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特開2022-61133水処理に用いる生物反応装置、およびそれを用いた水底浄化装置、およびアクアポニックス装置
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  • 特開-水処理に用いる生物反応装置、およびそれを用いた水底浄化装置、およびアクアポニックス装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061133
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】水処理に用いる生物反応装置、およびそれを用いた水底浄化装置、およびアクアポニックス装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20220411BHJP
   C02F 3/06 20060101ALI20220411BHJP
   C02F 3/08 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
C02F3/34 101B
C02F3/34 101D
C02F3/34 Z
C02F3/06
C02F3/08 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168926
(22)【出願日】2020-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】507241779
【氏名又は名称】株式会社ウイルステージ
(74)【代理人】
【識別番号】100158768
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 達也
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洋
【テーマコード(参考)】
4D003
4D040
【Fターム(参考)】
4D003AA01
4D003AA12
4D003AB08
4D003AB12
4D003EA01
4D003EA14
4D003EA22
4D003EA23
4D003EA24
4D003EA30
4D003FA02
4D040BB07
4D040BB42
4D040BB63
4D040BB82
4D040BB91
4D040DD03
4D040DD11
4D040DD31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】好気性菌による処理と嫌気性菌による処理の同時処理を行うことで、高速の水の浄化を可能とする生物反応装置を提供する。
【解決手段】生物反応装置1は、濾材2と、当該濾材2に生育する浄化微生物と、被処理水が上記生物反応装置1に導入され、上記濾材2内を流れ、そして排水される被処理水導入排水手段3,4と、曝気手段5とを備え、上記浄化微生物は、枯草菌と、硝化菌と、脱窒菌であり、上記枯草菌種、硝化菌または硝化古細菌、および脱窒菌は同一濾材2内に生育し、上記濾材2は上記被処理水に浸漬し、上記被処理水に含まれる窒素化合物の硝化と脱窒を同一濾材2内で同時に行うものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理に用いる生物反応装置であって、
濾材と、
当該濾材に生育する浄化微生物と、
上記濾材に被処理水を導く導入経路と、
上記濾材に接触した被処理水を排水する排水経路と、
上記濾材に導かれる被処理水に酸素を供給するための曝気手段と
を備え、
上記浄化微生物は、好気性微生物である枯草菌および硝化菌と、嫌気性微生物である脱窒菌であり、
上記枯草菌、硝化菌、および脱窒菌は同一濾材内に生育し、
上記被処理水に含まれる窒素化合物の硝化と脱窒を同時に行う
水処理に用いる生物反応装置。
【請求項2】
上記濾材は固定床であり、上記曝気手段は、上記濾材に対して、上記被処理水の流れの上流側に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項3】
上記濾材の導入経路側における被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項4】
上記濾材は上記被処理水中で流動する
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項5】
納豆菌を投入する納豆菌投入手段を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項6】
上記被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下である
ことを特徴とする請求項4または5に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項7】
上記曝気手段および上記濾材を流動する手段はエアーリフト手段である
