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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060703
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ホースブリッジ
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20220408BHJP
   A62C 33/06 20060101ALI20220408BHJP
   E01C 9/08 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
F16L57/00 A
A62C33/06
E01C9/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168324
(22)【出願日】2020-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】391001169
【氏名又は名称】櫻護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲治
(72)【発明者】
【氏名】荒井 匠
【テーマコード(参考)】
2D051
2E189
3H024
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AC09
2D051AF12
2D051AF13
2D051AG03
2D051AG11
2D051AG12
2D051AG18
2D051AH01
2E189LA06
3H024AA01
3H024AB07
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】 より作業性の優れたホースブリッジを提供する。
【解決手段】 本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材の少なくとも一部は、発泡体で形成され、前記発泡体の10%変形時における圧縮応力が272kN/m以上である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材の少なくとも一部は、発泡体で形成され、前記発泡体の10%変形時における圧縮応力が272kN/m以上である、
ホースブリッジ。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記車両が走行する第1走行面が傾斜している傾斜部材と、前記車両が走行する第2走行面が地面と平行である拡張部材と、を有し、
前記拡張部材の一部が前記発泡体で形成される、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項3】
前記拡張部材は、前記発泡体で形成された本体と、前記地面と反対側に位置し、前記第2走行面を有する走行板とを有する、
請求項2に記載のホースブリッジ。
【請求項4】
前記進行方向において隣り合う一対の前記拡張部材と、連結具とを備え、
一対の前記拡張部材の各々は、前記第2走行面から前記地面側に向けて形成され、前記連結具が挿入される挿入部を有し、
前記連結具は、接続部と、前記接続部の一端に形成される第1つめ部と、前記接続部の他端に形成される第2つめ部とを有し、
一対の前記拡張部材は、一方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第1つめ部が挿入され、他方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第2つめ部が挿入されることで連結される、
請求項2または3に記載のホースブリッジ。
【請求項5】
前記進行方向において隣り合う一対の前記拡張部材を備え、
一対の前記拡張部材の一方は、側面に面ファスナーを有し、
一対の前記拡張部材の他方は、前記側面と対向する側面に前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーを有し、
一対の前記拡張部材は、前記面ファスナーと前記他の面ファスナーが係合することで連結される、
請求項2または3に記載のホースブリッジ。
【請求項6】
前記ガイド部材の少なくとも一部は、前記発泡体で形成された板材を重ねて形成される、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項7】
前記発泡体は、発泡スチロールである、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホースブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
消火活動などで消防用ホースを展張する際に消火対象と水源の位置関係によっては、消防用ホースが道路上に横断して設置されることがある。救急車や消防車などの車両は消火活動中であっても道路を通行しなければならないため、車両から消防用ホースを保護し、車両が道路を通行できるようにするホースブリッジが知られている。
【0003】
近年、呼称100を超える消防用ホースが活用されており、特に呼称150の消防用ホースが消防機関で運用される機会が増加している。大口径の消防用ホースに対応したホースブリッジも存在しているが、消防用ホースの口径に応じてホースブリッジも大型化し、重量も大きくなるため、消火活動などの現場におけるホースブリッジの運搬、設置等の作業には労力を要する。
【0004】
ホースブリッジは、走行する車両のホイールベースに対して十分に長くなければならない。ホースブリッジの長さが車両のホイールベースに対して十分に長くないと、車両がホースブリッジを跨いでしまう。消防用ホースの口径が大きくなると、地面から車両の底面の最低部位までの距離が消防用ホースの口径より短くなる場合もあり、車両がホースブリッジを跨いでしまうと車両の底面が消防用ホースと接触することがある。
【0005】
ホイールベースは車両により異なるため、ホイールベースの長い車両であればホースブリッジを長くする必要がある。ホースブリッジが長くなれば、さらにホースブリッジの運搬、設置等の作業には労力を要することになる。この点に関し、特許文献1においては作業性の向上を図るためのホースブリッジが提案されている。
【0006】
特許文献1に開示されたホースブリッジは、ホースを固定するために円弧状の断面に形成された固定部を有する複数の第1ブロックと、互いに連結された第1ブロックの両側又は片側に配置され、互いに連結されることにより上面に車両の走行スペースが形成される複数の第2ブロックとを備えている。第1ブロックおよび第2ブロックは、複数に分割して形成されるため、一つ一つのブロックの寸法および重量を適宜決定することができる。そのため、ブロックの設置時には車載クレーン等を用いなくとも人力で設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008-89160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に開示されたホースブリッジを踏まえても、ホースブリッジの作業性の向上に関しては未だに種々の改善の余地がある。例えば、特許文献1に開示されたホースブリッジであっても、消防用ホースの口径に応じてホースブリッジは大型化するため、各ブロックの寸法や重量は大きくなり、現場での作業性を十分に向上させることはできない。
【0009】
そこで、本発明は、より作業性の優れたホースブリッジを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るホースブリッジは、ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護する。当該ホースブリッジは、前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備えている。前記ガイド部材の少なくとも一部は、発泡体で形成され、前記発泡体の10%変形時における圧縮応力が272kN/m以上である。
【0011】
前記ガイド部材は、前記車両が走行する第1走行面が傾斜している傾斜部材と、前記車両が走行する第2走行面が地面と平行である拡張部材とを有し、前記拡張部材の一部が前記発泡体で形成されてもよい。前記拡張部材は、前記発泡体で形成された本体と、前記地面と反対側に位置し、前記第2走行面を有する走行板とを有してもよい。
【0012】
