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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022060942
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】避難用構造物
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20220408BHJP
   B63C 9/06 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
B63C9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168717
(22)【出願日】2020-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】507264549
【氏名又は名称】株式会社アルメックステクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】渡部 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 公晴
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AB23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より多くの人員を救出できる可能性を高めることのできる避難用構造物を提供する。
【解決手段】シェルター100は、所定の空間を構成するシェルター本体に人員が収容可能であり水に浮かぶものであって、シェルター本体は、アクシデントにより又は人員の操作により分解すると人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になり、シェルター本体には、シェルター本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の二次浮揚体を連結する樹脂製保護カバー180が設けられていることを特徴とする。かかる構成によれば、保護部材によって避難用構造物本体の外周を保護することができるとともに、避難用構造物本体が分解して二次浮揚体になっても、二次浮揚体の離散を防止することができる。このため、より多くの人員を救出できる可能性が高まる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を構成する避難用構造物本体に人員が収容可能であり水に浮かぶ避難用構造物であって、
前記避難用構造物本体は、アクシデントにより又は人員の操作により分解すると人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になり、
前記避難用構造物本体には、前記避難用構造物本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の前記二次浮揚体を連結する保護部材が設けられていることを特徴とする、避難用構造物。
【請求項2】
前記二次浮揚体は、前記避難用構造物本体に設けられる分解予定部によって分解されて構成されることを特徴とする、請求項1に記載の避難用構造物。
【請求項3】
人員が着席可能な複数の座席が前記避難用構造物本体の側部に沿って並設されており、
隣り合う前記座席の間に前記分解予定部が設けられており、
前記避難用構造物本体が前記分解予定部から分解すると、前記二次浮揚体の少なくとも1つは、前記避難用構造物本体の側部が底部になって構成されることを特徴とする、請求項2に記載の避難用構造物。
【請求項4】
前記避難用構造物本体が分解すると、前記避難用構造物本体の天井部が前記二次浮揚体になることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項5】
前記保護部材は、前記避難用構造物本体の外周を覆うことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項6】
前記保護部材は、網状であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項7】
前記保護部材は、前記二次浮揚体の底部同士を連結することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項8】
前記保護部材は、一端が前記避難用構造物本体に収納可能に固着され、他端が前記避難用構造物本体に着脱自在であり、前記他端を前記避難用構造物本体に連結することによって前記避難用構造物本体の外周を覆うことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項9】
前記避難用構造物本体が分解したときに前記各二次浮揚体の上方をテントが覆うように構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の避難用構造物。
【請求項10】
前記避難用構造物本体には、ラッチ式構造が設けられ、
