(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061056
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】リザーバタンク
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
F01P11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168813
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000108498
【氏名又は名称】タイガースポリマー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阪田 俊介
(57)【要約】
【課題】 タンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制しながら、リザーバタンクの流入管の配置の自由度を高める。
【解決手段】 液冷式冷却システムのリザーバタンク10は、タンク本体17と、流入管15と、排出管16を有する。流入管15は、タンク本体内部の冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体17に接続されている。タンク本体17の内部には柱状部材14とガイド部材13が設けられており、ガイド部材13は、流入管15からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材14に向かって略水平方向に流れる流れへと導く。柱状部材14に向かう冷却液の流れに沿って見て、柱状部材14は略鉛直方向に延在し、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線n上に、柱状部材14の一部が配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、
冷却液を貯留するタンク本体と、
タンク本体に冷却液を送り込む流入管と、
タンク本体から冷却液を排出する排出管を有しており、
前記流入管は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面よりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されており、かつ、
タンク本体内部には柱状部材が立設されており、
タンク本体内部にはガイド部材が設けられており、
前記ガイド部材は、流入管からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材に向かって略水平方向に流れる流れへと導き、
柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見て、前記柱状部材が略鉛直方向に延在し、
柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線上に、前記柱状部材の一部が配置されている、
リザーバタンク。
【請求項2】
複数の柱状部材を有し、
ガイド部材から柱状部材に向かう冷却液の流れが、第1の柱状部材により略水平方向に分流され、分流された流れが第2の柱状部材によってさらに略水平方向に分流されるように、複数の柱状部材が配置された、
請求項1に記載のリザーバタンク。
【請求項3】
柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線と、前記柱状部材とが交差する位置が、前記冷却液液面よりも鉛直方向下側である、
請求項1に記載のリザーバタンク。
【請求項4】
前記ガイド部材は湾曲したガイド面を有しており、
前記流入管の中心軸が、水平面に対し30度以上90度以下の角度をなす、
請求項1に記載のリザーバタンク。
【請求項5】
柱状部材が、タンク本体の天面と底面の間を接続するように配置されている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリザーバタンク。
【請求項6】
前記柱状部材の水平面における断面形状が、冷却液流れの上流側に凸な形状となっている、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリザーバタンク。
【請求項7】
柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見た際の柱状部材の幅が、前記流入管の直径の0.5倍以上3倍以下である、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリザーバタンク。
【請求項8】
液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、
冷却液を貯留するタンク本体と、
タンク本体に冷却液を送り込む流入管と、
タンク本体から冷却液を排出する排出管を有し、
さらに、タンク本体内部には柱状部材が立設されており、
タンク本体内部にはガイド部材が設けられており、
前記ガイド部材は、管状に形成されるとともに、ガイド部材の一端側で流入管に接続されていて、
流入管からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材に向かって略水平方向に流れる流れへと導き、