前記ホースブリッジは、前記進行方向において隣り合う一対の前記拡張部材と、連結具とを備えてもよい。一対の前記拡張部材の各々は、前記第2走行面から前記地面側に向けて形成され、前記連結具が挿入される挿入部を有し、前記連結具は、接続部と、前記接続部の一端に形成される第1つめ部と、前記接続部の他端に形成される第2つめ部とを有してもよい。一対の前記拡張部材は、一方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第1つめ部が挿入され、他方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第2つめ部が挿入されることで連結されてもよい。
【0013】
前記ホースブリッジは、前記進行方向において隣り合う一対の前記拡張部材を備えてもよい。一対の前記拡張部材の一方は、側面に面ファスナーを有し、一対の前記拡張部材の他方は、前記側面と対向する側面に前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーを有してもよい。一対の前記拡張部材は、前記面ファスナーと前記他の面ファスナーが係合することで連結されてもよい。
【0014】
前記ガイド部材の少なくとも一部は、前記発泡体で形成された板材を重ねて形成されてもよい。前記発泡体は、発泡スチロールであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より作業性の優れたホースブリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態に係るホースブリッジの設置状況の一例を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す設置状況を正面から見た模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係るホースブリッジの設置状況の他の一例を示す模式図である。
図4図4は、図3に示す設置状況を正面から見た模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係るホースブリッジの拡張部材の概略的な分解図である。
図6図6は、ホースブリッジに加わる最大圧縮応力を車種ごとに示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係る拡張部材の一例を示す概略的な斜視図である。
図8図8は、第1実施形態に係る傾斜部材の一例を示す概略的な斜視図である。
図9図9は、第1実施形態に係るブリッジ部材の一例を示す概略的な斜視図である。
図10図10は、第1実施形態に係る一対の拡張部材を示す模式図である。
図11図11は、第1実施形態に係る一対の拡張部材の他の例を示す模式図である。
図12図12は、第1実施形態に係るホースブリッジ上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。
図13図13は、図12に示すホースブリッジ上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。
図14図14は、第1実施形態に係るホースブリッジの拡張部材の変形例を示す概略的な分解図である。
図15図15は、第2実施形態に係るホースブリッジの設置状況の一例を示す模式図である。
図16図16は、第2実施形態に係るホースブリッジの設置状況の他の一例を示す模式図である。
図17図17は、第2実施形態に係るホースブリッジの設置状況のさらに他の一例を示す模式図である。
図18図18は、第2実施形態に係るホースブリッジの概略的な部分平面図である。
図19図19は、図18におけるA-A線に沿うホースブリッジの概略的な部分断面図である。
図20図20は、第2実施形態に係るホースブリッジ上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。
図21図21は、図20に示すホースブリッジ上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。
図22図22は、第2実施形態に係るホースブリッジの変形例を示す模式図である。
図23図23は、第2実施形態の変形例として示すホースブリッジ上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。
図24図24は、図23に示すホースブリッジ上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のいくつかの実施形態につき図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
本実施形態においては、主に消防分野での使用が想定される消防用ホースを保護するホースブリッジを例示する。ただし、当該ホースブリッジは、消防用ホース以外にも排水用や工業用、農業用、工事用などに使用される種々のホースやケーブルなどにも利用できる。
【0018】
図1は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の設置状況の一例を示す模式図である。図2は、図1に示す設置状況を正面から見た模式図である。ホースブリッジ100は、ブリッジ部材10と、消防用ホースHの両側に設置されたガイド部材20とを備えている。ブリッジ部材10とガイド部材20は、車両V1の進行方向Dxに沿って地面Gに設置されている。
【0019】
進行方向Dxは、消防用ホースHの長手方向と交差する方向である。図2に示すように車両の幅方向Dyを定義する。幅方向Dyは、消防用ホースHの長手方向と一致する。地面Gからの垂直方向を高さ方向Dzと定義する。
【0020】
ブリッジ部材10は、直方体形状であって、消防用ホースHが通される挿通部11と、車両V1が走行するブリッジ面10aとを有している。ブリッジ面10aは、挿通部11の上方に位置している。ブリッジ部材10は、消防用ホースHを跨ぐように設置されている。
【0021】
ガイド部材20は、傾斜部材30と、拡張部材40とを有している。傾斜部材30は、ホースブリッジ100の端部に設けられており、拡張部材40は、ブリッジ部材10と傾斜部材30の間に設けられている。
【0022】
傾斜部材30は、側面視で三角形状であって、車両V1が走行する第1走行面30aを有している。第1走行面30aは傾斜しており、消防用ホースHから離れるにつれ第1走行面30aが地面Gに近づくように傾斜部材30が設置されている。
【0023】
拡張部材40は、直方体形状であって、車両V1が走行する第2走行面40aを有している。第2走行面40aは、地面Gと平行である。ガイド部材20は1つの拡張部材40を有しているが、ガイド部材20は車両V1の大きさ等に応じて2つ以上の拡張部材40を有してもよい。ホースブリッジ100の長さLB1は、拡張部材40の数量を変更することで調整できる。
【0024】
図2に示すように一対のホースブリッジ100が幅方向Dyに設置されている。図2に示す例においては、一対のホースブリッジ100の中心間の距離は幅方向DyにおけるタイヤTの中心間の距離LT1とおおよそ等しい。1つのタイヤTに対して1列のホースブリッジ100が設置されているが、タイヤTの大きさに応じて2列以上のホースブリッジ100が設置されてもよい。例えば、タイヤTの幅がホースブリッジ100の幅方向Dyの長さより大きい場合には、ホースブリッジ100が幅方向Dyに2列以上並べられてもよい。
【0025】
道路の複数車線を横断するように消防用ホースHが設置される場合には、一対のホースブリッジ100が車線数に応じて幅方向Dyに複数設置されてもよい。ホースブリッジ100は、複数車線の全幅を覆うように幅方向Dyに連結されてもよい。
【0026】
図1において、進行方向Dxにおける車両V1の動きを説明する。消防用ホースHの右側から走行してきた車両V1は、傾斜部材30の第1走行面30aからホースブリッジ100に乗り上げ、拡張部材40の第2走行面40aからブリッジ部材10のブリッジ面10aを走行し、消防用ホースHの左側に位置する拡張部材40の第2走行面40aから傾斜部材30の第1走行面30aを走行することで、消防用ホースH上を通過する。車両V1は消防用ホースH上を通過する際にホースブリッジ100上を走行するため、ホースブリッジ100は消防用ホースHを車両V1から保護することができる。
【0027】
図1において、ホースブリッジ100の長さLB1は、車両V1のホイールベースLH1に対して十分に長い。ホイールベースLH1は、進行方向DxにおけるタイヤT(前輪および後輪)の中心間の距離である。ホースブリッジ100の長さLB1が車両V1のホイールベースLH1に対して十分に長ければ、車両V1がホースブリッジ100を跨ぐことはない。
【0028】
