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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061076
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】帽子
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/008 20210101AFI20220411BHJP
   A42B 1/00 20210101ALI20220411BHJP
   A42B 3/28 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A42B1/24 J
A42B1/00 Z
A42B3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168844
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】520388376
【氏名又は名称】内記 保
(74)【代理人】
【識別番号】100098741
【弁理士】
【氏名又は名称】武蔵 武
(72)【発明者】
【氏名】内記 保
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107DA01
3B107EA02
3B107EA03
3B107EA04
(57)【要約】
【課題】風の開口部側からの吹き出しを妨げることなく送風空間が確実に形成可能な帽子を提供する。
【解決手段】人の頭2に被せる山部3と、山部3の内側に向けて送風可能な送風手段4と、山部3の内側に設けられていてその山部3と頭2との間に山部3の開口部5側に開放された送風空間6を形成するためのスペーサー7と、を備えた帽子1において、スペーサー7は、軸方向に通気可能なパイプ状又は半パイプ状で少なくとも狭窄方向に弾性変形可能であり、そのスペーサー7の通気可能方向を上下方向に向けた状態にして山部3の開口部5内周面に複数個設けてなり、頭2に被せた状態でその頭2の外周面とスペーサー7の外周面とが接触しうるようになっていることを特徴とする。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頭に被せる山部と、
前記山部の内側に向けて送風可能な送風手段と、
前記山部の内側に設けられていてその山部と前記頭との間に山部の開口部側に開放された送風空間を形成するためのスペーサーと、を備えた帽子において、
前記スペーサーは、軸方向に通気可能なパイプ状又は半パイプ状で少なくとも狭窄方向に弾性変形可能であり、
そのスペーサーの前記通気可能方向を上下方向に向けた状態にして前記山部の前記開口部内周面に複数個設けてなり、
頭に被せた状態でその頭の外周面と前記スペーサーの外周面とが接触しうるようになっていることを特徴とする帽子。
【請求項2】
前記スペーサーは、外周面の前記頭側の高さの途中から下端部に向かって斜めに切り落とした形状のテーパ部を有することを特徴とする請求項1記載の帽子。
【請求項3】
前記スペーサーは、山部の開口部の内側に設けられるすべりに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の帽子。
【請求項4】
前記スペーサーは、弾性変形可能な合成樹脂製の帯状体で複数個を一体に連結したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被った状態で頭から下方に向けて送風可能な帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
人の頭に被せる山部と、その山部の内側に向けて送風可能な電動ファンと、前記山部の内側に設けられていてその山部と頭との間に下向きに開放された送風空間を形成するためのスペーサーと、を備えた帽子が、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭59-105477号(実開昭61-20530号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
帽子の内側に送風空間を形成するためのスペーサーは、風の吹き出し口を確保するため山部の開口部の近辺に設ける必要があるが、スペーサー自体は風を通さないため、その存在が逆に風の流れを妨げるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、風の開口部側からの吹き出しを妨げることなく送風空間が確実に形成可能な帽子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は、請求項1に記載したように、
人の頭に被せる山部と、
前記山部の内側に向けて送風可能な送風手段と、
前記山部の内側に設けられていてその山部と前記頭との間に山部の開口部側に開放された送風空間を形成するためのスペーサーと、を備えた帽子において、
前記スペーサーは、軸方向に通気可能なパイプ状又は半パイプ状で少なくとも狭窄方向に弾性変形可能であり、
そのスペーサーの前記通気可能方向を上下方向に向けた状態にして前記山部の前記開口部内周面に複数個設けてなり、
頭に被せた状態でその頭の外周面と前記スペーサーの外周面とが接触しうるようになっている帽子を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載したように、前記スペーサーは、外周面の前記頭側の高さの途中から下端部に向かって斜めに切り落とした形状のテーパ部を有する請求項1記載の帽子を提供する。
【0008】
また、請求項3に記載したように、前記スペーサーは、山部の開口部の内側に設けられる「すべり」に取り付けられている請求項1又は2記載の帽子を提供する。
【0009】
また、請求項4に記載したように、前記スペーサーは、弾性変形可能な合成樹脂製の帯状体で複数個を一体に連結したものである請求項1又は2記載の帽子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の帽子は、山部を頭に被せたとき、スペーサーの外周面が頭に当たって送風空間が保たれ、また、スペーサーが狭窄方向に弾性変形することで頭にフィットする。その状態で送風手段を作動させると、風が送風空間に入って山部の開口部側から顔、側頭部、後頭部に向けて吹き出す。このとき、開口部内周面に設けたスペーサーは、パイプ状又は半パイプ状で、通気可能方向が上下方向に向けられているため、顔等に向けて風がスムーズに通過する。