前記ガイド部材の他端側は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面よりも鉛直方向下側でタンク本体の内部空間に向けて解放されており、
柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見て、前記柱状部材が略鉛直方向に延在し、
柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線上に、前記柱状部材の一部が配置されている、
リザーバタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リザーバタンクに関する。特に液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液冷式冷却システムは、内燃機関や電気素子、電子基板等の冷却に活用されている。液冷式の冷却システムでは、冷却液を循環させて、冷却対象部材から熱を集めて、熱放出器から熱を放散して、冷却対象部材を冷却する。液冷式の冷却システムにおいて、冷却液を循環させる冷却液経路中に、冷却液のタンク、すなわちリザーバタンクを設けることがある。リザーバタンクは、冷却液の気化等による減少を補ったり、冷却液の温度変化による体積変化を吸収したりする。また、冷却液中に気泡が生じると、冷却効率が低下することがあるため、リザーバタンクにより冷却液中の気泡を分離する、すなわち気液分離を行うことがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、リザーバタンク本体の中に、矩形状のバッフルプレートを、特定の向きの風車状となるように配置する技術が開示されている。当該リザーバタンクによれば、通水抵抗の増加や構造の複雑化を招かずに冷却液から気泡を分離できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、冷却システムをより高性能化するために、特許文献1のようなリザーバタンクを通過する冷却液の流量をより増加させたいとの要請が生じてきている。しかしながら、特許文献1のようなリザーバタンクにおいてリザーバタンクを通過する冷却液の流量が増加すると、タンク本体内部に流れ込んだ冷却液が波打つように暴れやすく、タンク内の空気を巻き込んで気泡が発生してしまい、期待するレベルの気液分離効果が得られにくいことが判明した。
【0006】
特に、近年、リザーバタンクの小型化の要請が高まるにつれて、タンク本体内部の冷却液のあばれが発生しやすくなってきた。また、リザーバタンクが配置される空間の制約等により、タンク内部の冷却液流れを最適化できる位置に、リザーバタンクの流入管や排出管を配置できないことがある。
本発明の目的は、リザーバタンクのタンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制することにある。また、本発明の他の目的は、タンク内の冷却液流れを改善しつつ、リザーバタンクの流入管の配置の自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、鋭意検討の結果、流入管からの冷却液の流れが、タンク本体内に貯留された冷却液中に直接流れ込むようにしつつ、タンク本体内に柱状部材とガイド部材を設け、ガイド部材により流入管からの冷却液の流れを略水平に柱状部材に向かう流れへと導き、その流れの延長線上に前記柱状部材の一部を配置すると、タンク本体内部の液面のあばれが抑制でき、タンクの流入管の配置の自由度が高められることを知見し、本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、冷却液を貯留するタンク本体と、タンク本体に冷却液を送り込む流入管と、タンク本体から冷却液を排出する排出管を有しており、前記流入管は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面よりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されており、かつ、タンク本体内部には柱状部材が立設されており、タンク本体内部にはガイド部材が設けられており、前記ガイド部材は、流入管からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材に向かって略水平方向に流れる流れへと導き、柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見て、前記柱状部材が略鉛直方向に延在し、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線上に、前記柱状部材の一部が配置されている、リザーバタンクである(第1発明)。
【0009】
第1発明において、好ましくは、複数の柱状部材を有し、ガイド部材から柱状部材に向かう冷却液の流れが、第1の柱状部材により略水平方向に分流され、分流された流れが第2の柱状部材によってさらに略水平方向に分流されるように、複数の柱状部材が配置される(第2発明)。また、第1発明において、好ましくは、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線と、前記柱状部材とが交差する位置が、前記冷却液液面よりも鉛直方向下側である(第3発明)。また、第1発明において、好ましくは、前記ガイド部材は湾曲したガイド面を有しており、前記流入管の中心軸が、水平面に対し30度以上90度以下の角度をなす(第4発明)。