車両V1は消防用ホースH上を通過する際にホースブリッジ100上に位置しているため、車両V1の底面VB1は消防用ホースHと接触しない。消防用ホースHが満水状態で膨張している場合であっても、車両V1の底面VB1が消防用ホースHと接触することはない。図2に示すように底面VB1が突出部VE1を有していても、突出部VE1が消防用ホースHと接触することはない。
【0029】
図3は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の設置状況の他の一例を示す模式図である。図4は、図3に示す設置状況を正面から見た模式図である。図3に示すようにガイド部材20が拡張部材40を有していない点で、図1に示した設置状況とは異なる。ガイド部材20が拡張部材40を有していないため、ホースブリッジ100の長さLB2は、図1におけるホースブリッジ100の長さLB1よりも短い。
【0030】
図3において、ホースブリッジ100の長さLB2は、車両V2のホイールベースLH2に対して十分に長くない。ホースブリッジ100の長さLB2が車両V2のホイールベースLH2に対して十分に長くないと、図3に示すように車両V2がホースブリッジ100を跨いでしまう。車両V2がホースブリッジ100を跨ぐと、車両V2の底面VB2が消防用ホースHと接触する恐れがある。図4に示すように底面VB2が突出部VE2を有する場合には、突出部VE2が消防用ホースHと接触してしまう。
【0031】
特に消防用ホースHの口径が大きくなると、高さ方向Dzにおける地面Gから車両V2の底面VB2の最低部位(例えば、突出部VE2など)までの距離が消防用ホースHの口径と変わらない場合、あるいは消防用ホースHの口径より短くなる場合がある。そのため、車両V2がホースブリッジ100を跨いでしまうと、車両V2の底面VB2が消防用ホースHやホースブリッジ100と接触する可能性がある。特に底面VB2が突出部VE2を有している場合には、接触する可能性がより高くなる。
【0032】
そのため、図1および図2に示したように、ホースブリッジ100は、ホースブリッジ100の長さLB1が車両V1のホイールベースLH1に対して十分に長くなるような配置のほうが好ましい。ホースブリッジ100の長さLB1は、例えば拡張部材40の数量を増加すること、または拡張部材40の進行方向Dxの長さを長くすることで長くすることができる。
【0033】
図5は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の拡張部材40の概略的な分解図である。拡張部材40は、本体50と、第2走行面40aを有する走行板51とを有している。本体50は、直方体形状であって、地面Gに設置される底面50Bと、底面50Bと反対側に位置する上面50Uとを有している。走行板51は、上面50Uに設けられている。走行板51は、例えば接着剤により上面50Uに取り付けられてもよいし、ねじにより上面50Uに取り付けられてもよい。
【0034】
本体50は、進行方向Dxにおける側面50a,50bと、幅方向Dyにおける側面50c,50dとを有している。側面50a,50bは幅方向Dyと平行であり、側面50c,50dは進行方向Dxと平行である。例えば、進行方向Dxに平行な辺E1の長さは45cmであり、幅方向Dyに平行な辺E2の長さは40cmである。辺E1は辺E2よりも短くてもよいし、辺E1は辺E2と等しくてもよい。本体50の高さは、保護する消防用ホースHの口径に応じて決定される。
【0035】
本体50は、発泡体で形成されている。発泡体は、例えば発泡プラスチックである。発泡プラスチックの一例としては、発泡スチロールや発泡ポリプロピレン、ポリウレタンなどである。発泡スチロールは、例えば高密度発泡スチロール(高強度発泡スチロール)である。高密度発泡スチロール(高強度発泡スチロール)の密度は、例えば24kg/m以上である。
【0036】
走行板51は、例えば鋼板、アルミ板、縞板、ゴム板、および樹脂板などで形成される。本体50に走行板51が設けられることで、車両が拡張部材40を走行する際にタイヤから本体50に与えられる荷重を上面50Uの全体や部分的に分散させることができる。さらに、走行する際の圧縮により本体50が轍状に変形することや、上面50Uがタイヤにより削れることを防止できる。走行板51は、拡張部材40とタイヤとの間にグリップ力を確保し、滑り止めとしての役割を果たす。走行板51を設け地面Gとの境界を明確にすることで、拡張部材40の視認性を向上させることができる。
【0037】
例えば、本体50の大きさが40cm×45cm×15cmの場合、本体50の体積は27,000cmである。本体50を形成する発泡体である発泡スチロールの密度が45kg/mの場合、本体50の質量は1.2kgとなる。本体50に走行板51として厚さ3mmのステンレス製縞板(例えば、単位質量:26kg/m)を設ける場合、走行板51の質量は4.7kgとなる。拡張部材40の質量は、走行板51を取り付けるための接着剤等を考慮しても7kg程度である。
【0038】
従来品の場合、例えば同サイズの合成ゴム製拡張部材であれば質量は30kgであった。本体50が発泡体で形成されることで、拡張部材40の質量は従来品から大幅に軽減する。発泡スチロールのような発泡体であれば、拡張部材40の質量をより軽減することができる。拡張部材40の質量が軽減されることで、拡張部材40の可搬性が向上するだけでなく、現場での拡張部材40を運搬、設置等するための作業に必要な労力を削減できる。
【0039】
図6は、ホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力を車種ごとに示す図である。一例として、拡張部材40に加わる最大圧縮応力を示している。車両総重量は、車種ごとに定められている。タイヤにかかる荷重は、車両が有する4個のタイヤ(トラックなどによくみられるダブルタイヤの場合は2個を1個と仮定)に均等に荷重が加わると仮定して算出している。ただし、輪荷重(1つの車輪にかかる重さ)は5トン以下であるため、大型自動車においては、1つのタイヤにかかる重量を5トンとして算出している。
【0040】
ホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力は、拡張部材40の第2走行面40a全体に均等に荷重が加わると仮定して、タイヤにかかる荷重の最大値を拡張部材40の第2走行面40aの面積(40cm×45cm)で除すことで算出している。図6より、ホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力の最大値は、大型自動車における272.2kN/mである。
【0041】
ホースブリッジ100に使用される発泡体の機械的特性として10%変形時における圧縮応力(10%変形圧縮応力)は、ホースブリッジ100とタイヤが接触する部分やその周囲の直接タイヤが接触していなくても応力が分散する部分に加わる、輪荷重による圧縮応力以上であることが好ましい。10%変形圧縮応力は、JIS K7220「硬質発泡プラスチック-圧縮特性の求め方」に規定されている。
【0042】
具体例として、40cm×45cmである拡張部材40の本体50に車両の最大輪荷重である5トンが加わる状況を想定する。本体50の上面50U全体に均等に荷重が加わる場合には272.2kN/mの圧縮応力が発生するため、発泡体の10%変形時における圧縮応力は、272kN/m以上であることが好ましい。このような機械的特性を有する発泡体であれば、普通自動車から大型自動車までの走行に対応した拡張部材40の本体50を形成することができる。
【0043】
発泡体に荷重を加えた際の変形量は、以下の手順で測定することができる。
[測定方法]
発泡体で形成された材料から10cm×10cmであって、厚さ3cmの板材を作成する。その板材を3枚積層し接着剤で固定することで、10cm×10cm×9cmの圧縮試験用供試体を作成する。作成された圧縮試験用供試体の10cm×10cmの平面部分全体に荷重を加え、当該荷重における変形量を測定する。
【0044】
一例として、発泡スチロールにて圧縮試験用供試体を作成し、荷重を加えた際の変形量の測定を行った。当該発泡スチロールは、押出成形機で成形されたビーズ法ポリスチレンフォーム板である。
【0045】
圧縮試験用供試体に5000Nの荷重を加えた際の変形量を測定すると、変形量は9mm程度であった。圧縮試験用供試体の厚さが9cmであるため、変形率は約10%である。この測定結果から、圧縮試験用供試体の10%変形時における圧縮応力は、5000N/100cm=50N/cm=500kN/m=0.5MPaであると確認できる。
【0046】
この値は、図6よりホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力である272.2kN/mよりも大きい。上記の発泡スチロールで形成された本体50であれば、本体50の上面50U全体に車両の最大輪荷重である5トンが加わる場合であっても第2走行面40aの面積の半分程度に荷重が分散すれば、本体50は10%以上変形しないと考えられる。
