(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060645
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】収納機能付き手指カバー
(51)【国際特許分類】
A41D 19/015 20060101AFI20220408BHJP
A41D 13/08 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A41D19/015 610Z
A41D13/08 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168215
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】520386556
【氏名又は名称】▲浜▼本 法久
(74)【代理人】
【識別番号】100149696
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼本 法久
【テーマコード(参考)】
3B011
3B033
【Fターム(参考)】
3B011AA07
3B011AB01
3B011AC24
3B033AA06
3B033AA15
3B033AA32
3B033AB18
(57)【要約】
【課題】使用時に外側面に付着した汚れや臭い、病原体等が未使用時に他の物に付着するのを防ぐと共に、着脱し易い手指カバーを提供する。
【解決手段】収納機能付き手指カバーは、柔軟性を有しユーザの一本又は複数本の手指を少なくとも覆うよう形成された手指カバー部と、この手指カバー部における手指根元部から第一関節部までの間の少なくとも一部に設けられた形状保持リング部とを備えており、使用時には、少なくともユーザの手指を覆った状態で手指カバー部の外側面が露出しており、未使用時には、手指カバー部における形状保持リング部よりも指先側の第一指先部位が裏返らない状態で形状保持リング部が開口を形成することによりユーザの手指を容易に挿入可能としつつ、手指カバー部における第一指先部位とは異なる他の部位が裏返って当該外側面を覆うことにより当該外側面が露出しないように内側に収納される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有し、ユーザの一本又は複数本の手指を少なくとも覆うよう形成された手指カバー部と、
前記手指カバー部における手指根元部から第一関節部までの間の少なくとも一部に設けられており、ユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能な第一の形状保持リング部と、
を備え、
使用時には、少なくともユーザの手指を覆った状態で前記手指カバー部の外側面が露出しており、
未使用時には、前記手指カバー部における前記第一の形状保持リング部よりも指先側の第一指先部位が裏返らない状態で前記第一の形状保持リング部が開口を形成することによりユーザの手指を容易に挿入可能としつつ、前記手指カバー部における該第一指先部位とは異なる他の部位が裏返って前記外側面を覆うことにより該外側面が露出しないように内側に収納される、
収納機能付き手指カバー。
【請求項2】
ユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能な第二の形状保持リング部、
を更に備え、
前記手指カバー部は、親指を覆うよう形成された親指カバー部、親指を除く二以上の他の各指を覆うよう別設されている二以上の他指カバー部、及びユーザの手の平及び手の甲の各々の少なくとも一部を覆うよう形成された平甲カバー部を含み、
前記第一の形状保持リング部は、前記親指カバー部及び前記二以上の他指カバー部の手指根元部にそれぞれ設けられており、
前記第二の形状保持リング部は、前記平甲カバー部における手の平側の指尖球部から手の甲側の対応する部位にかけてリング状に設けられており、
前記第二の形状保持リング部は、外す際に前記二以上の他指カバー部の裏返りを抑止すると共に、外した後に、前記二以上の他指カバー部に設けられた前記第一の形状保持リング部により形状保持される二以上の開口にユーザの前記二以上の他の各指をまとめて容易に挿入可能とする大開口を形状保持する、
請求項1に記載の収納機能付き手指カバー。
【請求項3】
前記手指カバー部の基端部に設けられたファスナー部と、
前記手指カバー部における前記ファスナー部に隣接して設けられた第三の形状保持リング部と、
を更に備え、
前記ファスナー部は、外した後の前記手指カバー部の前記外側面が内側に収納された収納状態において該外側面にアクセス困難となるように閉鎖可能であり、
前記第三の形状保持リング部は、使用開始時に、前記収納状態において裏返らない状態で収容されている前記手指カバー部の前記第一指先部位にユーザが手指を挿入して外側に押し出し易くなるように開口を形状保持する、
請求項2に記載の収納機能付き手指カバー。
【請求項4】
前記第二の形状保持リング部は、前記第一の形状保持リング部よりも、幅広かつ高硬度に形成されている、
請求項2又は3に記載の収納機能付き手指カバー。
【請求項5】
前記第二の形状保持リング部は、前記第一の形状保持リング部及び前記第三の形状保持リング部よりも高硬度に形成されており、
前記第三の形状保持リング部は、前記第一の形状保持リング部及び前記第二の形状保持リング部よりも幅広に形成されている、
請求項3に記載の収納機能付き手指カバー。
【請求項6】
前記手指カバー部の前記手指根元部に設けられたファスナー部を更に備え、
前記手指カバー部は、ユーザの一本の手指のみを覆うよう形成されており、