ことを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の水処理に用いる生物反応装置と、
上記生物反応装置に被処理水を送る上昇流発生手段と、
を備えた水底浄化装置。
【請求項9】
移動手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項8に記載の水底浄化装置。
【請求項10】
水棲生物が生育する飼育槽と、
植物が生育するプランターと、
請求項1から7のいずれかに記載の生物反応装置と
を備えたアクアポニックス装置。
&#8195;

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は下水や上水の処理、あるいはその他の様々な水処理に用いることができる生物反応装置に関する発明である。また、有機物が堆積した水底を浄化するための、上記生物反応装置を用いた水底浄化装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
高度な水の浄化は、物理的な浄化と、バクテリア等の微生物による生物反応装置を用いた浄化を組み合わせて行われる。生物反応装置を用いた浄化においては、有機物の除去とアンモニアや硝酸等の窒素化合物の除去が主に行われる。
【0003】
下水処理においては、特にアンモニア態窒素の除去が重要である。最も一般的な下水処理においては、生物反応装置は、溶存酸素濃度が高い好気槽と低溶存酸素濃度の嫌気槽のふたつの濾過槽で構成される。
例えば、嫌気性細菌により有機物を分解する嫌気濾床槽1(嫌気槽)と、好気性菌により有機物を分解する接触曝気槽2(好気槽)から構成される排水処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、装置の小型化、処理の簡素化を目的として、ひとつの槽で好気槽と嫌気槽を兼ねる単層式の浄化槽も開発されている。
例えば、ブロア7の運転を制御し、溶存酸素濃度を時間的に変化させることで、好気状態と嫌気状態を交互に作り出すことで、ひとつの槽で好気性菌と嫌気性菌による処理を実現している(例えば、特許文献2および特許文献3)。
【0005】
異なる浮上濾材に好気性菌と嫌気性菌を繁殖させ、槽内の下部に比重が重い嫌気性菌用濾材を、上部に比重が重い好気性菌用濾材を浮遊させ、その中間に散気手段(曝気手段)を設け、被処理水を上昇流とすることで、ひとつの槽内で好気状態と嫌気状態を作り出し、好気性菌と嫌気性菌による処理を実現した例もある(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-298290
【特許文献2】特開平11-165190
【特許文献3】特開平6-328099
【特許文献4】特開2001-269688
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された生物反応装置は、好気槽と無酸素槽のふたつのろ過槽が必要であり、また、複雑な活性汚泥量の返送制御や汚泥処理が必要であった。したがって、装置構成が複雑になり、また、装置が大型化し、さらには、処理時間が長くなるといった種々の問題があった。
【0008】
特許文献2や特許文献3に記載された、いわゆる間欠曝気により溶存酸素濃度を時間的に変化させる方法では、好気性菌と嫌気性菌とが十分に活性化するように曝気量を高精度に調整する必要がある。最適な曝気量は被処理水の汚れ具合や水温等によっても変化するため、高度な制御システムが必要となる。また、好気性菌による処理と嫌気性菌による処理が交互になされるので、浄化効率は高くない。
【0009】
特許文献4に記載された場所によって溶存酸素濃度を変える方式も同様であり、曝気量の高度な管理が必要になる。また、被処理水の流れの上流側で嫌気性菌による処理が、下流側で好気性菌による処理が行われる。嫌気性菌による処理は、好気性菌による処理によって生じた亜硝酸や硝酸を還元し脱窒する処理である。したがって、処理の方向が反応の進行と逆であるため、全体としての処理効率が低下する。
【0010】
したがって、特許文献2から4に記載された方式においては、いずれも好気性菌による処理と嫌気性菌による処理が別々に行われる。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、従来は実現できなかった好気性菌による処理と嫌気性菌による処理を同時に行う。これにより、これまでとは比較にならない高速の水の浄化を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る水処理に用いる生物反応装置は、
濾材と、
当該濾材に生育する浄化微生物と、
上記濾材に被処理水を導く導入経路と、
上記濾材に接触した被処理水を排水する排水経路と、
上記濾材に導かれる被処理水に酸素を供給するための曝気手段と
を備え、
上記浄化微生物は、好気性微生物である枯草菌および硝化菌と、嫌気性微生物である脱窒菌であり、
上記枯草菌、硝化菌、および脱窒菌は同一濾材内に生育し、
