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特開2022-60620荷物積み込み装置および荷物積み込み方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060620
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】荷物積み込み装置および荷物積み込み方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/02 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
B65G67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168174
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000137960
【氏名又は名称】株式会社メイキコウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島津 敏治
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰明
(72)【発明者】
【氏名】茂谷 和弘
(72)【発明者】
【氏名】内田 弘治
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076BA05
3F076CA03
3F076CA05
3F076CA07
3F076DA02
3F076DB11
3F076GA10
(57)【要約】
【課題】大型トラックの荷室に荷物を積み込む荷物積み込み装置の有用性を高める。
【解決手段】荷室2の開口3の長さLと高さHと、荷室2の奥行きDを検知する荷室測長機構50を備える。荷室測長機構50は、一体で昇降する上下の距離センサ53,54を有する。距離センサ53,54からの信号に基づいて、開口3の前縁と後縁と天井6と床7の位置、及び荷室2の奥行きDが演算処理機で算出される。これにより、荷物の積み込み作業、荷降ろし作業を迅速かつ精確に行うことができる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室の開口を経て、前記荷室に荷物を積み込む荷物積み込み装置であって、
前記荷室の前記開口の長さと高さと、前記荷室の奥行きを検知する荷室測長機構を備えた荷物積み込み装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷物積み込み装置であって、
前記荷室測長機構は、距離センサと、前記距離センサからの信号に基づいて、前記開口の前縁と後縁と天井と床の位置、及び前記荷室の奥行きを算出する演算処理機を有する荷物積み込み装置。
【請求項3】
請求項2記載の荷物積み込み装置であって、
前記演算処理機は、前記算出した前記前縁と前記後縁と前記天井と前記床の位置、及び前記荷室の奥行きに基づいて、前記荷物を積み込む荷室上の位置を算出する演算機構を有する荷物積み込み装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の荷物積み込み装置であって、
前記荷室測長機構は、前記距離センサを前記荷室の前記開口に沿って水平移動させて前記距離センサを前記開口の前記前縁と前記後縁の位置に対応する位置へ移動させるセンサ水平移動機構を有し、
前記演算処理機は、前記距離センサからの前記信号と、前記信号を受信した際の前記センサ水平移動機構の位置に基づいて前記荷室の前記開口の長さを算出する荷物積み込み装置。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項記載の荷物積み込み装置であって、
前記荷室測長機構は、前記距離センサを上下方向に移動させて前記距離センサを前記荷室の前記天井と前記床の位置に対応する位置へ移動させるセンサ昇降機構を有し、
前記演算処理機は、前記距離センサからの前記信号と、前記信号を受信した際の前記センサ昇降機構の位置に基づいて前記荷室の前記開口の高さを算出する荷物積み込み装置。
【請求項6】
請求項5記載の荷物積み込み装置であって、
前記演算処理機は、前記距離センサからの前記信号と、前記信号を受信した際の前記センサ昇降機構の位置に基づいて前記荷室の前記床の高さを算出し、
前記床の高さが想定高さ範囲を超えている場合に前記荷室測長機構が報知信号を発する荷物積み込み装置。
【請求項7】
請求項2記載の荷物積み込み装置であって、
前記荷室測長機構は、前記距離センサにより前記荷室の前記前縁と前記後縁との間の位置において、前記荷室の奥面までの距離を測長することにより前記荷室の前記奥行きを算出する荷物積み込み装置。
【請求項8】
車両の荷室の開口を経て、前記荷室に荷物を積み込む荷物積み込み方法であって、
距離センサによる測長によって前記開口の前縁の位置を検知するステップと、
前記距離センサによる測長によって前記開口の後縁の位置を検知するステップと、
前記距離センサによる測長によって前記開口の天井の位置を検知するステップと、
前記距離センサによる測長によって前記開口の床の位置を検知するステップと、
前記距離センサによる測長によって前記荷室の奥面までの距離を検知するステップと、
前記検知された前記開口の前記前縁と前記後縁と前記天井と前記床の位置、及び前記荷室の奥面までの距離に基づいて、前記荷物を積み込む荷室上の位置を算出するステップと、
前記算出された前記荷室上の位置に基づいて、前記荷物を積み込むリフト機構の動作を制御するステップと、
を有する荷物積み込み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば段ボール箱等の荷物をパレットに搭載した状態でトラック等の車両の荷台に積み込み若しくは荷台から荷降ろしする積み込み装置および荷物積み込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パレット上に載置した荷物(パレット荷)をトラックの荷台若しくは荷室に積み込む場合、作業者がフォークリフトを運転して積み込み作業がなされる。これでは、人手と時間が掛かってコスト高となる。パレット荷の積み込み作業を自動化する積み込み装置が下記の特許文献に開示されている。特許文献1には、パレット荷をすくい上げるフォークに取り付けた検出器により検知される荷台の最前端位置と最後端位置を測定する。詳しくは、荷台の最前端位置のXY座標と最後端位置のXY座標を測定し、これらXY座標に基づいてトラック荷台の傾きを検出する。そしてトラック荷台の傾きと一致するように2本のフォークを水平方向に旋回させるように旋回軸が積み込み装置に設けられている。特許文献2には、フォークですく上げたパレット荷を既に荷室に積み込んだパレット荷に対して幅寄せして積み込むようにした積み込み装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-244982号公報
【特許文献2】特開2020-40771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の積み込み装置についても種々改良を加える必要があった。例えば、特許文献1に開示された積み込み装置では、荷台の水平方向の傾きが検知されるものの、荷物を積み込むための開口の位置、大きさあるいは奥行きについての確認が十分ではなかった。また、特許文献2に開示された積み込み装置では、荷物の初回移載がティーチングにより実行されるものの、荷室開口の位置等については十分に確認されていなかった。このため、従来の積み込み装置では迅速に荷積みを行うことが困難であった。そのため迅速に荷積みを行うことができる積み込み装置が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、荷物積み込み装置は、車両の荷室の開口を経て、荷室に荷物を積み込む荷物積み込み装置である。荷物積み込み装置は、荷室の開口の長さと高さと、荷室の奥行きを検知する荷室測長機構を備える。なお、左右方向と前後方向は、車両の向きに限定されない。例えば車両が荷物積み込み装置の左右いずれかに停車された場合、車両の長手方向が前後方向であって、左右いずれの開口から荷物が積まれても良い。あるいは車両の長手方向が左右方向であって、後の開口から荷物が積まれても良い。
