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特開2022-60689機能性繊維と機能性繊維生地及び機能性繊維製品並びにそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060689
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】機能性繊維と機能性繊維生地及び機能性繊維製品並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/188 20060101AFI20220408BHJP
   D06M 13/322 20060101ALI20220408BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
D06M13/188
D06M13/322
D01F1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168294
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】520052352
【氏名又は名称】株式会社エイゼット
(71)【出願人】
【識別番号】390036906
【氏名又は名称】小矢部繊維工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503254537
【氏名又は名称】株式会社ゼフィール
(71)【出願人】
【識別番号】509150916
【氏名又は名称】株式会社ミヤモリ
(71)【出願人】
【識別番号】390011855
【氏名又は名称】株式会社ランブール
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】石地 敦司
(72)【発明者】
【氏名】山城 道雅
(72)【発明者】
【氏名】川端 亀三郎
【テーマコード(参考)】
4L033
4L035
【Fターム(参考)】
4L033AC10
4L033BA17
4L033BA44
4L035AA05
4L035BB31
4L035EE20
4L035JJ30
4L035KK05
4L035KK10
(57)【要約】
【課題】ハトムギによる優れた効能が良好かつ安定的に得られる機能性繊維と機能性繊維生地及び機能性繊維製品、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】機能性繊維製品10は、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14の成分が定着し、前記成分には、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれている。使用者の肌に機能性繊維24が触れることによって、コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られる。機能性繊維製品10の製造は、製品本体10aに、ハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14を付着させて乾燥し、製品本体10aを構成する繊維に、液状乳化物14の成分を定着させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地を構成する繊維であって、
繊維本体に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分にはハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれており、
使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られることを特徴とする機能性繊維。
【請求項2】
生地本体を構成する繊維に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分には、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれており、
使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られることを特徴とする機能性繊維生地。
【請求項3】
請求項2記載の機能性繊維生地を有し、当該機能性繊維生地が使用者の肌に触れる部位に配されていることを特徴とする機能性繊維製品。
【請求項4】
製品本体を構成する繊維に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分には、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれており、
使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られることを特徴とする機能性繊維製品。
【請求項5】
生地を構成する機能性繊維の製造方法であって、
繊維本体の材料となる樹脂ペレットと、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、
前記樹脂ベレットを溶融させて前記液状乳化物を練り込み、これを紡糸することによって、前記繊維本体に、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させることを特徴とする機能性繊維の製造方法。
【請求項6】
生地を構成する機能性繊維の製造方法であって、
繊維本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、
前記繊維本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記繊維本体に、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させることを特徴とする機能性繊維の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載の機能性繊維の製造方法で機能性繊維を製造した後、当該機能性繊維を使用して機能性繊維生地を形成することを特徴とする機能性繊維生地の製造方法。