上記被処理水に含まれる窒素化合物の硝化と脱窒を同時に行う
ものである。
【0012】
また、本発明に係る水底浄化装置は、上記の水処理に用いる生物反応装置と、
上記生物反応装置に被処理水を送る上昇流発生手段と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水処理に用いる生物反応装置は上記のように構成されているため、窒素化合物の硝化および脱窒を同時に行うことができる。これにより、従来の生物反応装置と比較して、極めて高速に硝化および脱窒を行うことができる。
したがって、水処理速度の高速化、高効率化が可能である。
さらに、装置構成が簡素であるため、装置の小型化も実現できる。
【0014】
また、余剰の活性汚泥の発生が少なく、余剰汚泥処理コストを低減できる。さらに、硝化と脱窒が同時に進行するため、被処理水が酸性側に偏ることがない。したがって、中和のためのアルカリ添加が不要であり、pH調整のコストや手間も不要である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の水処理に用いる生物反応装置の内部透過的側面図である。
図2】本発明の水処理に用いる生物反応装置の内部透過的側面図であり、曝気手段を下流側に配置した場合を示している。
図3】本発明の水処理に用いる生物反応装置で処理した水質の溶存酸素依存性を示す実験結果であり、曝気手段を上流側に配置した場合である。
図4】本発明の水処理に用いる生物反応装置で処理した水質の溶存酸素依存性を示す実験結果であり、曝気手段を下流側に配置した場合である。
図5】本発明の水処理に用いる生物反応装置で処理した水質の濾材の粒径依存性を示す実験結果である。
図6】本発明の水処理に用いる生物反応装置で処理した水質の馴養期間依存性である。
図7】参考図であり、枯草菌を繁殖させない場合の水質の馴養期間依存性である。
図8】本発明の実施の形態2の水処理に用いる生物反応装置の内部透過的側面図である。
図9】本発明の実施の形態3の水底浄化装置の側面図である。
図10】本発明の実施の形態4のアクアポニックス装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の水処理に用いる生物反応装置は、下水処理や上水処理、農業排水や畜産排水処理等の様々な水処理、すなわち水の浄化に用いることができる。
なお、従来の生物反応装置と同様に、物理的ろ過や化学的処理等と併せて用いることを想定したものである。もちろん、用途次第で、単独でも水の浄化を行うことができる。
【0017】
以下において、いくつかの良好な実施の形態を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、同様の発明概念を広範に含むものである。
まず、実施の形態1において、本発明の水処理に用いる生物反応装置の基本的な要件を固定の濾材構成を中心にして説明する。次に、実施の形態2においては、流動濾材構成を中心に説明する。そして、実施の形態3においては、本発明の水処理に用いる生物反応装置の応用として、水底に堆積した有機物除去の方法について説明する。
【0018】
実施の形態1.
<構成>
図1は、本発明の水処理に用いる生物反応装置の内部透過的側面図である。
図1に示すように、本発明に係る水処理に用いる生物反応装置1は、濾材2と、この濾材2に生育する浄化微生物と、濾材2に被処理水を導く導入経路3と、濾材2に接触した被処理水を排水する排水経路4と、濾材2に導かれる被処理水に酸素を供給するための曝気手段5を備えている。被処理水は、導入経路3から生物反応装置1に導入され、上記濾材2内を流れ、そして排水経路4から排水される。
【0019】
濾材2は、微生物が繁殖できるものであれば、どのようなものであっても良い。例えば、砂利、礫、樹脂、セラミック等が適している。濾材2は、被処理水に浸漬している。あるいは、濾材2が被処理水に完全に浸漬していなくとも、濾材2に被処理水がシャワーのように滴下していても良い。
【0020】
浄化微生物は、枯草菌、硝化菌、および脱窒菌であり、同一の濾材2内に生育する。
ここで、枯草菌とは、好気性のバクテリアであり、枯草菌(Bacillus subtilis)あるいは納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)である。
硝化菌は、好気性のバクテリアであり、亜硝酸菌(アンモニア酸化細菌)および硝酸菌(亜硝酸酸化細菌)である。亜硝酸菌は土壌中のアンモニアを亜硝酸に酸化する細菌(ammonia oxidizing bacteria)あるいは、古細菌(ammonia oxidizing archaea)である。硝酸菌(nitrate bacteria)は、亜硝酸を硝酸に酸化する細菌である。
【0021】
また、脱窒菌は通性嫌気性細菌であり、硝酸HNO3または亜硝酸HNO2を還元し、窒素ガスに変えて空中に放出する作用をもつ菌で、脱窒素細菌とも呼ばれる。
【0022】