【0006】
従って、荷室測長機構により開口の大きさと荷室の奥行きが検知されて、荷物の積み込み作業の効率化が図られる。
【0007】
本開示の他の特徴によると、荷室測長機構は、距離センサと演算処理機を有する。距離センサからの信号に基づいて、演算処理機により開口の前縁と後縁と天井と床の位置、及び荷室の奥行きが算出される。従って、開口の大きさ及び荷室の奥行きが迅速かつ精確に検知される。
【0008】
本開示の他の特徴によると、演算処理機は、算出した前縁と後縁と天井と床の位置、及び荷室の奥行きに基づいて、荷物を積み込む荷室上の位置を算出する演算機構を有する。従って、演算機構により荷物を積み込む荷室上の位置が精確に算出されて、積み込み作業の迅速化が図られる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、荷室測長機構は、距離センサを荷室の開口に沿って水平移動させて距離センサを開口の前縁と後縁の位置に対応する位置へ移動させるセンサ水平移動機構を有する。演算処理機は、距離センサからの信号と、信号を受信した際のセンサ水平移動機構の位置に基づいて荷室の開口の長さを算出する。従って、センサ水平移動機構により距離センサが水平移動されて、開口の前縁と後縁の位置が算出される。前縁と後縁の位置に基づいて開口の前後方向の長さが算出される。
【0010】
本開示の他の特徴によると、荷室測長機構は、距離センサを上下方向に移動させて距離センサを荷室の天井と床の位置に対応する位置へ移動させるセンサ昇降機構を有する。演算処理機は、距離センサからの信号と、信号を受信した際のセンサ昇降機構の位置に基づいて荷室の開口の高さを算出する。従って、センサ昇降機構により距離センサが昇降移動されて、天井と床の位置が算出される。天井と床の位置に基づいて開口の高さが算出される。
【0011】
本開示の他の特徴によると、演算処理機は、距離センサからの信号と、信号を受信した際のセンサ昇降機構の位置に基づいて荷室の床の路面からの高さを算出する。車両が停止されたトラックエリアの路面からの床の高さが想定高さ範囲を超えている場合に荷室測長機構が信号を発する。従って、荷室の床(荷台)が路面から例えば900~1300ミリメートルの高さ範囲に存在していることを確認できる。これにより、荷積み作業の対象であるトラックであるか否かを確認できる。あるいはトラックの荷室開口がウイング等によって閉じられたままか否かを確認できる。そして荷室の床(荷台)が想定範囲でないと確認した場合、あるいは荷室開口が閉じられていると確認した場合には、荷室測長機構が報知信号を発する。これにより、例えば想定外のトラックに荷積み作業を間違って行うことを避けることができる。あるいは荷室開口を閉じた状態で荷積み作業を間違って行うことを避けることができる。その結果、フォークが間違ってトラックに当たることを防止できる。
【0012】
本開示の他の特徴によると、距離センサにより荷室の前縁と後縁との間の位置において、荷室の奥面までの距離を測長することにより荷室の奥行きを算出する。従って、距離センサが荷室の前縁と後縁との間の位置に移動して、荷室の奥面までの距離を測長することにより荷室の奥行きが算出される。
【0013】
本開示の他の特徴によると、車両の荷室の開口を経て、荷室に荷物を積み込む荷物積み込み方法である。荷物積み込み方法は、以下のステップを有する。距離センサによる測長によって開口の前縁の位置を検知するステップ(前縁測長ステップ)。距離センサによる測長によって開口の後縁の位置を検知するステップ(後縁測長ステップ)。距離センサによる測長によって開口の天井の位置を検知するステップ(天井測長ステップ)。
【0014】
距離センサによる測長によって開口の床の位置を検知するステップ(床測長ステップ)。距離センサによる測長によって荷室の奥面までの距離を検知するステップ(奥行測長ステップ)。以上の各ステップにより検知された開口の前縁と後縁と天井と床の位置、及び荷室の奥面までの距離に基づいて、荷物を積み込む荷室上の位置を算出するステップ(荷積み位置算出ステップ)と、算出された荷室上の位置に基づいて、荷物を積み込むリフト機構の動作を制御するステップ(リフト動作制御ステップ)。
【0015】
従って、開口の位置と大きさ(長さと高さ)が検知されて、荷室上の荷物の積み込み位置が演算される。演算された積み込み位置に基づいてリフト機構の動作制御がなされる。これにより、荷物の積み込み作業の迅速化及び効率化が図られる。前縁測長ステップ、後縁測長ステップ、天井測長ステップ、床測長ステップ及び奥行測長ステップの実行順番は適宜変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る搬送装置の全体平面図である。
図2図1中矢印II方向から見た搬送装置の一部後面図である。
図3】リフト機構と車両の後面図である。
図4】リフト機構の平面図である。
図5】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、供給コンベアが待機位置に位置する状態を示している。
図6】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、供給コンベア上に荷物が搬送された状態を示している。
図7】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、供給コンベアが供給位置に移動した状態を示している。
図8】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、リフト部が移動して供給コンベアから荷物が移載された状態を示している。
図9】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、リフト部が移動して移載された荷物を仮置き台に置いた状態を示している。
図10】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、供給コンベアが待機位置に戻された状態を示している。
図11】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、2つ目の荷物がリフト部に移載された状態を示している。
図12】供給機構とリフト機構の平面図である。本図は、2つの荷物がリフト部に移載され、供給コンベアが待機位置に戻された状態を示している。
図13】荷室測長機構を後方から見た図である。
図14】車両と荷室測長機構を右側方から見た図である。
図15】車両と荷室測長機構を上方から見た平面図である。
図16】開口の後縁に対する距離センサの移動状態を上方から見た平面図である。
図17】荷室に対する荷室測長機構の前方への移動状態を右側方から見た図である。
図18】荷室に対する荷室測長機構の上下方向への移動状態を右側方から見た図である。
図19】開口の前縁付近における荷室測長機構の上下方向への移動状態を右側方から見た図である。
図20】荷室測長機構が荷室の前壁部に対して後方から前方へ通過した状態を右側方から見た図である。
図21】搬送装置の制御に関する各機器のブロック図である。
図22】リフト部が仮置き台と供給機構から荷物を持ち上げる状態を後方から見た図である。
図23】リフト部が荷台の床面の上方領域に移動した状態を後方から見た図である。
図24】リフト部が荷台の床面に荷物を置いた状態を後方から見た図である。
図25】リフト部が荷台に荷物を積み込むフローチャートを示す図である。
図26】水平方向に傾斜している車両と搬送装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図1図26に基づいて説明する。図1図14に示すように車両1は、例えばサイドウイング形の大型トラックである。車両1は、荷室2の右側面に荷物を積み込み、若しくは荷降ろしするための開口3を備えている。開口3は、天井を中心に上下に回転する図示省略のウイングによって開閉される。以下の説明において前後、左右及び上下の各方向については、車両1を基準とした方向を利用する。
【0018】
