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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060809
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】ランナー留付金具
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
E04B2/82 501A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168510
(22)【出願日】2020-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 健夫
(72)【発明者】
【氏名】上谷 博
(72)【発明者】
【氏名】潮 真之介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】梁の下面に取り付けられる梁下金具に下方から係合されて梁下金具の下方に保持されるランナー留付金具において、ランナー留付金具にランナーを固定する際の作業性を改善することができるランナー留付金具を提供する。
【解決手段】ランナー留付金具30Aは、梁下金具2に係合された状態で水平に保持される留付下地部31を有する。留付下地部31の下面側には、断面L字形のランナー40の水平片部41を挟持するクリップ部34が、留付下地部31の一部分を切り起こすなどして設けられており、このクリップ部に仮止めしたランナー40を留付下地部31にビス止めする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁の下面に取り付けられる梁下金具に下方から係合されて前記梁下金具の下方に保持されるランナー留付金具において、
前記ランナー留付金具は、前記梁下金具に係合された状態で水平に保持される留付下地部を有し、
前記留付下地部の下面側には、断面L字形のランナーの水平片部を挟持するクリップ部が設けられていることを特徴とするランナー留付金具。
【請求項2】
請求項1に記載されたランナー留付金具において、
前記クリップ部は、前記留付下地部の一部分を切り起こして屈折させることにより形成されていることを特徴とするランナー留付金具。
【請求項3】
請求項1に記載されたランナー留付金具において、
前記クリップ部は、前記留付下地部の下面側に挟持片を重ね止めして形成されていることを特徴とするランナー留付金具。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載されたランナー留付金具において、
前記クリップ部には、該クリップ部に挿し込まれる前記ランナーの水平片部の先端縁に当接して該水平片部の挿し込み深さを一定に揃える位置決め当接部が設けられていることを特徴とするランナー留付金具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載されたランナー留付金具において、
前記クリップ部には、前記ランナーの水平片部を前記留付下地部に対してビス止めするためのガイド孔が形成されていることを特徴とするランナー留付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、梁下に界壁等のランナーを固定する際に使用するランナー留付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
共同住宅や連続建て住宅等においては、隣接する住戸の間に界壁(戸境壁)が設置される。その住宅等が鉄骨構造の場合、界壁は、床版の上面と上階の梁下に、溝形またはL字形の断面形状を有する軽量鉄骨製のランナーを取り付けて相対させ、それら上下のランナーの間に軽量鉄骨製のスタッドを適宜間隔で建て込み、そのスタッドに壁下地ボード等を添設する、といった工法で施工されることが多い。梁下にランナーを取り付ける手段としては、梁の下面に木下地や専用の留付金具を取り付けて、その木下地や留付金具にランナーをあてがい、釘やビスで留め付けるものが一般的である。
【0003】
図13および図14は、特許文献1に開示された内壁の設置構造と、それに使用されているランナー固定金具と、を示している。H形鋼からなる上階の梁6には、ランナー固定金具1が適宜間隔で取り付けられ、そのランナー固定金具1にランナー4が取り付けられる。なお、同文献記載のランナー4は、界壁ではなく外壁に近接する内壁の下地として取り付けられているが、梁下への取付形態に関しては界壁のランナーもほぼ同様である。
【0004】