【0010】
また、第1発明ないし第4発明のいずれかにおいて、好ましくは、柱状部材が、タンク本体の天面と底面の間を接続するように配置されている(第5発明)。また、第1発明ないし第4発明のいずれかにおいて、好ましくは、前記柱状部材の水平面における断面形状が、冷却液流れの上流側に凸な形状となっている(第6発明)。また、第1発明ないし第4発明のいずれかにおいて、好ましくは、柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見た際の柱状部材の幅が、前記流入管の直径の0.5倍以上3倍以下である(第7発明)。
【0011】
また、本発明は、液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、冷却液を貯留するタンク本体と、タンク本体に冷却液を送り込む流入管と、タンク本体から冷却液を排出する排出管を有し、さらに、タンク本体内部には柱状部材が立設されており、タンク本体内部にはガイド部材が設けられており、前記ガイド部材は、管状に形成されるとともに、ガイド部材の一端側で流入管に接続されていて、流入管からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材に向かって略水平方向に流れる流れへと導き、前記ガイド部材の他端側は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面よりも鉛直方向下側でタンク本体の内部空間に向けて解放されており、柱状部材に向かう冷却液の流れに沿って見て、前記柱状部材が略鉛直方向に延在し、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線上に、前記柱状部材の一部が配置されている、リザーバタンクである(第8発明)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリザーバタンク(第1発明、第8発明)によれば、タンク本体内部の液面のあばれが抑制され、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる。また、ガイド部材を設けたので、流入管を設ける位置や角度の自由度が高められる。
また、第8発明のようにされた場合には、流入管を設ける位置や角度の自由度が特に高められる。
【0013】
さらに、第2発明ないし第4発明のようにされた場合には、液面のあばれ抑制効果や気泡発生抑制効果が、より向上する。また、第4発明のようにされた場合には、流入管を設ける位置や角度の自由度が特に高められる。
また、第5発明のようにされた場合には、柱状部材の振動が抑制され、リザーバタンクからの騒音の発生が抑制される。
また、第6発明や第7発明のようにされた場合には、液面のあばれ抑制効果や気泡発生抑制効果が、より向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態のリザーバタンクの構造を示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態のリザーバタンクの構造を示す横断面図である。
【
図3】第1実施形態のリザーバタンクの作用を示す横断面図である。
【
図4】第1実施形態のリザーバタンクの作用を示す縦断面図である。
【
図5】第1変形例のリザーバタンクの構造及び作用を示す横断面図である。
【
図6】第2実施形態のリザーバタンクの構造を示す縦断面図および横断面図である。
【
図7】柱状部材の変形例の形状を示す横断面図である。
【
図8】第3実施形態のリザーバタンクの構造を示す横断面図である。
【
図9】参考例のリザーバタンクの作用を示す縦断面図である。
【
図10】第4実施形態のリザーバタンクの構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照しながら、自動車の内燃機関の液冷式冷却システムに設けられるリザーバタンクを例として、発明の実施形態について説明する。発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。液冷式冷却システムの用途は、内燃機関に限定されず、パワー素子やインバータなどの電気素子や電子回路基板等の電気部品を冷却する用途であってもよく、他の用途であってもよい。
【0016】
図1、
図2に第1実施形態のリザーバタンク10の構造を示す。
図1では、リザーバタンク10の縦断面図を示し、
図2では、リザーバタンク10の横断面図を示している。
図1の縦断面図は、
図2のX-X線を通る鉛直面で取ったX-X断面図である。また、
図2の横断面図は、
図1のY-Y線を通る水平面で取ったY-Y断面図である。
リザーバタンク10は、中空のタンク本体17に流入管15と排出管16が接続されて構成されている。液冷式冷却システムの冷却液経路の中で、リザーバタンク10は、流入管15から中空のタンク本体17内に冷却液が流れこみ、中空のタンク本体17から排出管16を通じて冷却液が流れ出ていくように、冷却液経路中に配置・接続されて使用される。
【0017】
図1の縦断面図では、図の上側が鉛直方向上側を示している。本実施形態では、下側ケース11と上側ケース12とが一体化されて、リザーバタンク10が構成されている。下側ケース11と上側ケース12とが一体化されることにより、中空のタンク本体17が構成される。本実施形態では、流入管15および排出管16は下側ケース11に一体成形されているが、流入管15および排出管16は別の構成によってタンク本体17に一体化されていてもよい。