【0047】
輪荷重の5トンが加わる際に本体50に加わる圧縮応力を圧縮試験用供試体が10%変形した圧縮応力以下にするためには、タイヤと本体50との接触面積は980cm(=49000N/(50N/cm))以上必要となり、タイヤと本体50はおよそ31cm×31cm以上の接触が必要になる。980cm以上の接触面積は、大型トラック等では確保できない場合もあるため、本体50の上面50Uには走行板51を設けることでタイヤからの荷重を分散させるほうが好ましい。
【0048】
ホースブリッジ100を走行する車種が予め決まっている場合には、車種ごとの車両総重量に応じて発泡体の10%変形時における圧縮応力を定めることができる。例えば、車種が普通自動車である場合、第2走行面40aの面積が40cm×45cmで全体に均等に荷重が加わるとすると、図6よりホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力は47.6kN/mであるため、発泡体の10%変形時における圧縮応力は47kN/m以上であればよい。
【0049】
車種が準中型自動車である場合、第2走行面40aの面積が40cm×45cmで全体に均等に荷重が加わるとすると、図6よりホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力は102.1kN/mであるため、発泡体の10%変形時における圧縮応力は102kN/m以上であればよい。車種が中型自動車である場合、第2走行面40aの面積が40cm×45cmで全体に均等に荷重が加わるとすると、図6よりホースブリッジ100に加わる最大圧縮応力は149.7kN/mであるため、発泡体の10%変形時における圧縮応力は149kN/m以上であればよい。
【0050】
図7は、第1実施形態に係る拡張部材40の一例を示す概略的な斜視図である。図7に示す例において、本体50は、側面50a側に形成された第1連結部P10と、側面50b側に形成された第2連結部P20とを有している。第1連結部P10と第2連結部P20は、各々2つ形成されている。
【0051】
第1連結部P10は、第1係合部P11と、第1係合部P11と側面50aをつなぐ第1接続部P12とを有している。第2連結部P20は、第2係合部P21と、第2係合部P21と側面50bをつなぐ第2接続部P22とを有している。
【0052】
図7に示す例において、第1連結部P10および第2連結部P20は、平面視で前円後方形状に形成されている。つまり、第1係合部P11と第2係合部P21は平面視で円形状であり、第1接続部P12と第2接続部P22は矩形状である。
【0053】
第2係合部P21の内径は、第1係合部P11の外径よりも大きくなるように形成されている。第2接続部P22の幅方向Dyの長さは、第1接続部P12の幅方向Dyの長さよりも長くなるように形成されている。第2接続部P22の進行方向Dxの長さは、第1接続部P12の進行方向Dxの長さよりも短くなるように形成されている。
【0054】
第1係合部P11の外径は、第2接続部P22の幅よりも大きくなるように形成されている。第2連結部P20の高さ方向Dzにおける長さは、第1連結部P10の高さ方向Dzにおける長さよりも長くなるように形成されている。
【0055】
第1連結部P10は、本体50と同じ発泡体で形成されている。第1連結部P10は、本体50とは異なる材料で形成されてもよいし、本体50と着脱可能であってもよい。また、第1連結部P10および第2連結部P20は上述のような形状に限られず、他の形状を適用することもできる。
【0056】
進行方向Dxにおいて図7に示す拡張部材40を一対連結させる場合、一方の拡張部材40が有する第1連結部P10を、他方の拡張部材40が有する第2連結部P20に嵌め込み、第1係合部P11を第2係合部P21と係合させることで、一対の拡張部材40を連結させることができる。
【0057】
図8は、第1実施形態に係る傾斜部材30の一例を示す概略的な斜視図である。傾斜部材30は、進行方向Dxにおける側面31側に第2連結部P20を有している。傾斜部材30は第2連結部P20を有するため、図7に示す拡張部材40に連結させることが可能である。図8に示す例においては、第2連結部P20は2つ形成されている。
【0058】
図9は、第1実施形態に係るブリッジ部材10の一例を示す概略的な斜視図である。ブリッジ部材10は、第3連結部P30を進行方向Dxにおける両側の端部に有している。第3連結部P30は、図7を用いて説明した第2連結部P20の第2係合部P21と係合可能な、円柱形状の第3係合部P31を有している。図9に示す例においては、第3係合部P31は2つ形成されている。
【0059】
進行方向Dxにおいてブリッジ部材10を図7に示す拡張部材40と連結させる場合、ブリッジ部材10が有する第3連結部P30を、拡張部材40が有する第2連結部P20に嵌め込み、第3係合部P31を第2係合部P21と係合させることで、ブリッジ部材10を拡張部材40と連結させることができる。
【0060】
図7乃至図9において説明したように、ブリッジ部材10、傾斜部材30、および拡張部材40は、第1連結部P10、第2連結部P20、および第3連結部P30を用いて連結させることができる。ホースブリッジ100以外の部品であっても、第1連結部P10、第2連結部P20、および第3連結部P30と連結可能な構造を有するパーツであれば、拡張部材40などと連結させることが可能である。
【0061】
図10は、第1実施形態に係る一対の拡張部材40を示す模式図である。ガイド部材20は、進行方向Dxにおいて隣り合う一対の拡張部材40を有している。右側の拡張部材40の側面50bは、左側の拡張部材40の側面50aと対向している。
【0062】
一対の拡張部材40の各々は、第2走行面40aから地面G側に向けて形成された挿入部h1~h4を有している。挿入部h1~h4は、例えば拡張部材40の四隅に形成された穴である。挿入部h1~h4は、第2走行面40aから底面50Bまで貫通してもよい。挿入部h1~h4の形状は、例えば円形状であるが、連結具F1に応じて決定することができる。
【0063】
挿入部h1と挿入部h2は側面50a側端部に幅方向Dyに沿って並んでおり、挿入部h3と挿入部h4は側面50b側端部に幅方向Dyに沿って並んでいる。挿入部h1と挿入部h4は側面50d側端部に進行方向Dxに沿って並んでおり、挿入部h2と挿入部h3は側面50c側端部に進行方向Dxに沿って並んでいる。
【0064】
右側の拡張部材40の側面50bが左側の拡張部材40の側面50aと一致している状態において、右側の拡張部材40の挿入部h4は、進行方向Dxにおいて左側の拡張部材40の挿入部h1と隣り合っており、右側の拡張部材40の挿入部h3は、進行方向Dxにおいて左側の拡張部材40の挿入部h2と隣り合っている。
【0065】
一対の拡張部材40は、ホースブリッジ100が備える連結具F1により連結される。連結具F1は、接続部C1と、接続部C1の一端に形成される第1つめ部F1aと、接続部C1の他端に形成される第2つめ部F1bとを有している。図10に示す例においては、連結具F1は、鎹形状であって、接続部C1は進行方向Dxに平行であり、接続部C1と第1つめ部F1aおよび第2つめ部F1bがなす角度は90度であり、第1つめ部F1aは第2つめ部F1bと平行である。第1つめ部F1aの長さは、第2つめ部F1bの長さと等しい。接続部C1と第1つめ部F1aおよび第2つめ部F1bがなす角度は90度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。連結具F1は、例えば金属材料で形成された丸棒の両端部を折り曲げることで形成される。
【0066】
例えば、第1つめ部F1aと第2つめ部F1bの中心間の長さLF1は、右側の拡張部材40の側面50bが左側の拡張部材40の側面50aと一致している状態において、右側の拡張部材40の挿入部h4と左側の拡張部材40の挿入部h1の中心間の長さLD1と等しい。
【0067】
一対の拡張部材40が連結される場合には、左側の拡張部材40の挿入部h1に連結具F1の第1つめ部F1aが挿入され、右側の拡張部材40の挿入部h4に連結具F1の第2つめ部F1bが挿入される。同様に左側の拡張部材40の挿入部h2と右側の拡張部材40の挿入部h3にも連結具F1が挿入されることで、一対の拡張部材40は進行方向Dxにおいて連結される。連結具F1を用いることで、一対の拡張部材40の連結作業は容易に行うことができる。
【0068】
