(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060838
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】保管履歴管理装置、保管履歴管理プログラム、及び保管履歴管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220408BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20220408BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/08 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168555
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】特許業務法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹本 潔
(72)【発明者】
【氏名】植田 祐彰
(72)【発明者】
【氏名】中島 康雅
(72)【発明者】
【氏名】村上 瑛
(72)【発明者】
【氏名】三好 みよ子
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 剛基
(72)【発明者】
【氏名】北見 かおり
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保管される対象物の品質に関わる保管環境を対象物の所有者が容易に把握する。
【解決手段】保管履歴管理装置は、対象物を示す対象物IDと許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部、対象物IDと所有者を示すオーナーIDとが対応付けられた所有情報を管理する所有情報管理部、対象物IDと保管位置を示す保管位置IDと入庫日時とが対応付けられた保管情報を管理する保管情報管理部、保管位置IDと保管位置における測定温度と測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部、属性情報と保管情報と環境情報とに基づいて、対象物IDと測定温度が許容温度範囲を超えた累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた保管履歴情報を生成する情報処理部及び端末装置により送信されたオーナーIDに応じてオーナーIDと対応付けられた該対象物IDを含む保管履歴情報を端末装置へ送信する情報送信部を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管される対象物の保管環境の履歴を管理する保管履歴管理装置であって、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の保管において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、
前記対象物IDと、該対象物IDにより示される対象物の所有者を一意に示すオーナーIDとが対応付けられた所有情報を管理する所有情報管理部と、
前記対象物IDと、所定の保管位置を一意に示す保管位置IDと、前記保管位置に前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時とが対応付けられた保管情報を管理する保管情報管理部と、
前記保管位置IDと、前記保管位置における環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、
前記属性情報と前記保管情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲を超えた累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた保管履歴情報を生成する情報処理部と、
前記保管履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信されたオーナーIDに応じて、前記所有情報において該オーナーIDと対応付けられた該対象物IDを含む保管履歴情報を前記端末装置へ送信する情報送信部と
を備える保管履歴管理装置。
【請求項2】
前記属性情報は、前記対象物の保管において許容される湿度範囲を示す許容湿度範囲を前記対象物IDに更に対応付け、
前記環境情報は、前記保管位置における環境湿度を測定する湿度センサにより測定された測定湿度と、該湿度センサによる測定日時とを前記保管位置IDに更に対応付け、
前記保管履歴情報は、前記湿度センサによる測定湿度が前記許容湿度範囲を超えた累積時間を示す湿度超過時間を前記対象物IDに更に対応付けることを特徴とする請求項1に記載の保管履歴管理装置。
【請求項3】
前記属性情報は、前記対象物の輸送において許容される振動レベルを示す許容振動閾値を前記対象物IDに更に対応付け、
前記環境情報は、前記保管位置における振動レベルを測定する振動センサにより測定された振動レベルと、該振動センサによる測定日時とを前記保管IDに更に対応付け、
前記保管履歴情報は、前記振動センサによる振動レベルが前記許容振動レベルを超えた累積時間を示す振動レベル超過時間を前記対象物IDに更に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保管履歴管理装置。
