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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060795
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】輸液容器用のポート部材
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20220408BHJP
   B65D 51/00 20060101ALI20220408BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A61J1/10 335A
B65D51/00 100
B65D75/58
A61J1/10 330Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168482
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】513141418
【氏名又は名称】エイワイファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】望月 奨太
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB81
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB14A
3E067BB16A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA16
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA32
3E067EB15
3E067EB29
3E067EE56
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
3E067GD01
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084AB05
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084EA04
3E084EC03
3E084KB01
4C047AA11
4C047BB12
4C047BB26
4C047CC05
4C047DD02
4C047DD11
(57)【要約】
【課題】輸液が通過するポート本体部に加えて、栓体と接合するための栓体接合部を有する輸液容器用のポート部材において、ポート本体部と栓体接合部との接合強度を確保する。
【解決手段】輸液容器1から輸液を注出するための輸液容器用のポート部材2aは、筒状に形成され、輸液が内部を通過するポート本体部21aと、ポート本体部の軸方向における端部付近の外周部分を覆うように当該ポート本体部に接合され、且つ、ポート本体部の出口を塞ぐための栓体3に接合される栓体接合部22aと、を有し、ポート部材は、更に、ポート本体部と栓体接合部との軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部2a1、及び、ポート本体部と栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部2a2を有し、これら軸方向移動規制部及び周方向移動規制部を介してポート本体部と栓体接合部とが接合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液容器から輸液を注出するための輸液容器用のポート部材であって、
筒状に形成され、前記輸液が内部を通過するポート本体部と、
前記ポート本体部の軸方向における端部付近の外周部分を覆うように当該ポート本体部に接合され、且つ、前記ポート本体部の出口を塞ぐための栓体に接合される栓体接合部と、
を有し、
前記ポート部材は、更に、前記ポート本体部と前記栓体接合部との軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部、及び、前記ポート本体部と前記栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部を有し、これら軸方向移動規制部及び周方向移動規制部を介して前記ポート本体部と前記栓体接合部とが接合される、
ことを特徴とする輸液容器用のポート部材。
【請求項2】
前記軸方向移動規制部は、
前記ポート本体部の外周部分に形成され、径方向外方に突出する突出部、及び、前記栓体接合部の内周部分に形成され、前記ポート本体部の前記突出部を軸方向における両側から挟み込む挟持部により構成されるか、又は、
