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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060652
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】検出ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/115 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
G01F1/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168228
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000133652
【氏名又は名称】株式会社テージーケー
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】日下 聡
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA01
2F030CC04
2F030CE11
2F030CG01
2F030CG04
2F030CG09
(57)【要約】
【課題】検出性能に優れ、流路を流れる異物の影響を受け難い検出ユニットを提供する。
【解決手段】ある態様の検出ユニット1は、流路18が形成されたボディ2と、流路18を通過する流体の流動状態を検出するセンサ8と、を備える。センサ8は、ボディ2内に配設される円筒状の回転体4と、回転体4の内周面から半径方向内向きに延出する複数の羽根30と、回転体4と一体に設けられ、周方向に配設された複数のマグネット32と、ボディ2と一体に設けられ、回転体4を回転可能に支持する支持部6と、マグネット32と径方向に対向可能となるようボディ2に設けられ、複数のマグネット32による磁界の変化に基づき、回転体4の回転状態を検出する検出部24と、を含む。支持部6は、回転体4の軸線から離隔し、回転体4の下流側端部を回転摺動可能に支持する環状の支持面22を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流動状態を検出するための検出ユニットであって、
流路が形成されたボディと、
前記流路を通過する流体の流動状態を検出するセンサと、
を備え、
前記センサは、
前記ボディ内に配設される円筒状の回転体と、
前記回転体の内周面から半径方向内向きに延出する複数の羽根と、
前記回転体と一体に設けられ、周方向に配設された複数のマグネットと、
前記ボディと一体に設けられ、前記回転体を回転可能に支持する支持部と、
前記マグネットと径方向に対向可能となるよう前記ボディに設けられ、前記複数のマグネットによる磁界の変化に基づき、前記回転体の回転状態を検出する検出部と、
を含み、
前記支持部は、前記回転体の軸線から離隔し、前記回転体の下流側端部を回転摺動可能に支持する環状の支持面を有することを特徴とする検出ユニット。
【請求項2】
前記支持面は、流体が順方向に流れる際、前記回転体の下流側端面と軸線方向に当接することを特徴とする請求項1に記載の検出ユニット。
【請求項3】
前記回転体の下流側端面には、複数の突起が間欠的に環状に配設され、その突起の先端面にて前記支持面に当接することを特徴とする請求項2に記載の検出ユニット。
【請求項4】
前記支持部の上流側端面には、複数の突起が間欠的に環状に配設され、その突起の先端面が前記支持面として前記回転体の下流側端面に当接することを特徴とする請求項2に記載の検出ユニット。
【請求項5】
前記支持部は、上流側に向けて環状に突出し、前記回転体の下流側端部の内側に同軸状に挿入される下流側遮蔽部を有することを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項6】
前記支持面よりも半径方向外側位置に、前記回転体の半径方向外側の空間と、前記流路における前記回転体よりも下流側とを連通させる連通路を有することを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項7】
前記回転体の上流側に前記ボディと一体に設けられた係止部をさらに備え、
前記係止部は、前記回転体の上流側端面と軸線方向に対向する係止面を有し、
前記係止面は、前記上流側端面に当接することにより前記回転体の軸線方向上流側への移動を規制可能であり、流体が順方向に流れる際には前記回転体の上流側端面と離間することを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項8】
前記係止部は、下流側に向けて環状に突出し、前記回転体の上流側端部の内側に同軸状に挿入される上流側遮蔽部を有することを特徴とする請求項7に記載の検出ユニット。
【請求項9】
前記係止部は、前記係止面に当接した前記上流側端面を前記回転体の回転方向に係止可能な第2の係止面を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の検出ユニット。
【請求項10】
前記係止部は、前記係止面よりも半径方向内側に、流体を渦流にして前記回転体へ導く複数の整流羽根を有する整流部を有することを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項11】
前記支持部は、樹脂材により前記ボディと一体成形されたものであり、
前記係止部が前記ボディとは別の係止部材であり、