前記ラッチ式構造がアクシデントにより又は人員の操作により外れることで、前記避難用構造物本体が分解されることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の避難用構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波、洪水を含む水害時に浮上して避難用空間を確保することが出来る避難用構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の避難用構造物として、特開2015-202857号公報(特許文献1)に示されるシェルターがある。同文献に開示されるシェルターにおいては、避難者を内部に収容できる円盤形スペースの周囲を円形に取り囲むように鉄筋コンクリートの防護壁、乃至、支柱群と防護ネットが設置されている。鉄筋コンクリートの防護壁、乃至、支柱群と防護ネットは、該円盤形スペースの流失を防ぐとともに、浮遊するガレキ等や海面火災の接近を阻止できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-202857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来のシェルターでは、防護ネットは、ガレキ等や海面火災の接近を阻止したり、円盤形スペースの流出を防いだりすることはできるが、円盤形スペースが破損して複数の破片になった際に、各破片が離散することを防止することができない。このため、人員の救出に支障が生じるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、より多くの人員を救出できる可能性を高めることのできる新規かつ改良された避難用構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明によれば、所定の空間を構成する避難用構造物本体に人員が収容可能であり水に浮かぶ避難用構造物であって、前記避難用構造物本体は、アクシデントにより又は人員の操作により分解すると人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になり、前記避難用構造物本体には、前記避難用構造物本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の前記二次浮揚体を連結する保護部材が設けられていることを特徴とする、避難用構造物が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、保護部材によって避難用構造物本体の外周を保護することができるとともに、避難用構造物本体が分解して二次浮揚体になっても、二次浮揚体の離散を防止することができる。このため、より多くの人員を救出できる可能性が高まる。
【0008】
本発明は様々な応用が可能である。以下の応用例は適宜組み合わせることが可能である。
【0009】
例えば、前記二次浮揚体は、前記避難用構造物本体に設けられる分解予定部によって分解されて構成されるようにしてもよい。避難時に避難用構造物に破損が生じた場合でも、避難用構造物本体が分解予定部で分解されてあらかじめ決められた二次浮揚体の集団として利用することができるので、より多くの人員を救出できる可能性が高まる。
【0010】
人員が着席可能な複数の座席が前記避難用構造物本体の側部に沿って並設されており、隣り合う前記座席の間に前記分解予定部が設けられており、前記避難用構造物本体が前記分解予定部から分解すると、前記二次浮揚体の少なくとも1つは、前記避難用構造物本体の側部が底部になって構成されてもよい。かかる構成によれば、座席と二次浮揚体が一対一に対応するため、各人員に対応する形で二次浮揚体にすることができ、より多くの人員を救出できる可能性を高めることができる。
【0011】
また、前記避難用構造物本体が前記分解予定部から分解すると、前記避難用構造物本体の前記天井部が前記二次浮揚体になるようにしてもよい。天井部も二次浮揚体になるため、収容できる人員を多くすることができる。
【0012】
また、前記保護部材は、前記避難用構造物本体の外周を覆うようにしてもよい。避難用構造物本体を保護部材で保護することができるとともに、避難用構造物本体が分解した後の二次浮揚体も保護部材で保護することができる。また、二次浮揚体から転落した人員を保護部材で受止めることもできる。
【0013】
また、前記保護部材は、網状であってもよい。かかる構成によれば、避難用構造物本体及び二次浮揚体をある程度保護することができ、且つ水はけもよい。
【0014】
また、前記保護部材は、前記二次浮揚体の底部同士を連結するようにしてもよい。保護部材が二次浮揚体の底部を連結するため、二次浮揚体の上方の自由度が増す。
【0015】
また、前記保護部材は、一端が前記避難用構造物本体に収納可能に固着され、他端が前記避難用構造物本体に着脱自在であり、前記他端を前記避難用構造物本体に連結することによって前記避難用構造物本体の外周を覆うようにしてもよい。かかる構成によれば、不使用時には避難用構造物本体に収納し、使用時には他端を避難用構造物本体に取り付けるだけで、避難用構造物本体の外周を保護部材で覆うことができるので、避難用構造物本体に保護部材を簡単に取付けることができる。
【0016】
また、前記避難用構造物本体が分解したときに前記各二次浮揚体の上方をテントが覆うように構成されていてもよい。かかる構成によれば、二次浮揚体に分解された後に、人員をテントによって適切に保護することができる。
【0017】