前記第一の形状保持リング部は、前記手指カバー部における前記手指根元部と指先部との中間部から前記第一関節部までの間の少なくとも一部に設けられた弾性体であり、
前記ファスナー部は、板バネにより形成されている、
請求項1に記載の収納機能付き手指カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手又は手指に装着して使用する手指カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルス感染症の流行に伴い、手洗いやマスク着用といった基本的な感染症対策の重要性が見直されている。日常生活において、ドアノブ、手摺り、エレベータのボタン等の物品に触れる機会は多く、これら物品等を介して手に付着したウィルスや細菌等の病原体を体内に取り込んでしまうことで感染症に侵されてしまう。そこで、正しい手洗いによれば、物品等を介して手に付着した病原体を洗い流すことができる。しかし、外出時などではすぐに手が洗えないことが多く、直接触らないことが、感染予防のひとつである。
【0003】
下記特許文献1及び2には、上述のような接触感染を抑制し得るファスナー付き手袋が開示されている。これら手袋は、使用前においては、手の平形状をした第1袋体の外部を覆うように折返部から裏返状態で折返された第2袋体によって第1袋体が第2袋体内に密封状態で収容されており、使用時において、第2袋体を開封して第2袋体を反対方向に折返すことで、第1袋体と第2袋体とで手袋をなすものである。これによれば、使用時に手袋の外側面に付着した汚れや臭い、病原体等を内側に密封することができるため、未使用時に病原体や汚れ等を他の物に付着するのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3028307号
【特許文献2】実開平7-33928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の手袋では、着脱のし易さに課題が残る。例えば、使用後、手指を手袋から抜く際に、手指に貼り付いて手袋の指先のほうまで裏返ってしまう可能性がある。これでは、次に使用する際に手指を挿入することが難しくなる。仮に手袋の指先のほうまで裏返ることがなかったとしても、次回使用時の装着性はよくないと考えられる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、使用時に外側面に付着した汚れや臭い、病原体等が未使用時に他の物に付着するのを防ぐと共に、着脱し易い手指カバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、柔軟性を有し、ユーザの一本又は複数本の手指を少なくとも覆うように形成された手指カバー部と、この手指カバー部における手指根元部から第一関節部までの間の少なくとも一部に設けられており、ユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能な第一の形状保持リング部と、を備えており、使用時には、少なくともユーザの手指を覆った状態で手指カバー部の外側面が露出しており、未使用時には、手指カバー部における第一の形状保持リング部よりも指先側の第一指先部位が裏返らない状態で第一の形状保持リング部が開口を形成することによりユーザの手指を容易に挿入可能としつつ、手指カバー部における第一指先部位とは異なる他の部位が裏返って当該外側面を覆うことにより当該外側面が露出しないように内側に収納される収納機能付き手指カバーが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用時に外側面に付着した汚れや臭い、病原体等が未使用時に他の物に付着するのを防ぐと共に、着脱し易い手指カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る収納機能付き手指カバーの使用時(装着時)の手の平側の外観を示す図である。
【
図2】第一実施形態に係る収納機能付き手指カバーの未使用時(外した後)の外観を示す図である。
【
図3】第二実施形態に係る収納機能付き手指カバーの外観を示す図である。
【
図4】第三実施形態に係る収納機能付き手指カバーの外観を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る収納機能付き手指カバーの変形例の一部を示す図である。
【
図6】変形例に係る収納機能付き手指カバーの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0011】
各実施形態に係る収納機能付き手指カバー(以降、単に手指カバーと略称する場合もある)について、詳細を説明する前に、まずは概要を説明する。
ここで、各実施形態に係る手指カバーは、片手用であってもよいし、両手用であってよい。当該手指カバーが両手用である場合には、後述する手指カバー部の形状が左右の手の形状(手指の配置)に合わせて異なること以外、他の構成は同一であればよい。
そのため、以下の説明では、当該手指カバーの片手分の構成のみを説明することとする。
【0012】
各実施形態に係る手指カバーは、手指カバー部と形状保持リング部とを少なくとも有している。
手指カバー部は、柔軟性を有し、ユーザの一本又は複数本の手指を少なくとも覆うよう形成されている。
手指カバー部は、樹脂やゴム、繊維等のような柔軟性を有する素材で形成されていればよく、その具体的な素材は何ら限定されない。「柔軟性」には、伸縮性若しくは弾性のいずれか一方又は両方の特性が含まれていてもよい。但し、使用時に外側に露出する外側面に付着した汚れ、臭い或いは病原体が内側(裏側)に浸透しないような素材又は縫合手法が用いられることが好ましい。