前記回転体および前記係止部材が、前記ボディの上流側ポートから前記支持部に向けて順次落とし込まれたものであることを特徴とする請求項7~10のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項12】
前記マグネットの上流側位置にて前記回転体の外周面に環状に突設された第1突部と、
前記マグネットの下流側位置にて前記回転体の外周面に環状に突設された第2突部と、
を有し、
前記第1突部および前記第2突部は、前記マグネットよりも半径方向外向きに突出していることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の検出ユニット。
【請求項13】
前記マグネットは、樹脂材のインサート成形により前記回転体と一体に設けられたものであることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の検出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流動状態を検出するための検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置には一般に、湯水の流動状態を検出する検出ユニットが設けられる(例えば、特許文献1参照)。検出ユニットは、配管内に取り付けられるセンサボディと、センサボディを流れる流体の流動状態を検出するセンサを備える。センサは、湯水の流れによって回転駆動される回転体と、その回転体の回転状態を検出する検出部を含む。より詳細には、回転体は、シャフトと、シャフトから放射状に配設された複数の羽根を有する。隣接する羽根には、N極とS極が交互に着磁されている。検出部は、回転体の半径方向外側位置にて配管に埋設された磁気センサを含む。
【0003】
センサボディの上流端には整流器が設けられ、下流端には軸受部材が設けられる。整流器と軸受部材のそれぞれに軸受部が設けられ、シャフトを回転可能に支持する。整流器を通過することで渦流となった湯水がこれらの羽根にあたり、回転体を回転させる。検出部は、複数の羽根の回転に伴う磁界の変化に基づき、回転体の回転状態を検出する。センサボディにおける磁気センサとの対向位置に開口部が設けられ、磁気センサの感度が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-317233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような給湯装置では、異物が検出ユニットに導かれることがある。繊維状の異物がシャフトと軸受部とを架け渡すように巻き付いたり、粒子状の異物が軸受用の穴に堆積すると、シャフトの円滑な回転を阻害し、正確な検出に支障をきたす虞がある。場合によっては、シャフトの回転をロックさせてしまう可能性もある。なお、このような問題は、給湯装置に限らず、他の用途の装置に適用される検出ユニットにおいても同様に生じうる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、検出性能に優れ、流路を流れる異物の影響を受け難い検出ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、流体の流動状態を検出するための検出ユニットである。検出ユニットは、流路が形成されたボディと、流路を通過する流体の流動状態を検出するセンサと、を備える。センサは、ボディ内に配設される円筒状の回転体と、回転体の内周面から半径方向内向きに延出する複数の羽根と、回転体と一体に設けられ、周方向に配設された複数のマグネットと、ボディと一体に設けられ、回転体を回転可能に支持する支持部と、マグネットと径方向に対向可能となるようボディに設けられ、複数のマグネットによる磁界の変化に基づき、回転体の回転状態を検出する検出部と、を含む。支持部は、回転体の軸線から離隔し、回転体の下流側端部を回転摺動可能に支持する環状の支持面を有する。
【0008】
この態様によると、回転体が円筒状をなし、シャフトを有していない。シャフトが軸受部に支持される構成を有しないため、繊維状の異物が回転体の軸に巻き付いて回転を阻害することもない。また、粒子状の異物が軸受用の穴に侵入することもない。このため、回転体は異物の影響を受け難い。また、回転体の円筒部分にマグネットを配設する構成としたため、検出部とマグネットとを近づけることができる。このため、検出部の感度を高く維持し易い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出性能に優れ、流路を流れる異物の影響を受け難い検出ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】検出ユニットの構成要素を表す分解斜視図である。
図2】検出ユニットの構成を表す図である。
図3】回転体の構成を表す図である。
図4】整流器の構成を表す図である。
図5】回転体の組付構造を表す図である。
図6】変形例に係る検出ユニットの主要部を表す部分拡大断面図である。
図7】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
図8】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
図9】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
図10】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
図11】他の変形例に係る回転体の構成を表す図である。
図12】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す部分拡大断面図である。
