(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060602
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20220408BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20220408BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E05F15/611
E05F17/00 B
E05F17/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165567
(22)【出願日】2020-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】597087099
【氏名又は名称】日章工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤新 成信
(72)【発明者】
【氏名】井無田 龍
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】澤邊 友孝
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA02
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA02
2E052GD03
2E052GD07
2E052GD09
2E052GD11
2E052HA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易に開閉出来、避難時の安全性の向上を図れ、日常使用でき、低コストに製造、施工できるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉を提供する。
【解決手段】ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、第一扉及び第二扉の両面に手摺状取手を縦方向と横方向に固着し、進行正面の第一扉を押し開けるかあるいは進行反対側の第二扉を引き開けるかをすることによって、第一扉及び第二扉が連動し、それぞれの開き方向に開扉し、全開時に一定時間開扉の状態を保持し、利用者の通過後両とも自動的に閉扉でき、第一扉及び第二扉の回転軸を上部ボックス枠内部迄伸ばし、伸着したそれぞれの回転軸先端に連動補助具を装備し、二つの回転軸連動補助具を連結材で繋ぎ、両扉を同時に反対方向に稼働させ、回転動力として自動ドア開閉装置を両扉、或いは片方扉のみ係着しているユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉であって、第一扉及び第二扉の両面に手摺状取手を縦方向と横方向に固着し、通行床面に安全に通過させる誘導矢印及び中央境界線を設け、進行正面の第一扉を押し開けるかあるいは進行反対側の第二扉を引き開けるかすることによって、第一扉及び第二扉が連動し、それぞれの開き方向に開扉し、開き角度45度程度で利用者の通行可能な開口幅になり、全開時に一定時間開扉の状態を保持し、利用者の通過後両扉とも自動的に閉扉できるユニバーサルデザイン仕様扉において、
第一扉及び第二扉の回転軸を上部ボックス枠内部迄伸ばし、伸着したそれぞれの回転軸先端に連動補助具を装備し、二つの回転軸連動補助具を連結材で繋ぎ、両扉を同時に反対方向に稼働させ、回転動力として自動ドア開閉装置を両扉、或いは片方扉のみ係着していることを特徴とするユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉。
【請求項2】
ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、前記第一扉及び前記第二扉ともに、扉の両面に高さ1000mm以上の位置に横方向に、太さ25~40mm、長さ500~800mmの木製、又は金属製横手摺状取手を、又扉の下桟部から1000mm以内に縦方向に、太さ25~40mm、長さ500~800mmの木製、又は金属製縦手摺状取手を取り付けて、利用者の高さ方向及び幅方向の握り幅を広げ、扉の開閉動作をし易くし、また通行床面に誘導矢印及び中央境界線、扉正面に押し、引き作動表示を施し、進行方向の指示し、かつ安全通行を促進させ、さらに進行方向の扉の手摺状取手を押し出すか、あるいは進行逆方向の扉を引き戻すことによって、自動的に両方の扉をそれぞれの開扉方向に開閉できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉。
