(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060877
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】搬送ロボット及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220408BHJP
B65G 35/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
B65G35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168619
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛山 貴生
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA02
3F022JJ11
3F022JJ20
3F022KK20
(57)【要約】
【課題】昇降専用機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送ロボット1は、本体2と、一対のレール111に対し転動可能に設けられる一対の車輪52と、本体2に設けられ、昇降動作時において本体2及び一対の車輪52を個別に一対のレール111に対し昇降させる昇降機構3と、昇降機構3に設けられ、一対の車輪52を上下方向において一対のレール111と重なる走行位置と一対のレール111の間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構4と、本体部2に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の車輪52が昇降機構3によって各レール111間を昇降可能であるように本体2を一時的に一対のレール111に支持する支持機構7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のレールが間隔を空けて複数配列される昇降領域を有する構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに昇降動作時において間隔を空けて複数配列される各レール間を昇降する搬送ロボットであって、
本体と、
一対の前記レールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪と、
前記本体に設けられ、昇降動作時において前記本体及び一対の前記車輪を個別に一対の前記レールに対し昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構に設けられ、一対の前記車輪を上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置と一対の前記レールの間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構と、
前記車輪位置調整機構に設けられ、一対の前記車輪を転動させることによって前記本体を走行させる走行アクチュエータと、
前記本体に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の前記車輪が前記昇降機構によって各レール間を昇降可能であるように前記本体を一時的に一対の前記レールに支持する支持機構と、を備え、
昇降動作時において走行位置に調整された一対の前記車輪が一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送ロボットであって、
前記昇降機構は、
前記本体の前後方向の一端又は他端に設けられ、前後方向と直交する左右方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する昇降アクチュエータと、
前記揺動駆動軸の軸線回りに揺動可能に前記昇降アクチュエータに設けられる揺動部と、を有し、
昇降動作時において前記本体が一時的に前記支持機構を介して一対の前記レールに支持される場合、昇降位置に調整された一対の前記車輪は、前記昇降アクチュエータの駆動によって揺動する前記揺動部に連動して各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送ロボットであって、
昇降動作時において一対の前記車輪がそれぞれ一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降アクチュエータの駆動による前記揺動部の揺動に伴って各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の搬送ロボットであって、
前記車輪位置調整機構は、
前記揺動部の左右両側に設けられ一対の前記車輪をそれぞれ転向させる一対の転向アクチュエータから構成される、
搬送ロボット。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送ロボットであって、
前記走行アクチュエータは、前記転向アクチュエータの転向駆動軸の軸線回りに旋回可能に一対の前記転向アクチュエータに設けられる、
搬送ロボット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送ロボットであって、
前記支持機構は、
上下方向において一対の前記レールと重なる支持位置と一対の前記レールの間に位置する退避位置との間を移動可能に設けられる支持部と、
前記支持部を支持位置と退避位置との間で移動させる支持部アクチュエータと、を有する、
搬送ロボット。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送ロボットであって、
前記本体には、被搬送物を載置するための載置面が設けられ、
前記支持部アクチュエータは、前記載置面の下方に設けられる、
搬送ロボット。
【請求項8】
請求項6に記載の搬送ロボットであって、
前記支持部アクチュエータは、前記本体の左右両側に設けられ、前後方向に沿って延在する旋回駆動軸を有し、
前記支持部は、前記旋回駆動軸の軸線回りに旋回可能に前記支持部アクチュエータに設けられる、
搬送ロボット。
【請求項9】
請求項1に記載の搬送ロボットであって、
前記昇降機構は、
前記本体の前後方向の一端又は他端に設けられ、前後方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する昇降アクチュエータと、
前記揺動駆動軸の軸線回りに揺動可能に前記昇降アクチュエータに設けられるリンク構造と、を有し、
昇降動作時において前記本体が一時的に前記支持機構を介して一対の前記レールに支持される場合、昇降位置に調整された一対の前記車輪は、前記昇降アクチュエータの駆動によって伸縮する前記リンク構造に連動して各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項10】
請求項9に記載の搬送ロボットであって、
昇降動作時において一対の前記車輪がそれぞれ一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降アクチュエータの駆動による前記リンク構造の伸縮に伴って各レール間を昇降する、
搬送ロボット。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の搬送ロボットであって、
載置部と、
前記本体に設けられ、前記載置部を一対の前記レールの間に位置する搬送位置と一対の前記レールよりも外側に位置する受領位置との間を移送させる移送機構と、をさらに備える、
搬送ロボット。
【請求項12】
一対のレールが間隔を空けて複数配列される昇降領域を有する構造体と、
前記構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに、昇降動作時において間隔を空けて複数配列される各レール間を昇降する搬送ロボットと、を備える搬送システムであって、
前記搬送ロボットは、
本体と、
一対の前記レールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪と、
前記本体に設けられ、昇降動作時において前記本体及び一対の前記車輪を個別に一対の前記レールに対し昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構に設けられ、一対の前記車輪を上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置と一対の前記レールの間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構と、
前記車輪位置調整機構に設けられ、一対の前記車輪を転動させることによって前記本体を走行させる走行アクチュエータと、
前記本体に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の前記車輪が前記昇降機構によって各レール間を昇降可能であるように前記本体を一時的に一対の前記レールに支持する支持機構と、を有し、
昇降動作時において走行位置に調整された一対の前記車輪が一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、
搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボット及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水平レールが上下に複数配列される構造体と、水平レールに沿って走行可能な搬送ロボットと、を備える出庫システムが開示されている。構造体において、搬送ロボットは、複数の水平レールに交差して設けられるランプや垂直レールを通じて他の水平レールに昇降することができる。ランプは、移動ロボットのスプロケット歯車に噛合して吊り上げるチェーンを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の出庫システムでは、搬送ロボットを昇降させるために、構造体にランプや垂直レール等の昇降専用機構を設ける必要がある。このため、構造体の構成が複雑となる。
【0005】
そこで、本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、昇降専用機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、一対のレールが間隔を空けて複数配列される昇降領域を有する構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに昇降動作時において間隔を空けて複数配列される各レール間を昇降する搬送ロボットであって、本体と、一対の前記レールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪と、前記本体に設けられ、昇降動作時において前記本体及び一対の前記車輪を個別に一対の前記レールに対し昇降させる昇降機構と、前記昇降機構に設けられ、一対の前記車輪を上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置と一対の前記レールの間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構と、前記車輪位置調整機構に設けられ、一対の前記車輪を転動させることによって前記本体を走行させる走行アクチュエータと、前記本体に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の前記車輪が前記昇降機構によって各レール間を昇降可能であるように前記本体を一時的に一対の前記レールに支持する支持機構と、を備え、昇降動作時において走行位置に調整された一対の前記車輪が一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、搬送ロボットが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、一対のレールが間隔を空けて複数配列される昇降領域を有する構造体と、前記構造体では、走行動作時において間隔を空けて複数配列される前記レールのうちの走行用レールを走行するとともに、昇降動作時において間隔を空けて複数配列される各レール間を昇降する搬送ロボットと、を備える搬送システムであって、前記搬送ロボットは、本体と、一対の前記レールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪と、前記本体に設けられ、昇降動作時において前記本体及び一対の前記車輪を個別に一対の前記レールに対し昇降させる昇降機構と、前記昇降機構に設けられ、一対の前記車輪を上下方向においてそれぞれ一対の前記レールと重なる走行位置と一対の前記レールの間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構と、前記車輪位置調整機構に設けられ、一対の前記車輪を転動させることによって前記本体を走行させる走行アクチュエータと、前記本体に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の前記車輪が前記昇降機構によって各レール間を昇降可能であるように前記本体を一時的に一対の前記レールに支持する支持機構と、を有し、昇降動作時において走行位置に調整された一対の前記車輪が一対の前記レールに載置する場合、前記本体は、前記昇降機構によって各レール間を昇降する、搬送システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、昇降専用機構が設けられていない構造体で昇降可能な搬送ロボット及び搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る搬送システムを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1変形例の構造体を示す概略構成図である。
