(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061171
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】容器搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/86 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
B65G47/86 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020168997
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今岡 健悟
(72)【発明者】
【氏名】明野 晃季
(72)【発明者】
【氏名】小國 凌
(72)【発明者】
【氏名】金澤 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】小松 直隆
(72)【発明者】
【氏名】小松 由尚
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴司
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和生
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 聡
(72)【発明者】
【氏名】石倉 真治
(72)【発明者】
【氏名】水野 資広
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA08
3F072GF01
3F072KC01
3F072KC06
(57)【要約】
【課題】容器搬送装置において、内容物の外部への飛跳ねを抑制する。
【解決手段】鉛直方向に沿う第1回転軸により回転可能な第1回転体と、長手方向の一端部が第1回転体の外周部に支持されて他端部が容器の首部を把持可能な第1グリッパ装置と、鉛直方向に沿う第2回転軸により回転可能な第2回転体と、長手方向の一端部が第2回転体の外周部に支持されて他端部が第1グリッパ装置から受け渡される容器の首部を把持可能な第2グリッパ装置と、第1グリッパ装置から受け渡されて第2グリッパ装置が把持した容器の口部内に気体を噴出可能である気体噴出装置と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿う第1回転軸により回転可能な第1回転体と、
長手方向の一端部が前記第1回転体の外周部に支持されて他端部が容器の首部を把持可能な第1グリッパ装置と、
鉛直方向に沿う第2回転軸により回転可能な第2回転体と、
長手方向の一端部が前記第2回転体の外周部に支持されて他端部が前記第1グリッパ装置から受け渡される前記容器の首部を把持可能な第2グリッパ装置と、
前記第1グリッパ装置から受け渡されて前記第2グリッパ装置が把持した前記容器の口部内に気体を噴出可能である気体噴出装置と、
を備える容器搬送装置。
【請求項2】
前記気体噴出装置は、前記第1グリッパ装置から前記第2グリッパ装置へ前記容器を受け渡す容器受け渡し位置と、前記容器受け渡し位置から前記第2回転体の回転方向における予め設定された所定回転角度との間の領域で前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項1に記載の容器搬送装置。
【請求項3】
前記気体噴出装置は、前記容器受け渡し位置から前記第2回転体の回転方向における回転角度が14度から22度の領域の少なくとも一部の領域で前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項2に記載の容器搬送装置。
【請求項4】
前記気体噴出装置は、前記容器の口部の中心位置から前記第1回転体側にずれた前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【請求項5】
前記気体噴出装置は、前記第2回転体の回転方向の上流側から前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【請求項6】
前記気体噴出装置は、容器の長手方向に沿う中心線に対して予め設定された所定の傾斜角度で前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項5に記載の容器搬送装置。
【請求項7】
前記気体噴出装置は、容器の内部で発生する飲料の旋回流に対向する方向で前記容器の口部内に気体を噴出可能である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の容器搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食品飲料などが充填される容器を把持して搬送する容器搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器に飲料製品を充填する充填装置は、搬送装置により搬送される容器(例えば、ペットボトルなど)に飲料を充填し、容器の口部にキャップ(蓋)を装着して容器製品とする。このとき、容器は、グリッパ装置に把持された状態で、各種の工程を搬送される。例えば、飲料充填機は、回転テーブルを有し、回転テーブルは、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置が設けられる。回転テーブルは、各グリッパ装置が容器を把持した状態で回転し、回転中の容器に飲料が充填される。飲料が充填された容器は、転送ホイールを介してキャッパ装置に搬送される。キャッパ装置は、飲料が充填された容器の口部にキャップを装着する。