枯草菌、硝化菌、および脱窒菌を同一の濾材2内に生育(繁殖)することで、それらの協調的な関係が生まれることが本発明の大きなポイントである。同一の濾材2内に生育すると、これらの浄化微生物は、それぞれが最も効率的に働くことができるように、濾材2内の最適な場所で繁殖すると考えられる。そのため、それぞれが互いに協調的な働きができる。すなわち、相乗的な高効率の浄化反応が起きる可能性がある。特に、硝化反応と脱窒反応が同時に起こることで、窒素化合物を非常に高効率で窒素ガスに変換できる可能性がある。さらに、この際に枯草菌による有機物酸化反応が硝化および脱窒反応を加速化する可能性もある。
【0023】
曝気手段5は、ポンプや散気管等を用いて、酸素を被処理水中に導入するものである。純酸素を導入しても良いし、空気を導入しても良い。あるいは、空気や酸素のファインバブルであっても良い。図1においては、曝気手段5を生物反応装置1内に記載しているが、生物反応装置1内に被処理水を導入する前に、例えば、他の水槽を設けて、そこで被処理水に酸素を溶解しても良い。したがって、曝気手段5は必ずしも生物反応装置1内になくても良い。
【0024】
<検証実験>
本発明の水処理に用いる生物反応装置の性能を検証するためのいくつかの実験を行った。以下において、これらの実験条件および実験結果について詳述する。
【0025】
(検証実験1)
生物反応装置1の貯水槽は、縦横が1m、高さが1m20cmの水槽であり、その中に約1トンの被処理水を入れた。そして、毎分150Lの流量で被処理水を導入し、排水した。
生物反応装置1に導入する被処理水は、比較的汚れた河川の水を用い、それに硫酸アンモニウムを混ぜて、アンモニア態窒素濃度が10mg/Lとなるようにした。
【0026】
濾材2としては、平均粒径が3mmの砂を用いた。砂の全容積は300Lである。被処理水を1か月流し続けることで、この濾材2に枯草菌、硝化菌、および脱窒菌を繁殖し、馴養させた。
【0027】
導入する被処理水に予め窒素ガスを導入して溶存酸素濃度(DO)をほぼゼロにし、そして、曝気手段5の曝気量を変えることで、生物反応装置1内の被処理水の溶存酸素濃度を変化させた。溶存酸素濃度は、曝気手段5の近傍で測定した。すなわち、浄化微生物によって酸素が消費される前の水の溶存酸素濃度を測定した。
曝気手段5は、図1に示すように、濾材2に対して被処理水の流れの上流側(導入経路3側)に配置し、溶存酸素濃度はAで示す箇所で測定を行った。
比較のため、曝気手段の位置を変えて同様の実験も行った。図2に示すように、曝気手段5aを濾材2に対して被処理水の流れの下流側(排水経路4側)に配置し、溶存酸素濃度はBで示す箇所で測定を行った。
【0028】
水質は、被処理水排水手段4から排水される水の窒素化合物の除去の割合で判断した。すなわち、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の濃度を測定することで評価した。
なお、被処理水の水温は25℃である。
【0029】
図3は、曝気手段を濾材2に対して被処理水の流れの上流側に配置した場合(図1の場合)の水質評価結果、図4は曝気手段を濾材2に対して被処理水の流れの下流側に配置した場合(図2の場合)の水質評価結果である。横軸は溶存酸素濃度、縦軸は排水(浄化後の水)のアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の各濃度である。
【0030】
曝気手段を上流側に配置した場合も下流側に配置した場合も、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の各濃度は、溶存酸素濃度に対して同様の傾向を示し、5mg/Lから飽和溶存酸素濃度の間で低い濃度を示した。すなわち、高い溶存酸素濃度において、良好な水質改善が達成された。
【0031】
ただし、曝気手段を上流側に配置した場合の方が、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素の各濃度は低濃度になり、水質の改善効果が大きいことが分かった。曝気手段を上流側に配置し、溶存酸素濃度を5mg/Lから飽和溶存酸素濃度とした場合には、アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素はほぼ検出されず、硝酸態窒素も極めて低濃度であった。
【0032】
また、この結果は窒素化合物の硝化と脱窒が同時に行われていることを示している。もし、硝化だけ行われているのであれば、亜硝酸や硝酸が高濃度に残留するはずである。しかし、被処理水を循環することなく、ワンパスの処理で亜硝酸や硝酸が低濃度になっていることは、硝化と脱窒が同時に進行していることを示している。そして、硝化と脱窒が同時に進行する際には、溶存酸素濃度が高濃度なほど、硝化と脱窒の効率が向上するという重要な結果が得られた。
【0033】
(検証実験2)
次に、溶存酸素濃度を7mg/Lに固定し、濾材2の平均粒径を0.2mmから18mmまで変えて、濾材2の平均粒径が水質改善にどのように影響しているかを調べた。曝気手段5の配置は上流側である。
