(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060725
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】露光位置ずれ検出可能フォトマスクおよびこれを用いたカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20220408BHJP
G03F 1/44 20120101ALI20220408BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20220408BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F1/44
G03F7/20 501
G03F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168370
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】元田 善規
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲人
(72)【発明者】
【氏名】西澤 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】水谷 瞭太
【テーマコード(参考)】
2H148
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H148BC08
2H148BC76
2H148BG01
2H148BH28
2H195BA12
2H197BA11
2H197JA05
2H197JA23
2H197JA24
(57)【要約】
【課題】周期性を有するパターン比較で検知できないフォトマスクの目合わせずれによる欠陥を検出する手段を提供する。
【解決手段】ブラックマトリクス層、着色層が順に形成されるカラーフィルタ基板の着色層に用いられ、着色層パターンがストライプ状、もしくはアイランド状となる遮光パターンを有するフォトマスクにおいて、前記フォトマスクによって形成される着色層パターンのエッジ部に周期性を持たない配列を有する突起状の付加パターンを該着色層パターンの外側に突出して有することを特徴とするフォトマスクである。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラックマトリクス層、着色層を順に積層するカラーフィルタ基板の着色層の形成に用いられ、着色層パターンがストライプ状、もしくはアイランド状となる遮光パターンを有するフォトマスクにおいて、前記フォトマスクによって形成される着色層パターンのエッジ部に周期性を持たない配列を有する突起状の付加パターンを該着色層パターンの外側に突出して有することを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
前記突起状の付加パターンが、隣接する同一着色層パターンのエッジ部の突起状の付加パターンと同一でないことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記周期性を持たない配列が、乱数処理を用いて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のフォトマスクを用いて着色層が形成されたカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フォトリソグラフィにおいて、周期性パターンを有する被検査体の欠陥検査工程を改善するフォトマスクおよびそれを用いて作製したカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイのように同一面内の特性が均一であることが必須であるデバイスにおいて、その構成部品の欠陥管理は重要な役割を担っている。
【0003】
カラーフィルタもその構成部品の一つであり、フラットパネルディスプレイの大型化と高精細化の両面から、該構成部品のパターン欠陥検査に対する要求は厳しさを増している。
【0004】
前記カラーフィルタは、ガラス基板等の透明基板平面上に、光を完全に遮光するブラックマトリクス層(BM)、赤色光を透過する赤色フィルタ(R)、緑色光を透過する緑色フィルタ(G)、青色光を透過する青色フィルタ(B)からなる着色層、スペーサー層等の構成要素を、各層ごとに繰り返し周期的に相互に所定の位置に配置されるように、それぞれ用意されたフォトマスクによるパターン複製を行うフォトリソグラフィプロセスを重ねることによって形成されるのが一般的である。
