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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060888
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】画像形成装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20220408BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220408BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/04 101
H04N1/00 Z
G06T1/00 430G
H04N1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168641
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】岡田 祐樹
【テーマコード(参考)】
5B047
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5B047BB04
5B047BC12
5B047CB04
5B047DC09
5C062AA05
5C062AB09
5C062AB22
5C062AB33
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC64
5C062AC66
5C072BA04
5C072CA05
5C072CA09
5C072CA12
5C072CA14
5C072DA02
5C072DA10
5C072EA08
5C072FA05
5C072NA01
5C072RA04
5C072UA17
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】2つの光源を使用して、搬送中の記録媒体の端部を検出するとともに記録媒体の移動量を判定することも可能にする。
【解決手段】LED302(LED1)及びLED303(LED2)は、それぞれ異なる方向から撮像領域Arに照射される光を出力する。端部検出部215は、LED1を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の先端を検出する。移動量判定部213は、記録媒体の先端の検出後に、LED1の光量とLED2の光量との比率を変化させながらLED1とLED2とを交互に使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の移動量を判定する。端部検出部215は、記録媒体の移動量の判定後に、LED2を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の後端を検出する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の搬送路上の撮像領域を撮像して撮像画像を取得する撮像手段と、
それぞれ異なる方向から前記撮像領域に照射される光を出力する第1及び第2光源と、
前記第1光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の先端を検出する第1検出手段と、
前記記録媒体の先端の検出後に、前記第1光源の光量と前記第2光源の光量との比率を変化させながら前記第1光源と前記第2光源とを交互に使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の移動量を判定する判定手段と、
前記記録媒体の移動量の判定後に、前記第2光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の後端を検出する第2検出手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1光源を使用して得られた第1撮像画像と、使用する光源を前記第1光源から前記第2光源に切り替えて得られた第2撮像画像とを合成して合成撮像画像を取得し、当該合成撮像画像に基づいて前記移動量を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第1光源と前記第2光源との切り替えの1周期ごとに取得される合成撮像画像から所定サイズの特異点パターンを検出し、検出した特異点パターンの前記撮像領域内の位置の変化量を、前記移動量として判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記合成撮像画像内で、前回取得された合成撮像画像から検出された特異点パターンとの差分が最小となるパターンを検出し、検出したパターンを特異点パターンとして使用して前記移動量を判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1光源及び前記第2光源を制御する制御手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記第1検出手段による先端検出が行われる間に、前記第1光源をオンにし、前記第2光源をオフにし、
前記判定手段による判定が行われる間に、前記比率を変化させながら前記第1光源と前記第2光源とを交互にオンにし、
前記第2検出手段による後端検出が行われる間に、前記第1光源をオフにし、前記第2光源をオンにする
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判定手段による判定が行われる間に、前記第1光源と前記第2光源との切り替えの1周期ごとに前記比率を変化させる
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記判定手段による判定が行われる間に、前記第1光源の光量を減少させる一方で前記第2光源の光量を増加させるように前記比率を変化させる
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記判定手段による判定が行われる間に、前記第1光源がオンで前記第2光源がオフの状態から、前記第1光源がオフで前記第2光源がオンの状態まで段階的に切り替えるように、前記比率を変化させる
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第2検出手段による後端検出の開始前に前記第1光源の光量が0になるように、前記比率を変化させる
