IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝ソリューション株式会社の特許一覧

特開2022-60833輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法
<>
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図1
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図2
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図3
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図4
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図5
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図6
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図7
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図8
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図9
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図10
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図11
  • 特開-輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060833
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】輸送履歴管理装置、輸送履歴管理プログラム、及び輸送履歴管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20220408BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
G06Q10/08 320
B65G61/00 520
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168550
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】特許業務法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 潔
(72)【発明者】
【氏名】植田 祐彰
(72)【発明者】
【氏名】中島 康雅
(72)【発明者】
【氏名】村上 瑛
(72)【発明者】
【氏名】三好 みよ子
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 剛基
(72)【発明者】
【氏名】北見 かおり
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】輸送される対象物の品質に関わる輸送環境を対象物の消費者が容易に把握可能とすることができる技術を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、輸送される対象物を一意に示す対象物IDと、対象物の輸送において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部102と、対象物IDと、所定のコンテナを一意に示すコンテナIDと、入庫日時、出庫日時とが対応付けられた入出庫情報を管理する入出庫情報管理部103と、コンテナIDとコンテナ内の測定温度、測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部104と、属性情報と入出庫情報と環境情報とに基づいて、対象物IDと測定温度が許容温度範囲外となった累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた輸送履歴情報を生成する情報処理部105と、輸送履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信された対象物IDを含む輸送履歴情報を端末装置へ送信する情報送信部106を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送される対象物の輸送環境の履歴を管理する輸送履歴管理装置であって、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の輸送において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、
前記対象物IDと、所定のコンテナを一意に示すコンテナIDと、前記コンテナに前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時と、前記コンテナから前記対象物が出庫された日時を示す出庫日時とが対応付けられた入出庫情報を管理する入出庫情報管理部と、
前記コンテナIDと、前記コンテナ内の環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該温度センサによる測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、
前記属性情報と前記入出庫情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲外となった累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた輸送履歴情報を生成する情報処理部と、