【請求項4】
前記対象物は飲食物であり、
前記属性情報は、前記対象物IDにより示される対象物の製造時期と、該対象物の飲食に適した保存期間である適正保存期間とを更に対応付け、
現在日時が、前記製造時期と前記適正保存期間とに基づく適正時期に含まれる場合、該適正時期を前記所有者に通知する通知部を更に備えることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の保管履歴管理装置。
【請求項5】
前記適正保存期間は、前記対象物IDに示される飲食物が属する商品種別に対して予め設定されることを特徴とする請求項4に記載の保管履歴管理装置。
【請求項6】
前記対象物はワインであり、
前記商品種別は、前記ワインの銘柄、前記ワインの原材料の品種、前記ワインの原材料の生産者、前記ワインの原材料の生産地、前記ワインの原材料の生産年、前記ワインに対する格付け評価のうち、少なくとも1つ以上により区分される分類を示すことを特徴とする請求項5に記載の保管履歴管理装置。
【請求項7】
保管される対象物の保管環境の履歴を管理する保管履歴管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の保管において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、
前記対象物IDと、該対象物IDにより示される対象物の所有者を一意に示すオーナーIDとが対応付けられた所有情報を管理する所有情報管理部と、
前記対象物IDと、所定の保管位置を一意に示す保管位置IDと、前記保管位置に前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時とが対応付けられた保管情報を管理する保管情報管理部と、
前記保管位置IDと、前記保管位置における環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、
前記属性情報と前記保管情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲を超えた累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた保管履歴情報を生成する情報処理部と、
前記コンピュータとネットワークを介して接続された端末装置により送信されたオーナーIDに応じて、前記所有情報において該オーナーIDと対応付けられた該対象物IDを含む保管履歴情報を前記端末装置へ送信する情報送信部として機能させる保管履歴管理プログラム。
【請求項8】
保管される対象物の保管環境の履歴を管理する保管履歴管理方法であって、
コンピュータが、
前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の保管において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理し、
前記対象物IDと、該対象物IDにより示される対象物の所有者を一意に示すオーナーIDとが対応付けられた所有情報を管理し
前記対象物IDと、所定の保管位置を一意に示す保管位置IDと、前記保管位置に前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時とが対応付けられた保管情報を管理し、
前記保管位置IDと、前記保管位置における環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理し、
前記属性情報と前記保管情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲を超えた累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた保管履歴情報を生成し、
前記コンピュータとネットワークを介して接続された端末装置により送信されたオーナーIDに応じて、前記所有情報において該オーナーIDと対応付けられた該対象物IDを含む保管履歴情報を前記端末装置へ送信する保管履歴管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保管される対象物の保管情報を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保管される対象物の保管環境を管理する技術として、物品を収容する収容部における温度変化を表示部に表示する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保管される対象物の品質に関わる保管環境を対象物の所有者が容易に把握可能とすることがひとつの課題である。