図13】他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
図14】回転規制構造の動作を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に部材の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0012】
図1は、検出ユニットの構成要素を表す分解斜視図である。
検出ユニット1は、配管状のボディ2に回転体4および整流器6を収容するように組み付けて構成される。回転体4は円筒状の羽根車であり、後述のセンサ8を構成する(図2参照)。整流器6は「整流部」として機能する。
【0013】
図2は、検出ユニット1の構成を表す図である。(A)は正面図であり、(B)は(A)のA-A矢視断面図である。
ボディ2は、段付円筒状をなし、一端部と他端部が拡管されてそれぞれ導入管部10、導出管部12を構成する。導入管部10は、図示しない上流側配管が接続可能であり、流体を導入するための導入ポート14を有する。導出管部12は、図示しない下流側配管が接続可能であり、流体を導出するための導出ポート16を有する。ボディ2には、導入ポート14と導出ポート16とをつなぐ直線状の流路18が形成される。
【0014】
ボディ2は、導出管部12の基端部において縮径されている。その縮径部が、回転体4を下流側から支持する支持部20を構成する。支持部20は、ボディ2の内周面から半径方向内向きに環状に延出し、その上流側面が環状の支持面22を構成する。支持部20の上流側に回転体4が配置され、その上流側に整流器6が配置されている。整流器6の上流端近傍にてボディ2の内周部を加締めることで(図示略)、整流器6がボディ2に固定されている。その加締め接合は、例えば超音波スエージングにより実現される。なお、変形例においては、整流器6をボディ2に圧入して固定してもよい。整流器6は、ボディ2の内周面に形成された段部により係止され、その軸線方向の位置決めがなされている。回転体4は、整流器6と支持部20との間に形成された空間内で軸線方向にわずかに変位可能とされている。
【0015】
ボディ2には、また、回転体4と径方向に対向する位置に検出部24が設けられている。検出部24は磁気センサからなり、例えばリードスイッチやホール素子等磁界の変化を検出するセンサ素子を用いることができる。検出部24および回転体4がセンサ8を構成する。ボディ2は、給湯装置の配管を構成するとともに、その中間部がセンサボディとしても機能する。なお、検出部24は回転体4の回転状態を検出できればよく、その検出方式は適宜選択できる。検出部24はボディ2の壁内に埋設されているが、ボディ2の外面に配置してもよい。
【0016】
図3は、回転体4の構成を表す図である。(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図、(D)は背面図である。(E)は(B)のB-B矢視断面図であり、(F)は(B)のC-C矢視断面図である。
【0017】
回転体4は、樹脂材の射出成形により得られ、円筒状の本体28を有する(図3(A))。本体28の内周面から半径方向内向きに複数の羽根30が延出している(図3(B))。羽根30は、長方形状の平羽根であり、本体28の周方向に等間隔で4つ、つまり軸線Lを中心として90度おきに設けられている(図3(F))。ただし、各羽根30は、軸線Lには達しておらず、互いに交わってもいない。羽根30に着磁はなされていない。
【0018】
回転体4には、また、複数のマグネット32が一体に設けられている(図3(A))。マグネット32は、平面視長方形状をなし、インサート成形(射出成形)により本体28と一体化されている(図3(C),(E))。マグネット32は、本体28の周方向に等間隔で4つ、つまり軸線Lを中心として90度おきに設けられている。これらのマグネット32は、本体28の外周面に周方向に沿ってN極とS極が交互に現れるように設けられている。検出部24は、これらのマグネット32による磁界の変化に基づき、回転体4の回転状態を検出する。
【0019】
本体28の外周面には、これらのマグネット32を軸線方向に挟むように一対の環状の突部34,36が設けられている(図3(C),(E))。上流側に位置する突部34が「第1突部」として機能し、下流側に位置する突部36が「第2突部」として機能する。マグネット32の表面は本体28の外周面から露出しているが、本体28の外周面とほぼ面一とされている。突部34,36は、マグネット32よりも半径方向外向きに突出している。このため、低流量時、つまり回転体4の低速回転時に突部34,36がボディ2の内周面に摺動したとしても、マグネット32の摺動は防止される。ボディ2の内周面と回転体4との接触面積を小さくできるため、回転体4の摩擦抵抗を小さくでき、低速時であっても流量検出を実行できる。
【0020】
本体28の上流側端面には、複数の小突起38が間欠的に環状に配設されている(図3(B))。小突起38は、本体28の周方向に等間隔で6つ、つまり軸線Lを中心として60度おきに設けられている。本体28の下流側端面にもまた、複数の小突起40が間欠的に環状に配設されている(図3(D))。小突起40は、本実施形態では小突起38と同形状とされ、本体28の周方向に等間隔で6つ、つまり軸線Lを中心として60度おきに設けられている。
【0021】
図4は、整流器6の構成を表す図である。(A)は正面側からみた斜視図、(B)は背面側からみた斜視図、(C)は正面図、(D)は平面図、(E)は背面図である。(F)は(C)のD-D矢視断面図である。
【0022】