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1光源は、前記記録媒体の搬送方向における下流側から前記撮像領域に対して照射される光を出力する光源であり、
前記第2光源は、前記記録媒体の搬送方向における上流側から前記撮像領域に対して照射される光を出力する光源である
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送路上の撮像領域を撮像して撮像画像を取得する撮像手段と、それぞれ異なる方向から前記撮像領域に照射される光を出力する第1及び第2光源と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記第1光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の先端を検出する第1検出工程と、
前記記録媒体の先端の検出後に、前記第1光源の光量と前記第2光源の光量との比率を変化させながら前記第1光源と前記第2光源とを交互に使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の移動量を判定する判定工程と、
前記記録媒体の移動量の判定後に、前記第2光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の後端を検出する第2検出工程と、
を含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において記録媒体の端部を検出する技術として、特許文献1に記載のように、イメージセンサの読取位置に対して2方向から光を照射し、イメージセンサによる撮像画像に基づいて記録媒体の端部を検出する技術が知られている。また、搬送される記録媒体の移動量を、イメージセンサを用いて検出し、検出結果に基づいて記録媒体への画像形成を制御する技術が知られている。例えば特許文献2では、イメージセンサによる撮像画像から記録媒体の表面の凹凸を特徴点として検出し、複数回の撮像により得られた撮像画像における特徴点の移動量を、記録媒体の移動量として検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-244403号公報
【特許文献2】特開2018-089805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、搬送中の記録媒体の先端及び後端を検出する場合、記録媒体の搬送中に、イメージセンサが使用する光源を、それぞれ異なる2方向から光を記録媒体に照射する2つの光源間で切り替えることで、光の照射方向を切り替える。一方で、搬送中の記録媒体の移動量を検出(判定)するには、記録媒体の搬送中に、光の照射方向を切り替えずに一定の方向から記録媒体に光を照射し続けることが求められる。しかし、同じ光源を使用してこれらを両立できることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、2つの光源を使用して、搬送中の記録媒体の端部を検出するとともに記録媒体の移動量を判定することも可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送路上の撮像領域を撮像して撮像画像を取得する撮像手段と、それぞれ異なる方向から前記撮像領域に照射される光を出力する第1及び第2光源と、前記第1光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の先端を検出する第1検出手段と、前記記録媒体の先端の検出後に、前記第1光源の光量と前記第2光源の光量との比率を変化させながら前記第1光源と前記第2光源とを交互に使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の移動量を判定する判定手段と、前記記録媒体の移動量の判定後に、前記第2光源を使用して前記撮像手段によって得られた撮像画像に基づいて、前記記録媒体の後端を検出する第2検出手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの光源を使用して、搬送中の記録媒体の端部を検出するとともに記録媒体の移動量を判定することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プリンタの構成例を示す断面図
図2】プリンタの制御ユニットの構成例を示すブロック図
図3A】イメージセンサの構成例を示す断面図
図3B】イメージセンサによる撮像領域及び取得される撮像データの例を示す図
図4】画像形成処理の手順を示すフローチャート
図5】記録媒体の移動量判定処理(S407)の手順を示すフローチャート
図6A】撮像データから取得される特異点パターンの例を示す図
図6B】撮像データから取得される特異点パターンの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<プリンタ>
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の一例であるプリンタ10の概略的なハードウェア構成例を示す断面図である。本実施形態では、プリンタ10において画像が形成される記録媒体の一例として、ロール状のロールシートPを用いているが、これに限らず、例えば所定のサイズにカット済みのカットシート等の、他の形態の記録媒体が用いられてもよい。また、本実施形態のプリンタ10を、シート以外の記録媒体に画像を形成する画像形成装置として構成することも可能である。
【0011】
図1に示すように、プリンタ10は、ロールシートPがロール状に巻かれているロール101と、ロールシートPを搬送する搬送ユニット110と、ロールシートPに画像を形成する記録ユニット130とを備える。ロールシートPは、搬送ユニット110によって搬送路に沿って記録位置Prへ搬送される。記録ユニット130は、記録位置Prにおいて、ロールシートPに、インクジェット記録方式により画像を形成(記録)することにより当該画像をロールシートPに印刷する。プリンタ10は、例えば、ホストPC20(図2)等の外部装置から受信した画像データに基づいて、記録ユニット130による画像形成(印刷)を行う。
【0012】
搬送ユニット110は、搬送ベルト111、従動ローラ112、搬送ローラ116、及び従動ローラ117を含む。搬送ベルト111は、搬送ローラ116及び従動ローラ117等に巻き掛けられている。駆動モータが駆動されることにより搬送ローラ116が回転し、搬送ローラ116が回転することにより搬送ベルト111が回転する。搬送ユニット110において、搬送ベルト111は、ロール101から引き出されるロールシートPを当該搬送ベルト111と従動ローラ112との間に挟み込んで回転する。これにより、搬送ベルト111は、ロールシートPを、プラテン115上の記録ヘッド131による記録位置Prに向けて搬送する。