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、保管される対象物の品質に関わる保管環境を対象物の所有者が容易に把握可能とすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の実施形態は、保管される対象物の保管環境の履歴を管理する保管履歴管理装置であって、前記対象物を一意に示す対象物IDと、該対象物の保管において許容される温度範囲を示す許容温度範囲とが対応付けられた属性情報を管理する属性情報管理部と、前記対象物IDと、該対象物IDにより示される対象物の所有者を一意に示すオーナーIDとが対応付けられた所有情報を管理する所有情報管理部と、前記対象物IDと、所定の保管位置を一意に示す保管位置IDと、前記保管位置に前記対象物が入庫された日時を示す入庫日時とが対応付けられた保管情報を管理する保管情報管理部と、前記保管位置IDと、前記保管位置における環境温度を測定する温度センサにより測定された測定温度と、該測定時刻とが対応付けられた環境情報を管理する環境情報管理部と、前記属性情報と前記保管情報と前記環境情報とに基づいて、前記対象物IDと、前記測定温度が前記許容温度範囲を超えた累積時間を示す温度超過時間とが対応付けられた保管履歴情報を生成する情報処理部と、前記保管履歴管理装置とネットワークを介して接続された端末装置により送信されたオーナーIDに応じて、前記所有情報において該オーナーIDと対応付けられた該対象物IDを含む保管履歴情報を前記端末装置へ送信する情報送信部とを備えた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】保管履歴管理システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】保管履歴管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】保管履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】生成処理の動作を示すフローチャートである。
【
図11】送信処理の動作を示すフローチャートである。
【
図12】通知処理の動作を示すフローチャートである。
【
図13】保管履歴管理システムの変形例を示す概略図である。
【
図14】他のシステムとの連携例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(保管履歴管理システム)
本実施形態に係る保管履歴管理システムについて説明する。
図1は、保管履歴管理システムの全体構成を示す概略図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る保管履歴管理システムは、保管対象物の状態履歴を管理するシステムであり、保管庫WHとネットワークを介して接続される保管履歴管理装置1と、保管履歴管理装置1とネットワークを介して接続される端末装置2とを備える。
【0011】
本実施形態においては、保管履歴管理システムにより管理される保管対象物をワインボトルWとする。このワインボトルWは、温度、湿度などの内部の環境がワインボトルWの保管に適した略一定範囲となるように調整された保管庫WH内において、保管棚SRに設けられた複数の保管位置SLのいずれかに保管されるものとする。保管されるワインボトルWは、個人または団体によって所有され、所有者により保管庫WHに預けられているものとする。
【0012】
個々のワインボトルWにはワインボトルWを一意に示す識別情報(ボトルID)を格納する識別媒体BIMが付されるとともに、保管棚SRにおける保管位置SLのそれぞれには保管位置SLを一意に示す識別情報(保管位置ID)を格納する識別媒体SIMが付されるものとする。このような識別媒体としては、RFID(Radio Frequency Identifier)タグ、周期的に無線信号を発するビーコン、画像コードなどが挙げられる。
【0013】
ワインボトルWが保管庫WHに入庫される際には、スキャナSによるワインボトルWの識別媒体BIM及び保管位置SLの識別媒体SIMを読み取る入庫処理が行われ、この入庫処理によって、ワインボトルWと保管位置SLとの対応付け及び入庫日時の記録がなされる。また、ワインボトルWが保管庫WHから出庫される際には、少なくともスキャナSによるワインボトルWの識別媒体BIMを読み取る出庫処理が行われ、この出庫処理により出庫日時の記録がなされる。入庫処理、出庫処理による処理結果は、入庫情報、出庫情報として、ネットワークを介して、保管履歴管理装置1により取得される。
【0014】
保管棚SRにおける保管位置SLのそれぞれにはセンサ類SSが設けられ、本実施形態においては、このセンサ類SSは、温度を測定する温度センサ、湿度を測定する湿度センサ、振動として加速度を測定する加速度センサ、照度を測定する照度センサを含む。センサ類SSによる測定値は、ネットワークを介して、保管履歴管理装置1により取得される。
【0015】
保管履歴管理装置1は、各保管位置SLにおけるセンサ類SS及びスキャナSとネットワークを介して接続され、センサ類SSより測定値を取得し、スキャナSから入庫情報及び出庫情報を取得するともに、後述する属性情報及び所有情報を登録情報として取得する。また、保管履歴管理装置1は、これらの情報から後述する保管履歴情報を生成し、この保管履歴情報を送信要求に応じて端末装置2へ送信する。端末装置2は、保管庫WHに保管されるワインボトルWの所有者が使用するものであり、ネットワークに接続可能に構成される。
【0016】
(ハードウェア構成)
保管履歴管理装置及び端末装置のハードウェア構成について説明する。
図2、
図3は、それぞれ、保管履歴管理装置、端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0017】
保管履歴管理装置1は、