【請求項3】
前記ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、前記第一扉と前記第二扉の回転軸を連結し、出入り口全体に掛る圧力を相殺させるように反対方向に稼動させ、開けやすい扉にし、さらに利用者の安全通行を確保する為、前記第一扉及び前記第二扉の回転軸を上部ボックス枠内部迄伸ばし、伸着した回転軸に装備した連結補助具と連結材との連結により、それぞれの扉の回転軸を時計回りに同時に駆動し、反対方向に開かせることができ、その上、前記第一扉と前記第二扉を繋ぐ連結材は中間部で張り圧を調整できる器具を備え、前記連動補助具と前記連結材は、連動補助具としてスプロケット、又はプーリー、又は回転カム、又は連動ギアで、また連結材としてチェーン、又はベルト、又は連結ロット、又は連動ロット付きギアであり、それぞれに選択された連動補助具と連結材とを組み合わせて連動使用されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉。
【請求項4】
前記第一扉及び前記第二扉の上部表面に取り付けた自動ドア開閉装置は、取り付けた側の扉を開かせると同時に連結補助具と連結材により反対側の扉も開かせる機能を持ち、また利用者の通過予想時間により、開閉の速さや扉の全開状態保持時間等を調整できる機能を持ち、さらに前記第一扉及び前記第二扉のどちらかの扉に開閉阻害を感知すると両扉とも自動停止する機能を備えており、第一扉桟枠部に係着させた手摺状取手を軽く押す、或いは第二扉桟枠部に係着させた手摺状取手を軽く引くことにより、作動側の扉に係着された自動ドア開閉装置が始動し、同時に連結された反対側の扉も始動でき、それぞれの開き方向に開扉し、開き角度45度程度で通行可能な開口幅になり、全開状態迄開扉できるようになっていることを特徴とする請求項1~請求項3に記載のユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉。
【請求項5】
前記第一扉及び前記第二扉を反対方向に自在に開閉できる前記ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き自動ドア開閉装置付扉は、スチール、及びアルミニウムの金属製、耐火性樹脂製や耐火機能を所持した木製であって、厚さは、30~50mm、幅は1600~2100mm、高さは1900~2100mmであって、防火型には扉と両側の縦枠との間隔には密閉性維持のゴム付戸当り材で塞ぎ、枠体と扉間の安全性を高めるために扉形状を指詰め防止型とし、上部ボックス枠内部で両方の扉を回転させる吊り金具の回転軸と回転軸と一体となった連結補助具と連結材を収納できるようになっていることを特徴とする請求項1~請求項4に記載のユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害者や高齢者などを含むすべての人に利用しやすい扉として用いられる安全・安心なユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共交通機関や公共施設におけるユニバーサルデザイン化の要請から、床面のフラット化が推進されており、引戸を採用する出入り口においても、段差や凹凸を解消することが望まれている。例えば、鉄道車両の側引戸については、従来、扉の下縁をガイドする下レールが、引戸開口部の床面からの突起物となっていたが、この下レールの突起を無くす構造が、種々、考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
防犯性とユニバーサルデザインの両立性を考慮することにおいて、建具の扉の一側壁に支持部材を介して横方向に設けられ、かつ、手摺り機能を有する棒状固定ガイドと、この棒状固定ガイドに摺動自在に設けられ、かつ、該棒状固定ガイドの一端部側から長手方向に進退動して固定枠体側の受け具に係脱可能なロック棒部材と、扉の自由端部に取付けられる錠前とから成り、前記錠前の操作部材を操作すると、該操作部材と前記ロック棒部材との間に介在する動力伝達手段を介してロック棒部材が受け具に係脱する建具の扉用閂錠装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
有効開口幅を広げることができ、しかも間仕切り等の外観品質を良好に維持することができ、更にユニバーサルデザイン性能を高めることができる引戸を得るために、引戸本体の戸先側端面には、帯板状に形成された支持部及び開閉操作時に把持するグリップ部から成る引出が取り付けられている。さらに支持部は、戸先側端面に固定されると共に板厚方向に延出された固定部と、この固定部から戸袋側へ斜めに屈曲されて延出されたグリップ支持部とから成る。従って、有効開口幅を最大限に確保することができると共に間仕切り等の外観を損ねることもない。さらに、高齢者や身体に不自由がある人等、すべての人に平等・公平に安全で操作性が良い戸が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