図14に示すように荷室2の開口3は、前壁部4と後壁部5と天井6と荷台(床)7との間に形成されている。荷室2の前壁部4の後面が開口3の前縁に相当し、荷室2の後壁部5の前面が開口3の後縁に相当する。開口3の奥に左側壁部8が位置する。
【0019】
図1に示すように車両1は、上側のトラックエリアTに停止される。車両1は、キャビン1aを前方(図面の右側)に位置させた状態でトラックエリアTに停止されている。トラックエリアTに対して境界Eを境にして図示下側に装置エリアPが設定されている。装置エリアPに以下説明する荷物積み込み装置10が設置されている。荷物積み込み装置10により、荷物Wが順次荷室2内に積み込まれる。なお、荷物積み込み装置10は、積み込み作業とは概ね逆に動作させることで、荷室2内の荷物Wを下ろす場合にも適用できる。図2に示すように本実施形態では、荷物積み込み装置10が設置された装置エリアPの装置設置面Qは、トラックエリアTの路面Rと同一面とされている。
【0020】
図1に示すように荷物積み込み装置10は、リフト機構100と、供給機構20と、主移動機構40を備えている。リフト機構100は、荷物Wを昇降させるリフト部120を有している。供給機構20は、荷物Wをリフト部120に供給する。なお、荷下ろしの場合は供給機構20がリフト部120から荷物Wを受け取る。
【0021】
図1に示すようにリフト機構100と供給機構20は、主移動機構40のリフト基台41に搭載されている。主移動機構40によりリフト機構100と供給機構20が車両1の荷室2に沿って前後方向に一体で移動する。主移動機構40は、車両1の荷室2に沿って前後に敷設した2本のレール42を備えている。2本のレール42を介してリフト基台41が車両1の荷室2(開口3)に沿って前後に移動可能に支持されている。図1図3に示すように主移動機構40は、リフト基台41を2本のレール42に沿って移動させるための駆動機構43を備えている。駆動機構43には、電動モータ44とラックピニオン機構45が用いられている。
【0022】
図3に示すようにリフト機構100は、上下2段階のスライド機構101,102を介してリフト基台41上に支持されたリフト部120を備えている。上下のスライド機構101,102は、それぞれ一対のスライドレールと駆動機構を備えている。下側スライド機構101の駆動機構には、電動モータとボールねじ機構が用いられている。上側スライド機構102の駆動機構には、電動モータとラックピニオン機構が用いられている。下段側のスライド機構101を介して下スライド台103がリフト基台41上に左右方向(荷室2の開口3に接近離間する方向)にスライド可能に支持されている。
【0023】
図3に示すようにリフト基台41の左端部には、一対のローラ105が設けられている。図3中二点鎖線で示すように下スライド台103が荷室2の開口3に接近する側にスライドされると、下スライド台103の左端部が一対のローラ105で下方から受けられる。下スライド台103が開口3に接近する側にスライドして荷物Wが開口3を経て荷室2内に進入された段階で、下スライド台103(リフト部120の自重)がローラ105で受けられることにより、荷物Wの下方への変位(リフト部120の撓み)が発生しないようになっている。ローラ105には、下スライド台103のスムーズなスライドが確保されるようローラ体が用いられている。
【0024】
図3に示すように下スライド台103上に上段側のスライド機構102を介して上スライド台104が同じく左右にスライド可能に支持されている。上スライド台104は、下スライド台103から上方へ起立する状態に設けられている。上スライド台104は、下スライド台103がローラ105で受けられた状態で、下スライド台103の左端部よりも荷台7に向けて左方へ突出して移動できる。上スライド台104の右側部に、昇降機構106を介して昇降台107が昇降可能に支持されている。図4に示すように上スライド台104と昇降台107との間に、電動モータとボールねじ機構を有する電動シリンダ形の昇降駆動部108が介装されている。昇降駆動部108を駆動源として昇降台107が昇降される。
【0025】
図3に示すように昇降台107の左側部に、傾動フレーム109が支持されている。傾動フレーム109は、下部に設けた傾動支軸110を介して昇降台107に対して上下方向に傾動可能に支持されている。傾動フレーム109と昇降台107との間に、電動モータとボールねじ機構を有する電動シリンダ形の傾斜駆動機構111が介装されている。傾斜駆動機構111により傾動フレーム109が傾動支軸110を中心にして上下方向に傾動する。本開示において傾斜駆動機構111は、チルト機構とも称する。
【0026】
図3図4に示すように傾動フレーム109に、2本のフォーク121が支持されている。傾動フレーム109が傾斜駆動機構111によって傾動することで、フォーク121が傾動フレーム109とともに上下に傾動する。2本のフォーク121は、それぞれ傾動支軸110を介して一定の角度範囲で上下に自由傾動可能な状態で傾動フレーム109に支持されている。フォーク121の下方への傾動範囲はストッパ121dにより概ね水平位置に規制されている。ストッパ121dによる水平位置での規制により荷物Wの重量が受けられる。フォーク121は水平位置から上方へ傾動許容されており、フォーク121が下方から力を受けることで上方へ一定角度範囲で逃げる。
【0027】
図4図22に示すように2本のフォーク121は、それぞれパレット11のフォーク挿入孔11aに差し込み可能な長尺平板形を有して、相互に平行に支持されている。2本のフォーク121の右端部は、上方へL字形に屈曲されている。上方へ屈曲するフォークマスト121aを介してフォーク水平部121bが左方へ概ね水平に延在される状態で当該フォーク121が傾動フレーム109に支持されている。
【0028】
図22に示すようにフォークマスト121aの上部には、傾動フレーム109に対するフォークマスト121aの傾動を検知する検知センサ121cが設けられている。フォーク121が下方から力を受けて、時計回りに回転すると、フォークマスト121aが右方に傾動する。検知センサ121cは、フォークマスト121aが右方に所定以上の傾斜角度で傾動していることを検知すると信号を発信する。信号に応じて例えば荷物積み込み装置10に備えられた警報装置が作動する。例えばランプが点灯、あるいはブザーが警告音を鳴らす。これによりフォーク121が荷台7や前壁部4等と不用意に接触していることを警報装置が使用者に知らせる。検知センサ121cに代わる検知センサを、例えばフォーク水平部121bに設けても良い。検知センサは、例えば歪みゲージ等を利用してフォーク水平部121bが下方から受ける力や衝撃を検知しても良い。あるいは検知センサは、例えばフォーク水平部121bが下方から力を受ける際のフォーク水平部121bの振動を検知しても良い。
【0029】
図3図4に示すように2本のフォーク121は、2つの荷物Wを左右に隣接させた状態で保持可能な長さを有する。図22に示すように2本のフォーク121のフォーク水平部121bの下面には、第1距離センサ121eと第2距離センサ121fが設けられている。第1距離センサ121eと第2距離センサ121fは、例えば下方へ向けて光(赤外線、レーザー光等)を照射し、反射した光を受信することで床面に対するフォーク水平部121bの下面の高さを測定する。第1距離センサ121eは、フォーク水平部121bの先端領域(左方領域)に設けられている。第2距離センサ121fは、フォーク水平部121bの基端領域(右方領域)に設けられている。好ましくは、フォーク121が比較的薄い先端部分を避けた領域に第1距離センサ121eと第2距離センサ121fが設けられている。第1距離センサ121eと第2距離センサ121fは、パレット11の下部によって覆われていない場所に位置し、換言するとパレット11の開口を通して下方に光を照射できる位置に位置する。第1距離センサ121eと第2距離センサ121fは、フォーク水平部121bが2つのパレット11を左右横並びで保持した状態で、開口を介してパレット11の下方にレーザー光を照射できる。
【0030】