ランナー固定金具1は、梁6の下フランジ61に取り付けられる梁下金具(同文献中では「取付金具」)2と、この梁下金具2に下方から取り付けられるランナー留付金具(同文献中では「下地金具」)3と、を組み合わせて構成されている。
【0005】
梁下金具2は、取付状態において水平に保持される底板部(同文献では「水平部」)21と、底板部21の両端縁から上向きに延出して互いに相対する一対の起立部(同文献では「垂直部」)22と、各起立部22の上端縁から外向きに張り出す一対の梁当接部23と、を備える断面逆ハット形の本体部分を有する。各起立部22には取付状態において梁6の延設方向に延びる長孔24が形成されている。さらに、各梁当接部23の外側には、上向きに延出して互いに相対する一対の係合バネ片25が、リベット26を介して取り付けられており、これらの係合バネ片25を梁6の下フランジ61の両端縁に係合させることで、梁下金具2が梁6の直下に保持される。この状態で、梁下金具2および梁6の表面が耐火被覆材8によって被覆される。
【0006】
ランナー留付金具3は、取付状態において水平に保持される平坦な留付下地部31(同文献では「取付部」)31を有し、留付下地部31の長手側の側縁には断面逆U字状に屈曲された補強部32が形成されている。留付下地部31の上面には、上向きに延出して互いに相対する一対の係合バネ片33がスポット溶接等によって接合されている。梁下金具2を被覆している耐火被覆材8を部分的に切開してランナー留付金具3の係合バネ片33を差し込み、梁下金具2の長孔24に係合させると、ランナー留付金具3が梁下金具2に連結されて、梁6の下方に水平に保持される。
【0007】
ランナー4には、略コ字状の断面形状をなす長尺の部材が使用されている。このランナー4が、開口を下向きにしてランナー留付金具3の下面に当てがわれ、開口の内側からランナー留付金具3の留付下地部31にビス止めされる。こうして梁6と平行に設置されたランナー4の開口内に、スタッドや壁パネルの上端部が差し込まれて壁下地7が形成される。このように、梁6に梁下金具2をバネ係合させ、その梁下金具2にランナー留付金具3をバネ係合させることで、ランナー4の留付下地を梁6の下方に効率よく設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10-131358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記文献に開示されたランナー留付金具3は梁下に効率よく設置できる利点を有するが、そのランナー留付金具3にランナー4を固定する作業については改善の余地がある。すなわち、ランナー留付金具3にランナー4を固定する際には、あらかじめ内壁あるいは界壁の位置に合わせてランナー4の通りを割り出し、一つ一つのランナー留付金具3の下面にランナー取付位置の目印を付ける必要がある。そして、長尺のランナー4を持ち上げて脚立に登り、その体勢でランナーをランナー留付金具3の下面に当てがって、目印からずれないように押えながら上向きにビスを打つ、という、身体的負担の大きい作業を行わなければならない。かかる作業は一人で行うことが難しいため、施工の効率化を大きく妨げる要因になっている。
【0010】
本願が開示する発明は前述のような事情に鑑みてなされたもので、ランナー留付金具に改良を加えることにより、ランナーの位置決めやビス止めに要する作業負担を軽減して施工性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本願が開示する発明のランナー留付金具は、梁の下面に取り付けられる梁下金具に下方から係合されて前記梁下金具の下方に保持されるランナー留付金具において、前記ランナー留付金具は、前記梁下金具に係合された状態で水平に保持される留付下地部を有し、前記留付下地部の下面側には、断面L字形のランナーの水平片部を挟持するクリップ部が設けられている、との構成を採用する。
【0012】
前記クリップ部は、前記留付下地部の一部分を切り起こして屈折させることにより形成することができる。
【0013】
また、前記クリップ部は、前記留付下地部の下面側に挟持片を重ね止めして形成することもできる。
【0014】
前記クリップ部には、該クリップ部に挿し込まれる前記ランナーの水平片部の先端縁に当接して該水平片部の挿し込み深さを一定に揃える位置決め当接部が設けられていると好ましい。
【0015】