図2に示すように、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶装置13、入出力I/F(Interface)14、ネットワークI/F15を備える。CPU11及びRAM12は協働して各種機能を実行し、記憶装置13は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。入出力I/F14は、保管履歴管理装置1に接続されるキーボードなどの入力装置やディスプレイなどの出力装置とのデータの入出力を行う。ネットワークI/F15は、センサ類SS、スキャナS、端末装置2などの他の装置とのネットワークを介した通信を行う。
【0018】
端末装置2は、タブレット型端末であり、
図3に示すように、ハードウェアとして、CPU21、RAM22、記憶装置23、タッチパネル24、ネットワークI/F25、カメラ26を備える。CPU21及びRAM22は協働して各種機能を実行し、記憶装置23は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。タッチパネル24は、ディスプレイとタッチセンサとを有する入出力装置である。ネットワークI/F25は、保管履歴管理装置1とのネットワークを介した通信を行う。
【0019】
(機能構成及び各種情報)
保管履歴管理装置の機能構成及び各種情報について説明する。
図4は、保管履歴管理装置の機能構成を示すブロック図である。
図5~
図9は、それぞれ、属性情報、所有情報、保管情報、環境情報、保管履歴情報を示す図である。
【0020】
図4に示すように、本実施形態に係る保管履歴管理装置1は、機能として、情報取得部101、属性情報管理部102、所有情報管理部103、保管情報管理部104、環境情報管理部105、情報処理部106、情報送信部107、通知部108を備える。
【0021】
情報取得部101は、入庫情報、出庫情報をスキャナSより取得し、測定値をセンサ類SSより取得するとともに、キーボードなどの入力装置を介して登録情報として入力された属性情報、所有情報を取得する。入庫情報は、ワインボトルWとこのワインボトルWが入庫される保管位置SLと入庫日時とを示す。出庫情報は、出庫されたワインボトルWと出庫日時とを示す。属性情報、所有情報については後に詳述する。
【0022】
属性情報管理部102は、情報取得部101により取得された属性情報を管理する。所有情報管理部103は、情報取得部101により取得された所有情報を管理する。保管情報管理部104は、情報取得部101により取得された入庫情報及び出庫情報に基づく保管情報を管理する。環境情報管理部105は、情報取得部101により取得された測定値に基づく環境情報を管理する。
【0023】
情報処理部106は、属性情報管理部102により管理される属性情報と、保管情報管理部104により管理される保管情報と、環境情報管理部105により管理される環境情報とに基づいて、保管履歴情報を生成する。情報送信部107は、端末装置2からの送信要求への応答として、保管履歴情報を送信する。
【0024】
属性情報は、
図5に示すように、ワインボトルWを一意に示すボトルID、許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲、製造時期、適正保存期間が対応付けられた情報である。許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲は、ボトルIDに対して、より具体的にはボトルIDにより示されるワインボトルWが属する商品種別に対して、品質を保持するために許容し得る環境変化の指標として、予め設定される値である。なお、ここで商品種別は、同一商品として区分するための分類を示し、例えば、ワインの銘柄であるが、ワインの原料となるブドウの品種、生産者、生産地や生産年、ワインに対する格付け評価のいずれか、またはこれらの組み合わせによって区分される分類であっても良い。許容温度範囲は温度の上限及び下限により示され、許容湿度範囲は湿度の上限及び下限により示され、許容振動範囲は上限値としての加速度により示され、許容照度範囲は上限値としての照度により示さる。製造時期は、ボトルIDにより示されるワインボトルWが製造された日付を示す。適正保存期間は、ボトルIDにより示されるワインボトルWの味や香りが最高の状態となるとされた製造時期からの経過期間、即ち、熟成期間を示し、予め設定される。尚、適正保存期間は、商品種別に基づいて算出されても良い。
【0025】
所有情報は、
図6に示すように、ボトルIDとこのボトルIDにより示されるワインボトルWの所有者を一意に示すオーナーIDとが対応付けられた情報である。この所有情報は、ワインボトルWが保管庫WHに預けられる際に登録/更新される。
【0026】
保管情報は、
図7に示すように、入庫情報及び出庫情報に基づくものであり、ボトルIDと、このボトルIDを含む入庫情報に含まれる保管位置ID及び入庫日時と、このボトルIDを含む出庫情報に含まれる出庫日時とが対応付けられた情報である。
【0027】
環境情報は、
図8に示すように、保管位置ID、測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度、測定時刻が対応付けられた情報である。測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度は、対応する保管位置IDにより示される保管位置SLにおいて、この保管位置SLの環境を測定可能に設けられたセンサ類SSに含まれる温度センサ、湿度センサ、加速度センサ、照度センサのそれぞれによる測定値である。測定時刻は、対応する各測定値が測定された時刻を示す。
