1200を示す。
図12Bは、27ミリ秒のスパーク持続時間(単一のスパーク)による、1スパーク/秒放電についての電圧(上方のトレース)および電流(下方のトレース)についてのオシロスコープトレース1202を示す。
【0059】
図13は、様々な電極材料を使用して、NO発生器(例えば、
図9BのNO発生器916)からのNOおよびNO
2濃度を示す。試験状態には、1/4インチのロッド、2.0mmの電極空隙、5L/分の一定空気流量、および0.21の吸入酸素濃度(FiO
2)が含まれた。タングステン電極について、B=40毎秒パルス群、N=30パルス群毎のスパーク、P=100マイクロ秒、およびH=20マイクロ秒である。ニッケル電極について、B=35毎秒パルス群、N=40パルス群毎のスパーク、H=180マイクロ秒、およびP=70マイクロ秒である。イリジウム電極について、B=35毎秒パルス群、N=40パルス群毎のスパーク、H=180マイクロ秒、およびP=80マイクロ秒である。
【0060】
図14は、連続的にスパークしているミニスパークプラグ(ワシントン州、Benton City、Rimfireの6mmHEXを含むMicro Viper Z3およ
び10-40THRD)を使用して、NO発生器から、様々な反応ガス酸素濃度でのNOおよびNO
2濃度を示す。
【0061】
図15は、連続的にスパークしているイリジウムスパークプラグ(マサチューセッツ州、Waltham、ACDelco 41-101)を使用して、NO発生器から、様々な反応ガス酸素濃度でのNOおよびNO
2濃度を示す。
【0062】
図16は、断続的にスパークするイリジウムスパークプラグを使用して、NO発生器から、様々な反応ガス酸素濃度でのNOおよびNO
2濃度を示す。
【0063】
オゾン(O3)は、酸化に関して多くの工業用途および民生用途を有する強力な酸化剤である。しかし、その高い酸化潜在力が、動物内の生体粘膜および呼吸組織を損傷する原因になる。このことによってオゾンは、呼吸器有害性、および地表レベル付近の潜在的な汚染物質となる。オゾンは、大気放電から形成され、NOと反応して二酸化窒素(NO2)およびO2を形成し、またはN2と反応してNOおよびO2を生成する。いくつかの例では、オゾンレベルは、連続的スパークの方が断続的スパークよりもより大きく、O2濃度の上昇と共にやはり増加する。
【0064】
図17は、連続的スパークによって、ミニスパークプラグおよびイリジウムプラグを使用して、様々なO
2濃度でのO
3レベルを示す。この例では、B=60毎秒パルス群、N=50パルス群毎のスパーク、P=140マイクロ秒、およびH=40マイクロ秒、および空気流量5L/分である。
【0065】
図18は、吸気から開始する、または吸気が開始した直前に各呼吸で引き起こされる断続的スパークを含むミニスパークプラグおよびイリジウムスパークプラグを使用して、様々なO
2濃度でのO
3レベルを示す。この例では、B=60毎秒パルス群、N=50パルス群毎のスパーク、P=140マイクロ秒、およびH=40マイクロ秒、および空気流量5L/分である。
【0066】
図19は、連続的スパークによって、ミニスパークプラグおよびイリジウムプラグを使用して、様々なO
2濃度でのO
3レベルを示す。この例では、B=35毎秒パルス群、N=25パルス群毎のスパーク、P=240マイクロ秒、およびH=100マイクロ秒、および空気流量は5L/分である。
【0067】
図20は、吸気から開始する、または吸気が開始した直前に各呼吸で引き起こされる断続的スパークを含むミニスパークプラグおよびイリジウムスパークプラグを使用して、様々なO
2濃度でのO
3レベルを示す。この例では、B=35毎秒パルス群、N=25パルス群毎のスパーク、P=240マイクロ秒、およびH=100マイクロ秒、および空気流量は5L/分である。
【0068】
図21は、酸素濃縮器を使用して、様々な反応ガス酸素濃度で、NO濃度およびNO
2濃度を示す。この例では、B=5毎秒パルス群、N=25パルス群毎のスパーク、P=200マイクロ秒、およびH=60マイクロ秒、および空気流量は5L/分である。
【0069】
図22は、様々な大気圧で低圧室2200の中のNOレベルおよびNO
2レベルを測定するためのテスト設定を示す。試験の結果は、
図23に示されている。低圧室2200内部に負圧を生成するために(例えば、1/2ATA、1/3ATA)、入口弁および出口弁が閉鎖され、ピストンがスパークプラグから離れて並進した。次いで、スパークプラグは、30秒間点火された。この例では、B=100毎秒パルス群、N=10パルス群毎のスパーク、P=140マイクロ秒、およびH=10マイクロ秒である。次いで、ピストン
はスパークプラグに向かって並進されて、低圧室2200内の圧力を1ATAに戻した。出口弁が開かれ、ピストンをスパークプラグに向かって更に並進することによって、ガス試料が3Lの呼吸バッグ内に収集された。収集されたガス試料は、収集後に直ちにSievers NOA i280を用いて分析された。
【0070】
図24を参照すると、流れ
図2400が、制御装置(例えば、