【0005】
フォトリソグラフィプロセスでは、被加工体に成膜された感光性物質に対して、フォトマスクによって露光部と未露光部に分けてUV光などを照射する露光プロセスと、これら露光部と未露光部間の化学反応の差異を利用した現像プロセス、場合によっては続くエッチングプロセスなどによって、フォトマスクのイメージによって形成された光の強弱パターンと同一のパターンを被加工体上に転写する。
【0006】
カラーフィルタの着色層の周期的な配置は、縦方向に同一のものをRGBの順で横方向に繰り返して並べるストライプ配列(
図1)や、RGBの横方向繰り返し配列を縦の一行ごとに横へ一つずつずらすモザイク配列(
図2)などが知られている。
【0007】
図1は前記ストライプ配列について、RGBの3色からなる画素(PC)を2×2だけ切り出して示したカラーフィルタの平面模式図である。また
図2は前記モザイク配列について、RGBの3色からなる画素(PC)を2×2だけ切り出して示したカラーフィルタの平面模式図である。
【0008】
カラーフィルタ基板に発生した欠陥(異物、白ピン、ムラ等)は欠陥検査装置にて検査し、カラーフィルタ修正装置にて修正して品質仕様を満たしたものが出荷される。
【0009】
この欠陥検査は、カラーフィルタの有する周期的な構造を利用して、その周期性を乱すものを検知することによって行われるものが主流となっている。すなわち、周期的に同様の環境にある同一面上の異なる部分の観測結果を比較し、結果が同一であれば双方とも正常に作製されており、異なる場合には、いずれかが不良であるというものである。
【0010】
観測事象としては、反射光または透過光(先行特許文献1)や回折光(先行特許文献2)などの光強度が知られている。
【0011】
図3はその欠陥検査の概念を模式化した平面図である。検査の際の観測走査において、各着色層のスキャンの流れ方向である下からi番目とスキャンの幅方向であるj番目の画
素を(i,j)とする。図では、B着色層における(m,n)の中の特定の検査点に対して、同一着色層のスキャンの流れ方向(x)について一つ前の位置(m-1,n)、一つ後の位置(m+1,n)、スキャンの幅方向(y)について一つ左の位置(m,n-1)、一つ右の位置(m,n+1)の4つのリファレンス位置を示している。
【0012】
各リファレンスの位置は、x方向については図面上縦の画素ピッチであるPx、y方向については図面上横の画素ピッチであるPy、それぞれ検査対象から離れた位置になっている。
【0013】
各点で得られた透過光強度などの観測値をI(i,j)としたとき、I(m,n)に対するリファレンスの差分、すなわち4つ全てのリファレンスを用いる場合は |I(m,n)―(I(m-1,n)+I(m+1,n)+I(m,n-1)+I(m,n+1))/4)|、横2つのリファレンスだけを用いる場合は|I(m,n)―(I(m,n-1)+I(m,n+1))/2)|、縦2つのリファレンスだけを用いる場合は|I(m,n)―(I(m-1,n)+I(m+1,n))/2)|をとり、この値が予め設定した閾値を超えた場合に欠陥ありと判定する。
【0014】
リファレンスのとり方はこれら3つの方法に限らず、観測対象点の近傍かつピッチが同一であれば構わない。また検査領域の端部においては別途定めることができる。
【0015】
図4に、位置(m,n)に欠陥がある場合の例を示す。(m,n)の位置に、例えばピンホールなどの着色層欠けがあった場合、リファレンスから得られた透過光強度よりも高い透過光強度I(m,n)が得られ、この欠陥を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009-109398号公報
【特許文献2】特許第4655644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、パターン不良としては上記特許文献が検出し得るランダムな欠陥以外にも、一定の周期性を有するシステマティックな不良も存在する。このようなシステマティックな不良は、上記の方法では捕捉することができない場合がある。
【0018】