整流器6は、樹脂材の射出成形により得られ、段付円筒状の本体42を有する(図4(A),(B))。本体42の外周面に段差が設けられている(図4(D))。本体42の軸線L2上に軸部44が設けられ、その軸部44から半径方向外向きに複数の整流羽根46が延出している(図4(C),(E))。本実施形態では、5枚の整流羽根46が軸部44の周方向に等間隔で配置されている。これらの整流羽根46は、軸線L2の周りに捩じられたスクリュー状をなし、それぞれの先端が本体42の内周面に接続されている(図4(F))。なお、本実施形態では、軸部44に背面側に開口する凹部48を設け、いわゆる肉盗みがなされているが、これについては省略してもよい。
【0023】
図2(B)に戻り、整流器6は、流体が流路を流れるときに回転体4の上流側近傍にて渦流を生成する。すなわち、上述のように羽根30が軸線Lに対して平行な平羽根からなる場合、羽根30を回転させるための流体の流れは、渦流であることが必要となる。このため、整流器6には、回転体4の上流側に渦流を形成するための整流羽根46が配設されている。
【0024】
整流器6に流れ込む流体は、整流羽根46を通過することにより、その整流羽根46の捩れに応じた渦流となり、回転体4に導かれる。このとき、渦流が羽根30に当たることで、回転体4は、渦流の軸流速度、すなわち流体の流速に応じた回転速度で回転する。そして、回転体4の回転速度に応じた磁界の変化を検出部24にて検出することにより、検出ユニット1を通過する流体の流量を算出することができる。
【0025】
図5は、回転体4の組付構造を表す図である。(A)は回転体4およびその周辺を示す部分拡大断面図である。(B)は(A)のE部拡大図であり、(C)は(A)のF部拡大図である。なお、本図は、流体が上流側から下流側へ順方向に流れている状態を示す(図中矢印参照)。
【0026】
図5(A)に示すように、回転体4は、支持部20と整流器6との間に形成される作動空間50に配置される。流体が順方向に流れる際、回転体4は、その流体圧力により作動空間50の下流側へ変位する。このとき、本体28の下流側端面(小突起40の先端面)が支持面22と軸線方向に当接し、回転体4の軸線方向への移動が規制される。本体28の上流側端面は、整流器6の下流側端面から離間する。
【0027】
検出部24は、マグネット32と径方向に対向可能となるようボディ2に設けられている。本実施形態では図示のように、ボディ2の内周面と回転体4との間に独立したセンサボディが存在しない。また、回転体4の中心軸を構成するシャフトも存在しない。このため、従来構造(特許文献1参照)と比較して部品点数が少ない。また、センサボディに開口部を設ける等の工程も不要である。
【0028】
回転体4は、複数の小突起40の先端面が支持面22に摺動しながら回転する。支持面22は、環状に配置された複数の小突起40を摺動可能に支持するよう環状の面をなしている。このように回転体4と支持部20との当接面を間欠的に形成することで、回転体4の摺動抵抗を小さくし、その円滑な回転を促進している。支持部20は、支持面22よりも半径方向内側にて上流側に向けて環状に突出する下流側遮蔽部52を有する。下流側遮蔽部52は、本体28の下流側端部の内側に同軸状に挿入され、その下流側端部と径方向にオーバラップしている。
【0029】
より詳細には、図5(B)に示すように、回転体4の下流側端面と支持面22とが当接した状態において、下流側遮蔽部52の先端が小突起40の基端よりも上流側に位置するよう、下流側遮蔽部52の支持面22からの高さが設定されている。それにより、異物が回転体4と支持部20との当接部に導かれ難くなっている。
【0030】
図5(A)に戻り、整流器6は、その下流側端面に係止面54を有する。流体が下流側から上流側へ逆流する際、回転体4は、その流体圧力により作動空間50の上流側へ変位する。このとき、本体28の上流側端面(小突起38の先端面)が係止面54と軸線方向に当接し、回転体4の軸線方向への移動が規制される。本体28の下流側端面は、支持面22から離間する。すなわち、整流器6は、回転体4の上流側への移動を係止する「係止部」および「係止部材」としても機能する。なお、流体の流れがないとき、検出ユニット1の取付姿勢によっては、重力によって回転体4がボディ2から抜け落ちることが懸念されるところ、本実施形態では整流器6が「係止部」および「係止部材」として機能することによりその抜け落ちが防止される。
【0031】
整流器6は、係止面54よりも半径方向内側にて下流側に向けて環状に突出する上流側遮蔽部56を有する。上流側遮蔽部56は、本体28の上流側端部の内側に同軸状に挿入され、その上流側端部と径方向にオーバラップしている。
【0032】
より詳細には、図5(C)に示すように、流体が順方向に流れる際、つまり回転体4の上流側端面と係止面54とが最も離間した状態において、上流側遮蔽部56の先端が小突起38の基端よりも下流側に位置するよう、上流側遮蔽部56の係止面54からの高さが設定されている。それにより、異物がボディ2の内周面と回転体4との間隙に導かれ難くなっている。
【0033】
次に、図1および図2を参照しつつ、検出ユニット1の組立方法について説明する。
図1に示すように、検出ユニット1の組み立てに際しては、まず、回転体4を導入ポート14からボディ2内に落とし込むように挿入する。このとき、回転体4は、支持部20に支持された状態でボディ2内に保持される(図2(B)参照)。
【0034】
続いて、整流器6を導入ポート14からボディ2内に落とし込むように挿入する。このとき、整流器6は導入管部10よりも奥方に挿入され、ボディ2の内周面に形成された段部により係止される。この状態で上述のように超音波スエージングによりボディ2の内周部を加締めることで、整流器6がボディ2に対して固定される。それにより、図2(B)に示すような態様にて検出ユニット1の組み立てが完了する。