【0013】
手指カバー部は、各実施形態で例示するように、一本の手指のみを覆うよう形成されていてもよいし、二本から五本の間の複数本の手指のみを覆うよう形成されていてもよいし、手指に加えて手の平の全部又は一部を覆うよう形成されていてもよい。複数本の手指を少なくとも覆う形態とされる場合には、手指カバー部は、複数本の手指をまとめて覆うよう形成されてもよいし、一本ずつ別々に覆うよう形成されてもよい。また、上述したとおり、手指カバー部は、片手分のみ設けられてもよいし、両手分設けられてもよい。
なお、後述する第一実施形態では五本指タイプの手指カバーが例示され、第二実施形態では三本指タイプの手指カバーが例示され、第三実施形態では一本指タイプの手指カバーが例示される。
【0014】
形状保持リング部は、手指カバー部における手指根元部から第一関節部までの間の少なくとも一部に設けられており、ユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能なリング状体である。形状保持リング部の形状は、手指カバー部内におけるユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能な形状を有していればよく、一連なりの完全な輪の形状を有していてもよいし、途中で切れた環形状を有していてもよいし、円環形状のみならず楕円等のようにくずれた円環形状を有していてもよい。
手指カバー部の手指根元部は、手指カバー部の形状における、ユーザの手指の根元に相当する部分であり、手指カバー部の第一関節部は、ユーザの手指の第一関節に相当する部分である。
形状保持リング部は、手指カバー部における手指根元部から第一関節部までの間の一部分を占める幅で形成されていてもよいし、その間の全部を占める幅で形成されてもよい。詳細は後述するが、形状保持リング部の幅は、装着時にユーザに違和感を与えない程度に設定されることが好ましい。
【0015】
形状保持リング部は、手指カバー部内の中空形状を保持する。形状保持リング部は、各実施形態で例示するように、弾性を有していてもよいし、弾性を有していなくてもよい。
ここで、形状保持リング部により保持される「中空形状」は、手指カバー部内の中空のうち、少なくともその形状保持リング部が設けられている周辺の中空形状を示す。また、「中空形状」の保持は、自重により押し潰されることを抑制或いは防止して中空形状を維持しようと作用することを意味する。
形状保持リング部は、手指カバー部内の中空形状を保持可能であればよく、例えば、手指カバー部における形状保持リング部が設けられている部位周辺の素材とは異なる素材であってプラスチック等のようなその素材よりも硬い素材で形成されてもよい。また、形状保持リング部は、手指カバー部と同一素材で形成され、当該中空形状を保持可能となるように周囲よりも厚みを持たせることで実現されてもよい。
【0016】
このような構成を有する当該手指カバーにおいて、使用(装着)時には、少なくともユーザの手指を覆った状態で手指カバー部の外側面が露出する。
一方で、未使用時(当該手指カバーを外した後)には、手指カバー部における第一の形状保持リング部よりも指先側の第一指先部位が裏返らない状態で形状保持リング部が開口を形成することによりユーザの手指を容易に挿入可能としつつ、手指カバー部におけるその第一指先部位とは異なる他の部位が裏返って当該外側面を覆うことによりその外側面が露出しないように内側に収納される。
ここで「形状保持リング部が開口を形成する」とは、手指カバー部の自重により開口が押し潰されることを抑制或いは防止してその開口を維持しようと作用することを意味する。
【0017】
これにより、各実施形態によれば、使用(装着)時には手指カバー部が覆うことでユーザの手に汚れや臭い等が付着するのを抑制することができると共に、外した後(未使用時)においても、汚れ等が付着した外側面が露出しないように内側に収容されるため、未使用時に汚れ等が他の物に付着することを防ぐことができる。
更に、外した後において手指カバー部の第一指先部位が裏返らない状態で形状保持リング部が開口を形成するため、再度使用する際に、ユーザは手指をその開口から挿入し易くなり、手指カバーを容易に装着することができる。更に、汚れ等が付着した外側面に触れずに衛生的に装着することができる。
従って、各実施形態によれば、使用時に外側面に付着した汚れや臭い、病原体等が未使用時に他の物に付着するのを防ぐと共に、着脱し易い手指カバーを実現することができる。
【0018】
以下、各実施形態に係る手指カバーについてより具体的に説明する。
[第一実施形態]
まずは、第一実施形態に係る手指カバーについて説明する。第一実施形態に係る手指カバーは、ユーザの手を全体的に覆う五本指タイプの手指カバーである。
図1は、第一実施形態に係る収納機能付き手指カバー1Aの使用時(装着時)の手の平側の外観を示す図である。
図1(a)は、手指カバー1Aの手の平側の外側面を示している。
第一実施形態に係る手指カバー1Aは、
図1(a)に示されるように、手指カバー部10、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23、基端リング部24、ファスナー部25等を備えている。
【0019】
第一実施形態では、手指カバー部10は、ユーザの手を全体的に覆うことができるような手袋形状を有している。手指カバー部10において、親指(母指)を覆うよう設けられている部位が親指カバー部11と表記され、親指を除く四本の手指をそれぞれ覆うよう別設されている部位が他指カバー部12と表記され、手の平及び手の甲を覆うよう設けられている部位が平甲カバー部13と表記される。