【0013】
プリンタ10は、搬送ベルト111の搬送面に対向する位置にイメージセンサ121を備える。イメージセンサ121は、搬送ベルト111上のロールシートPの移動量の判定と、搬送方向におけるロールシートPの先端及び後端の検出とに用いられる。
【0014】
本実施形態では、ロールシートPが、台紙(搬送部材)の上面側に、画像形成対象のラベルが剥離可能に貼付されているラベルシートである場合を想定する。ラベルシートには、当該ラベルシートの搬送方向に沿って、ある一定の間隔でラベルが連続的に貼付されている。この場合、イメージセンサ121は、台紙上のラベルについての移動量の判定及び端部(先端及び後端)の検出に用いられる。
【0015】
記録ユニット130は、それぞれ異なる色に対応する複数の記録ヘッド131を備える。複数の記録ヘッド131は、上下動が可能なキャリッジ135に収納されている。本実施形態では、複数の記録ヘッド131として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の記録材にそれぞれ対応する4つの記録ヘッド131(131Y,131M,131C,131K)を備える。
【0016】
記録ヘッド131は、記録材としてインクを使用するインクジェット方式で画像を形成(記録)する。記録ヘッド131は、ヒータ駆動によりノズルからインク滴を吐出するサーマル方式に対応している。なお、記録ヘッド131は、サーマル方式以外の方式(例えば、圧電素子(ピエゾ素子)によりノズルからインク滴を吐出するピエゾ方式)を採用していてもよい。プラテン115上の記録位置Prに搬送されたロールシートPに記録ヘッド131のノズル形成面131aが近接して対向した状態で、対応する色のインク滴が記録ヘッド131のノズルからロールシートPへ吐出される。記録ヘッド131は、画像データに基づく駆動信号で駆動されることでインク滴をノズルから吐出する。これにより、記録位置PrにおいてロールシートPに画像が形成される。
【0017】
図1に示すように、それぞれ異なる色に対応する4つの記録ヘッド131は、ロールシートPの搬送方向Fに沿って配列されている。各記録ヘッド131は、ロールシートPの搬送方向Fと直交する方向(幅方向)に沿って、ロールシートPの幅と同等の長さにわたって複数のノズルが一列に配置された、フルラインヘッドとして構成されている。即ち、各記録ヘッド131は、搬送されるロールシートPの幅方向の領域全体を画像形成領域としてカバーしている。記録ユニット130は、制御ユニット150(図2)から出力される駆動信号に従って、4つの記録ヘッド131のそれぞれから各色のインクを選択的に吐出させることによって、ロールシートPの表面にモノクロ画像又はフルカラー画像を形成する。
【0018】
<制御ユニット>
図2は、プリンタ10が備える制御ユニット150の構成例を示すブロック図である。制御ユニット150は、CPU201、ROM202、ワークRAM203、及びイメージRAM204を備え、これらのデバイスは互いに通信可能に接続された状態でメイン制御基板(図示せず)上に形成されている。制御ユニット150は、FPGA(field-programmable gate array)205を更に備える。
【0019】
FPGA205は、CPU201、ROM202、及びイメージRAM204と接続されている。FPGA205は更に、記録ヘッド131、搬送ローラ116(の駆動モータ)、及びイメージセンサ121等の各種デバイスと接続されている。これらのデバイス及びイメージRAM204は、FPGA205を介してCPU201と接続されている。また、FPGA205は、搬送ユニット110及び記録ユニット130内の各センサの出力を示す情報を取得できるように各センサと接続されている。
【0020】
CPU201は、ROM202に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、プリンタ10内の各デバイスの動作を制御することで、プリンタ10の動作を制御する。ROM202は、CPU201及びFPGA205と接続されており、CPU201によって実行される各種プログラム、及びCPU201及びFPGA205によって使用される各データが格納される。ROM202には、例えば、プリンタ10内の各デバイスの動作に関連する履歴情報が格納されてもよい。ワークRAM203は、CPU201によるワークエリアとして使用され、例えば、ホストPC20から受信した画像データ及びコマンド等のデータが一時的に格納される。
【0021】
CPU201は、LAN等のネットワークを介してホストPC20と通信可能である。CPU201は、ホストPC20から各種指示情報(例えば設定情報)、及び印刷対象の画像の画像データを受信可能であり、ホストPC20から受信したデータをワークRAM203に一時的に格納して使用する。CPU201は、ワークRAM203に格納された画像データに基づいて記録ユニット130(記録ヘッド131)により記録媒体(ロールシートP)に画像を形成させる画像形成処理を行う。
【0022】
CPU201は、FPGA205を介して搬送ユニット110(搬送ローラ116等)及び記録ユニット130(記録ヘッド131等)を制御することにより、画像形成処理を実現する。FPGA205は、CPU201による制御下で、搬送ユニット110及び記録ユニット130の駆動制御を行う。図2に示すように、FPGA205は、画像処理部209、発光制御部210、記録ヘッド駆動部211、搬送ローラ駆動部212、移動量判定部213、RAM214、端部検出部215、及び位置管理部216を含む。
【0023】
画像処理部209は、ワークRAM203に格納された画像データに対して画像処理を行うことで、記録ヘッド131の駆動用の記録データを生成し、生成した記録データをイメージRAM204に格納する。発光制御部210は、イメージセンサ121に光源として設けられている発光素子(図3(A)のLED302,303)の動作を制御する。本実施形態において発光制御部210は、LED302(LED1)及びLED303(LED2)を制御する制御手段の一例である。
【0024】
記録ヘッド駆動部211は、イメージRAM204に格納されている記録データに基づいて、記録ヘッド131を駆動するための駆動信号を生成する。記録ヘッド駆動部211は、生成した駆動信号により記録ヘッド131を駆動して記録媒体に画像を形成させる。このとき、記録ヘッド駆動部211は、イメージセンサ121から出力される信号に基づく記録媒体の検出結果に基づいて、記録ヘッド131の駆動制御(インクを吐出するタイミングの制御)を行う。また、搬送ローラ駆動部212は、イメージセンサ121から出力される信号に基づく記録媒体の検出結果に基づいて、搬送ローラ116の駆動制御(搬送ローラ116を駆動する駆動モータの駆動制御)を行う。