【0035】
次に、図2および図5を参照しつつ、検出ユニット1の動作について説明する。
図2に示す検出ユニット1は、対象装置(例えば給湯装置)に設置される。この対象装置が作動すると、図示しない上流側配管から導入ポート14を介して導入された流体は、整流器6を経ることで渦流となり、回転体4内へ導かれる。この渦流が複数の羽根30に当たることで回転体4を回転させる。回転体4を通過した流体は、導出ポート16から図示しない下流側配管へ導出される。
【0036】
回転体4は、その下流側端面が支持面22に摺動しながら回転する。このとき、回転体4は、所定流量以上の流体が流れて十分な回転速度が得られる場合、ボディ2の内周面と回転体4の外周面との間に存在する流体が流体軸受として機能し、ボディ2とほぼ同軸状態を維持する。なお、変形例においては、このような流体軸受が機能しない構成であってもよい。その場合でも、回転体4の外周面は突部34,36においてのみボディ2の内周面に回転摺動することになるため、その摺動抵抗を小さく抑えることができる。
【0037】
すなわち、図5に示されるように、回転体4は、基本的に突部34,36がボディ2の内周面から浮上した状態で回転する。このため、突部34,36の摩耗が防止又は抑制される。検出部24は、マグネット32の回転による磁界の変化に基づき、回転体4の回転状態(回転速度)を検出する。この回転体4の回転状態に基づき、流体の流量を算出することができる。
【0038】
対象装置の作動が停止され、流体の流量が小さくなると、回転体4の回転力が失われる。このとき、回転体4は、重力にしたがった状態で停止する。例えば、回転体4の軸線が水平方向となるように検出ユニット1が設置されていた場合、回転体4は、重力方向下方に変位し、突部34,36の一部がボディ2の内周面に当接する。場合によっては、回転体4がボディ2の軸線に対して触れ回り、ボディ2の内周面に摺動する。このような場合であっても、突部34,36が本体28の外周面から突出しているため、マグネット32の摩耗を防止できる。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態によれば、回転体4が円筒状をなし、ボディ2の内周面から浮上して回転する斬新な検出ユニット1が提供される。仮にその浮上が十分でなかったとしても、回転体4の外周面とボディ2の内周面との摺動抵抗を小さく抑えることができる。回転体4は、従来構成(特許文献1参照)とは異なり、シャフトを有していない。また、シャフトを支持する軸受部も有していない。支持部20は、回転体4の軸線Lから離隔している。すなわち、シャフトが軸受部に支持される構成を有しないため、繊維状の異物が回転体の軸に巻き付いて回転を阻害することもない。また、粒子状の異物が軸受用の穴に侵入することもない。
【0040】
さらに、回転体4の下流側端部の内側に下流側遮蔽部52を配置し、回転体4の上流側端部の内側に上流側遮蔽部56を配置した。このように回転体4の両端部にそれぞれオーバラップする遮蔽部を設けることで、異物が回転体4の摺動部に侵入したり、回転体4の外側に回り込むことを抑制できる。その結果、異物の堆積等による回転体4の作動不良を防止できる。本実施形態によれば、検出ユニットの耐異物性を向上できる。
【0041】
また、図2(B)に示す検出ユニット1と、特許文献1の検出ユニットとを対比すれば分かるように、本実施形態ではシャフトを支持する軸受部が不要であるため、検出ユニットのボディの全長を短くできる。その結果、検出ユニット全体をコンパクトに構成できる。ボディが短くなることで、材料コストを低減できるメリットもある。本実施形態によれば、検出ユニットの小型化、対象装置の省スペース化といった課題にも対応できる。
【0042】
さらに、回転体4の本体28(円筒部分)にマグネット32を配設する構成としたため、検出部24とマグネット32とを近接させることができる。このため、検出部24の感度を高く維持し易い。すなわち、本実施形態によれば、検出性能に優れる検出ユニットを提供できる。
【0043】
(変形例)
図6は、変形例に係る検出ユニットの主要部を表す部分拡大断面図である。(A)は第1変形例を示し、(B)は第2変形例を示す。
第1変形例では、支持部120にリング状の支持部材122が組み付けられている(図6(A))。支持部材122は、ボディ102よりも摺動抵抗の低い材質からなる。支持部材122は、ワッシャ状の金属部品の表面に潤滑めっきを施したものでもよい。潤滑めっきとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含んだニッケル‐リン(Ni‐P)等既知の潤滑めっき材を適用できる。
【0044】
支持部材122は、ボディ102の内面と下流側遮蔽部52との間に形成される凹部に圧入されている。支持部材122の上流側端面が支持面22となっている。本変形例によれば、回転体4の摺動部の耐久性を向上させることができる。なお、潤滑めっき等の耐摩耗処理を施す場合、上述のように支持部材122の全体に施してもよいし、支持面22にのみ施してもよい。
【0045】
第2変形例では、ボディ104に整流部106が一体成形されている。一方、支持部材124がボディ104の下流側に組み付けられ、「支持部」として機能する。整流部106は、整流器6と同様の整流羽根46を有し、回転体4へ供給する渦流を生成する。整流部106は、整流羽根46よりも半径方向外側の下流側端部に係止面54および上流側遮蔽部56を有する。支持部材124は、上流側に向けて外径が段階的に小さくなる段付円筒形状をなし、その上流側端面が支持面22とされている。支持面22の内側に下流側遮蔽部52が設けられている。支持部材124は、ボディ104の内周面に形成された段部により係止され、その軸線方向の位置決めがなされる。支持部材124の下流側には、環状の抜け止部材126が設けられる。