その他の条件は検証実験1と同様である。
【0034】
図5に実験結果を示す。
平均粒径が1mmから10mmで良好な結果が得られた。濾材2の平均粒径に関しては、このようにかなり広い範囲で良好な水質改善効果が得られることを確認できた。
【0035】
(検証実験3) (同一濾材に枯草菌も共生させた効果を示すための実験)
窒素化合物の除去は、一般的には硝化菌と脱窒菌によって行われるが、枯草菌が補助的な役割を果たしているかを確認するため、枯草菌の繁殖の有無により水質に違いが生じるか否かについても検証実験を行った。
【0036】
上流側で曝気を行い、溶存酸素濃度は7mg/Lとした。また、濾材の平均粒径は3mmとした。濾材2に枯草菌を繁殖させた場合、および枯草菌を入れないで硝化菌と脱窒菌だけを繁殖させた場合の水質について、浄化微生物の繁殖開始からの変化を調べた。すなわち、水質が浄化微生物の馴養期間内および馴養期間後でどのように変化するかについて調べた。
【0037】
図6は、濾材2に枯草菌、硝化菌、および脱窒菌を繁殖させた場合の水質データであり、横軸は繁殖開始からの期間を示している。繁殖開始から4週間目には、アンモニア態窒素と亜硝酸態窒素はほぼ消失し、硝酸態窒素も低濃度になった。繁殖開始から4週間目以降も水質は良好であった。
【0038】
図7は、濾材2に硝化菌、および脱窒菌だけを繁殖させた場合の水質データである。アンモニア態窒素は8週目までは検出され、10週目以降になって低濃度になった。また、亜硝酸は10週目になって低濃度になったが、完全には消失せず、0.2mg/L程度は10週目以降も検出された。
【0039】
以上のように、枯草菌の有無により、馴養期間と水質の両方に明確な差異が現れることが分かった
すなわち、硝化菌や脱窒菌が生育する濾材に枯草菌も生育させることで、3者の協調関係が得られ、馴養期間を短縮でき、且つ水質が向上することを確認できた。
【0040】
<本実施の形態のまとめ>
上述したように、本発明の水処理に用いる生物反応装置により、水の浄化、特に窒素化合物の除去が極めて高速に行えることを確認できた。
【0041】
本発明における特徴的な構成は、ひとつの濾材内に3種の浄化微生物を生育させることである。これにより、それぞれの微生物が最も効率的に働くことができる場所および状況で繁殖し、それによって3種の浄化微生物が互いに協調し、水処理を行うためと考えられる。
【0042】
協調関係の詳細は不明であるが、例えば、枯草菌と硝化菌の関係について述べれば、枯草菌が溶存有機物を分解することで、硝化菌が行う硝化反応の阻害物質である溶存有機物が低濃度化し、それによって硝化が高い効率で起こると考えられる。また、枯草菌が溶存有機物を分解する際に二酸化炭素を発生するが、硝化菌はこの二酸化炭素を利用してタンパク質を合成し、繁殖を促進することができる。
また、枯草菌と脱窒菌の関係について述べれば、枯草菌が懸濁有機物を溶解することで、脱窒菌が脱窒反応を行う際に必要な水素供与体が十分に提供される。
【0043】
上述したような協調関係が、実際には3種の浄化微生物間でさらに複雑に進行し、極めて高速の水処理が行われていることが想像できる。このような協調関係は、ひとつの濾材内に3種の浄化微生物が共生しているためになされることである。
【0044】
本発明において、もうひとつ特徴的なことは、5mg/L以上という高い溶存酸素濃度において、硝化だけではなく、脱窒も高速で行われることである。従来の水処理システムにおいては、硝化は高酸素濃度下で、脱窒は無酸素あるいは極めて低い酸素濃度下で行う必要があったが、その常識を覆すものである。これは、硝化と脱窒が別々に起こるのではなく、同時に、すなわち連続的な反応として進行しているためと考えられる。
【0045】
このような本発明の特徴的な構成等により、以下に述べる数多くの特長を有する水処理装置が具現化できた。
まず、第一に、従来では考えられなかった高速の硝化および脱窒が同時進行で実現できたことである。これにより、装置の小型が可能となり、水処理施設の大幅なコストダウンが可能になる。また、家庭用や小集団用の浄水システムとしても利用することができる。
さらに、硝化と脱窒が同時に進行するため、被処理水が酸性側に偏ることがない。したがって、中和のためのアルカリが不要である。
【0046】
第二に、曝気量の高度な制御が不要である。脱窒を硝化と同様の高溶存酸素濃度下で行えるため、細かな制御は不要である。被処理水に十分な酸素を供給できれば、硝化も脱窒も高速で進行させることができる。
【0047】
第三に、浄化微生物は濾材固定式であり、浮遊式の活性汚泥法と比べると、余剰汚泥はほとんど発生しない。そのため、従来の水処理で大きなコストを占める余剰汚泥の処理コストが大幅に低減する。また、返送汚泥等の構成も不要になるため、装置の低コスト化、管理の簡素化も実現できる。
【0048】
以上のように、本発明は水処理の高速化、それに伴う装置の小型化、装置コストやランニングコストの低減、管理の簡素化といった水処理装置に必要な様々な長所を併せ持つものである。
【0049】
実施の形態2.