前記栓体接合部の内周部分に形成され、径方向内方に突出する突出部、及び、前記ポート本体部の外周部分に形成され、前記栓体接合部の前記突出部を軸方向における両側から挟み込む挟持部により構成される、
請求項1に記載の輸液容器用のポート部材。
【請求項3】
前記周方向移動規制部は、前記ポート本体部の外周部分及び前記栓体接合部の内周部分のうちの一方に形成された係合部、及び、前記ポート本体部の外周部分及び前記栓体接合部の内周部分のうちの他方に形成され、前記係合部が係合する被係合部により構成され、これら係合部と被係合部とを係合させることで前記ポート本体部と前記栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する、請求項1又は2に記載の輸液容器用のポート部材。
【請求項4】
前記軸方向移動規制部及び/又は前記周方向移動規制部は、前記ポート本体部及び前記栓体接合部の全周に亘って形成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の輸液容器用のポート部材。
【請求項5】
前記ポート本体部は、環状ポリオレフィンのみから成る樹脂又は環状ポリオレフィンを主成分とする樹脂により構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の輸液容器用のポート部材。
【請求項6】
前記栓体接合部は、ポリプロピレンのみから成る樹脂又はポリプロピレンを主成分とする樹脂により構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の輸液容器用のポート部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器から輸液を注出するための輸液容器用のポート部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤等を含有する輸液を患者に投与するために、輸液を収容した輸液容器(例えば、輸液バッグや輸液ボトル)が広く用いられている。また、このような輸液容器では、一般的に、輸液を注出するためのポート部材が取り付けられると共に、このポート部材の出口に弾性の栓体を溶着(超音波溶着や熱溶着など)することで、輸液容器本体が密封されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5090525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような輸液容器においては、ポート部材と栓体との密封性を確保することが重要である。この密封性を確保するための1つの方法として、ポート部材と栓体との溶着性を向上すべく、ポート部材と栓体とを同じ材料で構成することが考えられる。ここで、輸液容器に収容する輸液に応じて、高価な材料がポート部材に適用されることがある。例えば、エダラボンを含有する輸液を用いる場合、このエダラボンがポート部材に吸着することを防止するために、高価な環状ポリオレフィン樹脂がポート部材に適用される。このように高価な材料をポート部材に適用した場合に、栓体をポート部材と同じ材料で構成すると、高価な材料の使用量が増えて材料コストが高くなる。また、適用する材料が衝撃に弱いものだと(例えば環状ポリオレフィン樹脂は衝撃に弱い)、ポート部材と栓体との溶着性を向上させるために、材料にゴム成分を含有させるなどの工夫が必要となる。
【0005】
他方で、上記のような材料コストの問題を抑制しつつ、ポート部材と栓体との密封性を確保するための方法として、栓体と溶着しやすい材料にて構成された別部材をポート部材に設けて、この別部材(以下では適宜「溶着部」と呼ぶ。)によって栓体と溶着することが考えられる。しかしながら、このような溶着部を別途設けると、溶着部とポート部材の本体部との接合強度を確保する必要性が新たに生じる。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、輸液が通過するポート本体部に加えて、栓体と接合するための栓体接合部を別途有する輸液容器用のポート部材において、ポート本体部と栓体接合部との接合強度を適切に確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、輸液容器から輸液を注出するための輸液容器用のポート部材であって、筒状に形成され、輸液が内部を通過するポート本体部と、ポート本体部の軸方向における端部付近の外周部分を覆うように当該ポート本体部に接合され、且つ、ポート本体部の出口を塞ぐための栓体に接合される栓体接合部と、を有し、ポート部材は、更に、ポート本体部と栓体接合部との軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部、及び、ポート本体部と栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部を有し、これら軸方向移動規制部及び周方向移動規制部を介してポート本体部と栓体接合部とが接合される、ことを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明によれば、ポート部材は、輸液が通過するポート本体部に加えて、栓体と接合するための栓体接合部を別途有しており、ポート本体部と栓体接合部との軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部、及び、ポート本体部と栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部を更に有している。