(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060649
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】食材残渣処理装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20220408BHJP
B09B 3/20 20220101ALI20220408BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
B02C18/00 104A
B09B3/00 301B
B09B5/00 P ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168224
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】520386590
【氏名又は名称】小向 孝雄
(71)【出願人】
【識別番号】520387623
【氏名又は名称】小林 浩
(71)【出願人】
【識別番号】508221084
【氏名又は名称】株式会社アクト
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】小向 孝雄
【テーマコード(参考)】
4D004
4D065
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA03
4D004AA04
4D004CA04
4D004CB13
4D004CC03
4D065CA12
4D065CB01
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD05
4D065EA08
4D065EB17
4D065EB20
4D065ED02
4D065ED16
4D065ED23
4D065EE02
4D065EE08
4D065EE12
(57)【要約】
【課題】業務用に好適な食材残渣処理装置を提供すること。
【解決手段】廃棄野菜40を切断する切断処理部5と、切断処理部5によって切断された廃棄野菜40aを粉砕する粉砕処理部6と、廃棄野菜40に水を供給する水噴霧部4と、を備える食材残渣処理装置とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象を切断する切断処理部と、
前記切断処理部によって切断された処理対象を粉砕する粉砕処理部と、
前記処理対象に水を供給する供給部と、
を備える食材残渣処理装置。
【請求項2】
前記切断処理部は、
外周部に複数の切込歯の位置する円盤状の回転切断部と、複数の前記回転切断部をそれらの軸心を通じて層状に配列する回転軸と、を備える第1及び第2の切断機構が、
前記第1の切断機構の回転切断部間に、前記第2の切断機構の回転切断部が位置する態様で噛合配置され、
前記第1の切断機構の回転軸と前記第2の切断機構の回転軸とを相互に逆回転させる粉砕モータを備える、請求項1記載の食材残渣処理装置。
【請求項3】
前記粉砕処理部は、
外周部に粉砕歯の位置する円盤状の回転粉砕部と、
前記粉砕歯の軌跡領域に対向配置されていて、粉砕処理後の処理対象が通過する通過口を有する円環部材と、
を備える請求項1記載の食材残渣処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の食材残渣処理装置と、
前記記載の食材残渣処理装置によって処理された処理対象を貯蓄する貯蓄部と、
を備える記載の食材残渣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材残渣処理装置及びシステムに関し、特に、野菜類、豆類、果物類、魚介類などの食材残渣を処理する食材残渣処理装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用で食材残渣を細かく粉砕する機器として、特許文献1に示されるような、ディスポーザーとも称される生ごみ粉砕機がある。ディスポーザーは、調理用流し台の排水口に取り付けて、水道水を流しながら食材残渣を粉砕し、水道水とともに公共下水に流す仕組みになっている。ディスポーザーを用いると、ゴミ回収・処分費用の軽減も期待されるので、自治体によっては使用を推奨しているところもある。
