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特開2022-60832水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060832
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20220408BHJP
【FI】
F04D15/00 B
F04D15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168549
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【テーマコード(参考)】
3H020
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020AA08
3H020BA07
3H020BA13
3H020CA08
3H020DA02
3H020DA23
3H020EA01
3H020EA17
(57)【要約】
【課題】水位を検知する要素が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることが可能な水中電動ポンプシステムを提供する。
【解決手段】この水中電動ポンプシステム100は、制御部32aおよび通信部33aが設けられ、排水領域1に配置された水中電動ポンプ3aと、制御部32bおよび通信部33bが設けられ、排水領域1に配置された水中電動ポンプ3bと、排水領域1の外に配置された通信部22と、を備える。制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bの無線通信ができない場合、通信部33a(33b)および通信部22の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御部を含み、水が流入する排水領域に配置された第1水中電動ポンプと、
第2制御部を含み、前記排水領域に配置され、前記第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、
前記第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、
前記第2水中電動ポンプに設けられた第2通信部と、
前記排水領域の外に配置された第3通信部と、を備え、
前記第1通信部、前記第2通信部および前記第3通信部は、互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって前記第1通信部および前記第2通信部が水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記第1制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができない場合、前記第1通信部および前記第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、
前記第2制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信ができない場合、前記第2通信部および前記第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている、水中電動ポンプシステム。
【請求項2】
前記第1通信部および前記第2通信部は、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている、請求項1に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項3】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項4】
前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの運転を監視する監視ユニットをさらに備え、
前記第3通信部は、前記排水領域の外に配置された前記監視ユニットに設けられており、
前記監視ユニットは、外部の機器と通信可能に構成されており、前記第1水中電動ポンプまたは前記第2水中電動ポンプによる運転情報を前記外部の機器に通知するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記第1通信部および前記第3通信部が無線通信可能な状態において、前記第1通信部および前記第2通信部が無線通信できない場合に、前記第2水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、前記第1通信部および前記第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、
前記第2制御部は、前記第2通信部および前記第3通信部が無線通信可能な状態において、前記第1通信部および前記第2通信部が無線通信できない場合に、前記第1水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、前記第2通信部および前記第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項6】
前記第1水中電動ポンプと、前記第2水中電動ポンプとは、同一の構成をしている、請求項1~5のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項7】
前記第1水中電動ポンプに設けられた前記第1通信部と、前記第2水中電動ポンプに設けられた前記第2通信部とは、前記排水領域において、互いに略同じ高さ位置に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項8】
前記第3通信部は、前記第1水中電動ポンプおよび前記第2水中電動ポンプの近傍において、前記第1通信部および前記第2通信部よりも高い位置に配置されている、請求項7に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項9】
前記第1制御部および前記第2制御部は、前記第1通信部および前記第2通信部が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項10】
前記第1通信部は、前記第1水中電動ポンプの金属部分を避けて前記第1水中電動ポンプに配置されており、
前記第2通信部は、前記第2水中電動ポンプの金属部分を避けて前記第2水中電動ポンプに配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の水中電動ポンプシステム。
【請求項11】
水が流入する排水領域に配置された水中電動ポンプ本体と、
前記水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、
前記水中電動ポンプ本体に設けられた第1通信部と、を備え、
前記第1通信部は、前記排水領域に配置された交互運転を行う他の水中電動ポンプに設けられた第2通信部、および、前記排水領域の外に配置された第3通信部と互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、
前記制御部は、前記第1通信部と前記他の水中電動ポンプの前記第2通信部との無線通信ができない場合、前記第1通信部と前記第3通信部との無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、前記水中電動ポンプ本体を単独運転させる制御を行うように構成されている、水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中電動ポンプシステムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、水位センサと、制御コントローラとを含む水中ポンプを2台備える水中ポンプシステム(水中電動ポンプシステム)が開示されている。上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサは、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、水位センサにより検知した水位に基づいて、運転と休止とを交互に行うことにより、2台の水中ポンプにより交互に運転する制御を行うように構成されている。また、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-215176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位センサが、水中ポンプの外部に露出した電極を有する静電容量型の水位センサにより構成されている。このため、水位センサの電極が腐食したり、電極に汚れが付着しやすいため、水位センサが故障しやすく、また電極に異物が絡みつきやすいという不都合がある。また、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、2台の水中ポンプの各々の制御コントローラは、互いに独立して水中ポンプの運転を制御するように構成されている。このため、1台の水中ポンプに故障が発生した場合に、もう1台の水中ポンプについては、単独運転になるにも関らず、交互運転の制御により運転されるため、水位が高くなっても休止している場合があり、効率よく水中ポンプを運転させることが困難であるという不都合がある。