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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061151
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】机
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/08 20060101AFI20220411BHJP
   A47B 41/02 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
A47B13/08 A
A47B41/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168957
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000208684
【氏名又は名称】第一工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】堀内 幸成
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053PA05
3B053PA06
3B053PB04
3B053PC04
3B053PC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天板を軽量化して容易に持ち運ぶことができる机を提供する。
【解決手段】机は、床面上から起立する支持脚上に天板120を備えている。天板120は、中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140をそれぞれ備えて構成されている。中層構成体121は、平面視で長方形状に平板環状に形成されている。上層構成体130は、平面視で長方形状の板状に形成されており、中層構成体121の上面に貼り付けられている。下層構成体140は、平面視で長方形状の板状に形成されており、中層構成体121の下面に貼り付けられている。これにより、中層構成体121の中央部には、上層構成体130および下層構成体140によって塞がれた状態で天板120の板面方向に沿って平板状に延びる1つの空洞部123が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上から起立する支持脚と、
前記支持脚の上部に支持された天板と、
前記支持脚を介して前記天板内に挿し込まれることにより前記支持脚と前記天板とを互いに連結する連結具とを備える机であって、
前記天板は、
前記天板の内部に同天板の板面方向に沿って平板状に延びる1つの空洞部を有して全体として中空形状に形成されていることを特徴とする机。
【請求項2】
請求項1に記載した机において、
前記天板は、
前記空洞部の周囲を囲む平板環状に形成された中層構成体と、
前記中層構成体における一方の面を覆って前記天板の上面側を構成する上層構成体と、
前記中層構成体における他方の面を覆って前記天板の下面側を構成する下層構成体とを有していることを特徴とする机。
【請求項3】
請求項2に記載した机において、
前記中層構成体は、
前記上層構成体および前記下層構成体に対して最も剛性が高く形成されていることを特徴とする机。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載した机において、
前記中層構成体は、
前記上層構成体および前記下層構成体に対して最も厚く形成されていることを特徴とする机。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した机において、
前記中層構成体は、
前記上層構成体および前記下層構成体に対して防虫性および防腐性のうちの少なくとも一方が高い材料で構成されていることを特徴とする机。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載した机において、
前記下層構成体は、
前記上層構成体よりも厚さが薄く形成されていることを特徴とする机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学校などの教育施設で児童や生徒の学習机としての使用に特に適した机に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床面上から起立する支持脚の上部に板状の天板が設けられた机がある。例えば、下記特許文献1には、天板を間伐材の積層板で構成した学習机としての机が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-80126号公報
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された机においては、天板が積層板によって中実に構成されているため、重量が重く児童や生徒による持ち運びが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、天板を軽量化して容易に持ち運ぶことができる机を提供することにある。
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、床面上から起立する支持脚と、支持脚の上部に支持された天板と、支持脚を介して天板内に挿し込まれることにより支持脚と天板とを互いに連結する連結具とを備える机であって、天板は、天板の内部に同天板の板面方向に沿って平板状に延びる1つの空洞部を有して全体として中空形状に形成されていることにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、机は、天板の内部に平板状に延びる1つの空洞部を有して全体として中空形状に形成されているため、天板を軽量化して容易に持ち運ぶことができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記机において、天板は、空洞部の周囲を囲む平板環状に形成された中層構成体と、中層構成体における一方の面を覆って天板の上面側を構成する上層構成体と、中層構成体における他方の面を覆って天板の下面側を構成する下層構成体とを有していることにある。