【0003】
キャッパ装置は、キャッパホイールを有する。転送ホイールとキャッパホイールは、同様の構成をなす。転送ホイールとキャッパホイールは、それぞれ外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置が設けられる。転送ホイールは、グリッパ装置が飲料充填機から受け取った容器を把持して搬送し、キャッパホイールは、グリッパ装置が転送ホイールのグリッパ装置が把持した容器を受け取って搬送する。このような技術としては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した転送ホイールやキャッパホイールは、飲料が充填された容器の上部をグリッパ装置が把持して回転することから、搬送される容器は、遠心力が作用し、下部が各ホイールの外側に移動するような傾斜状態となる。転送ホイールとキャッパホイールは、外周部が隣接して配置される。そのため、容器が転送ホイールのグリッパ装置からキャッパホイールのグリッパ装置に受け渡されるとき、容器に作用する遠心力の向きが逆になるため、容器の傾斜方向が反対になる。また、このとき、容器は、上方から見てS字形状をなすように移動することから、容器に対して水平方向に作用する応力の方向が変動する。すると、容器の変動や容器に作用する応力の方向による液面揺動(以下、スロッシングと称する。)が発生し、飲料が外部へ飛跳ねる現象が発生する。従来、飲料の外部への飛跳ね現象を防止するため、転送ホイールやキャッパホイールの回転速度を低下せざるを得ず、作業効率の低下を招いてしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、内容物の外部への飛跳ねを抑制する容器搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の容器搬送装置は、鉛直方向に沿う第1回転軸により回転可能な第1回転体と、長手方向の一端部が前記第1回転体の外周部に支持されて他端部が容器の首部を把持可能な第1グリッパ装置と、鉛直方向に沿う第2回転軸により回転可能な第2回転体と、長手方向の一端部が前記第2回転体の外周部に支持されて他端部が前記第1グリッパ装置から受け渡された前記容器の首部を把持可能な第2グリッパ装置と、前記第1グリッパ装置から受け渡されて前記第2グリッパ装置が把持した前記容器の口部内に気体を噴出可能である気体噴出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の容器搬送装置によれば、内容物の外部への飛跳ねを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態の容器充填装置の配置を表す概略平面図である。
【
図2】
図2は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部平面図である。
【
図3】
図3は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の容器搬送装置における気体噴出装置の配置を表す概略図である。
【
図6】
図6は、気体噴出装置を表す正面(
図5のVI矢視)図である。
【
図7】
図7は、気体噴出装置を表す側面(
図5のVII矢視)図である。
【
図8】
図8は、従来の容器搬送装置における容器受け渡し時の容器内の飲料の挙動を表す概略図である。
【
図9】
図9は、本実施形態の容器搬送装置における容器受け渡し時の容器内の飲料の挙動を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
<容器充填装置の構成>
図1は、本実施形態の容器充填装置の配置を表す概略平面図である。
【0012】
本発明の容器充填装置は、食品容器に食品飲料を充填するものである。ここで、食品容器とは、飲料や調味料などの食品として使用されるスラリーや粒子状、粉末状などを含む流体が充填される容器である。また、飲料としては、清涼飲料、水、茶、コーヒー、紅茶、ココア、果汁飲料、牛乳、健康飲料、酒類などがあり、調理料としては、醤油、酢、料理酒、みりん、油、各種ソース、塩、砂糖などがある。また、食品容器としては、プラスチックボトル(ペットボトル)、ガラス瓶、金属製の缶、紙製の容器などがある。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態の容器充填装置10は、容器検査機11と、容器洗浄機12と、容器殺菌装置13と、容器すすぎ装置14と、飲料充填機15と、キャッパ装置16と、キャップ殺菌機17とを備える。
【0014】
容器検査機11は、容器(食品容器)の損傷を検査するものである。容器洗浄機12は、容器の内部を洗浄するものである。容器殺菌装置13は、容器の内部を殺菌するものである。容器すすぎ装置14は、容器の内部をすすぐものである。飲料充填機15は、容器の内部に飲料を充填するものである。キャッパ装置16は、飲料が充填された容器にキャップ(蓋)を装着するものである。キャップ殺菌機17は、容器に装着されたキャップを殺菌するものである。