【
図4】
図4は、走行動作時において搬送ロボットがレールに沿って走行する走行状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、転向動作時において搬送ロボットが転向する転向状態を示す斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、昇降動作時において本体が車輪に対し上昇して搬送ロボットが走行状態から転向可能状態に変化することを示す斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、昇降動作時において本体が車輪に対し上昇して搬送ロボットが走行状態から転向可能状態に変化することを示す正面図である。
【
図7A】
図7Aは、昇降動作時において支持部が退避位置から支持位置に移動して中段レールに載置される支持部支持状態を示す斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、昇降動作時において支持部が退避位置から支持位置に移動して中段レールに載置される支持部支持状態を示す正面図である。
【
図8A】
図8Aは、昇降動作時において車輪が走行位置から昇降位置に収納する車輪収納状態を示す斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、昇降動作時において車輪が走行位置から昇降位置に収納する車輪収納状態を示す正面図である。
【
図9】
図9は、昇降動作時において車輪が下段レールに対し上昇する車輪上昇状態その1を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、昇降動作時において車輪が下段レールに対し上昇する車輪上昇状態その2を示す斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、昇降動作時において車輪が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す斜視図である。
【
図11B】
図11Bは、昇降動作時において車輪が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す正面図である。
【
図12A】
図12Aは、昇降動作時において支持部が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す斜視図である。
【
図12B】
図12Bは、昇降動作時において支持部が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す正面図である。
【
図13A】
図13Aは、昇降動作時において本体が車輪に対し上昇して搬送ロボットが吊下状態から走行状態に変化することを示す斜視図である。
【
図13B】
図13Bは、昇降動作時において本体が車輪に対し上昇して搬送ロボットが吊下状態から走行状態に変化することを示す正面図である。
【
図14】
図14は、第1変形例の搬送ロボットを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの支持部が退避位置から支持位置に移動して下段レールに載置される支持部支持状態を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの車輪が走行位置から昇降位置に収納する収納状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの車輪が第1変形例の搬送ロボットの本体に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。
【
図18A】
図18Aは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの車輪が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す斜視図である。
【
図18B】
図18Bは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの車輪が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す正面図である。
【
図19A】
図19Aは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの支持部が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す斜視図である。
【
図19B】
図19Bは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの支持部が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す正面図である。
【
図20】
図20は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボットの本体が第1変形例の搬送ロボットの車輪に対し上昇する本体上昇状態を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、第2変形例の搬送ロボットを示す斜視図である。
【
図22】
図22は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボットの本体が昇降機構のリンク構造の伸びによって車輪に対し上昇する本体上昇状態を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボットの本体が支持部によって支持され、走行位置から昇降位置に収納された車輪が本体に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボットの車輪が昇降位置から走行位置に展開され、本体が昇降機構のリンク構造の縮みによって車輪に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。
【
図25】
図25は、第2変形例の搬送ロボットの載置部が移送機構によって搬送位置から受領位置に移送される移送状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(搬送システムの構成)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る搬送システム100について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る搬送システム100を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送システム100は、一対のレール111が所定間隔H(
図6B参照)を空けて複数配列される昇降領域11を有する構造体10と、走行用レールとしてのレール111を走行可能な搬送ロボット1と、を備える。
【0014】
搬送システム100は、例えば、寿司屋等の飲食店に設置され、客席及び厨房を構造体10によって連通するものである。具体的には、搬送システム100は、寿司等の料理を載せる食器としての皿が載置される搬送ロボット1を、例えば顧客が視認可能なレール111に沿って走行させることによって料理を厨房からホールに提供し、その後、搬送ロボット1を昇降領域11で昇降させて、空き皿を載置してから例えば顧客が視認不能な他のレール111に沿って走行させることによって空き皿をホールから厨房に回収する。
【0015】
このように、料理提供及び食器回収は、搬送システム100を用いて行われるため、飲食店の従業員を減らし、人件費の削減に寄与することができる。また、料理提供の搬送及び食器回収の搬送は、それぞれ搬送ロボット1を顧客視認可能なレール111及び顧客視認不能な他のレール111に走行させることによって行われるため、料理提供の搬送及び食器回収の搬送が搬送ロボットを同一のレールに走行させることによって行われるものに比べ、搬送システムの衛生性及び美観性を向上させることができる。
【0016】
本実施形態では、搬送システム100は、飲食店に設置されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、物流の分配を行う物流倉庫に設置されてもよい。
【0017】
(構造体の構成)
次に、
図1を参照しながら搬送システム100の一部を構成する構造体10について説明する。
【0018】
図1に示すように、構造体10は、搬送ロボット1が昇降可能な昇降領域11と、搬送ロボット1が転向可能な転向領域12と、を有する。
【0019】
昇降領域11は、先行技術のようなランプや垂直レール等の昇降専用機構を有しておらず、上下に配列される複数対(ここでは、三対)のレール111(上段レール111A,中段レール111B,下段レール111C)と、鉛直方向に沿って延在するとともに複数対のレール111を支持する複数の支持枠(図示しない)と、を有する。本実施形態では、全てのレール111は、走行用レール及び昇降用レールの両方として用いられる。
【0020】
本実施形態では、複数対のレール111は、水平に沿って延在するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、水平面に対し僅かに傾斜して延在するように設けられてもよい。この場合、高低差を有する場所間の搬送を搬送システム100によって行うことができる。
【0021】
また、本実施形態では、複数対のレール111は、直線状に延在して設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、湾曲して延在するように設けられてもよい。この場合、直線上にない場所間の搬送を搬送システム100によって行うことができる。
【0022】
各レール111は、断面がL字型に形成され、搬送ロボット1の後述する車輪52(
図3参照)を載置可能に設けられる載置部112と、載置部112に立設され載置部112からの車輪52の脱落を防止する脱輪防止壁113と、を有する。
【0023】
載置部112は、上面が平坦面に形成される。載置部112の上面(平坦面)は、搬送ロボット1の車輪52が転動可能な平滑度を有する。一対のレール111の載置部112の対向する一方側(内側)とは反対側である他方側(外側)には、脱輪防止壁113が立設される。脱輪防止壁113は、転動する車輪52と当接することによって、車輪52の位置を規制することができ、この結果、車輪52が載置部112から脱落することを防止することができる。