挿入部h1~h4の直径は、例えば第1つめ部F1aや第2つめ部F1bの外径よりも大きくなるように形成されている。挿入部h1~h4は、例えば第1つめ部F1aの長さや第2つめ部F1bの長さよりも深くなるように形成されている。挿入部h1~h4がこのような形状であれば、連結具F1の着脱作業は、容易に行うことができる。
【0069】
図10を用いて説明した例においては、一対の拡張部材40は2つの連結具F1により連結されるが、一対の拡張部材40の各々がさらに挿入部を有することで、一対の拡張部材40が3つ以上の連結具F1により連結されてもよい。一対の拡張部材40は、1つの連結具F1により連結されてもよい。また、拡張部材40は、連結具F1を用いて幅方向Dyに連結されてもよい。
【0070】
図11は、第1実施形態に係る一対の拡張部材40の他の例を示す模式図である。ガイド部材20が進行方向Dxにおいて隣り合う一対の拡張部材40を有している。右側の拡張部材40の側面50bは、左側の拡張部材40の側面50aと対向している。
【0071】
一対の拡張部材40において、側面50aは面ファスナーSを有しており、高さ方向Dzにおいて面ファスナーSのフック部SHが側面50aの上側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50aの下側に設けられている。一方、図示しないが側面50bは面ファスナーSを有しており、高さ方向Dzにおいて面ファスナーSのフック部SHが側面50bの下側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50bの上側に設けられている。
【0072】
上記の例に限られず、高さ方向Dzにおいて、面ファスナーSのフック部SHが側面50aの下側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50aの上側に設けられてもよい。この場合、高さ方向Dzにおいて、面ファスナーSのフック部SHが側面50bの上側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50bの下側に設けられてもよい。面ファスナーSは拡張部材40の側面の長手方向に沿って設けられているが、短手方向に沿って設けられてもよい。面ファスナーSは、例えば接着剤により側面に貼り付けられている。
【0073】
右側の拡張部材40の側面50bが左側の拡張部材40の側面50aと対向している状態において、左側の拡張部材40の側面50aに設けられたフック部SHは、右側の拡張部材40の側面50bに設けられたループ部SLと係合可能な位置にあり、左側の拡張部材40の側面50aに設けられたループ部SLは、右側の拡張部材40の側面50bに設けられたフック部SHと係合可能な位置にある。
【0074】
右側の拡張部材40の側面50bを左側の拡張部材40の側面50aと一致させると、左側の拡張部材40の側面50aに設けられたフック部SHが右側の拡張部材40の側面50bに設けられたループ部SLと係合し、左側の拡張部材40の側面50aに設けられたループ部SLが右側の拡張部材40の側面50bに設けられたフック部SHと係合されることで、一対の拡張部材40は進行方向Dxにおいて連結される。面ファスナーSを用いることで、一対の拡張部材40の連結作業は容易に行うことができる。
【0075】
拡張部材40は、側面50cや側面50dに面ファスナーSを有してもよい。図11の例において、側面50cは面ファスナーSを有しており、高さ方向Dzにおいて面ファスナーSのフック部SHが側面50cの上側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50cの下側に設けられている。一方、図示しないが側面50dは面ファスナーSを有しており、高さ方向Dzにおいて面ファスナーSのフック部SHが側面50dの下側に設けられ、面ファスナーSのループ部SLが側面50dの上側に設けられている。
【0076】
上記のように側面50c,50dに面ファスナーSを有する一対の拡張部材40を幅方向Dyに並べ、一方の側面50cと他方の側面50dが有する面ファスナーSを係合させることで、一対の拡張部材40は幅方向Dyにおいて連結される。
【0077】
図11に示す例において、側面50a~50dに設けられた面ファスナーSはフック部SHとループ部SLの2枚であるが、側面50a~50dに設けられる面ファスナーSはフック部SHとループ部SLのうちどちらか1枚であってもよいし、フック部SHとループ部SLが合わせて3枚以上であってもよい。
【0078】
面ファスナーSを用いた連結方法は、図10を用いて説明した連結具F1と組み合わせて使用することもできる。例えば、一対の拡張部材40は、進行方向Dxにおいて連結具F1と面ファスナーSにより連結させてもよい。進行方向Dxにおいては拡張部材40を連結具F1により連結させ、幅方向Dyにおいては拡張部材40を面ファスナーSにより連結させてもよい。進行方向Dxにおいては拡張部材40を面ファスナーSにより連結させ、幅方向Dyにおいては拡張部材40を連結具F1により連結させてもよい。
【0079】
図12は、第1実施形態に係るホースブリッジ100上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。図13は、図12に示すホースブリッジ100上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。図12および図13において、ホースブリッジ100が備えるガイド部材20は、傾斜部材30と、一対の拡張部材40とを有している。
【0080】
図13に示すように、ホースブリッジ100上を走行する車両のタイヤTがブリッジ部材10と隣り合う拡張部材40の第2走行面40aに位置している状況を想定する。車両は、進行方向Dxにおいて、図13中右側から左側へ走行する。図12においては、ホースブリッジ100上を車両が走行していないため、拡張部材40は変形していない。図13においては、拡張部材40に車両の荷重が加わるため、拡張部材40は変形している。
【0081】
拡張部材40が高さ方向Dzに変形すると、拡張部材40とブリッジ部材10との高さの差は、拡張部材40の変形前と比較して大きくなる。図13に示すように進行方向DxにおいてタイヤTがブリッジ部材10の端部と接触した状態において、タイヤTの底部からブリッジ部材10のブリッジ面10aまでの高さGAが高くなると、拡張部材40からブリッジ部材10への車両の走行に支障をきたす。
【0082】
例えば「移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令」の第8条において、歩道等(縁石を除く。)の車道等に対する高さが規定されているように、高さGAは5cm以内であることが好ましい。高さGAが5cm以内であれば、車両は拡張部材40からブリッジ部材10へ走行できる。
【0083】
図12および図13においてはブリッジ部材10と拡張部材40との関係について説明したが、一対の拡張部材40の関係や、拡張部材40と傾斜部材30との関係においても同様である。つまり、車両がホースブリッジ100上を走行する際、車両の荷重が加わる部品に位置しているタイヤTが進行方向Dxに隣り合う次の部品に接触した状態において、タイヤTの底部から次の部品の端部までの高さGAは、5cm以内であることが好ましい。上記の基準を満たすホースブリッジ100であれば、車両はホースブリッジ100上を問題なく走行できる。
【0084】
例えば、消防用ホースHのサイズが呼称400である場合、消防用ホースHの外径400mmに合わせて、拡張部材40は高さが400mmとなるように形成される。高さ400mmの拡張部材40が5cm変形するときの変形率は、12.5%である。
【0085】
図6を用いて説明したように、10%変形時における圧縮応力が272kN/m以上である発泡体で形成された本体50を有する拡張部材40であれば、車両の最大輪荷重である5トンが加わる場合であっても第2走行面40aの適当な面積以上に荷重を分散させることにより、変形率が12.5%となるまで拡張部材40が変形することはないと考えられる。この場合、車両がホースブリッジ100上を走行する際に拡張部材40の変形量が5cmより大きくなることはないため、車両はホースブリッジ100上を問題なく走行できる。
【0086】
以上説明した第1実施形態によれば、従来品より作業性の優れたホースブリッジ100を提供することができる。拡張部材40の本体50が発泡体で形成されることで、拡張部材40の質量は従来品から大幅に軽減され、軽量化された拡張部材40を形成することができる。軽量化された拡張部材40であれば、現場における拡張部材40の運搬、設置など作業に必要な労力を削減することができる。作業に必要な労力を削減することで、作業時間を短縮することもできる。
【0087】