【0003】
また、近年、核家族化又は女性の社会進出に起因して食事の簡略化が進んでいる。コンビニエンスストア、スーパーマーケットなどでは、弁当、惣菜、カット野菜など販売されている。カット野菜に至っては、既に幾つかの食品加工メーカが市場に進出している。
【特許文献1】特開2001-269597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている発明は、家庭で発生する食材残渣を処理対象としており、業務用に適用することは、以下の理由により困難である。
【0005】
まず、既存の家庭用のディスポーザーが、一度に処理できる食材残渣の量は、典型的には両手で持てる程度である。業務用の食品加工工場等で発生する食材残渣の量は、これを遥かに凌駕しており、十分な量の処理をすることが困難である。
【0006】
また、既存の家庭用のディスポーザーを単に大型化したとしても、調理用流し台の排水口に取り付けるタイプのディスポーザーは、基本的には軸心が垂直である回転刃のみで食材残渣を粉砕しており、これでは、回転刃と食材残渣とが接触しにくく、単位時間当たりの食材残渣の処理量は限定的である。
【0007】
そこで、本発明は、業務用に好適な食材残渣処理装置及びそれを備えたシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の食材残渣処理装置及びシステムは、
処理対象を切断する切断処理部(例えば
図2の切断処理部5)と、
前記切断処理部によって切断された処理対象を粉砕する粉砕処理部(例えば
図2の粉砕処理部6)と、
前記処理対象に水を供給する供給部(例えば
図2の水噴霧部4)と、
を備える。
【0009】
前記切断処理部は、
外周部に複数の切込歯(例えば
図3の切込歯14a)の位置する円盤状の回転切断部(例えば
図3の回転切断部14)と、複数の前記回転切断部をそれらの軸心を通じて層状に配列する回転軸(例えば
図3の回転軸8)と、を備える第1及び第2の切断機構が、
前記第1の切断機構の回転切断部間に、前記第2の切断機構の回転切断部が位置する態様で噛合配置され、
前記第1の切断機構の回転軸と前記第2の切断機構の回転軸とを相互に逆回転させる粉砕モータ(例えば
図4の切断モータ7)を備えてもよい。
【0010】
前記粉砕処理部は、
外周部に粉砕歯(例えば
図5の粉砕歯24a)の位置する円盤状の回転粉砕部(例えば
図5の回転粉砕部24)と、
前記粉砕歯の軌跡領域に対向配置されていて、粉砕処理後の処理対象が通過する通過口(例えば
図5のスリット25a)を有する円環部材(例えば
図2の円環板25)と、
を備えてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
(概要の説明)
まず、本実施形態の食材残渣処理装置1の概要について説明する。本実施形態では、処理対象としてカット野菜の製造後に生じる廃棄野菜を例に説明するが、野菜類、豆類、果物類、魚介類などの食材残渣を処理対象とすることもできる。
【0013】
食品加工工場等で発生する廃棄野菜は、家庭で発生するものに比して、使用する食材の種類が豊富であることが多いと考えられ、その大きさ、硬さ、形状等は様々であることが通常である。
【0014】
もっとも、同一種類の廃棄野菜の場合であっても、その大きさ、硬さ、形状等は様々である場合もある。すなわち、キャベツを例にとると、痛んでいて処分せざるを得ないキャベツ丸ごと、外郭の丸まった葉、中心部の芯といった部位が異なるものが含まれる。したがって、このような廃棄野菜に対して一律に同じ処理をすることは効率的でない。
【0015】
そこで、本実施形態では、廃棄野菜をまずは所定サイズ以下にするために切断処理する工程と、切断処理した廃棄野菜を粉砕処理する工程とを有している。また、本実施形態では、これらの工程の処理を実行に付帯して、処理対象の廃棄野菜に対して水道水等を噴霧する。
【0016】
したがって、粉砕処理後の廃棄野菜は、水道水等を含んでいるのでスラリー状となる。このため、家庭用のディスポーザーの場合と同じく、粉砕処理後の廃棄野菜は、排水として公共下水に流すことが可能となる。
【0017】