【0025】
図2に示すように、イメージセンサ121から出力された信号は、FPGA205に入力されて移動量判定部213及び端部検出部215へ提供される。移動量判定部213は、イメージセンサ121の出力信号に基づいて、搬送ユニット110によって搬送される記録媒体(ロールシートPを構成する各ラベル)の移動量を判定する。端部検出部215は、イメージセンサ121の出力信号に基づいて、搬送ユニット110によって搬送される記録媒体(ロールシートPを構成する各ラベル)の、搬送方向における先端及び後端を検出する。なお、イメージセンサ121の出力信号を示すデータはRAM214に一時的に格納された状態で、移動量判定部213及び端部検出部215による処理に使用される。移動量判定部213及び端部検出部215は、それぞれ検出結果を示す情報を、記録媒体の位置情報として位置管理部216へ出力する。
【0026】
位置管理部216は、移動量判定部213及び端部検出部215から出力される記録媒体の位置情報を管理し、当該位置情報を記録ヘッド駆動部211へ出力する。記録ヘッド駆動部211は、位置管理部216から出力される記録媒体の位置情報に基づいて、記録ヘッド131に対して駆動信号を出力するタイミングを制御する。
【0027】
このように、FPGA205は、イメージセンサ121の出力信号に基づいて、記録媒体の搬送状態(搬送位置及び搬送速度等)を把握する。FPGA205は更に、記録媒体の搬送状態に基づいて、搬送ユニット(搬送ローラ116)及び記録ユニット130(記録ヘッド131)の駆動制御を行うことで、記録媒体に対する画像形成を実行する。
【0028】
FPGA205は、搬送ユニット110及び記録ユニット130内の各センサの出力を示す情報を取得すると、当該情報をCPU201へ出力しうる。また、FPGA205は、記録媒体の搬送状態に応じた割込信号をCPU201へ出力しうる。CPU201は、FPGA205から出力される割込信号を監視している。CPU201は、FPGA205から出力される割込信号及び各種情報に基づいて、FPGA205を含む、プリンタ10の各デバイスの動作を制御する。例えば、CPU201は、ワークRAM203に格納されている画像データから記録データを生成し、当該記録データに基づいて記録ヘッド131を駆動するよう、FPGA205に指示する。
【0029】
なお、FPGA205は、記録ヘッド131が使用するインクタンク(図示せず)内のインク残量、及びアクチュエータの動作等を監視して取得した情報を、CPU201とやりとりするように構成されている。
【0030】
<イメージセンサ>
図3Aは、イメージセンサ121の構成例を示す断面図である。イメージセンサ121は、エリアセンサ301、LED302、LED303、レンズ304、プリズム305、プリズム306、及びセンサ基板307を備える。
【0031】
図3Aに示すように、LED302(LED1)、エリアセンサ301、及びLED303(LED2)は、ロールシートPの搬送方向Fに沿ってセンサ基板307上に一列に配置されている。プリズム305,306は、それぞれ、LED302,303から出力される光の照射方向に配置されている。プリズム305は、LED302から出力される光の照射方向に配置されている。プリズム306は、LED303から出力される光の照射方向に配置されている。プリズム305は、LED302から出力されてプリズム305に入射した光を撮像領域Arの方向へ屈折させる。プリズム306は、LED303から出力されてプリズム306に入射した光を撮像領域Arの方向へ屈折させる。
【0032】
イメージセンサ121は、プリズム305,306による光の屈折作用を利用して、LED302,303からそれぞれ出力された光がそれぞれ異なる方向から撮像領域Arに照射される構成を有している。具体的には、図3Aに示すように、LED302から出力された光は、搬送方向Fの下流側から撮像領域Arに斜めに照射される。一方、LED303から出力された光は、搬送方向Fの上流側から撮像領域Arに斜めに照射される。
【0033】
このように、LED302(LED1)及びLED303(LED2)は、それぞれ異なる方向から撮像領域Arに照射される光を出力する第1及び第2光源の一例である。また、LED302(LED1)は、記録媒体の搬送方向における下流側から撮像領域Arに対して照射される光を出力する光源である。LED303(LED2)は、記録媒体の搬送方向における上流側から撮像領域Arに対して照射される光を出力する光源である。
【0034】
LED302,303から出力されて撮像領域Arに照射された光は、記録媒体(ロールシートP)又は搬送ベルト111の表面で反射する。エリアセンサ301は、撮像領域Arにおいて生じる反射光をレンズ304を介して受光するように配置されている。具体的には、エリアセンサ301は、記録媒体又は搬送ベルト111からの反射光を受光することにより、撮像領域Arの範囲を撮像するように構成されている。このように、エリアセンサ301は、搬送ユニット110の搬送路上の撮像領域Arを撮像して撮像画像を取得する撮像手段の一例である。
【0035】
エリアセンサ301は、記録媒体(ロールシートP)又は搬送ベルト111からの反射光による撮像データとして、図3A及び図3Bに示す撮像領域Arの範囲を撮像して得られる撮像データAr(L)を生成する。図3Bの例において、撮像領域Arは、ロールシートPの搬送方向(第1方向)にArx個の画素に相当するサイズ、当該搬送方向に直交する方向(第2方向)にAry個の画素に相当するサイズを有する。撮像データAr(L)は、例えば、1画素当たり10ビットの階調データで構成される。
【0036】
本実施形態では、後述するように、イメージセンサ121による撮像時に、LED302(LED1)とLED303(LED2)との一方が、イメージセンサ121の光源として選択的に使用される。発光制御部210は、イメージセンサ121の光源をLED302(LED1)とLED303(LED2)との間で切り替える切替制御を行う。
【0037】