【0009】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、机は、天板が空洞部の周囲を囲む平板環状に形成された中層構成体を上下方向から上層構成体と下層構成体とで挟んで構成されているため、空洞部を有する天板の製造を容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明の他の特徴は、前記机において、中層構成体は、上層構成体および下層構成体に対して最も剛性が高く形成されていることにある。
【0011】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、机は、中層構成体が上層構成体および下層構成体に対して最も剛性が高く形成されているため、空洞部の形状を安定的に維持することができるとともに天板全体の経時的な変形を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、前記机において、中層構成体は、上層構成体および下層構成体に対して最も厚く形成されていることにある。
【0013】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、机は、中層構成体が上層構成体および下層構成体に対して最も厚く形成されているため、天板の内部にて空洞部の厚さが最も圧なくなり天板を効果的に軽量化することができる。
【0014】
また、本発明の他の特徴は、前記机において、中層構成体は、上層構成体および下層構成体に対して防虫性および防腐性のうちの少なくとも一方が高い材料で構成されていることにある。
【0015】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、机は、中層構成体が上層構成体および下層構成体に対して防虫性および防腐性のうちの少なくとも一方が高い材料で構成されているため、空洞部の周囲から空洞部内への害虫の侵入および同周囲の腐食を効果的に抑制することができる。
【0016】
また、本発明の他の特徴は、前記机において、下層構成体は、上層構成体よりも厚さが薄く形成されていることにある。
【0017】
このように構成した本発明の他の特徴によれば、机は、下層構成体が上層構成体よりも厚さが薄く形成されているため、直射日光などが照射される上層構成体を介した空洞部内の急激な温度変化を抑えつつ空洞部内の温度を室温に追従させることができ天板の劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る机の外観構成の概略を正面の斜め方向から見た斜視図である。
図2図1に示す机の外観構成の概略を示す正面図である。
図3図2に示す3-3線から見た机の断面図である。
図4図1に示す机を構成する天板の外観構成の概略を示す平面図である。
図5図4に示す5-5線から見た天板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る机の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る机100の外観構成の概略を正面の斜め方向から見た斜視図である。また、図2は、図1に示す机100の外観構成の概略を示す正面図である。また、図3は、図2に示す3-3線から見た机100の断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表していることがあるため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この机100は、小学校や中学校などの教育施設などにおいて、児童や生徒が教室で図示しない椅子とともに使用する学習机である。
【0020】
(机100の構成)
机100は、主として、支持脚110および天板120を備えている。支持脚110は、天板120を床面から所定の高さ位置に水平状態で支持するための部品であり、鋼板材材で構成されている。具体的には、支持脚110は、主として、足体111および天板支持体112をそれぞれ備えて構成されている。
【0021】
足体111は、机100が設置される床面上に載置されて天板支持体112を支持するフレーム状の部品であり、机100の使用者の左右方向の幅(例えば、肩幅)より外側となる位置に位置するように設けられている。より具体的には、足体111は、使用者の左右方向両側でそれぞれ垂直方向に延びるフレーム体が下部部分で互いに連結されているとともに、垂直方向に延びる各フレーム体の下端部がそれぞれ使用者の前後方向に延びて形成されている。この足体111における垂直方向に延びるフレーム体の上端部には、天板支持体112が取り付けられている。
【0022】
天板支持体112は、足体111の上方で天板120を支持するための部品であり、鋼板材で構成されている。より具体的には、天板支持体112は、足体111の左右の各上端部からそれぞれ上方に延びる2つのサイドフレーム113と、これら2つのサイドフレーム113間に設けられる底板114とを備えている。
【0023】
サイドフレーム113は、足体111の左右の各上端部から上方にそれぞれ延びた後、机100の後方側に若干張出しつつ机100の前方側に大きく張り出すフレーム状に形成されている。このサイドフレーム113には、足体111に対する上下方向の取付位置を自由に変更するための高さ調整孔113aが上下方向に沿って複数形成されている。また、左右の各サイドフレーム113の上端部は、それぞれ左右方向外側に屈曲して取付部113bが形成されている。取付部113bは、天板120が宛がわれてネジからなる連結具115によって取り付けられる部分であり、机100の前後方向に延びる板状に形成されている。
