(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060610
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】竹繊維を使用して織編みした生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 16/00 20060101AFI20220408BHJP
D06M 11/00 20060101ALI20220408BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20220408BHJP
D03D 15/47 20210101ALN20220408BHJP
【FI】
D06M16/00 A
D06M11/00 110
D02G3/04
D03D15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168155
(22)【出願日】2020-10-05
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520387195
【氏名又は名称】株式会社 infoBANK
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 紀夫
【テーマコード(参考)】
4L031
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
4L031AA02
4L031AB31
4L031BA11
4L031BA39
4L031CA01
4L031DA01
4L036MA08
4L036MA09
4L036MA35
4L036MA39
4L036PA26
4L036PA31
4L036RA15
4L036UA01
4L036UA25
4L036UA26
4L048AA07
4L048AA47
4L048AB05
4L048CA12
4L048DA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】竹繊維を含有した混紡糸を用いて織編みした生地であって、チクチク感を抑制した生地の提供。
【解決手段】竹繊維を含有して綿繊維などと混紡した混紡糸を用いて織編みした生地3において、上記混紡糸の竹繊維の含有率は15%~85%とし、該混紡糸の表面には多数の竹毛羽が形成され、その為に該混紡糸を用いて織編みした生地の表面には竹毛羽が表面化し、上記織編み生地を2次加工することで表面に発生した竹毛羽の殆どを除去すると共に、該竹毛羽を柔らかくしてチクチク感を抑制したことを特徴とする竹繊維を含有した織編み生地。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹繊維を含有して綿繊維などと混紡した混紡糸を用いて織編みした生地において、上記混紡糸の竹繊維の含有率は15%~85%とし、該混紡糸の表面には多数の竹毛羽が形成され、その為に該混紡糸を用いて織編みした生地の表面には竹毛羽が表面化し、上記織編み生地を2次加工することで表面に発生した竹毛羽の殆どを除去すると共に、該竹毛羽を柔らかくしてチクチク感を抑制したことを特徴とする竹繊維を含有した織編み生地。
【請求項2】
上記混紡糸は竹繊維と綿繊維を混紡して構成した請求項1記載の竹繊維を含有した織編み生地。
【請求項3】
上記織編み生地の用途として、病院やホテルなどで使うベッド用シーツ、布団カバー、枕カバー、衣類としてはジャケット、ワンピース、スカート、Yシャツ、ジーンズ、Tシャツ、下着などとした請求項1、又は請求項2記載の竹繊維を含有した織編み生地。
【請求項4】
竹繊維を含有して綿繊維などと混紡した混紡糸を用いて織編みした生地の製造方法において、上記混紡糸には竹繊維を15%~85%の重量比で含有し、該混紡糸を用いて生地を織編み、その表面には竹毛羽が表面化し、そして、上記織編み生地を2次加工することで表面に発生した竹毛羽の殆どを除去し、同時に竹毛羽を柔らかくしてチクチク感を抑制したことを特徴とする竹繊維を含有した織編み生地の製造方法。
【請求項5】
上記2次加工として、織編みした生地を、毛焼→精錬→晒→シルケット加工→染色加工→柔軟加工→巾出→防縮加工を施した請求項4記載の竹繊維を含有した織編み生地の製造方法。
【請求項6】
上記2次加工として、織編みした生地を、シルケット加工→リラックス→バイオ加工→染色加工→ダンブラー加工→柔軟加工→巾出→防縮加工
