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  • 特開-食品包装用容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060626
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】食品包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/26 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
B65D1/26 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168181
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000157887
【氏名又は名称】KISCO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】冨上 資治
(72)【発明者】
【氏名】大石 哲史
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA13
3E033CA20
3E033DC10
3E033EA06
3E033GA03
(57)【要約】
【課題】容体の強度を維持しつつ十分に軽量化が図れ、また、スプーンで中身をきれいに取り出すことができ、更に、インモールドラベルによる加飾が可能な食品包装用容器を提供することを課題とする。
【解決手段】有底容体2から成る樹脂製の食品包装用容器1であって、容体2はその周側面全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブ4を多数有していて、縦リブ4間が薄肉部5とされ、縦リブ4の縦方向両側は、薄肉部5に向かって緩やかな曲面を呈している。縦リブ4の厚みは、薄肉部5の厚みの1.2~5倍であり、また、縦リブ4の幅は、前記薄肉部の幅の12分の1~2分の1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底容体から成る樹脂製の食品包装用容器であって、
前記容体はその周側面全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブを適宜間隔置きに多数有していて、前記縦リブ間が薄肉部とされ、前記縦リブの縦方向両側は、前記薄肉部に向かって緩やかな曲面を呈していることを特徴とする食品包装用容器。
【請求項2】
前記縦リブの厚みは、前記薄肉部の厚みの1.2~5倍である、請求項1に記載の食品包装用容器。
【請求項3】
前記縦リブの幅は、前記薄肉部の幅の12分の1~2分の1である、請求項1又は2に記載の食品包装用容器。
【請求項4】
前記縦リブと交錯する環状リブが1又は複数形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載の食品包装用容器。
【請求項5】
前記容体の上端部が環状の厚肉帯とされている、請求項1乃至4のいずれかに記載の食品包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用容器に関するものであり、より詳細には、主に飲料やヨーグルト、ゼリー等の半固形物、流動物等の包装用容器で、軽量化を企図した食品包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記用途の容器の多くは樹脂成形品であるが、その軽量化のために、容体の内周面又は外周面に、成形時における樹脂の流れに沿った縦リブを形成し、この縦リブ間を薄肉化する方法が採られている。また、外周面にラベルを被装するために、通例、雌型の内側面に予め絵柄や文字を印刷したラベルを密着配置し、雌型内に雄型を挿入して型閉じし、射出成形を行うことで、食品包装用容器の外表面にラベルを被着するインモールド成形法が用いられている。
【0003】
このインモールド成形法は、最終成形品が円錐台形状や円筒形状のような、周側面が凹凸のない曲面である場合には特に問題はないが、軽量化のために外周面に縦リブを設ける場合は、縦リブの両側に隙間ができてラベルが成形品の外表面に密着しにくく、しわ寄り等が起きやすくなるため、シュリンクラベルに限定されるという制約を伴う。そのために縦リブは、一般に容体の内周面に設けられる。そして、縦リブは、溶融樹脂の流動性のよさを確保するために平断面形状が矩形状に形成される(特許第5458432号公報、特許第4754183号公報、特開2013-256311号公報等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5458432号公報
【特許文献2】特許第4754183号公報
【特許文献3】特開2013-256311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、容体の軽量化のために容体の肉厚を減らす場合、その補強のために縦リブが設けられるが、その縦リブは、平断面形状が矩形状にされて容体の内周面に形成されることが多い。しかるに、縦リブには角があるために、縦リブの側部に沿ってスプーンを滑らせることが難しく、中身をきれいに取り出すことができないという問題がある。また、縦リブを容体の外周面に形成してインモールド成形する場合は、縦リブの両側に隙間ができてラベルが成形品の外表面に密着しにくく、しわ寄り等が起きやすくなるため、シュリンクラベルに限定されるという制約を伴う。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、樹脂の流動性と容体の強度維持を確保しつつ十分に軽量化が図れ、また、スプーンで中身をきれいに取り出すことができ、更に、インモールドラベルによる加飾が可能な食品包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、有底容体から成る樹脂製の食品包装用容器であって、