前記輸送履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信された対象物IDに応じて、該対象物IDを含む輸送履歴情報を前記端末装置へ送信する輸送履歴情報送信部と
を備える輸送履歴管理装置。
【請求項2】
前記属性情報は、前記対象物の輸送において許容される湿度範囲を示す許容湿度範囲を前記対象物IDに更に対応付け、
前記環境情報は、前記コンテナ内の環境湿度を測定する湿度センサにより測定された測定湿度と、該湿度センサによる測定日時とを前記コンテナIDに更に対応付け、
前記輸送履歴情報は、前記湿度センサによる測定湿度が前記許容湿度範囲外となった累積時間を示す湿度超過時間を前記対象物IDに更に対応付けられることを特徴とする請求項1に記載の輸送履歴管理装置。
【請求項3】
前記属性情報は、前記対象物の輸送において許容される振動レベルを示す許容振動閾値を前記対象物IDに更に対応付け、
前記環境情報は、前記コンテナの振動レベルを測定する振動センサにより測定された振動レベルと、該振動センサによる測定日時とを前記コンテナIDに更に対応付け、
前記輸送履歴情報は、前記振動センサによる振動レベルが前記許容振動閾値を超えた累積時間を示す振動レベル超過時間を前記対象物IDに更に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輸送履歴管理装置。
【請求項4】
前記対象物は、複数のコンテナに格納されて輸送され、
前記情報処理部は、前記入出庫情報に基づいて、異なるコンテナ間において前記対象物の積み替えに掛かる累積時間を示す積替時間を算出し、
前記輸送履歴情報は、前記積替時間を前記対象物IDに更に対応付けることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の輸送履歴管理装置。
【請求項5】
前記入出庫情報は、前記業者IDに対して、前記対象物の入庫または出庫の少なくともいずれかが行われる拠点施設を所有する業者を示す業者IDを更に対応づけることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の輸送履歴管理装置。
【請求項6】
輸送される対象物の輸送環境の履歴を管理する輸送履歴管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の輸送において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、
前記対象物IDと、所定のコンテナを一意に示すコンテナIDと、前記コンテナに前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時と、前記コンテナから前記対象物が出庫された日時を示す出庫日時とが対応付けられた入出庫情報を管理する入出庫情報管理部と、
前記コンテナIDと、前記コンテナ内の環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該温度センサによる測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、
前記属性情報と前記入出庫情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲外となった累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた輸送履歴情報を生成する情報処理部と、
前記輸送履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信された対象物IDに応じて、該対象物IDを含む輸送履歴情報を前記端末装置へ送信する輸送履歴情報送信部として機能させる輸送履歴管理プログラム。
【請求項7】
輸送される対象物の輸送環境の履歴を管理する輸送履歴管理方法であって、
コンピュータが、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の輸送において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理し、
前記対象物IDと、所定のコンテナを一意に示すコンテナIDと、前記コンテナに前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時と、前記コンテナから前記対象物が出庫された日時を示す出庫日時とが対応付けられた入出庫情報を管理し、
前記コンテナIDと、前記コンテナ内の環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該温度センサによる測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理し、
前記属性情報と前記入出庫情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲外となった累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた輸送履歴情報を生成し、