その結果、上記特許文献1の水中ポンプシステムでは、水位を検知する水位センサが故障しやすいとともに、1台の水中ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中ポンプを効率よく運転させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、水位を検知する要素が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることが可能な水中電動ポンプシステムおよび水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムは、第1制御部を含み、水が流入する排水領域に配置された第1水中電動ポンプと、第2制御部を含み、排水領域に配置され、第1水中電動ポンプと交互に運転を行う第2水中電動ポンプと、第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、第2水中電動ポンプに設けられた第2通信部と、排水領域の外に配置された第3通信部と、を備え、第1通信部、第2通信部および第3通信部は、互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって第1通信部および第2通信部が水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、第1制御部は、第1通信部および第2通信部の無線通信ができない場合、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、第2制御部は、第1通信部および第2通信部の無線通信ができない場合、第2通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による水中電動ポンプシステムでは、上記のように、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する第1通信部および第2通信部の無線通信ができない場合に、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行う第1制御部を設ける。また、第1通信部および第2通信部の無線通信ができない場合に、第2通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行う第2制御部を設ける。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり電極に異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(第1通信部および第2通信部)が故障するのを抑制することができる。また、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプは、第3通信部との無線通信に基づいて水位を検知しながら、交互運転の制御から単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、残りの水中電動ポンプが交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、水位が高くなった場合に残りの水中電動ポンプが休止するのを抑制して、残りの水中電動ポンプを単独で効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(第1通信部および第2通信部)が故障するのを抑制することができるとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。
【0009】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1通信部および第2通信部は、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信が、影響を受けやすい部分(たとえば、モータ部分)により阻害されるのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、それぞれ、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、排水領域に配置された第1通信部および第2通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、排水領域の水位を検知して、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプにより交互運転を行うことができる。
【0011】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転を監視する監視ユニットをさらに備え、第3通信部は、排水領域の外に配置された監視ユニットに設けられており、監視ユニットは、外部の機器と通信可能に構成されており、第1水中電動ポンプまたは第2水中電動ポンプによる運転情報を外部の機器に通知するように構成されている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転状況を外部の機器に通知可能にすることができるとともに、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプのいずれかに故障が発生した場合に、監視ユニットを介して外部の機器に水中電動ポンプの故障を通知することができるので、故障した水中電動ポンプの修理または交換を速やかに行うことができる。これにより、外部のユーザーが第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの運転状況を把握することができるとともに、故障していない水中電動ポンプによる単独運転の期間が長期化するのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部は、第1通信部および第3通信部が無線通信可能な状態において、第1通信部および第2通信部が無線通信できない場合に、第2水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第1水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されており、第2制御部は、第2通信部および第3通信部が無線通信可能な状態において、第1通信部および第2通信部が無線通信できない場合に、第1水中電動ポンプに異常が発生していると判定するとともに、第2通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、第2水中電動ポンプを単独運転させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、一方の水中電動ポンプの通信部に異常が発生して無線通信ができなくなった場合において、他方の水中電動ポンプの制御部が、水位が上がって無線通信ができなくなったと誤認することを抑制することができるので、他方の水中電動ポンプの制御部により、一方の水中電動ポンプの通信部に異常が発生していることを精度よく判定することができる。
【0013】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1水中電動ポンプと、前記第2水中電動ポンプとは、同一の構成をしている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを設置する際に、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの各々に対する通信部等の設置位置の変更をユーザーが行う必要がない。これにより、ユーザーにおいては第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプを設置するのみでよいので、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの設置の際の作業負担が増大するのを抑制することができる。その結果、ユーザーは2種類以上ポンプを購入する必要が無くなり、管理面におけるメリットもある。
【0014】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1水中電動ポンプに設けられた第1通信部と、第2水中電動ポンプに設けられた第2通信部とは、排水領域において、互いに略同じ高さ位置に配置されている。このように構成すれば、第1水中電動ポンプと第2水中電動ポンプとを略同じ構成とすることができる。
【0015】
