IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイコマジック・バイオテクノロジー・カンパニー・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061030
(43)【公開日】2022-04-15
(54)【発明の名称】幹細胞の増殖及び繁殖を促進する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0735 20100101AFI20220408BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20220408BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20220408BHJP
   C12N 5/0797 20100101ALI20220408BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220408BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20220408BHJP
【FI】
C12N5/0735 ZNA
C12N5/0775
C12N5/0789
C12N5/0797
C12N5/10
C12N15/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021163969
(22)【出願日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】63/087,677
(32)【優先日】2020-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/235,777
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514219514
【氏名又は名称】マイコマジック・バイオテクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル リー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB19
4B065BD39
4B065CA44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】未分化幹細胞を増殖又は繁殖させる方法を提供する。
【解決手段】幹細胞の集団を、有効量の特定の配列を有するマンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又は特定の配列を有するその断片と接触させることを含む、方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未分化幹細胞を増殖又は繁殖させる方法であって、幹細胞の集団を、有効量のマンネンタケ属免疫調節タンパク質、その組換え体又はその断片と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
幹細胞は、前記繁殖後に未分化のままである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質の組換え体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質の断片は、配列番号1~2からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片の量は、15μg/mL未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片の量は、12.5μg/mL未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片の量は、約1.0μg/mL~約15μg/mLの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片の量は、約1.5μg/mL~約12.5μg/mLの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片の量は、約1.5μg/mL~約6.5μg/mLの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
幹細胞の集団はヒト由来である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
幹細胞の集団は、人工多能性幹(iPS)細胞の集団、胚性幹(ES)細胞の集団、生殖細胞の集団、組織特異的幹細胞の集団、又は成体幹細胞の集団を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
幹細胞は、胚性幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨髄間質細胞、造血系幹細胞、脂肪由来幹細胞、内皮幹細胞、歯髄幹細胞、又は神経幹細胞である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