図8を用いて、実施の形態2の水処理に用いる生物反応装置について説明する。図8は生物反応装置10の内部透過的側面図である。
実施の形態1においては、固定した濾材に浄化微生物を繁殖させたが、本実施の形態においては、被処理水中を流動する濾材20に浄化微生物を繁殖させた。
【0050】
濾材は、ポリエチレングリコール、ポリビニルフォルマール、発砲エチレン、ウレタン、軽石等の火山砕屑物といった微細孔を有し、水の比重と同等、あるいは、水よりもやや大きい比重を持つ材質であれば、どんな材質でも良い。
濾材の大きさは数mm径から数cm径程度である。
微細孔は0.5mm径から2mm径程度が望ましい。枯草菌、硝化菌、および脱窒菌を繁殖させるためには、この程度の大きさの微細孔が良い。
【0051】
枯草菌、硝化菌、および脱窒菌を繁殖させた濾材20を被処理水中で流動させる。被処理水は導入経路30から生物反応装置10に導入され、排出経路40から排出される。生物反応装置10の下部には曝気手段50が設けられている。曝気手段50は例えば散気管であり、空気や酸素が泡状になって放出される。この泡の浮力により、濾材20が流動する。すなわち、濾材20を流動させる手段は、曝気手段を用いたエアーリフトである。
【0052】
被処理水中を濾材20が流動することで、被処理水と濾材20に繁殖する浄化微生物との接触機会が増加し、被処理水の浄化が効率良く行われる。
【0053】
また、被処理水が海水である場合には、生物反応装置10の上部に設けた泡沫分離手段80より、有機物が表面に付着した泡を除去することで、懸濁有機物を効率的に除去することも可能である。
【0054】
さらに、納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)を生物反応装置10に投入することで、有機物の除去が促進する。納豆菌はγ-ポリグルタミン酸を放出し、それが繊維状の構造をとることで懸濁有機物を凝集するためである。曝気手段50を停止すれば、凝集した納豆菌は、生物反応装置10の最下部に設けられた沈殿物蓄積部70に沈殿し、バルブV3を開けて排出することもできる。
【0055】
(検証実験4)
生活排水が蓄積した池から採取した水4m3を槽内に貯め、浄化を行った。浄化前の水の主な水質は以下の通りであった。

COD(化学的酸素要求量):50mg/L
SS(懸濁有機物):55mg/L
アンモニア態窒素:20mg/L
亜硝酸態窒素:0.5mg/L
硝酸態窒素:2mg/L
【0056】
平均1cm径の日向石を濾材として用い、硝化菌、脱窒菌および枯草菌を予め繁殖させた。そして、約1.5m3の濾材を槽内に入れて、浄化を行った。曝気量は50L/分、被処理水の流量は50L/分である。
【0057】
浄化後の水質は以下のようになった。

COD(化学的酸素要求量):20mg/L
SS(懸濁有機物):26mg/L
アンモニア態窒素:1mg/L
亜硝酸態窒素:2.8mg/L
硝酸態窒素:4mg/L
【0058】
以上のように、水質は改善し、濾材を流動させた場合も、固定濾材と同様に水質改善効果があることが分かった。
【0059】
(検証実験5)
検証実験4と同様に濾材を流動させて浄化実験を行った。検証事件4と異なる点は、10cc/分の納豆菌を槽内上部80より投入したことである。
【0060】
浄化後の水質は以下のようになった。

COD(化学的酸素要求量):3mg/L
SS(懸濁有機物):2mg/L
アンモニア態窒素:検出限界以下
亜硝酸態窒素: 0.3mg/L
硝酸態窒素: 4mg/L
【0061】
このように、納豆菌を投入することで、水質はさらに大幅に改善し、有機物、無機窒素ともに大幅な減少を確認できた。
【0062】
<本実施の形態のまとめ>
以上の結果から分かるように、流動濾床(流動担体)を用いても、実施の形態1で示した固定濾床と同様に、高効率の浄化が可能である。特に、納豆菌を加えることによって、有機物の除去だけではなく、硝化や脱窒の効率も向上できることを確認できた。
【0063】
実施の形態3.