車両のホイールベースが長い場合、ホースブリッジ100を長くするために必要な拡張部材40の数量は増加するが、拡張部材40が軽量であるため現場における拡張部材40の運搬、設置などの作業に必要な労力の増加を抑制することができる。
【0088】
消防用ホースHの口径に応じて拡張部材40の高さを高くしたり、現場や走行する車種などに応じて従来品よりも進行方向Dxや幅方向Dyに拡張させたりしても、拡張部材40の質量は増加しにくいため、大型化された拡張部材40であっても人力で運搬することができ、運搬のためにクレーンなどの重機が必要とならない。拡張部材40を大型化することで、必要な拡張部材40の数量を削減することもできる。
【0089】
発泡体で形成された本体50であっても、本体50の上面50Uに走行板51を設けることで、車両が拡張部材40を走行する際にタイヤから本体50に与えられる荷重を上面50Uの全体や部分的に分散させることができる。
【0090】
図6を用いて説明したように、発泡体の10%変形時における圧縮応力が272kN/m以上であれば、普通自動車から大型自動車までの走行に対応した拡張部材40を形成することができる。このような発泡体を使用することでホースブリッジ100としての機能を維持したまま、拡張部材40の質量を軽減させることができる。
【0091】
図10および図11を用いて説明した連結方法であれば、一対の拡張部材40を容易に連結させることができるため、現場における設置、解体などの作業に必要な労力を削減することができる。
【0092】
図14は、第1実施形態に係るホースブリッジ100の拡張部材40の変形例を示す概略的な分解図である。拡張部材41は、本体50と、第2走行面41aを有する走行板51と、設置板52とを有している。拡張部材41は、設置板52を有している点で拡張部材40と異なる。
【0093】
設置板52は、本体50の底面50Bに設けられている。設置板52は、例えば走行板51と同様に鋼板、アルミ板、縞板、ゴム板、および樹脂板などで形成される。また、設置板52として、ゴムシートや樹脂シートを設けたり、ゴム塗料や樹脂塗料などを底面50Bに塗布したりしてもよい。本体50に設置板52が設けられることで、本体50の底面50Bが地面Gにより削れることを防止できるだけでなく、設置板52が地面Gに対して滑り止めとしての役割を果たす。
【0094】
第1実施形態の他の変形例として、本体50の上面50Uには、走行板51の代わりにタイヤにより削れることを防止するため、ゴムシートや樹脂シートを設けたり、ゴム塗料や樹脂塗料などを上面50Uに塗布したりしてもよい。当該変形例は、ホースブリッジ100上を走行する車両が予めわかっている場合や、車両から加わる荷重を本体50全体に分散しなくてもよい場合などに適用し得る。
【0095】
第1実施形態のさらに他の変形例として、例えばアルミ板などで形成された走行板51に滑り止めテープを貼り付けたり、反射テープを貼り付けたりしてもよい。反射テープを貼り付けることで、車両が夜間などにホースブリッジ100上を走行する際の視認性を向上させることができる。
【0096】
第1実施形態のさらに他の変形例として、図11を用いて説明した面ファスナーSの代わりに、例えば一対の拡張部材40を連結させるためにマグネットシートを使用してもよい。図10および図11を用いて説明した連結方法は、一対の拡張部材40の連結だけでなく、ブリッジ部材10と拡張部材40との連結、拡張部材40と傾斜部材30との連結、およびブリッジ部材10と傾斜部材30との連結にも適用することができる。図7乃至図11を用いて説明した連結方法以外にも、他の方法によりホースブリッジ100を連結させてもよい。
【0097】
第1実施形態においては、拡張部材40が有する本体50が発泡体で形成される場合を例示したが、ブリッジ部材10や傾斜部材30が発泡体で形成されてもよい。ホースブリッジ100は、ブリッジ部材10を備えずにガイド部材20のみを備えることで、車両が消防用ホースH上を通過するようにしてもよい。ガイド部材20は、発泡体で形成された傾斜部材30のみを有してもよい。
【0098】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0099】
図15は、第2実施形態に係るホースブリッジ200の設置状況の一例を示す模式図である。ホースブリッジ200は、消防用ホースHの両側に進行方向Dxに沿って地面Gに設置されたガイド部材60と、ガイド部材60に掛け渡されたカバー部材80とを備えている。消防用ホースHを通すための挿通部HCがガイド部材60とカバー部材80により形成されている。図15に示すように、カバー部材80は、消防用ホースHの上方に位置している。
【0100】
ガイド部材60は、進行方向Dxに沿って高さの異なる複数のブロック61~63を有している。ブロック61~63は、車両が走行する走行面61a~63aを有している。ガイド部材60は、消防用ホースHに近づくにつれ高さが高くなるように進行方向Dxに沿って並べられている。ガイド部材60が有するブロックは3個に限られず、1個であってもよいし、2個以上であってもよく、ガイド部材60が有するブロックの数量に上限はない。
【0101】
ブロック61~63は、矩形状の板材70により形成されている。ブロック61は、1枚の板材70を有している。ブロック62は、2枚の板材70を有しており、これら板材70を高さ方向Dzに重ねて形成されている。ブロック63は、3枚の板材70を有しており、これら板材70を高さ方向Dzに重ねて形成されている。板材70は、接着剤による接着や、熱による溶着などにより高さ方向Dzに接続されている。
【0102】
板材70は、第1実施形態で説明した発泡体で形成されている。発泡体は、例えば発泡プラスチックである。発泡プラスチックの一例としては、発泡スチロールや発泡ポリプロピレン、ポリウレタンなどである。発泡スチロールは、例えば高密度発泡スチロール(高強度発泡スチロール)である。高密度発泡スチロール(高強度発泡スチロール)の密度は、例えば24kg/m以上である。
【0103】
発泡体の10%変形時における圧縮応力は、272kN/m以上であることが好ましい。このような機械的特性を有する発泡体であれば、普通自動車から大型自動車までの走行に対応したブロック61~63を形成することができる。ブロック61~63は軽量に形成されるため、現場でのガイド部材60を運搬、設置等するための作業に必要な労力を削減できる。
【0104】
板材70の厚さtは、例えば30mmである。この場合、ガイド部材60が有する段差STの高さは30mmになるが、第1実施形態において説明したように段差STの高さが5cm以下の30mmであれば、段差STは車両が走行する際に妨げとなりにくい。
【0105】
カバー部材80は、カバー面80aを有している。カバー部材80は、進行方向Dxにおける長さ以外は板材70と同じ寸法である。カバー部材80は、板材70と同じ発泡体で形成されている。そのため、カバー部材80も軽量に形成される。カバー部材80の進行方向Dxにおける長さは、消防用ホースHのサイズや本数などにより変更することができる。
【0106】
図15において、進行方向Dxにおける車両の動きを説明する。消防用ホースHの右側から走行してきた車両は、ガイド部材60が有するブロック61の走行面61aからホースブリッジ200に乗り上げ、ブロック62の走行面62a、ブロック63の走行面63a、カバー部材80のカバー面80aと順に走行し、消防用ホースHの左側に位置するブロック63の走行面63a、ブロック62の走行面62a、ブロック61の走行面61aと順に走行することで、消防用ホースH上を通過する。車両は消防用ホースH上を通過する際にホースブリッジ200上を走行するため、ホースブリッジ200は消防用ホースHを車両V1から保護することができる。
【0107】
図16は、第2実施形態に係るホースブリッジ200の設置状況の他の一例を示す模式図である。ホースブリッジ200は、2本の消防用ホースHを保護するように設置されている。ホースブリッジ200は、2本の消防用ホースHの両側に位置するガイド部材60を備えるだけでなく、2本の消防用ホースHの間にブロック63を有するガイド部材60を備えている。ホースブリッジ200は、2本の消防用ホースHの各々を跨ぐ2つのカバー部材80を備えている。2本の消防用ホースHを通すための挿通部HCがガイド部材60とカバー部材80により2か所に形成されている。
【0108】