図21に示すように荷物積み込み装置10は、リフト機構100の動作を制御する制御部116を有している。制御部116は、荷台7の床面の傾斜角度を算出する(床面)傾斜角度演算機116aと、フォーク121の移動を制御するフォーク移動制御機116bと、メモリ116cを有している。傾斜角度演算機116aとフォーク移動制御機116bは、例えばメモリ116cに記憶されたプログラム等のソフトウェアである。メモリ116cには、第1距離センサ121eと第2距離センサ121fの左右方向の距離が予め記憶されている。またメモリ116cは、リフト機構100がリフト部120を上下方向または左右方向に移動させる移動量や、傾斜駆動機構111がフォーク121を傾動させる際の傾動角度等を記憶できる。
【0031】
傾斜角度演算機116aは、フォーク水平部121bの下面に対する荷台7の傾斜角度を算出する。傾斜角度演算機116aは、第1距離センサ121eと第2距離センサ121fと電気的に接続されている。荷台7の傾斜角度は、第1、第2距離センサ121e,121fがそれぞれ取得した高さのデータと、メモリ116cに記憶された第1、第2距離センサ121e,121fの距離と、三角関数に基づいて算出される。傾斜角度を算出する算出プログラムは、不揮発性のメモリに記憶されている。
【0032】
フォーク移動制御機116bは、昇降機構106、上側スライド機構102、下側スライド機構101、傾斜駆動機構111と電気的に接続されている。フォーク移動制御機116bは、傾斜角度演算機116aが算出した荷台7の傾斜角度と、メモリ116cに記憶されたデータ等に基づいて指令信号を発信する。フォーク移動制御機116bが発信する指令信号によって、昇降機構106、上側スライド機構102、下側スライド機構101、傾斜駆動機構111が適宜駆動する。
【0033】
図5図12に示すように供給機構20は、上流側の待機コンベア21と下流側の供給コンベア22を有している。図では示されていないが待機コンベア21は搬送方向(トラックエリアTに接近する方向)の両側にチェーンコンベア機構21aを備えている。チェーンコンベア機構21aは、電動モータを駆動源として有する。チェーンコンベア機構21aの間に多数の搬送ローラが並列配置されている。
【0034】
図5図7に示すように待機コンベア21は、リフト機構100の後方においてリフト機構100と略平行に配置されている。荷物Wの荷室2への積み込み作業時には、搬送方向上流側(図1において右側)から搬入された荷物Wは左方へ搬送される。待機コンベア21上には複数個の荷物Wを待機させることができる。待機された荷物Wは1つずつ供給コンベア22上に移載される。
【0035】
図6図8に示すように供給コンベア22は、待機コンベア21の下流側(荷室2側)の待機位置と、待機位置から前方へ変位した供給位置との間を移動可能に設けられている。供給コンベア22の待機位置は、待機コンベア21との間で荷物Wの受け渡しがスムーズになされる程度に接近した位置に設定されている。供給コンベア22は供給位置に移動するリフト機構100の左方に位置する。供給位置は、供給コンベア22とリフト機構100との間で荷物Wの受け渡しが可能なる位置に設定されている。供給コンベア22の移動は、一対のスライドレール22aとスライド駆動機構22bによりなされる。スライド駆動機構22bには、電動モータとラックピニオン機構が用いられている。供給コンベア22の待機位置と供給位置及び荷物Wの有無は、それぞれ図示省略したセンサにより検知される。
【0036】
図2に示すように待機コンベア21の搬送方向両側(前後両側)に沿って柵23が設けられている。また、供給コンベア22の前後両側にも柵24が設けられている。柵23,24はそれぞれ上方へ高く延在されている。パレット11上に例えば比較的大形の段ボール箱を2段積みした荷物Wに対して柵23,24によりその荷崩れが防止される。
【0037】
図21に示すように制御部116は、供給機構20の動作を制御する供給コンベア移動制御機116d、待機コンベア駆動制御機116e、リフト基台移動制御機116fを有している。待機コンベア駆動制御機116eは、スライド駆動機構22bの駆動を制御する指令信号を発信して供給コンベア22を前後方向に移動または停止させる。待機コンベア駆動制御機116eは、チェーンコンベア機構21aの駆動を制御する指令信号を発信する。リフト基台移動制御機116fは、主移動機構40の駆動を制御する指令信号を発信してリフト基台41を前後方向に移動または停止させる。供給コンベア移動制御機116d、待機コンベア駆動制御機116e、リフト基台移動制御機116fは、例えばメモリ116cに記憶されたプログラム等のソフトウェアである。
【0038】
(投入機構60の構造)
図1に示すように装置エリアPには、投入機構60が併設されている。投入機構60は、主移動機構40の移動領域に対して車両1の反対側の領域に設置されている。投入機構60により供給機構20の待機コンベア21に荷物Wが投入される。また、荷下ろし作業では、逆に待機コンベア21から荷物Wが投入機構60に投出される。
【0039】
図1に示すように投入機構60は、待機コンベア21に荷物Wを投入し、又は待機コンベア21から荷物Wを投出される投入コンベア61と、投入コンベア61を主移動機構40の移動領域の端縁に沿って移動させる投入移動機構62を有する。投入移動機構62は、主移動機構40に沿ってほぼ同じ領域にわたって敷設されている。投入移動機構62は、一対のレール63と、投入駆動機構を備えている。図では示されていないが、投入駆動機構は、主移動機構40の駆動機構を同じく電動モータとラックピニオン機構を備えている。投入駆動機構により投入コンベア61がレール63に沿って前方及び後方に移動される。
【0040】
図1に示すように投入コンベア61は、待機コンベア21と同じく一対のチェーンコンベア機構を有する。チェーンコンベア機構は、電動モータを駆動源として有する。チェーンコンベア機構の間に多数の搬送ローラが並列配置されている。図1中二点鎖線で示すように投入コンベア61は、主移動機構40により水平移動した待機コンベア21の右側方に移動される。これにより投入コンベア61上に搬入された荷物Wが待機コンベア21に投入される。
【0041】
図1に示すように投入コンベア61上への荷物Wの搬入は、待機コンベア21の位置によらず、何れの位置でも行うことができる。投入コンベア61の投入移動機構62による水平移動は、待機コンベア21の主移動機構40による水平移動とは独立してなされる。投入移動機構62による任意の位置で投入コンベア61に荷物Wが投入され、その後、投入移動機構62により投入コンベア61が水平移動されて、待機コンベア21の右側方に位置される。待機コンベア21の右側方に位置された状態で、チェーンコンベア機構が作動して荷物Wが待機コンベア21上に投入される。
【0042】
図3に示すようにリフト機構100の昇降台107の上部には、赤外線センサ122が設置されている。赤外線センサ122によって、2本のフォーク121で保持した2つの荷物Wの荷姿(パレット11に搭載した荷物の位置ずれや荷崩れ)が認識される。これにより荷物Wを確実に移載できる。また、荷室2内に積み込んだ状態においても、荷物Wの荷姿を赤外線センサ122によって確認できる。これにより荷室2内の荷崩れを感知できる。
【0043】
(荷室測長機構50の構造)
図1に示すようにリフト基台41上には、リフト機構100と供給機構20に加えて、荷室測長機構50が備えられている。図13図14に示すように荷室測長機構50により、荷室2の開口3の大きさ(前後方向の長さLと高さH)と、荷室2の奥行きDが検知される。荷室測長機構50は、リフト基台41の前部の左側角部付近に配置されている。
【0044】
図13,21に示すように荷室測長機構50は、リフト基台41に設置された支持柱51と、支持柱51に対して上下に昇降する昇降柱52を備えている。支持柱51は、上方へ起立する状態に固定されている。昇降柱52は、その長手方向を支持柱51に沿わせた姿勢で支持されている。支持柱51に対して昇降柱52は昇降駆動機構56を介して支持されている。昇降駆動機構56には、電動モータとボールねじ機構が用いられている。
【0045】
昇降駆動機構56は、制御部116に設けられた昇降柱制御機116gの指令信号に基づいて昇降柱52を昇降させる。
【0046】