また、前記避難用構造物本体には、ラッチ式構造が設けられ、前記ラッチ式構造がアクシデントにより又は人員の操作により外れることで、前記避難用構造物本体が分解されるようにしてもよい。かかる構成によれば、ラッチ式構造を設けたことで、どのようなアクシデントあるいはどの程度のアクシデントで避難用構造物本体が分解するかの制御を行うことができる。また、人員が操作する場合もわかりやすい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より多くの人員を救出できる可能性を高めることのできる避難用構造物を提供することができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態のシェルター100の全体構成を示す側面図である。
図2】シェルター100の平面図である。
図3】シェルター100の正面図である。
図4】シェルター100の内部を示す側面図である。
図5】シェルター100の断面図である。
図6】シェルター100の内部を示す平面図である。
図7】座席111を示す正面図である。
図8】側部浮揚体SFを示す側面図である。
図9】シェルター100が分解する方向を示す図である。
図10】シェルター100が分解した状態を示すイメージ図である。
図11】第2実施形態の側部浮揚体SFを示す側面図である。
図12】第3の実施形態のシェルター300を示す図であり、(a)は内部を示す側面図であり、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るシェルター(避難用構造物)100の全体構成について、図1図5を参照しながら説明する。図1は、シェルター100の全体構成を示す側面図である。図2は、シェルター100の平面図である。図3は、シェルター100の正面図である。図4は、シェルター100の内部を示す側面図である。図5は、シェルター100の断面図である。
【0022】
シェルター100は、所定の空間を構成するシェルター本体に人員が収容可能であり水に浮かぶ構造体である。シェルター100は、図1図3に示したように、シェルター本体には、アクシデントにより又は人員の操作により分解すると人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になり、シェルター本体には、シェルター本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の二次浮揚体を連結する樹脂製保護カバー180が設けられていることを特徴とする。以下、シェルター100の各構成要素について説明する。
【0023】
(側部110)
シェルター本体の側部110は、図2に示したように、アクシデントにより又は人員の操作により分解させることが可能な分解予定線SLが設けられている。分解予定線SLは、側部110の長手方向に間隔を空けて複数形成されている。分解予定線SLは、側部110の上下方向全長にわたって設けられている。また、側部110と天井部120の間、側部110と床部130の間、側部110と扉140との間にも分解予定線SLが設けられている。分解予定線SLから分解すると、側部110が床部となる側部浮揚体SFになる。分解予定線SLは、後述する骨組みFと側部壁113の間によって構成される。
【0024】
側部110の両端部には、図2図4に示したように、扉140が設けられている。扉140の両側方の下部には、図5に示したように、排水口142が設けられている。シェルター100内に溜まった水は、排水口142から排水される。
【0025】
(天井部120)
シェルター本体の天井部120は、図1図3に示したように、側面視が台形状であり、側部110の上方に設けられる。分解予定線SLから側部110が分解されたときに、天井部120と側部110が分離する。天井部120の中央には開口ハッチ122が設けられている。開口ハッチ122を介して天井部120から出入り可能である。また、天井部120には、赤色点滅灯124が前後2か所に設けられている。天井部120の前後端部には、換気口126が設けられている。また、天井部120の室内側には室内灯127が設けられている。
【0026】
天井部120には、図1及び図3に示したように、樹脂製保護カバー180の上端が着脱自在に連結可能である。また、天井部120には、樹脂製保護カバー180との連結を解除するためのカバーリリースレバー128が設けられている。
【0027】
(床部130)
シェルター本体の床部130は、図1及び図2に示したように、側面視が台形状であり、側部110の下方に設けられる。分解予定線SLから側部110が分解されたときに、床部130と側部110が分離する。床部130の中央には開口ハッチ132が設けられている。床部130の四隅には、シェルター100の姿勢を維持するための錘134が設けられている。
【0028】
床部130の上端には、図1及び図3に示したように、樹脂製保護カバー180を収納するためのカバー収納機構136が設けられている。カバー収納機構136は、天井部120から取り外された樹脂製保護カバー180を折り畳んだり、巻き取ったりしてコンパクトに収納することができる。
【0029】
(樹脂製保護カバー180)