なお、本実施形態では、切断処理工程と粉砕処理工程とを連続してスムーズに行うために、切断処理部を上方に、粉砕処理部をその下方に設けている。つまり、本実施形態では、切断処理部によって切断処理された廃棄野菜は、自重によって粉砕処理部に落下して粉砕処理されるという構成を採用している。
【0018】
ただ、切断処理部と粉砕処理部とを水平方向に配置し、切断処理部が上流、粉砕処理部が下流となる態様で廃棄野菜を運搬するベルトコンベアを用意し、廃棄野菜を水平方向に移動させながら切断処理工程と粉砕処理工程とを実行することも可能である。
【0019】
(構成の説明)
図1は、本実施形態の食材残渣処理システムの模式的な外観図である。
図1には、食材残渣をスラリー状に処理する食材残渣処理装置1と、食材残渣処理装置1によってスラリー状に処理された廃棄野菜を一定量貯留する貯留タンク31と、食材残渣処理装置1によってスラリー状に処理された廃棄野菜を排水処理施設に送る際に用いる排出ポンプ32とを示している。
【0020】
食材残渣処理装置1は、その概形サイズが、例えば、高さが180cm~250cm、幅が80cm~120cmであり、角型形状をしているが、これより大きくても小さくてもよく、また、例えば円筒形状をしていてもよい。なお、食材残渣処理装置1の具体的な構成については、
図2~
図5を用いて後述する。
【0021】
貯留タンク31及び排出ポンプ32の容量は、食材残渣処理装置1での廃棄野菜の処理量に応じて選定することができる。こうすると、ポンプ容量の低減を図ることができるし、排水処理施設に向けて定量排出も可能となる。
【0022】
図2は、
図1に示す食材残渣処理装置1の模式的な構成図である。
図1には、食材残渣処理装置1の主要部分として、廃棄野菜を搬送する傾斜コンベア2と、傾斜コンベア2によって搬送される廃棄野菜を受け入れる受入ホッパー3と、受入ホッパー3内に水道水を供給する水噴霧部4と、受入ホッパー3の下側に設けられていて受入ホッパー3によって受け入れられた廃棄野菜を切断処理する切断処理部5と、切断処理部5の下側に設けられていて切断処理部5によって切断処理された廃棄野菜を粉砕処理する粉砕処理部6と、を示している。
【0023】
水噴霧部4は、受入ホッパー3への水道水等の供給の有無や供給量を制御する電磁弁4aと、電磁弁4aを通過した水道水を霧状にするノズル4bとを備える。
【0024】
なお、ノズル4bは、廃棄野菜が接触することによって目詰まりすることがないように、例えば直径3mm以上の大きさのノズル孔とするとよい。また、ノズル4bから吐出される水道水の水量は、スラリー状の廃棄野菜の流動性を考慮して、例えば、3L/min~6L/minとするとよい。
【0025】
ここでは、水噴霧部4からの水道水等を受入ホッパー3に供給する例を説明しているが、切断処理部5又は粉砕処理部6に供給するようにしてもよい。ただし、受入ホッパー3に供給する以下の利点があるので好ましい。
【0026】
すなわち、切断処理部5及び粉砕処理部6での廃棄野菜の流動性が高まるし、後述する回転粉砕部24(
図3、
図4)を高速回転させることが可能となって粉砕処理中の廃棄野菜の分散効果が向上するし、固体-液体界面エネルギーが低下して廃棄野菜のスラリー化効率が高まるという利点がある。
【0027】
また、切断処理部5と粉砕処理部6とは、上流から下流に向けて先細となる連結ホッパー20によって連結されている。もっとも、連結ホッパー20の形状は例示であって、これに限定されるものではなく、例えば、同径の円筒形状、或いは、上流から下流に向けて先太となる形状とすることもできる。
【0028】
粉砕処理部6は、粉砕モータ29が複数の脚部間によって構成される中央空間に位置する架台30上に取り付けられている。粉砕処理部6の下流には、粉砕処理された廃棄野菜を貯留タンク31に向けて流す、排出パイプ26bが接続されている。
【0029】
なお、各部の運転動作は、一定時間ごとに始動/停止するシーケンス制御を採用することもできるし、例えば受入ホッパー3への廃棄野菜の投入量を計測してその計測結果に基づいて始動し、その投入量に対応する予想処理時間に到達したことをもって停止するセンシング制御を採用することもできる。
【0030】