を施した請求項4記載の竹繊維を含有した織編み生地の製造方法。
【請求項7】
上記2次加工として、織編みした生地を、バイオ加工することで尖っている竹毛羽を除去した請求項4記載の竹繊維を含有した織編み生地の製造方法。
【請求項8】
上記2次加工として、織編みした生地を、毛焼き、晒、及びシルケット加工することで、尖っている竹毛羽を除去し、全体的にしなやかで柔らかくした請求項4記載の竹繊維を含有した織編み生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹繊維を含有した混紡糸を使用して織製又は編製した生地、及び該織編み生地の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
竹は気候が温暖で湿潤な地域に分布し、日本でも竹が群生している竹林と称される地域が多く見られる。そこで、竹を原材料としたものは数多く知られ、例えば、床材として、竹垣として、土壁の素地などの材木として、パイプや容器として、工芸品や日用品の材料として、さらには文具や玩具、漁業用具など、色々な分野で用いられている。竹はその生育が早く、その為に原材料としての竹は安くなり、竹製品は比較的低コストで提供され、その用途は限りなくあるように思われる。
【0003】
一方、竹をそのまま原材料として用いるのではなく、該竹から繊維を取出し、この繊維を使用した混紡糸も従来から知られている。
特開2007-277746号に係る「竹繊維含有繊維製品」は、ソフトな風合いを有し、肌へチクチクした感触を及ぼし難いだけでなく、吸湿性にも優れている。天然竹繊維を含有する紡績糸を用いてなる繊維製品であって、セルラーゼ処理してなる竹繊維含有繊維製品で、特に揉布処理されてなることが好ましい。
すなわち、竹繊維を混入した混紡糸を用いて織編みした生地は、竹繊維の混合比率にもよるが、肌に接するとチクチク感があり問題とされる。
【0004】
特開2014-136851号に係る「竹繊維シート」は、竹繊維の叩解度の大小に関わらず強度及び剛性を向上させたシートである。
すなわち、竹を解繊した竹繊維のうち0.3[mm]を超える繊維太さを持ち、外皮側の維管束を含むストランド状竹繊維と、竹繊維のうち0.3[mm]以下の繊維太さを持ち、内皮側の維管束を含むパルプ状竹繊維とを備え、ストランド状竹繊維とパルプ状竹繊維とを一体に混抄して構成している。
【0005】
特開2008-45253号に係る「織編物」は、防縮性及び防しわ性に優れた、天然竹繊維使いの織編物である。
すなわち、天然竹繊維を含む紡績糸を用いてなり、繊維素反応型樹脂で樹脂加工されている織編物であり、繊維素反応型樹脂はエポキシ樹脂である。本発明の織編物は、設計を工夫することで、様々な特性を有する織編物となり、主な用途としては、各種ユニフォーム衣料、各種一般衣料などがあげられる。
【0006】
【特許文献1】特開2007-277746号に係る「竹繊維含有繊維製品」
【特許文献2】特開2014-136851号に係る「竹繊維シート」
【特許文献3】特開2008-45253号に係る「織編物」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように竹の繊維を含有した混紡糸を使用して織編みした生地は従来から知られている。しかし、竹繊維の含有率にもよるが、該生地を用いて作成した衣類を着用する場合、多少のチクチク感が残る。その為に、該チクチク感を除去する為の2次加工(後処理)が必要となる。
本発明が解決しようとする課題は、竹繊維としての効能を損なうことなく、比較的簡単な後処理にてチクチク感を除去した、又は少なくともチクチク感を抑制した織編み生地及び織編み生地の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生地は竹繊維を含有した混紡糸を用いて織編みされる生地である。織生地であれば織機を用いて複数の縦糸と複数の横糸が互いに交差して織製され、編生地であれば、編機を使用して複数本の糸が針を介して互いに絡み合って編製される。
織物生地及び編物生地としての基本的な組織は従来と共通しているが、該生地を構成する混紡糸は、竹繊維を含有している。
【0009】
例えば、竹繊維と綿などの他の繊維が混紡することにより、天然竹繊維に備わっている竹固有の機能性、すなわち、優れた強度、抗菌作用、抗酸化作用、防臭作用、防音作用を有し、しかも風合い及び染色性にも問題がない繊維製品を製造することが出来る混紡糸が用いられる。