2.発明の詳細な説明
本出願は、2020年10月5日に出願された米国仮出願番号第63/087,677号に対して、35 U.S.C.§119に基づく利益を主張するものである。先行出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願には、ASCII形式で電子的に出願された配列表が含まれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2021年4月20日に作成された当該ASCIIコピーは、G4590-10300US_SeqListing.txtと名付けられ、サイズは3キロバイトである。
【0003】
本開示は、幹細胞の増殖を促進する方法に関する。特に、本開示は、免疫調節タンパク質を使用して幹細胞の増殖を促進する方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
多能性幹細胞は、自己複製と分化の能力を持つことによって特徴づけられる。幹細胞は、典型的には形態並びに特徴的なマーカーの存在によって特徴づけられる。幹細胞が分化すると、細胞の形態に表現型の変化が生じる場合がある。また、幹細胞が分化すると、幹細胞マーカー又はテロメラーゼ活性が失われる場合がある。幹細胞が分化すると、外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つの胚性胚葉のうち、1つ以上の胚葉に特徴的なマーカー又は形態がさらに獲得される場合がある。現在、未分化多能性幹細胞を繁殖させるために、分化細胞を排除し、未分化細胞の増殖を促す培養試薬が用いられている。
【0005】
しかし、当技術分野では、未分化幹細胞の増殖を促進する方法の開発が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、驚くべきことに、マンネンタケ属(Ganoderma)免疫調節タンパク質又はその組換え体が、未分化な幹細胞を増殖又は繁殖させ、幹細胞を未分化な状態に維持するのに有利な有効性を提供することを見出した。
【0007】
一態様では、本開示は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させる方法であって、幹細胞の集団を、有効量のマンネンタケ属免疫調節タンパク質、その組換え体又はその断片と接触させることを含む、方法を提供する。
【0008】
別の態様では、本開示は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させるのに十分な量のマンネンタケ属免疫調節タンパク質、その組換え体又はその断片、及び化学的に定義された幹細胞培養培地を含む、幹細胞培養栄養補助剤も提供する。
【0009】
一実施形態では、本明細書に記載の幹細胞は、未分化を維持している。
【0010】
一実施形態では、本明細書に記載のマンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質の組換え体は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質の断片は、配列番号1~2からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
配列番号1~4の配列を以下に示す。
【0012】
一実施形態では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片の量は、15μg/mL未満であり、好ましくは12.5μg/mL未満である。一部の実施形態では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片の量は、約1.0μg/mL~約15μg/mL、約1.5μg/mL~約15μg/mL、約2.0μg/mL~約15μg/mL、約2.5μg/mL~約15μg/mL、約3.0μg/mL~約15μg/mL、約3.5μg/mL~約15μg/mL、約4.0μg/mL~約15μg/mL、約4.5μg/mL~約15μg/mL、約5.0μg/mL~約15μg/mL、約5.5μg/mL~約15μg/mL、約6.0μg/mL~約15μg/mL、約6.5μg/mL~約15μg/mL、約7.0μg/mL~約15μg/mL、約7.5μg/mL~約15μg/mL、約8.0μg/mL~約15μg/mL、約8.5μg/mL~約15μg/mL、約9.0μg/mL~約15μg/mL、約9.5μg/mL~約15μg/mL、約10.0μg/mL~約15μg/mL、約10.5μg/mL~約15μg/mL、約11.0μg/mL~約15μg/mL、約11.5μg/mL~約15μg/mL、1.0μg/mL~約12.5μg/mL、約1.5μg/mL~約12.5μg/mL、約2.0μg/mL~約12.5μg/mL、約2.5μg/mL~約12.5μg/mL、約3.0μg/mL~約12.5μg/mL、約3.5μg/mL~約12.5μg/mL、約4.0μg/mL~約12.5μg/mL、約4.5μg/mL~約12.5μg/mL、約5.0μg/mL~約12.5μg/mL、約5.5μg/mL~約12.5μg/mL、約6.0μg/mL~約12.5μg/mL、約6.5μg/mL~約12.5μg/mL、約7.0μg/mL~約12.5μg/mL、約7.5μg/mL~約12.5μg/mL、約8.0μg/mL~約12.5μg/mL、約1.5μg/mL~約10μg/mL、約1.5μg/mL~約8.5μg/mL、約1.5μg/mL~約8.0μg/mL、約1.5μg/mL~約7.5μg/mL、約1.5μg/mL~約7.0μg/mL、約1.5μg/mL~約6.5μg/mL、約1.5μg/mL~約6.0μg/mLの範囲である。