また、食材残渣処理装置1自体の運転終了時間にタイムアウトする予めタイマーと、タイムアウト後に食材残渣処理装置1の主電源をオフにする制御部とを設けると、節電効果を高めたり、無人による自動運転を実現したりすることが可能となる。
【0031】
図3は、
図2に示す食材残渣処理装置1の内部構成を示す正面図である。
図3は、
図4におけるB-B断面図でもある。
図3には、切断処理部5による切断処理前の廃棄野菜40、切断処理部5によって切断処理された廃棄野菜40a、及び、粉砕処理部6によって粉砕処理された廃棄野菜40bについても示している。
【0032】
切断処理部5は、側板17と後述する軸受け板13(
図4)とによって四方側面が囲まれる内部空間に、受入ホッパー3から落下してくる廃棄野菜40を切断する第1及び第2の切断機構である二軸切断機構を採用している。
【0033】
図3に示すように一組の二軸切断機構を用いる場合には、廃棄野菜40の大半は、一方向のみ切断される。二組の二軸切断機構を用意して、各二軸切断機構を相互に軸が直交する態様で上下流に配置すれば、廃棄野菜40の大半は双方に切断されるので、このような態様も一法である。
【0034】
第1及び第2の切断機構のいずれも、外周部に複数の切込歯14aの位置する円盤状の回転切断部14と、複数の回転切断部14をそれらの軸心を通じて図面奥方向に層状に配列する回転軸8と、回転軸8と切込歯14aとを連結するキー8aと、隣接する切込歯14a間に設けられる切込歯14aよりも小径のスペーサ15と、を備え、これらは、第1の切断機構の回転切断部14間に、第2の切断機構の回転切断部14が位置する態様で噛合配置される。
【0035】
切込歯14aの厚み及びスペーサ15の厚みは、最終的に、廃棄野菜40bをスラリー状とするために、例えば、0.2cm~2.0cm程度とするとよい。ただし、第1の切断機構と第2の切断機構とが噛合配置されるような対称性が確保されさえすれば、これらの厚みは全て同じとする必要はない。また、切込歯14aの回転速度は、これに限定されるものではないが、例えば、20rpm~60rpmとすればよい。
【0036】
なお、各スペーサ15に対向する位置であって相互に隣接する切込歯14a間に、各スペーサ15の厚みの例えば80%程度の厚みの掻き取りバー等をそれぞれ挿入してもよい。こうすると、切込歯14a間に廃棄野菜40bが挟まったとしても、それを掻き落とすことが可能となる。
【0037】
図4は、
図3の切断処理部5について説明する、
図2におけるA-A断面図である。
図4に示すように、本実施形態では、第1の切断機構と第2の切断機構とが、それぞれの切込歯14aの位置が互い違いになるように噛合配置されている。
【0038】
換言すると、第1の切断機構の回転切断部14の面方向の延長上には第2の切断機構のスペーサ15が位置し、第2の切断機構の回転切断部14の面方向の延長上には第1の切断機構のスペーサ15が位置している。
【0039】
また、
図4には、切断処理部5の他に第1及び第2の切断機構を駆動する切断モータ7も示している。切断処理部5は、
図3を参照して説明した部位に加えて、切断モータ7から延びる出力軸7aと、出力軸7aと図面左側の回転軸8とを結合するカップリング9と、一対の回転軸8にそれぞれ噛合される一対のギア10,10aと、ギア10aと図面右側の回転軸8とを連結するねじ10bとを示している。
【0040】
加えて、
図4には、図面左側の回転軸8の両端部に設けられている一対のボールベアリング11と、一対のボールベアリング11がそれぞれ嵌合される一対のベアリングハウジング12と、一対のベアリングハウジング12が固定される一対の軸受け板13と、一対のボールベアリング11に隣接して設けられている回転切断部14及びスペーサ15の位置を規定するカラー16と、切断モータ7に対して逆側に位置するカラー16に隣接して設けられているエンドプレート16aと、を示している。
【0041】
なお、
図4には示していないが、図面右側の回転軸8側も同様に、図示しないボールベアリング等が設けられている。これは、第1の切断機構と第2の切断機構との構成が同様であることを意味する。
【0042】
図3に戻る。本実施形態では、連結ホッパー20は、側面から見た外観上、既述のように上流から下流に向けて先細の形状をしているが、粉砕処理部6内に収容される同径形状の円筒部21と、円筒部21の上端縁部から周状に延びる鍔部22とを有している。