図13図17に示すように昇降柱52の上部に上側距離センサ53が取り付けられ、下側に下側距離センサ54が取り付けられている。上側距離センサ53と下側距離センサ54は、荷室2の開口3の高さHと同等程度の間隔(本実施形態では、約2200ミリメートルに設定されている。)を置いて取り付けられている。より詳しくは、上側距離センサ53と下側距離センサ54は、開口3の高さHよりも短い間隔で配置されており、両センサ53,54を開口3の高さ内に同時に位置させることができる。本実施形態では、上下の距離センサ53,54にレーザー光式の距離センサが用いられている。昇降柱52の昇降動作により、上下の距離センサ53,54が同時に同じ方向へ同じ距離hだけ昇降する。
【0047】
昇降柱52の初期位置は、上側距離センサ53が天井6の高さより低い位置で、下側距離センサ54が床7の路面Rからの高さよりも低い位置に設定されている。本実施形態では、昇降柱52の初期位置は、下側距離センサ54が路面Rから750ミリメートルの高さ位置となるように設定されている。荷室2のセンシング段階では、昇降柱52は初期位置よりも上方の領域で昇降動される。具体的には下側距離センサ54の昇降範囲は、車両1が停止された路面Rから荷室2の荷台7(床)があるとする想定範囲、例えば900~1300ミリメートル、あるいは想定範囲を含む範囲、例えば800~1400ミリメートルに設定されている。これにより荷台7(床)が路面Rから900~1300ミリメートルの高さ範囲に存在していることを確認できる。下側距離センサ54の下降端位置は、リフト部120の下降端位置に一致するように設定されている。
【0048】
換言すると、リフト部120(フォーク121)は、想定される車両の荷台7(床)の高さに対応するように昇降機構106によって昇降される。例えば、車両1が大型トラックの場合、通常路面Rから約800ミリメートル以上の高さに床(荷台)が位置する。そのためリフト部120(フォーク121)は、昇降機構106によって路面Rから少なくとも800ミリメートル以上の領域で昇降される。荷室2の荷台7(床)が想定範囲内に位置していないと荷室測長機構50が認識すると、荷室測長機構50が警告灯や警告ブザーなどの警報装置に信号を発する。警報装置は、光や音などの警報を発する。同時に積み込み準備作業が一旦停止される。
【0049】
(荷室測長機構50の動き)
上下の距離センサ53,54から荷室2に向けてレーザー光が照射されて、荷室2に関する各種の距離データ(信号)が得られる。
【0050】
図13~20に示すように荷室測長機構50は、上下の距離センサ53,54を荷室2の開口3に沿って水平移動させて距離センサ53,54を開口3の前縁(前壁部4)と後縁(後壁部5)の位置に対応する位置へ移動させるセンサ水平移動機構を有する。本実施形態では、荷室測長機構50を設置したリフト基台41を移動させる主移動機構40がセンサ水平移動機構に相当する。
【0051】
図13に示すように荷室測長機構50は、上下の距離センサ53,54を上下方向に移動させて距離センサ53,54を荷室2の天井6と荷台7の位置に対応する位置へ移動させるセンサ昇降機構を有する。本実施形態では、荷室測長機構50における昇降柱52の昇降駆動機構56がセンサ昇降機構に相当する。
【0052】
図13に示すように荷室測長機構50は、距離センサ53,54からの信号の大きな変化に基づいて、開口3の前縁(前壁部4)と後縁(後壁部5)と天井6と床(荷台7)の位置、及び荷室2の奥行きを算出する演算処理機55を有する。演算処理機55は、制御部116に設けられる。演算処理機55は、例えばメモリ116cに記憶されたプログラム等のソフトウェアである。
【0053】
以下、荷室測長機構50による荷室2の測長動作(測長ステップ)について説明する。先ず、図14に示すように荷室2の後方において昇降駆動機構56により昇降柱52が初期位置から測定開始位置に上昇される。これにより、上側距離センサ53が天井6より高い位置に移動され、下側距離センサ54が床7より高い位置に移動される。本実施形態では、この段階で下側距離センサ54が路面Rから約1400ミリメートルの高さに移動される。上下の距離センサ53,54を上昇させた状態で主移動機構40のリフト基台41が前方へ移動される。これにより荷室測長機構50が前方へゆっくりと水平移動される。
【0054】
図15図16に示すように距離センサ53,54(本実施形態では下側の距離センサ54)が荷室2の後壁部5に対して水平移動されることで、後壁部5の右側面に対してレーザー光が照射される段階から右側面から外れて荷室2の左側壁部8に対してレーザー光が照射される段階に移行する。後壁部5の右側面までの距離と荷室2の左側壁部8までの距離は大きく異なる。このため、レーザー光の照射対象が後壁部5の右側面から荷室2の左側壁部8へ移行する時点で、距離センサ54により得られる距離データ(信号)に不連続で大きな変動が発生する。
【0055】
図14図16に示すように下側距離センサ54により得られる信号の不連続且つ大きな変動により荷室2の後壁部5の位置が検知される(後縁測長ステップ)。
【0056】
図17図18に示すように荷室測長機構50は水平方向前方へ水平移動されて、荷室2の後壁部5を通過して荷室2の後壁部5を検知する。その後、荷室測長機構50はさらに水平方向に前方に所定距離を移動して(例えば図17に示す位置であって、比較的荷室2の後方寄りの位置まで移動して)後ろ寄り位置で停止する。所定距離は、例えば、予めメモリに記憶されている。後ろ寄り位置で昇降柱52が下降端(例えば初期高さ)まで下降される。これにより、上側距離センサ53が天井6よりも低い位置へ変位される。また、下側距離センサ54が荷台7(床)よりも低い位置(路面Rから800ミリメートルの高さ)に変位される。一旦下降端に変位した後、昇降柱52が上昇される。これにより、上側距離センサ53が天井6の右側面に対して下方から上方に変位されて、天井6の位置(高さ)が検知される。また、下側距離センサ54が荷台7の右側面に対して下方から上方に変位されて、荷台7の位置(高さ)が検知される(天井測長ステップと床測長ステップ)。天井6と荷台7についても、上下の距離センサ53,54により得られる信号の不連続かつ大きな変化に基づいてそれぞれの位置が検知される。
【0057】
荷台7(床)の高さ位置が検知されることで、車両1の荷台7が想定範囲内(900~1300ミリメートル)の高さに位置することが確認される。
【0058】
以上のように、荷室測長機構50が後壁部5を前方へ通過した位置で天井6と荷台7の一回目の検知がなされる。その後、主移動機構40の動作により荷室測長機構50が再び前方へ水平移動される。荷室測長機構50は、荷室2の後ろ寄りの位置から前寄りの位置に向けて予め設定された距離だけ水平移動し、前寄り位置で停止する。予め設定された距離は、想定する荷室2の前後方向長さよりも短い距離であり、例えば、予めメモリに記憶されている。図19に示すように前寄り位置で天井6と荷台7の二回目の検知がなされる。前寄り位置においても、昇降柱52が一旦下降端まで下降され、その後上昇される。これにより、上側距離センサ53が天井6の右側面に対して下方から上方に変位されて、天井6の位置(高さ)が検知される。また、下側距離センサ54が荷台7の右側面に対して下方から上方に変位されて、床7の位置(高さ)が検知される。
【0059】
このように荷室2の後ろ寄りの位置と前寄りの位置の2箇所において、距離センサ53,54を下方から上方へ変位させる段階で天井6と荷台7が検知される。この点、距離センサ53,54を天井6と荷台7に対して上方から下方に変位させる段階で検知してもよい。従って、距離センサ53,54を後ろ寄りの位置から前寄りの位置に水平移動させる段階で、距離センサ53,54を天井6及び荷台7に対して下方に位置させた状態のまま水平移動させ、あるいは距離センサ53,54を天井6及び荷台7に対して上方に位置させたまま水平移動させる構成の何れであってもよい。これにより、距離センサ53,54の上下動距離を少なくして迅速な開口センシングを実現できる。
【0060】
また、荷室測長機構50を荷室2の後ろ寄りの位置から前寄りの位置に水平移動させる段階で、荷室測長機構50を一旦荷室2の前壁部4を後方から前方へ通過させ、その後後方へ戻して前寄りの位置に停止させる構成とすることができる。この場合、荷室測長機構50により前壁部4が検知された後に、前寄りの位置において天井6と荷台7の高さ位置が検知される。係る構成によれば、荷室2の前壁部4に対して荷室測長機構50を前寄り位置に精確に停止させることができる。