【0015】
飲料充填機15は、回転テーブル21と、グリッパ装置22とを有する。回転テーブル21は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置22が設けられる。回転テーブル21は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置22は、容器すすぎ装置14から供給された容器を把持可能である。飲料充填機15とキャッパ装置16との間に転送ホイール23が配置される。転送ホイール23は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置24が設けられる。転送ホイール23は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置24は、飲料充填機15から供給された容器を把持可能である。キャッパ装置16は、キャッパホイール25と、グリッパ装置26とを有する。キャッパホイール25は、外周部に周方向に沿って均等間隔でグリッパ装置26が設けられる。キャッパホイール25は、所定の速度で回転可能である。グリッパ装置26は、転送ホイール23から供給された容器を把持可能である。
【0016】
<転送ホイールおよびキャッパホイール>
図2は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部平面図、
図3は、転送ホイールとキャッパホイールとの配置を表す要部側面図である。
【0017】
図2および
図3に示すように、容器30は、容器本体31と、口部32と、首部33とを有する。容器本体31は、円筒形状をなし、長手方向の下部が閉塞した底部(図示略)が設けられる。容器本体31は、上端部の外径が小さくなって首部33が設けられる。容器本体31は、上端に口部32が設けられる。口部32は、開口部であって、飲料を充填可能である。また、容器本体31は、首部33にねじ部34とネックリング35が設けられる。ねじ部34は、雄ねじであって、キャップ(図示略)の雌ねじが螺合する。ネックリング35は、首部33の外周面から外方に突出したリング形状をなす。
【0018】
転送ホイール23は、円板形状をなし、鉛直方向(
図2にて、紙面直交方向)に沿う回転軸により回転自在に支持される。転送ホイール23は、図示しない駆動装置により
図2にて時計回り方向に駆動回転可能である。転送ホイール23は、外周部にグリッパ装置24が設けられる。グリッパ装置24は、容器30の首部33を把持可能である。キャッパホイール25は、円板形状をなし、鉛直方向(
図2にて、紙面直交方向)に沿う回転軸により回転自在に支持される。キャッパホイール25は、図示しない駆動装置により
図2にて反時計回り方向に駆動回転可能である。キャッパホイール25は、外周部にグリッパ装置26が設けられる。グリッパ装置26は、容器30の首部33を把持可能である。
【0019】
転送ホイール23とキャッパホイール25とは、水平方向に所定間隔を空けて配置される。転送ホイール23とキャッパホイール25とは、同じ速度(周速)で同期回転する。転送ホイール23のグリッパ装置24とキャッパホイール25のグリッパ装置26とは、ほぼ同様の構成をなす。転送ホイール23は、グリッパ装置24が容器30を把持した状態で回転することで、容器30を周方向に沿って搬送する。転送ホイール23のグリッパ装置24とキャッパホイール25のグリッパ装置26とが対向する位置、つまり、容器受け渡し位置に到達したとき、転送ホイール23のグリッパ装置24が保持した容器30をキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡す。
【0020】
グリッパ装置24は、転送ホイール23の径方向(
図2および
図3にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置24は、一対のグリッパ部材41,42を有する。グリッパ部材41,42は、転送ホイール23の周方向に並んで配置され、それぞれ長手方向の中間部が鉛直方向に沿う支持軸43,44により支持部材45に回動自在に支持される。支持部材45は、転送ホイール23の下面部に固定される。
【0021】
グリッパ部材41,42は、長手方向の一端部に把持部41a,42aがそれぞれ設けられる。把持部41a,42aは、円弧形状をなし、容器30の首部33を把持可能である。そのため、把持部41a,42aは、容器30の首部33の外周部に密着できる円弧形状となっている。このとき、把持部41a,42aは、容器30の首部33におけるネックリング35の上方の位置を把持する。グリッパ部材41,42は、長手方向の他端部にばね受部41b,42bがそれぞれ設けられる。ばね受部41b,42bの間に圧縮コイルばね46が装着される。圧縮コイルばね46は、グリッパ部材41,42に対してばね受部41b,42bが離間する方向に付勢力を付与する。
【0022】
そのため、
図2にて、一方のグリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸43を中心に時計回り方向に付勢支持される。他方のグリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力により支持軸44を中心に反時計回り方向に付勢支持される。すると、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが接近する方向に付勢支持される。グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を挟み込むように把持可能となる。