図3Bには、イメージセンサ121(エリアセンサ301)による撮像データAr(L1)、Ar(L2)及びAr(Ls)の例を示している。FPGA205は、撮像データAr(L)を、LED302(LED1)を光源として使用して得られた撮像データAr(L1)と、LED303(LED2)を光源として使用して得られた撮像データAr(L2)とに区別してRAM214に保持する。また、FPGA205は、移動量判定部213により撮像データAr(L1)と撮像データAr(L2)とを合成し、得られたデータを合成撮像データAr(Ls)としてRAM214に保持する。本実施形態では、撮像データの合成例として、撮像データAr(L1)と撮像データAr(L2)との平均化処理を行う。
【0038】
搬送される記録媒体(ロールシートP)の先端の検出には、搬送方向Fの下流側から撮像領域Arに斜めに照射される光を出力するLED302(LED1)が使用される。LED302から出力された光が撮像領域Arにおいて記録媒体に照射されることで生じる当該記録媒体の影を、エリアセンサ301により撮像して得られた撮像画像(撮像データAr(L1))から検出することで、記録媒体の先端を検出可能である。一方、搬送される記録媒体(ロールシートP)の後端の検出には、搬送方向Fの上流側から撮像領域Arに斜めに照射される光を出力するLED303(LED2)が使用される。LED303から出力された光が撮像領域Arにおいて記録媒体に照射されることで生じる当該記録媒体の影を、エリアセンサ301により撮像して得られた撮像画像(撮像データAr(L2))から検出することで、記録媒体の後端を検出可能である。
【0039】
搬送される記録媒体(ロールシートP)の移動量の判定は、記録媒体の表面をエリアセンサ301により撮像して得られた画像から表面の凹凸を検出し、検出した凹凸の移動量を判定することによって実現される。記録媒体の表面の凹凸は、エリアセンサ301により生成された撮像画像(撮像データ)から特異点パターンとして抽出される。撮像領域Ar内において搬送中の記録媒体の表面を、エリアセンサ301により所定の検出周期で得られる撮像画像から特異点パターンを検出し、撮像画像間における特異点パターンの移動量を判定(検出)することで、記録媒体の移動量を判定可能である。
【0040】
<画像形成処理>
図4は、本実施形態のプリンタ10において実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。なお、図4に示す各ステップの処理は、CPU201によって実行されるか、又はCPU201による制御下でFPGA205によって実行される。以下では、ロールシートPを構成する各ラベルが印刷対象の記録媒体に相当し、搬送される各ラベルの先端及び後端の検出と、各ラベルの移動量の判定とが行われる例について説明する。
【0041】
S401で、CPU201は、外部のホストPC20から印刷指示を受信する。印刷指示には、印刷対象の画像の画像データ、及び設定情報が含まれる。その後S402で、CPU201は、受信した印刷指示に基づいて、印刷(画像形成)に関連する動作パラメータを設定する。具体的には、CPU201は、記録媒体(ロールシートP)の搬送速度と、イメージセンサ121による記録媒体の検出についての検出周期とを設定する。検出周期は、イメージセンサ121(エリアセンサ301)が撮像領域Arを撮像して撮像データ(撮像画像)を生成する周期に相当する。
【0042】
次にS403で、FPGA205は、イメージセンサ121の光源(LED1(302)及びLED2(303))の初期化処理を行う。この初期化処理では、発光制御部210は、記録媒体の搬送開始に際して、搬送される記録媒体の先端を検出するための光源の発光制御を行う。具体的には、発光制御部210は、LED1及びLED2のうち、記録媒体の先端の検出に使用される、記録媒体の搬送方向における下流側に配置されたLED1をオンにし、上流側に配置されたLED2をオフにする。即ち、発光制御部210は、搬送方向における下流側から上流側に向けて、記録媒体に対して光を照射するための光源であるLED1のみをオンにする。これにより、発光制御部210は、端部検出部215による先端検出が行われる間に、LED1をオンにし、LED2をオフにする。
【0043】
S403の初期化処理が完了すると、S404で、FPGA205は、イメージセンサ121の動作(エリアセンサ301による撮像)を開始させる。これにより、イメージセンサ121は、S402で設定された検出周期ごとに、撮像領域Arを撮像して撮像データ(撮像画像)を生成する。更にS405で、FPGA205(搬送ローラ駆動部212)は、搬送ローラ116の駆動を開始することで記録媒体(ロールシートP)の搬送を開始する。その後S406で、FPGA205(端部検出部215)は、イメージセンサ121から検出周期ごとに出力される撮像データAr(L1)に基づいて、搬送される記録媒体(ロールシートPのラベル)の先端の検出を試みる。このように、S406において端部検出部215は、LED1(第1光源)を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の先端を検出する第1検出手段の一例として機能する。記録媒体の先端検出が完了すると、FPGA205はS406からS407へ処理を進める。
【0044】
S407で、FPGA205は、後述する図5に示す手順で、記録媒体(ロールシートP)の移動量を判定する処理(移動量判定処理)を行う。発光制御部210は、移動量判定部213による判定が行われる間に、LED1の光量とLED2の光量との比率を変化させながらLED1とLED2とを交互にオンにする(即ち、オンにする光源を交互に切り替える。移動量判定部213は、このような発光制御に伴って撮像データAr(L1)及びAr(L2)を交互に取得し、それらに基づいて記録媒体の移動量を判定する。また、発光制御部210は、イメージセンサ121が使用する(発光させる)光源を、記録媒体の先端の検出に使用される光源(LED1)から、記録媒体の後端の検出に使用される光源(LED2)に段階的に切り替えるように、発光制御を行う。
【0045】
より具体的には、発光制御部210は、LED1がオン、LED2がオフの状態から、LEDの切り替えの1周期ごとにLED1の光量とLED2の光量との比率を段階的に変化させながら、LED1がオフ、LED2がオンの状態まで切り替える。具体的には、発光制御部210は、LED1の光量を減少させる一方でLED2の光量を増加させるように、光量の比率を変化させる。移動量判定部213は、発光制御部210によってこのような発光制御が行われる間にイメージセンサ121により取得される撮像データAr(L1)及びAr(L2)に基づいて、記録媒体(ロールシートPのラベル)の移動量を判定する。
【0046】