樹脂製保護カバー(保護部材)180は、シェルター本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の二次浮揚体(後述する側部浮揚体SF、天井部浮揚体TF、床部浮揚体YF、扉部浮揚体DF)を連結するためのものである。樹脂製保護カバー180は、網状であり、図1に示したように、側部110、天井部120、床部130、扉140の外側の面をそれぞれ覆うことができる。なお、本実施形態では、樹脂製保護カバー180を網状のものとして説明するが、シート状などでもよい。また、樹脂製保護カバー180の材質は、ゴム類であってもよく、樹脂又は合成樹脂製等の保護カバーということもできるが、本明細書では単に樹脂製保護カバーという。
【0030】
樹脂製保護カバー180の下端は、床部130の上端に設けられているカバー収納機構136に連結されている。また、樹脂製保護カバー180の上端は、天井部120に着脱自在に連結されている。樹脂製保護カバー180の上端の連結の解除は、カバーリリースレバー128によって行われる。
【0031】
シェルター100は、図4及び図5に示したように、骨組みFが鋼材等の構造であり、例えば鉄などがあげられる。また、側部110、天井部120、床部130及び扉140が浮力材等であり、例えば発泡スチロールがあげられる。内壁は樹脂素材等で構成される。
【0032】
(シェルター100の内部の構成)
シェルター100の内部の構成について、主に図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、シェルター100の内部を示す平面図である。図7は、座席111を示す正面図である。
【0033】
人員が着席する複数の座席111が、図6に示したように、側部110に沿って並設されている。座席111は、隣り合う分解予定線SLの間に配置されている。座席111は、図6及び図7に示したように、上部壁112、左右両方の側部壁113及び下部壁114の四方が壁に囲まれ、前方が開放されている。このように、シェルター100内は、各座席111の前方が開放されているため、移動可能となっている。隣り合う座席111の側部壁113の間に分解予定線SLが設けられる。側部壁113の先端には、全長にわたって延びる手摺り115が設けられている。
【0034】
座席111は、図7に示したように、着席する第1面111aと第1面111aから下部壁114にまで達する第2面111bとを備える。人員は座席111の第1面111aに着席する。座席111は、収納キャビネットを兼ねており、第2面111bは収納キャビネットの扉となっている。座席111内には、飲料水PB、保存食EF、格納式パドルRPなどが収納される。格納式パドルRPの詳細についてはさらに後述する。座席111内には、GPS発信器162が設けられている。
【0035】
一方の扉140の側方には、図6に示したように、応急処置キット収納箱150とGPS位置情報追跡システム160が設けられている。また、他方の扉140の内側には、救助用浮き輪170が設けられている。
【0036】
(側部浮揚体SL)
シェルター100が分解予定線SLから分解して、側部浮揚体SFになる構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、側部浮揚体SFを示す側面図である。
【0037】
シェルター100内の閉空間に浸水による負荷が生じたり、人員が自発的に操作したりすると、シェルター100は分解予定線SLから分解する。すると、各座席111は、図8に示したように、90度回転して、側部110が床部となる側部浮揚体SFになる。側部浮揚体SFは、上部壁112が前方の壁、左右両方の側部壁113は左右の壁及び下部壁114が後方の壁となり、上部が開放されたボート状になる。
【0038】
側部浮揚体SFでは、座席111の第2面111bが上面になるため、人員は第2面111bに着席することになる。左右両方の側部壁113の上に手摺り115が配置される。格納式パドルRPを伸ばして使用することができる。
【0039】
シェルター100が分解予定線SLから分解する過程について、図9図10を参照しながら説明する。図9は、シェルター100が分解する方向を示す図である。図10は、シェルター100が分解した状態を示す図である。
【0040】
シェルター100内の閉空間に浸水による負荷が生じたり、人員が自発的に操作したりすると、シェルター100は分解予定線SLから図9の矢印で示す方向に分解する。シェルター100が分解予定線SLから分解すると、図10に示したように、側部110、天井部120、床部130、扉140、がそれぞれ分解する。側部110は、前述のように、複数の側部浮揚体SFになり、天井部120は天井部浮揚体TF、床部130は床部浮揚体YF、扉140は扉部浮揚体DFになる。各二次浮揚体SF、TF、YF、DFの底面には樹脂製保護カバー180が配置され、各二次浮揚体が離散することが防止される。それぞれの二次浮揚体には、人員が乗ることができる。
【0041】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、シェルター本体が分解して側部浮揚体SF、天井部浮揚体TF、床部浮揚体YF、扉部浮揚体DFになっても、各二次浮揚体同士が樹脂製保護カバー180で連結されるので、各二次浮揚体が離散することを防止することができる。このようにして、避難時にシェルター本体に破損が生じた場合でも、シェルター本体を各二次浮揚体の集団として利用することができ、より多くの人員を救出できる可能性が高まる。
【0042】
また、樹脂製保護カバー180は各二次浮揚体の底部を連結するため、上方の自由度が増す。