前記輸送履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信された対象物IDに応じて、該対象物IDを含む輸送履歴情報を前記端末装置へ送信する輸送履歴管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、輸送される対象物の輸送情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輸送される対象物の輸送環境を管理する技術として、荷物を追跡するとともに、この荷物の輸送環境を測定した履歴を管理する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-116482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸送される対象物の品質に関わる輸送環境を対象物の消費者が容易に把握可能とすることがひとつの課題である。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、輸送される対象物の品質に関わる輸送環境を対象物の消費者が容易に把握可能とすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、輸送される対象物の輸送環境の履歴を管理する輸送履歴管理装置であって、前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の輸送において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、前記対象物IDと、所定のコンテナを一意に示すコンテナIDと、前記コンテナに前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時と、前記コンテナから前記対象物が出庫された日時を示す出庫日時とが対応付けられた入出庫情報を管理する入出庫情報管理部と、前記コンテナIDと、前記コンテナ内の環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該温度センサによる測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、前記属性情報と前記入出庫情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲外となった累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた輸送履歴情報を生成する情報処理部と、
前記輸送履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信された対象物IDに応じて、該対象物IDを含む輸送履歴情報を前記端末装置へ送信する輸送履歴情報送信部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】輸送履歴管理システムの全体構成を示す概略図である。
図2】輸送履歴管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】輸送履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5】属性情報を示す図である。
図6】入出庫情報を示す図である。
図7】環境情報を示す図である。
図8】輸送履歴情報を示す図である。
図9】生成処理の動作を示すフローチャートである。
図10】積替時間算出処理の動作を示すフローチャートである。
図11】送信処理の動作を示すフローチャートである。
図12】他のシステムとの連携例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(輸送履歴管理システム)
本実施形態に係る輸送履歴管理システムについて説明する。図1は、輸送履歴管理システムの全体構成を示す概略図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る輸送履歴管理システムは、輸送対象物の状態履歴を管理するシステムであり、出荷管理システム及び入出庫管理システムとネットワークを介して接続される輸送履歴管理装置1と、輸送履歴管理装置1とネットワークを介して接続される端末装置4とを備える。
【0011】
本実施形態においては、輸送履歴管理システムにより管理される輸送対象物をワインボトルWとし、このワインボトルWは、出荷拠点において、複数本単位で木箱B内に梱包され、所定の到着地点まで輸送される。また、個々のワインボトルWにはワインボトルWを一意に示す識別情報を格納する識別媒体が付されるとともに、木箱Bには木箱Bを一意に示す識別情報を格納する識別媒体が付されるものとする。このような識別媒体としては、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ、周期的に無線信号を発するビーコン、画像コードなどが挙げられる。
【0012】
出荷管理システムは、ワインボトルWの出荷を行う出荷拠点において、輸送対象物としてのワインボトルWに関する情報を管理するシステムであり、出荷管理装置2を備える。出荷拠点においては、ワインボトルWを木箱B内に梱包する梱包作業が行われ、この際、木箱Bとこの木箱B内に梱包されるワインボトルWとの対応付けが行われる。木箱BとワインボトルWとの対応付けは、識別媒体を読み取るスキャナSを用いてなされ、例えば、木箱Bの識別媒体が読み取られた後、この木箱B内に梱包されるワインボトルWの識別媒体が読み取られることによって実現される。
【0013】
出荷管理装置2は、スキャナSにより読み取られた情報を取得可能に構成され、スキャナSにより読み取られたワインボトルWの識別媒体に格納される識別情報であるボトルIDと、同様にスキャナSにより読み取られた木箱Bの識別媒体であるボックスIDとを対応付けた属性情報を管理する。なお、この属性情報については後に詳述する。
【0014】