さらなる実施形態では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片の量は、約1.5μg/mL、約1.5625μg/mL、約3.0μg/mL、約3.125μg/mL、約6.25μg/mL、又は約12.5μg/mLである。
【0013】
一実施形態では、幹細胞の集団はヒト由来である。
【0014】
一実施形態では、幹細胞の集団は、人工多能性幹(iPS)細胞の集団、胚性幹(ES)細胞の集団、生殖細胞の集団、組織特異的幹細胞の集団、又は成体幹細胞の集団を含む。一部の実施形態では、幹細胞は、胚性幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨髄間質細胞、造血系幹細胞、脂肪由来幹細胞、内皮幹細胞、歯髄幹細胞、又は神経幹細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1-1】図1A及び1Bは、ADSCの増殖に対するGMIの効果を示す図である。ADSC(5×105細胞)を、異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。処理後、細胞を採取し、総細胞数を血球計数器で分析した(B)。位相差画像(A)を光学顕微鏡で撮影した。実験は3連で行った(n=3)。GMI無処理の対照細胞に対して、**p<0.01及び***p<0.001。
図1-2】図1-1の続きである。
図2図2は、GMI処理後のADSCにおける表面マーカーの発現レベルを比較した図である。ADSC(5×105細胞)を、異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。インキュベーション後、細胞を採取し、特異的なMSC陽性(CD29、CD146、CD166、CD106、CD90、CD105、CD73、CD44)及び陰性(CD34、CD45、CD11b、CD19、HLA-DR)の表面マーカー抗体で染色した。結果をフローサイトメトリー(BD Accuri(商標) C6 Plus)で解析した。実験は3連で行った(n=3)。
図3-1】図3A及び3Bは、対照のADSC又はGMI処理したADSCの分化能力を示す図である。ADSCを、異なる濃度のGMI(0、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。処理後、対照のADSC(6×104細胞)及びGMI処理したADSC(6×104細胞)を、脂肪生成分化培地で21日間(A)又は骨形成分化培地で14日間(B)培養した。ADSCの位相差画像を示した時点で撮影した。上段パネル及び中段パネルは、脂肪生成又は骨形成分化誘導後の細胞形態の変化を示す。下段パネルは、脂肪生成又は骨形成分化誘導後の染色結果を示す。スケールバーは、骨形成分化では100mm、脂肪生成分化では50mmである。
図3-2】図3-1の続きである。
図4-1】図4A及び4Bは、BMSCの増殖に対するGMIの効果を示す図である。BMSC(2×105細胞)を、異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。処理後、細胞を採取し、総細胞数を血球計数器で分析した(B)。位相差画像(A)を光学顕微鏡で撮影した。実験は3連で行った(n=3)。GMI無処理の対照細胞に対して、*p<0.05及び**p<0.01。
図4-2】図4-1の続きである。
図5図5は、GMI処理後のBMSCにおける表面マーカーの発現レベルを比較した図である。BMSC(2×105細胞)を、異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。インキュベーション後、細胞を採取し、特異的なMSC陽性(CD29、CD146、CD166、CD106、CD90、CD105、CD73、CD44)及び陰性(CD34、CD45、CD11b、CD19、HLA-DR)の表面マーカー抗体で染色した。結果をフローサイトメトリー(BD Accuri(商標) C6 Plus)で解析した。実験は3連で行った(n=3)。
図6-1】図6A及び6Bは、対照のBMSC又はGMI処理したBMSCの分化能力を示す図である。BMSCを、異なる濃度のGMI(0、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。処理後、対照のBMSC(6×104細胞)及びGMI処理したBMSC(6×104細胞)を、脂肪生成分化培地で21日間(A)又は骨形成分化培地で14日間(B)培養した。BMSCの位相差画像を示した時点で撮影した。上段パネル及び中段パネルは、脂肪生成又は骨形成分化誘導後の細胞形態の変化を示す。下段パネルは、脂肪生成又は骨形成分化誘導後の染色結果を示す。スケールバーは、骨形成分化の写真では100mm、脂肪生成分化の写真では50mmである。
