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  • 特開-フィルム積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060760
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】フィルム積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/26 20060101AFI20220408BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
B32B3/26 A
B65D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168426
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松宮 吉房
(72)【発明者】
【氏名】林 久美子
(72)【発明者】
【氏名】畑 明子
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 正基
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
(72)【発明者】
【氏名】木村 尚子
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA27
3E086BB21
3E086BB84
3E086DA08
4F100AK00A
4F100AK00B
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA26A
4F100BA26B
4F100CA13B
4F100DD21B
4F100DD22B
4F100GB15
4F100JL10B
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】気泡を有する気泡シートにおいて、未融着部を鮮明に視認できるフィルム積層体を提供する。
【解決手段】第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、前記第1フィルムの全光線透過率が45.0~90.0%または0~3.0%であり、かつ、前記第2フィルムの全光線透過率が7.0~72.0%または13.0~72.0%であるフィルム積層体。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、
前記第1フィルムの全光線透過率が45.0~90.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が7.0~72.0%であることを特徴としたフィルム積層体。
【請求項2】
前記第1フィルムの全光線透過率が55.0~80.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が13.0~60.0%であることを特徴とした請求項1に記載のフィルム積層体。
【請求項3】
第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、
前記第1フィルムの全光線透過率が0~3.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が13.0~72.0%であることを特徴としたフィルム積層体。
【請求項4】
前記第1フィルムの全光線透過率が0~1.5%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が20.0~60.0%であることを特徴とした請求項3に記載のフィルム積層体。
【請求項5】
前記第1フィルムが無彩色フィルムであり、かつ前記第2フィルムが有彩色フィルムであることを特徴とした請求項1~4のいずれかに記載のフィルム積層体。
【請求項6】
前記積層面に、周囲を前記融着部に囲まれた1又は複数の前記未融着部を含むことを特徴とした請求項1~5のいずれかに記載のフィルム積層体。
【請求項7】
前記未融着部の前記膨出体が、前記第1フィルム及び前記第2フィルムのいずれか一方のフィルムに、他方のフィルムから離間する方向に突出する突起によって形成されていることを特徴とした請求項1~6のいずれかに記載のフィルム積層体。
【請求項8】
前記未融着部の膨出体が、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層方向から見て、所定の形状をしていることを特徴とした請求項1~7のいずれかに記載のフィルム積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム積層体に関し、具体的には、未融着部を鮮明に視認できるフィルム積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、独立した多数の気泡を有する気泡シートが、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用されている。そのような気泡シートとして、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムに、突起内に空気を密封するためのバックフィルムを積層したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-216770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の気泡シートは、キャップフィルムとバックフィルムとの積層面に、両フィルムを接合する融着部と、突起が形成された部分に対応する未融着部とを含むが、これらにおいては、未融着部の輪郭が不鮮明であって鮮明に視認できるものではなかった。そのため、気泡シートの外観における装飾性は必ずしも十分とはいえず、装飾性が求められる分野においての用途に限界があった。そのような課題は、気泡シートに限らず、積層面に融着部と未融着部とを含む、特に未溶着部が少しでも膨出するタイプのフィルム積層体において顕著であった。