図9Aに示す制御装置914)の作動の配置を示す。典型的には、作動は制御装置内に存在するプロセッサによって実行される。典型的には、作動は制御装置内に存在する複数のプロセッサによって実行される可能性もある。典型的には単一の制御装置によって実行されるが、いくつかの配置では、作動の実施が2つ以上の制御装置の間で分配されることが可能である。
【0071】
作動が、患者に付随する呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関連する情報を収集すること2402を含む。例えば、
図8のモニタ804の1つまたはそれ以上のセンサは、呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関する情報を収集することができる。いくつかの例では、呼吸システムの中の他のセンサが、呼吸システムの1つまたはそれ以上の状態に関する情報を収集する。呼吸システムに付随する状態は、入力ガス(例えば、反応ガス)の酸素濃度、反応ガスの入力流量、吸気のガス体積および周期、呼吸システムの室内の圧力、呼吸システム内で予混合の前後の製品ガスの酸素濃度の1つまたはそれ以上を含む。作動は、収集された情報に基づいて1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定すること2404を更に含む。例えば、
図9Aの制御装置914は、1つまたはそれ以上の制御パラメータを決定することができる。制御パラメータは、パルス列を生成することができる。
【0072】
作動は、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生するために、患者の外部に一連の電気アークを起動すること2406を更に含む。例えば、
図9Bの電極906は、決定された制御パラメータに基づいて一酸化窒素を発生するために、患者の外部に一連の電気アークを起動することができる。制御パラメータは、一連の電気アークのタイミングを制御することができる。いくつかの例では、呼吸システムに付随する状態は、一連の電気アークによって生成されるNOおよびNO
2の量を更に含む(例えば、以前に生成されたNOおよびNO
2の量)。
【0073】
図25は、本明細書に説明する操作および技術を実施するために使用され得る例のコンピュータデバイス2500および例のモバイルコンピュータデバイス2550の例を示す。例えば、制御装置(例えば、
図9Aの制御装置914)の作動の一部分またはすべてが、コンピュータデバイス2500および/またはモバイルコンピュータデバイス2550によって実行され得る。コンピュータデバイス2500は、デジタルコンピュータの様々な形態を代表すると意図され、例えば、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームおよび他の適切なコンピュータを含む。
【0074】
コンピュータデバイス2550は、モバイルデバイスの様々な形態を代表すると意図され、例えば、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットコンピュータデバイス、携帯電話、スマートフォンおよび他の類似のコンピュータデバイスを含む。本明細書に示す構成要素は、それらの接続および関係、ならびにそれらの機能は、例に過ぎないであると意図され、本文献の中で説明され、および/または特許請求される技術の実施を限定するようには意図されるのではない。
【0075】
コンピュータデバイス2500は、プロセッサ2502、メモリ2504、記憶装置2506、メモリ2504および高速拡張ポート2510に接続されている高速インターフェース2508、ならびに低速バス2514および記憶装置2506に接続されている低
速インターフェース2512を含む。各構成要素2502、2504、2506、2508、2510および2512は、様々なバスを使用して相互接続され、共通のマザーボード上に、または適切な他の様式で実装され得る。プロセッサ2502は、メモリ2504内または記憶装置2506上に記憶されている命令を含む、コンピュータデバイス2500内部で実行するための命令を処理することができ、例えば、高速インターフェース2508に接続されているディスプレイ2516を含む外部入力/出力装置上のGUIのためのグラフィカルデータを表示することができる。別の実施では、必要に応じて、複数のメモリおよび複数の種類のメモリと共に、複数のプロセッサおよび/または複数のバスが使用可能である。更に、複数のコンピュータデバイス2500が、必要な操作の一部分を提供する各装置(例えば、サーババンクの1つ、ブレードサーバの1グループ、またはマルチプロセッサシステムの1つとして)に接続され得る。
【0076】
メモリ2504は、コンピュータデバイス2500内のデータを記憶する。一実施では、メモリ2504は、1つまたはそれ以上の揮発性メモリユニットである。別の実施では、メモリ2504は、1つまたはそれ以上の不揮発性メモリユニットである。メモリ2504は、例えば、磁気ディスクまたは光ディスクを含む、コンピュータ可読媒体の別の形態であることも可能である。
【0077】