【請求項8】
生地本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、
前記生地本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記生地本体を構成する繊維に、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させることを特徴とする機能性繊維生地の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の機能性繊維生地の製造方法で機能性繊維生地を製造した後、当該機能性繊維生地を使用者の肌に触れる部位に配することによって、機能性繊維製品を形成することを特徴とする機能性繊維製品の製造方法。
【請求項10】
製品本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、
前記製品本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記製品本体を構成する繊維に、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させることを特徴とする機能性繊維製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハトムギの成分による生理活性効果が得られる機能性繊維と機能性繊維生地及び機能性繊維製品、並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、弾性繊維を用いたインナー素材であって、漢方薬剤を含有したゲル状樹脂層とこれを被覆する殻層とからなる徐放性マイクロカプセルを、バインダ樹脂により素材の表面に付着させたインナー素材があった。漢方薬剤の例として、皮膚に対して保湿効果があるヨクイニン等が挙げられている。ヨクイニンは、ハトムギ種子から殻、外皮(薄皮)及び内皮(渋皮)を取り除いた子実である。
【0003】
また、一般的に植物の種子には、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分を含んでおり、これらの油脂成分は、肌の保湿等の効果があることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-80567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているようなマイクロカプセルを付着させた繊維生地は、生地の表面が、マイクロカプセルを固定したバインダにより覆われている。このため、肌触りが良くないという問題があり、肌触りを良くするために、バインダを減らすと、マイクロカプセルが繊維生地から脱落し易くなり、マイクロカプセルの洗濯耐久性が低下して、薬剤の効能が落ちてしまうものであった。さらに、薬剤等がマイクロカプセルに被覆されるので、効能が弱いという問題もある。
【0006】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、ハトムギによる優れた効能が良好かつ安定的に得られる機能性繊維と機能性繊維生地及び機能性繊維製品、並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、ハトムギの成分と効能について調査、研究を行った結果、ハトムギ特有成分であるコイクセノライド(coixenolide)及びコイクソール(coixol)に、美白効果、肌荒れ防止効果、アレルギー抑制化効果等の優れた生理活性効果があることを確認し、ハトムギに含まれるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分と、ハトムギ特有のコイクセノライド(coixenolide)及びコイクソール(coixol)を繊維製品等に定着させることによって、油脂成分による効果に加えて上記の優れた生理活性効果が得られる機能性繊維製品等を開発した。
【0008】
本発明は、織物生地又は編物生地等を構成する繊維であって、繊維本体に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分にはハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分に加えて、コイクセノライド及びコイクソールが含まれており、使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られる機能性繊維である。
【0009】
また本発明は、生地本体を構成する繊維に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、及びコイクセノライド及びコイクソールが含まれており、使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られる機能性繊維生地である。さらに、当該機能性繊維生地が、使用者の肌に触れる部位に配されている機能性繊維製品である。
【0010】
また本発明は、製品本体を構成する繊維に、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物の成分が定着し、当該成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれており、使用者の肌に触れることによって、前記コイクセノライド及び前記コイクソールによる生理活性効果が得られる機能性繊維製品である。
【0011】