あらゆる使用者が便利に使用できてユニバーサルデザインを実現できる引き戸を提供するにおいて、直立した矩形板状の引き戸本体と、この引き戸本体に取リ付けられてスライド操作時に指を掛ける引き手具とを具え、前記引き手具は、引き戸本体の高さ寸法と略同じ長さを有する縦の長尺状をなし、かつ表側に向くとともに上下にのびる指受溝部を有するものが提案されている(特許文献4参照)。
【0006】
ユニバーサルデザインに配慮した住宅設計を行なうための住宅のユニバーサルデザインシステムであって、開発段階、邸別設計段階、販売段階の三段階で設計を行なうものとし、ユニバーサルデザインに配慮した住宅構成部材及びその配置と、住宅各所のデータベースを蓄積するネットワークサーバーと、ユニバーサルデザインベーシックメニュー及びユニバーサルデザインチャレンジングメニューを蓄積したデータベースを閲覧・更新するコンピュータと、これらを繋ぐネットワークとを用い、開発段階では、開発者が、住宅構成部材の開発・生産管理・流通管理・住宅構成部材の配置・住宅各所の開発にあたり、前記データベースの閲覧・更新を行ない、邸別設計段階では設計者が、販売段階では販売者が、それぞれの住宅購入者のニーズを反映するにあたり、データベースの閲覧・更新を行なう、住宅のユニバーサルデザインシステムが提案されている。
【0007】
住宅設計において、人間の日常生活行動の障害(ハンディキャップ)を取り除くためのバリアフリーデザインは、その考え方・思想が採用され、バリアフリーというフレーズや、考え方が一般の消費者にも浸透するようになった。このバリアフリーデザインは、「高齢者・障害者が使いやすいモノ・デザインは、誰もが使いやすいはず」という発想に基づくものであり、例えば、廊下・部屋間の段差の解消や、宅内エレベーターの設置により、高齢者・障害者の身体の高齢化・障害による負担を取り除くことを目指したものである。
【0008】
従来、建築物が障害者や高齢者などを含むすべての人に利用しやすいかどうか、すなわち建築物がどの程度ユニバーサルデザイン(以下、「UD」という)を取り入れているかどうかは、建築物の重要な性能評価の1つであり、このUDの視点に立って建築物の性能を総合的に評価する評価装置が望まれていた。ところで、従来の技術には、建築物のユニバーサルデザインに関する要求を満たす基本的な対応事項から建築物全体の性能を評価する手法(非特許文献1参照)、環境性能を評価する手法(非特許文献2参照)などがあった。
【0009】
近年、種々の扉において、身体機能に制限を持つ障害者や身体機能の衰えた高齢者だけではなく、健常者も含むすべての人にとっての使い易さを考慮した設計(すなわち、ユニバーサルデザイン)が要求されている。それゆえ、様々な扉においてユニバーサルデザイン(以下、「UD」と略称する)が達成されている。
【0010】
現状では、UDが達成されているか否かを判定する明確な基準がないため、社内で構築した制度の中で、専門家によりUDが達成されているか否かの合否判定がなされ、合格と判定されるとUDを達成した商品として認定する制度を採用している。専門家による認定の際には、商品が訴求する要素(訴求ポイント)と、UDに反する要素(弊害ポイント)とについてチェックリストを用いて各要素を評価している。このように訴求ポイントと弊害ポイントとの各要素について評価を行うことにより、UDが達成できているか否かを総合的に評価することが可能になる。
【0011】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2012-153212号公報
【特許文献2】特開2007-92344号公報
【特許文献3】特開2008-180018号公報
【特許文献4】特開2006-348473号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】著者山田亭、その他4名 「建物性能評価手法の研究(その1)」日本建築学会大会学術講演梗概集1073頁-1074頁 1993年9月
【非特許文献2】著者伊香賀俊治、その他6名 「建築物の総合環境性能評価手法に関する研究(その3)」日本建築学会大会学術講演梗概集1047頁-1048