【0043】
円筒部21は、切断処理部5から落下した廃棄野菜40aを後述する回転打撃部材23によって粉砕前処理する際の処理空間の側外縁を規定しており、円筒部21の下端は、回転打撃部材23の上面より下方まで延びて、その内面が回転打撃部材23の外側軌跡面23aに対向している。
【0044】
鍔部22は、連結ホッパー20と粉砕処理部6とを連結するボルトの貫通孔が形成されている。連結ホッパー20と粉砕処理部6との連結を鍔部22を通じて行うことは必須ではないが、このような構成とすると、消耗品である回転打撃部材23及び回転粉砕部24の交換作業が容易となる。
【0045】
粉砕処理部6は、連結ホッパー20に連結される上部筐体6aと、上部筐体6aに対して連結される下部筐体6bとによって、粉砕処理空間が規定される。
【0046】
粉砕処理空間には、切断処理部5から落下してくる廃棄野菜40aに対して回転力を利用した粉砕前処理をする直方体状の回転打撃部材23と、回転打撃部材23との間で軸心相互が位置合わせされた状態で連結されている板状の回転粉砕部24と、回転粉砕部24に付帯するボス27と、回転粉砕部24によって粉砕された廃棄野菜40bが通るスリット25a(
図5)を有する円環板25と、が設けられている。
【0047】
図5は、
図3の粉砕処理部6について説明する、
図3におけるC-C断面図である。
図5の中央には、軸心が位置する回転打撃部材23及び回転粉砕部24を示している。回転粉砕部24は、ベース部24bと、ベース部24bの外周部に位置する粉砕歯24aとを有している。
【0048】
回転粉砕部24と円環板25との隙間の厚みは、例えば、0.5mm~2.0mm程度とすることができる。回転粉砕部24の回転速度は、例えば、1500ppm~2000ppmとすることができる。
【0049】
円環板25は、粉砕歯24aの軌跡領域に対向配置される。円環板25には、既述のように廃棄野菜40bが通る複数のスリット25aが放射状に形成されている。各スリット25aは、例えば長さ30mm~60mmで幅が2mm~4mmの丸長の形状とし、50個~150個設けることができる。また、円環板25は、その外縁が上部筐体6aと下部筐体6bとの間に挟み込まれており、その内縁がベース部24bの外縁よりも内側にある。
【0050】
図3に戻る。下部筐体6bの底板26aの中央部には、開口部26cが形成されている。開口部26cの下方には、粉砕モータ29が位置している。開口部26cには、粉砕モータ29から延びる出力軸29aが通される。粉砕モータ29は、底板26aにフランジ接合され、底板26aの下面にボルトで連結されている。
【0051】
底板26aの上面には、開口部26cを覆う防水キャップ28が取り付けられている。防水キャップ28の中央部にも、出力軸29aが通る開口部が形成されているが、当該開口部とボス27との間は防水シール28aで封止されている。
【0052】
また、底板26aの周辺部には、既述の排出パイプ26bに連通する開口部26dが形成されている。なお、底板26aは、開口部26dに向けて擂鉢状として、排出効率を高めてもよい。
【0053】
(動作の説明)
図1を主として参照しながら、まず、食材残渣処理システムの動作の概要について説明する。食材残渣処理装置1に廃棄野菜40(
図3)が投入されると、それに応じて、食材残渣処理装置1の駆動を開始し、それに伴って、排出ポンプ32の駆動も開始する。
【0054】
廃棄野菜40は、切断処理によって廃棄野菜40a(
図3)となる。更に、廃棄野菜40aは、粉砕処理によってスラリー状の廃棄野菜40b(
図3)となる。貯留タンク31が廃棄野菜40bで満杯になると、食材残渣処理装置1を停止する。
【0055】
図2を主として参照しながら、食材残渣処理装置1の動作の概要について説明する。野菜カットの際に生じる廃棄野菜40(
図3)は、傾斜コンベア2によって食材残渣処理装置1に向けて搬送される。
【0056】
食材残渣処理装置1に到達した廃棄野菜40は、架台30の上方に位置する受入ホッパー3から投入される。これをトリガーとして電磁弁4aを通電すると、ノズル4bから受入ホッパー3内に水道水が噴霧される。したがって、受入ホッパー3に投入された廃棄野菜40は、水道水が付着した状態で切断処理部5に落下する。
【0057】