図9を用いて、実施の形態3の水底浄化装置について説明する。有機物が水底に堆積した水域において、特に効果的な浄化を行う装置であり、堆積有機物を減厚し、水底の浄化環境を改善することを目的とした装置である。
【0064】
上昇流発生手段600を用いて、堆積有機物700を巻き上げ、水処理に用いる生物反応装置100に被処理水を導く。曝気手段500は水底付近に設けることが望ましいが、水面からの下降流によって、水面付近の溶存酸素を水底付近まで供給しても良い。
【0065】
上昇流発生手段600は、例えばポンプやスクリューであり、堆積有機物の表面近傍を負圧にすることで、堆積有機物を少しずつ巻き上げることが可能なものであれば、どのような機構であっても良い。
【0066】
水処理に用いる生物反応装置100は、図9に示すように、濾材200を固定あるいは内部で流動できるものである。濾材200には、硝化菌、脱窒菌および枯草菌が繁殖している。
【0067】
このような構成の装置を用いることで、水底の堆積有機物を徐々に減厚できる。さらに巻き上げた有機物を水処理に用いる生物反応装置100に導入することで、懸濁有機物、溶存有機物、および無機窒素を大幅に低減できる。
【0068】
<本実施の形態のまとめ>
河口部や沿岸部、湾、あるいは湖や池等においては、水底に厚く有機物が堆積し、水質悪化の大きな要因となっている。
浚渫によって堆積有機物を除去することも行われているが、莫大な除去費用が掛かるにもかかわらず、浚渫後には有機物が再び堆積するため、根本的な対策にはならない。
【0069】
一方、ポンプやスクリュー等で堆積有機物を巻き上げる方法は、比較的低コストで行うことができるものの、巻き上げた有機物が周囲に拡散するため、汚染領域を拡大する恐れがある。
【0070】
本実施の形態においては、実施の形態1や2において示した水処理に用いる生物反応装置に、巻き上げた有機物を含む被処理水を導くことで、有機物が周囲に拡散する前に生物浄化を行うことができる。本発明の水処理に用いる生物反応装置が高い浄化効率を持つため、高濃度の有機物や無機窒素を含んだ被処理水であっても、良好な水質にまで処理できる。
【0071】
実施の形態4.
昨今、養殖と水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスに関して研究が進んでいる。アクアポニックスにおいては、水棲生物の飼育水が植物の養液として利用され、植物に利用された養液が再び飼育水として循環利用される。
水棲生物の排泄物に含まれる猛毒であるアンモニアは硝化菌によって酸化され、弱毒性の亜硝酸や硝酸になる。亜硝酸や硝酸は弱毒性ではあるが、飼育水に蓄積して高濃度になると、水棲生物の健康に悪影響をもたらす。しかし、亜硝酸や硝酸を含む飼育水は植物の養液になり、亜硝酸や硝酸は植物の根から吸収され光合成に利用される。これにより、亜硝酸や硝酸の蓄積を避けることができる。このように、水棲生物にとって毒性のある亜硝酸や硝酸が、植物の光合成により消費されることで水の良好な循環が行われる、というのがアクアポニックスの基本的な考え方である。
【0072】
しかし、実際にはこのような理想的な水の循環は難しく、商業ベースでアクアポニックスを実現した例はほとんどない。
大きな課題の一つが、飼育槽で発生する亜硝酸、硝酸が、植物によって十分に吸収されないため、長期的には亜硝酸、硝酸が蓄積し、水棲生物の健康に害を及ぼすことである。商業ベースで養殖を行う場合、水棲生物はかなり高密度で飼育される。したがって、水棲生物の排泄量も多量になり、発生する亜硝酸や硝酸量も相当な量になる。この多量の亜硝酸や硝酸を植物に吸収させるためには、水棲生物の飼育槽に比べて遥かに大面積の植物の栽培面積が必要になるので、スペース効率の観点から商業ベースでの実現が困難になる。
また、商業的に付加価値が高い水棲生物の多くは海洋魚である。したがって、飼育水は塩水になり、植物の養液としては適さない。
以上のような2つの課題が、商業ベースでアクアポニックスを実現する上での大きな障害になっている。
【0073】
図10は、実施の形態1あるいは2で示した生物反応装置を用いたアクアポニックスの一例である。魚が生育する飼育槽3000の水を生物反応装置1000までポンプPで汲み上げる。汲み上げられた水は、濾材2000に生育する浄化微生物により浄化され、植物が生育するプランター4000に流される。そして、プランター4000で植物の養液として利用された水は、飼育槽3000に戻る。