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一方、近年の傾向としてバリアフリーに代表されるように高齢者や体が不自由な人にも安全で利用し易い居住空間を提供することが重要視されているが、最近では更にこの考え方を拡大してすべての人にとって平等・公平に利用し易いデザインを提供するユニバーサルデザインといった考え方が普及し始めている。従って、開き戸、引戸もユニバーサルデザインの観点から改良されることが望ましい。
【0015】
本発明は上記事実を考慮し、開き戸において、車椅子利用者が単独又は付添人と一緒に安全に通行でき、かつ一般の方も安全に通行でき、開けやすく、押し、引きの作動開始から早い時点で通行可能開口になり、しかも大がかりな自動開閉装置が不要で、建具の外観のほか、通路、間仕切り等の外観品質を良好に維持することができ、更にユニバーサルデザイン性能を高めることができる開き戸を得ることが目的である。
【0016】
一般に、ユニバーサルデザイン用ドア装置を系着する開き戸によると、幅方向の一方の側端部に取り付けられたヒンジを中心にドア枠に対して開閉自在となっている親ドアに、幅方向の他方の側端部まで達する子ドア部を同様に形成し、この子ドア部に、左右方向を軸方向とする中心軸を中心に反対側ドアを回動自在に配置しなければならず、また、反対ドアに、操作部材の操作によりドア枠に対し係脱する第1ラッチ部材と、親ドアに対し係脱する第2ラッチ部材とを設けなければならず、これによると、装置全体の構造が複雑となり、組立作業に多くの手間がかかることになる。
【0017】
一方、開き戸として、緊急時における差圧によって差圧解除扉装置の問題点に鑑み、できるだけ差圧解除扉装置の構造を簡潔にして動作トラブルや故障の発生を極力抑えると共に、差圧管理が破綻するような親扉と子扉の両扉が同時、同方向へ開状態になることがない差圧用扉装置を提供される。
【0018】
差圧用扉装置として従来の構成では、扉にかかる風圧力に対抗して扉を回動させなければならないので、差圧が大きい時や、扉が大きく圧力差が大きい場合には、扉の開閉に大きい力を要するといった問題があった。そこで、前記の問題を解決すべく案出されたものであって、扉の大きさや内外の差圧の大きさに影響されず、小さい力で差圧を調整することができる扉用差圧調整機構が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、第一扉及び第二扉の両面に手摺状取手を縦方向と横方向に固着し、通行床面に安全に通過させる誘導矢印及び中央境界線を設け、進行正面の第一扉を押し開けるかあるいは進行反対側の第二扉を引き開けるかすることによって、第一扉及び第二扉が連動し、それぞれの開き方向に開扉し、開き角度45度程度で利用者の通行可能な開口幅になり、全開時に一定時間開扉の状態を保持し、利用者の通過後両扉とも自動的に閉扉できるようにし、
第一扉及び第二扉の回転軸を上部ボックス枠内部迄伸ばし、伸着したそれぞれの回転軸先端に連動補助具を装備し、二つの回転軸連動補助具を連結材で繋ぎ、両扉を同時に反対方向に稼働させ、回転動力として自動扉開閉装置を両扉、或いは片方扉のみ係着していることを特徴とするユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉である。
【0020】
ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、第一扉及び第二扉ともに、扉の両面に高さ1000mm以上の位置に横方向に、太さ25~40mm、長さ500~800mmの木製、又は金属製横手摺状取手を、又扉の下桟部から1000mm以内に縦方向に、太さ25~40mm、長さ500~800mmの木製、又は金属製縦手摺状取手を取り付けて、利用者の高さ方向及び幅方向の握り幅を広げ、扉の開閉動作をし易くし、また通行床面に誘導矢印及び中央境界線、扉正面に押し引き作動表示を施し、進行方向の指示し、かつ安全通行を促進させ、さらに進行方向の扉の手摺状取手を押し出すか、あるいは進行逆方向の扉を引き戻すことによって、自動的に両方の扉をそれぞれの開扉方向に開閉できるようになっている。
【0021】
ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉において、第一扉と第二扉の回転軸を連結し、出入り口全体に掛る圧力を相殺させるように反対方向に稼動させ、開けやすい扉にし、詳しくは、第一扉及び第二扉の回転軸を上部ボックス枠内部迄伸ばし、伸着した回転軸に装備した連結補助具と連結材との連結により、それぞれの扉の回転軸を時計回りに同時に駆動し、反対方向に開かせることができ、その上、第一扉と第二扉を繋ぐ連結材は中間部で張り圧を調整できる器具を備え、連動補助具と連結材は、連動補助具としてスプロケット、又はプーリー、又は回転カム、又は連動ギアで、また連結材としてチェーン、又はベルト、又は連結ロット、又は連動ロット付きギアであり、それぞれに選択された連動補助具と連結材とを組み合わせて連動使用されている。