該混紡糸は、竹繊維と綿繊維などを混合して成る糸であって、天然竹繊維は重量比で15%~85%の割合で含まれている。
ここで、竹繊維の混紡率を高くするならば、竹固有の上記機能性は向上するが、その反面、該混紡糸製造の困難性は増加する。
【0010】
ところで、混紡糸の製造方法は限定しないが、例えば混打工程、調合工程、カーディング工程、練条工程、粗紡工程、精紡工程、巻糸工程などを経て製造される。
解繊することで平均繊維長が15mm~70mm、平均直径が30ミクロン~70ミクロンの竹繊維が使用され、これらの竹繊維は綿繊維などと混合される。
竹繊維と混合される上記綿繊維などの繊維長は平均40mm程度のものが用いられるが、短い繊維を用いると上記竹繊維との絡み合うことが容易でない。
【0011】
そして、竹繊維を解繊、乾溜、爆砕することでその機能性、すなわち吸臭、吸着、抗菌などをより高度に保つ混紡糸を得ることが出来る。解繊、乾溜、爆砕とは加熱加圧条件下(例えば、5~6気圧、140~200℃の状態)で、処理することを意味するものであり、解繊、乾溜、爆砕により、竹内部の油、水、虫などが除去される。解繊、乾溜、爆砕された竹繊維は、竹の持つリグニンがポリフェノールになり、抗酸化作用が高まるだけでなく、多孔質がより大となり、吸臭、吸着、抗菌などの作用がより顕著になる。
【0012】
ところで、この混紡糸を用いて織編みすることで、織生地及び編生地が得られるが、竹繊維を混入した混紡糸は周囲に竹毛羽が形成され、織編みされた場合に該竹毛羽が生地の表面に起立する。この竹毛羽が肌に接してチクチク感を呈する為に、本発明では織編みされた生地を2次加工(後処理)して竹毛羽を除去している。さらに、2次加工によって竹毛羽を除去すると共に、竹毛羽を柔軟にすることでチクチク感が緩和される。
【0013】
竹毛羽を除去してチクチク感のない生地とする2次加工としては、例えば、
A.毛焼→精錬→晒→シルケット加工→染色加工→柔軟加工→巾出→防縮加工
をすることが出来る。又は、
B.シルケット加工→リラックス→バイオ加工→染色加工→ダンブラー加工
→柔軟加工→巾出→防縮加工
をすることが出来る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る生地は、竹繊維を混入した混紡糸が使われ、混紡糸は、ほぼ一年生の生育が早い竹を主原料としていることで、コストは安くなる。そして、該混紡糸を使用した織物や編物は、綿糸のみの生地と比較すると、強度は約2倍になり、また、解繊、乾溜、爆砕した竹繊維を含む生地は、竹の持つリグニンが熱分解され、フェノールとなり、抗酸化作用を持ち、極多孔質によるホルムアルデヒドの吸着、消臭作用、防音作用が顕著である。
そして、竹本来の持つ抗菌作用など、特に黄色ブドウ球菌などに対しては、その抗菌作用が特に顕著である。さらに、洗濯による抗菌性、消臭性の低下は殆どなく、抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用を求める布製品には特に有用である。
【0015】
本発明に係る織編み生地を構成する混紡糸は、混打工程、調合工程、カーディング工程、練条工程、粗紡工程、精紡工程、巻糸工程などを経て製造される。その為に、該混紡糸を構成する竹繊維及び他の繊維の平均繊維長が揃っていることで、均一に混ざり易くて均一な混紡糸が使用される。
そして、混紡糸を用いて織編みされた生地の表面に形成される竹毛羽は2次加工にて除去され、その為にチクチク感のないしなやかな生地となり、その用途は、多岐にわたって使うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の織編み生地を構成する混紡糸の具体例。
【
図2】織り直後の生地であり、チクチク感を有している。
【
図3】織製後に毛焼きとシルケット処理を施した生地であり、チクチク感が若干残っている。
【
図4】織製後にバイオ加工処理を施した生地であり、チクチク感はない。
【
図5】織製後に毛焼き、晒、シルケット処理を施した生地であり、チクチク感はない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る織編み生地は、竹繊維を混合して製作した混紡糸を使用した生地であり、その用途は多岐にわたっている。例えば、病院やホテルなどで使うベッド用シーツ、布団カバー、枕カバー、タオル、織物クロス、じゅうたん、カーテン、衣類としてはジャケット、ワンピース、スカート、Yシャツ、ジーンズ、Tシャツ、スカーフ、マフラー、ソックス、下着など、また車の座席用シート、日傘など、色々の商品に使うことが出来る。