この場合、第3通信部は、第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプの近傍において、第1通信部および第2通信部よりも高い位置に配置されている。このように構成すれば、第3通信部が第1通信部および第2通信部の近傍に配置されるので、排水領域の水位が低く通信可能な状態において、第1通信部および第2通信部と、第3通信部との無線通信の信号強度が過度に小さくなるのを抑制することができる。また、第3通信部が高い位置に配置されるので、第3通信部が水中に配置されるのを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1制御部および第2制御部は、第1通信部および第2通信部が無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。このように構成すれば、複数の水中電動ポンプの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、第1水中電動ポンプと第2水中電動ポンプとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による水中電動ポンプシステムにおいて、好ましくは、第1通信部は、第1水中電動ポンプの金属部分を避けて第1水中電動ポンプに配置されており、第2通信部は、第2水中電動ポンプの金属部分を避けて第2水中電動ポンプに配置されている。このように構成すれば、第1通信部および第2通信部の無線通信が金属部分により阻害されるのを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプは、水が流入する排水領域に配置された水中電動ポンプ本体と、水中電動ポンプ本体の運転を制御する制御部と、水中電動ポンプ本体に設けられた第1通信部と、を備え、第1通信部は、排水領域に配置された交互運転を行う他の水中電動ポンプに設けられた第2通信部、および、排水領域の外に配置された第3通信部と互いに無線通信可能に構成されているとともに、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されており、制御部は、第1通信部と他の水中電動ポンプの第2通信部との無線通信ができない場合、第1通信部と第3通信部との無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体を単独運転させる制御を行うように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する第1通信部および第2通信部の無線通信ができない場合に、第1通信部および第3通信部の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体を単独運転させる制御を行う制御部を設ける。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり電極に異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(第1通信部)が故障するのを抑制することができる。また、他の水中電動ポンプに故障が発生した場合に、制御部は、第3通信部との無線通信に基づいて水位を検知しながら、交互運転の制御から単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、水位が高くなった場合に水中電動ポンプが休止するのを抑制して、水中電動ポンプを単独で効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(第1通信部)が故障するのを抑制するとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、水位を検知する要素が故障するのを抑制することができるとともに、1台の水中電動ポンプに故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプを効率よく運転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した概略図である。
図2】本発明の実施形態による水中電動ポンプの制御的な構成を示したブロック図である。
図3】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの水中電動ポンプの配置を示した平面図である。
図4】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第1動作例を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの第2動作例を説明するための図である。
図6】本発明の実施形態による水中電動ポンプシステムの運転時間の決定を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態の第1変形例による水中電動ポンプシステムの水中電動ポンプの配置を示した平面図である。
図8】本発明の実施形態の第2変形例による水中電動ポンプシステムの水中電動ポンプの配置を示した平面図である。
図9】本発明の実施形態の第3変形例による水中電動ポンプシステムの水中電動ポンプの配置を示した平面図である。
図10】参考実施例による水中電動ポンプシステムの全体構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1図6を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
(水中電動ポンプシステムの構成)
本実施形態による水中電動ポンプシステム100は、排水領域1としてのタンクに流入する水を排水するように構成されている。水中電動ポンプシステム100は、図1に示すように、水中電動ポンプ3aおよび3bを備えている。また、水中電動ポンプシステム100は、監視ユニット2を備えている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源21から供給される電力により駆動するように構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、同一の構成を有している。水中電動ポンプ3aおよび3bは、各々、水中電動ポンプ本体31と、制御部32(32a、32b)と、通信部33(33a、33b)と、カバー34と、ポンプ制御回路35(図2参照)と、モータ36(図2参照)と、を含んでいる。なお、水中電動ポンプ3aは、特許請求の範囲の「第1水中電動ポンプ」の一例であり、水中電動ポンプ3bは、特許請求の範囲の「第2水中電動ポンプ」の一例である。また、制御部32aは、特許請求の範囲の「第1制御部」の一例であり、制御部32bは、特許請求の範囲の「第2制御部」の一例である。また、通信部33aは、特許請求の範囲の「第1通信部」の一例であり、通信部33bは、特許請求の範囲の「第2通信部」の一例である。
【0025】
排水領域1(タンク)は、流入する水を貯留するように構成されている。排水領域1に流入した水は、水中電動ポンプ3aおよび3bにより排水される。
【0026】
監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aおよび3bの運転を監視するように構成されている。また、監視ユニット2は、図1に示すように、交流電源21と、通信部22と、外部通信部23と、を含んでいる。また、監視ユニット2は、排水領域1の外に配置されている。なお、通信部22は、特許請求の範囲の「第3通信部」の一例である。
【0027】
監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aまたは3bによる運転情報を外部機器200に通知するように構成されている。具体的には、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aの通信部33aと、通信部22との通信状態に基づいて、水中電動ポンプ3aの運転状態を判断するように構成されている。つまり、水位が低い場合において、通信部22が通信部33aと通信できない場合に、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aに異常が発生していると判断する。また、監視ユニット2は、交流電源21から供給される電力に基づいて、水中電動ポンプ3aの駆動の有無を判断して、水中電動ポンプ3aに異常が発生しているか否かを判断する。具体的には、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aが運転する順番のタイミングにおいて、水中電動ポンプ3aに対して交流電源21から供給される電力が、排水を行うのに必要な電力より小さい場合、水中電動ポンプ3aに異常が発生していると判断する。つまり、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aが運転する順番のタイミングにおいて、水中電動ポンプ3aが正常に駆動しているか否かを、供給電力を監視することにより判断する。
【0028】
また、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3bの通信部33bと、通信部22との通信状態に基づいて、水中電動ポンプ3bの運転状態を判断するように構成されている。つまり、水位が低い場合において、通信部22が通信部33bと通信できない場合に、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3bに異常が発生していると判断する。また、監視ユニット2は、交流電源21から供給される電力に基づいて、水中電動ポンプ3bの駆動の有無を判断して、水中電動ポンプ3bに異常が発生しているか否かを判断する。具体的には、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3bが運転する順番のタイミングにおいて、水中電動ポンプ3bに対して交流電源21から供給される電力が、排水を行うのに必要な電力より小さい場合、水中電動ポンプ3bに異常が発生していると判断する。つまり、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3bが運転する順番のタイミングにおいて、水中電動ポンプ3bが正常に駆動しているか否かを、供給電力を監視することにより判断する。なお、監視ユニット2は、通信部22と、通信部33aおよび33bのうち一方とが所定の通信強度より大きい状態で無線通信できている場合に、水位が低いと判断する。