【0022】
第一扉及び第二扉の上部表面に取り付けた自動扉開閉装置は、取り付けた側の扉を開かせると同時に連結補助具と連結材により反対側の扉も開かせる機能を持ち、また利用者の通過予想時間により、開閉の速さや扉の全開状態保持時間等を調整できる機能を持ち、さらに第一扉及び第二扉のどちらかの扉に開閉阻害を感知すると両扉とも自動停止する機能を備えており、第一扉桟枠部に係着させた手摺状取手を軽く押す、或いは第二扉桟枠部に係着させた手摺状取手を軽く引くことにより、作動側の扉に係着された自動扉開閉装置が始動し、同時に連結された反対側の扉も始動でき、それぞれの開き方向に開扉し、開き角度45度程度で通行可能な開口幅になり、全開状態迄開扉できるようになっている。
【0023】
第一扉及び第二扉を反対方向に自在に開閉できる前記ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き自動扉開閉装置付扉は、スチール、及びアルミニウムの金属製、耐火性樹脂製や耐火機能を所持した木製であって、厚さは、30~50mm、幅は1600~2100mm、高さは1900~2100mmであって、防火型には扉と両側の縦枠との間隔には密閉性維持のゴム付戸当り材で塞ぎ、出入り口型には枠体と扉間の安全性を高めるために扉形状を指詰め防止型とし、上部ボックス枠内部で両方の扉を回転させる吊り金具の回転軸と回転軸と一体となった連結補助具と連結材を収納できるようになっている。
【0024】
ユニバーサルデザイン用開閉可能な両開き扉において、両扉の両面で高さ1000mm以上の位置に横方向に木製、又は金属製横手摺状取手を、又扉の下桟部から1000mm以内に縦方向に木製、又は金属製縦手摺状取手を固着して、両扉の通行正面及び通行反対面に押す、引く表示のシールで作動方法の掲示、又通行床面に両扉の開く方向に通行矢印を示して進行方向を表示しており、一方の通行方向の正面扉に固着の手摺状取手を押すことによって、自動的に両扉を反対方向に開閉できるようになっている。
【0025】
扉の上框に取り付けた自動開閉とストップの機能を持つ自動ドア開閉装置は、カバーを開けると内部に収納されている自動開閉調節機能システムを備えており、扉桟枠部に係着させた手摺状取手又は扉本体を押し気味にタッチすると、自動ドア開閉装置の機能が始動して、開閉ハンド部に連動してブラケットの折り畳み機能が作動して、その作動によって扉に自動開閉駆動機能と一定期間の駆動停止機能とを所持させた、自在に開閉できる第一扉の桟枠の上部に固着して、一方、第一扉と反対方向に自在に開閉できる第二扉には、第一扉と第二扉と反対方向に開閉を連動させる連動補助具と、各扉の連動補助具を連動させる連結材とによって第一扉の駆動で反対方向に開閉できるようになっている。
【0026】
自動ドア開閉装置の駆動調節機能は、扉の開き速度の調整、開閉位置の調整、変速角度の調整、停止時間の調整、閉時の押し付け力の調整を行い、扉を自動でしっかり、静かに開閉させて、扉の開閉速度を種々調整さすることが可能であり、自動停止時間を3~20秒で扉の開閉角度を30~180度の範囲に調整を可能にしており、寸法としては縦横50~100mmで、長さ200~300mmで、駆動を扉に伝導するブラケットを所持している。
【0027】
自動ドア開閉装置は、扉を隔てて圧力差が無い場合は、第一扉あるいは第二扉のどちらか一方に取り付けるだけで有効な開閉機能を持たせることができ、扉を隔てて差圧がある場合は両方の扉に取り付けることで、確実に有効な開閉機能を持たせることができる。この場合、2個の自動ドア開閉装置間で信号を飛ばし、同時に稼動させるようになっている。また、第一扉が障害物を感知し、自動停止した場合、第二扉も障害物を感知した開閉角度のまま自動停止し、利用者の安全を確保できるようになっている。
【0028】
自動ドア開閉装置の再起動は、何もしなければ障害物を感知した開き角度のまま停止した状態を維持し、第一扉、又は第二扉を開けるか閉めるかの作動力を加えると開け始めるか閉まり始めるかの稼動状態に戻り、その後、通常通り稼働できるようになっている。
【0029】
自在に開閉できる自動ドア開閉装置付き扉は、スチール、及びアルミニウムの金属製、または耐火性樹脂製や耐火性能を持った木製であって、厚さ30~120mmで、自在に開閉できる第一扉と、第一扉と反対方向に自在に開閉できる第二扉とからなる両扉を反対方向に開閉させる連動補助具と自動ドア開閉装置によって開閉調節駆動でき、各扉が自在に開閉できる枠に第一扉と第二扉の吊り金具の回転軸上に取付けて回転する連動軸は、両方扉の扉を反対方向に開閉を連動させる連動機構において、吊り金具と連動補助具の取り付け部と一体となった第一扉と第二扉の吊り金具体と、それに回転軸上に取付けて回転する連動補助具とからなっている。