【0005】
本発明の目的の1つは、未融着部を鮮明に視認できるフィルム積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のフィルム積層体を提供できる。
第1発明の態様は、第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、前記第1フィルムの全光線透過率が45.0~90.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が7.0~72.0%であるフィルム積層体。
また、第2発明の態様は、第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、前記第1フィルムの全光線透過率が0~3.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が13.0~72.0%であるフィルム積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、未融着部を鮮明に視認できるフィルム積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るフィルム積層体の一実施形態を示す概略斜視図である。
図2図1に示されるフィルム積層体の概略断面図である。
図3】本発明に係るフィルム積層体の製造工程の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のフィルム積層体について詳述する。
なお、本明細書において、「x~y」は「x以上、y以下」の数値範囲を表すものとする。数値範囲に関して記載された上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0010】
本発明のフィルム積層体は、第1フィルムと第2フィルムとが積層されたフィルム積層体であって、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に、融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部に空気などのガスを含む膨出体を形成する。
【0011】
本発明の第1態様において、前記第1フィルムの全光線透過率が45.0~90.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が7.0~72.0%であり、好ましくは、前記第1フィルムの全光線透過率が55.0~80.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が13.0~60.0%である。
【0012】
本発明の第2態様において、前記第1フィルムの全光線透過率が0~3.0%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が13.0~72.0%であり、好ましくは、前記第1フィルムの全光線透過率が0~1.5%であり、かつ前記第2フィルムの全光線透過率が20.0~60.0%である。
【0013】
本発明によれば、フィルム積層体における未融着部を鮮明に視認できる効果が得られる。これにより、未融着部に付与された任意の形状を視認させることが可能となってフィルム積層体の装飾性を向上でき、フィルム積層体を、装飾性が求められる用途など、より広い用途に好適に利用できる。
【0014】
未融着部を鮮明に視認できる効果が得られる理由として、第1フィルム及び第2フィルムのそれぞれが上述した全光線透過率の条件を満たすことによって、融着部(融着に伴って未融着部の色とは異なる色に変化している)に対する未融着部のコントラストが鮮明になることが挙げられる。
【0015】
本発明では、融着に伴う色の変化を利用して未融着部を鮮明に視認できるようにしていることから、各フィルム自体の色を部分的に変化させておく(例えば部分的に着色しておく)ことは必ずしも必要ない。第1フィルム及び第2フィルムのそれぞれとして、全面にわたって色が均一なものを好ましく用いることができる。
【0016】
第1フィルム及び第2フィルムのそれぞれを構成する樹脂(材料樹脂)は、互いに融着可能であれば格別限定されず、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンホモポリマー、又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが例示できる。プロピレンと共重合される他のオレフィンとしては、エチレン、ブテン-1、イソブチレン、ペンテン-1などのα-オレフィンが挙げられ、これらの他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体などが例示できる。
【0017】
第1フィルム及び第2フィルムの厚さ、材料樹脂に配合する色材(例えば顔料、染料)の種類や配合量等を適宜調整することによって、第1フィルム及び第2フィルムのそれぞれが上述した全光線透過率の条件を満たすようにすることができる。
【0018】
第1フィルム及び第2フィルムの全光線透過率は、実施例に記載の方法により測定する。フィルム積層体を構成している第1フィルム及び第2フィルムの全光線透過率を測定する場合は、フィルム積層体における未融着部から採取した第1フィルム及び第2フィルムそれぞれのサンプルについて全光線透過率を測定する。フィルム積層体を構成する前(第1フィルムと第2フィルムとの融着前)の状態であれば、そのまま第1フィルム及び第2フィルムそれぞれのサンプルについて全光線透過率を測定する。
【0019】