手指カバー部10は、柔軟性を有しており、その素材については概要として述べたとおりである。
【0020】
親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24は、手指カバー部10内の中空形状或いは裏返った際の開口を保持可能に形成されたリング状体であるため、形状保持リング部と表記することもできる。但し、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24の中には、幅、厚み、硬さ、作用等が異なるものもあるため、以下、各形状保持リング部についてそれぞれ詳述する。
【0021】
親指リング部21及び他指リング部22は、概要として述べた形状保持リング部(第一の形状保持リング部に相当)の一具体例であり、親指リング部21及び他指リング部22の形状についても形状保持リング部で述べたとおりである。
本実施形態では、親指リング部21は、親指カバー部11の手指根元部に設けられており、他指リング部22は、人差し指(示指)、中指、薬指(環指)及び小指をそれぞれカバー可能に別設された四つの他指カバー部12の手指根元部にそれぞれ設けられている。
【0022】
また、親指リング部21及び他指リング部22は、親指カバー部11及び他指カバー部12における親指リング部21又は他指リング部22が設けられている部位周辺の素材よりも硬い素材で形成されている。例えば、親指リング部21及び他指リング部22は、薄いプラスチックシートをリング状に繋げることで形成される。なお、親指リング部21及び他指リング部22の幅、厚み及び硬度の詳細については後述する。
【0023】
本実施形態では、親指リング部21及び他指リング部22は、親指カバー部11及び他指カバー部12の指周り外周面において更に外側から外側部材で被覆することで配設されている。この外側部材は、親指リング部21及び他指リング部22よりも柔軟性の高い素材で形成されていればよく、手指カバー部10と同一の素材で形成されていてもよいし、異なる素材で形成されていてもよい。
但し、親指リング部21及び他指リング部22の手指カバー部10への配設手法はこのような例に限定されない。例えば、親指リング部21及び他指リング部22は、上述の外側部材で被覆されずに親指カバー部11及び他指カバー部12の指周り外周面に接着剤等により貼着されてもよいし、親指カバー部11及び他指カバー部12の指周り内周面(中空空間の壁面)に配設されてもよい。また、親指リング部21及び他指リング部22は、親指カバー部11及び他指カバー部12よりも硬い素材(例えばプラスチック)の糸状体が親指カバー部11及び他指カバー部12に編み込まれることで形成されてもよい。
【0024】
指尖球リング部23は、ユーザの手指を挿入する中空形状を保持可能な第二の形状保持リング部に相当し、平甲カバー部13における手の平側の指尖球部から手の甲の対応する部位(握りこぶし周辺)にかけてリング状に設けられている。平甲カバー部13の指尖球部は、ユーザの手の平の指尖球に相当する部分である。
また、指尖球リング部23は、平甲カバー部13における指尖球リング部23が設けられている部位周辺の素材よりも硬い素材で形成されている。例えば、指尖球リング部23は、薄いプラスチックシートをリング状に繋げることで形成される。なお、指尖球リング部23の幅、厚み及び硬度の詳細については後述する。
また、指尖球リング部23の形状は、ユーザの手指を挿入する中空形状を保持することができればよく、概要として述べた形状保持リング部と同様である。
【0025】
本実施形態では、指尖球リング部23は、親指リング部21及び他指リング部22と同様に、平甲カバー部13の所定箇所で更に外側から外側部材で被覆することで配設されている。但し、指尖球リング部23の平甲カバー部13への配設手法はこのような例に限定されず、親指リング部21及び他指リング部22について述べたとおり各種の配設手法が利用可能である。
【0026】
基端リング部24は、後述するファスナー部25に隣接して設けられており、第三の形状保持リング部に相当する。基端リング部24は、
図1(a)に示されるように、平甲カバー部13におけるユーザの手首周辺を周回するようにリング状に設けられている。
また、基端リング部24は、平甲カバー部13における基端リング部24が設けられている部位周辺の素材よりも硬い素材で形成されている。例えば、基端リング部24は、薄いプラスチックシートをリング状に繋げることで形成される。なお、基端リング部24の幅、厚み及び硬度の詳細については後述する。
また、基端リング部24の形状は、平甲カバー部13における手首周辺の中空形状を保持することができればよく、概要として述べた形状保持リング部と同様である。
【0027】
親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24は、それらが配置されている周囲の素材よりも硬い素材で形成される例を示したが、そのような例に限定されない。形状保持リング部として上述したとおり、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24は、手指カバー部10と同一素材で形成され、内部の中空形状を保持可能となるように周囲よりも厚みを持たせることで実現されてもよい。
【0028】