【0046】
本変形例の検出ユニットの組み立てに際しては、回転体4を導出ポート(下流側ポート)からボディ104内に落とし込むように挿入する。このとき、回転体4は、整流部106に支持された状態でボディ104内に保持される。続いて、支持部材124を導出ポートからボディ104内に落とし込むように挿入する。その後、抜け止部材126を導出ポート側からボディ104の内方に圧入する。それにより、支持部材124がボディ104に固定される。
【0047】
図7は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。(A)は、検出ユニットの部分拡大断面図である。(B)は回転体の正面図である。
第3変形例では、回転体204の羽根として、ねじり羽根230が採用されている。本体28の軸線Lに沿って延びる軸部210が設けられているが、軸部210を支持する軸受部は存在しない。本体28の内周面から半径方向内向きに複数のねじり羽根230が延出している。ねじり羽根230は、スクリュー状に捩じられた羽根であり、本変形例では4つ、つまり軸線Lを中心として90度おきに設けられている。各ねじり羽根230は、軸部210に接続されている。
【0048】
本変形例によれば、回転体204に複数のねじり羽根230を採用したため、上流側からの流体が各ねじり羽根230に当たることにより、回転体204が自律的に回転する。このため、回転体204の上流側に整流部(整流器)を要しない。そのため、回転体204の上流側には、整流羽根を有しない係止部材206が設けられる。係止部材206は、下流側に向けて外径が段階的に小さくなる段付円筒形状をなし、その下流側端面が係止面54とされている。係止面54の内側に上流側遮蔽部56が設けられている。係止部材206は、ボディ2の内周面に形成された段部により係止され、その軸線方向の位置決めがなされている。係止部材206は、回転体204の上流側への移動を係止する。
【0049】
図8は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。
第4変形例では、係止部208がボディ202と一体成形されている。係止部208の下流側端部に係止面54および上流側遮蔽部56が設けられている。一方、第2変形例と同様に、ボディ202における回転体204の下流側に支持部材124および抜け止部材126が組み付けられている。
【0050】
図9は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。(A)は主要部の部分拡大断面図である。(B)は(A)のE部拡大図であり、(C)は(A)のF部拡大図である。
第5変形例では、下流側の小突起40が回転体304ではなく、支持部320(ボディ302)に設けられている(図9(A))。支持部320の内周縁から上流側に向けて環状に突出する下流側遮蔽部352が設けられる(図9(B))。その下流側遮蔽部352の先端面に複数の小突起40が間欠的に環状に配設されている。本体328の下流側端面には内周縁に沿う環状凹部330が設けられ、その環状凹部330の底面が複数の小突起40によって環状に支持される。つまり、これら小突起40の先端面が支持面22として機能する。下流側遮蔽部352は、小突起40の間欠的な配置により、異物に対して完全な遮蔽効果は発揮できないものの、異物が回転体304の外側に回り込むことを抑制することはできる。
【0051】
また、本体328の上流側にも上記実施形態のような小突起38は設けられていない。本体328の上流側端面には内周縁に沿う環状凹部340が設けられ、その環状凹部340の底面が整流器6の下流側端面によって環状に支持される。本変形例では、整流器6における上流側遮蔽部56の先端面が係止面54として機能する。逆流時には環状凹部340が係止面54に当接する。また、流体の流れがないとき、検出ユニット1の取付姿勢によっては環状凹部340が係止面54に当接する可能性がある。しかし、これらのときには流量を検出する必要がなく、回転体304を回転させる必要性も低いことから、整流器6と回転体304との摺動抵抗はさほど問題とならない。そこで、本変形例では、上流側について小突起による摺動抵抗低減構造を省略している。上流側遮蔽部56には小突起がないため、異物に対する遮蔽効果を発揮し易い。特に上流側遮蔽部56が回転体304を係止しているときには、完全な遮蔽効果を発揮する。
【0052】
図10は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。(A)は、検出ユニットの部分拡大断面図である。(B)は回転体の背面図である。
第6変形例では、回転体404における下流側の小突起440と上流側の小突起438が、上記実施形態よりも半径方向内側に配設されている。支持部420の内周縁から上流側に向けて環状に突出する下流側遮蔽部452が設けられる(図10(A))。下流側遮蔽部452の先端面は環状の平坦面である。
【0053】
一方、本体428の下流側端面には内周縁に沿う環状凹部430が設けられ、その環状凹部430の底面に複数の小突起440が環状に配設されている(図10(B))。これらの小突起440が、下流側遮蔽部452の環状の先端面によって回転摺動可能に支持されている。つまり、下流側遮蔽部452の環状の先端面が支持面22として機能する。下流側遮蔽部452は、小突起440の間欠的な配置により、異物に対して完全な遮蔽効果は発揮できないものの、異物が回転体404の外側に回り込むことを抑制することはできる。