【0023】
グリッパ部材42は、レバー47の一端部が連結される。レバー47は、グリッパ部材42における他端部側からグリッパ部材41側に延出される。レバー47は、他端部にカムローラ48が回転自在に装着される。転送ホイール23は、下方にカム49が配置される。カム49は、容器受け渡し位置の近傍に固定される。カムローラ48とカム49とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ48がカム49に接触可能である。なお、グリッパ部材41とグリッパ部材42とは、図示しない連動機構(例えば、歯車機構)により連動可能となっている。
【0024】
そのため、カムローラ48がカム49に接触していないとき、グリッパ部材41,42は、圧縮コイルばね46の付勢力により把持部41a,42aが容器30の首部33を把持可能である。一方、転送ホイール23が回転し、カムローラ48がカム49に接触すると、グリッパ部材42は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸44を中心に
図2の時計回り方向に回動する。このとき、グリッパ部材42の回動動作が連動機構を介してグリッパ部材41に伝達される。グリッパ部材41は、圧縮コイルばね46の付勢力に抗して支持軸43を中心に
図2の反時計回り方向に回動する。すると、グリッパ部材41,42は、把持部41a,42aが容器30の首部33から離れ、容器30の把持が解除される。
【0025】
一方、グリッパ装置26は、グリッパ装置24とほぼ同様の構成をなす。グリッパ装置26は、キャッパホイール25の径方向(
図2および
図3にて、左右方向)に沿って配置される。グリッパ装置26は、一対のグリッパ部材51,52を有する。グリッパ部材51,52は、転送ホイール23の周方向に並んで配置され、それぞれ長手方向の中間部が鉛直方向に沿う支持軸53,54により支持部材55に回動自在に支持される。支持部材55は、キャッパホイール25の下面部に固定される。
【0026】
グリッパ部材51,52は、長手方向の一端部に把持部51a,52aがそれぞれ設けられる。把持部51a,52aは、円弧形状をなし、容器30の首部33を把持可能である。そのため、把持部51a,52aは、容器30の首部33の外周部に密着できる円弧形状となっている。このとき、把持部51a,52aは、容器30の首部33におけるネックリング35の上方の位置を把持する。グリッパ部材51,52は、長手方向の他端部にばね受部51b,52bがそれぞれ設けられる。ばね受部51b,52bの間に圧縮コイルばね56が装着される。圧縮コイルばね56は、グリッパ部材51,52に対してばね受部51b,52bが離間する方向に付勢力を付与する。
【0027】
そのため、
図2にて、一方のグリッパ部材51は、圧縮コイルばね56の付勢力により支持軸53を中心に反時計回り方向に付勢支持される。他方のグリッパ部材52は、圧縮コイルばね56の付勢力により支持軸54を中心に時計回り方向に付勢支持される。すると、グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが接近する方向に付勢支持される。グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが容器30の首部33を挟み込むように把持可能となる。
【0028】
グリッパ部材51は、レバー57の一端部が連結される。レバー57は、グリッパ部材51における他端部側からグリッパ部材52側に延出される。レバー57は、他端部にカムローラ58が回転自在に装着される。キャッパホイール25は、下方にカム59が配置される。カム59は、容器受け渡し位置の近傍に固定される。カムローラ58とカム59とは、鉛直方向のほぼ同位置に配置され、カムローラ58がカム59に接触可能である。なお、グリッパ部材51とグリッパ部材52とは、図示しない連動機構(例えば、歯車機構)により連動可能となっている。
【0029】
そのため、カムローラ58がカム59に接触していないとき、グリッパ部材51,52は、圧縮コイルばね56の付勢力により把持部51a,52aが容器30の首部33を把持可能である。一方、キャッパホイール25が回転し、カムローラ58がカム59に接触すると、グリッパ部材51は、圧縮コイルばね56の付勢力に抗して支持軸53を中心に
図2の時計回り方向に回動する。このとき、グリッパ部材51の回動動作が連動機構を介してグリッパ部材52に伝達される。グリッパ部材52は、圧縮コイルばね56の付勢力に抗して支持軸54を中心に
図2の反時計回り方向に回動する。すると、グリッパ部材51,52は、把持部51a,52aが容器30の首部33から離れ、容器30の把持が解除される。
【0030】
<容器搬送装置>
図4は、本実施形態の容器搬送装置における気体噴出装置の配置を表す概略図、
図5は、気体噴出装置を表す平面図、
図6は、気体噴出装置を表す正面(
図5のVI矢視)図、
図7は、気体噴出装置を表す側面(
図5のVII矢視)図である。なお、以下の説明では、転送ホイール23の回転中心O1とキャッパホイール25の回転中心O2を結ぶ水平方向をX方向、X方向に直交する水平方向をY方向、X方向およびY方向に直交する鉛直方向をZ方向として説明する。