入出庫管理システムは、出荷拠点と到着地点とを結ぶ輸送経路におけるワインボトルWの入出庫状況及び輸送環境を管理するシステムであり、スキャナSにより読み取られた情報を取得可能に構成された入出庫管理装置3を備える。本実施形態においては、ワインボトルWは、陸路と海路を経由して到着地点まで輸送されるものとし、陸路においてはコンテナC1内に格納されてトラック車両によって輸送され、海路においてはコンテナC2内に格納されて船舶によって輸送されるものとする。なお、以降の説明において、コンテナC1とコンテナC2とを特に区別しない場合は、コンテナCと総称する。
【0015】
コンテナCには、ワインボトルWの輸送環境としてコンテナCに関する測定を行うセンサ類CSが設けられ、本実施形態においては、このセンサ類CSは、温度を測定する温度センサ、湿度を測定する湿度センサ、振動として加速度を測定する加速度センサ、照度を測定する照度センサ、コンテナCの位置を測定するGNSS(Global Navigation Satelite System)センサやRNSS(Regional Navigation Satelite System)センサを含む。
【0016】
陸路を輸送されるコンテナC1のセンサ類CSによる測定値は、無線ネットワークを介して入出庫管理装置3により取得されるものとする。また、海路を輸送されるコンテナC2のセンサ類CSによる測定値は、海上においてはデータロガーなどに一時的に記憶され、陸地において入出庫管理装置3により取得されるものとする。入出庫管理装置3においては、コンテナCを一意に示すコンテナIDと、このコンテナIDにより示されるコンテナC内のセンサ類CSのそれぞれを一意に示すセンサIDとの対応関係が予め既知であり、入出庫管理装置3は、コンテナCと周期的に取得されたセンサ類CSによる測定値とを対応付けて環境情報として管理する。この環境情報については後に詳述する。なお、測定値が取得される時間間隔は、少なくとも後述する超過時間において扱われる時間単位、例えば1秒以下であるものとする。
【0017】
また、入出庫管理システムにおいては、木箱BのコンテナCに対する入庫/出庫を記録する入出庫処理がなされる。この入出庫処理は、入庫時において、入庫される木箱Bの識別媒体を読み取ることによって、この木箱Bを示すボックスIDと、入庫先のコンテナCを示すコンテナIDと、入庫時刻との対応付けがなされるとともに、出庫時において、出庫される木箱Bの識別媒体を読み取ることによって、この木箱Bを示すボックスIDと、出庫元のコンテナCを示すコンテナIDと、出庫時刻との対応付がなされる。このような入出庫処理により得られる各種情報は、後述する入出庫情報として入出庫管理装置3により管理される。
【0018】
輸送履歴管理装置1は、出荷管理システム及び入出庫管理システム、具体的には、出荷管理装置2及び入出庫管理装置3から、ネットワークを介して、属性情報、入出庫情報、環境情報を取得して管理し、これらの情報から後述する輸送履歴情報を生成し、この輸送履歴情報を送信要求に応じて端末装置4へ送信する。
【0019】
端末装置4は、ボトルIDを取得可能なユーザが使用するものであり、ネットワークに接続可能に構成されるとともに、ボトルIDを入力可能、またはボトルIDに設けられた識別媒体を読み取り可能に構成される。
【0020】
(ハードウェア構成)
輸送履歴管理装置及び端末装置のハードウェア構成について説明する。図2図3は、それぞれ、輸送履歴管理装置、端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0021】
輸送履歴管理装置1は、図2に示すように、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶装置13、入出力I/F(Interface)14、ネットワークI/F15を備える。CPU11及びRAM12は協働して各種機能を実行し、記憶装置13は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。入出力I/F14は、輸送履歴管理装置1に接続されるキーボードなどの入力装置やディスプレイなどの出力装置とのデータの入出力を行う。ネットワークI/F15は、出荷管理装置2、入出庫管理装置3,端末装置4などの他の装置とのネットワークを介した通信を行う。なお、本実施形態においては、出荷管理装置2、入出庫管理装置3は、いずれも輸送履歴管理装置1と略同様のハードウェア構成であるものとする。
【0022】
端末装置4は、タブレット型端末であり、図3に示すように、ハードウェアとして、CPU41、RAM42、記憶装置43、タッチパネル44、ネットワークI/F45、カメラ46を備える。CPU41及びRAM42は協働して各種機能を実行し、記憶装置43は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。タッチパネル44は、ディスプレイとタッチセンサとを有する入出力装置である。ネットワークI/F45は、輸送履歴管理装置1とのネットワークを介した通信を行う。本実施形態においては、ワインボトルWには識別媒体として画像コードが付されるものとし、端末装置4は、この画像コードをカメラ46により読み取ることによってボトルIDを取得する。
【0023】
(機能構成及び各種情報)
輸送履歴管理装置の機能構成及び各種情報について説明する。図4は、輸送履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。図5図8は、それぞれ、属性情報、入出庫情報、環境情報、輸送履歴情報を示す図である。
【0024】
図4に示すように、本実施形態に係る輸送履歴管理装置1は、機能として、情報取得部101、属性情報管理部102、入出庫情報管理部103、環境情報管理部104、情報処理部105、情報送信部106を備える。
【0025】