【0018】
図1は本発明の織編み生地を構成する混紡糸1を示し、(a)は所定の長さを有す拡大図を、(b)は(a)に示す混紡糸1の部分的な拡大図を表している。該混紡糸1は竹繊維と綿繊維とが混ざり合って混紡したもので、該混紡糸1の表面には多数の竹毛羽2,2・・・が発生している。竹毛羽2は細いが綿繊維とは違って硬く、生地として織編みされた場合には表面に毛羽立ってチクチク感を生じる。本発明に係る生地は、該チクチク感をなくす為に、表面に毛羽立っている竹毛羽2,2・・・を除去し、同時に柔らかくする2次加工を施している。
【0019】
図2、
図3、
図4、
図5は織物生地3の織組織を示す拡大図であり、4,4・・・はタテ糸、5,5・・・はヨコ糸をそれぞれ表している。織物生地3はそれぞれのタテ糸4とヨコ糸5が交互に交差して織製され、所定の生地と成っている。
図2に示す織物生地3は、織製された直後の状態を表している生地であり、1cm
2当たり10本程度の長い竹毛羽2,2・・・が毛羽立っている。その為に、該織物生地3をこのまま縫製して衣類として着用するならば、チクチク感を生じる。
【0020】
図3に示す織物生地3は、織製した後に毛焼きとシルケット加工処理を施したもので、チクチク感は若干存在している。該生地の表面には毛焼きで焦げた残材が多少あるが、尖っている竹毛羽2,2・・・は殆ど存在していない。ただし、小さい竹毛羽2,2・・・は若干残っている。
図4に示す織物生地3は、織製した後にバイオ加工処理を施した生地であり、その為にチクチク感はない。尖っている竹毛羽2,2・・・は存在していない。また、小さい竹毛羽2,2・・・もなく、表面は平坦で奇麗な状態を呈している。
【0021】
図5に示す織物生地3は、織製した後に毛焼き、晒、シルケット加工処理を施したもので、チクチク感はない。尖っている竹毛羽2,2・・・は存在せず、全体的にしなやかで柔らかく成っている。
ところで、織物生地3の表面に存在する無数の竹毛羽2,2・・・が除去されることで、チクチク感のない生地となるが、その為に本発明では2次加工として織編みした生地の後処理が施される。
【0022】
2次加工の具体例として、例えば、
A.毛焼→精錬→晒→シルケット加工→染色加工→柔軟加工→巾出→防縮加工
をすることが出来る。
又は、
B.シルケット加工→リラックス→バイオ加工→染色加工→ダンブラー加工
→柔軟加工→巾出→防縮加工をすることが出来る。
【0023】
(1)毛焼
糸もしくは生地の表面に毛羽立っている繊維の毛羽を焼くことでその表面を平滑にする目的で行われる加工法の一つである。
毛焼きとしてポピュラーな方法は、ガス焼き、鉄板毛焼き、電熱毛焼きがあり、ガス焼きは、ガスの炎の中に糸や織物を高速で通して焼く方法である。例えば、火炎距離:30~100mm、加工速度30~100m/min、火炎温度:1000~1200℃
また、鉄板毛焼きは、加熱した銅板の上で糸や織物を移動させて毛羽を焼く方法。 電熱焼きとは、ニクロム線に織物を接触させて焼く方法。 上記のような方法で毛焼きをおこなうと、しなやかで美しい生地に仕上がり、竹毛羽の数は減少する。
【0024】
(2)精錬
繊維製品は通常,染色準備工程,染色,仕上げの工程を経るが,精練は準備工程の一つで,染色や仕上げの作業に支障を与えたり、製品の仕上がりを害する要因を取り除く目的で行われる。繊維に付着している脂肪質,質,油剤,ペクチン質,のり剤などを除去する工程で,のり抜きなども精練に含めることもある。繊維の種類により異なるが,一般的にはアルカリ水溶液に精練時間を短縮する目的で適当な界面活性剤を加え,繊維とともに加熱する方法がとられる。
【0025】
(3)晒
織物や糸から不純物をとりのぞき漂白する工程、また、漂白された糸でできた織物。現代では過酸化水素水や晒粉を用いて化学的に色素を抜く手法がとられるが、積雪と日光を用いた「雪晒」(ゆきざらし)、天日と水を用いた「野晒」「天日晒」などの伝統もある。そのままでは染色に適さない木綿や麻に対して行われる。「さらし」のみで晒木綿を指す場合もある。
白色(自然な白色)に仕上げる場合と、下晒し(シタザラシ)と言って、より鮮明な色に仕上げるために、染め前布生地をより白く漂白する場合がある。
【0026】
(4)シルケット加工