図6-2】図6-1の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料をここに記載する。本明細書に言及されているすべての出版物は、参照のために本明細書に組み込まれる。
【0017】
本出願では、特に明記しない限り、単数形の使用は複数形を含み、冠詞「a」又は「an」は「少なくとも1」を意味し、「又は」の使用は「及び/又は」を意味する。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「成長」とは、より大きく、より長く、若しくはより多くなるプロセス、又はサイズ、数、若しくは体積の増加を表す。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「分化」とは、細胞又は組織の組織化又は複雑化のレベルが上がり、より特殊な機能を伴う発生のプロセスを表す。
【0020】
本明細書中で使用される場合、「有効量」とは、未分化幹細胞を繁殖させ、幹細胞を未分化な状態に維持するのに十分な量を意味する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、「対象」とは、ヒト又は非ヒトの動物を表す。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「多能性幹細胞」とは、体の器官、神経系、皮膚、筋肉、骨格を形成する3つの胚性胚葉のすべての細胞に分化できるが、栄養膜及び胎盤の胚性構成要素には分化できない細胞を表す。
【0023】
本明細書中で使用される場合、「幹細胞」とは、高い増殖能を持ち、自己再生能力(細胞分裂によってより多くの幹細胞を作る能力)を持つ未分化細胞を表し、2つ以上の異なる細胞表現型に最終的に分化することができる娘細胞を生成することができる。
【0024】
本明細書中で使用される場合、「増殖」(proliferation)とは、細胞が成長及び分裂して娘細胞を産生し、娘細胞がその細胞と同じ表現型を持つプロセスを表す。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「繁殖」(propagation)とは、単一の細胞が同一の娘細胞に連続的に分裂することにより、細胞の集団が拡大することを表す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「細胞培養」又は「培養」とは、人工的な(例えば、in vitro)環境で細胞を維持することを表す。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「細胞培養培地」、「培養培地」、又は「培地」(いずれも複数の培地)とは、細胞の培養及び/又は成長をサポートする栄養組成物を表す。
【0028】
「化学的に定義された培地」とは、ヒト又は動物の細胞をin vitro又はex vivoで培養するのに適した、すべての化学成分が既知である成長培地を表す。特定の実施形態では、化学的に定義された培地は、動物由来成分を全く含まず、またウシ胎児血清、ウシ血清アルブミン、又はヒト血清アルブミンのいずれも含有しない。これらの産物はウシ又はヒト由来であり、アルブミン及び脂質の複合混合物を含有するためである。
【0029】
驚くべきことに、マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片を用いて幹細胞を培養すると、幹細胞を増殖又は繁殖させることはできるが、分化させることはできないことがわかった。すなわち、マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させ、数回の継代において未分化な状態に維持することができる。得られた未分化幹細胞は、多分化能性(multipotent)又は多能性(pluripotent)である。
【0030】
したがって、本開示は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させる方法であって、幹細胞の集団を、有効量のマンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体又はその断片と接触させることを含む、方法を提供する。
【0031】
幹細胞の特定の実施形態は、胚性幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、骨髄間質細胞、造血系幹細胞、脂肪由来幹細胞、内皮幹細胞、歯髄幹細胞、及び神経幹細胞を含む。改変された幹細胞の特定の実施形態は、MSCである。
【0032】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片の調製は、US7,601,808に記載されている。特に、US7,601,808では、マンネンタケ属免疫調節タンパク質をGMIと表し、マンネンタケ属免疫調節タンパク質の組換え体をreGMIと表し、マンネンタケ属免疫調節タンパク質の断片を配列番号2及び3と表す。マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片は、15μg/mL未満の量であり、好ましくは12.5μg/mL未満の量である。