【0043】
また、シェルター本体を樹脂製保護カバー180で保護することができるとともに、シェルター本体が分解した後の各二次浮揚体も樹脂製保護カバー180で保護することができる。また、二次浮揚体から転落した人員を樹脂製保護カバー180で受止めることもできる。
【0044】
また、樹脂製保護カバー180を網にすることにより、シェルター本体及び各二次浮揚体をある程度保護することができ、且つ水はけもよい。
【0045】
また、樹脂製保護カバー180は不使用時にはカバー収納機構136に収納し、使用時には他端をシェルター本体の天井部120に取り付けるだけで、シェルター本体の外周を樹脂製保護カバー180で覆うことができるので、シェルター本体に樹脂製保護カバー180を簡単に取付けることができる。
【0046】
以下では、上記第1の実施形態を応用した他の実施形態について説明する。以下の実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、上記第1の実施形態と同様の構成又は動作については、重複説明を省略することがある。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るシェルター200の構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施形態の側部浮揚体SFを示す側面図である。本実施形態では、樹脂製保護カバー180は省略している。本実施形態のシェルター200は、手摺り215が第1の実施形態の手摺り115と異なることを特徴とする。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点である手摺り215の構成を中心に説明する。
【0048】
手摺り215は、図11に示したように、側部壁113の先端から突出している支柱216に設けられている。支柱216は、側部壁113の両端と中央の3か所に設けられている。手摺り215は、長手方向の中央位置で2分割されており、それぞれの一端215aが両端の支柱216に揺動可能に連結されている。それぞれの他端215bは中央の支柱216に着脱自在に連結される。
【0049】
シェルター200が側部浮揚体SFになったときに、図9に示したように、手摺り215の他端215bを支柱216から取り外して、手摺り215を90度回転させる。そして、手摺り215の他端215bにテント218の四隅を連結することにより、屋根を構成することができる。テント218は任意の場所に収納しておくことができる。例えば、テント218を各座席111内に収納しておいてもよい。
【0050】
なお、本実施形態では側部浮揚体SFを例にとって説明したが、天井部浮揚体TF、床部浮揚体YF、扉部浮揚体DFにもテントを設けることができる。
【0051】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、シェルター本体が分解したときに各側部浮揚体SFの上方をテント218が覆うように構成されているため、側部浮揚体SFに分解された後に、人員をテント218によって適切に保護することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るシェルター300の構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、第3の実施形態のシェルター300を示す図であり、(a)は内部を示す側面図であり、(b)は(a)のA部分の拡大図である。本実施形態のシェルター300は、シェルター本体の連結及び分解にラッチ式機構を採用したことを特徴とする。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0053】
シェルター300は、図12に示したように、複数の側部浮揚体SFが骨組みFの間に配置され、側部壁113と骨組みFがラッチ式機構380によって連結されている。これにより、側部浮揚体SFが骨組みFの間で固定されて側部110が構成されている。シェルター300内の人員がラッチ式機構380を解除することによって、側部壁113と骨組みFの連結を解除し、側部浮揚体SFとすることができる。
【0054】
また、天井部120、床部130、扉140も骨組みFとラッチ式機構380で連結し、シェルター300内の人員がラッチ式機構380を解除することによって、天井部120、床部130、扉140と骨組みFの連結を解除し、天井部浮揚体TF、床部浮揚体YF、扉部浮揚体DFとすることができる。
【0055】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、分割予定線SLには、ラッチ式機構380が設けられ、ラッチ式機構380がアクシデントにより又は人員の操作により外れることで、シェルター本体が分解されるようにしたので、どのようなアクシデントで分解するかの制御を行うことができる。また、人員の操作もわかりやすい。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0057】
例えば、上記実施形態では、樹脂製保護カバー180によって全ての二次浮揚体を連結する構成としたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、保護部材は少なくとも2つの二次浮揚体を連結すればよい。