【0031】
本実施形態の容器搬送装置は、
図4に示すように、転送ホイール(第1回転体)23と、グリッパ装置(第1グリッパ装置)24と、キャッパホイール(第2回転体)25と、グリッパ装置(第2グリッパ装置)26と、気体噴出装置60とを備える。
【0032】
気体噴出装置60は、グリッパ装置24から受け渡されてグリッパ装置26が把持した容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。気体噴出装置60は、容器30の内部で発生する飲料の旋回流に対向する方向で容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。
【0033】
気体噴出装置60は、噴出ノズル61と、気体供給ライン62と、開閉弁(または、流量調整弁)63と、気体供給源64とを有する。噴出ノズル61は、気体供給ライン62を介して気体供給源64に接続される。開閉弁63は、気体供給ライン62に設けられ、必要時に開放することで気体供給源64の気体Aを気体供給ライン62から噴出ノズル61に供給する。噴出ノズル61は、容器30の口部32に向けて気体Aを噴出する。なお、この気体Aは、例えば、空気であり、殺菌されたものである。
【0034】
転送ホイール23のグリッパ装置24は、容器30を把持して搬送する。転送ホイール23のグリッパ装置24が把持した容器30が容器受け渡し位置30Aに到達すると、容器30がキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡される。その後、転送ホイール23のグリッパ装置24は、容器30の把持を解除し、キャッパホイール25のグリッパ装置26は、容器30を把持して搬送する。気体噴出装置60は、容器受け渡し位置30Aと容器受け渡し位置30Aからキャッパホイール25の回転方向における予め設定された所定回転角度との間の領域で容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。
【0035】
容器第1回転位置30Bは、グリッパ装置26に把持された容器30が容器受け渡し位置30Aから第1回転角度R1だけ回転した位置である。容器第2回転位置30Cは、グリッパ装置26に把持された容器30が容器受け渡し位置30Aから第1回転角度R1より大きい第2回転角度R2だけ回転した位置である。気体噴出装置60は、容器30が容器第1回転位置30Bと容器第2回転位置30Cとの間の領域を搬送されるとき、容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。ここで、容器受け渡し位置30Aから容器第1回転位置30Bまでの第1回転角度R1は、14度が好ましく、容器受け渡し位置30Aから容器第2回転位置30Cまでの第2回転角度R2は、22度が好ましい。すなわち、気体噴出装置60は、容器受け渡し位置30Aを0度としたとき、キャッパホイール25の回転方向に14度から22度の領域(角度)R3で容器30の口部32内に気体Aを噴出するように構成することが好ましい。但し、第1回転角度R1の14度、第2回転角度R2の22度は、この角度に限定されるものではなく、例えば、領域(角度)R3は、10度から25度の領域としてもよい。
【0036】
また、
図5から
図7に示すように、気体噴出装置60の噴出ノズル61は、容器30の口部32の中心位置O3から転送ホイール23側にずれた容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。すなわち、噴出ノズル61は、容器30の口部32の中心位置O3に対して、キャッパホイール25の回転中心O2から離間する側にずれた容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。以下、気体噴出装置60の噴出ノズル61が容器第1回転位置30Bで容器30の口部32内に気体Aを噴出するものとして説明する。X方向に沿った中心線L1とY方向に沿った中心線L2とが交差する位置に容器30(口部32)中心位置O3があるものとする。このとき、容器30の中心位置O3の移動方向は、キャッパホイール25の径方向に対して直交する方向であるから、容器第1回転位置30Bで中心線L2に対してキャッパホイール25の回転中心O2側に角度αだけ傾斜した中心線L3に沿ったものとなる。ここで、中心線L3は、キャッパホイール25の回転中心O2を中心とする円弧である。また、角度αは、第1回転角度R1と同じ角度である。そして、噴出ノズル61の噴出口は、中心線L3から転送ホイール23側に距離mだけずれた直線L4上に位置する。なお、噴出ノズル61の噴出口を中心線L3に平行な方向としたが、噴出ノズル61の噴出口から噴出される気体A噴出方向が中心線L3に平行な方向の成分を持てばよく、噴出ノズル61の噴出口の方向は限定されない。
【0037】
そして、気体噴出装置60の噴出ノズル61は、キャッパホイール25の回転方向の上流側から容器の口部32内に気体Aを噴出可能である。すなわち、噴出ノズル61は、平面視で直線L4上に沿って配置され、噴出ノズル61の噴出口は、キャッパホイール25の回転方向の下流側を向く。そして、気体噴出装置60の噴出ノズル61は、容器30の長手方向(Z方向)に沿う中心線(中心位置O3)に対して予め設定された所定の傾斜角度βで容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。すなわち、中心線L3(直線L4)に直交する水平方向(中心線L5)から容器30および噴出ノズル61を見たとき(