【0028】
保管履歴情報は、
図9に示すように、ボトルID、温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間、適正時期が対応付けられた情報である。保管履歴情報は、上述したように、属性情報、保管情報、環境情報に基づいて、情報処理部106により生成される。温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間は、それぞれ、対応するボトルIDにより示されるワインボトルWが格納される保管棚SRにおける保管位置SLの測定温度、測定湿度、測定振動、測定照度が、属性情報において対応するボトルIDと対応付けられた許容温度範囲、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲を超過した累計時間を示す。適正時期は、対応するボトルIDにより示されるワインボトルWの製造時期から適正保存期間が経過した時期を示す。
【0029】
(生成処理)
生成処理の動作について説明する。
図10は、生成処理の動作を示すフローチャートである。この生成処理は、属性情報、保管情報、環境情報に基づいて、保管履歴情報を生成する処理である。なお、この生成処理は、保管履歴情報の生成/更新のため、周期的に実行されるものとするが、以下の説明においては、保管履歴情報が新規に生成される場合の動作について説明する。
【0030】
図10に示すように、情報処理部106は、まず、属性情報管理部102により管理される属性情報のうち1つの属性情報を選択し(S101)、保管情報管理部104により管理される保管情報のうち、選択した属性情報に含まれるボトルIDを含む保管情報を選択する(S102)。
【0031】
また、情報処理部106は、選択中の属性情報に示されるワインボトルWについて保管中の測定値を得るため、環境情報管理部105により管理される環境情報のうち、選択中の保管情報に含まれる保管位置IDを含む環境情報を選択する(S103)。次に、情報処理部106は、選択中の環境情報と属性情報とに基づいて、選択中の属性情報に含まれるボトルIDについての保管履歴情報における測定超過時間として、温度超過時間、湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間を算出する(S104)。
【0032】
ここで、測定超過時間の一例として、温度超過時間の算出について説明する。情報処理部106は、選択中の環境情報のそれぞれに含まれる測定温度について、選択中の属性情報に含まれる許容温度範囲との比較を順次行い、測定温度が許容温度範囲を超過した場合に、測定温度が取得される時間間隔、例えば1秒を累積することによって、温度超過時間を算出する。湿度超過時間、振動超過時間、照度超過時間についても、同様に、許容湿度範囲、許容振動範囲、許容照度範囲を超過した時間が累積されることによって算出される。
【0033】
また、情報処理部106は、選択中の属性情報に含まれるボトルIDについての保管履歴情報における適正時期を、属性中のボトルIDと対応付けられた製造時期及び適正保存期間に基づいて算出する(S105)。この適正保存期間は、製造時期に対して、適正保存期間を加算した時期として、本実施形態においては月単位で求められる。
【0034】
測定超過時間の算出後、情報処理部106は、属性情報管理部102に管理される全ての属性情報を選択したか否かを判定する(S106)。全ての属性情報を選択した場合(S106,YES)、生成処理が終了される。一方、全ての属性情報を選択していない場合(S106,NO)、情報処理部106は、再度、属性情報管理部102により管理される属性情報のうち1つの属性情報を選択する(S101)。
【0035】
(送信処理)
送信処理の動作について説明する。
図11は、送信処理の動作を示すフローチャートである。この送信処理は、要求に応じて保管履歴情報を送信する処理である。
【0036】
まず、情報送信部107は、端末装置2から保管履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S201)。送信要求がなされない場合(S201,NO)、情報送信部107は、再度、端末装置2から保管履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S201)。
【0037】
一方、送信要求がなされた場合(S201,YES)、情報送信部107は、送信要求に付加されたオーナーIDを含む所有情報を選択し(S202)、選択した所有情報に含まれるボトルIDのうち1つのボトルIDを選択し(S203)、選択したボトルIDを含む保管履歴情報が存在するか否かを判定する(S204)。
【0038】
選択したボトルIDを含む保管履歴情報が存在する場合(S204,YES)、情報送信部107は、選択したボトルIDを含む保管履歴情報を要求元の端末装置2へ送信し(S205)、選択した所有情報に含まれるボトルIDのうち、未選択のボトルIDが存在するか否かを判定する(S206)。
【0039】
未選択のボトルIDが存在する場合(S206,YES)、情報送信部107は、再度、選択した所有情報に含まれるボトルIDのうち1つのボトルIDを選択する(S203)。
【0040】