情報取得部101は、出荷管理装置2から属性情報を取得するとともに、入出庫管理装置3から入出庫情報及び環境情報を取得する。属性情報管理部102は、情報取得部101により取得された属性情報を管理する。入出庫情報管理部103は、情報取得部101により取得された入出庫情報を管理する。環境情報管理部104は、情報取得部101により取得された環境情報を管理する。情報処理部105は、属性情報管理部102により管理される属性情報と、入出庫情報管理部103により管理される入出庫情報と、環境情報管理部104により管理される環境情報とに基づいて、輸送履歴情報を生成する。情報送信部106は、端末装置4からの送信要求への応答として、この送信要求に含まれるボトルIDを含む輸送履歴情報を送信する。
【0026】
属性情報は、図5に示すように、ボトルID、ボックスID、許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲、許容詰替時間が対応付けられた情報である。許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲、許容詰替時間は、ボトルIDに対して、より具体的にはボトルIDにより示されるワインボトルWが属する商品種別に対して、品質を保持するために許容し得る環境変化の指標として、予め設定される値である。なお、ここで商品種別は、同一商品として区分するための分類を示す。許容温度範囲は温度の上限及び下限により示され、許容湿度範囲は湿度の上限及び下限により示され、許容振動範囲は上限値としての加速度により示され、許容照度範囲は上限値としての照度により示され、許容積替時間は上限時間により示される。後に詳述する詰替時間は、木箱BがあるコンテナCから出庫されてから他のコンテナCへ入庫されるまでの時間の累積を示す。
【0027】
入出庫情報は、図6に示すように、ボックスID、コンテナID、業者ID、入庫日時、出庫日時が対応付けられた情報である。業者IDは、例えば、ワインの生産者、輸入業者、輸出業者、配送業者、保管業者、代理店、販売業者などの、入庫または出庫の少なくともいずれかが行われる拠点施設を所有する業者を示す。入庫日時は、対応付けられたボックスIDにより示される木箱Bが、対応付けられたコンテナIDにより示されるコンテナCに入庫された日時を示す。出庫日時は、対応付けられたボックスIDにより示される木箱Bが、対応付けられたコンテナIDにより示されるコンテナCから出庫された日時を示す。
【0028】
環境情報は、図7に示すように、コンテナID、測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度、測定時刻が対応付けられた情報である。測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度は、対応するコンテナIDにより示されるコンテナCにおいて、このコンテナC内の環境を測定可能に設けられたセンサ類CSに含まれる温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、照度センサ、GNSSセンサのそれぞれによる測定値である。測定時刻は、対応する各測定値が測定された時刻を示す。
【0029】
輸送履歴情報は、図8に示すように、ボトルID、温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間、積替時間が対応付けられた情報である。輸送履歴情報は、上述したように、属性情報、入出庫情報、環境情報に基づいて、輸送履歴管理装置1の情報処理部105により生成される。温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間は、それぞれ、対応するボトルIDにより示されるワインボトルWが格納されるコンテナC内の測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度が、属性情報において対応するボトルIDと対応付けられた許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲を超過した累計時間を示す。積替時間は、上述したように、木箱Bの積替に掛かった時間の累計を示す。
【0030】
(生成処理)
生成処理の動作について説明する。図9は、生成処理の動作を示すフローチャートである。この生成処理は、属性情報、入出庫情報、環境情報に基づいて、輸送履歴情報を生成する処理である。なお、本実施形態においては、すでに到着地点にあるワインボトルのみに関する各種情報が扱われるものとする
【0031】
図9に示すように、情報処理部105は、まず、属性情報管理部101により管理される属性情報のうち1つの属性情報を選択し(S101)、入出庫情報管理部102により管理される入出庫情報のうち、選択した属性情報に含まれるボックスIDを含む全ての入出庫情報を選択する(S102)。
【0032】
入出庫情報の選択後、情報処理部105は、選択中の全ての入出庫情報に基づく積替時間算出処理(後述)により積替時間を算出し(S103)、算出した積替時間が選択中の属性情報における許容積替時間を超過した時間を、選択中の属性情報に含まれるボトルIDについての輸送履歴情報における積替超過時間として算出する(S104)。
【0033】
また、情報処理部105は、選択中の属性情報に示されるワインボトルWについて輸送中の測定値を得るため、環境情報管理部104により管理される環境情報のうち、選択中の全ての入出庫情報に含まれるコンテナIDを含む環境情報を選択する(S105)。次に、情報処理部105は、選択中の環境情報と属性情報とに基づいて、選択中の属性情報に含まれるボトルIDについての輸送履歴情報における測定超過時間として、温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間を算出する(S106)。
【0034】