記憶装置2506は、コンピュータデバイス2500のための大容量記憶装置を提供することができる。一実施では、記憶装置2506は、例えば、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置またはテープ装置、フラッシュメモリまたは他の類似の固体記憶装置、あるいはストレージエリアネットワークまたは他の構成の中の装置を含む装置の列を備えるコンピュータ可読媒体であり、コンピュータ可読媒体を包含することができる。コンピュータプログラム製品は、データ担体の中で明白に具体化され得る。コンピュータプログラム製品は、実行される場合、例えば前述のものを含む、1つまたはそれ以上の方法を実行する命令を更に含むことができる。データ担体は、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体であり、例えば、メモリ2504、記憶装置2506、プロセッサ2502上のメモリなどを含む。
【0078】
高速制御装置2508は、コンピュータデバイス2500のためのバンド幅集約的操作を処理し、一方、低速制御装置2512は、低い方のバンド幅集約的操作を処理する。機能のそのような割り当ては、例に過ぎない。一実施では、高速制御装置2508は、メモリ2504、ディスプレイ2516(例えば、グラフィックプロセッサまたはアクセラレータ)、および様々な拡張カード(図示せず)を受け取ることができる高速拡張ポート2510に接続される。実施では、低速制御装置2512が、記憶装置2506および低速拡張ポート2514に接続される。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth(登録商標)、Ethernet、無線Ethernet)を含むことができる低速拡張ポートが、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、または、例えばネットワークアダプタを通って、例えばスイッチまたはルータを含むネットワークデバイスを含む1つまたはそれ以上の入力/出力装置に接続され得る。
【0079】
コンピュータデバイス2500は、図面に示すように、複数の様々な形態で実施可能である。例えば、コンピュータデバイス2500は、標準的サーバ2520として実施可能であり、またはそのようなサーバ群の中で複数回実施可能である。コンピュータデバイス2500は、ラックサーバシステム2524の一部として実施可能である。追加的に、または別法として、コンピュータデバイス2500は、例えば、ラップトップコンピュータ2522を含むパーソナルコンピュータの中で実施可能である。いくつかの例では、コンピュータデバイス2500からの構成要素は、例えばデバイス2550を含むモバイルデバイス(図示せず)の中の他の構成要素と組み合わせることができる。そのようなデバイスのそれぞれは、1つまたはそれ以上のコンピュータデバイス2500、2550を含む
ことができ、全体のシステムは、互いに通信する複数のコンピュータデバイス2500、2550から構成され得る。
【0080】
コンピュータデバイス2550は、いくつかある構成要素の中で特に、プロセッサ2552、メモリ2564、例えばディスプレイ2554を含む入力/出力デバイス、通信インターフェース2566、およびトランシーバ2568を含む。デバイス2550は、更に記憶容量を増やすために、例えば、マイクロドライブまたは他の装置を含む記憶装置を更に備え付けることができる。各構成要素2550、2552、2564、2554、2566および2568は、様々なバスおよびいくつかの構成要素を使用して相互接続され、共通のマザーボード上に、または適切な他の様式で実装され得る。
【0081】
プロセッサ2552は、メモリ2564内に記憶されている命令を含む、コンピュータデバイス2550内部の命令を実行することができる。プロセッサは、別個の複数のアナログプロセッサおよびデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実施可能である。プロセッサは、例えば、デバイス2550の他の構成要素の協調を提供することができ、その協調には、例えば、ユーザインターフェースの制御、デバイス2550によって実行されるアプリケーションおよびデバイス2550による無線通信が含まれる。
【0082】
プロセッサ2552は、制御インターフェース2558、およびディスプレイ2554に接続されているディスプレイインターフェース2556を通してユーザと通信することができる。ディスプレイ2554は、例えば、TFT LCD(薄膜トランジスタ液晶)またはOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、または他の適切なディスプレイ技術であることができる。ディスプレイインターフェース2556は、グラフィカルデータまたは他のデータをユーザに提示するために、ディスプレイ2554を駆動するための適切な回路を備えることができる。制御インターフェース2558は、ユーザから命令を受信し、プロセッサ2552に投入するためにそれらを変換することができる。加えて、外部インターフェース2562は、プロセッサ2542と通信して、デバイス2550が他のデバイスと近接領域で通信できるようにする。外部インターフェース2562は、例えば、いくつかの実施の中で有線通信を提供し、または他の実施では無線通信を提供することができ、更に複数のインターフェースも使用され得る。