【0029】
監視ユニット2は、水中電動ポンプ3a(3b)に異常が発生した場合に、外部通信部23を介して、外部機器200に、水中電動ポンプ3a(3b)に異常が発生していることを通知するように構成されている。また、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3aおよび3bの駆動状態(各々の駆動時間、駆動頻度など)を、外部通信部23を介して、外部機器200に通知するように構成されている。
【0030】
交流電源21は、水中電動ポンプ3aおよび3bに電力を供給するように構成されている。なお、交流電源21は、商用電力を供給してもよいし、バッテリなどから電力を供給してもよい。交流電源21は、水中電動ポンプ本体31に接続される電源コードおよび電源コードの先端に設けられたプラグを介して水中電動ポンプ本体31に電力を供給する。つまり、プラグが交流電源21に挿入された場合に、水中電動ポンプ本体31に電力が供給され、プラグが交流電源21から抜かれた場合に、水中電動ポンプ本体31への電力の供給が停止される。
【0031】
通信部22は、監視ユニット2に設けられている。通信部22は、水中電動ポンプ3aの通信部33aと、水中電動ポンプ3bの通信部33bと、互いに無線通信可能に構成されている。具体的には、通信部22と、通信部33aおよび33bとは、互いに常時もしくは定期的に無線通信を行うように構成されている。通信部22、33aおよび33bは、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格による通信を行うように構成されている。通信部22、33aおよび33bの無線通信は、水位が上がって通信部33aおよび33bが水中(水面下)に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されている。また、通信部22は、水中電動ポンプ3aおよび3bの近傍において、通信部33aおよび33bよりも高い位置に配置されている。
【0032】
外部通信部23は、外部機器200と、互いに通信可能に構成されている。具体的には、外部通信部23は、外部機器200とネットワークを介して無線通信可能に構成されている。外部通信部23は、たとえば、LPWA規格またはWiFi規格による無線通信を行うように構成されている。なお、外部通信部23は、ネットワークの中継機器まで有線により接続されていてもよい。
【0033】
水中電動ポンプ3aおよび3bは、排水領域1内に配置されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、排水領域1内の水を外部に排水するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、交流電源21から電力が供給されることにより運転するように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、水中でも使用可能に構成されている。水中電動ポンプ3aおよび3bは、水位が上昇して排水する場合に、一方を運転させ、一方を休止させることを交互に行う交互運転を行うように構成されている。また、水中電動ポンプ3aおよび3bは、一方の運転により排水を開始してから、所定の時間経過した場合でも、運転を停止させる水位まで下がらない場合に、他方を追掛け運転させて、2台の運転により排水させるように構成されている。
【0034】
図2に示すように、水中電動ポンプ3a(3b)は、モータ36に交流電源21から交流電力が供給されることにより運転する。制御部32(32a、32b)は、水中電動ポンプ3aおよび3b(水中電動ポンプ本体31)の運転を制御する。具体的には、制御部32(32a、32b)は、ポンプ制御回路35を介して、モータ36に交流電力を供給する制御を行う。制御部32(32a、32b)は、CPU(中央演算処理ユニット)321と、メモリ322とを有している。CPU321は、メモリ322内に記憶された制御プログラムを実行して、水中電動ポンプ本体31の制御を行う。
【0035】
通信部33aおよび33bは、互いに無線通信可能に構成されている。具体的には、通信部33aおよび33bは、互いに常時もしくは定期的に無線通信を行うように構成されている。通信部33aおよび33bは、たとえば、Bluetooth(登録商標)規格による通信を行うように構成されている。通信部33aおよび33bは、水位が上がって水中(水面下)に配置された場合に無線通信強度が減衰するように構成されている。
【0036】
通信部33aは、水中電動ポンプ3aに設けられている。具体的には、通信部33aは、制御部32a、ポンプ制御回路35を覆うカバー34の内側に配置されている。また、通信部33aは、水中電動ポンプ3aの金属部分を避けて配置されている。つまり、通信部33aは、モータ36などの金属を含む部分を避けて配置されている。
【0037】
通信部33bは、水中電動ポンプ3bに設けられている。具体的には、通信部33bは、制御部32b、ポンプ制御回路35を覆うカバー34の内側に配置されている。また、通信部33bは、水中電動ポンプ3bの金属部分を避けて配置されている。つまり、通信部33bは、モータ36などの金属を含む部分を避けて配置されている。言い換えると、通信部33aおよび33bは、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。
【0038】
図1に示すように、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部33aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部33bとは、排水領域1において、互いに略同じ高さ位置に配置されている。つまり、図4に示すように、通信部33aおよび33bは、略水平な方向に無線通信が行われる。
【0039】
図3に示すように、通信部33aは、平面視において、水中電動ポンプ3aの背面側(管37とは反対側)に配置されている。また、通信部33bは、平面視において、水中電動ポンプ3bの背面側(管37とは反対側)に配置されている。そして、一対の水中電動ポンプ3aおよび3bは、背面側を同じ方向に向けて、側面を対向させるように排水領域1内に配置されている。これにより、通信部33aと、通信部33bとの通信のための電波が、水中電動ポンプ3a(3b)の水中電動ポンプ本体31(特に、モータなどの金属部分)により遮られるのを抑制することが可能である。なお、図1図4および図5の例は、水中電動ポンプ3a(3b)の構成が分かりやすいように記載した模式図である。したがって、図1図4および図5の例は、水中電動ポンプ3aおよび3bの配置の向きを正確に記載したものではない。
【0040】
なお、通信部33aを、平面視において、水中電動ポンプ3aの一方の側面に配置してもよい。また、通信部33bを、平面視において、水中電動ポンプ3bの一方の側面に配置してもよい。この場合、水中電動ポンプ3aの通信部33aが設けられた側面と、水中電動ポンプ3bの通信部33bが設けられた側面と、を対向させるようにして排水領域1内に配置することが好ましい。
【0041】
カバー34は、制御部32(32a、32b)、通信部33(33a、33b)、ポンプ制御回路35を覆うように構成されている。つまり、制御部32(32a、32b)、通信部33(33a、33b)、ポンプ制御回路35は、水中電動ポンプ本体31の内部に配置される。カバー34は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。つまり、通信部33(33a、33b)は、水中電動ポンプ本体31の上部に設けられている。
【0042】
ポンプ制御回路35は、交流電源21からモータ36への電力の供給・停止を制御するように構成されている。具体的には、ポンプ制御回路35は、スイッチ351を制御して、モータ36への電力の供給・停止を制御する。また、ポンプ制御回路35は、交流電源21から供給される電力を変換して制御部32(32a、32b)に供給するように構成されている。また、ポンプ制御回路35は、交流電源21から供給される電力を変換して通信部33に供給するように構成されている。
【0043】
ポンプ制御回路35は、コンデンサ、抵抗を含んでいる。また、ポンプ制御回路35は、たとえば、コンデンサおよび抵抗を用いて、交流電源21から供給される電力の電圧を下げて、制御部32(32a、32b)および通信部33(33a、33b)に電力を供給する。また、ポンプ制御回路35は、トランスを用いて交流電源21から供給される電力の電圧を下げるよう構成してもよい。
【0044】