また本発明は、織物生地又は編物生地等を構成する機能性繊維の製造方法であって、繊維本体の材料となる樹脂ペレットと、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、前記樹脂ベレットを溶融させて前記液状乳化物を練り込み、これを紡糸することによって、前記繊維本体に、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させる機能性繊維の製造方法である。
【0012】
また本発明は、織物生地又は編物生地等を構成する機能性繊維の製造方法であって、繊維本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、前記繊維本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記繊維本体に、オレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させる機能性繊維の製造方法である。さらに、前記機能性繊維の製造方法で機能性繊維を製造した後、当該機能性繊維を使用して機能性繊維生地を形成する機能性繊維生地の製造方法である。
【0013】
また本発明は、生地本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、前記生地本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記生地本体を構成する繊維に、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させる機能性繊維生地の製造方法である。さらに、前記機能性繊維生地の製造方法で機能性繊維生地を製造した後、当該機能性繊維生地を使用者の肌に触れる部位に配することによって、機能性繊維製品を形成する機能性繊維製品の製造方法である。
【0014】
また本発明は、製品本体と、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物とを用意し、前記製品本体に前記液状乳化物を付着させ、これを乾燥させることによって、前記製品本体を構成する繊維に、ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールを含む前記液状乳化物の成分を定着させる機能性繊維製品の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の機能性繊維、機能性繊維生地及び機能性繊維製品は、ハトムギの薬用成分であるコイクセノライド及びコイクソールによる優れた生理活性効果を良好かつ安定的に得ることができる。しかも、ハトムギ糠油の油脂成分であるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等により、肌の保湿や保護効果を得ることができ、さらに、本発明の繊維生地及び機能性繊維製品は、非常に滑らかでしっとりした良い風合いに仕上がる。また、本発明の製造方法を使用することによって、上記の機能性繊維、機能性繊維生地及び機能性繊維製品を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の機能性繊維製品の製造方法の第一実施形態を示す形態を示すフローチャートである。
図2図1の製造方法で使用する液状乳化物の構成を示す図である。
図3】本発明の機能性繊維製品の製造方法の第二実施形態、及び本発明の機能性繊維生地の製造方法の第一実施形態を示すフローチャートである。
図4】本発明の機能性繊維製品の製造方法の第三実施形態、本発明の機能性繊維生地の製造方法の第二実施形態、及び本発明の機能性繊維の製造方法の第一実施形態を示すフローチャートである。
図5】本発明の機能性繊維製品の製造方法の第四実施形態、本発明の機能性繊維生地の製造方法の第三実施形態、及び本発明の機能性繊維の製造方法の第二実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の機能性繊維製品とその製造方法の第一実施形態について、図1図2に基づいて説明する。この実施形態の機能性繊維製品10は、例えばインナー(下着、肌着)等に好適な実施形態で、製品本体10aのほぼ全体に、ハトムギ種子やその他のハトムギ部位から抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14の成分が定着しており、この成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれている。そして、使用者の肌に前記成分が触れることによって、コイクセノライド及びコイクソールによる生理活性効果が得られるという特徴がある。
【0018】
機能性繊維製品10の製造は、図1に示すように、まず、繊維生地12(例えば織物生地や編物生地)を裁断して複数のパーツを製作し、これらを組み合わせて縫製することによって製品本体10aを形成する。
【0019】
さらに、機能性繊維製品10の製造には、ハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14を用いる。液状乳化物14は、図2に示すように、ハトムギエキスに乳化剤を加えて乳化させ、さらに水等の希釈剤を加えて液状にしたものである。乳化剤は、ノニオン性で非イオン性の界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、アルキルアミンオキシド等がありその他、適宜の界面活性剤を用いることができる。
【0020】
ハトムギエキスは、ハトムギ種子から抽出されるオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分を有するハトムギ糠油、コイクセラノラド及びコイクソールが含まれている。ハトムギ糠油は、ハトムギ種子を精白する際の糠から抽出される油である。また、コイクセノライド及びコイクソールは、外皮やヨクイニン(子実)から多く抽出される薬用成分で、美白効果、肌荒れ防止効果、アレルギー抑制化効果等の優れた生理活性効果が得られるものである。
【0021】