【0024】
底板114は、図4に示すように、収納部116の底部および奥壁114aを構成する部品であり、鋼板を折り曲げて構成されている。具体的には、底板114は、天板120の下面に対して所定の間隔を介して対向配置された方形の板状体で構成されるとともに、この板状体における机100の後側の部分が上方に折り曲げられて奥壁114aを形成している。奥壁114aは、収納部116の最奥部に起立する壁体であり、上端部が外側に屈曲して前記取付部113bと同様の板状の取付部114bを形成している。この底板114における左右側には、前記サイドフレーム113に固定的に取り付けられている。
【0025】
収納部116は、机100の使用者が教科書、ノートまたは文房具などの物品を収納するための空間であり、天板120の直下の空間に形成されている。この収納部116は、天板120、底板114、奥壁114a、2つのサイドフレーム113によってそれぞれ仕切られて使用者が図示しない椅子に着座する前方側に向かって開口して形成されている。
【0026】
天板120は、机100の最上部の載置面を構成する部品であり、板状の木材を積層して構成されている。より具体的には、天板120は、図4および図5にそれぞれ示すように、主として、中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140をそれぞれ備えて構成されている。なお、図3においては、中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140の各図示を省略している。
【0027】
中層構成体121は、天板120の内部に空洞部123を形成するための部品であり、平面視で方形の環状に形成されている。より具体的には、中層構成体121は、2つの長方形状の長辺用積層板材121aと2つの長方形状の短辺用積層板材121bとを平面視で長方形状の枠状に組んで構成されている。この場合、互いに隣接する長辺用積層板材121aと短辺用積層板材121bとは、タッカーなどの止め金具122を用いて互いに連結されている。
【0028】
この中層構成体121は、天板120をサイドフレーム113および底板114にそれぞれ取り付けるための連結具115の捩じ込み、捩じ込み後における連結状態の維持、および天板120としての使用に耐えられる剛性を確保できる木材および厚さで構成されている。本実施形態においては、中層構成体121は、ユーカリ材の合板を複数枚(例えば、5枚)積層し接着して構成されている。また、中層構成体121は、上層構成体および下層構成体の各厚さよりも厚く(本実施形態においては8.2mm)形成されている。
【0029】
これにより、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140よりも厚い厚さおよび高い剛性で構成されている。また、中層構成体121は、防虫性および防腐性の高いユーカリ材で構成されているため、上層構成体130および下層構成体140よりも高い防虫性および防腐性を有して構成されている。
【0030】
この中層構成体121は、外周部が上層構成体および下層構成体と同じ大きさの長方形状に形成されるとともに、内周部がサイドフレーム113および底板114の各取付部113b,114bよりも内側に位置する長方形状に形成さている。これにより、中層構成体121の中央部には、平面視で長方形状の貫通孔からなる空洞部123が形成されている。
【0031】
空洞部123は、天板120の内部に形成された何も存在しない1つの三次元領域である。この空洞部123は、四方(側方)が中層構成体121によって囲まれているとともに、上方および下方が上層構成体および下層構成体によってそれぞれ仕切られて全体として天板120の板面方向に沿って延びる平板状に形成されている。
【0032】
上層構成体130は、中層構成体121の上側に設けられて天板120の上面を構成する部分であり、方形の板材で構成されている。この上層構成体130は、主として3つの層で構成されている。具体的には、上層構成体130は、ベース層131、補助層132および表面層133によって構成されている。
【0033】
ベース層131は、上層構成体130の基礎となる部分であり、補助層132および表面層133よりも厚さが厚い以上に形成されている。本実施形態においては、ベース層131は、ファルカタ材の合板を複数枚(2枚)積層接着して3.7mmの厚さの板状に構成されている。
【0034】
補助層132は、上層構成体130を補強しつつ表面層133を形成し易くするための部分である。本実施形態においては、補助層132は、中密度繊維板(MDF)の板材を複数枚(2枚)積層接着して3.0mmの厚さの板状に構成されている。そして、この補助層132は、ベース層131に対して全面が接着剤によって接合されている。この補助層132は、中密度繊維板を用いることで剛性の低いファルカタ材からなるベース層131を空洞部123に対して補強できるとともにメラミン樹脂シートからなる表面層133を形成し易くすることができる。
【0035】
表面層133は、天板120の表面を保護しつつ美観を向上させるためのコーティング層である。本実施形態においては、表面層133は、厚さ0.7mmのメラミン樹脂シートを配置して構成されている。この場合、表面層133は、補助層132に対して全面が接着剤によって接合されている。なお、この表面層133は、前記補助層132を省略してベース層131に直接形成してもよいし、表面層133自体を省略して構成することもできる。また、図5においては、表面層133を点群で塗り潰して示している。
【0036】
この上層構成体130は、中層構成体121の上面の全面に対してベース層131が接着剤によって接合されている。これにより、空洞部123は、上方が上層構成体130におけるベース層131によって閉塞されている。