【0018】
タンク本体17には、冷却液Lが貯留される。タンク本体17の鉛直方向上部には、空気が貯留されている。
流入管15は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されている。かかる構成により、流入管15から送り込まれる冷却液は、タンク内に貯留された冷却液に直接(すなわち空気中を通過せずに)流れ込むことになる。
【0019】
排出管16も、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されている。かかる構成により、冷却液が効率的に排出管16を通じてタンク本体17から排出される。
【0020】
タンク本体17の内部には柱状部材14が立設されている。本実施形態では、1本の柱状部材14が略鉛直方向に延在するように立設されている。後述する変形例のように、柱状部材は複数であってもよい。また、柱状部材は鉛直方向に対し、傾いていてもよい。
【0021】
タンク本体17の内部にはガイド部材13が設けられている。本実施形態では、湾曲したガイド面を有する板状のガイド部材13が設けられている。典型的には、ガイド部材は、全体が冷却液中に水没するように設けられる。ガイド部材13は、流入管15からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れを、柱状部材14に向かって略水平方向に流れる流れへと導く。すなわち、流入管15から流れ込む冷却液の噴流は、ガイド部材13のガイド面に沿って流れ、噴流の流れの向きが変わって、柱状部材14に向かって略水平に流れる噴流となる。
【0022】
ガイド部材13から柱状部材14に向かう冷却液の流れに沿って見て、柱状部材14は略鉛直方向に延在している。柱状部材14は厳密に鉛直方向に延在している必要はなく、30度程度以下の傾きであれば、略鉛直方向に延在しているといえる。
【0023】
さらに、柱状部材14に向かう冷却液の流れの延長線n上に、柱状部材14の一部が配置されている。かかる構成により、ガイド部材13により略水平方向に柱状部材に向かうようにされた冷却液の噴流は、柱状部材の一部にぶつかるように流れ、柱状部材14をよけるように略水平方向に分流して流れることになる(
図3)。
【0024】
必須ではないが、本実施形態では、柱状部材14は、横断面(水平面での断面)が略Dの字状断面となる、中空形状とされている。そして、円弧状に湾曲する側の面が、ガイド部材13の側に面するように、柱状部材14が設けられている。後述するように、柱状部材14は他の形態のものであってもよい。
【0025】
必須ではないが、本実施形態のように、柱状部材14に向かう冷却液の流れの延長線nと、柱状部材14とが交差する位置が、冷却液液面Sよりも鉛直方向下側であることが好ましい。柱状部材14に向かう冷却液の流れの延長線nと、柱状部材14とが交差する位置は、冷却液液面Sと鉛直方向で実質的に同じ高さであってもよい。より好ましくは、柱状部材14に向かう冷却液の流れの延長線nと、柱状部材14とが交差する位置が、流入管15がタンク本体17に接続される位置よりも、鉛直方向下側とされる。
【0026】
また、必須ではないが、本実施形態のように、柱状部材14に向かう冷却液の流れが、実質的に水平に流れるとともに、柱状部材14が、略鉛直方向に延在していることが好ましい。
【0027】
また、必須ではないが、本実施形態のように、柱状部材14が、タンク本体の天面と底面の間を接続するように配置されていることが好ましい。本実施形態のように、柱状部材が下側ケース側と上側ケース側に分割されて形成されていて、それら分割形成された柱状部材が互いに接合(好ましくは溶着)されることが特に好ましい。
【0028】
また、必須ではないが、本実施形態のように、柱状部材14の水平面における断面形状が、冷却液流れの上流側に凸な形状となっていることが好ましい。
【0029】
また、必須ではないが、本実施形態のように、柱状部材14に向かう冷却液の流れに沿って見た際の柱状部材の幅D2が、前記流入管の直径(内径)d1の0.5倍以上3倍以下である、すなわち、0.5*d1≦D2≦3*d1であることが好ましい。特に、1*d1≦D2≦1.5*d1であることが好ましい。本実施形態ではD2=1.3*d1とされている。0.5*d1≦D2であれば、柱状部材による流れの分流効果が十分に発揮されやすい。また、D2≦3*d1であれば、流れが柱状部材にぶつかって鉛直方向上方に向かうことが抑制でき、冷却液液面のあばれ抑制がより効果的になる。
【0030】
リザーバタンク10のタンク本体17やガイド部材13、柱状部材14、流入管15、排出管16が構成できる限りにおいて、具体的に、どのような部材に分割してかかる構造を実現するかは特に限定されない。本実施形態では、下側ケース11と上側ケース12の2つに分割して組み立て、かかる構成を実現したが、別の部材構成によりこうした構造を実現してもよい。たとえば、タンク本体17が鉛直面で2分割されるようにして構成部材を形成し、それらを組み立ててかかる構成を実現してもよい。
【0031】