【0024】
転向領域12は、一対のレール111を跨ぐように形成される板材である。そして、搬送ロボット1は、転向領域12において自在に転向することができる。
【0025】
また、本実施形態では、複数対のレール111は、所定間隔Hを空けて平行に配列されている。しかしながら、複数対のレール111は、これに限定されるものではなく、例えば、上下に異なる間隔を空けて平行に配列されてもよい。この場合、異なるレール111間の間隔(すなわち、レール111における載置部112の載置面間の間隔)を所定間隔H以下に設定すれば足りる。そして、レール111間の間隔が所定間隔Hを超えると、搬送ロボット1がレール111間を昇降できなくなる。すなわち、レール111間の間隔が所定間隔Hを超える箇所があれば、当該箇所は、構造体10の昇降領域11に属しない。換言すれば、レール111間の間隔が所定間隔H以下である箇所は、すべて昇降領域11に属する。なお、「所定間隔H」の詳細については後述する。
【0026】
(第1変形例の構造体)
次に、
図2を参照しながら第1変形例の構造体10について説明する。なお、本第1変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0027】
図2は、第1変形例の構造体10を示す概略構成図である。
【0028】
上述した実施形態では、構造体10は、昇降領域11及び転向領域12のみから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図2に示すように、複数(ここでは、二つ)の昇降領域11と、複数の昇降領域11を連通する非昇降領域13とから構成されてもよい。
【0029】
この場合、各昇降領域11は、所定間隔Hを均等に空けて平行に配列される上段レール111a、中段レール111b及び下段レール111cを有する。非昇降領域13は、所定間隔Hを超える間隔を空けて平行に配列される上段走行用レール131a及び下段走行用レール131bを有する搬送路である。
【0030】
上段走行用レール131aは、複数の上段レール111aを連通するとともに、下段走行用レール131bは、複数の下段レール111cを連通する。すなわち、上段走行用レール131aの両端には、上段レール111aが接続されるとともに、下段走行用レール131bの両端には、下段レール111cが接続される。
【0031】
第1変形例のように、構造体10に搬送路としての非昇降領域13を適宜設けることによって、非昇降領域13が設けられず昇降領域11が設けられる構造体10に比べ、不要な搬送用レールを削減することができる。この結果、構造体10の簡素化及び軽量化を図ることができる。
【0032】
(搬送ロボットの構成)
次に、
図1及び
図3を参照しながら搬送システム100の他の一部を構成する搬送ロボット1について説明する。
【0033】
図3は、搬送ロボット1を示す斜視図である。図中において、搬送ロボット1の前後方向(長手方向)、左右方向(幅方向)及び上下方向(高さ方向)を、それぞれX軸に沿う方向、Y軸に沿う方向及びZ軸に沿う方向とする。以下、説明の便宜上、搬送ロボット1の前後方向、左右方向及び上下方向を単に前後方向、左右方向及び上下方向と称する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る搬送ロボット1は、搬送ロボット1の走行動作時(以下、単に走行動作時と称する。)において一対のレール111を走行するとともに、搬送ロボット1の昇降動作時(以下、単に昇降動作時と称する。)において構造体10の昇降領域11に所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111間を昇降する搬送体である。
図3に示すように、搬送ロボット1は、本体2、一対の昇降機構3、前後それぞれ一対の車輪位置調整機構4、一対の走行機構5及び支持機構6を備える。
【0035】
本体2は、前後方向に沿って延在する矩形状のベース部材である。本体2には、被搬送物としての食器S(ここでは、皿である。)を載置するための載置面21が設けられる。また、本体2には、各機構の動作、具体的には、昇降機構3、車輪位置調整機構4、走行機構5及び支持機構6の動作を制御する制御部(図示しない)が搭載される。搬送ロボット1は、制御部の制御によって、一対のレール111を走行する走行動作と、所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111間を昇降する昇降動作と、を実行することができる。
【0036】
本体2は、左右方向の幅が一対のレール111間の間隔よりも小さくなるように形成される。これにより、昇降動作時において、本体2は、一対のレール111と干渉することなく、一対のレール111間を通過することができるので、所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111間を昇降することができる。
【0037】
一対の昇降機構3は、昇降動作時において本体2及び車輪52を個別に一対のレール111に対し昇降させる機構である。一対の昇降機構3は、本体2、具体的には、それぞれ本体2の前後方向の両端に設けられる。各昇降機構3は、昇降アクチュエータ31及び揺動部32を備える。
【0038】
各昇降アクチュエータ31は、各揺動部32を揺動させるための駆動部である。一方の昇降アクチュエータ31及び他方の昇降アクチュエータ31は、例えば、ねじ締めによってそれぞれ本体2の前後方向の一端(前端)及び本体2の前後方向の他端(後端)に固定される。また、各昇降アクチュエータ31は、前後方向と直交する左右方向に沿って延在するとともに時計回り及び反時計回りの両方に回動可能に設けられる揺動駆動軸(図示しない)を有する。各揺動駆動軸は、両端が各昇降アクチュエータ31の左右方向両側から突出するように設けられる。
【0039】
各揺動部32は、各揺動駆動軸の軸線回りに揺動可能に各昇降アクチュエータ31に設けられる。各揺動部32は、各昇降アクチュエータ31の駆動によって、各揺動駆動軸の軸線回りに上下に亘り所定範囲の角度(ここでは、180度)を揺動する。
【0040】
また、各揺動部32は、基端がそれぞれ各揺動駆動軸の両端に接続(固定)される一対の揺動アーム321と、一対の揺動アーム321を接続する接続部322と、を有する。これにより、各揺動部32は、各昇降アクチュエータ31の駆動によって、各揺動駆動軸と一体に回動することができる。そして、各揺動部32は、各昇降アクチュエータ31の駆動による各揺動駆動軸の回動に伴って、各揺動駆動軸の軸線回りに上下に亘り所定範囲の角度(ここでは、180度)を揺動する。
【0041】
一対の揺動アーム321は、左右方向において昇降アクチュエータ31を挟むように設けられる。一対の揺動アーム321の先端には、接続部322が設けられ、すなわち、接続部322は、一対の揺動アーム321の先端を接続する。
【0042】
各車輪位置調整機構4は、各昇降機構3に設けられ、一対の車輪52を上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置と一対のレール111の間に位置する昇降位置との間で調整させる。これにより、車輪52は、昇降位置において一対のレール111と干渉することなく、所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111間を昇降することができる。
【0043】
本実施形態では、各車輪位置調整機構4は、走行機構5(具体的には、一対の車輪52)をそれぞれ転向させる一対の転向アクチュエータ41から構成される。これにより、一対の転向アクチュエータ41を車輪位置調整機構4として兼用することによって、車輪52の位置を調整するための専用の調整機構を別途設ける必要がなく、車輪52の位置を容易に調整することができる。この結果、搬送ロボット1の構造の簡素化を図ることができる。
【0044】
上述のように、一対の転向アクチュエータ41は、一対の走行機構5をそれぞれ転向させるので、搬送ロボット1は、制御部の制御によって、走行動作及び昇降動作に加え、自身を転向させる転向動作を実行することができる。
【0045】
一対の転向アクチュエータ41は、例えば、ねじ締めによって昇降機構3の揺動部32の左右方向の両側面に固定される。具体的には、一対の転向アクチュエータ41は、ねじ締めによって揺動部32の一対の揺動アーム321の背向する側面に固定される。この場合、一対の揺動アーム321が昇降アクチュエータ31の駆動によって揺動されても、一対の転向アクチュエータ41は、一対の揺動アーム321の揺動に伴って旋回するものの、左右方向において昇降アクチュエータ31を常に挟む。
【0046】
このように、一対の転向アクチュエータ41を揺動アーム321の左右方向の両側面に固定することで、一対の転向アクチュエータ41が一対の揺動アーム321の先端を接続する接続部322の左右方向の両側面に固定されるものに比べ、接続部322のサイズを小さくすることができる。この結果、揺動部32の小型化を図ることができるので、搬送ロボット1全体の小型化を図ることができる。
【0047】
本実施形態では、一対の転向アクチュエータ41は、一対の揺動アーム321の側面に固定されているが、これに限定されるものではなく、例えば、接続部322の左右方向の両側面に固定されてもよい。この場合、一対の転向アクチュエータ41が揺動アーム321の左右方向の両側面に固定されるものに比べ、転向アクチュエータ41から支点としての揺動駆動軸までの距離が大きくなるので、昇降アクチュエータ31の駆動力を小さくした場合であっても車輪52を昇降させることができる。この結果、搬送ロボット1全体の省エネルギー化を図ることができる。
【0048】
また、各転向アクチュエータ41は、揺動部32の揺動アーム321の延在方向(具体的には、揺動アーム321の基端から先端へ延在する方向)に沿って延在するとともに時計回り及び反時計回りの両方に回動可能に設けられる転向駆動軸(図示しない)を有する。各転向駆動軸は、昇降アクチュエータ31に背向する接続部322の一面と同じ側である各転向アクチュエータ41の一面から突出する。転向駆動軸には、走行機構5の後述する走行アクチュエータ51が接続(固定)される。
【0049】
本実施形態では、各車輪位置調整機構4は、一対の転向アクチュエータ41から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、各車輪52を左右方向に沿ってスライドさせるためのスライド機構から構成されてもよい。
【0050】
走行機構5は、搬送ロボット1を走行させるための機構である。各走行機構5は、前後それぞれ一対の走行アクチュエータ51と、一対の走行アクチュエータ51の駆動によって転動する一対の車輪52と、を備える。
【0051】
一対の走行アクチュエータ51は、一対の車輪52をそれぞれ転動させる駆動部である。各走行アクチュエータ51は、各転向アクチュエータ41の転向駆動軸の軸方向に沿って延在し、各転向駆動軸の軸線回りに旋回可能に各転向アクチュエータ41に設けられる。各走行アクチュエータ51は、各転向アクチュエータ41の駆動によって、各転向駆動軸と一体に回動する。そして、各走行アクチュエータ51は、各車輪52とともに各転向アクチュエータ41の駆動による各転向駆動軸の回動に伴って、各転向駆動軸の軸線回りに転向する。
【0052】
また、各走行アクチュエータ51は、各転向アクチュエータ41の転向駆動軸と直交するとともに時計回り及び反時計回りの両方に回動可能に設けられる転動駆動軸(図示しない)を有する。各転動駆動軸は、各転向アクチュエータ41に対向する各走行アクチュエータ51の基端側とは反対側である先端側に配置される。そして、各転動駆動軸には、各車輪52が接続(固定)される。これにより、車輪52は、走行アクチュエータ51の駆動によって、転動駆動軸と一体に転動することができる。
【0053】
支持機構6は、本体2に設けられる。支持機構6は、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の車輪52が昇降機構3によって各レール111間を昇降可能であるように本体2を一時的に一対のレールに支持する。また、支持機構6は、一対の支持部アクチュエータ61及び一対の支持部62を備える。