綿糸、綿布などに張力をかけて、濃度のあるカ性ソーダ液で処理し、表面を滑らかにして絹のような(シルキーsilky)光沢を加える加工をいう。生地はやや硬くなるが、触感が与えられ、染料の吸着もよくなる。この加工をまたマーセライズmercerized加工ともいう。また、この加工を施した糸・綿布を、単にシルケットと呼ぶことがある。
【0027】
(5)タンブラー加工
染色をしたあとの生地をタンブラー機で乾燥して仕上げていくもので、そのため、加工をすることにより生地のサイズが変わってしまうことはなく、しかしふっくらしたボリューム感の仕上がりが叶う。
一方でエアタン加工と呼ばれるのはエアータンブラー加工の略である。空気の高い圧の力をかけることにより繊維をもみほぐして、綿本来の持つ柔らかい風合いを呼び戻し、自然なふっくらとした生地に仕上げる。
【0028】
(6)バイオ加工
繊維の風合いを柔らかくする目的で、セルラーゼ酵素を使用してセルロースを分解して数パーセントの減量(糸をやせさせる)する加工である。セルロースの分解のレベルをもっと下げて、生地表面の毛羽のみを酵素に食べさせることで、毛羽の少ない光沢のある生地を作る目的で使用することも出来る。
温度は45~60℃、時間は30~60分としている。
【0029】
上記2次加工はあくまでも具体例に過ぎない。2次加工は織編み生地の表面に形成される竹毛羽2,2・・・を除去することが出来、また、竹毛羽2,2・・・を柔らかくする効果もある。その為に、衣類として着用した場合、又は布団のシーツとして使用した際に、肌に接してもチクチク感を生じない。又は少なくともチクチク感は抑制されて気にならなくなる。
【0030】
本発明に係る織編み生地は、竹繊維を含有し混紡糸を使用していることで、竹本来の持つ抗菌作用など、特に黄色ブドウ球菌などに対しては、その抗菌作用が特に顕著である。さらに、洗濯による抗菌性、消臭性の低下は殆どなく、抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用を求める布製品には特に有用である。洗濯を10回した後であっても上記抗酸化作用、抗菌作用、消臭作用は持続する。勿論、竹繊維を含有した混紡糸は強度的にも優れ、織編みした生地は丈夫である。
【0031】
本発明に係る織編み生地を使用して抗菌性試験を行った。
[試験方法]
JISL1902:2015 菌液吸収法
生菌数の測定方法:混釈平板培養法、培養時間:18時間
境界活性剤(Tween80)0.05を添加した試験菌液を使用した。
[試験菌株]
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus NBRC 12732
[洗濯方法]
(一社)繊維評価技術協議会「SEKマーク繊維製品の洗濯方法」-標準洗濯法
[試験結果]
(1)洗濯 0回の試料 抗菌活性値 5.8
(2)洗濯10回の試料 抗菌活性値 6.0
このように、本発明に係る織編み生地は、洗濯を10回した後であっても上記抗菌作用は持続することが判明した。
【0032】
本発明の織編み生地は、上記試験結果に示すように優れた抗菌性を有しているが、放電機能に関しても優れた効果を備えている
本発明に係る生地である織物を綿と毛によって擦り、この時発生する摩擦帯電圧が放電する時間をテストした。
A.綿を「たて方向」と「よこ方向」に擦って発生する摩擦帯電圧は、140Vと60Vである。
B.毛を「たて方向」と「よこ方向」に擦って発生する摩擦帯電圧は470Vと480Vである。
ところで、テスト結果、摩擦帯電圧が半減する時間は1.0秒未満であることが判明した。
[テスト方法]
半減期:JIS L 1094 A法 半減期測定法
試験室の温湿度:20℃×40%RH
摩擦帯電圧:JIS L 1094 B法 摩擦帯電圧測定法
摩擦布:綿・毛
試験室の温湿度:20℃×40%RH
【0033】
このように、本発明の織編み生地は、発生した摩擦帯電圧を瞬時に放電することが出来る。今日の社会では、着用している衣類が帯電していると悪影響を及ぼす作業は多い。例えば、電子機器の損傷や誤動作がある。最近のICなどの半導体素子は、小型化、高集積化した構造と成っている為に配線間の距離が小さい。特に、ゲート酸化膜にごく薄い二酸化シリコンなどが使用されている場合、これが静電気放電によって壊れ、その結果、コンピュータの誤作動や、ロボットの暴走などが発生する虞がある。
【符号の説明】
【0034】
1 混紡糸
2 竹毛羽
3 織物生地
4 タテ糸
5 ヨコ糸