図7)、噴出ノズル61は、容器30の中心線(中心位置O3)に対して傾斜角度βだけ傾斜して配置される。
【0038】
<容器搬送装置の作動>
図3および
図4に示すように、容器30は、転送ホイール23のグリッパ装置24に把持されて搬送される。このとき、転送ホイール23が回転することから、容器30に遠心力が作用する。この状態で、転送ホイール23が回転し続けると、容器30を把持したグリッパ装置24がキャッパホイール25のグリッパ装置26に対向する容器受け渡し位置30Aに到達する。キャッパホイール25のグリッパ装置26は、容器受け渡し位置30Aの手前で、カムローラ58がカム59に接触して一対のグリッパ部材51,52が開き、容器受け渡し位置30Aに到達すると、一対のグリッパ部材51,52を閉じて容器30の首部33を把持する。一方、転送ホイール23のグリッパ装置24は、容器受け渡し位置30Aを過ぎると、カムローラ48がカム49に接触して一対のグリッパ部材41,42が開き、容器30の首部33の把持を解除する。そのため、容器30は、容器受け渡し位置30Aにて、転送ホイール23のグリッパ装置24からキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡される。
【0039】
このとき、容器30は、上方から見てS字形状をなすように移動し、作用する遠心力の向きが逆になることから、容器30が容器受け渡し位置30Aを過ぎると、容器30の内部に充填されている飲料に旋回流が生成される。しかし、本実施形態では、容器30が容器受け渡し位置30Aを過ぎた容器第1回転位置30Bから容器第2回転位置30Cまでの領域で、気体噴出装置60は、噴出ノズル61から容器30の口部32内に気体Aを噴出する。なお、噴出ノズル61から容器30の口部32内に気体Aを噴出する領域は、容器第1回転位置30Bから容器第2回転位置30Cまでの領域の一部の領域であってもよく、この領域を超えた領域であってもよい。
図5から
図7に示すように、噴出ノズル61から容器30の口部32内に噴出された気体Aは、容器30の内部で生成された飲料の旋回流Wに対向するものである。そのため、容器受け渡し位置30Aで生成された容器30の内部での飲料の旋回流Wは、噴出ノズル61から噴出された気体Aにより打ち消され、容器30の外部へ飲料の飛跳ねる現象の発生が抑制される。
【0040】
なお、気体噴出装置60は、容器30が容器第1回転位置30Bから容器第2回転位置30Cまでの領域で、噴出ノズル61から容器30の口部32内に気体Aを噴出するものである。この場合、噴出ノズル61は、容器30の口部32内に気体Aを噴出することが可能な位置だけ気体Aを噴出してもよいし、常時、気体Aを噴出していてもよい。
【0041】
ここで、気体噴出装置60から噴出された気体Aによる飲料の旋回流Wの抑制効果について説明する。
図8は、従来の容器搬送装置における容器受け渡し時の容器内の飲料の挙動を表す概略図、
図9は、本実施形態の容器搬送装置における容器受け渡し時の容器内の飲料の挙動を表す概略図である。
【0042】
従来の容器搬送装置では、
図8に示すように、転送ホイール23のグリッパ装置24からキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡されるとき、容器30がS字形状をなすように移動し、作用する遠心力の向きが逆になることから、キャッパホイール25のグリッパ装置26が容器30を受けとって搬送するとき、容器30の内部に充填されている飲料に旋回流Wが生成される。この容器30の内部で発生する飲料の旋回流Wは、次第に大きくなり、飲料が容器30の外部へ飛跳ねてしまう。
【0043】
一方、本実施形態の容器搬送装置では、
図9に示すように、キャッパホイール25のグリッパ装置26が容器30を受けとって搬送するとき、容器30の内部で発生する飲料の旋回流Wに対向するように、気体噴出装置60は、噴出ノズル61から容器30の口部32内に気体Aを噴出する。容器30の口部32内に噴出された気体Aは、容器30の内部で生成された飲料の旋回流Wに対向してこれを打ち消す。そのため、容器30の内部で発生する飲料の旋回流Wが次第に大きくなることはなく、容器30の外部へ飲料の飛跳ねが抑制される。
【0044】
<本実施形態の作用効果>
第1の態様に係る容器搬送装置は、鉛直方向に沿う回転中心(第1回転軸)O1により回転可能な転送ホイール(第1回転体)23と、長手方向の一端部が転送ホイール23の外周部に支持されて他端部が容器30の首部33を把持可能なグリッパ装置(第1グリッパ装置)24と、鉛直方向に沿う回転中心(第2回転軸)O2により回転可能なキャッパホイール(第2回転体)25と、長手方向の一端部がキャッパホイール25の外周部に支持されて他端部がグリッパ装置24から受け渡される容器30の首部33を把持可能なグリッパ装置(第2グリッパ装置)26と、グリッパ装置24から受け渡されてグリッパ装置26が把持した容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である気体噴出装置60とを備える。
【0045】