また、前記クリップ部には、前記ランナーの水平片部を前記留付下地部に対してビス止めするためのガイド孔が形成されていると、より好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本願が開示する発明のランナー留付金具は、梁下金具に係合された状態で水平に保持される留付下地部の下面側に、断面L字形のランナーの水平片部を挟持するクリップ部が設けられているので、このクリップ部にランナーの水平片部を挿し込むだけでランナーがランナー留付金具に仮止めされる。その状態で下方からランナーをランナー留付金具に対してビス止めすれば、ランナーを持ち上げてずれないように押さえる作業が不要になり、作業者の身体的負担が軽減されて、施工性が大幅に改善される。
【0017】
さらに、クリップ部にランナーの挿し込み深さを一定に揃える位置決め当接部やビス打ち用のガイド孔を設けることで、ランナーの留付精度および施工容易性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願が開示する発明の第1実施形態に係るランナー留付金具30Aの上面側斜視図である。
図2】前記第1実施形態に係るランナー留付金具30Aを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図3】本願が開示する発明の第2実施形態に係るランナー留付金具30Bの上面側斜視図である。
図4】前記第2実施形態に係るランナー留付金具30Bを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図5】本願が開示する発明の第3実施形態に係るランナー留付金具30Cの(a)上面側斜視図と(b)下面側斜視図である。
図6】前記第3実施形態に係るランナー留付金具30Cを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図7】本願が開示する発明の第4実施形態に係るランナー留付金具30Dの(a)上面側斜視図と(b)下面側斜視図である。
図8】前記第4実施形態に係るランナー留付金具30Dを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図9】本願が開示する発明の第5実施形態に係るランナー留付金具30Eおよびそれと併用される梁下金具2Eの上面側斜視図である。
図10】前記第5実施形態に係るランナー留付金具30Eおよび梁下金具2Eを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図11】本願が開示する発明の第6実施形態に係るランナー留付金具30Fおよびそれと併用される梁下金具2Fの上面側斜視図である。
図12】前記第6実施形態に係るランナー留付金具30Fおよび梁下金具2Fを使用した界壁の設置構造を示す断面図である。
図13】特許文献1に開示された内壁の設置構造である。
図14】前記図13の内壁の設置構造に使用されているランナー固定金具1(梁下金具2およびランナー留付金具3)の上面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願が開示する発明に係るランナー留付金具は、形鋼材からなる梁の下フランジに取り付けられる梁下金具に連結されて梁の下方に保持され、その下方に界壁または内壁のランナーを留め付けるための部材として構成される。この発明における「梁のフランジ」とは、主としてH形鋼、またはこれに類するI形鋼、溝形鋼、ハット形鋼、2本の溝形鋼を背合わせに結合した合わせ形材等の材軸直交断面において外向きに張り出している、少なくとも一片の平坦な板状の部位を意味する。この下フランジに、図13および図14に示した梁下金具2、あるいはこれに類似する適宜の梁下金具が取り付けられ、その梁下金具に新規の改良を加えたランナー留付金具が連結される。以下、ランナー留付金具の改良点について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、以下に例示する複数の実施形態において、図13および図14に示した従来の内壁の設置構造またはランナー固定金具1と実質的に共通する構成要素には同一の数字符号を付して、それらの詳細な説明は簡略化する。複数の実施形態について説明する際にも、先述の実施形態と実質的に共通する構成要素には同一の数字符号を付すことで、後述の実施形態における重複説明を省略する。先述の実施形態における特定の構成要素と、それに対応する後述の実施形態の構成要素との相違点や共通点を説明する場合には、それらの構成要素に付す数字符号の後にアルファベット(A、B、…)を追記して両者を区別するが、数字符号が共通する構成要素についての名称および基本的概念は、各実施形態を通じて共通である。
【0021】