フォトリソグラフィ工程における露光位置ずれによる欠陥もシステマティックな不良の一つである。露光位置ずれ不良は、マスクの目合せのずれにより、転写パターンの位置がずれる不良であり、例えば一方向へのシフトずれがあった場合、ワーク面内の全ての画素の同一相対位置において等しく欠陥が発生することから、欠陥のリファレンスに対する周期が一致して、前記の比較検査では発見できないものである。
【0019】
図5はカラーフィルタ製造工程において、フォトマスクイメージ(MR)によって、赤色フィルタ層(R)がブラックマトリクス層(BM)に正しく位置合わせ転写されている様子を示している。この図では両層の重ね合わせがわかり易いように、緑色フィルタ層(G)と青色フィルタ層(B)は省略し、ブラックマトリクス層(BM)を半透明にして示している。したがって最も黒く見えている部分が赤色フィルタ層(R)とブラックマトリクス層(BM)の重なった部分で、これは欠陥ではない。また図面が煩雑になるのを避けるため、
図1と同じ範囲を示している。
【0020】
しかし
図6に示すように、前記赤色フィルタ層(R)が重ね合わせ設計許容値を超えて
大きく左へずれてブラックマトリクス層(BM)との間に間隙が生じ、図中の白い部分のようにブラックマトリクス層(BM)も赤色フィルタ層(R)も存在しない欠陥が生じた場合、前述の検査方法では、検査位置とリファレンス位置の全てで同じ観測結果となることから、この合わせずれによる欠陥を検知できない。
【0021】
そこで、本発明は、上記のような課題に対処するためになされたものであって、周期性を有するパターン比較で検知できないフォトマスクの目合わせずれによる欠陥を検出する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、ブラックマトリクス層、着色層を順に積層するカラーフィルタ基板の着色層の形成に用いられ、着色層パターンがストライプ状、もしくはアイランド状となる遮光パターンを有するフォトマスクにおいて、前記フォトマスクによって形成される着色層パターンのエッジ部に周期性を持たない配列を有する突起状の付加パターンを該着色層パターンの外側に突出して有することを特徴とするフォトマスクである。
【0023】
また請求項2に記載の発明は、前記突起状の付加パターンが、隣接する同一着色層パターンのエッジ部の突起状の付加パターンと同一でないことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクである。
【0024】
また請求項3に記載の発明は、前記周期性を持たない配列が、乱数処理を用いて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスクである。
【0025】
また請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載のフォトマスクを用いて着色層が形成されたカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、着色層のフォトリソグラフィ工程においてブラックマトリクス層に対してフォトマスクの目合わせずれを起こし、ブラックマトリクス層と着色層の間に不要な間隙による欠陥を発生させた場合、これまでの比較検査ではいずれの場所でも同一のパターンとなることから検知できなかったこれらの欠陥を、不規則なエッジパターンの形成によって画素ごとに異なるパターンが発現することから検知できるようになる。
【0027】
またこのエッジパターンは、フォトマスクの目合わせが正常であった場合には、ブラックマトリクスとの重畳部分に形成されることから、カラーフィルタの光学特性へ影響を及ぼすことはなく、不良発生時の迅速なフィードバックが可能となるため、カラーフィルタの生産プロセスにおける生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】ストライプ配列のカラーディスプレイ用カラーフィルタ平面模式図。
【
図2】モザイク配列のカラーディスプレイ用カラーフィルタ平面模式図。
【
図5】従来のストライプ配列フォトマスクとそれを用いて正常に目合わせされたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図6】従来のストライプ配列フォトマスクで目合わせずれを起こしたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図7】本発明の適用前後のストライプ配列着色層フォトマスク。
【