【0054】
本体428の上流側端面にも同様に、内周縁に沿う環状凹部432が設けられ、その環状凹部432の底面に複数の小突起438が環状に配設されている。流体が逆流したときには、整流器6における上流側遮蔽部56の先端面が係止面54として機能し、これらの小突起438を係止し、回転体404の軸線方向への移動を規制する。なお、流体の流れがないとき、検出ユニットの取付姿勢によっては、重力によって回転体404がボディ2から抜け落ちることが懸念されるところ、本変形例においても整流器6が「係止部」および「係止部材」として機能することによりその抜け落ちが防止される。
【0055】
図11は、他の変形例に係る回転体の構成を表す図である。(A)は、回転体の正面図、(B)は(A)のH-H矢視断面図、(C)は(A)のI-I矢視断面図(上下反転)である。
第7変形例では、回転体504における羽根の構造が上記実施形態とは異なる。回転体504は、大きさが異なる2種類の羽根30,羽根530を有する。羽根530の長さおよび高さのいずれも羽根30よりも小さい。本変形例では、羽根30,530が本体28の内周面に沿って周方向に交互に2つずつ配設されている。2つの羽根530のうち一方は上流側寄りに設けられ、他方は下流側寄りに設けられている。すなわち、複数の羽根として、軸線方向の延在位置が互いに異なる羽根が含まれる。
【0056】
このように回転体に複数の羽根として、軸線方向への長さや半径方向への長さが互いに異なる羽根を含めることにより、回転体を通過する流体の流れを調整できる。それにより、流速に対する回転体の回転速度を調整でき、検出ユニットが出力する検出信号の波形を流量算出に好適に調整できる。本変形例は、上記実施形態や変形例のいずれの回転体にも適用可能である。
【0057】
なお、本変形例では、羽根の枚数、形状、大きさ、配置、組み合わせなどの一例を示したが、これらについては適宜変更できる。例えば、複数の羽根がそれぞれ異なる大きさを有してもよい。複数の羽根のそれぞれの軸線方向位置を異ならせてもよい。回転体の上流側に整流部を設けない場合、複数の羽根の全て又は一部をねじり羽根としてもよい。複数の羽根のなかに相対的に小さな羽根を含めることで、回転体を軽量化でき、その摺動荷重を低減できる。検出ユニットを通過する流体の圧力損失の低減を図ることもできる。
【0058】
図12は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す部分拡大断面図である。
第8変形例では、支持部420を軸線方向に貫通する連通路610が設けられる。連通路610は、支持面22よりも半径方向外側に位置し、作動空間50における回転体404の半径方向外側の空間と、流路18における回転体404よりも下流側とを連通させる。本変形例によれば、仮に異物が回転体404の外側の空間に侵入したとしても、連通路610を介して下流側へ排出することが可能となる。
【0059】
なお、本変形例では、連通路610を第6変形例に適用した構成を例示したが、上記実施形態や他の変形例に適用してもよいことは言うまでもない。本変形例では、連通路610を小円孔として支持部420の2箇所に設けたが、連通路610の数、形状、大きさなどはこれに限られない。第2変形例のように「支持部」が支持部材としてボディと別体である場合、連通路を支持部材に設けてもよい。あるいは、ボディと支持部材との間に形成してもよい。例えば、ボディの内周面と支持部材の外周面のいずれか一方又は双方に連通溝を設けることで実現できる。
【0060】
図13は、他の変形例に係る検出ユニットの主要部を表す図である。(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は(B)のJ-J矢視断面図である。
第9変形例では、逆流時における回転体4の回転を規制する回転規制構造が設けられる。この回転規制構造は、回転体4と整流器706(整流部)との軸線方向の対向面に設けられた凹凸形状により実現される(図13(A),(B))。整流器706における小突起38との対向面には、凹部710が形成されている。凹部710は、小突起38よりも幅が大きく、小突起38と遊嵌可能である。凹部710における幅方向端部の壁が係止面712(第2の係止面)として機能する(図13(C))。
【0061】
図14は、回転規制構造の動作を表す図である。(A)は順方向流れ時の状態を示し、(B)は逆流時の状態を示す。
流体が順方向流れのとき、回転体4は、下流側端部(小突起40)が支持面22に当接した状態で回転する(図14(A))。このとき、小突起38は凹部710から離間した状態にあり、回転規制構造は機能しない。
【0062】
一方、流体が逆流すると、小突起38が凹部710に遊嵌される(図14(B))。このとき、回転体4が回転しようとしても係止面712により係止される。すなわち、回転規制構造が機能して回転体4の回転が規制される。検出ユニットでは流体の流れ方向までは特定されないため、逆流時の流量を正常時(順方向流れ)の流量として誤検出することを防止する必要がある。本変形例では、逆流時に回転体4の回転そのものが規制されるため、このような誤検出を防止できる。本変形例によれば、検出ユニットおける逆流時の誤検出防止といった課題にも対応できる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0064】
上記実施形態では、回転体の本体とマグネットとを一体成形する構成を例示した。変形例においては、本体を成形した後、マグネットを一体に固定してもよい。すなわち、「マグネットが回転体と一体に設けられる」とは、本体の成形と同時にマグネットが一体化される場合のほか、本体とマグネットをそれぞれ別体で作製した後に両者を組み付けて一体化する場合を含む。