本実施形態では、基端リング部24は、親指リング部21、他指リング部22及び指尖球リング部23と同様に、平甲カバー部13の手首周辺部に外側から外側部材で被覆することで配設されている。但し、基端リング部24の平甲カバー部13への配設手法はこのような例に限定されず、親指リング部21及び他指リング部22について述べたとおり各種の配設手法が利用可能である。
【0029】
ファスナー部25は、手指カバー部10の基端部(手首側端部)に設けられており、手指カバー部10の基端部が裏返された状態で基端部の開口を閉鎖可能に設けられている。即ち、ファスナー部25は、外した後の手指カバー部10の外側面10aが内側に収納された収納状態において外側面10aにアクセス困難となるように閉鎖可能である。
ファスナー部25は、手指カバー部10の基端部の開口を閉鎖可能であれば、線ファスナー、面ファスナー、スナップボタン、ばね口金具等、どのような形態で実現されてもよい。
【0030】
図1(b)は使用時の手指カバー1Aの手の平側の外観を示している。
本実施形態に係る手指カバー1Aは、
図1(a)に示される形態で使用されてもよいが、
図1(b)に示されるような形態で使用されることが好ましい。
図1(b)に示される形態では、手指カバー1Aは、平甲カバー部13における基端リング部24及びそれより基端側部位が裏返された状態で使用される。このため、平甲カバー部13における基端リング部24が設けられた部位の内側面10bが外側に露出した状態となっている。そして、外側に露出している内側面10bには目印(
図1(b)の例では星印)が付されている。この目印は、手指カバー1Aを外す際の把手であること、或いは使用時に内側面10bのうち外側に露出させておく部位であることを示す。
このような形態で使用することで、ユーザは、できるだけ外側面10aを触れることなく衛生的にかつ容易に手指カバー1Aを外すことができると共に、手指カバー1Aを
図2に示すような収容状態とすることができる。例えば、ユーザは、裏返された状態のファスナー部25或いは上記目印の部位を持ちながら指先方向(外す方向)に移動させることで、手指カバー1Aを
図2に示されるような収納状態としながら、手指カバー1Aからユーザの手指を抜くことができる。
【0031】
図2は、第一実施形態に係る収納機能付き手指カバー1Aの未使用時(外した後)の外観を示す図である。
図2は、手指カバー1Aの収納状態を示すと換言できる。
図2(a)には、未使用時の手指カバー1Aの手の平側から視た外観が示され、
図2(b)には、未使用時の手指カバー1Aの指先側から視た外観が示され、
図2(c)には、未使用時の手指カバー1Aの基端側から視た外観が示されている。
【0032】
図2に示されるように、未使用時には、手指カバー部10(親指カバー部11)における親指リング部21及びそれよりも指先側、及び手指カバー部10における指尖球リング部23及びそれよりも指先側(平甲カバー部13の一部及び他指カバー部12の全部)が裏返しにされている。ユーザが手指カバー1Aから手指を抜こうとすると、手指カバー部10の内側面10bが手指の表面に引っ掛かって一緒に移動するため、自然に当該指先側の部位は裏返しになる。
一方で、平甲カバー部13の指尖球部及びそれに対応する手の甲側の部位よりも基端側が裏返しにされていない。これは、周囲よりも硬い親指リング部21、他指リング部22及び指尖球リング部23により、手指カバー1Aから手指を抜く際の裏返りが抑止されるからである。即ち、親指リング部21、他指リング部22及び指尖球リング部23は、外す際の手指カバー部10の裏返りを抑止すると表記することができる。
結果、手指カバー部10における裏返しにされている部位で裏返しにされていない部位の外側面10aを覆うことで、その外側面10aが露出しないように内側に収納されている。
【0033】
加えて、このような収納状態において、親指リング部21が親指開口210を形成しており、四つの他指リング部22の各々が他指開口220を形成しており、指尖球リング部23が指尖球開口230を形成しており、基端リング部24が基端開口240を形成している。
親指開口210及び各他指開口220によれば、次回使用する際に、ユーザの対応する各手指を容易に挿入することができる。
また、指尖球開口230は、その奥にある四つの他指開口220に連通しており、ユーザの対応する四つの手指をまとめて他指開口220に導くことができる。即ち、指尖球開口230によれば、次回使用する際に、四つの他指開口220にユーザの対応する四つの手指をまとめて容易に挿入することができる。このため、指尖球リング部23は、外した後に、他指リング部22により形状保持される他指開口220にユーザの親指を除く各指をまとめて容易に挿入可能とする大開口(指尖球開口230)を形状保持すると表記することができる。
【0034】
また、
図2(c)において、基端開口240の奥に手指カバー部10の外側面10aの指先が視えているように、基端開口240によれば、手指カバー部10の裏返っていない手指カバー部10の指先部位にユーザが手指を挿入して外側に押し出し易くなっている。つまり、基端リング部24は、使用開始時に、収納状態において裏返らない状態で収容されている手指カバー部10の指先部位にユーザが手指を挿入して外側に押し出し易くなるように基端開口240を形状保持すると表記することができる。なお、
図2(c)では、ファスナー部25は、閉鎖されておらず開放状態とされている。
このように、手指カバー1Aの収納状態において、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23、及び基端リング部24により開口がそれぞれ形成されることで、手指カバー1Aを次回使用する際に、ユーザは、汚れ等が付着している状態で収容されている外側面10aに触れることなく手指カバー1Aを容易に装着することができる。