図8】本発明によるストライプ配列着色層フォトマスクで正常に目合わせされたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図10】本発明によるストライプ配列フォトマスクで目合わせずれを起こしたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図11】従来のモザイク配列フォトマスクと、それを用いて目合わせずれを起こしたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図12】本発明によるモザイク配列着色層フォトマスクと、それを用いて正常に目合わせされたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図13】本発明によるモザイク配列着色層フォトマスクで横方向に目合わせずれを起こしたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【
図14】本発明によるモザイク配列着色層フォトマスクで縦方向に目合わせずれを起こしたカラーフィルタの状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下
図7以降を用いて、各実施形態について説明する。
【0030】
<実施形態1>
フォトマスクの製作工程を以下に示す。まず透明基板上に遮光膜(またはハーフトーン膜)を成膜したものに感電子線性または感光性樹脂であるフォトレジストを塗布する。次にフォトレジスト上に描画装置で所定のパターンを描画する。その後、描画したフォトレジスト膜を現像し、描画部と非描画部のどちらか一方を選択的に除去する。現像によって残されたフォトレジスト膜をマスクとして遮光膜にパターン形状をエッチングし、その後残されたフォトレジストを除去することでフォトマスクが完成する。エッチングの手法として、遮光膜に対して腐食性を有す液体を使用するウェットエッチングや、遮光膜に対し腐食性を有す気体やプラズマなどによるドライエッチングが挙げられる。
【0031】
フォトマスクにおいては、パターンを描画する際、一般的に電子ビーム描画装置やレーザビーム描画装置が用いられる。これらのパターン描画装置では、フォトマスク上の所定サイズの矩形領域(描画単位領域)内にあるパターンを描画したら、次の描画単位領域に移ってその中にあるパターンを描画する、というステップアンドリピート方式でフォトマスク全体のパターンを描画する。
【0032】
図7は前記フォトマスクの製作工程を用いて作製されたストライプ配列の赤色フィルタ層(R)のフォトマスクパターンとそれに本発明を適用したフォトマスクパターンのイメージ図である。ここでは赤色フィルタ層(R)用を例に示しているが、実際には緑色フィルタ層(G)用についても、青色フィルタ層(B)用についても同様に実施する。
【0033】
従来のフォトマスクパターンは図の上にあるように、縦方向に長いストライプ状のものとなっており、そのエッジ部は直線状となっていた。
【0034】
それに対して、図の下に示した本発明を適用したフォトマスクパターン(MR)では、エッジ部外側に微小な矩形の突起状パターン(以下サブパターンと呼ぶ)(MRS)を、周期性を持たないように付加している。該サブパターン(MRS)の形状は矩形に限る必要は無いが、フォトマスク作製の利便性上、矩形であることが好ましい。
【0035】
また前記サブパターン(MRS)によって転写されるサブパターン(RS)は、欠陥検査機によって検知可能な最小サイズより大きく、かつ隣接するブラックマトリクス層(BM)の幅から該着色層(R)と該ブラックマトリクス層(BM)の重ね合わせ設計許容値の2倍を引いたサイズよりも小さい横寸法でなければならない。
【0036】
図8は、前記着色層フォトマスクパターン(MR)を用いてブラックマトリクス層(BM)に対して赤色フィルタ層(R)を正常に転写形成した平面模式図である。図下半分にフォトマスクイメージ(MR)を、図上半分にブラックマトリクス層(BM)に対して赤色フィルタ層(R)が転写されたカラーフィルタのイメージを示している。
【0037】
本図では説明の便宜上、サブパターン(MRS)を含むフォトマスクイメージ(MR)と転写イメージ(R)を完全に一致したものにしている。実際にはフォトリソグラフィ工程の特性によって、パターン寸法の増減や、パターン角部の形状変化などが生じることがあるが、パターン転写形成後の寸法や形状をカラーフィルタの設計値に近づくようにフォトマスクパターンの寸法や形状を調整する。