また、上記実施形態のリザーバタンク10を構成する材料や、リザーバタンク10の製造方法は特に限定されず、公知の材料や公知の製造方法により、リザーバタンク10を製造できる。典型的には、リザーバタンク10は、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂により構成される。使用される冷却液の種類や温度、圧力などに応じて、リザーバタンクの材料や補強構造等が決定される。また、典型的には、リザーバタンク10は、上記下側ケース11、上側ケース12に相当する部材を、それぞれ射出成型により形成し、これら部材を振動溶着や熱板溶着などにより一体化して製造することができる。その場合、流入管15や排出管16、柱状部材14は、それぞれ、下側ケース11もしくは上側ケース12に一体成型しておくことが好ましいが、別部材としておいて、後で組み立てて一体化してもよい。
【0032】
上記第1実施形態のリザーバタンク10の作用および効果について説明する。上記第1実施形態のリザーバタンク10によれば、タンク本体内部の液面のあばれを抑制し、気泡の発生を抑制できる。
【0033】
図9には、参考例として、柱状部材のないリザーバタンクにおけるタンク本体内部の冷却液の流れを示す。
図9の参考例は、柱状部材14がない点、および流入管の配置が異なる点をのぞいて、第1実施形態のリザーバタンク10と同じ構成である。
【0034】
参考例のリザーバタンク99では、流入管から冷却液が勢いよく流れ込んでくると、(流れ込む冷却液の流れQを白抜き矢印で示す、)タンク本体内に流れ込んだ冷却液は、そのまま直進して、流入管と対向するタンク壁面に激しく衝突し、冷却液が上方にも拡散して流れる。この流れにより、タンク本体内部の冷却液の液面は激しく波立つ。この激しい波立ちによって、空気が冷却液中に巻き込まれ、気泡を発生させてしまう。
【0035】
特に、周囲のレイアウトの制約等により、流入管から鉛直方向上側に向かうように冷却液がタンク内に流れ込んでくる場合には、タンク本体内部の冷却液の液面は特に激しく波立ち、気泡を発生させてしまう。このため、参考例のようなリザーバタンクでは、流入管の配置に制約が多い。
【0036】
冷却液中の気泡は、冷却液の循環効率の低下や、冷却液による熱輸送効率を低下させ、冷却システムの冷却性能の低下につながる。
【0037】
上記第1実施形態のリザーバタンク10では、流入管15は、冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されており、かつ、タンク本体内部に、柱状部材が立設されていて、タンク本体内部に設けられたガイド部材13によって、流入管からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れが、柱状部材14に向かって略水平方向に流れる流れへと導かれ、柱状部材14に向かう冷却液の流れに沿って見て柱状部材14は略鉛直方向に延在して、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線n上に柱状部材14の一部が配置されているので、タンク本体内部の液面のあばれが抑制され、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる。
【0038】
即ち、第1実施形態のリザーバタンク10では、流入管からの冷却液の流れが空気中を通過せずに、貯留された冷却液中に直接流れ込むとともに、流入管15から流れ込んだ冷却液は、ガイド部材13によって、柱状部材14に向かって略水平に流れるように導かれる。そして、その流れは、柱状部材14にぶつかるように流れ、
図3に示すように、柱状部材14をよけるように、略水平方向に分かれて流れることになる。かかる分流によって、流入管15から流れ込んだ冷却液の激しい勢いは、柱状部材14により分散されて弱くなる。その結果、弱くなった冷却液Lの流れがタンク本体の壁面にぶつかるため、
図9の参考例のように激しく液面Sが波立つことが抑制される。したがって、第1実施形態のリザーバタンク10では、タンク本体内部の液面のあばれが抑制され、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる(
図4)。
【0039】
また、通常、流入管の配置は周囲のレイアウトの制約を受けるため、流入管から流れ込む噴流がうまく分流されるように柱状部材を設けることが難しいこともある。第1実施形態のリザーバタンク10では、ガイド部材13によって、流入管から流れ込む冷却液の噴流が、柱状部材に向かうように略水平方向に流れるようにできる。そのため、ガイド部材の位置や形状、角度を調整すれば、流入管のレイアウトの制約を受け入れても、タンク内部の冷却液流れをうまく制御し、気泡の発生を抑制できるようになるので、流入管のレイアウトの自由度が高められる。
【0040】
流入管15からの冷却液の流れを、柱状部材14に向けて略水平方向に流れる流れにできるようなガイド面を有する限りにおいて、ガイド部材13の具体的形態は特に限定されない。
ガイド部材は、板状、特にタンク本体から突出形成されたリブ状であってもよい。また、ガイド部材は、ブロック状であってもよく、あるいは、後述する第2実施形態のように、タンク本体17の周壁の一部を変形させたものであってもよい。
【0041】
また、ガイド部材13において、冷却液を導くガイド面の形状は、平面状であってもよいが、湾曲したガイド面であることが好ましい。例えば、ガイド部材は、湾曲した板状であることが好ましい。また、ガイド部材は、冷却液の噴流が鉛直方向上方に拡散しないよう、樋状もしくは管状に設けられていてもよい。ガイド部材が管状に設けられた例を、後述する第4実施形態に示す。
【0042】