これにより、軸方向移動規制部及び周方向移動規制部を介してポート本体部と栓体接合部とが物理的に接合されるので、ポート本体部と栓体接合部との接合強度を適切に確保することができる。その結果、栓体接合部の材料が、ポート本体部との接合性(接着性や溶着性)が確保されるようなものに制限されることがないので、栓体接合部に適用する材料の自由度が増す。また、本発明では、栓体と接合するための栓体接合部をポート本体部とは別に設けているので、たとえ高価な材料をポート本体部に適用したとしても、その高価な材料を栓体にも適用する必要は無いので、材料コストが高くなるのを抑制できる。
【0009】
本発明において、好ましくは、軸方向移動規制部は、ポート本体部の外周部分に形成され、径方向外方に突出する突出部、及び、栓体接合部の内周部分に形成され、ポート本体部の突出部を軸方向における両側から挟み込む挟持部により構成されるか、又は、栓体接合部の内周部分に形成され、径方向内方に突出する突出部、及び、ポート本体部の外周部分に形成され、栓体接合部の突出部を軸方向における両側から挟み込む挟持部により構成される。
このように構成された本発明によれば、ポート本体部と栓体接合部との軸方向における相対的な移動を確実に規制できる。
【0010】
本発明において、好ましくは、周方向移動規制部は、ポート本体部の外周部分及び栓体接合部の内周部分のうちの一方に形成された係合部、及び、ポート本体部の外周部分及び栓体接合部の内周部分のうちの他方に形成され、係合部が係合する被係合部により構成され、これら係合部と被係合部とを係合させることでポート本体部と栓体接合部との周方向における相対的な移動を規制する。
このように構成された本発明によれば、ポート本体部と栓体接合部との周方向における相対的な移動を確実に規制できる。
【0011】
本発明において、好ましくは、軸方向移動規制部及び/又は周方向移動規制部は、ポート本体部及び栓体接合部の全周に亘って形成される。
このように構成された本発明によれば、ポート本体部と栓体接合部との軸方向及び/又は周方向における相対的な移動をより確実に規制できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、ポート本体部は、環状ポリオレフィンのみから成る樹脂又は環状ポリオレフィンを主成分とする樹脂により構成される。
このように構成された本発明によれば、輸液容器に収容する輸液が、例えば3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン(エダラボン)などを含有する場合に、環状ポリオレフィンが適用されたポート本体部により、エダラボンのポート本体部への吸着を防止することができる、つまりエダラボンの吸着による含量低下を抑制することができる。その結果、エダラボンを安定的に保存可能となる。
【0013】
なお、本明細書においては、「環状ポリオレフィンを主成分とする樹脂」とは、環状ポリオレフィン以外に種々の成分を含む樹脂において、環状ポリオレフィンを50%以上含有する樹脂、又は環状ポリオレフィンの含有量が一番多い樹脂を意味するものとする。
【0014】
本発明において、好ましくは、栓体接合部は、ポリプロピレンのみから成る樹脂又はポリプロピレンを主成分とする樹脂により構成される。
このように構成された本発明によれば、ポリプロピレンは耐熱性が比較的高いので、高レベルの滅菌処理を栓体接合部に施すことができる。また、ポリプロピレンが適用された栓体接合部によれば、一般的な栓体との接合性(例えば溶着性)を適切に確保することができる。
【0015】
なお、本明細書においては、「ポリプロピレンを主成分とする樹脂」とは、ポリプロピレン以外に種々の成分を含む樹脂において、ポリプロピレンを50%以上含有する樹脂、又はポリプロピレンの含有量が一番多い樹脂を意味するものとする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、輸液が通過するポート本体部に加えて、栓体と接合するための栓体接合部を別途有する輸液容器用のポート部材において、ポート本体部と栓体接合部との接合強度を適切に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態によるポート部材が適用された輸液容器の概略平面図である。