図17は、第2実施形態に係るホースブリッジ200の設置状況のさらに他の一例を示す模式図である。ホースブリッジ200は、図16と同様に2本の消防用ホースHを保護するように設置されている。ホースブリッジ200は、図15および図16に示したカバー部材80とは異なるカバー部材81を備えている。カバー部材81は、カバー面81aを有し、2本の消防用ホースHを跨ぐことができる長さを有している。カバー部材81の進行方向Dxにおける長さは、カバー部材80の進行方向Dxにおける長さと異なる。カバー部材81は、カバー部材80と同じ発泡体で形成されている。2本の消防用ホースHを通すことができる挿通部HCがガイド部材60とカバー部材81により形成されている。
【0109】
図16および図17では消防用ホースHが2本の場合におけるホースブリッジ200の設置状況を例示したが、ホースブリッジ200には、消防用ホースHの本数や口径に応じて種々の組み合わせを適用し得る。
【0110】
図18は、第2実施形態に係るホースブリッジ200の概略的な部分平面図である。図19は、図18におけるA-A線に沿うホースブリッジ200の概略的な部分断面図である。図18および図19において、ガイド部材60は、進行方向Dxに沿って、ブロック61と、ブロック62と、一対のブロック63とを有している。図19に示すように、高さの同じブロック63が進行方向Dxに沿って並んでいる。
【0111】
ブロック61~63の各々は、走行面61a~63aから地面G側に向けて形成された挿入部を有しており、後述する挿入部h5~h9はその一部である。カバー部材80は、カバー面80aから地面G側に向けて形成された挿入部を有しており、後述する挿入部h10はその一部である。挿入部h5~h10は、例えばブロック61~63やカバー部材80の形成された穴である。図19の例においては、挿入部h10は、貫通している。
【0112】
図18および図19において、まずはガイド部材60が有するブロック61~63の連結について説明する。
【0113】
一対のブロック63は、ホースブリッジ200が備える連結具F1により連結されている。連結具F1は、図10を用いて説明したものと同一である。一対のブロック63は、左側のブロック63の挿入部h6に連結具F1の第1つめ部F1aが挿入され、右側のブロック63の挿入部h5に連結具F1の第2つめ部F1bが挿入されることで、進行方向Dxにおいて連結される。一対のブロック63のように高さが等しいブロック同士であれば、連結具F1により連結させることができる。
【0114】
ブロック63とブロック62は、ホースブリッジ200が備える連結具F2により連結されている。連結具F2は、接続部C2と、接続部C2の一端に形成される第1つめ部F2aと、接続部C2の他端に形成される第2つめ部F2bとを有している。接続部C2は、横棒C2a,C2bと、横棒C2a,C2bを接続する縦棒C2cとを有している。第1つめ部F2aは、横棒C2aの一端に形成されており、第2つめ部F2bは横棒C2bの一端に形成されている。第1つめ部F2aは、第2つめ部F2bよりも長い。
【0115】
図19に示す例においては、接続部C2は、階段形状である。横棒C2a,C2bは、進行方向Dxに平行であり、縦棒C2cは高さ方向Dzに平行である。横棒C2aと第1つめ部F2aがなす角度は90度であり、横棒C2bと第2つめ部F2bがなす角度は90度であるため、第1つめ部F2aは第2つめ部F2bと平行である。連結具F2は、例えば金属材料で形成された丸棒を折り曲げることで形成される。
【0116】
ブロック63とブロック62は、ブロック63の挿入部h6に連結具F2の第1つめ部F2aが挿入され、ブロック62の挿入部h7に連結具F2の第2つめ部F2bが挿入されることで、進行方向Dxにおいて連結される。
【0117】
ブロック63とブロック62は板材70の厚さtに相当する分だけ高さが異なるが、横棒C2aから横棒C2bまでの長さLF2が板材70の厚さtと等しいため、連結具F2を用いることでブロック63とブロック62を連結させることができる。隣り合うブロックの高さが異なる場合であっても高さの差は板材70の厚さtに相当するため、隣り合うブロックを連結具F2により連結させることができる。
【0118】
ブロック62とブロック61は、ホースブリッジ200が備える連結具F2により連結されている。ブロック62とブロック61は、ブロック62の挿入部h8に連結具F2の第1つめ部F2aが挿入され、ブロック61の挿入部h9に連結具F2の第2つめ部F2bが挿入されることで、進行方向Dxにおいて連結される。
【0119】
次に、ブロック63とカバー部材80の連結について説明する。ブロック63とカバー部材80は、ホースブリッジ200が備える連結具F3により連結されている。連結具F3は、円板形状の頭部F3aと、頭部F3aの中央部に接続されたピンF3bとを有している。頭部F3aの形状は、円板形状に限られず、矩形状であってもよい。
【0120】
図19に示すように、ブロック63が有する挿入部h5と、カバー部材80が有する挿入部h10は、高さ方向Dzにおいて同軸上に位置している。ブロック63とカバー部材80は、カバー面80a側から挿入部h10および挿入部h5にピンF3bが挿入されることで、進行方向Dxにおいて連結される。
【0121】
図20は、第2実施形態に係るホースブリッジ200上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。図21は、図20に示すホースブリッジ200上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。
【0122】
図20および図21において、ガイド部材60は、進行方向Dxに沿って複数のブロック61~65を有している。ブロック61~65は、車両が走行する走行面61a~65aを有している。ブロック64は、4枚の板材70を有しており、これら板材70を高さ方向Dzに重ねて形成されている。ブロック65は、5枚の板材70を有しており、これら板材70を高さ方向Dzに重ねて形成されている。
【0123】
図21に示すように、ホースブリッジ200上を走行する車両のタイヤTがブロック64の走行面64aに位置している状況を想定する。車両は、進行方向Dxにおいて、図21中右側から左側へ走行する。図20においては、ホースブリッジ200上を車両が走行していないため、ブロック64は変形していない。図21においては、ブロック64に車両の荷重が加わるため、ブロック64は変形している。
【0124】
ブロック64が高さ方向Dzに変形すると、ブロック64とブロック65との高さの差は、ブロック64の変形前と比較して大きくなる。図21に示すように進行方向DxにおいてタイヤTがブロック65の端部と接触した状態において、タイヤTの底部からブロック65の走行面65aまでの高さGAが高くなると、ブロック64からブロック65への車両の走行に支障をきたす。そのため、第1実施形態において説明したように、高さGAは5cm以内であることが好ましい。
【0125】
第2実施形態に係るホースブリッジ200であれば、ガイド部材60として予め高さの異なるブロックを準備しておくことで、消防用ホースHの口径や本数に柔軟に対応することができる。高さ方向Dzに重ねる板材70の数量を調整することで、消防用ホースHの口径に応じたホースブリッジ200を実現できる。対応可能な口径としては、例えば消防用ホースHの呼称65から呼称300や呼称400であるが、さらに大口径の消防用ホースHにも対応できる。
【0126】
板材70やカバー部材80,81が進行方向Dxにおける長さ以外は同じ寸法であって、同じ発泡体で形成されることで、板材70やカバー部材80,81を生産する際のコストを削減することもできる。
【0127】
図22は、第2実施形態に係るホースブリッジ200の変形例を示す模式図である。ホースブリッジ201は、消防用ホースHの両側に進行方向Dxに沿って地面Gに設置されたガイド部材90と、ガイド部材90に掛け渡されたカバー部材80とを備えている。ガイド部材90は、進行方向Dxに沿って複数のブロック91~93を有している。ブロック91~93は、地面Gと平行な走行面91a~93aと、地面Gに対して傾斜している走行面91b~93bとを有している。
【0128】
ブロック91は、1枚の板材71を有している。板材71は、進行方向Dxにおける一方の端部が地面Gに対して傾斜するように加工されている。板材71は、板材70やカバー部材80と同じ発泡体で形成されている。ブロック92は、1枚の板材71と1枚の板材70を有している。これら板材70と板材71は、板材71が上段に位置するように高さ方向Dzに重ねられている。ブロック93は、1枚の板材71と2枚の板材70を有している。これら板材70と板材71は、板材71が最上段に位置するように高さ方向Dzに重ねられている。
【0129】
ブロック91~93は、進行方向Dxにおいて走行面91b~93bが消防用ホースHと反対側に位置するように設置されている。走行面91b~93bは、消防用ホースHから離れるにつれ地面Gに近づくように傾斜している。ガイド部材90が走行面91b~93bを有することで、車両が走行する際にブロック91~93に円滑に乗り上げることができるため、車両はガイド部材90上を円滑に走行できる。カバー部材80も、板材71と同様に、地面Gに対して傾斜する面を有するように少なくとも一方の端部が加工されてもよい。