【0033】
マンネンタケ属免疫調節タンパク質又はその組換え体若しくは断片は、必須ミネラル栄養素、必須塩類、必須アミノ酸、1種以上の栄養補助剤、及びヒアルロン酸を含む化学的に定義された幹細胞培地に添加することができる。例示的な市販の培地には、例えばDMEM、DMEM:F12、RPMIなどの古典的な製剤、及びその改変物が含まれる。
【0034】
本開示は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させるのに十分な量のマンネンタケ属免疫調節タンパク質、その組換え体又はその断片、及び化学的に定義された細胞培養培地を含む、幹細胞培養栄養補助剤も提供する。
【0035】
化学的に定義された細胞培養培地は、幹細胞のin vitro培養のために当技術分野で知られている。マンネンタケ属免疫調節タンパク質、その組換え体又はその断片は、未分化幹細胞を増殖又は繁殖させるための化学的に定義された細胞培養培地、及び化学的に定義された幹細胞培養培地に添加することができる。
【0036】
培養培地は、細胞集団、特に造血幹細胞を含む細胞集団の凍結保存、解凍、再懸濁、調節、増殖、又は維持を含むすべての細胞処理工程で使用してもよい。
【0037】
本明細書に記載の培養培地でサポートされた細胞は、研究者が決定した実験条件に従って培養することができる。しかし、所与の動物細胞種のための最適なプレーティング及び培養条件は、当業者であれば日常的な実験のみで決定できることが理解されるべきである。
【0038】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載されている発明を説明するために提供されるが、それを制限するものではない。
【実施例0039】
材料及び方法
ヒト骨髄由来及び脂肪組織由来の間葉系幹細胞の培養
56歳のドナーの骨髄から抽出した骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)及び組織由来間葉系幹細胞は、ATCC(Manassas、VA、USA)から入手した。脂肪由来幹細胞(ADSC)はLonzaから購入した。ADSCを、MSC栄養補助剤(2% FBS、5ng/ml rhFGF塩基性、5ng/ml rhFGF酸性、及び5ng/ml EGF)及びL-アラニル-L-グルタミン(2.4mM)を含む間葉系幹細胞基本培地(American Type Culture Collection、ATCC)を用いて10cmのペトリ皿に播種した。BMSCを、7% FBS、15ng/ml rhIGF-1、125pg/ml rhFGF-b及びL-アラニル-L-グルタミン(2.4mM)を含む間葉系幹細胞成長キット(ATCC)を用いて10cmのペトリ皿に播種した。培養培地を播種後24時間に交換し、その後は3日ごとに交換した。コンフルエンスに達した時点で、0.15%トリプシンを用いて37℃で4分間かけて細胞を剥離し、収集した細胞を10日ごとに最初の細胞播種密度で継代した。細胞の形態を、位相差顕微鏡を用いて記録した。
【0040】
MSCの増殖
ADSC(5×105細胞)及びBMSC(2×105細胞)を10cmペトリ皿に24時間播種し、次いで異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で72時間処理した。処理後、細胞をDPBSで2回洗浄し、1mlのアキュターゼで37℃、5分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を回収し、DPBSで洗浄した。最後に、全細胞数を血球計数器で計数した。
【0041】
フローサイトメトリー解析
異なる継代から採取した対照MSC及びGMI処理MSCについて、フローサイトメトリーにより細胞表面マーカーの発現を評価した。簡潔には、細胞を回収し、DPBSで洗浄し、1%ウシ血清アルブミンを含む非特異的ブロッキング溶液で30分間インキュベートした。ブロッキング後、細胞をDPBSで洗浄し、遠心分離を行ってブロッキング溶液を除去した。次いで、細胞を蛍光コンジュゲート抗ヒト抗体と45分間インキュベートした。具体的には、CD29(557332)、CD106(563525)、CD146(563619)及びCD166(565461)に対する抗体は、BD Pharmingenから購入し、Human MSC analysis Kit(562245)もBD Pharmingenから購入した。マウスIgGに対する抗体は、陰性染色アイソタイプ対照として使用した。染色したMSCをDPBSに再懸濁し、フローサイトメトリー(BD Accuri(商標) C6 Plus)を用いてさらに解析した。
【0042】
MSCの脂肪生成及び骨形成分化