モータ36は、交流電源21から供給される電力により回転駆動するように構成されている。モータ36は、羽根車を回転させることにより、排水領域1から水を吸入して管37を介して吸入した水を吐出させる。
【0045】
制御部32(32a、32b)は、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて水位を検知するように構成されている。ここで、無線電波は、水中では飛びにくくなるため、互いに無線通信を行う通信部のうち少なくとも一方が水中にある場合には、無線通信強度が減衰する状態となる。つまり、制御部32(32a、32b)は、通信部33aおよび33bによる無線通信強度が減衰することに基づいて、排水領域1内の水位が、通信部33aおよび33bよりも上方の位置の水位であることを検知するように構成されている。また、制御部32(32a、32b)は、通信部33aおよび33bによる無線通信ができる(無線通信強度が所定値以上である)ことに基づいて、排水領域1内の水位が、通信部33aおよび33bよりも下方の位置の水位であることを検知するように構成されている。
【0046】
通信部33aおよび33bの通信は、一方の通信部からパルス信号を送信し、パルス信号に対する他方の通信部からの応答信号を一方の通信部が受信する。つまり、制御部32(32a、32b)は、パルス信号の送信に対して応答信号を受信することにより、通信が可能であると判断する。また、制御部32(32a、32b)は、パルス信号に対する応答信号を受信しない場合に、通信ができていないと判断する。
【0047】
ここで、本実施形態では、制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成されている。つまり、排水領域1内の水位がON水位以上になった(無線通信強度が所定値未満となった)ことに基づいて、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち一方が運転されて排水領域1内の水を排水させる。その後、排水領域1内の水位がOFF水位以下になった(無線通信強度が所定値以上に復帰した)ことに基づいて、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。具体的には、無線通信強度が所定値以上に復帰してから、所定時間運転後に、運転中の水中電動ポンプ3aまたは3bの運転が停止される。そして、次に、排水領域1内の水位がON水位以上になった場合は、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち他方が運転されて排水領域1内の水を排水させる。その後、同様に水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転させながら、排水領域1内の水が排水される。
【0048】
また、水中電動ポンプ3aの制御部32aと、水中電動ポンプ3bの制御部32bとは、互いに独立して、各々の水中電動ポンプ本体31の運転を制御するように構成されている。つまり、交互運転させる場合に、排水領域1内の水位がON水位以上となった場合に、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番の制御部32aまたは32bは、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。また、排水領域1内の水位がON水位以上となった場合でも、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32aまたは32bは、水中電動ポンプ本体31を運転させない(休止させる)ように制御する。
【0049】
なお、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち運転させる順番ではない制御部32aまたは32bは、排水領域1内の水位がON水位以上となった後、所定時間経過後に、排水領域1内の水位がOFF水位以下とならない(無線通信が再開しない)場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように制御する。つまり、休止中の水中電動ポンプ3aおよび3bの他方は、運転中の水中電動ポンプ3aおよび3bの一方に対して追掛けるようにして運転を開始する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの両方により排水が行われる。
【0050】
また、制御部32(32a、32b)は、通信部33aと通信部33bとが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0051】
具体的には、制御部32(32a、32b)は、通信部33aと通信部33bとの無線通信による信号の発信と受信との順番により、水中電動ポンプ3aおよび3bの交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成されている。
【0052】
詳細には、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ本体31に電力が供給された場合に、所定時間経過後に、通信部33a(33b)から信号を発信する。その際に、制御部32a(32b)は、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信するタイミングに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する。制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)から信号を発信した後に、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を先に運転させる先行ポンプとして順番を決定する。一方、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)から信号を発信するより前に、他の水中電動ポンプ3b(3a)からの同様の信号を受信した場合は、自身の水中電動ポンプ本体31を後に運転させる(先に休止させる)後行ポンプとして順番を決定する。つまり、先に通信部33aまたは33bから信号を発信した(先に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、先行ポンプとして決定され、後に通信部33aまたは33bから信号を発信した(後に電力が投入された)水中電動ポンプ3aまたは3bが、後行ポンプとして決定される。
【0053】
なお、この場合、水中電動ポンプ3aおよび3bに同時に電力が供給された場合でも、ポンプ制御回路35の抵抗やコンデンサの個体差により、制御部32aおよび32bに電力が供給される時間に差が生じる。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bのうち、いずれか一方が先行ポンプとして決定され、他方が後行ポンプとして決定される。
【0054】
ここで、本実施形態では、制御部32a(32b)は、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する通信部33aおよび33bの無線通信ができない場合に、通信部33a(33b)および通信部22の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成されている。
【0055】
具体的には、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)および通信部22が無線通信可能な状態において、通信部33aおよび33bが無線通信できない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)に異常が発生していると判定するとともに、通信部33a(33b)および通信部22の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成されている。
【0056】
具体的には、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部22とが無線通信可能な状態において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できない場合に、通信部33b(33a)が故障していると判定するように構成されている。つまり、通信部33a(33b)と通信部22とが無線通信可能な状態では、通信部33a(33b)が水面より上にある状態(水位が水位L1より低い状態)である。この場合において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できないため、通信部33b(33a)に故障が発生していると判定される。なお、制御部32a(32b)は、通信部33a(33b)と通信部22とが無線通信可能な状態において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)自体が故障していると判定してもよい。
【0057】
(第1動作例)
図4を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第1動作例について説明する。第1動作例では、水中電動ポンプ3aおよび3bのいずれにも異常が発生しておらず、水中電動ポンプ3aおよび3bにより通常に交互運転を行う場合の例について説明する。