【0011】
また、請求項2に記載の帽子によれば、スペーサーの高さの途中から下端に向けてテーパ部を設けたことにより、そのテーパ部に沿って頭が山部内に入るため、スペーサーが頭に接触する際の違和感が緩和できる。
【0012】
また、請求項3に記載の帽子によれば、通常、山部の開口部内側に設けられる「すべり」にスペーサーを取り付けるようにしたため、スペーサーの取り付けやすさ等を考慮することなく、藁、布、紙、革、金属、合成樹脂など、山部の素材を自由に選択することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の帽子によれば、複数個のスペーサーを合成樹脂製の帯状体で一体に連結したため、スペーサーの山部への装着が効率よく簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】帽子を上から見た斜視図である。
図2】帽子を下から見た斜視図である。
図3】帽子の底面図である。
図4】着用時の状態を示す帽子の縦断面図である。
図5】要部を示す図4の一部拡大断面図である。
図6】(a)はスペーサーの平面図、(b)、(c)は他の形態を示すスペーサーの平面図である。
図7】他の形態を示すスペーサーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
実施形態の帽子1は周知の麦わら帽子であり、人の頭2に被せる山部3(一般名称「クラウン」)と、山部3の内側に向けて送風可能な送風手段4と、山部3の内側に設けられていてその山部3と頭2との間に山部3の開口部5側に開放された送風空間6を形成するためのスペーサー7と、から概略構成される。
【0016】
前記山部3には、開口部5の内周面に帯状のすべり8が取り付けられ、開口部5の外側に鍔部9が形成されている。
【0017】
前記送風手段4は、周知の小型送風ファンであって山部3の頂部に設けた取付孔10に装着されており、図示しないバッテリーによって駆動し、そのバッテリーに設けたスイッチによりON・OFFが切り替えうるようになっている。
【0018】
実施形態のスペーサー7は、シリコン製の丸パイプであって軸方向に通気可能であり、外力を受けると図6(a)に想像線で示したように狭窄方向に弾性変形し、外力から解放されると弾性により元の形状に戻りうる。
このスペーサー7は、通気可能方向を上下方向に向けた状態にして山部3の開口部内周面の前記すべり8に複数個接着されている。スペーサー7の配置は任意であるが、実施形態では、側頭部に対応する両横より、顔と後頭部に対応する前後の方に多くが配置されている。そうすることにより山部3の前後にスペーサー7で確実に通気用の流路が確保されるため、汗をかきやすい顔や、体温調節に効果的な後頭部に確実に風を当てることができる。
【0019】
本発明の帽子1は以上のように構成されているため、図4図5の断面図に示したように、山部3を頭2に被せたとき、スペーサー7の外周面が頭2に当たって適度な送風空間6が保たれ、また、スペーサー7が図6(a)の想像線に示したように狭窄方向に弾性変形することで頭2にフィットする。なお、図示しないが、帽子1の山部3と鍔部9の境界部分に顎紐を設けておき、それを顎に掛けて固定を確実にしてももちろんよい。
【0020】
次に、送風手段4を作動させると、送風空間6に風が送り込まれ、その風が山部3の開口部5側から顔、側頭部、後頭部に向けて吹き出す。このとき、開口部5内周面に設けたパイプ状のスペーサー7は、通気可能方向が上下方向に向けられているため、顔等に向けて風がスムーズに通過する。むしろ、スペーサー7を設けた部分では、髪の毛が邪魔にならないため、スペーサー7のない部分より送風の確実性が向上する。
【0021】
したがって、本発明の帽子1を被れば、送風手段4から送られる風によって頭や顔から熱を強制的に下げることができるため、危険な熱中症を未然に防止することができる。また、顔の前に送風によるエアシールドが形成されるため、例えばマスクを着用せず快適にゴルフ等の競技が行える。このようなエアシールドによるフェースシールド的な機能を高めるには、図2図3に示したようにスペーサー7を山部3の前側に多く配置するとよい。
【0022】
以上本発明を実施の形態により説明したが、もちろん本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態ではスペーサー7を山部3の内側に設けられたすべり8に接着するようにしたが、山部3の内面に直接接着するようにしてもよい。
【0023】
また、実施形態では、スペーサー7を単純な丸パイプで形成したが、このスペーサー7を、図7に示したように、外周面の頭2側の高さの途中から下端部に向かって斜めに真っ直ぐ或は湾曲状に切り落とした形状のテーパ部11を有する形態にしてもよい。そうすることにより、テーパ部11に沿って頭2が山部3内に入るため、スペーサー7が頭2に接触する際の違和感が緩和できる。
【0024】
また、実施形態ではスペーサー7を一個ずつ山部3のすべり8に接着するようにしたが、図6(b)に示したように、弾性変形可能な合成樹脂(例えば、スペーサー7と同じシリコン)製の帯状体12で複数個を一体に連結し、その帯状体12ごと山部3に取り付けるようにしてもよい。そうすることにより複数個のスペーサー7の山部3への装着が効率よく簡単に行える。
【0025】
また、実施形態では、スペーサー7を丸いパイプ状に形成したが、例えば図6(c)に示したように、半パイプ状に形成してもよい。もちろん同図のように、複数個の半パイプ状のスペーサー7を前記と同様に帯状体12で連結すれば、山部3への取り付けが効率よく簡単に行える。
【0026】
また、実施形態では、送風手段4として小型送風ファンを山部3の頂部に設けたが、送風する機構や配置はどのようなものであってもよく、例えば、服に組み込んだ送風ファンからパイプでエアを吹き込むようにしてもよい。
【0027】
また、実施形態では、山部3の内面全体を囲うようにスペーサー7を多数設けたが、例えば前後左右に一個ずつ、合計四個でも所期の目的は達成しうる。
【0028】
また、実施形態では、帽子1を麦わら帽子で説明したが、金属製や合成樹脂製の保護帽たるヘルメットでもよく、それ以外の布、紙、革などの素材であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 …帽子
2 …頭
3 …山部
4 …送風手段
5 …開口部
6 …送風空間
7 …スペーサー
8 …すべり
11 …テーパ部
12 …帯状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7