【0065】
上記実施形態では、検出部とボディとを一体成形する構成を例示した。変形例においては、ボディを成形した後、検出部を一体に固定してもよい。すなわち、「検出部がボディと一体に設けられる」とは、ボディの成形と同時に検出部が一体化される場合のほか、ボディと検出部をそれぞれ別体で作製した後に両者を組み付けて一体化する場合を含む。
【0066】
上記実施形態では、回転体4の外周面に環状に連続した突部34,36(突条)を、マグネット32の軸線方向両サイドに設ける例を示した。変形例においては、このような突部を例えばマグネット32の上流側および下流側の少なくとも一方に複数設けてもよい。また、突部の一部又は全てを、間欠的に環状をなす形状としてもよい。その場合、その環状を形成する突片は、周方向に延在してもよいし、軸線方向(軸線と平行)に延在してもよい。周方向に延在する突片と軸方向に延在する突片とが混在してもよい。
【0067】
上記実施形態では、マグネット32の表面を本体28の外周面とほぼ面一とした構成を例示した。変形例においては、マグネット32の表面を本体28の外周面からやや突出させてもよい。その場合でも、マグネット32の突出高さは、突部34,36の突出高さよりも小さくなるようにする。あるいは、マグネット32を本体28に埋設してもよい。ただし、検出部24にて十分な磁界が得られるよう、マグネット32の表面を覆う樹脂部の厚みは小さくする。
【0068】
上記実施形態では、回転体の上流側端部に上流側遮蔽部を挿入し、回転体の下流側端部に下流側遮蔽部を挿入する入れ子態様の構成とした。そして、その上流側および下流側の入れ子部分の軸線方向長さ(オーバラップ長さ)を、回転体の軸線方向の最大変位よりも大きくした。そのように回転体、支持部および係止部(整流器)の構造および配置を設定した。これにより、流体の流れがないとき、つまり回転体の回転数が小さいときであっても、回転体が支持部や整流器から抜け落ちることを確実に防止できる。
【0069】
上記実施形態では、回転体の外周面に設けた突部(第1,第2突部)とボディの内周面とのクリアランスを、回転体の上流側端部と上流側遮蔽部との径方向隙間および回転体の下流側端部と下流側遮蔽部との径方向隙間のいずれよりも小さくした。このため、回転体が回転数低下により重力方向下方に片寄り、各遮蔽部との同軸度がずれたとしても、各遮蔽部から脱落することはなく、再び流体が流れることで各遮蔽部との同軸度を回復できる。このため、仮に上述した入れ子部分の長さが確保できなくても、回転体の正常な回転を再開できる。
【0070】
言い換えれば、上述した入れ子部分の長さが確保できれば、回転体の外周面とボディの内周面との最小クリアランスを、回転体の上流側端部と上流側遮蔽部との径方向隙間および回転体の下流側端部と下流側遮蔽部との径方向隙間よりも大きくできる。その場合、回転体が回転数低下により重力方向下方に片寄り、各遮蔽部との同軸度がずれたとしても、各遮蔽部に支持されるため、その脱落が防止される。そもそも回転体がボディの内周面に摺動しないため、その外周面に突部を設ける必要もなくなる。
【0071】
上記実施形態では、回転体の下流側端部を支持部と軸線方向に当接させる例を示した。変形例においては、回転体の下流側端部と支持部とを径方向に当接させる構成としてもよい。具体的には、回転体の下流側端部に挿通させる下流側遮蔽部の外周面を支持面として機能させてもよい。さらに、下流側遮蔽部の外周面を第1の軸受面、上流側遮蔽部の外周面を第2の軸受面として回転体の両端を支持してもよい。このような構成を採用しても、支持部は回転体の軸線から離隔する。遮蔽部による遮蔽効果が得られるので、回転体への異物の巻き付きや、回転摺動部における異物の堆積を防止又は抑制できる。
【0072】
上記実施形態では、管継手を検出ユニットのボディとした。検出ユニットのボディについては配管状に限らない。変形例においては、樹脂製のブロックに流路を形成して検出ユニットのボディとしてもよい。また、ボディの材質については樹脂に限らず、ステンレス鋼等の他の材質からなるとしてもよい。
【0073】
なお、上記実施形態では、検出ユニットに侵入する異物として皮膚片や毛髪を想定したが、プラスチック片その他の異物に対しても良好な耐異物性能が得られる。
【0074】
上記実施形態および変形例の構成は、給湯装置の追い焚き時に渦流によって回転体が回転する検出ユニット(例えば特開2015-194455号公報等参照)に対しても適用可能である。
【0075】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 検出ユニット、2 ボディ、4 回転体、6 整流器、8 センサ、14 導入ポート、16 導出ポート、18 流路、20 支持部、22 支持面、24 検出部、30 羽根、32 マグネット、34 突部、36 突部、38 小突起、40 小突起、46 整流羽根、50 作動空間、52 下流側遮蔽部、54 係止面、56 上流側遮蔽部、102 ボディ、104 ボディ、106 整流部、120 支持部、122 支持部材、124 支持部材、202 ボディ、204 回転体、206 係止部材、208 係止部、230 ねじり羽根、302 ボディ、304 回転体、320 支持部、352 下流側遮蔽部、404 回転体、420 支持部、438 小突起、440 小突起、452 下流側遮蔽部、504 回転体、530 羽根、610 連通路、706 整流器、710 凹部、712 係止面、L 軸線、L2 軸線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14