また、以下において部位・部材の相対的な位置関係や向きを説明する際には、各部材が梁下に施工された状態を基準にして、上下方向(高さ方向)、前後方向(梁の延設方向)、左右方向(梁の幅方向)を特定することとし、左右方向においては梁心側を内側(内方)、梁心から離れる側を外側(外方)と称する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は本願が開示する発明の第1実施形態に係るランナー留付金具30Aを示し、図2はそのランナー留付金具30Aを使用した界壁の設置構造を示す。
【0023】
このランナー留付金具30Aは、取付状態において水平に保持される平面視長矩形の平坦な留付下地部31と、留付下地部31の長手側の側縁に形成された断面逆U字状の補強部32と、留付下地部31の上面に接合されて上向きに延出された一対の係合バネ片33と、を具備しており、係合バネ片33を梁下金具2の長孔24に係合させることで梁下金具2に連結される、という点において、図13および図14に示した従来のランナー留付金具3と共通している。
【0024】
相違点は、留付下地部31の下面側にランナーを挟持するためのクリップ部34が左右一対に設けられていることにある。各クリップ部34は、留付下地部31の一部分を平面視コ字形に切り起こして屈折させることにより形成されている。詳細には、切り起こし箇所の梁心側を起点にして下向きに屈折された垂下部341と、垂下部341の下縁から留付下地部31の外方へ斜め上向きに折り返された折上部342と、折上部342の先端縁からさらに外方へ斜め下向きに折り返された迎え部343と、を有して、外向きに開口している。そして、図2に示すように、留付下地部31と折上部342との間が金属板自体の曲げ弾性によって接離し、その隙間にランナー40が挿し込まれて弾性的に挟持される。
【0025】
この実施形態では断面L字形のランナー40を採用しており、その水平片部41をランナー留付金具30のクリップ部34に外側から挿し込むことで、ランナー40の仮止めを容易にしている。ランナー40は、水平片部41の先端縁がクリップ部34の垂下部341に突き当たることで、梁心からの水平距離が一定になるように位置決めされる。つまり、垂下部341が、水平片部41の挿し込み深さを一定に揃える位置決め当接部として機能する。
【0026】
クリップ部34に挿し込まれたランナー40の水平片部41は、クリップ部34の下方から上向きにビス止めされて、留付下地部31に固定される。クリップ部34の折上部342にはビス止めのためのガイド孔344が形成されている。このガイド孔344にビス35の先端を合わせることでビス35の先端が逃げにくくなり、ビス止め作業が容易になる。こうして、ランナー40が梁6と平行に設置される。このランナー40の垂下片部42にスタッド(図示せず)や壁パネル71が添設されて側方からビス止めされ、さらに耐火性を有する壁下地ボード72等が建て込まれて壁下地7が形成される。
【0027】
なお、図2に示した形態では、壁下地ボード72の外側に重ねて、梁6の側方を被覆する梁耐火パネル73が取り付けられる。梁耐火パネル73は、断面L字形の梁耐火ランナー5の起立片部52に添設されるが、この梁耐火ランナー5の水平片部51は、ランナー留付金具30の留付下地部31とランナー40の水平片部41との隙間に挿し込まれて、留付下地部31の端部近傍に下方からビス止めされている。
【0028】
[第2実施形態]
図3は本願が開示する発明の第2実施形態に係るランナー留付金具30Bを示し、図4はそのランナー留付金具30Bを使用した界壁の設置構造を示す。
【0029】
このランナー留付金具30Bは、平面視長矩形の平坦な留付下地部31が、その上面に延出された一対の係合バネ片33を介して梁下金具2に連結される点、および留付下地部31の一部分を平面視コ字形に切り起こして留付下地部31の下面側にランナー40の水平片部41を挟持し得るクリップ部34が形成されている点において、前記第1実施形態に係るランナー留付金具30Aと共通している。クリップ部34の詳細な形状も前記第1実施形態と同じである。
【0030】
第1実施形態との相違点は、留付下地部31の長手側の側縁が上向きに折り返されて補強片36が形成されている点、短手側の端縁が上向きに折り返されて梁耐火ランナー5を裏支えする支持片37となされている点、さらにその支持片37の側縁が内側に折り返されて補強片36と接合されている点にある。これらの構成によって、梁6の側方を被覆する梁耐火パネル73等をしっかりと支持することが可能になる。
【0031】
[第3実施形態]
図5は本願が開示する発明の第3実施形態に係るランナー留付金具30Cを示し、図6はそのランナー留付金具30Cを使用した界壁の設置構造を示す。
【0032】