【0054】
一対の支持部アクチュエータ61は、一対の支持部62をそれぞれ後述する支持位置と退避位置との間で移動させるための駆動部である。具体的には、一対の支持部アクチュエータ61は、一対の支持部62をそれぞれ旋回させることによって支持位置と退避位置との間で移動させる。一対の支持部アクチュエータ61は、例えば、ねじ締めによって本体2の左右方向の両側に位置するように本体2の載置面21の下方に固定される。これにより、支持部アクチュエータ61と食器Sとが干渉することを回避することができる。
【0055】
各支持部アクチュエータ61は、上下方向に沿って延在するとともに時計回り及び反時計回りの両方に回動可能に設けられる支持部駆動軸を有する。各支持部駆動軸は、各支持部アクチュエータ61の下面から突出する。各支持部駆動軸には、各支持部62が固定される。これにより、各支持部62は、各支持部アクチュエータ61の駆動によって、各支持部駆動軸と一体に各支持部駆動軸の軸線回りに旋回する。
【0056】
各支持部62は、各支持部アクチュエータ61の支持部駆動軸回りに各支持部アクチュエータ61に設けられる。一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置(
図7A及び
図7B参照)と一対のレール111の間に位置する退避位置(
図6A及び
図6B参照)との間を移動(旋回)可能に設けられる。
【0057】
また、一対の支持部62は、平面視にて半円形状に形成される。そして、一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって支持位置に旋回した場合、その半円形状の直線部分が対向し、その半円形状の円弧部分がレール111上に載置される(
図7A及び
図7B参照)。一方、一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって退避位置に旋回した場合、その半円形状の円弧部分が対向する(
図6A及び
図6B参照)。これにより、一対の支持部62が同時に支持位置と退避位置との間を旋回する際に一方の支持部62と他方の支持部62とが干渉することを回避することができる。なお、一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって退避位置に旋回される場合、その少なくとも一部が本体2の下方に収納される。
【0058】
本実施形態では、支持機構6は、一対の支持部アクチュエータ61及び一対の支持部62から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、単一の支持部アクチュエータ及び単一の支持部から構成されてもよい。この場合、単一の支持部アクチュエータは、本体2の左右方向の中央に設けられ、単一の支持部は、上下方向に沿って延在する支持部駆動軸の軸線回りに旋回可能に単一の支持部アクチュエータに設けられる。これにより、支持機構6の構造の簡素化を図ることができるので、この結果、搬送ロボット1の構造の簡素化を図ることができる。
【0059】
本第1変形例では、本実施形態と同様に、単一の支持部は、単一の支持部アクチュエータの駆動によって、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置と一対のレール111の間に位置する退避位置との間を移動(旋回)可能に設けられる。また、単一の支持部は、例えば、長板材に形成される。そして、単一の支持部は、支持位置に旋回した場合、その長手方向の両端が一対のレール111に載置される。一方、単一の支持部は、退避位置に旋回した場合、本体2の下方に収納される。
【0060】
また、本実施形態では、一対の支持部アクチュエータ61は、一対の支持部62をそれぞれ旋回させることによって支持位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。しかしながら、一対の支持部アクチュエータ61は、これに限定されるものではなく、例えば、一対の支持部62を左右方向に沿ってスライドさせることによって持位置と退避位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0061】
以下、
図4から
図13Bを参照しながら本実施形態に係る搬送ロボット1が実行する各動作(すなわち、走行動作、転向動作及び昇降動作)について説明する。
【0062】
(搬送ロボットの走行動作)
まず、
図4を参照しながら搬送ロボット1が実行する走行動作について説明する。
【0063】
図4は、走行動作時において搬送ロボット1がレール111に沿って走行する走行状態を示す斜視図である。なお、
図4において、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111のうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0064】
図4に示すように、走行動作時において、搬送ロボット1は、前後方向に沿って延在する扁平状態となって構造体10のレール111(具体的には、下段レール111C)に沿って走行する。これにより、走行動作時において扁平状態となっていない搬送ロボット1に比べ、食器Sを載置するための載置面21の上方に位置する載置領域を大きく確保することができる。この結果、複数の搬送ロボット1がそれぞれ上下異なるレール111を走行する際に、下段レール111を走行する搬送ロボット1の載置面21に載置される食器Sと上段レール111を走行する搬送ロボット1とが干渉することを回避しやすくなる。
【0065】
この場合、搬送ロボット1は、一対の昇降アクチュエータ31、二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51が同一水平面上に位置するように一対の昇降アクチュエータ31及び二対の転向アクチュエータ41を制御する。また、この場合、一対の揺動部32の接続部322は、それぞれ前方及び後方に臨む。
【0066】
そして、搬送ロボット1は、二対の走行アクチュエータ51を制御し、二対の車輪52をレール111上に転動させることで、前進走行又は後退走行の走行動作を実行する。なお、走行動作時において、走行アクチュエータ51を転向する転向アクチュエータ41の転向駆動軸は、前後方向に沿って延在する。この場合、走行アクチュエータ51は、転向アクチュエータ41の駆動によって、前後方向に沿って延在する転向駆動軸の軸線回りに回動するしかないので、走行動作時において、搬送ロボット1が転向アクチュエータ41の駆動によって転向することはできない。
【0067】
(搬送ロボットの転向動作)
次に、
図5を参照しながら搬送ロボット1が実行する転向動作について説明する。
【0068】
図5は、転向動作時において搬送ロボット1が転向する転向状態を示す斜視図である。
【0069】
転向動作時において、搬送ロボット1は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって走行動作時の扁平状態から立ち上がり、構造体10の転向領域12において走行機構5の向きを転向アクチュエータ41の駆動によって変更することで、転向する。
【0070】
走行動作時から転向動作時に変化する際に、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方に向かって揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。そして、一対の揺動部32は、昇降アクチュエータ31の駆動によって下方に向かって揺動することで、二対の転向アクチュエータ41を介して一対の揺動部32に設けられる二対の走行アクチュエータ51は、水平状態から直立状態に変化する。すなわち、二対の走行アクチュエータ51は、各転向アクチュエータ41の転向駆動軸が上下方向に沿って延在するように変化する。これにより、搬送ロボット1の本体2は、二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51に支持されて二対の車輪52に対し立ち上がる(上昇する)。
【0071】
そして、
図5に示すように、転向動作時において、各転向アクチュエータ41の転向駆動軸は、上下方向に沿って延在するので、各転向駆動軸に接続される各走行アクチュエータ51及び各走行アクチュエータ51に設けられる車輪52の向きを、転向アクチュエータ41の駆動によって変更することで、搬送ロボット1が転向する。
【0072】
(搬送ロボットの昇降動作)
次に、構造体10の昇降領域11において搬送ロボット1が実行する昇降動作について説明する。
【0073】
そして、
図6から
図13Bを参照しながら搬送ロボット1の昇降動作のうちの上昇動作のみについて説明する。また、昇降動作のうちの下降動作については、上昇動作の各ステップのとは真逆であるため、その説明を省略する。
【0074】
図6Aは、上昇動作時において本体2が車輪52に対し上昇して搬送ロボット1が走行状態から転向可能状態に変化することを示す斜視図である。
図6Bは、上昇動作時において本体2が車輪52に対し上昇して搬送ロボット1が走行状態から転向可能状態に変化することを示す正面図である。
図7Aは、上昇動作時において支持部62が退避位置から支持位置に移動して中段レール111Bに載置される支持部支持状態を示す斜視図である。
図7Bは、上昇動作時において支持部62が退避位置から支持位置に移動して中段レール111Bに載置される支持部支持状態を示す正面図である。
図8Aは、上昇動作時において車輪52が走行位置から昇降位置に収納する車輪収納状態を示す斜視図である。
図8Bは、上昇動作時において車輪52が走行位置から昇降位置に収納する車輪収納状態を示す正面図である。
図9は、上昇動作時において車輪52が下段レール111Cに対し上昇する車輪上昇状態その1を示す斜視図である。
図10は、上昇動作時において車輪52が下段レール111Cに対し上昇する車輪上昇状態その2を示す斜視図である。
図11Aは、上昇動作時において車輪52が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す斜視図である。
図11Bは、上昇動作時において車輪52が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す正面図である。
図12Aは、上昇動作時において支持部62が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す斜視図である。
図12Bは、上昇動作時において支持部62が支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す正面図である。
図13Aは、上昇動作時において本体2が車輪52に対し上昇して搬送ロボット1が吊下状態から走行状態に変化することを示す斜視図である。
図13Bは、上昇動作時において本体2が車輪52に対し上昇して搬送ロボット1が吊下状態から走行状態に変化することを示す正面図である。なお、
図6A、
図7A、
図8A、
図9A、
図10A、
図11A、
図12A及び
図13Aにおいて、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111A,111B,111Cのうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0075】
本実施形態では、上述したように、搬送ロボット1が昇降可能な構造体10の昇降領域11において、三対のレール111(上段レール111A,中段レール111B,下段レール111C)は、所定間隔Hを空けて平行に配列される。
【0076】
まず、上昇動作時のステップS1において、昇降領域11における下段レール111Cに載置される搬送ロボット1は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって走行動作時の扁平状態から立ち上がる。具体的には、走行動作時の扁平状態から上昇動作時の転向可能状態に変化する際に、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方に向かって所定の角度(ここでは、90度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。