【0058】
通常に交互運転を行う場合は、通信部33aおよび33bの無線通信と、通信部33aおよび通信部22の無線通信と、通信部33bおよび通信部22の無線通信とが行われる。通信部33aおよび33bの無線通信に基づいて、始動水位および停止水位が検知される。通信部33aおよび22の無線通信は、監視ユニット2および水中電動ポンプ3aの制御部32aが、他の水中電動ポンプ3bに異常が発生しているか否かを判定するのに用いられる。通信部33bおよび22の無線通信は、監視ユニット2および水中電動ポンプ3bの制御部32bが、他の水中電動ポンプ3aに異常が発生しているか否かを判定するのに用いられる。
【0059】
通信部33aおよび33bが無線通信可能であり、通信部33aおよび22が無線通信可能であり、通信部33bおよび22が無線通信可能である場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ3a(3b)を運転させない。
【0060】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信できなくなり、通信部33aおよび22が無線通信できなくなり、通信部33bおよび22が無線通信できなくなった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を開始させる。
【0061】
その後、通信部33aおよび33bが無線通信可能となり、通信部33aおよび22が無線通信可能となり、通信部33bおよび22が無線通信可能となった場合に、制御部32aおよび32bは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32a(32b)は、交互運転の順番に従って運転している水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させる。なお、通信部33aおよび33bが無線通信可能となった場合に、制御部32a(32b)は、所定時間経過後に、水中電動ポンプ3a(3b)の運転を停止させてもよい。その後、水中電動ポンプ3aおよび3bを交互に運転/休止させながら上記動作が繰り返される。
【0062】
(第2動作例)
図5を参照して、本実施形態の水中電動ポンプシステム100の第2動作例について説明する。第2動作例では、水中電動ポンプ3bに異常が発生した場合において、水中電動ポンプ3aにより単独運転を行う場合の例について説明する。
【0063】
図5に示すように、水中電動ポンプ3bに異常が発生して、通信部33bによる無線通信ができなくなった場合に、水中電動ポンプ3aの制御部32aは、通信部33aおよび通信部22の無線通信が可能である状態において、通信部33aと通信部33bとが無線通信できなくなったことに基づいて、水中電動ポンプ3bが故障していると判定する。
【0064】
また、監視ユニット2は、通信部33aおよび通信部22の無線通信が可能である状態において、通信部33bと通信部22とが無線通信できなくなったことに基づいて、水中電動ポンプ3bが故障していると判定する。そして、監視ユニット2は、水中電動ポンプ3bに故障が発生したことを、外部機器200に通知する。
【0065】
第2動作例では、通信部33aおよび通信部22の無線通信が行われる。通信部33aおよび通信部22の無線通信に基づいて、水中電動ポンプ3aの始動水位および停止水位が検知される。
【0066】
通信部33aおよび22が無線通信可能である場合に、制御部32aは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aを運転させない。
【0067】
その後、通信部33aおよび22が無線通信できなくなった場合に、制御部32aは、水位が水位L2より高くなったと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aの運転を開始させる。
【0068】
その後、通信部33aおよび22が無線通信可能となった場合に、制御部32aは、水位が水位L1より低いと判定する。この場合、制御部32aは、水中電動ポンプ3aの運転を停止させる。なお、通信部33aおよび22が無線通信可能となった場合に、制御部32aは、所定時間経過後に、水中電動ポンプ3aの運転を停止させてもよい。その後、水中電動ポンプ3aによる単独運転となる。
【0069】
なお、水中電動ポンプ3aに異常が発生した場合も、水中電動ポンプ3aおよび3bの状態が逆となり上記第2動作例と同様の動作が行われる。
【0070】
水中電動ポンプ3aおよび3bの運転時間は、図6に示すように、無線通信の信号強度の変化に基づいて決定されてもよい。
【0071】
制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bとの無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)の水中電動ポンプ本体31の運転を制御する。具体的には、制御部32a(32b)は、無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ本体31の運転時間を決定する。ここで、制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bによる無線通信が再開されたことに基づいて排水領域1内の水位が通信部33a(33b)よりも下方になったことを検知する。そして、制御部32a(32b)は、通信部33aおよび33bによる無線通信が再開されてから所定の時間だけ水中電動ポンプ3a(3b)を運転させて、排水領域1内の水位をさらに下げる。つまり、水中電動ポンプ本体31の排水量が一定である場合に、排水領域1の断面積や排水領域1に流入する水の量に応じて水位が下がる量は異なる。そこで、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ本体31を運転させた場合の水位の変化を取得して、排水領域1内の水位を所定の範囲の位置まで下げてから、水中電動ポンプ本体31の運転を停止させる制御を行う。
【0072】
たとえば、制御部32a(32b)は、無線通信の信号強度のレベルをLV0からLV10までの間で設定しておく。なお、信号強度のレベルは、通信部33aおよび33bの無線通信の信号強度が最大値となる場合をLV10とし、通信部33aおよび33bの通信が不可能になる場合をLV0として、相対的に設定される。また、制御部32a(32b)は、たとえば、通信部33aおよび33bの無線通信の信号強度のレベルがLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31の運転を開始する。つまり、制御部32a(32b)は、信号強度のレベルが最良のLV10から変化してLV5となった場合に、水中電動ポンプ本体31を運転させるように構成されている。
【0073】
また、制御部32a(32b)は、水中電動ポンプ本体31を起動してから信号強度のレベルがLV10となるまでの時間を計測して、水中電動ポンプ本体31を運転させ続けるタイマー時間を決定する。つまり、制御部32a(32b)は、LV5の水位と、LV10となる上限の水位とを記憶している。そして、制御部32a(32b)は、LV5に対応する水位からLV10に対応する水位まで変化する時間に基づいて、水中電動ポンプ本体31を運転させる時間を決定する。
【0074】
制御部32a(32b)は、信号強度のレベルが、運転開始の信号強度のレベルであるLV5からLV10に変化するまでの時間Tmと、LV5に対応する水位およびLV10に対応する水位の水位差d1と、LV5に対応する水位および運転停止水位の水位差d2と、に基づいて、運転開始から運転停止までの運転時間Tnを決定する。
【0075】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、水位が上がって水中に配置された場合に無線通信強度が減衰する通信部33aおよび33bの無線通信ができない場合に、通信部33a(33b)および通信部22の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成する。これにより、静電容量型の水位センサのように外部に露出した電極を用いて水位を検知する場合と異なり、電極が腐食したり電極に汚れが付着したり異物が絡みつくことがない。その結果、水位を検知する要素(通信部33aおよび33b)が故障するのを抑制することができる。また、水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合に、残りの水中電動ポンプ3a(3b)は、通信部22との無線通信に基づいて水位を検知しながら、交互運転の制御から単独運転の制御に切り替えることができる。その結果、残りの水中電動ポンプ3a(3b)が交互運転時と同様の制御を継続して行う場合と異なり、水位が高くなった場合に残りの水中電動ポンプ3a(3b)が休止するのを抑制して、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を単独で効率よく運転させることができる。