【0061】
図13図14に示すように演算処理機55により、上下の距離センサ53,54からの信号により検知される天井6と荷台7の位置と、信号を受信した際の昇降柱52の上下方向の位置に基づいて荷室2の開口3の高さHが算出される。上記のように開口3の前後2箇所で、天井6と荷台7の高さ位置が検知されることで、荷室2及び開口3の前後方向の傾きが検知される。
【0062】
次に、図20に示すように荷室測長機構50が主移動機構40による水平移動して、前壁部4を通過する段階で、下側距離センサ54により前壁部4の位置が検知される(前縁測長ステップ)。前壁部4についても上記後壁部5と同様、下側距離センサ54により得られる距離データ(信号)の不連続で大きな変動に基づいて前壁部4の位置が検知される。
【0063】
図14図16に示すように下側距離センサ54により得られる信号の不連続且つ大きな変動により荷室2の前壁部4の位置と後壁部5の位置が検知される。演算処理機55により、距離センサ53,54からの信号により検知される前壁部4と後壁部5の位置と、信号を受信した際の主移動機構40の移動距離(荷室測長機構50の前後方向の位置)に基づいて荷室2の開口3の前後方向の長さLが算出される(演算ステップ)。
【0064】
また図14図16に示すように、演算処理機55により、開口3の前縁と後縁に対応する縁位置における距離センサ54からの信号と、開口3に対向する位置(前縁と後縁の間の開口位置)における距離センサ54からの信号に基づいて荷室2の奥行きDが算出される(奥行測長ステップ)。開口3に対向する位置は、上記前壁部4若しくは後壁部5の位置が検知される段階で検知される左側壁部8(奥面)に相当する。従って、荷室2の奥行きDは、開口3から左側壁部8までの距離に相当する。
【0065】
図14に示すように開口3(前壁部4、後壁部5、天井6、荷台7)までの距離及び位置、開口3の大きさ(長さL、高さH)及び荷室2の奥行きDが荷室測長機構50により精確に検知されることで、リフト機構100のリフト部120による荷物Wの積み込み作業が迅速かつ精確になされる。リフト機構100による荷物Wの積み込み作業が続行される間適宜タイミングで、荷室測長機構50による開口3の位置の検知が繰り返される。これにより積み込まれた荷物Wの重量増大により発生する特に荷台7の変位(沈み込み)に対応してリフト部120の動作制御がなされる。
【0066】
(荷物Wの積込み位置の算出)
図1に示すように荷室2には、パレット11が左右2列に積み込まれ、各パレット11に例えば複数個の荷物が載置される。以下、1個または複数個の荷物を載置した1つのパレット11を1つの荷物Wとして説明する(荷積み位置算出ステップ)。
【0067】
図1図14図21を参照するように荷台7に荷物Wを積み込む位置は、荷室測長機構50の検知信号に基づいて演算処理機55で算出される。荷室測長機構50で検知した前壁部4および後壁部5の前後方向の位置、荷台7の床面の高さ、奥行きD等は、メモリ116cに記憶される。荷物Wの積込み位置は、荷台7の左右方向の中心線Sと、前後方向の基準線U1、U2、U3・・・に基づいて算出される。
【0068】
図1図14図21を参照するように荷台7の左右方向の中心線Sは、メモリ116cに記憶された奥行きDに基づいて演算処理機55によって算出される。具体的には、先ず荷室2の前方において前壁部4若しくは荷台7の右端(手前側端)と左側壁部8(奥面)との距離を奥行きDとして算出する。荷室2の後方において後壁部5若しくは荷台7の右端(手前側端)と左側壁部8(奥面)との距離を奥行きDとして算出する。荷室2の前方において算出した奥行きDの左右方向の中間点と、荷室2の後方において算出した奥行きDの左右方向の中間点とを結ぶことで中心線Sを算出する。
【0069】
図1図21を参照するように演算処理機55は、前壁部4の前後方向の位置に基づいて前壁部4の後端から所定の間隔で基準線U1、U2、U3・・・の前後方向の位置を算出する。基準線U1は、荷物Wの前後方向の長さの半分の長さと所定の間隔k1を合計した距離で前壁部4の後端から後方に離間する。基準線U2は、荷物Wの前後方向の長さと所定の間隔k2を合計した距離で基準線U1から後方に離間する。基準線U3は、荷物Wの前後方向の長さと所定の間隔k2を合計した距離を基準線U2で後方に離間する。間隔k1,k2は、荷物Wまたはパレット11の前後方向のサイズに応じた既定値でメモリ116cに記憶されている。なお各基準線U1,U2,U3・・・は、前壁部4の後端を基準に算出するだけでなく、後壁部5の後端から前方に向けて所定の間隔で算出しても良い(リフト動作制御ステップ)。
【0070】
図1を参照するようにフォーク121は、中心線Sと各基準線U1、U2、U3・・・の各交点を積込み位置として移動される。荷物積み込み装置10は、フォーク121の中間位置Cを中心線Sと各基準線U1、U2、U3・・・の各交点に合わせるようにフォーク121を移動させる。なおフォーク121の中間位置Cは、フォーク121が保持した2つの荷物Wの前後方向および左右方向の中間位置を示す(図4参照)。これによりフォーク121に保持された2つの荷物Wは、中心線Sに対して左右対称に荷台7に載置される。最初に積込まれる2つの荷物Wは、前壁部4の後端に対して前後方向に間隔k1を有して載置される。前後方向に隣り合った荷物Wは、互いに前後方向に間隔k2を有して載置される。
【0071】
(投入機構60による荷物Wの投入)
図1に示すように投入コンベア61上への荷物Wの搬入は、待機コンベア21の位置によらず、何れの位置でも行うことができる。投入コンベア61の投入移動機構62による水平移動は、待機コンベア21の主移動機構40による水平移動とは独立してなされる。投入移動機構62による任意の位置で投入コンベア61に荷物Wが投入され、その後、投入移動機構62により投入コンベア61が水平移動されて、待機コンベア21の右側方に位置される。待機コンベア21の右側方に位置された状態で、チェーンコンベア機構が作動して荷物Wが待機コンベア21上に投入される。
【0072】
(供給機構20の動き)
図5,6を参照するように供給コンベア22が待機位置に移動すると、投入機構60から待機コンベア21の搬送上流側に1つの荷物Wが搬入される。待機コンベア21上に搬入された荷物Wは供給コンベア22に向けて搬送される。
【0073】
図6に示すように1つ目の荷物Wが供給コンベア22上に搬送される。その後、待機コンベア21上には複数個(図6では2個)の荷物Wが搬入される。供給コンベア22上に1つ目の荷物Wが搬入された時点で、待機コンベア21の搬送駆動が一旦停止されて、搬入された複数個の荷物Wが待機される。
【0074】
図6,7に示すように供給コンベア22上に1つ目の荷物Wが搬入されると、供給コンベア22が供給位置に向けて前方へスライドされる。供給コンベア22が供給位置にスライドされて、リフト部120の左方に位置される。こうして1つ目の荷物Wが供給位置に供給されるまでの間、リフト機構100の上下二段のスライド機構101,102はスライド後退端に保持される。従ってリフト部120は右方の後退端位置に退避された状態とされる。
【0075】
図21を参照するようにスライド駆動機構22bは、制御部116に設けられた供給コンベア移動制御機116dからの指令信号に基づいて駆動する。供給コンベア移動制御機116dは、リフト機構100の動作と供給コンベア22の動作が互いに好適になるように、フォーク移動制御機116bの指令信号に基づいて指令信号を発信する。
【0076】
(リフト機構100の動き)
図8に示すように1つ目の荷物Wが供給位置に至ると、上段側のスライド機構102が作動して上スライド台104が荷室2に接近する側にスライドする。これによりリフト部120が、供給コンベア22上の荷物Wに接近する。下段側のスライド機構101は停止状態が続行されて下スライド台103は右方の後退端位置に位置した状態とされる。また、昇降機構106と傾斜駆動機構111も停止状態とされ、リフト部120は下方の初期高さに保持され、かつフォーク121がほぼ水平位置に保持される。
【0077】