また、よりタンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制する観点からは、
図5に示した第1変形例のリザーバタンク19のように、リザーバタンク19が、複数の柱状部材14a,14b,14bを有し、流入管15からタンク本体17に流れ込んだ冷却液の流れが、ガイド部材13により柱状部材14に向かうように曲げられ、第1の柱状部材14aにより略水平方向に2つに分流され、分流された流れが第2の柱状部材14bによってさらに略水平方向に2つに分流されるように、複数の柱状部材が配置されることが好ましい。柱状部材は2つ、3つ、もしくは4つ以上であってもよい。また、柱状部材による流れの分流は、2つの流れへの分流であってもよいが、3つ以上の流れへの分流であってもよい。
【0043】
第1変形例のリザーバタンク19のような構成とすれば、冷却液流れがより拡散、分流して、穏やかな流れとなるため、タンク本体内部の液面のあばれ抑制効果や、リザーバタンク内部での気泡の発生抑制効果がより高められる。また、複数の柱状部材を設ける場合には、ガイド部材13から柱状部材14に向かう冷却液の流れ方向に対し、ボーリングのピンを並べる配置のように、複数の柱状部材が配置されることが好ましい。
【0044】
また、よりタンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制する観点からは、柱状部材に向かう冷却液の流れの延長線nと、柱状部材14とが交差する位置が、冷却液液面Sよりも鉛直方向下側であることが好ましい。このようにされていれば、柱状部材に向かう冷却液の流れが、冷却液の液面から勢いよく上方に吹き出してしまうことが抑制され、より、タンク本体内部の液面のあばれが抑制される。
【0045】
また、よりタンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制する観点からは、柱状部材に向かう冷却液の流れが、実質的に水平に流れるとともに、柱状部材14が、略鉛直方向に延在していることが好ましい。かかる構成により、柱状部材に向かう冷却液の流れは、柱状部材14により、確実に略水平方向に分流されることになって、上下方向には流れにくく、より、タンク本体内部の液面のあばれが抑制されるからである。
【0046】
また、上記第1実施形態のリザーバタンク10のように、柱状部材14が、タンク本体17の天面と底面の間を接続するように配置されている場合には、柱状部材14の振動が抑制され、リザーバタンクからの騒音の発生が抑制されるとの効果も奏される。柱状部材14には、冷却液が噴流となってぶつかるため、柱状部材が片持ち梁状に立設されていると、柱状部材が振動しやすく、リザーバタンクからの騒音が発生するおそれがある。柱状部材14が、タンク本体17の天面と底面の間を接続するように、両持ち梁状に配置されていれば、柱状部材に冷却液の流れがぶつかる部分の剛性が高められ、柱状部材14の振動が抑制され、リザーバタンクからの異音の発生が抑制される。
【0047】
発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分については同じ番号を付して説明し、その詳細な説明を省略する。また、これら実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0048】
図6には第2実施形態のリザーバタンク20を示す。
図6は、第1実施形態における
図1に対応するリザーバタンク20の縦断面図(上の図)、および第1実施形態における
図2に対応するリザーバタンク20の横断面図(下の図)である。第2実施形態のリザーバタンク20は第1実施形態のリザーバタンク10と比べ、流入管25の位置および方向、ガイド部材23の形状、および柱状部材24の形状が異なっているが、他の構成は、第1実施形態のリザーバタンク10とおおむね同様である。
【0049】
第2実施形態のリザーバタンク20では、流入管25が、タンク本体27の底面に、略鉛直方向に延在するように設けられている。なお、本実施形態でも、排出管26はタンク底面から鉛直下方に向けて設けられているが、排出管の位置や方向は、変更可能である。
【0050】
また、第2実施形態のリザーバタンク20では、タンク本体27の周壁の一部が、ガイド部材となるようにされている。すなわち、流入口25から鉛直方向上方向に向かって流れる冷却液の流れが、約90度向きを変えて、柱状部材24に向かって略水平方向に流れるように、タンク本体27の周壁が円弧状に湾曲した形状に形成されていて、この部分がガイド部材23となっている。すなわち、ガイド部材23は湾曲したガイド面を有する。
【0051】
また、第2実施形態のリザーバタンク20では、柱状部材24が、
図7(a)に示したような、山形断面の柱状部材24とされている。
また、第2実施形態のリザーバタンクでは、柱状部材24は、タンク本体の天面からタンク底面に向かって突出するように、片持ち梁状に設けられている。
【0052】
第2実施形態のリザーバタンク20であっても、第1実施形態のリザーバタンク10と同様に、ガイド部材23と柱状部材24とによって、冷却水の流れを略水平方向に分流させ拡散できるので、タンク本体内部の液面のあばれを抑制し、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる。
【0053】