切断処理部5では、様々な大きさ、硬さ、形状の廃棄野菜40を切断して、一定サイズ内に収まる廃棄野菜40aにする。廃棄野菜40aは、連結ホッパー20を介して粉砕処理部6に落下する。
【0058】
粉砕処理部6では、切断された廃棄野菜40aを粉砕して、スラリー状の廃棄野菜40bにする。廃棄野菜40b(
図3)は、排出パイプ26bを通じて貯留タンク31に貯留される。
【0059】
図3を主として参照しながら、切断処理工程及び粉砕処理工程について説明する。また、
図4及び
図5も参照して、その補足説明も行う。
【0060】
切断処理部5では、切断モータ7が通電されているので、出力軸7a、カップリング9及びギア10,10aを介して、その動力が一対の回転軸8に伝わる。この結果、図面左側の回転切断部14が時計周りに、図面右側の回転切断部14が反時計周りに回転される。
【0061】
この状態で切断処理部5に落下した廃棄野菜40は、各回転切断部14にそれぞれ設けられている複数の切込歯14aによって切断される。具体的には、各切込歯14aは、廃棄野菜40を両側から突き刺すようにして掻き取ながら切断していく。そして、一定サイズ内に収まる廃棄野菜40aとなったものは、スペーサ15と切込歯14aとの間を通り、連結ホッパー20を介して粉砕処理部6に落下する。
【0062】
粉砕処理部6では、粉砕モータ29が通電されており、出力軸29aを介して、その動力が回転粉砕部24及び回転打撃部材23に伝わる。この結果、これらが高速回転されている。
【0063】
この状態で粉砕処理部6に落下した廃棄野菜40aは、その大半が回転打撃部材23によって粉砕前処理され、その後に回転打撃部材23等の遠心力によって周方向に進むことになる。
【0064】
結果的に、廃棄野菜40aは、円筒部21と回転粉砕部24との間を通り、上部筐体6aの内壁に衝突する。上部筐体6aの内壁は断面がハの字状に傾斜しているため、廃棄野菜40aは図面下側に向かい、円環板25まで到達する。
【0065】
引き続き、回転粉砕部24の粉砕歯24aが高速で通過しているので、廃棄野菜40aは粉砕歯24aとスリット25aとのせん断力によって粉砕される。加えて、粉砕歯24aの下面と円環板25の上面との摩擦力によっても粉砕される。
【0066】
この結果、廃棄野菜40aは、円環板25に形成されているスリット25aを通過可能な大きさの廃棄野菜40bとなる。しかも、粉砕処理工程においても、水噴霧部4から水道水が供給され続けているので、廃棄野菜40bはスラリー状となる。
【0067】
このため、廃棄野菜40bは、スリット25aを通り、上部筐体6a側から下部筐体6b側に落下していく。下部筐体6bには開口部26dが設けられているので、廃棄野菜40bは、開口部26dを通じて排出パイプ26bに向かうことになる。
【0068】
実際に、食材残渣処理装置1を用いて、総量が3000kg程度である、キャベツ、ニンジン、レタス、カボチャ、ハネギ等の15種以上の廃棄野菜40を処理したところ、スラリー状の廃棄野菜40bとなって、排出パイプ26bを通じて排出されることが確認された。
【0069】
また、食材残渣処理装置1によって処理された廃棄野菜40bは、特許文献1の排水設備と同様の排水設備によって処理したところ、国が定める排水処理基準値を満たしており、直接河川に放流できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の実施形態の食材残渣処理システムの模式的な外観図である。
【
図2】
図1に示す食材残渣処理装置1の模式的な構成図である。
【
図3】
図2に示す食材残渣処理装置1の内部構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 食材残渣処理装置
2 傾斜コンベア
3 受入ホッパー
4 水噴霧部
5 切断処理部
6 粉砕処理部
7 切断モータ
8 回転軸
9 カップリング
10 ギア
11 ボールベアリング
12 ベアリングハウジング
13 軸受け板
14 回転切断部
15 スペーサ
16 カラー
17 側板
20 連結ホッパー
21 円筒部
22 鍔部
23 回転打撃部材
24 回転粉砕部
25 円環板
27 ボス
28 防水キャップ
29 粉砕モータ
30 架台
31 貯留タンク
32 排出ポンプ