【0077】
そして、一対の揺動部32は、昇降アクチュエータ31の駆動によって下方に向かって所定の角度を揺動することで、二対の走行アクチュエータ51は、水平状態から直立状態に変化する。
図6A及び
図6Bに示すように、搬送ロボット1の本体2は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動による一対の揺動部32の揺動に伴って二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51に支持されて二対の車輪52に対し立ち上がる(上昇する)。このように、昇降機構3は、上昇動作時(具体的には、二対の車輪52が一対のレール111に載置する時)において本体2を二対の車輪52とは個別に一対のレール111に対し上昇させることができる。
【0078】
走行動作時の扁平状態から上昇動作時の転向可能状態に変化する際に、搬送ロボット1は、二対の車輪52が互いに接近するように二対の走行アクチュエータ51を制御することによって、一対の昇降アクチュエータ31の駆動をアシストしてもよい。
【0079】
また、走行動作時の扁平状態から上昇動作時の転向可能状態に変化する際に、搬送ロボット1の本体2、一対の昇降アクチュエータ31、二対の転向アクチュエータ41、一対の支持部アクチュエータ61及び一対の支持部62は、一対の中段レール111Bの間を通過して上昇する。
【0080】
上昇動作時の転向可能状態において、搬送ロボット1の本体2及び一対の支持部62は、一対の中段レール111Bよりも上方に位置する(
図6B参照)。これにより、一対の支持部62を一対の支持部アクチュエータ61の駆動によってそれぞれ一対の中段レール111Bに載置することができる。
【0081】
次に、上昇動作時のステップS2において、搬送ロボット1は、一対の支持部62が一対のレール111の間に位置する退避位置から上下方向において一対のレール111と重なる支持位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61を制御する。
【0082】
そして、
図7A及び
図7Bに示すように、一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって、退避位置から支持位置に旋回し、それぞれ一対の中段レール111Bに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52に加え、一対の支持部62によって昇降領域11における一対の下段レール111C及び一対の中段レール111Bに支持される。
【0083】
次に、上昇動作時のステップS3において、搬送ロボット1は、二対の車輪52が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置から一対のレール111の間に位置する昇降位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0084】
そして、
図8A及び
図8Bに示すように、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、走行位置から昇降位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52によって支持されなくなり、一対の支持部62のみによって一時的に中段レール111Bに支持される。これにより、二対の車輪52は、所定間隔Hを空けて複数配列される各レール111間を昇降することができる。なお、一対の車輪52が昇降位置に旋回した場合、一対の車輪52は、互いに対向する。
【0085】
次に、上昇動作時のステップS4において、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方から上方に向かって2倍の所定の角度(ここでは、180度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。
【0086】
そして、
図9及び
図10に示すように、一対の揺動部32は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって、二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51とともに、下方から上方に向かって2倍の所定の角度を揺動する。これにより、二対の走行アクチュエータ51に設けられる二対の車輪52は、一対の揺動部32に連動して一対の中段レール111Bの間を通過して一対の上段レール111Aよりも上方に位置するように各レール111間を上昇する。このように、昇降機構3は、上昇動作時(具体的には、本体2が支持機構6によって一時的に一対のレール111に支持される時)において二対の車輪52を本体2とは個別に一対のレール111に対し上昇させることができる。
【0087】
次に、上昇動作時のステップS5において、搬送ロボット1は、二対の車輪52が昇降位置から走行位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0088】
そして、
図11A及び
図11Bに示すように、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、昇降位置から走行位置に旋回し、それぞれ一対の上段レール111Aに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52及び一対の支持部62によって、一対の上段レール111A及び一対の中段レール111Bに支持される。
【0089】
次に、上昇動作時のステップS6において、搬送ロボット1は、一対の支持部62が支持位置から退避位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61を制御する。
【0090】
そして、
図12A及び
図12Bに示すように、一対の支持部62は、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって、支持位置から退避位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、一対の支持部62によって支持されなくなり、二対の車輪52のみによって一対の上段レール111Aに支持される。
【0091】
次に、上昇動作時のステップS7において、搬送ロボット1は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって昇降動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する。具体的には、昇降動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する際に、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方に向かって所定の角度を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。
【0092】
そして、
図13A及び
図13Bに示すように、一対の揺動部32は、昇降アクチュエータ31の駆動によって下方に向かって所定の角度を揺動することで、二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51は、直立状態から水平状態に変化する。
【0093】
上昇動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する際に、搬送ロボット1は、二対の車輪52が互いに離間するように二対の走行アクチュエータ51を制御することによって、一対の昇降アクチュエータ31の駆動をアシストしてもよい。
【0094】
また、上昇動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する際に、搬送ロボット1の本体2、一対の昇降アクチュエータ31、二対の転向アクチュエータ41、一対の支持部アクチュエータ61及び一対の支持部62は、一対の上段レール111Aの間を通過して上昇する。このようにして搬送ロボット1の上昇動作が完了する。
【0095】
なお、上下に配列されるレール111間における「所定間隔H」とは、揺動部32が最も下方の位置に揺動した(ここでは、揺動部32が水平位置から下方に向かって90度を揺動する)際に最も下方に位置する車輪52の位置と、揺動部32が最も上方の位置に揺動した(ここでは、揺動部32が水平位置から上方に向かって90度を揺動する)際に最も上方に位置する車輪52の位置との間隔である。
【0096】
すなわち、上下に配列されるレール111間の間隔は、所定間隔Hよりも大きいとき、揺動部32が最も下方の位置から最も上方の位置に揺動した場合、下段に配列される一対のレール111に載置される二対の車輪52を、上昇させても下段に配列される一対のレール111と隣接して上段に配列される一対のレール111に載置することができない。
【0097】
以上により、構造体10の昇降領域11において搬送ロボット1が一対の下段レール111Cから一対の中段レール111Bを経由して一対の上段レール111Aまでに上昇する上昇動作について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、構造体10の昇降領域11において搬送ロボット1が一対の下段レール111Cから一対の中段レール111Bに上昇する昇降動作を実行してもよい。
【0098】
以下、本実施形態による作用効果について説明する。
【0099】
本実施形態に係る搬送ロボット1は、一対のレール111が所定間隔Hを空けて複数配列される昇降領域11を有する構造体10では、走行動作時において所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111を走行するとともに昇降動作時において所定間隔Hを空けて複数配列される各レール111間を昇降する搬送ロボット1であって、本体2と、一対のレールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪52と、本体2に設けられ、昇降動作時において本体2及び一対の車輪52を個別に一対のレール111に対し昇降させる昇降機構3と、昇降機構3に設けられ、一対の車輪52を上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置と一対のレール111の間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構4と、車輪位置調整機構4に設けられ、一対の車輪52を転動させることによって本体2を走行させる走行アクチュエータ51と、本体2に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の車輪52が昇降機構3によって各レール111間を昇降可能であるように本体2を一時的に一対のレール111に支持する支持機構6と、を備え、昇降動作時において走行位置に調整された一対の車輪52が一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降機構3によって各レール111間を昇降する。
【0100】
本実施形態に係る搬送システム100は、一対のレール111が所定間隔Hを空けて複数配列される昇降領域11を有する構造体10と、構造体10では、走行動作時において所定間隔Hを空けて複数配列されるレール111を走行するとともに、昇降動作時において所定間隔Hを空けて複数配列される各レール111間を昇降する搬送ロボット1と、を備える搬送システム100であって、搬送ロボット1は、本体2と、一対のレールに対しそれぞれ転動可能に設けられる一対の車輪52と、本体2に設けられ、昇降動作時において本体2及び一対の車輪52を個別に一対のレール111に対し昇降させる昇降機構3と、昇降機構3に設けられ、一対の車輪52を上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置と一対のレール111の間に位置する昇降位置との間で調整させる一対の車輪位置調整機構4と、車輪位置調整機構4に設けられ、一対の車輪52を転動させることによって本体2を走行させる走行アクチュエータ51と、本体2に設けられ、昇降動作時において昇降位置に調整された一対の車輪52が昇降機構3によって各レール111間を昇降可能であるように本体2を一時的に一対のレール111に支持する支持機構6と、を有し、昇降動作時において走行位置に調整された一対の車輪52が一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降機構3によって各レール111間を昇降する。