【0038】
本図が示すように、赤色フィルタ層(R)はブラックマトリクス層(BM)に対して一定のオーバーラップを確保し、また前記サブパターン(MRS)によるパターン(RS)も隣接する別の着色層の領域にはみ出すことなくブラックマトリクス層(BM)上に留まって転写されている。
【0039】
前記サブパターン(RS)の寸法は、欠陥検査機によって検知可能な最小寸法より大きく、かつ隣接するブラックマトリクス層(BM)の幅から該着色層(R)と該ブラックマトリクス層(BM)の重ね合わせ設計許容値の2倍を引いた寸法よりも小さい突出寸法sでなければならない。
【0040】
図9で前記サブパターンの寸法に関して説明する。
図9上中央は
図8同様左右均等に正しく着色層(R)が目合わさせされている状況を示している。ブラックマトリクス層(BM)と着色層(R)の間に隙間ができないように、各層の形成寸法精度、各層間の目合わせ精度、少なくともこれらの2乗和の平方根から成る総合寸法精度以上の層間オーバーラップtをもって両層が形成されている。
【0041】
本図の下左と下右には、それぞれ左と右へ着色層(R)が位置ずれした状況を示している。ただし前記オーバーラップtを下回るずれ量であり、工程は正常範囲内である。このときずれた方向でのサブパターン(RS)の先端が隣接する着色層に侵入しない、すなわちアンダーラップuが正であるためには、tの2倍とサブパターン(RS)の横寸法sの和がブラックマトリクス層(BM)の横幅bmを下回っている必要があることが示されている。
【0042】
本図が示すように、赤色フィルタ層(R)はブラックマトリクス層(BM)に対して一定のオーバーラップを確保し、また前記サブパターン(RS)も隣接する別の着色層の領域にはみ出すことなくブラックマトリクス層(BM)上に留まって転写されている。
【0043】
図10は、前記赤色フィルタ層フォトマスクパターン(MR)を用いてブラックマトリクス層(BM)に対して赤色フィルタ層(R)を転写する際に、赤色フィルタ層フォトマスク(MR)が左へ重ね合わせ設計許容値以上にシフトして赤色フィルタ層(R)が形成された状態を示す図である。
【0044】
本図では
図6の状態と異なり、前記サブパターン(RS)による赤色フィルタ層が前記間隙欠陥上に形成されている。
【0045】
いま(m,n)に注目すると、リファレンス位置にあたる(m,n+1)、(m-1,n)は、サブパターン(RS)の周期性が画素ピッチと同一ではないことから、白点線で囲ったように、それぞれ異なった観測結果となっていることがわかる。
【0046】
このため、これらサブパターン(RS)は欠陥として検知される。またこの欠陥はいかなるm,nでも発生することから、全面の検査を実施した後に、これらの欠陥の分布がスキャンの流れ方向の直線状に、スキャンの幅方向のピッチPy毎に現れる。
【0047】
前記周期的な直線状欠陥分布をもって、赤色フィルタ層フォトマスク(MR)の位置合わせが不良であったことが判断できる。
【0048】
前記判断のアルゴリズムを欠陥検査機の自動欠陥判定プログラムに組み込むことで、欠陥検知のみならず、工程異常への対応についても速やかなフィードバックをすることができる。
【0049】
同様に、緑色フィルタ層(G)についても、青色フィルタ層(B)についても前記サブパターンを付加したフォトマスクをそれぞれ作製し、各着色層の形成をすることによって、マスク合わせが正常に行われた場合には、サブパターンによる影響なしに、従来と同様のカラーフィルタを作製することができる。
【0050】
またどの着色層においても、マスク合わせの横方向へのシフトずれによる間隙欠陥を比較型の欠陥検査機で検出することができる。
【0051】
<実施形態2>
図11はモザイク配列において、赤色フィルタ層(R)が重ね合わせ設計許容値を超えて大きく左および上へずれてブラックマトリクス層(BM)との間に間隙が生じ、図中の白い部分のようにブラックマトリクス層(BM)も赤色フィルタ層(R)も存在しない欠陥が生じた状況を示す図である。
【0052】
この場合、赤色フィルタ層の形状がストライプ状でなく、アイランド状であることから、間隙の欠陥がストライプ配列のように赤色フィルタ層(R)の左辺または右辺に発生するだけでなく、赤色フィルタ層(R)の上辺または下辺にも発生することがある。
【0053】
図12下に本発明をモザイク配列の赤色フィルタ層に適用したフォトマスクパターン(mMR)のイメージを、また