図2図2(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見た、本発明の実施例1によるポート部材の断面図であり、図2(b)は、図2(a)中のB1-B1線に沿って見たポート部材の断面図である。
図3図3(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見た、本発明の実施例2によるポート部材の断面図であり、図3(b)は、図3(a)中のB2-B2線に沿って見たポート部材の断面図である。
図4図4(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見た、本発明の実施例3によるポート部材の断面図であり、図4(b)は、図4(a)中のB3-B3線に沿って見たポート部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による輸液容器用のポート部材について説明する。
【0019】
[全体構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるポート部材が適用された輸液容器の全体構成について説明する。図1は、本実施形態によるポート部材を含む輸液容器の概略平面図である。
【0020】
図1に示すように、輸液容器(換言すると輸液バッグ)1には、薬剤等を含有する所定の輸液が収容されると共に、輸液を注出(排出)するためのポート部材2が気密的に取り付けられる。ポート部材2は、中空の略円筒状に形成され、輸液が内部を通過するポート本体部21を有する。また、ポート部材2は、図1において破線で表された栓体接合部22を更に有する。この栓体接合部22は、ポート本体部21の軸方向における端部付近の外周部分を覆うように当該ポート本体部21に接合され、且つ、ポート本体部21の出口を塞ぐための栓体3に接合される。具体的には、栓体接合部22は、弾性体(例えばゴム)を内蔵した栓体3と溶着(超音波溶着や熱溶着など)され、それにより、ポート部材2が密封される。なお、栓体3を図示しない針により穿刺することにより、輸液容器からの輸液作業が行われる。
【0021】
また、輸液容器1には、例えば、脳保護剤(フリーラジカルスカベンジャー)として知られている3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン(一般名はエダラボン)を含有する輸液が収容される。この場合、輸液容器1の内層は、エダラボンの吸着を防止するために(換言するとエダラボンの吸着による含量低下を抑制するため)、すなわちエダラボンを安定的に保存するために、環状ポリオレフィンのみから成る樹脂又は環状ポリオレフィンを主成分とする樹脂により構成される。加えて、ポート部材2において、このような輸液と接する接液部としてのポート本体部21も、上記と同様の観点から、環状ポリオレフィンのみから成る樹脂又は環状ポリオレフィンを主成分とする樹脂により構成される。
【0022】
他方で、ポート部材2の栓体接合部22は、基本的には、栓体3と溶着しやすい材料にて構成される。また、好適には、栓体接合部22は、ポート本体部21とも接合(接着や溶着)しやすい材料にて構成される。具体的には、栓体接合部22は、これらの点を考慮して、ポリプロピレンのみから成る樹脂又はポリプロピレンを主成分とする樹脂により構成される。
なお、ポリプロピレンの代わりにポリエチレンを栓体接合部22に適用する構成も考え得る(ポリエチレンは、環状ポリオレフィンへの接合性(接着性や溶着性)が比較的高いからである)。しかしながら、ポリプロピレンは、ポリエチレンよりも耐熱性が高いので(換言すると融点が高い)、高レベルの滅菌処理を栓体接合部22に施すことができるため、本実施形態ではポリプロピレンを適用することとした。
【0023】
以上のように、本実施形態によるポート部材2では、ポート本体部21とは別に栓体接合部22を設けて、この栓体接合部22によって栓体3と溶着するようにしている。しかしながら、こうすると、たとえ栓体接合部22をポート本体部21と接合しやすい材料にて構成したとしても、1つの部材から成るポート部材を栓体と溶着する構成などと比べて、ポート本体部21と栓体接合部22との接合強度を確保する必要性が新たに生じる。したがって、本実施形態では、後述するように、特徴的な物理的な構成を採用してポート本体部21と栓体接合部22とを接合することによって、これらの間の接合強度を確保するようにした。
【0024】
[ポート部材の実施例]
以下では、上記した本発明の実施形態によるポート部材2の種々の実施例について説明する。
【0025】