また、発光制御部210は、記録媒体(ロールシートPのラベル)についての、搬送方向におけるラベルの長さに相当する距離の搬送が完了するより前に、LED1からLED2への光源の切り替えを完了させる。即ち、撮像領域Arにおいてラベルの先端が検出された後、当該ラベルの後端が撮像領域Arに達するタイミングより前に、LED1からLED2への切り替えを完了させる。このように、発光制御部210は、端部検出部215による後端検出の開始前にLED1の光量が0になるように、LED1の光量とLED2の光量との比率を変化させる。
【0047】
このように、S407において移動量判定部213は、記録媒体の先端の検出後に、LED1の光量とLED2の光量との比率を変化させながらLED1とLED2とを交互に使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の移動量を判定する判定手段の一例として機能する。なお、S407の処理の詳細(図5)については後述する。
【0048】
S407の処理の開始後、S408で、FPGA205は、記録媒体(ロールシートPのラベル)の先端の検出後に、搬送ローラ駆動部212により、当該記録媒体の先端の余白に相当する所定距離だけ当該記録媒体を搬送すると、S409へ処理を進める。S409で、FPGA205(記録ヘッド駆動部211)は、ホストPC20から受信した画像データから生成された記録データに基づいて記録ヘッド131を駆動することで、記録媒体(即ち、1枚のラベル)に対して画像形成を行う。なお、S409の画像形成は、S407の移動量判定処理と並列に行われてもよい。
【0049】
S409における画像形成の完了後、S410で、FPGA205(端部検出部215)は、イメージセンサ121から検出周期ごとに出力される撮像データAr(L2)に基づいて、搬送される記録媒体(ロールシートPのラベル)の後端の検出を試みる。このように、S410において端部検出部215は、記録媒体の移動量の判定後に、LED2(第2光源)を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の後端を検出する第2検出手段の一例として機能する。S410の処理が開始される際には、S407の処理により、記録媒体の先端の検出に使用される光源(LED1)から、記録媒体の後端の検出に使用される光源(LED2)への、イメージセンサ121が使用する光源の切り替えが完了している。記録媒体の後端検出が完了すると、FPGA205はS410からS411へ処理を進める。
【0050】
S411で、CPU201は、次に印刷対象となる画像データが存在するか否かを判定する。例えば、CPU201は、S401において受信した印刷指示に、次に印刷対象となる画像データが含まれている場合、又は、ホストPC20から更なる印刷指示を受信した場合には、次に印刷対象となる画像データが存在すると判定し、処理をS413へ進める。一方、次に印刷対象となる画像データが存在しないと判定した場合には、CPU201は、S412へ処理を進める。S412で、CPU201は、印刷が完了した記録媒体をプリンタ10の外部へ排出し、処理を終了する。
【0051】
S413で、FPGA205は、イメージセンサ121が使用する光源を、記録媒体の後端を検出するための光源(LED2)から、記録媒体の先端を検出するための光源(LED1)に切り替える。即ち、発光制御部210は、LED1をオフの状態からオンの状態に切り替え、LED2をオンの状態からオフの状態に切り替える。これにより、次の記録媒体(ロールシートPの次のラベル)の先端の検出が可能になる。このように、発光制御部210は、端部検出部215による先端検出が行われる間に、LED1をオンにし、LED2をオフにする。
【0052】
S413における光源の切り替えが完了すると、FPGA205は処理をS406へ戻す。その後、搬送される次の記録媒体(ロールシートPの次のラベル)について、S406~S410の処理が再び実行される。
【0053】
<移動量判定処理(S407)>
図5は、記録媒体の移動量判定処理(S407)の手順を示すフローチャートである。移動量判定処理では、上述のように、イメージセンサ121の光源をLED1とLED2とで交互に切り替えながら撮像データAr(L1)及びAr(L2)を取得する。更に、取得した撮像データAr(L1)及びAr(L2)を合成して得られる合成撮像データ(合成撮像画像)Ar(Ls)に基づいて、記録媒体の移動量の判定を行う。
【0054】
まずS501で、FPGA205は、イメージセンサ121の光源の切替周期を設定する。切替周期の設定は、例えば、記録媒体の搬送速度及びイメージセンサ121の検出周期に基づいて行われる。FPGA205は更に、イメージセンサ121の光源の切替処理に関する切替ステップnを初期化(n=0)する。以下では、切替ステップnにおける特異点パターンをP(n)、切替ステップnにおける撮像データAr(L1)をAr(L1,n)、切替ステップnにおける撮像データAr(L2)をAr(L2,n)、切替ステップnにおける合成撮像データAr(Ls)をAr(Ls,n)とする。
【0055】
次にS502で、FPGA205(移動量判定部213)は、記録媒体(ロールシートPのラベル)の移動量の判定に使用する特異点パターンを、既に取得されてRAM213に保存されている撮像データから取得(抽出)する。具体的には、CPU201は、イメージセンサ121から前回出力された撮像データから所定サイズ(本例では、4×4画素のサイズとする。)のパターンを抽出することで、当該パターンを特異点パターンP(0)として取得する。なお、イメージセンサ121から前回出力された撮像データは、記録媒体の先端の検出のためにLED1を使用した撮像により得られた撮像データAr(L1,0)である。特異点パターンP(0)を取得すると、FPGA205は処理をS503へ進める。
【0056】
図6A及び図6Bは、切替ステップn(n=0,1,...,8)において撮像データから取得される特異点パターンP(n)の例を示す。図6Aに示すように、n=0において、撮像データAr(L1,0)から、4×4画素のサイズの(画素A1~A16から成る)パターンが、特異点パターンP(0)として抽出されている。なお、図3Bには、撮像データAr(L1)から抽出された特異点パターンP(0)の例を示している。
【0057】
S503~S512の処理は、イメージセンサ121の光源の切り替えの1周期ごとに実行される処理である。S503で、FPGA205は、切替ステップnを1増加させることで切替ステップnを更新し、S504へ処理を進める。
【0058】