【0101】
これらの構成によれば、昇降動作時において本体2が支持機構6によって一時的に一対のレール111に支持される場合、昇降位置に調整された一対の車輪52は、昇降機構3によって各レール111間を昇降し、昇降動作時において走行位置に調整された一対の車輪52が一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降機構3によって各レール間を昇降するので、搬送ロボット1は、昇降専用機構が設けられていない構造体10における昇降領域11の任意の場所で上下に配列される各レール111間を昇降することができる。また、昇降領域11には、先行技術のような昇降専用機構が設けられていないので、構造体10の構造の簡易化を図ることができる。
【0102】
また、本実施形態では、昇降機構3は、本体2の前後方向の一端及び他端に設けられ、前後方向と直交する左右方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する昇降アクチュエータ31と、揺動駆動軸の軸線回りに揺動可能に昇降アクチュエータ31に設けられる揺動部32と、を有し、昇降動作時において本体2が一時的に支持機構6を介して一対のレール111に支持される場合、昇降位置に調整された一対の車輪52は、昇降アクチュエータ31の駆動によって揺動する揺動部32に連動して各レール111間を昇降する。
【0103】
この構成によれば、昇降アクチュエータ31及び昇降アクチュエータ31に設けられる揺動部32によって昇降機構3を容易に構成することができる。また、昇降位置に調整された一対の車輪52は、昇降アクチュエータ31によって揺動する揺動部32に連動して各レール111間を昇降するので、昇降機構3による一対の車輪52の昇降を容易に実現することができる。
【0104】
また、本実施形態では、昇降動作時において一対の車輪52がそれぞれ一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降アクチュエータ31の駆動による揺動部32の揺動に伴って各レール111間を昇降する。
【0105】
この構成によれば、昇降動作時において一対の車輪52がそれぞれ一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降アクチュエータ31の駆動による揺動部32の揺動に伴って各レール111間を昇降するので、昇降機構3による本体2の昇降を容易に実現することができる。
【0106】
また、本実施形態では、車輪位置調整機構4は、揺動部32の左右両側に設けられ一対の車輪52をそれぞれ転向させる一対の転向アクチュエータ41から構成される。
【0107】
この構成によれば、車輪位置調整機構4を、一対の転向アクチュエータ41によって容易に実現することができる。また、一対の転向アクチュエータ41を車輪位置調整機構4として兼用することによって、車輪52の位置を調整するための専用の調整機構を別途設ける必要がなく、車輪52の位置を容易に調整することができる。この結果、搬送ロボット1の構造の簡素化を図ることができる。
【0108】
また、本実施形態では、走行アクチュエータ51は、転向アクチュエータ41の転向駆動軸の軸線回りに旋回可能に一対の転向アクチュエータ41に設けられる。
【0109】
この構成によれば、走行アクチュエータ51の向きを転向アクチュエータ41の駆動によって容易に変更させるで、搬送ロボット1が転向することができる。
【0110】
また、本実施形態では、支持機構6は、上下方向において一対のレール111と重なる支持位置と一対のレール111の間に位置する退避位置との間を移動可能に設けられる支持部62と、支持部62を支持位置と退避位置との間で移動させる支持部アクチュエータ61と、を有する。
【0111】
この構成によれば、支持部62及び支持部62を移動させる支持部アクチュエータ61によって支持機構6を容易に構成することができる。
【0112】
また、本実施形態では、本体2には、食器Sを載置するための載置面21が設けられ支持部アクチュエータ61は、載置面21の下方に設けられる。
【0113】
この構成によれば、支持部アクチュエータ61を載置面21の下方に設けることで、支持部アクチュエータ61と食器Sとが干渉することを回避することができる。
【0114】
(第1変形例の搬送ロボットの構成)
次に、
図14を参照しながら第1変形例の搬送ロボット1の構成について説明する。なお、本第1変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0115】
図14は、第1変形例の搬送ロボット1を示す斜視図である。
【0116】
上述した実施形態では、各転向アクチュエータ41の転向駆動軸は、揺動部32の揺動アーム321の延在方向に沿って延在するように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図14に示すように、揺動アーム321の延在方向と直交する方向に沿って延在するように設けられてもよい。
【0117】
この場合、走行動作時において各転向アクチュエータ41の転向駆動軸は、上下方向に沿って延在するように設けられる。すなわち、昇降機構3の揺動部32を揺動させることなく、搬送ロボット1を走行動作から転向動作に切り替えることができる。これにより、搬送ロボット1全体の各動作を簡易化にすることができる。
【0118】
また、上述した実施形態では、支持機構6は、上下方向に沿って延在する支持部駆動軸を有する一対の支持部アクチュエータ61と、上下方向に沿って延在する支持部駆動軸の軸線回りに旋回可能に一対の支持部アクチュエータ61に設けられる一対の支持部62とから構成されている。しかしながら、支持機構6は、これに限定されるものではなく、例えば、
図14に示すように、本体2の左右両側に設けられ前後方向に沿って延在する旋回駆動軸を有する一対の支持部アクチュエータ61A(
図15参照)と、旋回駆動軸の軸線回りに旋回可能に一対の支持部アクチュエータ61に設けられる一対の支持部62Aから構成されてもよい。
【0119】
この場合、各支持部62Aを、平面視にて半円形状ではなく、前後方向に沿って延在する矩形状にすることができる。これにより、本体2が一対の支持部62Aによって一時的に一対のレール111に支持される場合、上述した実施形態に比べ、一対の支持部62Aと一対のレール111とが接触する接触面積を増大することができるので、支持の安定性を向上させることができる。
【0120】
(第1変形例の搬送ロボットの走行動作及び転向動作)
第1変形例の搬送ロボット1が実行する走行動作及び転向動作については、上述した実施形態と概ね同様であるため、その説明を省略する。
【0121】
(第1変形例の搬送ロボットの昇降動作)
次に、構造体10の昇降領域11において第1変形例の搬送ロボット1が実行する昇降動作について説明する。
【0122】
図15から
図20を参照しながら第1変形例の搬送ロボット1が実行する昇降動作のうちの上昇動作のみについて説明する。また、昇降動作のうちの下降動作については、上昇動作の各ステップのとは真逆であるため、その説明を省略する。
【0123】
図15は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の支持部62Aが退避位置から支持位置に移動して下段レールに載置される支持部支持状態を示す斜視図である。
図16は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の車輪52が走行位置から昇降位置に収納する収納状態を示す斜視図である。
図17は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の車輪52が第1変形例の搬送ロボット1の本体2に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。
図18Aは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の車輪52が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す斜視図である。
図18Bは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の車輪52が昇降位置から走行位置に展開する車輪展開状態を示す正面図である。
図19Aは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の支持部62Aが支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す斜視図である。
図19Bは、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の支持部62Aが支持位置から退避位置に移動する支持部退避状態を示す正面図である。
図20は、昇降動作時において第1変形例の搬送ロボット1の本体2が第1変形例の搬送ロボット1の車輪52に対し上昇する本体上昇状態を示す斜視図である。
【0124】
上述した実施形態では、搬送ロボット1が昇降可能な構造体10の昇降領域11において、レール111は、所定間隔Hを均等に空けて三対配列されているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図15から
図20に示すように、二対(上段レール111D,下段レール111E)配列されてもよい。この場合、昇降領域11には、上述した実施形態の中段レール111Bが設けられていない。すなわち、中段レール111Bを用いることなく、搬送ロボット1を下段レール111Eから上段レール111Dに上昇させることができる。なお、
図15、
図16、
図17、
図18A、
図19A及び
図20において、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111D,111Eのうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0125】
まず、上昇動作時のステップS1Aにおいて、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aが一対のレール111の間に位置する退避位置から上下方向において一対のレール111と重なる支持位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61Aを制御する。
【0126】
そして、
図15に示すように、一対の支持部62Aは、一対の支持部アクチュエータ61の駆動によって、
図15の矢印Rに示すように退避位置から支持位置に旋回し、それぞれ一対の下段レール111Eに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52に加え、一対の支持部62Aによって昇降領域11における一対の下段レール111Eに支持される。
【0127】
次に、上昇動作時のステップS2Aにおいて、搬送ロボット1は、二対の車輪52が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置から一対のレール111の間に位置する昇降位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0128】
そして、