【0037】
下層構成体140は、中層構成体121の下側に設けられて天板120の下面を構成する部分であり、方形の板材で構成されている。この下層構成体140は、上層構成体130よりも薄い厚さに形成されている。本実施形態においては、下層構成体140は、ラワン材の合板を複数枚(2枚)積層接着して2.4mmの厚さの板状に構成されている。この下層構成体140は、中層構成体121の下面の全面に対して接着剤によって接合されている。これにより、空洞部123は、下方が下層構成体140によって閉塞されている。
【0038】
(机100の製造)
次に、このように構成した机100の製造過程について説明する。机100を製造する作業者は、まず、天板120を製作する。具体的には、作業者は、中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140をそれぞれ用意する。これらの中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140は、いずれの順番で用意してもよいが、中層構成体121から説明する。
【0039】
作業者は、中層構成体121を構成するユーカリ材からなる薄板材を複数枚(本実施形態においては5枚)用意する。この場合、作業者は、枠状の中層構成体121を構成するそれぞれ2つずつの長辺用積層板材121aおよび短辺用積層板材121bの各材料となる帯状に延びる長方形状の板材をそれぞれ用意する。
【0040】
次いで、作業者は、中層構成体121の2つの長辺をそれぞれ構成する複数の板材の各板面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。これにより、中層構成体121の2つの長辺をそれぞれ構成する長方形状の2つの長辺用積層板材121aが製作される。次いで、作業者は、中層構成体121の2つの短辺をそれぞれ構成する複数の板材の各板面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。これにより、中層構成体121の2つの短辺をそれぞれ構成する長方形状の2つの短辺用積層板材121bが製作される。
【0041】
次いで、作業者は、2つの長辺用積層板材121aと2つの短辺用積層板材121bとを長方形状の枠状に組んで中層構成体121を製作する。具体的には、作業者は、2つの長辺用積層板材121aを互いに平行に配置するとともにこれら2つの長辺用積層板材121aの両端部間に2つの短辺用積層板材121bをそれぞれ配置した後、互いに隣接する積層板材間をタッカーなどの止め金具122を用いて互いに連結する。これにより、平面視(底面視)で長方形状の枠状の中層構成体121が製作される。
【0042】
次に、作業者は、上層構成体130を構成するファルカタ材および中密度繊維板(MDF)材からなる各薄板材をそれぞれ複数枚(本実施形態においては2枚ずつ)用意する。この場合、作業者は、上層構成体130を構成するファルカタ材および中密度繊維板からなる各複数の薄板材として平面視で長方形状の板材をそれぞれ用意する。次いで、作業者は、これらのファルカタ材および中密度繊維板からなる各複数枚ずつの板材の各板面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。これにより、平面視で長方形状の上層構成体130が製作される。
【0043】
次に、作業者は、下層構成体140を構成するラワン材からなる薄板材をそれぞれ複数枚(本実施形態においては2枚)用意する。この場合、作業者は、下層構成体140を構成するラワン材からなる複数の薄板材として平面視で長方形状の板材をそれぞれ用意する。次いで、作業者は、これらのラワン材からなる複数枚の板材の各板面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。これにより、平面視で長方形状の下層構成体140が製作される。
【0044】
次いで、作業者は、中層構成体121と下層構成体140とを接合する。具体的には、作業者は、中層構成体121および下層構成体140の各接合面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。次いで、作業者は、中層構成体121と上層構成体130とを接合する。具体的には、作業者は、中層構成体121および上層構成体130の各接合面に接着剤を塗布して積層した後、プレス機(不図示)を用いて互いに圧着する。
【0045】
次いで、作業者は、メラミン樹脂シートを用意するとともに上層構成体130の上面に接着剤を塗布した後、この上層構成体130の上面にメラミン樹脂シートを接着固定することにより上層構成体130の上面に表面保護層125を形成する。次いで、作業者は、互いに接合した下層構成体140、中層構成体121および上層構成体130で構成される天板120の外周部(所謂、木口)をルータなどの切削加工機を用いて円弧状に加工する。次いで、作業者は、天板120の裏面、すなわち、下層構成体140の下面にクリアウレタン樹脂を塗布する。これにより、平面視で長方形状の天板120が製作される。
【0046】
次に、作業者は、支持脚110を用意して、支持脚110上に天板120を取り付ける。具体的には、作業者は、支持脚110における取付部113b,114bに天板120における下層構成体140を配置した後、この取付部113b,114bを介して連結具115を捩じ込む。この場合、天板120における下層構成体140は、ラワン材などの剛性が高い材料で構成されているため、天板120を安定的に支持脚110に固定することができる。これにより、机100が完成する。
【0047】
(机100の作動)
次に、このように構成した机100の作動について説明する。机100の使用者は、机100を使用する場所に机100を配置する。この場合、机100は、天板120の内部の空洞部123が形成されて中空状に形成されているため、机100全体が軽量化されるとともに机100の重心が下がるため使用者は容易かつ安定的に持ち運ぶことができる。