【0035】
〔各形状保持リング部の幅、厚み及び硬さ〕
手指カバー1Aにとって、外側面10aに付着した汚れ等を他の物に付着させない収納機能及び着脱容易性はもちろん重要であるが、使用時の装着感(着け心地)も同様に重要な要素である。手指カバー1Aは五本指タイプの手袋形状を有しているため、握ったり開いたりといった様々な動きに対応する必要がある。
本発明者らは、様々な形態の試作品で実験を繰り返した結果、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24の各形状保持リング部の許容される幅や厚み、硬さが、それが設けられている位置に応じて異なることを明らかにし、手指カバー1Aにおいて次のような構成を採用した。
【0036】
親指リング部21及び他指リング部22は、親指カバー部11又は他指カバー部12の手指根元部に設けられているため、握る際の動きの中で手指の根元に当接し、痛みや違和感を与え得る。一方、親指リング部21及び他指リング部22が保持すべき中空形状の断面積及び開口面積は、親指カバー部11又は他指カバー部12の指一本分であり、指尖球リング部23及び基端リング部24が保持すべきそれらよりも小さい。
そこで、親指リング部21及び他指リング部22は、指尖球リング部23及び基端リング部24よりも小さい幅、小さい厚み、低硬度であることが好ましい。それらの幅、厚み及び硬さを大きくすれば、装着感が劣化する一方で、親指開口210及び他指開口220を形状保持できる程度に、幅、厚み及び硬さを小さくすることができるからである。
【0037】
指尖球リング部23は、握ったり開いたりする動きにおいて親指リング部21及び他指リング部22よりも動く範囲が小さいため、装着性への影響度に関しても、親指リング部21及び他指リング部22よりも小さくなる。一方で、指尖球リング部23は、他指リング部22により形成される他指開口220へユーザの手指を一括で導くために他指開口220よりも大きい指尖球開口230を形状保持する必要があると共に、更に、外す際における他指リング部22及び他指カバー部12の裏返りを抑止する必要がある。
このため、指尖球リング部23は、親指リング部21及び他指リング部22よりも大きい幅、大きい厚み、高硬度であることが好ましい。その幅、厚み及び硬さを大きくしたとしても装着感への影響がそれ程大きくない一方で、裏返り抑止力及び指尖球開口230の形状保持力を高めることができるからである。
【0038】
基端リング部24は、装着時に手首周辺に当接するため装着性に或る程度影響するが、握ったり開いたりする動きではほとんど動かないため、動きの際に違和感等を与えることはあまりない。一方で、基端リング部24は、外す際に手指カバー部10に加えられる力を効率よく伝える役割を持つと共に、基端開口240を形状保持する役割を持つ。但し、基端開口240は、次回使用時の装着のし易さの観点では、手指を直接挿入する開口ではないため、指尖球開口230ほど強く形状保持されている必要はない。
このため、基端リング部24は、力の伝達のために、親指リング部21、他指リング部22及び指尖球リング部23よりも大きい幅とされることが好ましい一方で、形状保持の観点により指尖球リング部23よりは低硬度でもよい。つまり、指尖球リング部23は、親指リング部21、他指リング部22及び基端リング部24よりも高硬度に形成されることが好ましい。
【0039】
以下、各形状保持リング部の素材、幅及び厚さについて具体例を挙げる。但し、上述の第一実施形態の内容は、以下の具体例のみに制限されるわけではない。
親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23及び基端リング部24の素材には、共通して、ポリプロピレンシートが利用される。
<親指リング部21及び他指リング部22>
・幅=5mm(ベストモード)。5mm以上、10mm以下の範囲内が好ましい。
・厚さ=0.15mm(ベストモード)。0.1mm以上、0.3mm未満の範囲内が好ましい。
<指尖球リング部23>
・幅=12mm(ベストモード)。10mm以上、20mm以下の範囲内が好ましい。
・厚さ=0.45mm(ベストモード)。0.4mm以上、0.6mm未満の範囲内が好ましい。
<基端リング部24>
・幅=15mm(ベストモード)。15mm以上、30mm以下の範囲内が好ましい。
・厚さ=0.3mm(ベストモード)。0.2mm以上、0.4mm以下の範囲内が好ましい。
【0040】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る手指カバーについて第一実施形態とは異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態と同様の内容については適宜省略する。
第二実施形態に係る手指カバーは、薬指及び小指を握った状態のユーザの手を全体的に覆う三本指タイプの手指カバーであり、三本の手指で行う作業や防菌・防ウィルス等に利用可能である。
図3は、第二実施形態に係る収納機能付き手指カバー1Bの外観を示す図であり、
図3(a)には、使用時(装着時)の手指カバー1Bの手の平側の外観が示されており、
図3(b)には、未使用時の手指カバー1Bの指先側から視た外観が示されている。
【0041】