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1によるポート部材2aの断面図を示す。具体的には、図2(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見たポート部材2aの断面図を示し、図2(b)は、図2(a)中のB1-B1線に沿って見たポート部材2aの断面図を示す。
【0026】
図2(a)に示すように、実施例1によるポート部材2aでは、栓体接合部22aは、当該栓体接合部22aの内周部分を形成し、ポート本体部21aの外周部分に当接する略円筒状の部分22a1(この部分22a1は、栓体接合部22aにおいて径方向内方に突出した部分であり、以下では「突出部22a1」と呼ぶ。)を有する。また、ポート本体部21aは、当該ポート本体部21aの外周部分に形成され、上記の栓体接合部22aの突出部22a1を受け入れる凹んだ部分21a1(略円筒状に形成された溝に相当する)を有し、この部分21a1(以下では「挟持部21a1」と呼ぶ。)によって突出部22a1を軸方向における両側から挟み込む。このようなポート本体部21aの挟持部21a1及び栓体接合部22aの突出部22a1により、ポート本体部21aと栓体接合部22aとの軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部2a1が構成される。
【0027】
次に、図2(b)に示すように、実施例1によるポート部材2aでは、ポート本体部21aの外周部分及び栓体接合部22aの内周部分のそれぞれが互いに係合するギヤ形状に形成されている。このようなポート本体部21a及び栓体接合部22aのギヤ形状は、栓体接合部22aの軸方向の端部に対応する位置に形成されている(図2(a)参照)。より具体的には、ポート本体部21aの外周部分には、複数の凸部(係合部)21a2及び複数の凹部(被係合部)21a3が全周に亘って形成されると共に、栓体接合部22aの内周部分には、複数の凸部(係合部)22a2及び複数の凹部(被係合部)22a3が全周に亘って形成され、それにより、ポート本体部21aの凸部21a2と栓体接合部22aの凹部22a3とが係合すると共に、ポート本体部21aの凹部21a3と栓体接合部22aの凸部22a2とが係合するようになっている。このようなポート本体部21aの凸部21a2、凹部21a3及び栓体接合部22aの凸部22a2、凹部22a3により、ポート本体部21aと栓体接合部22aとの周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部2a2が構成される。
【0028】
以上の実施例1によるポート部材2aによれば、軸方向移動規制部2a1及び周方向移動規制部2a2を介してポート本体部21aと栓体接合部22aとが物理的に接合されるので、ポート本体部21aと栓体接合部22aとの接合強度を適切に確保することができる。
【0029】
(実施例2)
図3は、本発明の実施例2によるポート部材2bの断面図を示す。具体的には、図3(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見たポート部材2bの断面図を示し、図3(b)は、図3(a)中のB2-B2線に沿って見たポート部材2bの断面図を示す。
【0030】
図3(a)に示すように、実施例2によるポート部材2bでは、ポート本体部21bは、当該ポート本体部21bの外周部分に、径方向外方に突出する突出部21b1(略円環状のフランジに相当する)を有する。また、栓体接合部22bは、当該栓体接合部22bの内周部分に形成され、上記のポート本体部21bの突出部21b1を受け入れる凹んだ部分22b1(略円環状の溝に相当する)を有し、この部分22b1(以下では「挟持部22b1」と呼ぶ。)によって突出部21b1を軸方向における両側から挟み込む。このようなポート本体部21bの突出部21b1及び栓体接合部22bの挟持部22b1により、ポート本体部21bと栓体接合部22bとの軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部2b1が構成される。
【0031】
次に、図3(b)に示すように、実施例2によるポート部材2bも、ポート本体部21bの外周部分及び栓体接合部22bの内周部分のそれぞれが互いに係合するギヤ形状に形成されている。このようなポート本体部21b及び栓体接合部22bのギヤ形状は、栓体接合部22bの円筒部分に対応する、軸方向に比較的長く延びた部分に形成されている(図3(a)参照)。より具体的には、実施例2によるポート部材2bも、実施例1によるポート部材2aと同様に、ポート本体部21bの外周部分には、複数の凸部(係合部)21b2及び複数の凹部(被係合部)21b3が全周に亘って形成されると共に、栓体接合部22bの内周部分には、複数の凸部(係合部)22b2及び複数の凹部(被係合部)22b3が全周に亘って形成されている。このようなポート本体部21bの凸部21b2、凹部21b3及び栓体接合部22bの凸部22b2、凹部22b3により、ポート本体部21bと栓体接合部22bとの周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部2b2が構成される。