GMI処理がMSCの分化能に影響を与えるかどうかを評価するために、細胞を播種し、間葉系幹細胞成長キット(ATCC)に異なる濃度のGMIを加えたものと共に10cmペトリ皿において前述のように3日間インキュベートした。GMI処理後、細胞を採取し、脂肪生成及び骨形成分化アッセイのために24ウェルプレートに播種した。脂肪生成及び骨形成分化アッセイは、それぞれMesenchymal Stem Cell Adipogenesis Kit及びMesenchymal Stem Cell Osteogenesis Kit(EMD Millipore Corp.、MA、USA)を用いて行った。脂肪生成分化条件では、1mMデキサメタゾン、0.5mM IBMX、10μg/mlインスリン、及び100mMインドメタシンを含む脂肪生成誘導培地で細胞を処理した。骨形成分化条件では、0.1mMデキサメタゾン、0.2mMアスコルビン酸二リン酸、及び10mMグリセロール二リン酸を含む骨形成誘導培地で細胞を処理した。細胞が100%コンフルエントになった時点で、各ウェルから培地を注意深く吸引し、0.5mlの脂肪生成誘導培地又は骨形成誘導培地を加えた。WHATを2~3日ごとに新しい誘導培地と交換した。BMSCは、誘導後21日又は14日で脂肪細胞又は骨細胞に分化することができた。MSC分化については、以下の実験でさらに解析した。
【0043】
組織学的染色
脂肪生成分化アッセイでは、各ウェルから培地を注意深く吸引し、次いで脂肪細胞を4%パラホルムアルデヒドで30分間、室温で固定した。固定後、各ウェルをPBSで3回すすぎ、次いで水で2回すすいだ。十分な量のオイルレッドO溶液(0.4ml/ウェル)を各ウェルに加えた。次いで、プレートを室温で50分間インキュベートした。インキュベーション後、オイルレッドO溶液を除去し、1mlの水で3回ウェルをすすいだ。ヘマトキシリン溶液(0.4ml/ウェル)を用いて、細胞核を5分間染色した。最後に、結果を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率、400倍)。骨形成分化アッセイでは、各ウェルから培地を注意深く吸引し、骨細胞を氷冷した70%エタノール中で1時間、室温でインキュベートすることにより固定した。固定後、エタノールを注意深く吸引し、水で5分間2回すすいだ。水を吸引し、ウェルを覆うのに十分なアリザリンレッド溶液を加え(0.5ml/ウェル)、次いで室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、アリザリンレッド溶液を除去し、1mlの水で4回ウェルを洗浄した。次いで、細胞の乾燥を防ぐために、各ウェルに1mlの水を加えた。最後に、結果を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率、100倍)。
【0044】
統計解析
統計データを平均値±SEMで示す。2群間の比較については、Student's t-testで統計解析を行い、p値が0.05未満の場合に有意とした。
【0045】
[実施例1]
低用量GMI処理はADSC増殖を誘導する
Mycomagic Biotechnology Co. Ltd.製のGMIをこれらの実施例で使用した。これはガノデルマ・ミクロスポラム(Ganoderma microsporum)から生成され、改良されたものである(参照のためにその全体が組み込まれる、米国特許第7,601,808号を参照のこと)。ヒト脂肪由来幹細胞(ADSC、PT-5006)はLonzaから購入した。これまでの研究では、GMIが腫瘍の成長を抑制し、さらに腫瘍細胞死を誘導することが示されていたが、ADSCの増殖に対するGMIの効果を示す証拠はない。ADSCの増殖に対するGMIの効果を解明するために、血球計数器を用いて細胞増殖アッセイを行った。脂肪由来幹細胞(5×105細胞)を、MSC栄養補助剤(2% FBS、5ng/ml rhFGF塩基性、5ng/ml rhFGF酸性、及び5ng/ml EGF)及びL-アラニル-L-グルタミン(2.4mM)を含む間葉系幹細胞基本培地(American Type Culture Collection、ATCC)を用いて10cmのペトリ皿に播種した。24時間インキュベーションした後、細胞を異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で72時間処理した。処理後、1mlのアキュターゼ溶液を用いて細胞を採取し、総細胞数を血球計数器で計数した(図1B)。位相差画像(図1A)を、光学顕微鏡で撮影した(倍率、100倍)。図1A及び図1Bは、GMIがADSCの増殖を有意に誘導できたことを示していた。
【0046】
表面マーカーはGMI処理後のADSC上に一貫して発現していた
フローサイトメトリー解析に使用した抗体、例えば抗CD29-PE(557332)、抗CD146-AlexaFluor647(563619)、抗CD166-BB515(565461)、及び抗CD106-Percp-Cy5.5(563525)は、BD Biosciencesから購入した。Human MSC analysis Kit(562245)はBD Biosciencesから購入した。細胞を計数した後、細胞表面マーカーの発現レベルをさらに解析した。対照ADSC及びGMI処理ADSCを採取し、抗CD29、抗CD106、抗CD146、抗CD166、抗CD90、抗CD105、抗CD73、抗CD44及び陰性マーカーカクテル抗体で30分間さらに染色した。染色後、細胞をPBSで2回洗浄し、1mlのPBSに再懸濁した。