図12上に該フォトマスクパターンを有するフォトマスクを用いてブラックマトリクス層(BM)に対して赤色フィルタ層(R)を正しい位置に転写したカラーフィルタのイメージをそれぞれ示す。
【0054】
本発明を適用したフォトマスクパターン(mMR)では、ストライプ配列のフォトマスクパターン(MR)の場合に左右両辺に配したサブパターンを、モザイクアイランドの上下の辺にも配していることが特徴である。
【0055】
モザイク配列におけるサブパターン(MRS)の配置方法や寸法については、ストライプ配列の場合と全く同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0056】
図13は、前記モザイク配列赤色フィルタ層フォトマスクパターン(mMR)を用いてブラックマトリクス層(BM)に対して着色層(R)を転写する際に、赤色フィルタ層フォトマスク(mMR)が左へ重ね合わせ設計許容値以上にシフトして赤色フィルタ層(R)が形成されたカラーフィルタの状態を示す図である。
【0057】
本図では
図11の状態と異なり、前記サブパターン(RS)による赤色フィルタ層が前記間隙欠陥上に形成されている。
【0058】
いま(m,n)に注目すると、リファレンス位置にあたる(m,n+1)、(m-1,
n)は、サブパターン(RS)の周期性が画素ピッチと同一ではないことから、白点線で囲ったように、それぞれ異なった観測結果となっていることがわかる。
【0059】
このため、これらサブパターン(RS)は欠陥として検知される。またこの欠陥はいかなるm,nでも発生することから、全面の検査を実施した後に、これらの欠陥の分布が縦線上に、かつ(スキャンの流れ方向のピッチPxの3倍)/(スキャンの幅方向のピッチPy)の傾きの階段状に現れる。
【0060】
前記周期的な階段状欠陥分布をもって、赤色フィルタ層フォトマスク(MR)の位置合わせが横方向に規格を外れていたことが判断できる。
【0061】
また
図14は、前記モザイク配列赤色フィルタ層フォトマスクパターン(mMR)を用いてブラックマトリクス層(BM)に対して着色層(R)を転写する際に、赤色フィルタ層フォトマスク(mMR)が上へ重ね合わせ設計許容値以上にシフトして赤色フィルタ層(R)が形成されたカラーフィルタの状態を示す図である。
【0062】
本図では
図11の状態と異なり、前記サブパターン(RS)による赤色フィルタ層が前記間隙欠陥上に形成されている。
【0063】
いま(m,n)に注目すると、リファレンス位置にあたる(m,n+1)、(m-1,n)は、サブパターン(RS)の周期性が画素ピッチと同一ではないことから、白点線で囲ったように、それぞれ異なった観測結果となっていることがわかる。
【0064】
このため、これらサブパターン(RS)は欠陥として検知される。またこの欠陥はいかなるm,nでも発生することから、全面の検査を実施した後に、これらの欠陥の分布が横線上に、かつ(スキャンの流れ方向のピッチPxの3倍)/(スキャンの幅方向のピッチPy)の傾きの階段状に現れる。
【0065】
前記周期的な階段状欠陥分布をもって、赤色フィルタ層フォトマスク(MR)の位置合わせが縦方向に規格を外れていたことが判断できる。
【0066】
前記判断のアルゴリズムを欠陥検査機の自動欠陥判定プログラムに組み込むことで、欠陥検知のみならず、工程異常への対応についても速やかなフィードバックをすることができる。
【0067】
同様に、緑色フィルタ層(G)用についても、青色フィルタ層(B)用についても前記サブパターンを付加したフォトマスクをそれぞれ作製し、各着色層の形成をすることによって、マスク合わせが正常に行われた場合には、サブパターンによる影響なしに、従来と同様のカラーフィルタを作製することができる。
【0068】
またどの着色層においても、マスク合わせのシフトずれによる間隙欠陥を比較型の欠陥検査機で検出することができる。
【符号の説明】
【0069】
(R) 赤色フィルタ層
(G) 緑色フィルタ層
(B) 青色フィルタ層
(BM) ブラックマトリクス層
(PC) 画素
(MR) ストライプ配列赤色フィルタ層マスクイメージ
(MRS) 赤色フィルタ層サブパターンマスクイメージ
(RS) 赤色フィルタ層サブパターン
(mMR) モザイク配列赤色フィルタ層マスクイメージ
s サブパターンの突出寸法
t ブラックマトリクス層と着色層のオーバーラップ寸法
u ブラックマトリクス層とサブパターンのアンダーラップ寸法
bm ブラックマトリクス層幅寸法