【0030】
ユニバーサルデザイン用開閉可能な防火型両開き扉において、前記両開き扉には各扉の開閉方向とは逆方向にある戸当たりと戸当たり同士を繋ぐ防火性を有する部材とを各扉の戸先に装着し、他の扉の戸当たりを覆い隠す目板、及び気密材と遮煙材用の溝部材を備えて、各扉、及び各枠の両者に取付けられた気密材、及び遮煙材は、各扉の開閉方向とは逆に取り付けられた上部の戸当り部、及び扉の上部、並びに縦枠の戸当たり部、及び扉の縦部、及び沓摺、及び扉の下部、及び第一扉用と第二扉用の戸先の隙間を隠す目板にそれぞれ具備され、前記気密材、及び遮煙材としてはクロロプレンゴム、又はエチレンプロピレンゴム、又はシリコン系ゴム、及びフロン系ゴム、又は耐火バッカーから選ばれたものが使用されている。
【発明の効果】
【0031】
ユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉は、開き戸の使用可能な有効開口幅を広げることができ、しかも、通路、間仕切り等の外観品質を良好に維持することができ、更にユニバーサルデザイン性能を高めることができる自動作動型ドア開閉装置付き両開き戸で、障害者や高齢者などを含むすべての人に利用しやすい扉として用いられる安全・安心なユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉が提供できた。
【0032】
本発明のユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉は、ユニバーサルデザイン的に障害者、車椅子の方などに第一扉と第二扉を反対方向に自動的に開閉させることを特徴としている。通常時には車椅子、障害者が自由に通行できる戸であって、異常時にバリアフリーの扉を境に圧力差がある時でも簡単に開閉できて、圧力差が無い時と同様に簡単に開閉を行うことが可能となり、障害者、車椅子の方、力の弱い子供や女性等でも簡単に開閉することが可能となる。また、火災時の排煙装置や上昇気流、地下での水害等で成人男性でも開閉が困難な圧力差が生じた場合でも、第一扉もしくは第二扉の負荷と同じ開閉力が第二扉もしくは第一扉に付加される為、開閉が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の立面姿図 A:閉じた状態の立面姿図 B:開閉途中状態の立面姿図
【
図2】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の縦断面詳細図 A:玄関出入り口仕様の縦断面図 B:気密性の必要な出入り口仕様 の縦断面図
【
図3】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の横断面詳細図 A:玄関出入り口仕様の横断面図 B:気密性の必要な出入り口仕様 の横断面図
【
図4】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の指詰め防止型横断面詳細図 A:吊元側縦框指詰め防止框の横断面図 B:扉召し合せ部指詰め防 止框の横断面図
【
図5】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の連動補助具及び連結材の平面図 A:スプロケットとローラーチェーン B:回転カムと連結ロット C:プーリーとベルト D:連動ギアと連動ロッド付きギア
【
図5A】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の連動補助具及び連結材の立面図 A:スプロケットとローラーチェーン B:回転カムと連結ロット C:プーリーとベルト D:連動ギアと連動ロッド付きギア
【
図6】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の上部ボックス枠の斜視図 A:開口部中央の塞ぎ板と気密ゴム付戸当り B:上部ボックス枠と縦枠の取り合いと戸当りの取り合いの斜視図
【
図7】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の開き方向のイメージ平面図 A:気密型出入り口の閉じた状態の平面図 B:気密型出入り口の45度迄開いた状態を示す平面図 C:気密型出入り口の90度迄開いた状態を示す平面図 D:玄関出入り口の閉じた状態の平面図 E:玄関出入り口の45度開いた状態の平面図 F:玄関出入り口の90度迄開いた状態の平面図。