S504で、FPGA205(発光制御部210)は、イメージセンサ121の光源(LED1及びLED2)の光量を調整する。光量の調整は、各LEDを駆動するために各LEDへ供給される駆動信号のデューティ比を調整することで実行される。具体的には、FPGA205は、デューティ比D1(n)の駆動信号でLED1を駆動し、LED2をオフにする(即ち、LED2に対する駆動信号のデューティ比D2(n)=0[%]とする)。これにより、イメージセンサ121は、デューティ比D1(n)の駆動信号で駆動されたLED1を用いて撮像領域Arを撮像し、得られた撮像データAr(L1,n)をFPGA205へ出力する。S505で、FPGA205(移動量判定部213)は、イメージセンサ121から出力された撮像データAr(L1,n)を取得する。なお、撮像データAr(L1,n)は、LED1(第1光源)を使用して得られた第1撮像画像の一例である。
【0059】
次にS506で、FPGA205(発光制御部210)は、イメージセンサ121の光源(LED1及びLED2)の光量を再び調整する。具体的には、FPGA205は、デューティ比D2(n)の駆動信号でLED2を駆動し、LED1をオフにする(即ち、LED1に対する駆動信号のデューティ比D1(n)=0[%]とする)。これにより、イメージセンサ121は、デューティ比D2(n)の駆動信号で駆動されたLED2を用いて撮像領域Arを撮像し、得られた撮像データAr(L2,n)をFPGA205へ出力する。S507で、FPGA205(移動量判定部213)は、イメージセンサ121から出力された撮像データAr(L2,n)を取得する。なお、撮像データAr(L2,n)は、LED2(第2光源)を使用して得られた第2撮像画像の一例である。
【0060】
ここで、切替ステップnにおけるデューティ比D1(n)及びD2(n)は、D1(n)とD2(n)との和が100%(又は100%に近い値)となるように設定される。また、切替ステップnが増加するごとに(即ち、イメージセンサ121の光源の切り替えの1周期ごとに)、LED1に対応するデューティ比D1(n)は減少し、LED2に対応するデューティ比D2(n)は増加するように、各デューティ比の設定が行われる。例えば、イメージセンサ121の光源の切り替えの1周期ごとに、デューティ比D1(n)が10%ずつ減少し、デューティ比D2(n)が10%ずつ増加するように、各デューティ比の設定が行われる。なお、デューティ比D1(n)及びD2(n)の設定値は、予め用意されてROM202又はイメージRAM204に格納されていてもよく、その場合、FPGA205によって読み出されて使用される。
【0061】
その後S508で、FPGA205(移動量判定部213)は、S505において得られた撮像データAr(L1,n)と、S507において得られた撮像データAr(L2,n)とを合成して、合成撮像データAr(Ls,n)を取得する。撮像データの合成は、例えば、撮像データAr(L1,n)の各画素の画素値と、撮像データAr(L2,n)の対応する画素の画素値とを平均化することによって行われる。FPGA205は、取得した合成撮像データAr(Ls,n)をRAM214に保持する。なお、合成撮像データAr(Ls,n)は、第1撮像画像と第2撮像画像とを合成して取得される合成撮像画像の一例である。FPGA205(移動量判定部213)は、以下のように、S408で取得された合成撮像画像(合成撮像データ)に基づいて記録媒体の移動量を判定する。
【0062】
次にS509及びS510において、FPGA205(移動量判定部213)は、LED1とLED2との切り替えの1周期ごとに取得される合成撮像画像(合成撮像データ)から所定サイズの特異点パターンを検出する。具体的には、S509で、FPGA205(移動量判定部213)は、S508で取得された合成撮像データAr(Ls,n)と、前回更新又は取得された特異点パターンP(n-1)とのマッチング処理を行う。具体的には、FPGA205は、合成撮像データAr(Ls,n)における全領域にわたって、特異点パターンP(n-1)のサイズと同じサイズの領域ごとに、画素単位で特異点パターンP(n-1)との比較を行うことにより、パターンマッチングを行う。更にS510で、FPGA205(移動量判定部213)は、特異点パターンP(n-1)との差分が最小となるパターンを、合成撮像データAr(Ls,n)内から抽出(検出)する。このようにして、FPGA205(移動量判定部213)は、S508において取得された合成撮像画像内で、前回取得された合成撮像画像から検出された特異点パターンとの差分が最小となるパターンを検出(抽出)する。
【0063】
S510におけるパターンの抽出が完了すると、S511で、FPGA205(移動量判定部213)は、抽出したパターンを特異点パターンとして使用して記録媒体の移動量を判定する。具体的には、FPGA205(移動量判定部213)は、撮像領域Ar内における、抽出したパターンの位置と、特異点パターンP(n-1)の位置とに基づいて、記録媒体の移動量Mo(n)を判定する。具体的には、FPGA205は、特異点パターンP(n-1)の位置から、抽出したパターンの位置までの位置の変化量を、記録媒体の移動量Mo(n)として求める。このように、FPGA205(移動量判定部213)は、検出(抽出)した特異点パターンの撮像領域内の位置の変化量を、記録媒体の移動量として判定する。
【0064】
その後S512で、FPGA205(移動量判定部213)は、特異点パターンPをS510において抽出したパターンに更新し、S513へ処理を進める。S513で、FPGA205は、LED1に対応するデューティ比D1(n)=0であるか否かを判定する。FPGA205は、D1(n)=0ではないと判定した場合、S503へ処理を戻し、切替ステップnを更新する(1増加させる)。これにより、イメージセンサ121の光源の切り替えについての次の1周期の処理が開始される。
【0065】
このようにして、光源の切り替えの1周期ごとに、D1(n)を段階的に減少(LED1の光量を段階的に減少)させ、かつ、D2(n)を段階的に増加(LED2の光量を段階的に増加)させながら(即ち、LED1の光量とLED2の光量との比率を段階的に変化させながら)、イメージセンサ121による撮像及び記録媒体の移動量の判定が繰り返し行われる。イメージセンサ121による撮像及び記録媒体の移動量の判定は、LED1に対応するデューティ比D1(n)が0になるまで繰り返される。
【0066】
一方、S513で、FPGA205は、D1(n)=0であると判定すると、S514へ処理を進める。S514で、FPGA205は、S503と同様に、切替ステップnを1増加させることで切替ステップnを更新し、S515へ処理を進める。S515~S519では、D1(n)=0(即ち、LED1はオフ)であるため、LED1を使用した撮像データAr(L1,n)の取得は行われず、LED2を使用した撮像データAr(L2,n)の取得のみが行われる。
【0067】