【0130】
ガイド部材90のブロック91~93は走行面91b~93bを有しているが、ガイド部材90は地面Gに対して傾斜している走行面を有さないブロックを少なくとも1つ有してもよい。例えば、車両がガイド部材90に乗り上げるのを補助するためにガイド部材90の端部のみにブロック91を設置し、他のブロックは地面Gに対して傾斜している走行面を有さないブロックであってもよい。
【0131】
図23は、第2実施形態の変形例として示すホースブリッジ201上を車両が走行していない状況の一例を示す模式図である。図24は、図23に示すホースブリッジ201上を車両が走行中の状況の一例を示す模式図である。
【0132】
図23および図24において、ガイド部材90は、進行方向Dxに沿って複数のブロック91~94を有している。ブロック91~94は、地面Gと平行な走行面91a~94aと、地面Gに対して傾斜している走行面91b~94bとを有している。ブロック94は、1枚の板材71と3枚の板材70を有している。これら板材70と板材71は、板材71が最上段に位置するように高さ方向Dzに重ねられている。ブロック91~94は、進行方向Dxにおいて走行面91b~94bが消防用ホースHと反対側に位置するように設置されている。
【0133】
図24に示すように、ホースブリッジ201上を走行する車両のタイヤTがブロック93の走行面93aに位置している状況を想定する。車両は、進行方向Dxにおいて、図24中右側から左側へ走行する。図23においては、ホースブリッジ201上を車両が走行していないため、ブロック93は変形していない。図24においては、ブロック93に車両の荷重が加わるため、ブロック93は変形している。
【0134】
ブロック93が高さ方向Dzに変形すると、ブロック94とブロック93との高さの差は、ブロック93の変形前と比較して大きくなる。図24に示すように進行方向DxにおいてタイヤTがブロック94の端部と接触した状態において、タイヤTの底部からブロック94の走行面94bの端部までの高さGAが高くなると、ブロック93からブロック94への車両の走行に支障をきたす。そのため、第1実施形態において説明したように、高さGAは5cm以内であることが好ましい。
【0135】
タイヤTの底部からブロック94の走行面94bの端部までの高さGAは、タイヤTの底部からブロック94の走行面94aの端部までの高さよりも低い。そのため、走行面94bを有していない場合と比較してブロック93の変形量が大きい場合であっても、車両はブロック93からブロック94へ走行できる。
【0136】
第2実施形態の他の変形例として、カバー部材80,81は、鋼板、ゴムシート、布、および樹脂板であってもよい。これらは、ガイド部材60,90と連結具F3により連結されてもよいし、面ファスナーやマグネットシートなどにより連結されてもよい。
【0137】
第2実施形態のさらに他の変形例として、ガイド部材60,90とカバー部材80、81とが予め連結されてもよい。また、ガイド部材60,90同士がカバー部材80、81により予め連結されてもよい。
【0138】
第2実施形態のさらに他の変形例として、ガイド部材60,90やカバー部材80、81が第1実施形態における走行板51や設置板52に相当するものを有してもよい。
【0139】
第2実施形態のさらに他の変形例として、ホースブリッジ200,201は、カバー部材80,81を備えずにガイド部材60,90のみを備えることで、車両が消防用ホースH上を通過するようにしてもよい。また、ガイド部材60,90は、第1実施形態において説明したブリッジ部材10と組み合わせて使用してもよい。
【0140】
以上の実施形態は、本発明の範囲を各実施形態にて開示した構成に限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0141】
10…ブリッジ部材、10a…ブリッジ面、20…ガイド部材、30…傾斜部材、30a…第1走行面、40,41…拡張部材、40a,41a…第2走行面、50…本体、50a~50d…側面、50U…上面、50B…底面、51…走行板、52…設置板、60…ガイド部材、61~65…ブロック、70,71…板材、80,81…カバー部材、90…ガイド部材、100,101…ホースブリッジ、200,201…ホースブリッジ、h1~h10…挿入部、Dx…進行方向、Dy…幅方向、Dz…高さ方向、F1,F2,F3…連結具、F1a,F2a…第1つめ部,F1b,F2b…第2つめ部、G…地面、H…消防用ホース、S…面ファスナー、V1,V2…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記車両が走行する第1走行面が傾斜している傾斜部材と、前記車両が走行する第2走行面が地面と平行である拡張部材と、を有し、
前記拡張部材は、発泡体で形成された本体と、前記地面と反対側に位置し前記第2走行面を有する走行板と、を有し、
前記発泡体の10%変形時における圧縮応力は、272kN/m以上である、
ホースブリッジ。
【請求項2】
前記拡張部材は、前記走行板と反対側に位置する設置板をさらに有する、
請求項1に記載のホースブリッジ。
【請求項3】
前記ホースを通すための挿通部と、前記挿通部の上方に位置し前記車両が走行するブリッジ面と、を有するブリッジ部材をさらに備える、
請求項1または2に記載のホースブリッジ。
【請求項4】
前記進行方向において隣り合う一対の前記拡張部材と、連結具とを備え、
一対の前記拡張部材の各々は、前記第2走行面から前記地面側に向けて形成され、前記連結具が挿入される挿入部を有し、
前記連結具は、接続部と、前記接続部の一端に形成される第1つめ部と、前記接続部の他端に形成される第2つめ部とを有し、
一対の前記拡張部材は、一方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第1つめ部が挿入され、他方の前記拡張部材の前記挿入部に前記第2つめ部が挿入されることで連結される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホースブリッジ。
【請求項5】
前記本体は、第1側面と、前記進行方向における前記第1側面と反対側の第2側面と、前記第1側面側に形成された第1連結部と、前記第2側面側に形成された第2連結部と、を有し、
前記第1連結部は、他の前記本体が有する前記第2連結部と連結することができる、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホースブリッジ。
【請求項6】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記進行方向において、前記ホースに近づくにつれ高さが高くなるように並ぶ、高さの異なる複数のブロックを有し、
前記複数のブロックは、少なくとも1つ以上の板材によりそれぞれ形成され、
前記板材は、発泡体で形成され、
前記発泡体の10%変形時における圧縮応力は、272kN/m 以上である、
ホースブリッジ。
【請求項7】
前記ガイド部材に掛け渡されたカバー部材をさらに備え、
前記ガイド部材と前記カバー部材とにより、前記ホースを通すための挿通部が形成されている、
請求項6に記載のホースブリッジ。
【請求項8】
前記進行方向において隣り合う前記複数のブロックを連結するための連結具をさらに備える、
請求項6または7に記載のホースブリッジ。
【請求項9】
前記発泡体は、密度が24kg/m 以上の発泡スチロールである、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のホースブリッジ。
【請求項10】
ホース上を車両が通過する際に前記ホースを前記車両から保護するホースブリッジであって、
前記ホースの両側に前記車両の進行方向に沿って設置されるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記車両が走行する第1走行面が傾斜している傾斜部材と、前記車両が走行する第2走行面が地面と平行である、前記進行方向において隣り合う一対の拡張部材と、を有し、
前記拡張部材の一部は、発泡体で形成され、前記発泡体の10%変形時における圧縮応力が272kN/m 以上であり、
一対の前記拡張部材の一方は、側面に面ファスナーを有し、
一対の前記拡張部材の他方は、前記側面と対向する側面に前記面ファスナーと係合可能な他の面ファスナーを有し、
一対の前記拡張部材は、前記面ファスナーと前記他の面ファスナーが係合することで連結される、
ホースブリッジ。