図16に示すように、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、走行位置から昇降位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52によって支持されなくなり、一対の支持部62Aのみによって一時的に下段レール111Eに支持される。これにより、二対の車輪52は、レール111間を昇降することができる。なお、一対の車輪52が昇降位置に旋回した場合、一対の車輪52は、互いに対向する。
【0129】
次に、上昇動作時のステップS3Aにおいて、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方から上方に向かって2倍の所定の角度(ここでは、180度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。
【0130】
そして、
図17に示すように、一対の揺動部32は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって、二対の転向アクチュエータ41及び二対の走行アクチュエータ51とともに、下方から上方に向かって2倍の所定の角度を揺動する。これにより、二対の走行アクチュエータ51に設けられる二対の車輪52は、一対の揺動部32に連動して一対の上段レール111Dよりも上方に位置するように各レール111間を上昇する。このように、昇降機構3は、上昇動作時(具体的には、本体2が支持機構6によって一時的に一対のレール111に支持される時)において二対の車輪52を本体2とは個別に一対のレール111に対し上昇させることができる。
【0131】
次に、上昇動作時のステップS4Aにおいて、搬送ロボット1は、二対の車輪52が昇降位置から走行位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0132】
そして、
図18A及び
図18Bに示すように、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、昇降位置から走行位置に旋回し、それぞれ一対の上段レール111Dに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52及び一対の支持部62によって、一対の上段レール111D及び一対の下段レール111Eに支持される。
【0133】
次に、上昇動作時のステップS5Aにおいて、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aが支持位置から退避位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61Aを制御する。
【0134】
そして、
図19A及び
図19Bに示すように、一対の支持部62Aは、一対の支持部アクチュエータ61Aの駆動によって、支持位置から退避位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aによって支持されなくなり、二対の車輪52のみによって一対の上段レール111Dに支持される。
【0135】
次に、上昇動作時のステップS6Aにおいて、搬送ロボット1は、一対の昇降アクチュエータ31の駆動によって昇降動作時の吊下状態から走行動作時(又は転向状態)に変化する。具体的には、昇降動作時の吊下状態から走行動作時(又は転向状態)に変化する際に、搬送ロボット1は、一対の揺動部32が下方に向かって2倍の所定の角度(ここでは、180度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31を制御する。
【0136】
そして、
図20に示すように、一対の揺動部32は、昇降アクチュエータ31の駆動によって下方に向かって2倍の所定の角度(ここでは、180度)を揺動することで、上昇動作時の吊下状態から走行動作時に変化し、搬送ロボット1の本体2、一対の昇降アクチュエータ31、二対の転向アクチュエータ41、二対の走行アクチュエータ51、一対の支持部アクチュエータ61A及び一対の支持部62Aは、一対の上段レール111Dの間を通過して上昇する。このようにして搬送ロボット1の上昇動作が完了する。
【0137】
本第1変形例では、上昇動作は、上述した実施形態の上昇動作に含まれるステップS1を含んでいないから、上昇動作の手順の簡易化を図ることができるので、昇降動作の手順の簡易化を図ることができる。
【0138】
(第2変形例の搬送ロボットの構成)
次に、
図21を参照しながら第2変形例の搬送ロボット1の構成について説明する。なお、本第2変形例では、上述した変形例1と同様の点については説明を省略し、主に上述した第1実施例と相違する点について説明する。
【0139】
図21は、第2変形例の搬送ロボット1を示す斜視図である。なお、
図21において、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111A,111B,111Cのうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0140】
上述した第1変形例では、本体2は、前後方向に沿って延在する矩形状のベース部材から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、平面視にて十字架型のベース部材(
図25参照)から構成されてもよい。この場合、矩形状のベース部材に比べ、本体2の軽量化を図ることができる。
【0141】
また、上述した第1変形例では、各昇降機構3は、前後方向と直交する左右方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する昇降アクチュエータ31と、揺動駆動軸の軸回りに揺動可能に昇降アクチュエータ31に設けられる揺動部32とから構成されている。しかしながら、昇降機構3は、これに限定されるものではなく、例えば、
図21に示すように、本体2の前後方向の一端又は他端に設けられ前後方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する一対の昇降アクチュエータ31Aと、昇降駆動軸の軸線回りに揺動可能に一対の昇降アクチュエータ31Aに設けられるリンク構造としての縦リンク構造33とから構成されてもよい。この場合、一対の昇降アクチュエータ31Aは、縦リンク構造33を揺動させるための駆動部である。
【0142】
縦リンク構造33は、パンタグラフ形状に形成される(
図21から
図25参照)。また、縦リンク構造33は、一端がそれぞれ一対の昇降アクチュエータ31Aの揺動駆動軸にヒンジ接続される一対の長尺状の上リンク331と、一端がそれぞれ一対の上リンク331の他端にヒンジ接続される一対の長尺状の下リンク332と、中央が一対の下リンク332の他端にヒンジ接続されるとともに左右方向(水平方向)に沿って延在する長尺状の水平部333と、を有する。
【0143】
図21に示すように、水平部333の両端(具体的には、左右両端)には、車輪位置調整機構4としての一対の転向アクチュエータ41が設けられる。走行機構5の各走行アクチュエータ51は、上述した実施形態及び第1変形例と同様に、転向アクチュエータ41の転向駆動軸の軸線回りに旋回可能に各転向アクチュエータ41に設けられる。
【0144】
パンタグラフ形状の縦リンク構造33は、昇降アクチュエータ31Aの駆動によって上下方向に沿って伸縮する。具体的には、縦リンク構造33は、上リンク331が各昇降アクチュエータ31Aの駆動によって、各揺動駆動軸と一体に回動し、下リンク332が上リンク331の回動に連動して、水平部333を各レール111間に昇降させるように構成される(
図21から
図24参照)。これにより、水平部333に設けられる転向アクチュエータ41及び転向アクチュエータ41に設けられる走行アクチュエータ51が各レール111間を昇降することができる。この結果、走行アクチュエータ51に設けられる車輪52が各レール111間を昇降することができる。
【0145】
上リンク331は、前後方向に沿って、下リンク332と昇降アクチュエータ31Aとの間に配置されるとともに、下リンク332は、前後方向に沿って、水平部333と上リンク331との間に配置される。これにより、各上リンク331が各昇降アクチュエータ31Aの駆動によって揺動しても、各下リンク332は、各昇降アクチュエータ31Aと干渉しない。この結果、各上リンク331は、各昇降アクチュエータ31Aの駆動によって、各揺動駆動軸の軸線回りに上下に亘り所定範囲の角度(ここでは、180度)を揺動する。
【0146】
上述した第1変形例では、搬送ロボット1は、載置面21が設けられる本体2を備えているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図21に示すように、本体2に加え、載置部7と、本体2に設けられ載置部7を一対のレール111の間に位置する搬送位置と一対のレール111よりも外側に位置する受領位置との間を移送させる移送機構8(
図25参照)と、を備えてもよい。この場合、本体2には、載置面21が設けられていない。なお、「受領位置」とは、食器S(
図1参照)を受け取るための位置である。
【0147】
載置部7は、平面視にて矩形状の板材に形成される。載置部7は、載置面21と同様に、食器Sを載置するための部材である。
【0148】
移送機構8は、本体2の中央に設けられ上下方向に沿って延在する移送回転軸を有する一対の移送アクチュエータ81と、移送駆動軸の軸線回りに揺動可能に一対の移送アクチュエータ381に設けられるパンタグラフ形状の水平リンク構造82と、を有する。なお、水平リンク構造82の構成は、縦リンク構造33と同様であるため、その説明を省略する。
【0149】
水平リンク構造82は、移送アクチュエータ81の駆動によって左右方向(水平方向)に沿って伸縮する。これにより、水平リンク構造82に接続される載置部7を一対のレール111よりも左右両側に位置する受領位置に移送させることができる。この結果、受領位置の多様化を図ることができる。
【0150】
本変形例では、移送機構8は、一対の移送アクチュエータ81及び水平リンク構造82から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、単一の移送アクチュエータ81と、一端が移送アクチュエータの移送駆動軸にヒンジ接続されるとともに他端が載置部7に固定される揺動アームとから構成されてもよい。
【0151】
(第2変形例の搬送ロボットの走行動作)
第2変形例の搬送ロボット1が実行する走行動作については、上述した実施形態と概ね同様であるため、その説明を省略する。
【0152】
(第2変形例の搬送ロボットの昇降動作)
次に、構造体10の昇降領域11において第2変形例の搬送ロボット1が実行する昇降動作について説明する。
【0153】
図21から
図24を参照しながら第2変形例の搬送ロボット1が実行する昇降動作のうちの上昇動作のみについて説明する。また、昇降動作のうちの下降動作については、上昇動作の各ステップのとは真逆であるため、その説明を省略する。
【0154】
図22は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボット1の本体2が昇降機構3の縦リンク構造33の伸びによって車輪52に対し上昇する本体上昇状態を示す斜視図である。
図23は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボット1の本体2が支持部62Aによって支持され、走行位置から昇降位置に収納された車輪52が本体2に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。
図24は、昇降動作時において第2変形例の搬送ロボット1の車輪52が昇降位置から走行位置に展開され、本体2が昇降機構3の縦リンク構造33の縮みによって車輪52に対し上昇する車輪上昇状態を示す斜視図である。なお、
図22から
図24において、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111A,111B,111Cのうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0155】
まず、上昇動作時のステップS1Bにおいて、昇降領域11における下段レール111Cに載置される搬送ロボット1は、昇降アクチュエータ31の駆動によって走行動作の扁平状態から立ち上がる。具体的には、走行動作時の扁平状態(