一方、未選択のボトルIDが存在しない場合(S206,NO)、情報送信部107は、再度、端末装置2から保管履歴情報の送信要求がなされたか否かを判定する(S201)。
【0041】
また、ステップS204において、選択したボトルIDを含む保管履歴情報が存在しない場合(S204,NO)、情報送信部107は、選択した所有情報に含まれるボトルIDのうち、未選択のボトルIDが存在するか否かを判定する(S206)。
【0042】
このように、保管される対象物について、品質を保持する上で許容可能な範囲を超過したか否か、更にはどの程度超過したかを示す保管履歴情報を所有者に提示することによって、対象物の保管状況について、所有者が容易に把握することができる。
【0043】
(通知処理)
通知処理について説明する。
図12は、通知処理の動作を示すフローチャートである。この通知処理は、所有者に対して適正時期を通知する処理であり、周期的に実行されるものとする。
【0044】
図12に示すように、まず、通知部108は、保管履歴情報を1つ選択し(S301)、現在日時が、選択した保管履歴情報に含まれる適正時期により示される時間範囲内であるか否かを判定する(S302)。
【0045】
現在日時が適正時期である場合(S302,YES)、通知部108は、保管履歴情報に含まれるボトルIDを含む所有者情報を選択し(S303)、選択した所有者情報に含まれるオーナーIDにより示される所有者に適正時期を通知する(S304)。ここで、通知部108は、オーナーIDによりログインされた端末装置2へ適正時期を示す情報を送信することによって所有者への通知を行うものとする。
【0046】
次に、通知部108は、現周期の通知処理において、全ての保管履歴情報を選択したか否かを判定する(S305)。全ての保管履歴情報を選択した場合(S305,YES)、通知処理は終了される。一方、全ての保管履歴情報が選択していない場合(S305,NO)、通知部108は、未選択の保管履歴情報のうち、1つの保管履歴情報を選択する(S301)。
【0047】
また、ステップS302において、現在日時が適正時期ではない場合(S302,NO)、通知部108は、全ての保管履歴情報を選択したか否かを判定する(S305)。
【0048】
このように、保管された対象物の製造時期と適正保存期間とに基づく適正時期を所有者に通知することによって、所有者は、保管された対象物、特に飲食物を最適な時期に消費することができる。
【0049】
(変形例)
保管履歴管理システムの変形例について説明する。
図13は、保管履歴管理システムの変形例を示す概略図である。
【0050】
上述した保管履歴管理システムにおいては、複数の保管位置SLを有する保管庫WHにおける対象物を管理するものとしたが、
図13に示すように、一所有者が個人的に所有する保管庫WHPに保管される対象物を管理するようにしても良い。
【0051】
保管庫WHPは、対象物としてのワインボトルWを内部に保管可能に構成され、保管庫WHと同様に、温度や湿度などの内部環境がワインボトルWの保管に適した略一定範囲内となるように調整する装置である。保管庫WHP内には、内部の環境を測定するセンサ類SSと、内部に保管されたワインボトルWの識別媒体、例えば、RFICタグなどを読み取るスキャナS2とが設けられるものとする。また、保管庫WHPには、図示しないネットワークインターフェイスを備えるものとする。ワインボトルWの識別媒体は、入庫または出庫の際に読み取られ、保管庫WHPは、入庫情報、出庫情報、測定値を、ネットワークを介して保管履歴管理装置1aへ送信する。
【0052】
保管履歴管理装置1aは、保管情報における保管位置IDとして、保管庫WHPを一意に識別する識別情報を用いる点が上述した保管履歴管理装置1とは異なる。このような識別情報として、例えば、保管庫WHPが備えるネットワークインターフェイスに割り当てられたMAC(Media Access Control)アドレスを用いることが考えられる。
【0053】
(他のシステムとの連携)
他のシステムとの連携について説明する。
図14は、他のシステムとの連携例を示す概略図である。
【0054】
上述した保管履歴管理装置1により生成された保管履歴情報は、端末装置2のみでなく、対象物の輸送状態を管理する輸送履歴管理、対象物の取引処理を管理する取引処理管理、対象物としてのワインボトルWなどの飲食物を複数人で共有する共有処理管理など利用することができる。
【0055】
本実施の形態において、保管履歴管理プログラムは上述した保管履歴管理装置の内部に予めインストールされているものとして記載したが、本発明における保管履歴管理プログラムは記憶媒体に記憶されたものも含まれる。ここで記憶媒体とは、磁気テープ、磁気ディスク(ハードディスクドライブ等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク等)、光磁気ディスク(MO等)、フラッシュメモリ等、保管履歴管理装置に対し脱着可能な媒体や、さらにネットワークを介することで伝送可能な媒体等、上述した保管履歴管理装置としてのコンピュータで読み取りや実行が可能な全ての媒体をいう。
【0056】
発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 保管履歴管理装置
102 属性情報管理部
103 所有情報管理部
104 保管情報管理部
105 環境情報管理部
106 情報処理部
107 情報送信部