第1の態様に係る容器搬送装置は、容器30がグリッパ装置24に把持され、転送ホイール23が回転して搬送されるとき、容器30は、遠心力が作用して下部が外方に移動するように傾斜する。傾斜状態の容器30が転送ホイール23のグリッパ装置24からキャッパホイール25のグリッパ装置26に受け渡されるとき、容器30は、作用する遠心力の方向が逆になることで、内部の飲料に旋回流Wが発生する。気体噴出装置60は、グリッパ装置26が把持した容器30の口部32内に気体Aを噴出することで、飲料の旋回流Wを打ち消す。その結果、容器30の変動によるスロッシングの発生が抑制され、容器30の外部への飲料の飛跳ねを抑制することができる。
【0046】
第2の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、グリッパ装置24からグリッパ装置26へ容器30を受け渡す容器受け渡し位置30Aと、容器受け渡し位置30Aからキャッパホイール25の回転方向における予め設定された所定回転角度(第2回転角度R2)との間の領域で容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、グリッパ装置24からグリッパ装置26へ容器30を受け渡されることで飲料の旋回流Wが発生し、発生した直後の飲料の旋回流Wに対して気体噴出装置60から気体Aが噴出されるため、飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0047】
第3の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、容器受け渡し位置30Aからキャッパホイール25の回転方向における回転角度が14度から22度の領域の少なくとも一部の領域で容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、適正な時期に気体噴出装置60が気体Aを噴出するため、飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0048】
第4の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、容器30の口部32の中心位置O3から転送ホイール23側にずれた容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、口部32の内周面に沿って流れる飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0049】
第5の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、キャッパホイール25の回転方向の上流側から容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、口部32内で発生した飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0050】
第6の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、容器30の長手方向に沿う中心線に対して予め設定された所定の傾斜角度βで容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、口部32内で発生した飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0051】
第7の態様に係る容器搬送装置は、気体噴出装置60は、容器30の内部で発生する飲料の旋回流Wに対向する方向で容器30の口部32内に気体Aを噴出可能である。これにより、発生した飲料の旋回流Wに対向して気体噴出装置60から気体Aが噴出されるため、飲料の旋回流Wを効率良く打ち消すことができる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、本発明の回転体を転送ホイール23とキャッパホイール25に適用して説明したが、回転テーブル21とキャッパホイール25などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 容器充填装置
11 容器検査機
12 容器洗浄機
13 容器殺菌装置
14 容器すすぎ装置
15 飲料充填機
16 キャッパ装置
17 キャップ殺菌機
21 回転テーブル
22 グリッパ装置
23 転送ホイール(第1回転体)
24 グリッパ装置(第1グリッパ装置)
25 キャッパホイール(第2回転体)
26 グリッパ装置(第2グリッパ装置)
30 容器
30A 容器受け渡し位置
30B 容器第1回転位置
30C 容器第2回転位置
31 容器本体
32 口部
33 首部
34 ねじ部
35 ネックリング
41,42,51,52 グリッパ部材
41a,42a,51a,52a 把持部
41b,42b,51b,52b ばね受部
43,44,53,54 支持軸
45,55 支持部材
46,56 圧縮コイルばね
47,57 レバー
48,58 カムローラ
49,59 カム
60 気体噴出装置
61 噴出ノズル
62 気体供給ライン
63 開閉弁
64 気体供給源
O1 回転中心(第1回転軸)
O2 回転中心(第2回転軸)
O3 中心位置
R1 第1回転角度
R2 第2回転角度
R3 領域(角度)
α 角度
β 傾斜角度
m 距離
A 気体
W 旋回流