【0083】
メモリ2564は、コンピュータデバイス2550内のデータを記憶する。メモリ2564は、1つまたはそれ以上のコンピュータ可読媒体、1つまたはそれ以上の揮発性メモリユニット、あるいは1つまたはそれ以上の不揮発性メモリユニットとして実施可能である。拡張メモリ2574が、更に提供されることができ、例えばSIMM(シングル・インライン・メモリ・モジュール)カードインターフェースを含むことができる拡張インターフェース2572を通してデバイス2550に接続され得る。そのような拡張メモリ2574は、デバイス2550のための追加の記憶空間を提供することができ、あるいはデバイス2550のためのアプリケーションまたは他のデータを更に記憶することができる。特に、拡張メモリ2574は、前述の処理を実行し、補足するための命令を含むことができ、またはセキュアデータを更に含むことができる。したがって、例えば、拡張メモリ2574は、デバイス2550のためのセキュリティモジュールとして提供されてもよく、デバイス2550の安全な使用を許可する命令をプログラムされてもよい。加えて、例えば、不正侵入できない様式でSIMMカード上に識別データを配置することなどを含む追加のデータと共に、SIMMカードを通して、安全なアプリケーションを提供することができる。
【0084】
メモリは、以下に考察するように、例えばフラッシュメモリおよび/または不揮発性RAMメモリを含むことができる。一実施では、コンピュータプログラム製品は、データ担体の中で明白に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行される場合、例えば
前述のものを含む、1つまたはそれ以上の方法を実行する命令を含むことができる。データ担体は、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体であり、例えば、メモリ2564、拡張メモリ2574、および/またはプロセッサ2552上のメモリを含み、それらは例、えば、トランシーバ2568または外部インターフェース2562を通して受信され得る。
【0085】
デバイス2550は、通信インターフェース2566を通って無線で通信することができ、通信インターフェース2566は、必要である場合、デジタル信号処理回路を含むことができる。通信インターフェース2566は、特に、例えば、GSM(登録商標)ボイスコール、SMS、EMS、またはMMSメッセージ、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA(登録商標)、CDMA2000またはGPRSを含む様々なモードまたはプロトコルの下で通信を提供することができる。そのような通信は、例えば、無線周波トランシーバ2568を通して発生することができる。加えて、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi、または他のそのようなトランシーバ(図示せず)を含む、短距離通信が発生することができる。加えて、GPS(全地球測位システム)受信機モジュール2570が、追加のナビゲーションおよび位置に関連する無線データをデバイス2550に提供することができ、そのデータはデバイス2550上で実行するアプリケーションによって適切に使用され得る。カメラ、マイクロフォン、コンパス、アクセラレータ(オリエンテーション検知のための)などのセンサおよびモジュールは、デバイスの中に含まれることができる。
【0086】
デバイス2550は、ユーザからの会話データを受信し、それを利用可能なデジタルデータに変換することができるオーディオコーデック2560を使用して音声で通信することもできる。オーディオコーデック2560は、同様に、例えば、デバイス2550のハンドセットの中の、例えばスピーカを通してなどを含む、ユーザ向け可聴音を生成することができる。そのような音は、音声通話からの音を含むことができ、記録された音(例えば、音声メッセージ、音楽、ファイルなど)を含むことができ、更に、デバイス2550上で操作するアプリケーションによって生成される音を含むことができる。
【0087】
コンピュータデバイス2550は、図面に示すように、複数の様々な形態で実施可能である。例えば、コンピュータデバイス2550は、携帯電話2580として実施可能である。コンピュータデバイス2550は、スマートフォン2582の一部分、パーソナルデジタルアシスタント、または他の類似のモバイルデバイスとして実施可能である。
【0088】
本明細書に説明するシステムおよび技術の様々な実施は、デジタル電子回路、集積回路、特定用途ASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはその組合せの中で実現可能である。これらの様々な実施は、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含むプログラム可能なシステム上の実行可能および/または解釈可能である1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムの中で実施することを含むことができるが、プログラム可能なプロセッサは、特定目的または多目的であることができ、記憶システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置からデータおよび命令を受信するために、かつ記憶システム、少なくとも1つの入力装置および少なくとも1つの出力装置へデータおよび命令を送信するために接続されることが可能である。