本実施の形態におけるポイントは、魚の排泄物を多量に含んだ水が、生物反応装置1000において、高効率の浄化が行われる点である。実施の形態1や2で示したように、硝化と脱窒が高い効率で起きるため、亜硝酸や硝酸は低濃度になる。したがって、飼育槽と同様の面積のプランターでも十分に植物によって、残った亜硝酸や硝酸が消費される。
また、循環水の亜硝酸濃度が非常に低濃度に維持されるため、水の塩分濃度を汽水レベルの低濃度にすることが可能になる。海洋魚は、汽水レベルの方が浸透圧調整の負荷が小さくなり、生育が早くなる。ただし、亜硝酸と塩素イオンはエラから吸収される際に競合物質となるため、塩分濃度が低いと、亜硝酸の吸収量が多くなり、呼吸障害等が起こりやすい。しかし、生物反応装置1000において、高効率の浄化が行われ、亜硝酸濃度は常に低く保たれるため、汽水レベルの塩水であっても、このような障害は起こらない。
【0074】
上記に述べたように、実施の形態1や2で示した生物反応装置を用いれば、従来のアクアポニックスの2つの課題を解決、あるいは緩和できるため、商業ベースでのアクアポニックスの実現が容易になる。
【符号の説明】
【0075】
1 生物反応装置
2 濾材
3 被処理水導入手段
4 被処理水排水手段
5 曝気手段

10 生物反応装置
20 濾材(流動濾材)
30 被処理水導入手段
40 被処理水排水手段
50 曝気手段

100 生物反応装置
200 濾材
500 曝気手段
600 上昇流発生手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水処理に用いる生物反応装置であって、
濾材と、
当該濾材に生育する浄化微生物と、
上記濾材に被処理水を導く導入経路と、
上記濾材に接触した被処理水を排水する排水経路と、
上記濾材に導かれる被処理水に酸素を供給するための曝気手段と
を備え、
上記浄化微生物は、溶存有機物を分解する好気性微生物である枯草菌、硝化反応を行う好気性微生物である硝化菌、および、脱窒反応を行う嫌気性微生物である脱窒菌であり、
上記枯草菌、硝化菌、および脱窒菌は同一濾材内に生育し、
上記被処理水に含まれる窒素化合物の硝化と脱窒を同時に行う
水処理に用いる生物反応装置。
【請求項2】
上記濾材は固定床であり
上記濾材の導入経路側における被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項3】
上記濾材は上記被処理水中で流動し、
上記被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【請求項4】
納豆菌を投入する納豆菌投入手段を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の水処理に用いる生物反応装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明に係る水処理に用いる生物反応装置は、
濾材と、
当該濾材に生育する浄化微生物と、
上記濾材に被処理水を導く導入経路と、
上記濾材に接触した被処理水を排水する排水経路と、
上記濾材に導かれる被処理水に酸素を供給するための曝気手段と
を備え、
上記浄化微生物は、溶存有機物を分解する好気性微生物である枯草菌、硝化反応を行う好気性微生物である硝化菌、および、脱窒反応を行う嫌気性微生物である脱窒菌であり、
上記枯草菌、硝化菌、および脱窒菌は同一濾材内に生育し、
上記被処理水に含まれる窒素化合物の硝化と脱窒を同時に行う
ものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、上記濾材は固定床であり、上記濾材の導入経路側における被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下であることを特徴とする。
あるいは、上記濾材は上記被処理水中で流動し、上記被処理水の溶存酸素濃度は5ppm以上、且つ飽和溶存酸素濃度以下であることを特徴とする。さらに、納豆菌を投入する納豆菌投入手段を有するものである。