また、第2実施形態のリザーバタンク20のように、流入管25の中心軸が、水平面に対し30度以上90度以下の角度をなしていてもよい。この場合にも、ガイド部材23によって、冷却液流れが略水平方向の流れとなって柱状部材24に向かうようにでき、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる。このように流入管25の中心軸が、水平面に対し30度以上90度以下の角度をなしている場合であっても、気泡の発生が抑制できるので、流入管等の配置の自由度が特に高められる。
【0054】
図7には、柱状部材の他の形態例の水平面における断面形状の例を示す。なお、
図7において、白抜き矢印は、柱状部材に向かう冷却液の流れの方向を示している。
柱状部材は、
図7(a)に示したような、山形断面(くの字型断面)の柱状部材24であってもよい。また、柱状部材は、
図7(b)に示したような、円形断面(中空円筒型断面)の柱状部材24bであってもよい。また、柱状部材は、中実の部材、例えば、中実円柱型断面の柱状部材であってもよい。また、柱状部材は、角柱状の部材や、楕円柱状の部材、円錐状の部材、角錐状の部材であってもよい。
【0055】
また、柱状部材は、
図7(c)に示したような、C字状断面の柱状部材24cであってもよい。また、柱状部材は、
図7(d)に示したような、十の字状断面(上流側が階段状に形成された断面)の柱状部材24dであってもよい。また、柱状部材は、
図7(e)に示したような、流れに対向する平板状断面の柱状部材24eであってもよい。また、柱状部材は、
図7(f)に示したような、中央部にスリットを有する山形断面の柱状部材24fであってもよい。
【0056】
図2や
図5、
図7(a)、(b)、(c)、(d)に示したように、柱状部材は、柱状部材の水平面における断面形状が、冷却液流れの上流側に凸な形状となっていることが好ましい。水平面における柱状部材の断面形状が、柱状部材の冷却液流れの上流側に凸な形状となっていれば、流入口からの冷却液の噴流を効果的に水平方向に分流させ拡散することができるとともに、流入口からの冷却液の噴流が、柱状部材にぶつかって鉛直上方にはね上がることも抑制され、冷却液液面のあばれ抑制効果に優れるからである。
【0057】
また、
図7(a)、(c)に示したように、柱状部材は、冷却液の流れに面する部位の角部にR(アール)がけされた形状であることが、より好ましい。例えば、柱状部材の最上流部の角部や、柱状部材の両側端部(
図7における上端部と下端部)にRがけされていることが好ましい。これら部位がRがけされていると、冷却液の噴流が柱状部材にぶつかって流れが分かれても、柱状部材の周りで渦が発生することが抑制され、渦によって冷却液中の気泡が細かく分裂して分離しにくくなってしまうことが抑制される。
【0058】
また、
図2や
図5、
図7(a)、(c)、(f)に示したように、柱状部材は、柱状部材の水平面における断面形状が、柱状部材に向かう冷却液流れで上流側の幅が、冷却液流れの下流側の幅よりも小さくされていることが好ましく、下流側に向かうにしたがって柱状部材の幅がより大きくなるような断面形状とされていることが特に好ましい。このような断面形状とされていると、柱状部材による冷却液の分流・拡散効果がより顕著に現れ、冷却液液面のあばれ抑制効果が高められる。
【0059】
柱状部材の水平面における断面形状は、
図7(c)、(d)、(e)に示したように、柱状部材に向かう冷却液の噴流に実質的に直交するように対向する面を有していてもよい。しかしながら、こうした面は、噴流が鉛直上方にはね上がって冷却液液面を波立たせる要因ともなるため、こうした面の幅を極力狭くすることが好ましい。
【0060】
また、
図7(f)に示したように、中央部にスリットを有する柱状部材24fであれば、柱状部材に向かう冷却液の噴流を、実質的に3方向に分流、拡散させることができ、柱状部材による冷却液の分流、拡散効果がより顕著に現れ、冷却液液面のあばれ抑制効果が高められる。スリットの大きさは、スリットを通過する噴流が適度に弱められるような細さに調整される。
【0061】
図8には、第3実施形態のリザーバタンク30を示す。
図8は、第1実施形態における
図2に対応する横断面図である。第3実施形態のリザーバタンク30は、第1実施形態のリザーバタンク10と比べ、タンク本体37の形状、ガイド部材33の形状および柱状部材24cの形状や配置が異なっているが、排出管36の位置等の他の構成は、第1実施形態のリザーバタンク10と同様である。
【0062】
図1に示した第1実施形態のリザーバタンク10では、タンク本体17は直方体状であったが、第3実施形態のリザーバタンク30では、タンク本体37は球状である。タンク本体の形状は特に限定されず、円筒状、楕円筒状、楕円体状など他の形状であってもよい。
【0063】
また、第3実施形態のリザーバタンク30では、ガイド部材33は、略鉛直方向に延在する平板状である。このように、ガイド部材は湾曲しないガイド面を有するガイド部材であってもよく、流入管35から流れ込む冷却液の噴流が柱状部材に向かって略水平方向に流れるように構成された物であればよい。
【0064】
また、第3実施形態のリザーバタンク30では、柱状部材24cは
図7(c)に示したような、Cの字状(円弧状)の断面とされ、断面が、冷却液の流れの上流側に向けて凸となるように配置されている。
【0065】
図1に示した第1実施形態のリザーバタンク10と同様に、第3実施形態のリザーバタンク30でも、柱状部材に向かう冷却液流れに沿って見て、柱状部材24cが略鉛直方向に延在し、ガイド部材33からの略水平な流れが柱状部材24cにぶつかることになる。これにより、流入口からの冷却液の噴流が、実質的に略水平方向に分流、拡散されることになり、冷却液液面のあばれ抑制効果が顕著なものとなる。また、ガイド部材33が設けられることにより、流入口35の配置の自由度を高めながら、冷却液液面のあばれ抑制効果を得ることができる。