【0032】
以上の実施例2によるポート部材2bによっても、軸方向移動規制部2b1及び周方向移動規制部2b2により、ポート本体部21bと栓体接合部22bとの接合強度を適切に確保することができる。特に、実施例2によるポート部材2bによれば、実施例1によるポート部材2aと比較して、単純な割型により製造できるので、製造コストを削減することが可能となる。
【0033】
(実施例3)
図4は、本発明の実施例3によるポート部材2cの断面図を示す。具体的には、図4(a)は、図1中のA1-A1線に沿って見たポート部材2cの断面図を示し、図4(b)は、図4(a)中のB3-B3線に沿って見たポート部材2cの断面図を示す。
【0034】
図4(a)に示すように、実施例3によるポート部材2cでは、ポート本体部21cは、当該ポート本体部21cの外周部分に、径方向外方に突出する突出部21c1(略円環状のフランジに相当する)を有する。また、栓体接合部22cは、当該栓体接合部22cの内周部分に形成され、上記のポート本体部21cの突出部21c1を受け入れる凹んだ部分22c1(略円環状の溝に相当する)を有し、この部分22c1(以下では「挟持部22c1」と呼ぶ。)によって突出部21c1を軸方向における両側から挟み込む。このようなポート本体部21cの突出部21c1及び栓体接合部22cの挟持部22c1により、ポート本体部21cと栓体接合部22cとの軸方向における相対的な移動を規制する軸方向移動規制部2c1が構成される。
【0035】
次に、図4(b)に示すように、実施例3によるポート部材2cも、ポート本体部21cの外周部分及び栓体接合部22cの内周部分のそれぞれが互いに係合するギヤ形状に形成されている。このようなポート本体部21c及び栓体接合部22cのギヤ形状は、ポート本体部21cの突出部21c1に対応する位置に形成されている(図4(a)参照)。より具体的には、実施例3によるポート部材2cも、実施例1によるポート部材2aなどと同様に、ポート本体部21cの外周部分には、複数の凸部(係合部)21c2及び複数の凹部(被係合部)21c3が全周に亘って形成されると共に、栓体接合部22cの内周部分には、複数の凸部(係合部)22c2及び複数の凹部(被係合部)22c3が全周に亘って形成されている。このようなポート本体部21cの凸部21c2、凹部21c3及び栓体接合部22cの凸部22c2、凹部22c3により、ポート本体部21cと栓体接合部22cとの周方向における相対的な移動を規制する周方向移動規制部2c2が構成される。
【0036】
以上の実施例3によるポート部材2cによっても、軸方向移動規制部2c1及び周方向移動規制部2c2により、ポート本体部21cと栓体接合部22cとの接合強度を適切に確保することができる。また、実施例3によるポート部材2cによれば、実施例2によるポート部材2bと同様に、単純な割型により製造できるので、製造コストを削減することが可能となる。特に、実施例3によるポート部材2cによれば、実施例2によるポート部材2bと比較して、成型品の反りやヒケによる外形状の不具合(外観や搬送性)を改善することができる。
【0037】
[変形例]
上記した実施例では、軸方向移動規制部及び周方向移動規制部の両方を、ポート本体部及び栓体接合部の全周に亘って形成したが、軸方向移動規制部及び周方向移動規制部を全周に亘って形成しなくてもよく(つまりポート本体部及び栓体接合部における外周部分又は内周部分の一部のみに形成してもよい)、また、軸方向移動規制部及び周方向移動規制部の一方のみを、ポート本体部及び栓体接合部の全周に亘って形成してもよい。
【0038】
上記した実施例では、ポート本体部及び栓体接合部のそれぞれに設けられた、8つの凸部及び凹部により構成された周方向移動規制部を示したが(図2(b)、図3(b)、図4(b)参照)、8つ未満の凸部及び凹部により周方向移動規制部を構成してもよく、また、9つ以上の凸部及び凹部により周方向移動規制部を構成してもよい。1つの例では、1つの凸部及び凹部のみ(これらは所謂キー及びキー溝を形成する)により周方向移動規制部を構成してもよい。
【0039】
上述した実施形態(実施例含む)は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 輸液容器
2、2a~2c ポート部材
2a1~2c1 軸方向移動規制部
2a2~2c2 周方向移動規制部
21、21a~21c ポート本体部
22、22a~22c 栓体接合部
21a1、22b1、22c1 挟持部
22a1、21b1、21c1 突出部
21a2~21c2、22a2~22c2 凸部(係合部)
21a3~21c3、22a3~22c3 凹部(被係合部)
3 栓体
図1
図2
図3
図4