以下に、図1を参照して、本発明に係るフィルム積層体の第1実施形態について説明する。図1は、本発明に係るフィルム積層体の第1実施形態を示す概略斜視図である。ここでは、フィルム積層体が、独立した多数の気泡を有する気泡シートである場合を例示する。
【0020】
図1に示すように、フィルム積層体1は、キャップフィルム2とバックフィルム3との積層体からなる。
【0021】
キャップフィルム2には、バックフィルム3から離間する方向に突出する複数の突起6が形成されている。
【0022】
バックフィルム3は、全体にわたって平坦に形成されている。
【0023】
第1実施形態において、キャップフィルム2は上述した本発明の第1態様に係る第1フィルムの全光線透過率の条件を満たす。即ち、キャップフィルム2の全光線透過率は45.0~90.0%、好ましくは55.0~80.0%である。また、バックフィルム3は上述した本発明の第1態様に係る第2フィルムの全光線透過率の条件を満たす。即ち、バックフィルム3の全光線透過率は7.0~72.0%、好ましくは13.0~60.0%である。
【0024】
キャップフィルム2とバックフィルム3との積層面において、キャップフィルム2における突起6が形成されていない部分は、バックフィルム3と融着されており、これにより融着部4が形成されている。一方、キャップフィルム2における突起6が形成されている部分は、バックフィルム3と融着されておらず、これにより未融着部5が形成されている。
【0025】
複数の未融着部5のそれぞれは、キャップフィルム2の突起6によって、該未融着部5の内部にガスを含む膨出体60を形成している。ガスは格別限定されず、本実施形態において、ガスは空気である。
【0026】
複数の未融着部5のそれぞれは、周囲を融着部4に囲まれている。これにより、膨出体60の内部に空気が密封されている。このようにして、フィルム積層体1は、独立した多数の気泡(膨出体60に含まれる空気)を有する気泡シートを成している。
【0027】
以上に説明したフィルム積層体1において、キャップフィルム2及びバックフィルム3がそれぞれ上述した本発明の第1態様に係る第1フィルム及び第2フィルムの全光線透過率の条件を満たすことによって、未融着部5(膨出体60が形成されている部分)を鮮明に視認できる効果が得られる。
【0028】
第2実施形態として、以上に説明したフィルム積層体1において、キャップフィルム2及びバックフィルム3がそれぞれ上述した本発明の第1態様に係る第2フィルム及び第1フィルムの全光線透過率の条件を満たす。
即ち、第2実施形態において、キャップフィルム2の全光線透過率は7.0~72.0%、好ましくは13.0~60.0%である。また、バックフィルム3の全光線透過率は45.0~90.0%、好ましくは55.0~80.0%である。
第2実施形態に係るフィルム積層体1においても、未融着部5(突起6が形成されている部分)を鮮明に視認できる効果が得られる。
【0029】
第3実施形態として、以上に説明したフィルム積層体1において、キャップフィルム2及びバックフィルム3がそれぞれ上述した本発明の第2態様に係る第1フィルム及び第2フィルムの全光線透過率の条件を満たす。
即ち、第3実施形態において、キャップフィルム2の全光線透過率は0~3.0%、好ましくは0~1.5%である。また、バックフィルム3の全光線透過率は13.0~72.0%、好ましくは20.0~60.0%である。
第3実施形態に係るフィルム積層体1においても、未融着部5(突起6が形成されている部分)を鮮明に視認できる効果が得られる。
【0030】
第4実施形態として、以上に説明したフィルム積層体1において、キャップフィルム2及びバックフィルム3がそれぞれ上述した本発明の第2態様に係る第2フィルム及び第1フィルムの全光線透過率の条件を満たす。
即ち、第4実施形態において、キャップフィルム2の全光線透過率は13.0~72.0%、好ましくは20.0~60.0%である。また、バックフィルム3の全光線透過率は0~3.0%、好ましくは0~1.5%である。
第4実施形態に係るフィルム積層体1においても、未融着部5(突起6が形成されている部分)を鮮明に視認できる効果が得られる。
【0031】
以上の説明において、第1フィルム及び第2フィルムのそれぞれは、無彩色フィルムであってもよく、有彩色フィルムであってもよい。好ましくは、第1フィルムが無彩色フィルムであり、かつ第2フィルムが有彩色フィルムであることである。
【0032】
第1フィルム及び第2フィルムは、同一種類のフィルムであっても、異なる種類のフィルムであってもよい。また、第1フィルム及び第2フィルムは、全光線透過率が同じであっても、異なっていてもよい。
第1フィルム及び第2フィルムが、同一種類のフィルムではないこと、さらには全光線透過率が異なることによって、フィルム積層体の装飾性をさらに向上できる。
【0033】
以上の説明では、未融着部の膨出体が、第1フィルムと第2フィルムとの積層方向から見て円形である場合について示したが、これに限定されない。
未融着部の膨出体は所定の形状をしていることが好ましく、所定の形状としては、円形、楕円形、菱形、ハート形等のような任意の形状とすることができる。
【0034】
以上の説明では、フィルム積層体において、複数の膨出体が、面状に規則的に配置される場合について主に示したが、これに限定されない。フィルム積層体は、一又は複数の膨出体を備えることができ、複数の膨出体の配置は不規則的であってもよい。
【0035】
以上の説明では、膨出体の内部にガスが密封される場合について主に示したが、これに限定されない。即ち、膨出体の「内部」は、未融着部における第1フィルムと第2フィルムとの間の領域を意味し、必ずしも閉鎖系(例えば周囲を融着部に囲まれることによって外部から遮蔽された系)である必要はない。
【0036】