ここで、測定超過時間の一例として、温度超過時間の算出について説明する。情報処理部105は、選択中の環境情報のそれぞれに含まれる測定温度について、選択中の属性情報に含まれる許容温度範囲との比較を順次行い、測定温度が許容温度範囲を超過した場合に、測定温度が取得される時間間隔、例えば1秒を累積することによって、温度超過時間を算出する。湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間についても、同様に、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容振動範囲を超過した時間が累積されることによって算出される。
【0035】
測定超過時間の算出後、情報処理部105は、属性情報管理部101に管理される全ての属性情報を選択したか否かを判定する(S107)。全ての属性情報を選択した場合(S107,YES)、生成処理が終了される。一方、全ての属性情報を選択していない場合(S107,NO)、情報処理部105は、再度、属性情報管理部101により管理される属性情報のうち1つの属性情報を選択する(S101)。
【0036】
(積替時間算出処理)
積替時間算出処理の動作について説明する。図10は、積替時間算出処理の動作を示すフローチャートである。なお、図10において、積替時間の初期値はゼロに設定されているものとする。
【0037】
まず、情報処理部105は、上述した生成処理におけるステップS102において選択した入出庫情報、即ち、同一のボックスIDを含む入出庫情報のうち、入庫時刻を抽出する対象として1つの入出庫情報を選択し(S201)、選択した入出庫情報から入庫時刻を抽出する(S202)。
【0038】
次に、情報処理部105は、選択した入出庫情報のうち、入庫時刻を抽出する対象として選択していない他の入出庫情報に含まれる出庫時刻のうち、抽出した入庫時刻以降であり且つ直近にある出庫時刻を抽出する(S203)。
【0039】
次に、情報処理部105は、抽出した入庫時刻と出庫時刻との差分時間を算出し(S204)、算出した差分時間を積替時間に加算し(S205)、選択中の入出庫情報の全てを、入庫時刻を抽出する対象として選択したか否かを判定する(S206)。
【0040】
全ての入出庫情報を選択した場合(S206,YES)、積替時間算出処理が終了される。一方、全ての入出庫情報が選択されていない場合(S206,NO)、情報処理部105は、再度、入庫時刻を抽出する対象として1つの入出庫情報を選択する(S201)。
【0041】
(送信処理)
送信処理の動作について説明する。図10は、送信処理の動作を示すフローチャートである。この送信処理は、送信要求に応じて輸送履歴情報を送信する処理である。
【0042】
まず、情報送信部106は、端末装置4から輸送履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S301)。送信要求がなされない場合(S301,NO)、情報送信部106は、再度、端末装置4から輸送履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S301)。
【0043】
一方、送信要求がなされた場合(S301,YES)、情報送信部106は、送信要求に付加されたボトルIDを含む輸送履歴情報が存在するか否かを判定する(S302)。送信要求に付加されたボトルIDを含む輸送履歴情報が存在しない場合(S302,NO)、情報送信部106は、再度、端末装置4から輸送履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S301)。
【0044】
一方、送信要求に付加されたボトルIDを含む輸送履歴情報が存在する場合(S302,YES)、情報送信部106は、送信要求に付加されたボトルIDを含む輸送履歴情報を要求元の端末装置4へ送信し(S303)、再度、端末装置4から輸送履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S301)。
【0045】
このように、輸送される対象物について、品質を保持する上で許容可能な範囲を超過したか否か、更にはどの程度超過したかを示す輸送履歴情報をユーザに提示することによって、対象物が輸送された状況について、ユーザが容易に把握することができる。
【0046】
(他のシステムとの連携)
他のシステムとの連携について説明する。図11は、他のシステムとの連携例を示す概略図である。
【0047】
上述した輸送履歴管理装置1により生成された輸送履歴情報は、端末装置4のみでなく、対象物の保管状態を管理する保管履歴管理、対象物の取引処理を管理する取引処理管理、対象物としてのワインボトルWなどの飲食物を複数人で共有する共有処理管理などに利用することができる。
【0048】
本実施の形態において、輸送履歴管理プログラムは上述した輸送履歴管理装置の内部に予めインストールされているものとして記載したが、本発明における輸送履歴管理プログラムは記憶媒体に記憶されたものも含まれる。ここで記憶媒体とは、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクドライブ等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク等)、光磁気ディスク(MO等)、フラッシュメモリ等、輸送履歴管理装置に対し脱着可能な媒体や、さらにネットワークを介することで伝送可能な媒体等、上述した輸送履歴管理装置としてのコンピュータで読み取りや実行が可能な全ての媒体をいう。
【0049】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 輸送履歴管理装置
102 属性情報管理部
103 入出庫情報管理部
104 環境情報管理部
105 情報処理部
106 情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12