【
図8】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の利用者の通行状態のイメージ立面姿図 A:車椅子利用者の通行状態を示すイメージ立面姿図 B:健常者の通行状態を示すイメージ立面姿図
【
図9】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の利用者の押し、引きの開閉手段のイメージ平面図 A:車椅子利用者の進行方向の扉を押して開ける状態を示すイメージ平面図 B:車椅子利用者の進行反対の扉を引いて開ける状態を示すイメージ平面
図C:車椅子利用者付添人の進行方向の扉を押して開ける状態を示すイメージ平面図 D:車椅子利用者付添人の進行反対扉を引いて開ける状態を示すイメージ平面図 E:健常者の進行方向の扉を押して開ける状態を示すイメージ平面図 F:健常者の進行反対の扉を引いて開ける状態を示すイメージ平面図
【
図10】本発明によるユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の外圧の相殺するイメージ図と通行誘導矢印・中央境界線と車椅子利用者の通行状態のイメージ図 A:出入り口を境に圧力差が生じた場合、第一扉は圧力に押され、第二扉は圧力に逆らい、開くことになり、相殺されて開けやすい扉になるイメージする平面図。B:ユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の通行床面に施す誘導矢印及び中央境界線のイメージ平面図。C:ユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の45度開いた状態で、車椅子利用者が通行する場合を示すイメージ平面図 D:ユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉の90度開いた状態で、車椅子利用者が通行する場合を示すイメージ平面図 E:狭い廊下にユニバーサルデザイン式差圧緩和型両開き扉を設置した場合の車椅子利用者の通行状態を示すイメージ平面図 F:建物の玄関前のポーチが道路に面し、玄関正面に十分な誘導路が取れない場合に車椅子利用者の通行状態を示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉を出入り口に設置するとAのようになります。枠については、上部ボックス枠は連動補助具や連結材を収納できるボックス型になっていて、景観を良くしている。また扉は框とし、反対側の様子が見えるようにし、設置場所により
図4に示すように指詰め防止型も準備し、安全性も考慮している。また引手は掴み範囲の広いタイプを使い、健常者から車椅子利用者までの掴めるようにし、施錠は床にデットボルトがでるタイプを使っている。
【0035】
進行正面の上框に自動ドア開閉装置を固着し、開閉速度及び全開時扉保持の時間を調整できる。さらに通行床面には誘導矢印及び中央境界線を施し、進行正面の扉には押す表示を扉裏面には引く表示を貼り、進行逆方向の扉には手前に引く表示、その裏面には押す表示を貼り、安全な利用の仕方を指示している。Bに示すように、開き角度45度程度で通行可能な有効幅になり、進行方向を45度斜め方向に変えれば、扉の90度開放迄待つ必要もなく、通行できる。
【0036】
図2に示すように、連動補助具及び連結材は上部ボックス枠の内部に収納でき、外観では見えない。不具合が生じた場合は点検蓋をとり、調整を行う。Aは気密性能を有しない場合の縦断面詳細となり、Bは気密性能及び防火性能を有する場合の縦断面詳細となる。横断面については
図3に示すように、第一扉は回転軸より上方向へ開き、第二扉は回転軸より下方向へ開き、上部ボックス枠内で連結しているので、この開く動作がほぼ同時に開始する。Aは気密性能を有しない場合の横断面詳細となり、Bは気密性能及び防火性能を有する場合の横断面詳細となる。また設置場所によっては、
図4に示すように縦框に指詰め防止のゴムを固着した扉を使う事もできる。
【0037】
第一扉と第二扉を連動して作動させる連結補助具及び連結材は数種類の組み合わせを考え、
図5及び
図5Aに示ように4種類のものを使い、実証実験を行い、それぞれにジョイント部に遊びがあり、作動反応が良くない場合もでてきた。そこで、各組合せそれぞれで、連結材に中間金具を使い、連動反応を調査した。Aにスプロケットとローラーチェーンの組み合わせ、及び調整用中間のサブスプロケットを固着した状態平面図を、Bに回転カムと連結ロットの組み合わせ、及び調整用中間ジョイント金具を固着した状態平面図を、Cにプーリーとギア付ベルトの組み合わせ、及び中間調整用サブプーリーを固着した状態平面図を、Dに傘刃歯車の組み合わせ、及び中間ベアリングを固着した状態平面図を表した。実証実験の結果では、スポロケットとローラーチェーンの組み合せが一番良い作動をし、第一扉と第二扉をほぼ同時に作動させることができた。作動反応は、プーリーとギア付ベルト、回転カムと連結ロット、傘刃歯車の組み合せの順の結果となった。