これらの結果、水位を検知する要素(通信部33aおよび33b)が故障するのを抑制することができるとともに、水中電動ポンプ3b(3a)に故障が発生した場合でも、残りの水中電動ポンプ3a(3b)を効率よく運転させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、通信部33aおよび通信部33bは、各々、互いの無線通信の影響を受けにくい位置に設けられている。これにより、通信部33aおよび33bの無線通信が、影響を受けやすい部分(たとえば、モータ36部分)により阻害されるのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番に従って、水中電動ポンプ3a(3b)を、交互に運転または休止させる制御を行うように構成する。これにより、排水領域1に配置された通信部33aおよび33bの無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、排水領域1の水位を検知して、水中電動ポンプ3aおよび3bにより交互運転を行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、通信部22を、排水領域1の外に配置された監視ユニット2に設ける。また、監視ユニット2を、外部機器200と通信可能に構成するとともに、水中電動ポンプ3aまたは3bによる運転情報を外部機器200に通知するように構成する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの運転状況を外部の機器に通知可能にすることができるとともに、水中電動ポンプ3aおよび3bのいずれかに故障が発生した場合に、監視ユニット2を介して外部機器200に水中電動ポンプ3aまたは3bの故障を通知することができるので、故障した水中電動ポンプ3aまたは3bの修理または交換を速やかに行うことができる。これにより、外部のユーザーが水中電動ポンプ3aおよび3bの運転状況を把握することができるとともに、故障していない水中電動ポンプ3aまたは3bによる単独運転の期間が長期化するのを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33a(33b)および通信部22が無線通信可能な状態において、通信部33aおよび33bが無線通信できない場合に、水中電動ポンプ3b(3a)に異常が発生していると判定するとともに、通信部33a(33b)および通信部22の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ3a(3b)を単独運転させる制御を行うように構成する。これにより、水中電動ポンプ3b(3a)の通信部33b(33a)に異常が発生して無線通信ができなくなった場合において、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32a(32b)が、水位が上がって無線通信ができなくなったと誤認することを抑制することができるので、水中電動ポンプ3a(3b)の制御部32a(32b)により、水中電動ポンプ3b(3a)の通信部33b(33a)に異常が発生していることを精度よく判定することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3aと、水中電動ポンプ3bとは、同一の構成をしている。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bを設置する際に、水中電動ポンプ3aおよび3bの各々に対する通信部33a(33b)等の設置位置の変更をユーザーが行う必要がない。これにより、ユーザーにおいては水中電動ポンプ3aおよび3bを設置するのみでよいので、水中電動ポンプ3aおよび3bの設置の際の作業負担が増大するのを抑制することができる。その結果、ユーザーは2種類以上ポンプを購入する必要が無くなり、管理面におけるメリットもある。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、水中電動ポンプ3aに設けられた通信部33aと、水中電動ポンプ3bに設けられた通信部33bとを、排水領域1において、互いに略同じ高さ位置に配置する。これにより、水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bとを略同じ構成とすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、通信部22を、水中電動ポンプ3aおよび3bの近傍において、通信部33aおよび33bよりも高い位置に配置する。これにより、通信部22が通信部33aおよび33bの近傍に配置されるので、排水領域1の水位が低く通信可能な状態において、通信部33aおよび33bと、通信部22との無線通信の信号強度が過度に小さくなるのを抑制することができる。また、通信部22が高い位置に配置されるので、通信部22が水中に配置されるのを抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、制御部32a(32b)を、通信部33aおよび33bが無線通信したことに基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成する。これにより、水中電動ポンプ3aおよび3bの各々により、交互運転の際の運転および休止のタイミングが独立して決定される場合と異なり、相互の通信により、交互運転の際の運転および休止の順番を決定することができるので、水中電動ポンプ3aと水中電動ポンプ3bとの運転および休止のタイミングが同じになるのを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、通信部33a(33b)を、水中電動ポンプ3a(3b)の金属部分を避けて水中電動ポンプ3a(3b)に配置する。これにより、通信部33aおよび33bの無線通信が金属部分により阻害されるのを抑制することができる。
【0086】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0087】
たとえば、上記実施形態では、水中電動ポンプシステムに水中電動ポンプを2台設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプシステムに3台以上の水中電動ポンプを設けてもよい。この場合、水中電動ポンプを1台ずつ順番に交互に運転させてもよいし、水中電動ポンプを複数台ずつ順番に交互に運転させてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、2台の水中電動ポンプの通信部による信号の送信および受信の順番に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の水中電動ポンプの通信部により互いに異なる個体識別情報を無線通信により送受信することにより、交互運転の際の運転および休止の順番を決定するように構成してもよい。たとえば、数字、アルファベットなどにより表される個体識別情報を通信部を介して送受信して、送信した自身の個体識別情報と、受信した相手方の個体識別情報とを比較して、所定の法則に基づいて、交互運転の際の運転および休止の順番を決定してもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプに交流電力が供給される構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに直流電力が供給されてもよい。この場合、水中電動ポンプは、直流電力を交流電力に変換する電力変換部を備えていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、複数の通信部がBluetooth規格により無線通信を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、複数の通信部がBluetooth規格以外の規格により無線通信を行ってもよい。たとえば、複数の通信部がZigBee規格や、WiFi規格などの規格により無線通信を行ってもよい。また、複数の通信部が赤外線通信により無線通信を行ってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、水中電動ポンプを排水領域としてのタンク内に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプをタンク以外の排水領域に配置してもよい。たとえば、排水領域としての池、河川、湖などに水中電動ポンプを配置してもよいし、上水設備または下水設備の排水領域に水中電動ポンプを配置してもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、通信部(第1通信部および第2通信部)を水中電動ポンプのカバー内に設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1通信部および第2通信部を水中電動ポンプのカバー外に設けてもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、通信部を外部の電力により動作させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、通信部を水中電動ポンプに設けた電池(バッテリ)により動作させてもよい。また、電池を設ける場合、1枚のプリント基板上にポンプ制御回路、制御部および通信部を搭載し、通信部のみ電池から電力が供給されてもよい。また、この場合、ポンプ制御回路、制御部も電池から電力が供給されてもよい。また、電池もプリント基板上に搭載してもよい。