このランナー留付金具30Cは、平面視長矩形の平坦な留付下地部31の長手側の側縁に断面逆U字状の補強部32が形成されている点、および留付下地部31が、その上面に延出された一対の係合バネ片33を介して梁下金具2に連結される点、において、前記第1実施形態に係るランナー留付金具30Aと共通している。
【0033】
第1実施形態との相違点はクリップ部34にあって、クリップ部34は留付下地部31の下面側に、留付下地部31とは別体の薄いバネ板片345を重ね止めすることにより形成されている。バネ板片345は、梁心側がリベット346を介して留付下地部31に接合され、外側が弾性的に湾曲して留付下地部31と接離するように保持される。外側の先端縁には斜め下向きに折り返された迎え部343が形成されている。このバネ板片345と留付下地部31の間に、断面L字形のランナー40の水平片部41が外側から挿し込まれて仮止めされる。バネ板片345の中間部にはビス止めのためのガイド孔344が形成されており、このガイド孔344にビス35を打つことでランナー40が留付下地部31に固定される。
【0034】
[第4実施形態]
図7は本願が開示する発明の第4実施形態に係るランナー留付金具30Dを示し、図8はそのランナー留付金具30Dを使用した界壁の設置構造を示す。
【0035】
このランナー留付金具30Dは、平面視長矩形の平坦な留付下地部31が、その上面に延出された一対の係合バネ片33を介して梁下金具2に連結される点、留付下地部31の長手側の側縁が上向きに折り返されて補強片36が形成されている点、短手側の端縁が上向きに折り返されて梁耐火ランナー5を裏支えする支持片37となされている点、さらにその支持片37の側縁が内側に折り返されて補強片36と接合されている点において、前記第2実施形態に係るランナー留付金具30Bと共通している。
【0036】
第2実施形態との相違点はクリップ部34の形状にある。クリップ部34は、留付下地部31の長手側の側縁に近接して内外方向に細長く延びる二か所の切抜部347を形成し、その切抜部347の内外方向に延びる片側縁の梁心側に残した接続箇所を起点にして切抜部347を下向きに屈折させることにより形成されている。下向きに屈折された切抜部347は、留付下地部31に接続する折下部348と、折下部348から外向きに延びる受部349とを有している。受部349の上縁は梁心側に向かって緩く下降傾斜し、先端部分には外側へ斜め下向きに傾斜する迎え縁部が形成されている。この受部349と留付下地部31との間にランナー40の水平片部41が外側から挿し込まれて挟持される。水平片部41の先端縁は折下部348の外側縁に突き当たることで、梁心からの水平距離が一定になるように位置決めされる。つまり、この第4実施形態では、折下部348の外側縁が、水平片部41の挿し込み深さを一定に揃える位置決め当接部として機能する。
【0037】
[第5実施形態]
図9は本願が開示する発明の第5実施形態に係るランナー留付金具30Eおよびそれと併用される梁下金具2Eを示し、図10はそのランナー留付金具30Eおよび梁下金具2Eを使用した界壁の設置構造を示す。
【0038】
このランナー留付金具30Eは実質的に、前記第2実施形態に係るランナー留付金具30Bを左右方向に二分割したものであり、留付下地部31の左右幅が第2実施形態に係るランナー留付金具30Bの半分程度となされている。留付下地部31の長手側の側縁が上向きに折り返されて補強片36が形成されている点、短手側の端縁に梁耐火ランナー5を裏支えする支持片37が形成されている点、その支持片37の側縁が内側に折り返されて補強片36と接合されている点、留付下地部31の一部分を平面視コ字形に切り起こして留付下地部31の下面側にクリップ部34が形成されている点は、前記第2実施形態に係るランナー留付金具30Bと共通しており、クリップ部34の詳細な形状も前記第1実施形態、第2実施形態と同じである。
【0039】
留付下地部31の上面に一対の係合バネ片33が取り付けられて、それらの係合バネ片33が梁下金具2Eに連結される点も第2実施形態と共通している。ただし、その梁下金具2Eは、梁6の下フランジ61の左側および右側に別々に取り付けられる構成になっている。
【0040】
梁下金具2Eは、取付状態において水平に保持される上板部27と、上板部27の両端縁から下向きに延出して互いに相対する一対の垂下部28と、を備える断面コ字形の本体部分を有する。各垂下部28には取付状態において梁6の延設方向に延びる長孔24が形成されている。そして下フランジ61の片側縁を挟持するクリップ片291と、その嵌装状態に合わせて下フランジ61の梁心寄りの下面に当接される梁当接片292と、を有するフランジ取着部材29が、リベット293を介して上板部27に取り付けられている。このフランジ取着部材29を梁6の下フランジ61に係合させることで、梁下金具2Eが梁6の片側に保持される。クリップ片291の一部を切り起こして形成された爪片294は、梁6の下フランジ61に形成されるボルト通孔62等に掛止される。このような梁下金具2Eを使用することで、梁下に、左右で構造や寸法の異なるランナー留付下地を設置することができる。