製品本体10a及び液状乳化物14を用意した後、浸漬法や噴霧法等を用いて液状乳化物14を、製品本体10aを構成する繊維に付着させる。そして、これを乾燥させて液状乳化物14の揮発成分を飛ばすと、液状乳化物14の成分(ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソール等)が製品本体10aを構成する繊維に定着し、機能性繊維製品10ができあがる。
【0022】
液状乳化物14を形成するための界面活性剤は、できるだけ細かいミセルが形成されるものを使用するのが好ましく、これによって、液状乳化物14の成分が製品本体10aを構成する繊維の表面に強固に定着する(物理的に付着する)。実際に、複数種類の機能性繊維製品10を試作して洗濯試験を行ったところ、マイクロカプセルを付着させた時よりも、上記成分(ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソール等)が脱落しにくいという結果が得られた。また、この洗濯試験により、製品本体10aの素材がポリエステル等の親油性素材の時に、より強く定着することも分かった。
【0023】
以上説明したように、機能性繊維製品10は、ハトムギの薬用成分であるコイクセノライド及びコイクソールによる優れた生理活性効果を良好かつ安定的に得ることができる。しかも、ハトムギ糠油の油脂成分であるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等により、肌の保湿や保護効果を得ることができ、さらに、繊維生地及び機能性繊維製品が、非常に滑らかでしっとりした良い風合いに仕上がる。また、図1に示す製造方法により、上記の優れた性能を有した機能性繊維製品10を容易に製造することができる。
【0024】
次に、本発明の機能性繊維製品とその製造方法の第二実施形態、及び本発明の機能性繊維生地とその製造方法の第一実施形態について、図3に基づいて説明する。この実施形態の機能性繊維製品16は、使用者の肌に触れる特定の部位に、機能性繊維生地18が使用されている繊維製品である。機能性繊維生地18は、生地本体18aに、ハトムギ種子から抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14の成分が定着しており、この成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸やリノール酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれている。そして、使用者の肌に前記成分が触れることによって、コイクセノライド及びコイクソールによる生理活性効果が得られる。
【0025】
機能性繊維製品16の製造には、図3に示すように、まず、生地本体18a(例えば織物生地や編物生地)と、上記の液状乳化物14とを用意する。そして、浸漬法や噴霧法等を用いて液状乳化物14を、生地本体18aを構成する繊維に付着させ、これを乾燥させて液状乳化物14の揮発成分を飛ばす。これで、液状乳化物14の成分(ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソール等)が生地本体18aを構成する繊維に定着し、機能性繊維生地18ができあがる。
【0026】
その後、機能性繊維生地18及びその他の繊維生地(一般的な織物生地や編物生地等)を裁断して複数のパーツを製作し、これらを組み合わせて縫製すると、機能性繊維製品16ができあがる。
【0027】
機能性繊維製品16及び機能性繊維生地18は、上記実施形態と同様に、ハトムギの薬用成分であるコイクセノライド及びコイクソールによる優れた生理活性効果を良好かつ安定的に得ることができる。しかも、ハトムギ糠油の油脂成分であるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等により、肌の保湿や保護効果を得ることができ、さらに、繊維生地及び機能性繊維製品が、非常に滑らかでしっとりした良い風合いに仕上がる。また、図3に示す製造方法により、上記の優れた性能を有した機能性繊維製品16及び機能性繊維生地18を容易に製造することができる。
【0028】
次に、本発明の機能性繊維製品とその製造方法の第三実施形態、本発明の機能性繊維生地とその製造方法の第二実施形態、及び本発明の機能性繊維及びその製造方法の第一実施形態について、図4に基づいて説明する。この実施形態の機能性繊維製品20(1)は、使用者の肌に触れる特定の部位に、機能性繊維生地22が使用されている繊維製品で、機能性繊維生地22は、機能性繊維24で構成された織物生地又は編物生地である。機能性繊維24は、繊維本体24aに、ハトムギ種子から抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14の成分が定着しており、この成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれている。そして、使用者の肌に前記成分が触れることによって、コイクセノライド及びコイクソールよる生理活性効果が得られるという特徴がある。
【0029】
機能性繊維製品20(1)の製造は、図4に示すように、まず繊維本体24a又は繊維本体24aを撚糸した糸と、上記の液状乳化物14とを用意する。そして、浸漬法や噴霧法等を用いて液状乳化物14を繊維本体24aに付着させ、これを乾燥させて液状乳化物14の揮発成分を飛ばす。これで、液状乳化物14の成分(ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソール等)が繊維本体24aに定着し、機能性繊維24ができあがる。
【0030】
その後、機能性繊維24を用いて機能性繊維生地22を形成する。そして、機能性繊維生地22及びその他の繊維生地(一般的な織物生地や編物生地等)を裁断して複数のパーツを製作し、これらを組み合わせて縫製すると、機能性繊維製品20(1)ができあがる。
【0031】
また、図4の中の機能性繊維製品20(2)は、機能性繊維24により形成された糸だけで編み上げられるセーター等であり、この場合、パーツの裁断作業は不要になる。