【0066】
また、上述した実施形態のリザーバタンクでは、柱状部材に向かう流れの延長線nとも鉛直方向とも直交する方向(
図1の紙面に直行する方向)から見て、柱状部材が略鉛直方向に延在した実施形態について説明したが、これは必須ではない。柱状部材は、柱状部材に向かう流れの延長線nとも鉛直方向とも直交する方向から見て、鉛直方向に対し傾くように設けられていてもよい。この場合、より具体的には、柱状部材に向かう流れの延長線nとも鉛直方向とも直交する方向から見て、柱状部材が鉛直方向下方に向かうにしたがって、柱状部材に向かう流れの下流側に向かうように、柱状部材が傾いて設けられていることが好ましい。
【0067】
このように柱状部材が傾けられていると、柱状部材に向かう冷却液の噴流が柱状部材にぶつかった際に、やや鉛直方向下側に噴流が向かうような傾向が生じるので、冷却液液面のあばれ抑制効果がより顕著なものとなる。
【0068】
図10には、第3実施形態のリザーバタンク40を示す。
図4は、第1実施形態における
図1に対応する縦断面図である。第4実施形態のリザーバタンク40は、第1実施形態のリザーバタンク10と比べ、ガイド部材43の形状および柱状部材44の形状、および流入管45の位置が異なっているが、排出管46の位置やタンク本体47の形状等の他の構成は、第1実施形態のリザーバタンク10と同様である。
【0069】
第4実施形態のリザーバタンク40では、ガイド部材43は管状である。すなわち、ガイド部材43とタンク本体47の壁面の一部とによって実質的な管路が形成されている。管状のガイド部材43は、その一端側で流入管45に接続され、他端側でタンク本体47の内部空間に向けて解放されている。そして、管状のガイド部材43により、流入管45からタンク本体内部に流れ込む冷却液の流れが、柱状部材44に向かって略水平方向に流れる流れへと導かれる。ガイド部材43は、管路が略鉛直方向に延在する部分を有していてもよい。
【0070】
管状のガイド部材は、流入管45から流れ込む冷却液の噴流が柱状部材44に向かって略水平方向に流れるように構成された物であればよく、例えば、管状のガイド部材43の前記他端側における管路が柱状部材44の方向に向かって(
図10の軸線nの方向に)延在するよう構成されていてもよい。
【0071】
ガイド部材43の他端側は、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体の内部空間に向けて解放されている。かかる構成により、流入管45からの冷却液の流れが、タンク内に貯留された冷却液の中に直接流れ込むようになり、冷却液液面のあばれ抑制効果が確実なものとなる。
【0072】
第4実施形態のリザーバタンク40のように、管状のガイド部材43がその一端で流入管45に接続され、ガイド部材43の他端が冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体内に解放されている場合には、第1実施形態ないし第3実施形態とは異なり、流入管が、タンク本体内部に貯留される冷却液の液面Sよりも鉛直方向下側でタンク本体に接続されることは必須ではない。第4実施形態では、ガイド部材43が流入管45の延長管として機能し、実質的に流入管が冷却液液面Sよりも下側でタンク本体に接続されるのと同様に機能するからである。
【0073】
図1に示した第1実施形態のリザーバタンク10と同様に、第4実施形態のリザーバタンク40でも、柱状部材に向かう冷却液流れ(
図10の軸線nの方向)に沿って見て、柱状部材44が略鉛直方向に延在し、ガイド部材43からの略水平な流れが柱状部材44にぶつかることになる。これにより、流入口からの冷却液の噴流が、実質的に略水平方向に分流、拡散されることになり、冷却液液面のあばれ抑制効果が顕著なものとなる。また、ガイド部材43が設けられることにより、流入口45の配置の自由度を特に高めながら、冷却液液面のあばれ抑制効果を得ることができる。すなわち、第4実施形態のリザーバタンク40によれば、冷却液液面Sよりも鉛直方向で高い位置に流入管45を接続してもよいので、レイアウト自由度が特に高められる。
【0074】
本発明のリザーバタンクは、更に他の構成を有していてもよい。たとえば、リザーバタンクには、取り外し可能なキャップが設けられていてもよい。このようなキャップを通じてタンクや冷却液経路内部に冷却液を満たすことができる。また、キャップに圧力開放弁を設けてもよい。また、リザーバタンクには、必要に応じ、車体等に取り付けるためのステーやボス部材などが一体化されていてもよい。また、リザーバタンクに要求される耐圧性等に応じて、リザーバタンクには、リブ等の補強構造が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
上記リザーバタンクは冷却システムの冷却液経路中に使用でき、冷却液中の気泡の発生を抑制でき、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0076】
10 リザーバタンク
11 下側ケース
12 上側ケース
13 ガイド部材
14 柱状部材
15 流入管
16 排出管
17 タンク本体
n 柱状部材に向かう流れの延長線
L 冷却液
S 冷却液の液面