対照細胞及びGMI処理した細胞の細胞表面マーカーをフローサイトメトリー(BD ACCURI(商標) C6 Plus)で評価した。CD29、CD106、CD146、CD166、CD90、CD105、CD73、及びCD44の8種のMSC特異的表面マーカー、並びにCD34、CD11b、CD19、CD45、及びHLA-DRの5種のその他のマーカーを評価した。図2に示すように、GMI処理後も、対照及びGMI処理したADSCの90%超が、例えばCD29、CD166、CD90、CD105、CD73、及びCD44のMSC陽性マーカーを発現していた。ADSCはより低いレベルのCD146及びCD106を示したが、CD146及びCD106を発現した集団はGMI処理の影響を受けなかった。さらに、ADSCの陰性表面マーカー、例えばCD34、CD11b、CD19、CD45、及びHLA-DRを陰性対照(negative control)カクテル抗体によって測定した。図2に示すように、GMI(5μg/ml)処理後、MSC陰性マーカーを発現した集団は増加した。
【0047】
GMI処理したADSCでは、脂肪生成及び骨形成分化能力が維持される
図1によると、結果は、GMIがADSCの増殖を誘導することができることを示した。GMI処理がADSCの脂肪生成及び骨形成分化能に影響を与えるかどうかを解明するために、ADSCを異なる濃度のGMI(0、3及び5μg/ml)で3日間処理した。GMI処理後、ADSCを採取し、脂肪生成及び骨形成分化アッセイのために24ウェルプレートに播種した。脂肪生成及び骨形成分化アッセイは、それぞれMesenchymal Stem Cell Adipogenesis Kit(SCR020)及びMesenchymal Stem Cell Osteogenesis Kit(SCR028、EMD Millipore Corp.、MA、USA)を用いて行った。細胞が100%コンフルエントになった時点で、各ウェルから培地を吸引し、0.5mlの脂肪生成誘導培地又は骨形成誘導培地をウェルに加えた。次いで培地を2~3日ごとに新しい誘導培地と交換した。ADSCは、21日又は14日後に脂肪細胞又は骨細胞に分化することができた。脂肪生成分化アッセイでは(図3A)、各ウェルから培地を吸引し、次いで脂肪細胞を4%パラホルムアルデヒド中で30分間、室温でインキュベートすることによって、脂肪細胞を固定した。固定後、各ウェルをPBSで3回すすぎ、次いで水で2回すすいだ。水を除去し、オイルレッドO溶液(0.4ml/ウェル)をウェルに加えた。次いで、ウェルを室温で50分間インキュベートした。オイルレッドO溶液を除去し、1mlの水で3回ウェルをすすいだ。得られた細胞を、ヘマトキシリン溶液(0.4ml/ウェル)を用いて5分間染色した。最後に、結果を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率、400倍)。骨形成分化アッセイでは(図3B)、各ウェルから培地を吸引し、骨細胞を氷冷した70%エタノール中で1時間、室温でインキュベートすることによって、骨細胞を固定した。固定後、エタノールを除去し、水で5分間2回すすいだ。水を吸引し、ウェルを覆うようにアリザリンレッド溶液を加えた(0.5ml/ウェル)。ウェルを室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、アリザリンレッド溶液を除去し、1mlの水で4回ウェルを洗浄した。細胞の乾燥を防ぐために、各ウェルに1mlの水を加えた。最後に、結果を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率
、100倍)。図3A及び図3Bに示すように、脂肪生成を行ったADSCは、多角形又は丸形に形態が変化しただけでなく、細胞質内に豊富な脂質滴を生成した(赤色で示す)。一方、骨形成を行ったADSCは、アリザリン染色により、対照及びGMI処理した細胞にミネラルの沈着を示した。これらの観察結果から、GMI処理したADSCは、脂肪生成及び骨形成分化能を維持していた。
【0048】
[実施例2]
低用量GMI処理はBMSC増殖を誘導する
ヒト骨髄由来幹細胞(BMSC)はATCCから購入した。血球計数器を用いて細胞増殖アッセイを行った。これまでの研究では、GMIが腫瘍の成長を抑制し、さらに腫瘍細胞死を誘導することが示されていたが、BMSCの増殖に対するGMIの効果を示す証拠はない。BMSCの増殖に対するGMIの役割を調べるために、BMSC(2×105細胞)を、7%FBS、15ng/ml rhIGF-1、125pg/ml rhFGF-b及びL-アラニル-L-グルタミン(2.4mM)を含む間葉系幹細胞成長キット(ATCC)を用いて10cmのペトリ皿に播種した。24時間インキュベーションした後、細胞を異なる濃度のGMI(0、1、3、及び5μg/ml)で72時間処理した。処理後、アキュターゼを用いて細胞を採取し、細胞数を血球計数器で計数した(図4B)。位相差画像(図4A)を、光学顕微鏡で撮影した(倍率、100倍)。図4A及び図4Bは、GMIがBMSCの増殖を有意に誘導できたことを示していた。
【0049】
表面マーカーはGMI処理後のBMSC上に一貫して発現していた