【0032】
機能性繊維製品20(1),20(2)、機能性繊維生地22及び機能性繊維24は、上記実施形態と同様に、ハトムギの薬用成分であるコイクセノライド及びコイクソールによる優れた生理活性効果を良好かつ安定的に得ることができる。しかも、ハトムギ糠油の油脂成分であるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等により、肌の保湿や保護効果を得ることができ、さらに、繊維生地及び機能性繊維製品が、非常に滑らかでしっとりした良い風合いに仕上がる。また、図4に示す製造方法により、上記の優れた性能を有した機能性繊維製品20(1),20(2)、機能性繊維生地22及び機能性繊維24を、容易に製造することができる。
【0033】
次に、本発明の機能性繊維製品とその製造方法の第四実施形態、本発明の機能性繊維生地とその製造方法の第三実施形態、及び本発明の機能性繊維及びその製造方法の第二実施形態について、図5に基づいて説明する。この実施形態の機能性繊維製品26(1)は、使用者の肌に触れる特定の位置に機能性繊維生地28が使用されている繊維製品で、機能性繊維生地28は、機能性繊維30で構成された織物生地又は編物生地である。機能性繊維30は、化学繊維の繊維本体24aに、ハトムギから抽出されたハトムギエキスを主成分とする液状乳化物14xの成分が練り込まれており、この成分には、ハトムギ糠油のオレイン酸やリノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソールが含まれている。そして、使用者の肌に前記成分が触れることによって、コイクセノライド及びコイクソールよる生理活性効果が得られるという特徴がある。
【0034】
機能性繊維製品26(1)の製造は、図5に示すように、まず機能性繊維30の繊維本体の材料となる樹脂ペレット32と、液状乳化物14xとを用意する。液状乳化物14xは、上記の液状乳化物14と同様の配合でもよいが、希釈剤は、分量を適宜調節することが好ましい。
【0035】
樹脂ペレット32及び液状乳化物14xが用意できたら、樹脂ペレット26を溶融させて液状乳化物14xとともに混錬した後、これを紡糸する。これで、液状乳化物14xの成分(ハトムギ糠油の油脂成分、コイクセノライド及びコイクソール等)が定着した機能性繊維30ができあがる。
【0036】
その後、機能性繊維30を用いて機能性繊維生地28を形成する。そして、機能性繊維生地28及びその他の繊維生地(一般的な織物生地や編物生地等)を裁断して複数のパーツを製作し、これらを組み合わせて縫製すると、機能性繊維製品26(1)ができあがる。
【0037】
また、図5の中の機能性繊維製品26(2)は、機能性繊維30だけ編み上げられるセーター等であり、この場合、パーツの裁断作業は不要になる。
【0038】
機能性繊維製品26(1),26(2)、機能性繊維生地28及び機能性繊維30は、上記実施形態と同様に、ハトムギの薬用成分であるコイクセノライド及びコイクソールによる優れた生理活性効果を良好かつ安定的に得ることができる。しかも、ハトムギ糠油の油脂成分であるオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸等により、肌の保湿や保護効果を得ることができ、さらに、繊維生地及び機能性繊維製品が、非常に滑らかでしっとりした良い風合いに仕上がる。また、図5に示す製造方法により、上記の優れた性能を有した機能性繊維製品26(1),26(2)、機能性繊維生地28及び機能性繊維30を、容易に製造することができる。
【0039】
ここで、上述した2つの機能性繊維24,30を比較すると、機能性繊維24(図4)は、液状乳化物14の成分が繊維本体24aの表面に定着し、薬用成分が使用者の肌に直接触れる構造なので、非常に強い効能が得られるという特徴がある。一方、機能性繊維30(図5)の場合、液状乳化物14xの成分が繊維に練り込まれて定着しているので、繰り返し洗濯しても薬用成分がほとんど脱落せず、非常に長い期間、効能を持続させることができるという特徴がある。したがって、どちらの形態を使用するかは、最終製品である機能性繊維製品の種類や使われ方を考慮して選択すればよい。
【0040】
なお、本発明の機能性繊維及びその製造方法、本発明の機能性繊維生地及びその製造方法、本発明の機能性繊維製品及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、液状乳化物を付着させる対象物が、繊維やその繊維により形成された糸の素材は、高い定着性が得られるポリエステル等の親油性素材であることが好ましく、条件が合えば、これ以外の素材であってもよい。また、繊維生地の種類は、織物生地や編物生地のみならず、不織布であってもよい。不織布は、肌に接するおむつやパンツ、マスク等に用いると、上記作用効果を発揮して好ましい。
【0041】
また、ハトムギエキスを乳化させるために使用する界面活性剤の種類は特に限定されず、液状乳化物を付着させる繊維等の素材や生地の種類等に合わせて適宜選択することができる。乳化させるハトムギエキスには、例えばバラやその他の芳香成分、抗菌剤等の薬剤を加えても良い。上記実施形態の説明の中の複数のパーツを一体化する方法は、縫製に限定されず、接着や溶着等の他の方法を使用してもよい。
【0042】
その他、本発明は、使用者の肌に触れる様々な繊維製品等に適用することができ、特に、肌着、下着、靴下、スポーツアンダーウエア、レギンス、スパッツ、レッグウォーマー、アームウォ-マー、マフラー、手袋、等の衣類に好適で、シーツや枕カバー等の寝具やタオル等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10,16,20(1),20(2),26(1),26(2) 機能性繊維製品
10a 製品本体
12 繊維生地
14,14x 液状乳化物
18,22,28 機能性繊維生地
18a 生地本体
24,30 機能性繊維
24a 繊維本体
32 樹脂ペレット
図1
図2
図3
図4
図5