図22を参照するように第1、第2距離センサ121e,121fは、リフト基台41の上面からフォーク水平部121bの下面までの高さをそれぞれ検出する。フォーク121が初期高さに位置しかつ荷物Wを保持していない状態における高さのデータは、メモリ116c(図21参照)に記憶される。第1、第2距離センサ121e,121fによる初期高さの検出は、最初に供給される荷物Wをフォーク121が保持する前段階で1回のみ行われる。これに代えて、例えば1つ目の荷物Wが供給される前段階において毎回、初期高さを検出しても良い。
【0078】
図8に示すように上段側のスライド機構102の動作によりリフト部120が移動すると、2本のフォーク121がパレット11のフォーク挿入孔11aに差し込まれる(図22参照)。この段階では、2本のフォーク121の先端部側ほぼ半分の領域がフォーク挿入孔11aのほぼ全領域に至って差し込まれた状態とされる。この適切な差し込み量が確保されるようリフト部120のスライド量が適切に制御される。
【0079】
図8図9に示すように1つ目の荷物Wにフォーク121が適量差し込まれた状態とされた後、リフト部120が昇降機構106により上昇される(図3参照)。これにより1つ目の荷物Wが供給コンベア22上からリフトされる。リフトされた荷物Wはリフト部120のフォーク121に保持された状態で、リフト部120の右方への移動により供給コンベア22上から右方へ搬送される。
【0080】
図1図9図10に示すように供給コンベア22の供給位置の右方には、仮置き台115が設けられている。仮置き台115は、前方(図中の右側)に配置された前側仮置き台115aと、後方(図中の左側)に配置された後側仮置き台115bで構成されている。前側仮置き台115aと後側仮置き台115bの相互の間隔は、1つの荷物Wが跨って載置される間隔に設定されている。供給コンベア22上から右方へ搬送された1つ目の荷物Wは、リフト部120がスライド端まで後退され、且つ昇降機構106(図3参照)により下降端まで戻されることで、仮置き台115上に移載される。
【0081】
図10に示すように1つ目の荷物Wが仮置き台115に仮置きされた状態では、リフト部120の下降端位置が適切に制御されることで、2本のフォーク121がパレット11のフォーク挿入孔11aに対して浮いた状態(パレット11に接触しない状態)とされる(図22参照)。従って、仮置き台115の仮置き高さは、供給コンベア22の供給高さに一致している。
【0082】
図10に示すようにリフト部120がスライド端まで後退された後に、供給コンベア22が待機位置に戻される。これによりリフト部120に対する柵24の干渉が回避される。待機位置に戻された供給コンベア22に対して待機コンベア21から2つ目の荷物Wが搬送される。
【0083】
図10図11に示すように2つ目の荷物Wを受け取った供給コンベア22が再び供給位置に移動される。2つ目の荷物Wが供給位置に至ると、リフト部120が上側スライド機構102により再び左方へスライドされる。これにより図11に示すように2本のフォーク121が2つ目の荷物Wに向けて移動される。フォーク121の移動は、仮置き台115に仮置きされた1つ目の荷物Wのフォーク挿入孔11aに差し込まれた状態のままなされる。移動した2本のフォーク121の先端部側が2つ目の荷物Wのフォーク挿入孔11aに差し込まれる(図22参照)。
【0084】
図11に示すように左右方向に隣接された2つの荷物Wに対して2本のフォーク121が差し込まれた状態が確認されると、リフト部120が昇降機構106(図3参照)により上昇される。これにより、1つ目の荷物Wが仮置き台115から持ち上げられ、2つ目の荷物Wが供給コンベア22上から持ち上げられる(図25のステップ(以下、STと略記する)01)。
【0085】
図21,22に示すように第1、第2距離センサ121e,121fは、2つの荷物Wを持ち上げた際にリフト基台41の上面からフォーク水平部121bの下面までの高さを検出する(ST02)。傾斜角度演算機116aは、フォーク121のフォーク水平部121bの水平方向に対する傾斜角度を算出する。フォーク水平部121bの傾斜角度は、第1、第2距離センサ121e,121fにより検出された高さのデータと、メモリ116cに記憶された第1、第2距離センサ121e,121fの互いの距離に基づいて算出される(ST03)。傾斜駆動機構(チルト機構)111がフォーク121を傾動させる(ST04)。フォーク水平部121bは、先端(左端)が荷物Wの重量によって下方へ撓む。そのため傾斜駆動機構111は、フォーク水平部121bが略水平になるようにフォーク水平部121bの先端を上方へ傾動させる。
【0086】
図21,22に示すように傾斜角度演算機116aは、第1、第2距離センサ121e,121fの検知信号と、フォーク121の初期高さに基づいてフォーク水平部121bの傾動角度を算出する。フォークの初期高さは、荷物Wを保持していない段階において予めメモリ116cに記憶されている。フォーク水平部121bが水平である場合、フォーク水平部121bの補正角度を考慮した傾斜角度を初期角度とする。メモリ116cは、フォーク水平部121bが初期角度である時点におけるフォーク121の傾動角度を記憶する(ST05)。
【0087】
図12に示すように2つの荷物Wが持ち上げられると、リフト部120が一旦スライド後退端まで戻される。リフト部120が戻された状態で、供給コンベア22が待機位置に戻される。こうして2つの荷物Wが2本のフォーク121で保持された後、昇降機構106がリフト部120を荷台7の床面よりも高い位置まで上昇させる(ST06)。上側スライド機構102と下側スライド機構101が協働して左方へスライドしてリフト部120を、開口3を経て荷台7の床面の上方領域(積込み位置)に移動させる(ST08、図3参照)。また、主移動機構40を動作させることにより、リフト機構100と供給機構20が一体となって積み込み位置に向けて前後方向に移動する。
【0088】
図21,23を参照するようにリフト部120が荷台7の床面の上方領域に移動した際、第1、第2距離センサ121e,121fが荷台7の床面からの高さを検出する(ST08)。荷台7の床面までの高さをメモリ116cに記憶する。傾斜角度演算機116aは、第1、第2距離センサ121e,121fの検知信号に基づいて荷台7の床面の傾斜角度を算出する(ST09)。傾斜駆動機構111は、床面の傾斜角度に基づいてフォーク水平部121bが荷台7の床面と平行になるようにフォーク121を傾動させる(ST10)。
【0089】
図21,23を参照するように昇降機構106は、メモリ116cに記憶した荷台7の床面までの高さに基づいてリフト部120を下降させる(ST11)。まずパレット11が荷台7の床面に載置される(ST12)。さらに昇降機構106は、フォーク水平部121bがフォーク挿入孔11aの略高さ中心に位置するまでリフト部120を下降させる(ST13、図3図24参照)。フォーク水平部121bは、リフト部120を下降させて荷物Wが荷台7に載せられることにより荷物Wの重量から開放される。これにより撓んでいたフォーク水平部121bの先端側が上方へ傾動する。
【0090】
図21,24を参照するように傾斜駆動機構111は、ST05においてメモリ116cに記憶された傾動角度に基づいてフォーク水平部121bを傾動させる(ST14)。傾斜駆動機構111は、ST05においてメモリ116cに記憶された傾動角度と同じ大きさでフォーク水平部121bの先端を下方へ傾動させる。これによりフォーク水平部121bが荷台7の床面と略平行になる(ST15)。上側スライド機構102と下側スライド機構101と昇降機構106は、協働してリフト部120を接近離間方向後方(右方)または上下方向に昇降させる。第1、第2距離センサ121e,121fの検知信号に基づいて、荷台7の床面に対するフォーク水平部121bの下面の高さが略一定になるようにリフト部120を概ね右方へ移動させる。これによりフォーク水平部121bがフォーク挿入孔11aの上面と下面に当たらないようにフォーク挿入孔11aから抜くことができる(ST16)。かくしてフォーク水平部121bがフォーク挿入孔11aから抜かれる(ST17)。これによりリフト部120が荷台7の上方領域から退避される。
【0091】