第二実施形態に係る手指カバー1Bは、第一実施形態と同様に、手指カバー部10、親指リング部21、他指リング部22、指尖球リング部23、基端リング部24、ファスナー部25等を備えている。第二実施形態では、手指カバー部10において、薬指及び小指の他指カバー部12が設けられていない点、及び平甲カバー部13が握った状態の薬指及び小指を覆うことができるように形成されている点において、第一実施形態と異なっている。
これに伴い、二つの他指リング部22が人差し指及び中指の他指カバー部12に設けられており、
図3(b)に示される未使用時においては、二つの他指開口220が二つの他指リング部22により形状保持されている。それら二つの他指開口220と連通する指尖球開口230が指尖球リング部23により形状保持されている点においては第一実施形態と同様である。
【0042】
以上のように、手指カバー部10がユーザの三本の手指のみを覆うよう形成されていたとしても、その他の構成が第一実施形態と同様に設けられることで、第一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る手指カバーについて第一実施形態及び第二実施形態とは異なる内容を中心に説明する。以下の説明では、第一実施形態及び第二実施形態と同様の内容については適宜省略する。
第三実施形態に係る手指カバーは、一本の手指のみを覆う一本指タイプの手指カバーである。指一本タイプであるため、第三実施形態に係る手指カバーは、主に、防菌・防ウィルス等に有用である。
図4は、第三実施形態に係る収納機能付き手指カバー1Cの外観を示す図であり、
図4(a)には、使用時(装着時)の手指カバー1Cの外観が示されており、
図4(b)には、未使用時の手指カバー1Cの側方から視た外観が示されており、
図4(c)には、未使用時の手指カバー1Cの基端側から視た外観が示されている。
【0044】
第三実施形態に係る手指カバー1Cは、
図4(a)に示されるように、手指カバー部10と、指リング部31と、ファスナー部35とを有している。
手指カバー部10は、一本の手指のみを覆うことができるように形成されている。手指カバー部10は、柔軟性を有しており、その素材等については第一実施形態と同様である。
【0045】
指リング部31は、手指カバー部10における手指根元部と指先部との中間部から第一関節部までの間の一部に設けられている。指リング部31は、概要として述べた形状保持リング部(第一の形状保持リング部に相当)の一具体例であり、それが配設されている位置の中空形状を保持する。指リング部31の形状は概要として述べた形状保持リング部で述べたとおりである。
また、指リング部31は、弾性を有していることが好ましい。第二実施形態では、手指カバー部10が一本指タイプであるため、手指カバー部10の内側面10bの手指への引っ掛かりが小さく、外す際に裏返り難い。そこで、指リング部31の弾性により手指への引っ掛かりを大きくすることで、外す際に、手指カバー部10における指リング部31よりも手指根元側を裏返り易くすることができる。
【0046】
これにより、外した後(未使用時)には、
図4(b)に示されるように、手指カバー部10における指リング部31よりも手指根元側の内側面10bが外側に露出し、手指カバー部10における指リング部31及びそれよりも指先側の外側面10aが外側に露出しないように内側に収納される。
また、外した後(未使用時)には、
図4(c)に示されるように、次回使用時にユーザが手指を挿入し易いように、指リング部31が指開口310を形成している。
【0047】
このように、指リング部31は、手指カバー部10における指リング部31より手指根元側の裏返りをサポートしつつ指リング部31より指先側の裏返りを抑制し、かつ手指カバー部10の中空形状及び指開口310を保持する必要がある。また、手指カバー1Cでは、第一実施形態及び第二実施形態における指尖球リング部23のような手指カバー部10の中空形状又は開口を保持する他の部材が存在しない。
そこで、指リング部31は、弾性を有すると共に、第一実施形態及び第二実施形態の親指リング部21及び他指リング部22よりも広い幅に形成されることが好ましい。具体的には、指リング部31は、10mm以上20mm以下の範囲の幅を持つ平ゴム等のような適度な締め付けを実現する弾性体で形成されることが好ましく、15mm幅の当該弾性体で形成されることがより好ましい。
【0048】
ファスナー部35は、手指カバー部10の基端部(手指根元側端部)に設けられており、手指カバー部10の基端部の開口を閉鎖可能に設けられている。即ち、ファスナー部35は、外した後の手指カバー部10の外側面10aが内側に収納された収納状態において外側面10aにアクセス困難となるように閉鎖可能である。
ファスナー部35は、手指カバー部10の基端部の開口を閉鎖可能であれば、線ファスナー、面ファスナー、スナップボタン等、どのような形態で実現されてもよいが、
図4に例示されるように、板バネで形成されることが好ましい。ファスナー部35を板バネで形成することにより、所定幅の硬い部材が基端部に設けられることになるため、ファスナー部35が第一実施形態及び第二実施形態における基端リング部24のように把手として作用する。これにより、板バネにより開閉操作が容易になると共に、把手の作用により操作性を向上させることができる。
手指カバー1Cは、病原体が手に付着するのを防ぐために手摺りや吊革、エレベータのボタン等を触る際に利用されることが考えられ、素早く着脱し持ち運びし易いことが要求されるところ、手指カバー1Cによれば、当該要求を満たすことができる。
【0049】
[変形例]
上述の各実施形態はそれぞれ収納機能付き手指カバーの一例である。当該手指カバーは、上述の構成のみに限定されるわけではなく、上述の少なくとも一部の構成を有していれば、部分的に適宜変形されてもよい。
【0050】