【0041】
[第6実施形態]
図11は本願が開示する発明の第6実施形態に係るランナー留付金具30Fおよびそれと併用される梁下金具2Fを示し、図12はそのランナー留付金具30Fおよび梁下金具2Fを使用した界壁の設置構造を示す。前記第5実施形態に係るランナー留付金具30Eおよび梁下金具2Eと同様に、このランナー留付金具30Fおよび梁下金具2Fも、梁6の下フランジ61の左側および右側に別々に取り付けられる構成になっている。
【0042】
ランナー留付金具30Fは実質的に、前記第1実施形態に係るランナー留付金具30Aを左右方向に二分割したものであり、留付下地部31の長手側の側縁に断面逆U字状の補強部32が形成されている点は前記第1実施形態と共通している。留付下地部31の一部分を平面視コ字形に切り起こして留付下地部31の下面側にクリップ部34が形成されている点、およびクリップ部34の詳細な形状は前記第1実施形態、第5実施形態と同じである。留付下地部31の上面に一対の係合バネ片33が取り付けられて、それらの係合バネ片33が梁下金具2Fに連結される点も前記第1実施形態、第5実施形態と共通している。
【0043】
梁下金具2Fは、前記第5実施形態に係る梁下金具2Eと同一の本体部分を有しており、その上板部27に、下フランジ61の片側縁を挟持するフランジ取着部材29がリベット293を介して取り付けられている。このフランジ取着部材29は、左右方向に細長く延びる基底片295と、基底片295の前後両側縁から立ち上げられて下フランジ61の下面に当接される梁当接リブ296と、梁当接リブ296の外側部分から上向きに延設されて梁心側に突き出す正面視逆L字形のフランジ掛着片297と、を具備している。フランジ掛着片297の下縁は梁心側に向かって緩く下降傾斜し、さらにその先端部分には梁心側に向かって斜め上向きに傾斜する迎え縁部が形成されている。このフランジ掛着片297と梁当接リブ296との間に下フランジ61を嵌め込むことで、梁下金具2Fが梁6の片側に保持される。
【0044】
以上に例示した各実施形態に係るランナー留付金具30(30A~30F)を使用すれば、留付下地部31の下面側に設けられたクリップ部34に断面L字形のランナー40の水平片部41を挿し込むだけでランナー40がランナー留付金具30に仮止めされる。その状態で下方からランナー40をランナー留付金具30に対してビス止めすれば、ランナー40を持ち上げてずれないように押さえる作業が不要になり、ランナー40の位置決めやビス止めに要する作業者の身体的負担が軽減されて、施工性が大幅に改善される。
【0045】
なお、本願が開示する発明の技術的範囲は、例示した実施形態によって限定的に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて概念的に解釈されるべきものである。この発明の実施に際しては、特許請求の範囲において具体的に特定していない部材・部品の形状、位置関係、寸法、接合形態等を、例示形態と実質的に同程度以上の作用効果が得られる範囲内で適宜、改変して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願が開示する発明は、各種鉄骨造建物の壁下地構造に幅広く利用することができる
【符号の説明】
【0047】
2、2E、2F 梁下金具
21 底板部
22 起立部
23 梁当接部
24 長孔
25 係合バネ片
26 リベット
27 上板部
28 垂下部
29 フランジ取着部材
291 クリップ片
292 梁当接片
293 リベット
294 爪片
295 基底片
296 梁当接リブ
297 フランジ掛着片
30(30A、30B、30C、30D、30E、30F) ランナー留付金具
31 留付下地部
32 補強部
33 係合バネ片
34 クリップ部
341 垂下部
342 折上部
343 迎え部
344 ガイド孔
345 バネ板片
346 リベット
347 切抜部
348 折下部
349 受部
35 ビス
36 補強片
37 支持片
40 ランナー
41 水平片部
42 垂下片部
5 梁耐火ランナー
51 水平片部
52 起立片部
6 梁
61 下フランジ
62 ボルト通孔
7 壁下地
71 壁パネル
72 壁下地ボード
73 梁耐火パネル
図1
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