【0048】
次に、使用者は、机100の前方に図示しない椅子を配置して着座し、机100を使用する。この場合、使用者は、教科書、ノートまたは文房具などの物品を収納部116内に収納することができる。
【0049】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、机100は、天板120の内部に平板状に延びる1つの空洞部123を有して全体として中空形状に形成されているため、天板120を軽量化して容易に持ち運ぶことができる。
【0050】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態においては、天板120は、中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140で構成した。しかし、天板120は、厚さ方向に2分割または4分割以上に構成されていてもよい。ここで、天板120を厚さ方向に2分割に2分割で構成する場合、中層構成体121と上層構成体130とを一体的に構成した中上層構成体に対して下層構成体140を接合してもよいし、中層構成体121と下層構成体140とを一体的に構成した中下層構成体に対して上層構成体130を接合してもよいし、中層構成体121の一部と上層構成体130とを一体的に構成した中上層構成体に対して中層構成体121の他の一部と下層構成体140とを一体的に構成した中下層構成体を接合して構成することもできる。
【0052】
また、天板120は、厚さ方向に直交する方向である天板120の長辺方向または短辺方向に2分割以上で構成されていてもよい。また、天板120は、木製に代えてまたは加えて樹脂材で構成されていてもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して最も剛性(曲げ強さ、圧縮強さおよびせん断強さのうちの少なくとも1つ)を高く形成した。これにより、天板120は、空洞部123の形状を安定的に維持することができるとともに天板120全体の経時的な変形を抑えることができる。しかし、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して同じ剛性またはそれ以下の剛性を低く形成することもできる。
【0054】
また、上記実施形態においては、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して最も厚く形成されている。これにより、天板120は、天板120の内部にて空洞部123の厚さが最も圧なくなり天板を効果的に軽量化することができる。しかし、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して同じ厚さまたはそれ以下の厚さに形成することもできる。
【0055】
また、上記実施形態においては、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して防虫性および防腐性が高いユーカリ材で構成した。これにより、天板120は、空洞部123の周囲から空洞部123内への害虫の侵入および同周囲の腐食を効果的に抑制することができる。しかし、中層構成体121は、上層構成体130および下層構成体140に対して防虫性および防腐性が劣る材料で構成してもよいことは当然である。すなわち、天板120を構成する中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140は、それぞれ任意の材料で構成することができる。
【0056】
また、上記実施形態においては、下層構成体140は、上層構成体130よりも厚さを薄く形成した。これにより、天板120は、直射日光などが照射される上層構成体130を介した空洞部123内の急激な温度変化を抑えつつ空洞部123内の温度を室温に追従させることができ天板の劣化を抑えることができる。下層構成体140は、上層構成体130よりも厚さを厚く形成することもできる。すなわち、天板120を構成する中層構成体121、上層構成体130および下層構成体140は、それぞれ任意の厚さ構成することができる。
【0057】
また、上記実施形態においては、空洞部123は、平面視で長方形状に形成した。しかし、空洞部123は、平面視で長方形状や正方形などの方形のほか、三角形状や六角形状などの多角形状または円形状(だ円形を含む)に形成することもできる。
【0058】
また、上記実施形態においては、机100は、天板120の下方に収納部116を備えて構成した。しかし、机100は、収納部116を省略して構成することもできる。すなわち、机100は、底板114を省略して構成することができる。
【0059】
また、上記実施形態においては、連結具115は、ネジで構成した。しかし、連結具115は、天板120内に挿し込まれて天板120を支持脚110に連結できるものであればよく、ネジ以外、例えば、釘やリベットなどであってもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、机100は、小学校や中学校などの教育施設などにおいて使用する学習机をとしたが、教育施設用の学習机以外の机、例えば、家庭用学習机、事務机または食卓としても実施可能である。
【符号の説明】
【0061】
100…机、
110…支持脚、111…足体、112…天板支持体、113…サイドフレーム、113a…高さ調整孔、113b…取付部、114…底板、114a…奥壁、114b…取付部、115…連結具、116…収納部、
120…天板、121…中層構成体、121a…長辺用積層板材、121b…短辺用積層板材、122…止め金具、123…空洞部、
130…上層構成体、131…ベース層、132…補助層、133…表面層、
140…下層構成体。
図1
図2
図3
図4
図5