【0094】
また、プリント基板および電池を防水ケースに格納し、ポンプ内部に浸水してもこれら部分には浸水しないようにしてもよい。また、防水ケースを開閉し、電池交換を可能としてもよい。また、通信部による通信には、極力情報を載せず、通信可否程度の最小通信により水位検出することで電池の消耗を防止してもよい。また、電池は、1次電池もしくは、交流電源から充電可能な2次電池であってもよい。このように構成することで、通信部を水中電動ポンプとは独立させて駆動させることが可能となるため、一方の水中電動ポンプが故障または電源オフの状況になったとしても、通信部と他方の水中電動ポンプとを双方向通信させることにより水中電動ポンプの運転を継続させることが可能となる。
【0095】
また、上記実施形態では、監視ユニットを排水領域の外に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、監視ユニットを水中電動ポンプと同じ排水領域内に配置してもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、通信部をポンプ制御回路を覆うカバーの内側に配置されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明の通信部は、水中電動ポンプの金属部分を避けて配置されていればカバーの外側に配置してもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、2つの水中電動ポンプが同一の構成を有する例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、2つの水中電動ポンプは、ポンプ本体の構成が同一であれば通信部の設置高さ位置は互いに異なっていてもよい。この場合、カバー等に対する通信部の設置する高さ位置を変更したり、付属品(たとえば、マンホールポンプにおけるフロート係留用のバー)を用いて通信部の設置する高さ位置を変更してもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、通信部33a(33b)を、水中電動ポンプ3a(3b)の背面側に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1通信部および第2通信部は、無線通信が金属部分の影響を受けにくく、かつ、互いに近い位置に配置されていれば、水中電動ポンプの背面側以外に設けてもよい。
【0099】
たとえば、図7に示す第1変形例のように、通信部33a(第1通信部)および通信部33b(第2通信部)を、水中電動ポンプ3a(3b)の側面側に配置してもよい。水を吐出する管37を向かい合わせる場合、通信部33a(第1通信部)を、水中電動ポンプ3a(第1水中電動ポンプ)の一方側の側面に設け、通信部33b(第2通信部)を、水中電動ポンプ3b(第2水中電動ポンプ)の他方側の側面に設けてもよい。
【0100】
また、図8に示す第2変形例のように、水を吐出する管37を向かい合わせる場合、管37が金属でなければ、通信部33a(第1通信部)および通信部33b(第2通信部)を、水中電動ポンプ3a(3b)の前面側(管37側)に配置してもよい。
【0101】
また、図9に示す第3変形例のように、水を吐出する管37を同じ方向に向ける場合、通信部33a(第1通信部)を、水中電動ポンプ3a(第1水中電動ポンプ)の一方側の側面に設け、通信部33b(第2通信部)を、水中電動ポンプ3b(第2水中電動ポンプ)も一方側の側面に設けてもよい。
【0102】
(参考実施例)
上記実施形態では、水中電動ポンプ3aおよび3b(第1水中電動ポンプおよび第2水中電動ポンプ)の各々の制御部により交互運転および単独運転を制御する構成の例を示したが、以下の参考実施例のように監視ユニットにより交互運転および単独運転を制御する態様も考えられる。
【0103】
つまり、水中電動ポンプシステム300は、図10に示すように、水中電動ポンプ301aおよび301bを備えている。また、水中電動ポンプシステム300は、監視ユニット302を備えている。水中電動ポンプ301aおよび301bは、交流電源21から供給される電力により駆動するように構成されている。水中電動ポンプ301aおよび301bは、同一の構成を有している。水中電動ポンプ301aおよび301bは、交流電源21から駆動電力が供給されることにより、排水を行う運転をするように構成されている。水中電動ポンプ301aおよび301bは、各々、水中電動ポンプ本体31と、通信部33(33a、33b)と、カバー34と、モータ36と、を含んでいる。また、監視ユニット302は、交流電源21と、通信部22と、外部通信部23と、制御部303と、を含んでいる。また、監視ユニット302は、排水領域1の外に配置されている。
【0104】
監視ユニット302の制御部303は、通信部22と、通信部33(33a、33b)と、の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、排水領域1内の水位を検知して、水中電動ポンプ301aおよび301bを交互に運転させる制御を行うように構成されている。つまり、制御部303は、通信部22と、通信部33(33a、33b)とによる無線通信強度が減衰することに基づいて、排水領域1内の水位が、通信部33aおよび33bよりも上方の位置の水位(ON水位)であることを検知するように構成されている。また、制御部303は、通信部22と、通信部33(33a、33b)とによる無線通信ができる(無線通信強度が所定値以上である)ことに基づいて、排水領域1内の水位が、通信部33aおよび33bよりも下方の位置の水位(OFF水位)であることを検知するように構成されている。
【0105】
また、制御部303は、通信部33aおよび33bよりも上方の位置の水位(ON水位)であることを検知した場合に、運転する順番の水中電動ポンプ301aまたは301bに、交流電源21から電力を供給する制御を行う。これにより、電力が供給された水中電動ポンプ301aまたは301bの運転が開始される。また、制御部303は、水中電動ポンプ301aまたは301bの運転中において、通信部33aおよび33bよりも下方の位置の水位(OFF水位)であることを検知した場合に、交流電源21からの電力の供給を停止する制御を行う。これにより、運転中の水中電動ポンプ301aまたは301bの運転が停止される。その後、制御部303は、通信部33aおよび33bよりも上方の位置の水位(ON水位)であることを検知した場合に、休止させていた水中電動ポンプ301aまたは301bを運転させる。制御部303は、以下も同様にして、水中電動ポンプ301aおよび301bを、交互に運転させる制御を行う。また、水中電動ポンプ301aまたは301bの運転が停止されるタイミングとしては通信部33aおよび33bよりも下方の位置の水位(OFF水位)であることを検知してから所定時間経過後、もしくは無線通信強度が所定値以上に復帰してから(さらに所定時間運転後)が望ましい。
【0106】
また、制御部303は、排水領域1内の水位がON水位以上となった後、所定時間経過後に、排水領域1内の水位がOFF水位以下とならない(無線通信が再開しない)場合に、休止中の水中電動ポンプ301aまたは301bに、交流電源21から電力を供給する制御を行う。これにより、休止中の水中電動ポンプ301aまたは301bの運転が開始される。つまり、休止中の水中電動ポンプ301aまたは301bは、運転中の水中電動ポンプ301aまたは301bに対して追掛けるようにして運転を開始する。これにより、水中電動ポンプ301aおよび301bの両方により排水が行われる。
【0107】
また、制御部303は、通信部22および通信部33a(33b)が無線通信可能な状態において、通信部22および通信部33b(33a)が無線通信できない場合に、水中電動ポンプ301b(301a)に異常が発生していると判定する。また、制御部303は、この場合において、通信部22および通信部33a(33b)の無線通信の可否または無線通信の信号強度の変化に基づいて、水中電動ポンプ301a(301b)を単独運転させる制御を行うように構成されている。つまり、制御部303は、水中電動ポンプ301b(301a)に異常が発生していると判定した場合、通信部22と、通信部33a(33b)とによる無線通信強度が減衰することに基づいて、水中電動ポンプ301a(301b)を単独で運転させる制御を行う。なお、制御部303は、通信部22および通信部33a(33b)が無線通信可能な状態において、通信部22および通信部33b(33a)が無線通信可能な状態となった場合、水中電動ポンプ301aおよび301bによる交互運転を行う制御を再開する。
【符号の説明】
【0108】
1 排水領域
2 監視ユニット
3a 水中電動ポンプ(第1水中電動ポンプ)
3b 水中電動ポンプ(第2水中電動ポンプ)
22 通信部(第3通信部)
31 水中電動ポンプ本体
32a 制御部(第1制御部)
32b 制御部(第2制御部)
33a 通信部(第1通信部)
33b 通信部(第2通信部)
100 水中電動ポンプシステム
200 外部機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10