前記容体はその周側面全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブを多数有していて、前記縦リブ間が薄肉部とされ、前記縦リブの縦方向両側は、前記薄肉部に向かって緩やかな曲面を呈していることを特徴とする食品包装用容器である。
【0008】
一実施形態においては、前記縦リブの厚みは、前記薄肉部の厚みの1.2~5倍である。また、一実施形態においては、前記縦リブの幅は、前記薄肉部の幅の12分の1~2分の1である。
【0009】
一実施形態においては、前記縦リブと交錯する環状リブが1又は複数形成される。更に、一実施形態においては、前記容体の上端部が環状の厚肉帯とされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る食品包装用容器は上記のとおりであって、容体の周側面全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブを適宜間隔置きに多数有していて、縦リブ間が薄肉部とされた構成であるため、縦リブによって樹脂の流動性が十分に確保されると共に容体の強度が維持されて全体的に軽量化でき、また、縦リブの縦方向両側は、薄肉部に向かって緩やかな曲面を呈する構成で角がないため、スプーン先端を容体の内周面に沿ってスムーズに滑らせることができるので、中身を無駄なく取り出すことができ、更に、インモールド成形による加飾も可能という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る食品包装用容器の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1におけるA-A線断面図である。
図3図2におけるB-B線端面図である。
図4図3におけるC-C部拡大図である。
図5】本発明に係る食品包装用容器の他の実施形態を示す部分破断正面図である。
図6図5におけるD-D線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明に係る食品包装用容器1は、樹脂製の有底容体2から成るもので、容体2には、その上面にシール蓋7を被着するためのフランジ3が形成されると共に、適宜底上げした底部6が形成される。容体2の周側面にはその全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブ4が適宜間隔置きに多数形成され、縦リブ4間が薄肉部5とされる。
【0013】
縦リブ4の縦方向両側は、薄肉部5に向かって緩やかな曲面を呈するように成形される。従って、縦リブ4の両側に角ができない(図1,2においては、便宜上縦リブ4を示す縦線が示されている。)。例えば、縦リブ4の最大厚みt1は、縦リブ4間の薄肉部5の厚みt2の1.2~5倍とされる。また、縦リブ4の幅w1は、薄肉部5の幅w2の12分の1~2分の1とされる。縦リブ4をこのように形成することで、樹脂の流動性を確保でき、また、容器1全体の強度も確保できる。
【0014】
このような構成の本発明に係る食品包装用容器1の場合、内周面及び外周面には、薄肉部5により上下方向に伸びる窪みが形成されることになり、その分重量が減少する。そして、その窪みはごく浅いものであって、内周面の窪みに沿ってスプーンの先端をスムーズに滑らせることができ、ヨーグルト等の中身を取り出すのに支障はなく、また、外周面の窪みも、インモールド成形による加飾に支障を及ぼすものではない。更に、縦リブ4は、従来外周面又は内周面に設けられていた縦リブの高さを半分にして、外周面と内周面に分けたと考えることができるので、樹脂の流動性については縦リブ4部分において十分に確保することができる。
【0015】
上記のように薄肉部5を設けた場合、どうしても側胴部の剛性は落ちるので、中身の充填、殺菌処理等に伴い、容体2が減圧により凹んでしまうことも考えられる。そこで、図5に示す例のように、側胴部が長い場合や充填物が減圧しやすいものの場合は、縦リブ4と交錯する環状リブ8を1又は複数設けることとする。環状リブ8は、容体2の外側面にのみ又は内側面にのみ形成することとし、あるいは、縦リブ4同様に、外部及び内部に膨出するように形成する。図示した例では、外部及び内部に膨出するように形成されている(図6参照)。環状リブ8は、縦リブ4間の薄肉部5部分を環状に充填することになる。
【0016】
この実施形態の場合は、1又は複数の環状リブ8により容体2が補強されてその保形力が増すため、側胴部が長い場合や充填物が減圧しやすいものの場合においても、容体2に凹みが生ずるおそれがない。
【0017】
更に保形力を増すために、図5に示す実施形態のように、容体2の上端部に厚肉帯9を環状に形成するようにしてもよい。厚肉帯9は、環状リブ8と同様に、外側面にのみ又は内側面にのみ膨出するように形成し、あるいは、外部及び内部に膨出するように形成することができる。なお、図1~4に示す実施形態においては、縦リブ4及び薄肉部5は、フランジ3から底部6に至るまで形成されているが、この場合にも、容体2の上端部に厚肉帯9を環状に形成し、縦リブ4及び薄肉部5をその下側に形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係る食品包装用容器は上記のとおりであって、容体2の周側面全体に亘り、外方及び内方に膨出して縦に伸びる縦リブ4を適宜間隔置きに多数有していて、縦リブ4間が薄肉部5とされた構成であるため、縦リブ4部分において樹脂の流動性を確保することができ、また、容体2の強度維持機能も保持できて全体的軽量化が可能であり、また、縦リブ4の縦方向両側は、薄肉部に向かって緩やかな曲面を呈する構成であって角がないため、スプーン先端を内周面に沿ってスムーズに滑らせることができるので、中身を無駄なく取り出すことができ、更に、インモールド成形による加飾も可能という効果のあるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0019】
1 食品包装用容器
2 容体
3 フランジ
4 縦リブ
5 薄肉部
6 底部
7 シール蓋
8 環状リブ
9 厚肉帯
図1
図2
図3
図4
図5
図6