【0089】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラム可能プロセッサ向けの機械命令を含み、高レベル手順、および/またはオブジェクト指向のプログラミング言語、および/またはアセンブリ/機械言語で実施可能である。本明細書に使用する場合、機械可読媒体およびコンピュータ可読媒体という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命
令および/または命令を提供するために使用されるコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラム可能論理デバイス(PLD))を指し、機械命令を受信する機械可読媒体を含む。
【0090】
ユーザとのやりとりのために、本明細書に説明するシステムおよび技術は、ユーザにデータを表示するためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(ブラウン管)またはLCD(液晶表示)モニタ)、ならびにユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)を有するコンピュータ上で実施可能である。他の種類のデバイスもまた、ユーザとのやりとりのために使用可能であり、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、知覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバック)の形態であることができ、ユーザからの入力は、聴覚、音声または触覚入力を含む形態で受信され得る。
【0091】
本明細書で説明されるシステムおよび技術は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)を含む、またはミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含む、またはフロントエンド構成要素(例えば、ユーザが本明細書に説明するシステムおよび技術の実施とやりとりができるユーザインターフェースまたはWebブラウザを有するクライアントコンピュータ)またはそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素またはフロントエンド構成要素の組合せを含むコンピュータシステムの中で実施可能である。システムの構成要素は、デジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)の形態または媒体によって相互接続され得る。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)およびインターネットが含まれる。
【0092】
コンピュータデバイスは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、一般に互いから離れており、典型的には通信ネットワークを通してやりとりを行う。クライアントおよびサーバの関係は、各コンピュータ上に走り、互いにクライアントーサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0093】
いくつかの実施では、本明細書に説明するエンジンが、分離され、組み合わされ、あるいは単一のエンジンまたは組み合わされたエンジンの中に組み込まれることが可能である。図面に示すエンジンは、本明細書に説明するシステムを図面の中に示すソフトウェアアーキテクチャに限定するように意図するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素および酸素を含む反応ガスを受け入れるように構成された入口と、
一酸化窒素を含む生成ガスを提供するように構成された出口であって、前記生成ガスは前記反応ガスの合成によって形成される、出口と、
前記入口と前記出口の間に配置された反応チャンバと、
一連の電気アークを開始して前記反応ガスを前記生成ガスに合成するように構成される、前記反応チャンバ内の1対又は複数対の電極と、
前記生成ガスが前記出口から供給される人工呼吸器回路内のガスの流れを測定するように構成されたセンサと、
前記電極の1つまたは複数のペアおよび前記センサと通信するコントローラと、からなる装置であって、
前記コントローラが、測定された流量に基づいて、生成ガス中の一酸化窒素の濃度を制御するために、パルス幅、パルス周期、パルスグループあたりのパルス数、1秒あたりのパルスグループ、前記1対又は複数対の電極によって生成されるエネルギー、アーク周波数、アーク電流、および前記1対又は複数対の電極に供給される電圧の少なくとも1つを調整するように構成されていることを特徴とする装置。