S515で、FPGA205(発光制御部210)は、S506と同様に、イメージセンサ121の光源(LED1及びLED2)の光量を再び調整する。具体的には、FPGA205は、デューティ比D2(n)の駆動信号でLED2を駆動し、LED1をオフにする。ここで、LED1に対応するデューティ比D1(n)=0[%]であるため、LED2に対応するデューティ比D2(n)=100[%]に設定される。これにより、イメージセンサ121は、デューティ比D2(n)=100[%]の駆動信号で駆動されたLED2を用いて撮像領域Arを撮像し、得られた撮像データAr(L2,n)をFPGA205へ出力する。S516で、FPGA205(移動量判定部213)は、イメージセンサ121から出力された撮像データAr(L2,n)を取得する。
【0068】
その後S517で、FPGA205(移動量判定部213)は、S516で取得された撮像データAr(L2,n)と、前回更新された特異点パターンP(n-1)とのマッチング処理を行う。このマッチング処理は、特異点パターンP(n-1)とのパターンマッチングが行われるデータが、撮像データAr(Ls,n)ではなく撮像データAr(L2,n)である点を除き、S509と同様に行われる。更にS518で、FPGA205(移動量判定部213)は、特異点パターンP(n-1)との差分が最小となるパターンを、撮像データAr(L2,n)内から抽出(検出)する。
【0069】
S518におけるパターンの抽出が完了すると、S519で、FPGA205(移動量判定部213)は、S511と同様に、撮像領域Ar内における、抽出したパターンの位置と、特異点パターンP(n-1)の位置とに基づいて、記録媒体の移動量Mo(n)を判定する。以上により、FPGA205は移動量判定処理を終了する。
【0070】
図6A及び図6Bの例では、切替ステップn=1からn=7までは、イメージセンサ121の光源の切り替えの1周期においてLED1とLED2との切り替えにより、撮像データAr(L1,n)及びAr(L2,n)を取得している。更に、それらの撮像データに基づく合成撮像データAr(Ls,n)から、特異点パターンP(n-1)とのパターンマッチングにより抽出したパターンを、特異点パターンP(n)として決定している。なお、図6A及び図6Bでは、Ar(L1,n)及びAr(L2,n)に含まれるパターンとして、各切替ステップnにおける、特異点パターンP(n)に対応する(即ち、撮像領域Ar内で同一の位置にあり、同一サイズの)パターンを示している。
【0071】
図6A及び図6Bに示すように、切替ステップnの増加に伴って、LED1に対応するAr(L1,n)のパターンは明るさが減少し、LED2に対応するAr(L2,n)のパターンは明るさが増加している。これは、切替ステップnの増加に伴って、LED1の駆動信号のデューティ比D1(n)を段階的に減少させ、LED2の駆動信号のデューティ比D2(n)を段階的に増加させるためである。一方で、特異点パターンP(n)の明るさには、切替ステップnの増加に伴う変動はほとんど生じていない。このため、合成撮像データAr(Ls,n)からの特異点パターンP(n)の検出精度を維持することが可能である。
【0072】
また、図3Bには、合成撮像データAr(Ls,n)から抽出された特異点パターン(P(n)(n=1~7)と、撮像データAr(L2,n)から抽出された特異点パターンP(8)の例を示している。図3Bに示すように、特異点パターンP(n)は、記録媒体の移動に伴って、切替ステップnごとに移動している。本実施形態では、図3B図6A及び図6Bに示すように、撮像領域Ar内におけるP(n-1)の位置からP(n)の位置までの、特異点パターンの移動量Mo(n)を、記録媒体の移動量として求める(S511,S519)。
【0073】
なお、S413における光源の切り替え時に、例えばロールシートPのラベルが貼付された台紙の移動量の判定のために、S407と同様の移動量判定処理が実行されてもよい。その場合、図5の手順においてLED1とLED2とを入れ替えた処理が実行される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置において、LED1及びLED2は、それぞれ異なる方向から撮像領域Arに照射される光を出力する。エリアセンサ301は、搬送ユニット110の搬送路上の撮像領域Arを撮像して撮像画像を取得する。端部検出部215は、LED1を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の先端を検出する。移動量判定部213は、記録媒体の先端の検出後に、LED1の光量とLED2の光量との比率を変化させながらLED1とLED2とを交互に使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の移動量を判定する。更に、端部検出部215は、記録媒体の移動量の判定後に、LED2を使用してエリアセンサ301によって得られた撮像画像に基づいて、記録媒体の後端を検出する。
【0075】
本実施形態では、記録媒体の先端検出が行われてから後端検出が行われるまでに記録媒体が搬送される間に、LEDの光量の比率を変化させながらLED1とLED2とを交互に使用して撮像画像を取得する。更に、取得した撮像画像に基づいて記録媒体の移動量を判定する。このように、本実施形態によれば、2つの光源(LED1及びLED2)を使用して、搬送中の記録媒体の端部(先端及び後端)を検出するとともに記録媒体の移動量を判定することも可能になる。
【0076】
なお、上述の実施形態は種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態において、記録媒体の先端及び後端の検出結果と記録媒体の移動量の判定結果を、画像形成処理の制御に限らず、例えば画像形成装置における記録媒体の異常検出に使用してもよい。また、画像形成装置における記録方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式、熱転写式、ドットインパクト方式等の、他の方式であってもよい。
【0077】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10:プリンタ、101:ロール、110:搬送ユニット、111:搬送ベルト、115:プラテン、116:搬送ローラ、117:従動ローラ、121:イメージセンサ、130:記録ユニット、131:記録ヘッド、201:CPU、205:FPGA、210:発光制御部、213:移動量判定部、215:端部検出部、20:ホストPC
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B