【0038】
外観の良い出入り口ドアの建具とする為、連動補助具及び連結材は上部ボックス枠の内部に収納しなければならない。そこで扉の吊り込み方法を考慮し、中心吊りヒンジの取り付けを上部ボックス枠内部より行えるように改造した。また、気密・防火型は部屋外が見えないため、バックヤードでの使用に留め、框ドアの気密型、及び一般型を中心に進めた。
図8~
図10は健常者、車椅子利用者、または付添人・車椅子の場合の利用状況を図示し、ユニバーサルデザイン式扉開閉方向反対の両開き扉の有効性を確認した。
【実施例0039】
図1に示すように介護施設の談話室出入り口に設置するユニバーサルデザイン用扉開閉方向反対の両開き扉を幅1800mm、高さ2200mmの大きさで、溶融亜鉛めっき鋼板厚さ1.6mmの鋼板を使用し、2本の縦枠、上部ボックス枠、下枠、2体の透明ガラス入り框扉を展開図工程、NC加工工程、曲げ加工工程、組み立て工程、塗装工程を経て製作し、
図2に示すように吊り金具には、
図6の上部ボックス枠内部迄伸着させた軸型中心吊りヒンジを使用し、両框扉のそれぞれの回転軸を連動させる連結補助材及び連結材にはスプロケットとローラーチェーンを使用した。
【0040】
間仕切り壁開口部にまず枠体はめ込み、立ち、倒れを確認して開口部へ固定した。次に第一框扉を所定の位置にセットして、中心吊りヒンジの上側ヒンジを上部ボックス枠内部より固定し、開閉を確認した。同様に第二框扉も所定の位置に固定し、開閉を確認した。さらに
図5AのAに示すように第一框扉と第二框扉の上部ボックス枠内部に固定した長軸型中心吊りヒンジの軸同士を連結補助材及び連結材で連結し、第一框扉と第二框扉が連動して動く出入り口建具を構成した。なお第一框扉と第二框扉の連動作動の遊びは
図4にローラーチェーンの中間部にサブスプロケットを設置し、サブスプロケットを動かすことによりローラーチェーンの張りを調整し、
図7にも示すように、取手をタッチすることによって第一扉及び第二扉の左右の扉がほぼ同時に作動できた。
【0041】
図1に示すように第一扉及び第二扉の両面に、高さ1000mm以上の位置に横方向に、太さ25mm、長さ800mmの金属製横手摺状取手を、又扉の下桟部から1000mm以内に縦方向に、太さ25mm、長さ800mmの金属製縦手摺状取手を取り付けて、
図8に示すように健常者や車椅子利用者の区別なく利用できるように高さ方向及び幅方向の握り幅の広い取手を使った。
【0042】
さらに
図1に示すように第一框扉の上框に自動ドア開閉装置を固着して、第一框扉と第二框扉のほぼ同時に作動する連動開閉状態を、
図9に示すように車椅子利用者と健常者同伴車椅子と健常者のみにおいて、利用者の方が通過後に閉まり始めるよう全開時保持時間を、障害物に衝突した場合の緊急停止などを確認しながら、開閉の時間的調整ができるようにした。
【0043】
次に、
図9に示すように黄色の誘導矢印、第一框扉・第二框扉の軌跡の赤色中央境界線、及び押し・引く表示のシールを用意し、安全に通過できるように、通行床面に誘導矢印及び中央境界線を施し、進行正面のガラスに押し、裏面に引く、のシールを見やすい所に貼り、框扉の開放方向を明確に示し、自動ドア開閉装置の簡単な説明書を掲示し、安全に配慮した。進行正面の第一框扉を開き角度5度~10度程押して、両框扉が連動して開閉することを確認し、また進行反対側の第二框扉を開き角度5度~10度程引いて、両框扉が連動して開閉することを確認した。何れの場合も1~2Nの力で開きはじめた。いすれにしても軽い力で開くので、第一框扉を押し出すか、あるいは第二框扉を引き戻すか、利用しやすい扉を選ぶことができる。
【0044】
図10に示すように、健常者の方や、車椅子利用者単独行動の場合は、どちらの框扉を選んでも違和感はないと思われますが、車椅子利用者の付添の方やベビーカーを押して利用する方は、車椅子やベビーカーの前に行って、第一框扉を押し開けるより、第二框扉を引いて開ける方が楽に通行できた。
2本の縦枠及び上部ボックス枠には、第一框扉及び第二框扉の開閉方向の逆側に戸当たりを備え、その各戸当たりは中央部で1.6mmのスチール製の板で連結され、それぞれの戸当り部には、クロロプレンゴム製の気密材を備えられ、框扉の下側には隙間塞ぎ用ヒレゴムを取り付けて、防臭性と遮音性を確保し、形状的には例示仕様の防火設備とした。