例えば、当該手指カバーは、二本指タイプ又は四本指タイプとされてもよい。
また、手指カバー1A及び手指カバー1Bにおいて、指尖球リング部23、基端リング部24若しくはファスナー部25のいずれか一つ又はいずれか複数が省かれてもよいし、それら全部が省かれてもよい。例えそれら全部が省かれたとしても、親指リング部21及び他指リング部22が設けられることで、親指カバー部11及び他指カバー部12におけるそれらよりも指先側の裏返りを抑制しつつ、他の部位の裏返りにより外側面10aを内側に収納することができる。更に、親指リング部21及び他指リング部22により形成される親指開口210及び他指開口220により、再使用時に装着し易くすることができる。
【0051】
図5は、第一実施形態に係る収納機能付き手指カバー1Aの変形例の一部を示す図である。
第一実施形態では特に言及しなかったが、他指リング部22及び指尖球リング部23は、リング連結部40で連結されていてもよい。
リング連結部40は、
図5(b)に示されるように、手の甲側において他指リング部22及び指尖球リング部23を連結させることが好ましい。手の平側は屈曲が大きいため、リング連結部40で連結した場合には、装着時に違和感を与えてしまう可能性があるからである。
例えば、リング連結部40は、他指リング部22及び指尖球リング部23と同質の素材(例えばプラスチック等)で形成され、接着剤等により他指リング部22及び指尖球リング部23と接着される。また、リング連結部40は、ステープラーのような連結部材により他指リング部22及び指尖球リング部23と連結されてもよい。
【0052】
このように、他指リング部22と指尖球リング部23との間をリング連結部40で連結させることで耐性を向上することができ、手指カバー1A及び手指カバー1Bの破損を抑制することができる。
【0053】
上述の各実施形態とは多少異なるが、当該手指カバーは、
図6に示されるような形態とされてもよい。
図6は、変形例に係る収納機能付き手指カバー1Dの外観を示す図である。
図6では、左上図が使用時の手指カバー1Dを示し、右中図が手を抜いた後の手指カバー1Dを示し、左下図が収納状態直前の手指カバー1Dを示している。
変形例に係る手指カバー1Dは、手指カバー部10及びファスナー部50を備えており、形状保持リング部を備えていない点において上述の各実施形態と異なる。
【0054】
手指カバー部10は、第一実施形態と同様に、親指カバー部11、他指カバー部12及び平甲カバー部13を有している。変形例では、平甲カバー部13が親指カバー部11及び他指カバー部12よりも柔らかく薄い素材で形成されている。例えば、親指カバー部11及び他指カバー部12がゴム素材等のように平甲カバー部13よりも重く厚い素材で形成され、平甲カバー部13が薄い繊維素材で形成される。
これにより、手指カバー1Dから手を抜く際に、平甲カバー部13が裏返り易い一方で、親指カバー部11及び他指カバー部12が裏返り難くなる。結果、
図6の右中図に示されるように、親指カバー部11及び他指カバー部12が裏返らず、平甲カバー部13が裏返ることで、手指カバー部10の外側面10aを内側に収納することができる。
【0055】
ファスナー部50は、
図6に示されるように、上面及び下面にそれぞれ開閉蓋が付いた薄い箱形状を有している。具体的には、ファスナー部50は、ファスナー台枠51、ファスナー上蓋52及びファスナー下蓋53を有している。
ファスナー台枠51は、ヒンジを介して開閉可能にファスナー上蓋52及びファスナー下蓋53と接続しており、そのヒンジと対向する位置に嵌合部(図示せず)を有している。ファスナー台枠51は、各嵌合部にファスナー上蓋52及びファスナー下蓋53が嵌合した状態(閉鎖状態)において手指カバー部10を収容可能な内部空間を形成する。
また、ファスナー台枠51は、手指カバー部10の基端部周縁と接続されており、ファスナー台枠51の内側が手指カバー部10内の中空に連通している。このため、使用時にはファスナー上蓋52及びファスナー下蓋53を共に開放状態として、ユーザは、ファスナー部50の下方から手をファスナー台枠51の内側開口を経由して手指カバー部10内に挿入することになる(
図6の左上図参照)。
【0056】
未使用時には
図6の右中図の状態から内側面10bを触りながら手指カバー部10を折り畳んでファスナー下蓋53を閉鎖状態とし(
図6の左下図参照)、ファスナー上蓋52を閉鎖状態とすることで、ファスナー部50の内部に手指カバー部10を収容することができる。これにより、手指カバー部10の外側面10aに付着した汚れ等に触れることなく、コンパクトに手指カバー1Dを携帯することができる。
再使用時には、ファスナー上蓋52及びファスナー下蓋53を開放状態としてファスナー台枠51の上方(ファスナー上蓋52が接続されている側)を下に向けることで、手指カバー部10が自重で落下して
図6の左上図のように装着容易な状態となる。これにより、再使用時にも手指カバー部10の外側面10aに触れることなく容易に装着することができる。
【符号の説明】
【0057】
1A、1B、1C、1D 収納機能付き手指カバー(手指カバー)
10 手指カバー部、10a 外側面、10b 内側面、11 親指カバー部、12 他指カバー部、13 平甲カバー部、21 親指リング部、22 他指リング部、23 指尖球リング部、24 基端リング部、25 ファスナー部、31 指リング部、35 ファスナー部、40 リング連結部、50 ファスナー部、51 ファスナー台枠、52 ファスナー上蓋、53 ファスナー下蓋、210 親指開口、220 他指開口、230 指尖球開口、240 基端開口、310 指開口