図21に示す状態)から上昇動作時の本体上昇状態(
図22に示す状態)に変化する際に、搬送ロボット1は、縦リンク構造33の一対の上リンク331が水平状態から下方に向かって所定の角度(ここでは、90度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31Aを制御する。
【0156】
なお、
図21に示すように、走行動作時の扁平状態において、搬送ロボット1の縦リンク構造33は、折り畳んでいる。すなわち、縦リンク構造33は、走行動作時の扁平状態において、上リンク331、下リンク332及び水平部333が正面視(又は背面視)にてそれぞれ重なるように構成される。
【0157】
そして、一対の車輪52がそれぞれ一対の下段レール111Cに載置する場合、一対の上リンク331が昇降アクチュエータ31Aの駆動によって水平状態から下方に向かって揺動すると、縦リンク構造33全体は、上下方向に沿って伸びる(展開する/
図22参照)。この結果、搬送ロボット1の本体2は、中段レール111Bの間を通過して上昇する。
【0158】
また、走行動作時の扁平状態から上昇動作時の本体上昇状態に変化する際に、本体2に加え、搬送ロボット1の二対の昇降アクチュエータ31A、一対の支持部アクチュエータ61A、一対の支持部62A、載置部7及び移送機構8も、一対の中段レール111Bの間を通過して上昇する。
【0159】
次に、上昇動作時のステップS2Bにおいて、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aが一対のレール111の間に位置する退避位置から上下方向において一対のレール111と重なる支持位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61Aを制御する。
【0160】
そして、
図23に示すように、一対の支持部62Aは、一対の支持部アクチュエータ61Aの駆動によって、退避位置から支持位置に旋回し、それぞれ一対の中段レール111Bに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52に加え、一対の支持部62Aによって昇降領域11における一対の下段レール111C及び一対の中段レール111Bに支持される。
【0161】
次に、上昇動作時のステップS3Bにおいて、搬送ロボット1は、二対の車輪52が上下方向においてそれぞれ一対のレール111と重なる走行位置から一対のレール111の間に位置する昇降位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0162】
そして、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、走行位置から昇降位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52によって支持されなくなり、一対の支持部62Aのみによって一時的に中段レール111Bに支持される。これにより、二対の車輪52は、所定間隔Hを空けて複数配列される各レール111間を昇降することができる。
【0163】
次に、上昇動作時のステップS4Bにおいて、搬送ロボット1は、各縦リンク構造33の一対の上リンク331が下方から上方に向かって2倍の所定の角度(ここでは、180度)を揺動するように一対の昇降アクチュエータ31Aを制御する。
【0164】
そして、各縦リンク構造33の一対の上リンク331は、一対の昇降アクチュエータ31Aの駆動によって、一対の転向アクチュエータ41及び一対の走行アクチュエータ51とともに、下方から上方に向かって2倍の所定の角度を揺動する。この際に、縦リンク構造33は、伸びた状態(展開状態)から縮んだ状態(折り畳み状態)に変化した後、縮んだ状態(折り畳み状態)から伸びた状態(展開状態)に変化するように水平部333を上昇させる。これにより、一対の走行アクチュエータ51に設けられる一対の車輪52は、縦リンク構造33の伸縮に連動して一対の中段レール111Bの間を通過して一対の上段レール111Aよりも上方に位置するように各レール111間を上昇する。このように、昇降機構3は、上昇動作時(具体的には、本体2が支持機構6によって一時的に一対のレール111に支持される時)において一対の車輪52を本体2とは個別に一対のレール111に対し上昇させることができる。
【0165】
次に、上昇動作時のステップS5Bにおいて、搬送ロボット1は、二対の車輪52が昇降位置から走行位置に旋回するように二対の転向アクチュエータ41を制御する。
【0166】
そして、
図23に示すように、二対の車輪52は、二対の転向アクチュエータ41の駆動によって、昇降位置から走行位置に旋回し、それぞれ一対の上段レール111Aに載置される。この場合、搬送ロボット1は、二対の車輪52及び一対の支持部62Aによって、一対の上段レール111A及び一対の中段レール111Bに支持される。
【0167】
次に、上昇動作時のステップS6Bにおいて、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aが支持位置から退避位置に旋回するように一対の支持部アクチュエータ61を制御する。
【0168】
そして、一対の支持部62Aは、一対の支持部アクチュエータ61Aの駆動によって、支持位置から退避位置に旋回する。この場合、搬送ロボット1は、一対の支持部62Aによって支持されなくなり、二対の車輪52のみによって一対の上段レール111Aに支持される。
【0169】
次に、上昇動作時のステップS7Bにおいて、搬送ロボット1は、昇降アクチュエータ31Aの駆動によって昇降動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する。具体的には、昇降動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する際に、搬送ロボット1は、縦リンク構造33の上リンク331が下方に向かって所定の角度を揺動するように昇降アクチュエータ31Aを制御する。
【0170】
そして、
図24に示すように、縦リンク構造33の上リンク331は、昇降アクチュエータ31Aの駆動によって下方に向かって所定の角度を揺動することで、縦リンク構造33全体が縮む(折り畳む)。この結果、搬送ロボット1は、上昇状態時の吊下状態(
図23に示す状態)から走行動作時の扁平状態(
図24に示す状態)に変化する。
【0171】
また、上昇動作時の吊下状態から走行動作時の扁平状態に変化する際に、搬送ロボット1の本体2、二対の昇降アクチュエータ31A、二対の転向アクチュエータ41、一対の支持部アクチュエータ61及び一対の支持部62は、一対の上段レール111Aの間を通過して上昇する。このようにして搬送ロボット1の上昇動作が完了する。
【0172】
なお、上下に配列されるレール111間における「所定間隔H」とは、縦リンク構造33の上リンク331が最も下方の位置に揺動した(ここでは、上リンク331が水平位置から下方に向かって90度を揺動する)際に最も下方に位置する車輪52の位置と、上リンク331が最も上方の位置に揺動した(ここでは、上リンク331が水平位置から上方に向かって90度を揺動する)際に最も上方に位置する車輪52の位置との間隔である。
【0173】
すなわち、上下に配列されるレール111間の間隔は、所定間隔Hよりも大きいとき、上リンク331が最も下方の位置から最も上方の位置に揺動した場合、下段に配列される一対のレール111に載置される二対の車輪52を、上昇させても下段に配列される一対のレール111と隣接して上段に配列される一対のレール111に載置することができない。
【0174】
以上により、構造体10の昇降領域11において第2変形例の搬送ロボット1が一対の下段レール111Cから一対の中段レール111Bを経由して一対の上段レール111Aまでに上昇する上昇動作について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、構造体10の昇降領域11において搬送ロボット1が一対の下段レール111Cから一対の中段レール111Bに上昇する昇降動作を実行してもよい。
【0175】
(第2変形例の搬送ロボットの載置部の移送動作)
次に、
図25を参照しながら第2変形例の搬送ロボット1が実行する載置部移送動作(以下、単に載置部移送動作と称する。)について説明する。
【0176】
図25は、第2変形例の搬送ロボット1の載置部7が移送機構8によって搬送位置から受領位置に移送される移送状態を示す斜視図である。なお、
図25において、搬送ロボット1が視認しやすいように複数対のレール111A,111B,111Cのうちの手前側に配列される複数のレールを省略している。
【0177】
図25に示すように、載置部移送動作において、水平リンク構造82は、移送アクチュエータ81の駆動によって左方向(水平方向)に沿って伸びる(展開する)ことによって、水平リンク構造82に接続される載置部7は、一対のレール111よりも左側に位置する受領位置に移送される。
【0178】
次に、本第2変形例による作用効果について説明する。
【0179】
本第2変形例では、昇降機構3は、本体2の前後方向の両端に設けられ、前後方向に沿って延在する揺動駆動軸を有する昇降アクチュエータ31Aと、揺動駆動軸の軸線回りに揺動可能に昇降アクチュエータ31Aに設けられる縦リンク構造33と、を有し、昇降動作時において本体2が一時的に支持機構6を介して一対のレール111に支持される場合、昇降位置に調整された一対の車輪52は、昇降アクチュエータ31Aの駆動によって伸縮する縦リンク構造33に連動して各レール111間を昇降する。
【0180】
この構成によれば、昇降アクチュエータ31A及び昇降アクチュエータ31Aに設けられる縦リンク構造33によって昇降機構3を容易に構成することができる。また、昇降位置に調整された一対の車輪52は、昇降アクチュエータ31Aによって伸縮する縦リンク構造33に連動して各レール111間を昇降するので、昇降機構3による一対の車輪52の昇降を容易に実現することができる。
【0181】
さらに、昇降アクチュエータ31Aは、その揺動駆動軸が前後方向に沿って延在するように設けられるので、昇降動作時において縦リンク構造33全体が上下方向に沿って伸縮するものの、搬送ロボット1の一部が前後方向に突出するようなことはない。このため、上述した実施形態の搬送ロボット1に比べ、搬送ロボット1の前後方向における小型化を図ることができる。
【0182】
また、本第2変形例では、昇降動作時において一対の車輪52がそれぞれ一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降アクチュエータ31Aの駆動による縦リンク構造33の伸縮に伴って各レール111間を昇降する。
【0183】
この構成によれば、昇降動作時において一対の車輪52がそれぞれ一対のレール111に載置する場合、本体2は、昇降アクチュエータ31Aの駆動による縦リンク構造33の伸縮に伴って各レール111間を昇降するので、昇降機構3による本体2の昇降を容易に実現することができる。
【0184】
また、本第2変形例では、搬送ロボット1は、載置部7と、本体2に設けられ、載置部7を一対のレール111の間に位置する搬送位置と一対のレール111よりも外側に位置する受領位置との間を移送させる移送機構8と、をさらに備える。
【0185】
この構成によれば、構造体10に転向領域を特段に設けることなく、搬送ロボット1がレール111上に位置するままで載置部7を移送機構8によって受領位置に移送させることができるので、被搬送物の受け取りが容易となる。
【0186】
以上、本実施形態及び各変形例について説明したが、上記実施形態及び各変形例は、本発明の適用例を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0187】
1 搬送ロボット
2 本体
3 昇降機構
4 車輪位置調整機構
5 走行機構
6 支持機構
10 構造体
11 昇降領域
12 転向領域
31 アクチュエータ
32 揺動部
41 転向アクチュエータ
51 走行アクチュエータ
52 車輪
61 支持部アクチュエータ
62 支持部
100 搬送システム
111 レール