図21図24を参照するように、第1、第2距離センサ121e,121fを用いることなくフォーク水平部121bをフォーク挿入孔11aから抜いても良い。フォーク移動制御機116bは、メモリ116cに記憶された荷台7の床面の傾斜角度に基づいて上側スライド機構102と下側スライド機構101と昇降機構106に指令信号を送る。上側スライド機構102と下側スライド機構101と昇降機構106は、協働して床面角度のフォーク水平部121bを荷台7の床面と平行に移動させる。これによりセンシングをすることなく、フォーク水平部121bを荷台7の床面と平行に移動させることができる。そのためフォーク水平部121bをフォーク挿入孔11aから迅速に抜くことができる。
【0092】
図1では、荷室2の水平方向の傾きがほぼ発生していない正常位置に車両1が停止された状態が示されている。この正常位置では、開口3が主移動機構40による移動方向に対して概ね平行に位置する状態となる。一方、図26に示すように荷室2が主移動機構40の移動する前後方向に対して水平方向に傾斜した姿勢で車両1が停止される場合がある。
【0093】
図18,19,21を参照するように演算処理機55により、前縁位置における上下の距離センサ53,54からの信号と、後縁位置における上下の距離センサ53,54からの信号と、前縁位置と後縁位置の水平距離に基づいて荷室2の水平方向の傾きが算出される。荷室2の水平方向の傾きは、開口3及び荷台7の水平方向の傾きに相当する。演算処理機55は、メモリ116cに予め記憶された許容値と荷室2の水平方向の傾きを比較する。荷室2の水平方向の傾きが予め規定した許容値を超える場合には、演算処理機55が警告灯や警告ブザー等の報知手段に信号を発信する。信号を受信した報知手段が警告を発し、車両1の停車位置の修正が運転者に指示される。
【0094】
図21図26を参照するように荷室2が許容値の範囲内で水平方向に傾斜している場合、前後に隣り合う荷物Wを左右方向に互いにずらして配置する。荷物Wの積込み位置は、中心線Sと基準線U1、U2、U3・・・に基づいて算出される。演算処理機55は、車両1が正常位置に停止された場合と同様に奥行きDを算出する。具体的には、荷室2の前方と後方において奥行きDをそれぞれ算出する。荷室2の前方において算出した奥行きDの左右方向の中間点と、荷室2の後方において算出した奥行きDの左右方向の中間点とを結ぶことで中心線Sを算出する。このように算出された中心線Sは、正常位置に対して水平方向に傾いた荷室2の傾斜方向と平行に延出する。演算処理機55は、車両1が正常位置に停止された場合と同様に基準線U1、U2、U3・・・を算出する。すなわち演算処理機55は、前壁部4の後端と中心線Sとの交点から後方に向けて所定の間隔で基準線U1、U2、U3・・・の前後方向の位置を算出する。
【0095】
図21図26を参照するように荷物積み込み装置10は、フォーク121の中間位置Cを中心線Sと各基準線U1、U2、U3・・・の各交点に合わせるようにフォーク121を移動させる。これにより最初に積込まれる2つの荷物Wは、前壁部4の後端中央に対して前後方向に間隔k1を有して載置される。前後方向に隣り合った荷物Wは、互いに前後方向に間隔k2を有して載置される。また前後方向に隣り合った荷物Wは、荷室2の水平方向の傾斜角度に基づいて左右方向に距離dだけ順にずれて載置される。かくして荷室2が正常位置に対して水平方向に傾いている場合でも荷物積み込み装置10を利用して荷物Wを略均等に荷台7に積込むことができる。
【0096】
以上のように構成した荷物積み込み装置10及び荷室2の測長方法によれば、荷室測長機構50により開口3の大きさ(長さLと高さH)と荷室2の奥行きDが検知されて、荷物Wの積み込み作業及び荷下ろし作業の効率化が図られる。上側距離センサ53と下側距離センサ54からの信号に基づいて、演算処理機55により開口3の前縁(前壁部4)と後縁(後壁部5)と天井6と床(荷台7)の位置、及び荷室2の奥行きDが算出される。これにより、開口3の大きさ及び荷室の奥行きDが迅速かつ精確に検知される。
【0097】
また、荷室測長機構50により、荷室2の水平方向(奥行方向)の傾きが精確に算出されて、荷物Wの積み込み及び荷降ろし作業が迅速かつ効率良くなされる。
【0098】
さらに、荷室測長機構50または傾斜角度演算機116aにより、荷台7の車幅方向の傾きが精確に算出されて、荷物Wの積み込み及び荷降ろし作業が迅速かつ効率良くなされる。
【0099】
また、例示した荷物積み込み装置10では、リフト機構100及び供給機構20が主移動機構40のリフト基台41に搭載されて一体で移動する。これにより、供給機構20からリフト機構100に荷物Wの供給が効率良くなされる。
【0100】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、荷室測長機構50の距離センサ(上側距離センサ53と下側距離センサ54)としてレーザー光式の距離センサを例示したが、超音波式あるいは光学式の距離センサを用いてもよい。
【0101】
また、上下2つの距離センサ53,54を備える構成を例示した。これに代えて1つの距離センサを水平移動させて開口3の前縁及び後縁の位置を検知し、上下に移動させて天井6と床7を検知する構成としてもよい。
【0102】
さらに、開口3の前縁と後縁が荷室2の前壁部4と後壁部5に一致する場合を例示した。これに代えて開口の前縁が荷室2の前壁部4よりも後方に位置し、後縁が荷室2の後壁部5よりも前方に位置して、開口3の長さLが前後壁部4,5間の距離よりも短い開口についても、例示した荷物積み込み装置10及び荷室測長機構50を適用することができる。
【0103】
また、荷物積み込み装置10及び荷室測長機構50は、車両の荷室2に荷物Wを積み込む場合に限らず、荷室2から荷物Wを下ろす場合にも適用することができる。
【0104】
さらに、右側部に開口3を有する荷室2に荷物Wを積み込む場合を例示した。これに代えて車両1を前後反対に停車させて荷室の左側部側の開口を経て荷物Wを積み込み、若しくは荷降ろしする場合についても例示した荷物積み込み装置10及び荷室測長機構50を適用することができる。あるいは車両1の後方の開口を経て荷物Wを積み込み、若しくは荷降ろしする場合についても例示した荷物積み込み装置10及び荷室測長機構50を適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
T…トラックエリア
R…路面
P…装置エリア
Q…装置設置面
E…境界
W…荷物
C…中間位置
S…(左右方向の)中心線
U1,U2,U3…(前後方向の)基準線
1…車両、1a…キャビン
2…荷室
3…開口
4…前壁部(前縁)
5…後壁部(後縁)
6…天井
7…荷台(床)
8…左側壁部
10…荷物積み込み装置
11…パレット、11a…フォーク挿入孔
20…供給機構
21…待機コンベア、21a…チェーンコンベア機構
22…供給コンベア、22a…スライドレール、22b…スライド駆動機構
23,24…柵
40…主移動機構
41…リフト基台
42…レール
43…駆動機構
44…電動モータ
45…ラックピニオン機構
50…荷室測長機構
51…支持柱
52…昇降柱
53…距離センサ(上側)
54…距離センサ(下側)
55…演算処理機
56…昇降駆動機構
60…投入機構
61…投入コンベア
62…投入移動機構
63…レール
100…リフト機構
101…下側スライド機構
102…上側スライド機構
103…下スライド台
104…上スライド台
105…ローラ
106…昇降機構
107…昇降台
108…昇降駆動部
109…傾動フレーム
110…傾動支軸
111…傾斜駆動機構(チルト機構)
115…仮置き台、115a…前側仮置き台、115b…後側仮置き台
116…制御部、116a…(床面)傾斜角度演算機、116b…フォーク移動制御機
116c…メモリ、116d…供給コンベア移動制御機
116e…待機コンベア駆動制御機、116f…リフト基台移動制御機
116g…昇降柱制御機
120…リフト部
121…フォーク
121a…フォークマスト、121b…フォーク水平部
121c…検知センサ、121d…ストッパ
121e…第1距離センサ、121f…第2距離センサ
122…赤外線センサ
図1
図2
図3
図4
図5
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