以上の説明では、フィルム積層体が、独立した多数の気泡を有する気泡シートである場合について主に示したが、これに限定されない。フィルム積層体は、第1フィルムと第2フィルムとが積層され、前記第1フィルムと前記第2フィルムとの積層面に融着部と未融着部とを含み、前記未融着部が内部にガスを含む膨出体を形成し、前記第1フィルム及び前記第2フィルムのそれぞれが上述した各態様に係る全光線透過率の条件を満たすものであればよい。
【0037】
以上の説明では、フィルム積層体が、第1フィルム及び第2フィルムのみからなる場合について主に示したが、これに限定されない。フィルム積層体は、第1フィルム側の面及び第2フィルム側の面の一方又は両方にフィルム等の他の部材が積層された多層積層体にも適用することができる。
【0038】
以上に説明した本発明に係るフィルム積層体の製造方法は、特定の製造方法に限定されるものではない。本発明に係るフィルム積層体の製造工程の一例について、図2を参照して説明する。ここでは、フィルム積層体が、独立した多数の気泡を有する気泡シートである場合を例示する。
【0039】
図3に示すように、押出機(図示せず)に取り付けられたフラットダイ7から材料樹脂を押し出してなる樹脂フィルム2aを、多数のキャビティ孔9が設けられた成形ロール8の外周面に、当該樹脂フィルム2aが溶融状態で接触するように供給する。
【0040】
成形ロール8に設けられたキャビティ孔9のそれぞれは、図示しない真空ポンプにつながれており、キャビティ孔9内を減圧して成形ロール8の外周面に接触する樹脂フィルム2aを真空成形することによって、中空状に膨出する多数の突起6が成形されたキャップフィルム2を形成する。
【0041】
次に、真空成形によって突起6が成形されたキャップフィルム2には、成形ロール8に密着した状態のまま、突起6の開口側にバックフィルム3を積層する。バックフィルム3は、押出機(図示せず)に取り付けられたフラットダイ10から押し出された材料樹脂によって構成されている。
【0042】
キャップフィルム2及びバックフィルム3のそれぞれの厚さ、材料樹脂に配合する色材(顔料染料)の種類や配合量等は、キャップフィルム2及びバックフィルム3のそれぞれが上述した各態様に係る全光線透過率の条件を満たすように予め調整しておく。
【0043】
バックフィルム3は、成形ロール8に密着するキャップフィルム2と押圧ロール11との間に溶融状態で供給されて、融着(熱融着)によってキャップフィルム2と積層される。これに伴い、突起6に対応する位置に、内部に空気を含んだ膨出体60が形成される。
【0044】
この融着時において、キャップフィルム2における突起6が形成されていない部分(バックフィルム3と接触する部分)が、バックフィルム3に融着され、これにより融着部4が形成される。キャップフィルム2における突起6が形成されている部分(バックフィルム3と接触しない部分)は、バックフィルム3に融着されず、これにより未融着部5が形成される。
【0045】
以上のようにして、膨出体60内(未融着部5におけるキャップフィルム2とバックフィルム3との間)に空気が密封された、独立した多数の気泡を有する気泡シートであるフィルム積層体1が製造される。フィルム積層体1は、剥離ロール12によって成形ロール8から剥離される。
【実施例0046】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0047】
1.フィルムの用意と全光線透過率の測定
フィルム積層体を製造するためのフィルムとして、東京インキ社製色見本帳「PEX MASTER COLOR」に含まれるフィルムNo.1、2、7、8、9、10、83、123及び130の各フィルムを用意した。上記「フィルムNo.」は該色見本帳における各色フィルムの品番である。各フィルムとも材料樹脂は低密度ポリエチレン(LDPE)であり、顔料の濃度は5重量%以下である。また、各フィルムとも、厚さは50μmである。
【0048】
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製「NDH7000型」)を用いて、これらのフィルムの全光線透過率(Tt)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
2.フィルム積層体の製造
上記「1.フィルムの用意と全光線透過率の測定」で用意した各フィルムを、第1フィルム及び第2フィルムとして表2に示す組合せで重ね合わせ、重ね合わせた領域内の一部の領域において両フィルムを120℃で熱融着し、融着部を形成した。重ね合わせた領域内の前記融着部以外の領域は、未融着部である。このようにして、フィルム積層体を得た。
得られたフィルム積層体において、未融着部は、帯状に、幅Wが13mm、高さHが5mmの膨らみ(膨出体)を形成した。
【0051】
3.評価方法
上記「2.フィルム積層体の製造」で得られた各フィルム積層体を目視で観察した。融着部の色との対比で未融着部の色を鮮明に視認できる場合は「鮮明」、鮮明に視認できない場合は「不鮮明」と評価した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
4.評価
表2に示す第1フィルムと第2フィルムとの組合せのうち、太線で囲んだ組合せは、本発明の第1態様に係る全光線透過率の条件(第1フィルムの全光線透過率が45.0~90.0%であり、かつ第2フィルムの全光線透過率が7.0~72.0%である)を満たしており、二重線で囲んだ組合せは、本発明の第2態様に係る全光線透過率の条件(第1フィルムの全光線透過率が0~3.0%であり、かつ第2フィルムの全光線透過率が13.0~72.0%である)を満たしている。
表2より、本発明の第1態様又は第2態様に係るフィルム積層体によれば、未融着部を鮮明に視認できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、包装用の緩衝材をはじめとする各種の用途に広く利用することができるフィルム積層体を提供する。
【符号の説明】
【0055】
1:フィルム積層体
2:キャップフィルム
3:バックフィルム
4:融着部
5:未融着部
6:突起
60:膨出体
図1
図2
図3