フローサイトメトリー解析に使用した抗体、例えば抗CD29-PE(557332)、抗CD146-AlexaFluor647(563619)、抗CD166-BB515(565461)、及び抗CD106-Percp-Cy5.5(563525)は、BD Biosciencesから購入した。Human MSC analysis Kit(562245)はBD Biosciencesから購入した。細胞を計数した後、細胞表面マーカーの発現レベルをさらに解析した。対照BMSC及びGMI処理BMSCを、抗CD29-PE、抗CD106-Percp-Cy5.5、抗CD146-AlexaFluor647、抗CD166-BB515、抗CD90-FITC、抗CD105-Percp-Cy5.5、抗CD73-APC、抗CD44-PE及びPE標識陰性マーカーカクテル抗体で30分間染色した。染色後、細胞をPBSで2回洗浄し、1mlのPBSに再懸濁した。対照及びGMI処理した細胞の細胞表面マーカーをフローサイトメトリー(BD ACCURI(商標) C6 Plus)で評価した。CD29、CD106、CD146、CD166、CD90、CD105、CD73、及びCD44の8種のMSC特異的表面マーカー、並びにCD34、CD11b、CD19、CD45、及びHLA-DRの5種のその他のマーカーを評価した。図5に示すように、GMI処理後も、対照及びGMI処理したBMSCの90%超が、例えばCD29、CD166、CD90、CD105、CD73、及びCD44のMSC陽性マーカーを発現していた。BMSCはより低いレベルのCD146及びCD106を示したが、CD146及びCD106を発現した集団はGMI処理の影響を受けなかった。さらに、BMSCの陰性表面マーカー、例えばCD34、CD11b、CD19、CD45、及びHLA-DRを陰性対照(negative control)カクテル抗体によって測定した。図5に示すように、GMI(5μg/ml)処理後、MSC陰性マーカーを発現した集団は増加した。
【0050】
GMI処理したBMSCでは、脂肪生成及び骨形成分化能力が維持される
図4によると、GMIはBMSCの増殖を誘導することができた。GMI誘導のBMSCの増殖が脂肪生成及び骨形成分化能に影響を与えるかどうかを解明するために、脂肪生成及び骨形成分化アッセイを行った。BMSCを、異なる濃度のGMI(0、3、及び5μg/ml)で3日間処理した。GMI処理後BMSCを採取し、脂肪生成及び骨形成分化アッセイのために24ウェルプレートに播種した。脂肪生成及び骨形成分化アッセイは、それぞれMesenchymal Stem Cell Adipogenesis Kit及びMesenchymal Stem Cell Osteogenesis Kit(EMD Millipore Corp.、MA、USA)を用いて行った。細胞が100%コンフルエントである時点で、各ウェルから培地を吸引し、0.5mlの脂肪生成誘導培地又は骨形成誘導培地をウェルに加えた。培地を2~3日ごとに新しい誘導培地と交換した。BMSCは、誘導後21日又は14日で脂肪細胞又は骨細胞に分化することができた。脂肪生成分化アッセイでは(図6A)、各ウェルから培地を吸引し、次いで脂肪細胞を4%パラホルムアルデヒド中で30分間、室温でインキュベートすることによって、脂肪細胞を固定した。固定後、各ウェルをPBSで3回すすぎ、次いで水で2回すすいだ。水を吸引し、オイルレッドO溶液(0.4ml/ウェル)をウェルに加えた。ウェルを室温で50分間インキュベートした。インキュベーション後、オイルレッドO溶液を除去し、ウェルを1mlの水で3回ウェルをすすいだ。細胞核を、ヘマトキシリン溶液(0.4ml/ウェル)を用いて5分間染色した。次いで、細胞を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率、400倍)。骨形成分化アッセイでは(図6B)、各ウェルから培地を吸引し、氷冷した70%エタノール中で1時間、室温でインキュベートすることによって、骨細胞を固定した。固定後、エタノールを除去し、ウェルを水で5分間2回すすいだ。水を吸引し、ウェルを覆うようにアリザリンレッド溶液を加えた(0.5ml/ウェル)。ウェルを室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、アリザリンレッド溶液を除去し、1mlの水で4回ウェルを洗浄した。細胞の乾燥を防ぐために、各ウェルに1mlの水を加えた。最後に、結果を顕微鏡で観察し、光学顕微鏡で撮影した(倍率、100倍)。図6A及び図6Bに示すように、脂肪生成を行ったBMSCは、多角形又は丸形に形態が変化しただけでなく、細胞質内に豊富な脂質滴を生成した(赤色で示す)。一方、骨形成を行ったBMSCは、アリザリン染色により、対照及びGMI処理した細胞にミネラルの沈着を示した。GMI処理したBMSCは、脂肪生成及び骨形成分化能を維持していたことを図6は示している。
【0051】
本発明は、上で述べた特定の実施態様に関連して記載されているが、その多くの代替、並びに改良及び変更は、当業者に明らかであろう。すべてのそのような代替、改良及び変更は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
【配列表】
2022061030000001.app
【外国語明細書】