【0058】
また、上記実施形態では、二次浮揚体は、シェルター本体に設けられる分解予定部SLによって分解される構成としたが、本発明はこの例に限定されない。人員を収容可能な二次浮揚体に分解されれば、必ずしも分割予定部によって分解されなくてもい。
【0059】
また、上記実施形態では、人員が着席可能な複数の座席111がシェルター本体の側部110に沿って並設されており、隣り合う座席の間に分解予定部SLが設けられており、シェルター本体は分解すると、側部110が底部になり人員を収容可能な2以上の側部浮揚体SFになる構成としたが、本発明はこの例に限定されない。人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になれば、必ずしも座席や分割予定部などは設ける必要がない。
【0060】
また、上記実施形態では、シェルター本体が分解すると、シェルター本体の天井部120が人員を収容可能な天井部浮揚体TFになる構成としたが、本発明はこの例に限定されない。人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になる構造であれば、任意の設計とすることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、樹脂製保護カバー180は、シェルター本体の外周を覆う構成としたが、本発明はこの例に限定されない。保護部材は、避難用構造物本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の二次浮揚体を連結する構成であれば、任意の設計とすることができる。例えば、保護部材は、避難用構造部本体に部分的に設けたり、2つの二次浮揚体同士を連結するように設けたりしてもよい。
【0062】
また、樹脂製保護カバー180は、網状、シート状などで構成されているものとしたが、本発明はこの例に限定されない。2以上の二次浮揚体が離散することを防止することができれば任意の設計とすることができる。例えば、各二次浮揚体同士を紐状の部材で連結してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、樹脂製保護カバー180が各二次浮揚体の底部を連結する構成としたが、本発明はこの例に限定されない。保護部材は、各二次浮揚体が離散することを防止することができれば任意の設計とすることができる。例えば、二次浮揚体同士の側部や上部から底部にかけて樹脂などで連結するような構成でもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、樹脂製保護カバー180は、一端がシェルター本体に収納可能に固着され、他端が前記シェルター本体に着脱自在であり、他端を前記シェルター本体に連結することによってシェルター本体の外周を覆う構成としたが、本発明はこの例に限定されない。保護部材は、避難用構造物本体の外周を保護するとともに少なくとも2以上の二次浮揚体を連結する構成であれば、任意の設計とすることができる。例えば、保護部材は避難用構造物本体から完全に取り外し可能としてもよい。
【0065】
また、上記第2の実施形態では、シェルター本体が分解したときに各二次浮揚体の上方をテント218が覆うように構成したが、本発明はこの例に限定されない。避難用構造物本体は、分解すると人員を収容可能な2以上の二次浮揚体になれば、任意の設計とすることができる。例えば、二次浮揚体の上方は覆われない構成としたり、テントに代えて屋根が設けられる構成としたりしてもよい。
【0066】
また、上記第3の実施形態では、シェルター300内の人員がラッチ式機構380を解除することによって、側部壁113と骨組みFの連結を解除し、二次浮揚体とすることができることについて説明したが、本発明はこの例に限定されない。ラッチ式構造がアクシデントにより又は人員の操作により外れることで、避難用構造物本体が分解される構成であれば、任意の設計とすることができる。例えば、ラッチ式構造にセンサ等を連動させ、シェルター内部の所定の空間が浸水するなどアクシデントが生じた場合に、ラッチ式構造を解除制御するようにしてもよい。
【0067】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
100 シェルター(避難用構造物)
110 側部(シェルター本体の側部)
111 座席
111a 第1面
111b 第2面
112 上部壁
113 側部壁
114 下部壁
115、215 手摺り
120 天井部(シェルター本体の天井部)
122 開口ハッチ
124 赤色点滅灯
126 換気口
127 室内灯
128 カバーリリースレバー
130 床部(シェルター本体の床部)
132 開口ハッチ
134 錘
136 カバー収納機構
140 扉
142 排水口
150 応急処置キット収納箱
160 GPS位置情報追跡システム
170 救助用浮き輪
180 樹脂製保護カバー(保護部材)
215a 一端
215b 他端
216 支柱
218 テント
380 ラッチ式機構
SL 分解予定線
SF 側部浮揚体(二次浮揚体)
TF 天井部浮揚体(二次浮揚体)
YF 床部浮揚体(二次浮揚体)
DF 扉部浮揚体(二次浮揚体)
PB 飲料水
EF 保存食
RP 格納式パドル
F 骨組み

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