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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061238
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20220411BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20220411BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20220411BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/36
B29C39/26
B29C43/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169118
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 修治
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】西沢 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和広
(72)【発明者】
【氏名】涌井 正明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸雄
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AD19
4F202AD29
4F202AH37
4F202AR06
4F202CA01
4F202CA09
4F202CB12
4F202CB17
4F202CQ01
4F202CQ06
4F204AA36
4F204AB03
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204AR06
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF01
4F204FF23
4F204FN15
4F204FQ38
5F061BA04
5F061CA22
5F061CB03
5F061DA06
5F061DA16
5F061DB01
5F061DE02
5F061DE05
(57)【要約】
【課題】樹脂供給部で供給される液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂の保形性を高め、搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなく装置内の汚染が生ずることなくクリーン度を維持することができ装置構成も簡略化できる樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】ディスペンスユニット11Cには、ワークWを載置する樹脂供給テーブル5と、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂RをワークW上に供給する樹脂ディスペンサ8と、を備え、樹脂供給テーブル5には、樹脂ディスペンサ8よりワークW上に供給された樹脂Rを上型キャビティ可動の圧縮成形用金型2の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータ5aが内蔵されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂供給部において液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂が供給されたワークが上型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、
前記樹脂供給部には、ワークを載置する樹脂供給テーブルと、前記樹脂を前記ワーク上に供給する樹脂ディスペンサと、を備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記ワーク上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記ワーク上に前記樹脂が供給される請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記樹脂が搭載されたワークを前記樹脂供給部から上型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する搬送機構を備えている請求項1又は請求項2記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂とワークが下型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、
キャビティ凹部の形状に対応する貫通孔を有し、貫通孔の下方を覆う枚葉フィルム及び前記貫通孔内の枚葉フィルム上に供給される前記樹脂を前記金型に搬送する搬送治具と、
前記搬送治具を載置する樹脂供給テーブルと、前記樹脂を前記貫通孔内の前記枚葉フィルム上に供給する樹脂ディスペンサと、を備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記枚葉フィルム上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項5】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記枚葉フィルム上に前記樹脂が供給される請求項4記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記枚葉フィルム上に板状部材が載置された搬送治具が樹脂供給テーブルに載置され、前記板状部材上に樹脂ディスペンサにより前記樹脂が供給される請求項4又請求項5記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を搭載した枚葉フィルムとワークが下型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、
第一貫通孔を有し当該第一貫通孔の下方を覆うように枚葉フィルムを吸着保持する外枠治具と、
第二貫通孔を有し前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に装着される内枠治具と、
前記外枠治具に装着された前記内枠治具の内側の前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に前記樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記内枠治具が取り外された前記外枠治具を保持して前記枚葉フィルム上の前記樹脂を前記樹脂供給部から前記金型へ搬送する搬送機構と、を備え、
前記樹脂供給部は、前記樹脂を前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に供給する樹脂ディスペンサと、前記内枠治具が装着された前記外枠治具を載置する樹脂供給テーブルを備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項8】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記内枠治具の第二貫通孔内の枚葉フィルム上に前記樹脂を供給する請求項7記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
前記枚葉フィルム上に板状部材が載置された外枠治具が樹脂供給テーブルに載置され、前記板状部材上に樹脂ディスペンサにより前記樹脂が供給される請求項7又請求項8記載の樹脂封止装置。
【請求項10】
前記ヒータは、前記樹脂を90℃以下の所定温度で加熱する請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項11】
液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂をワーク上に供給する樹脂供給工程と、
前記樹脂を供給しながら前記ワークを介して成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させる工程と、
前記ワークを搬送機構によって上型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する工程と、
前記樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記ワークを前記金型へ受け渡して保持させる工程と、
前記金型でワークをクランプして前記樹脂を成形温度である第二温度まで昇温させて加熱硬化させる樹脂封止工程と、
を含むことを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項12】
枚葉フィルムを供給するフィルム供給工程と、
前記枚葉フィルムに外枠治具の第一貫通孔の下方を覆うように重ねて吸着保持する工程と、
前記外枠治具の第一貫通孔の上方から内周面に沿って内枠治具を嵌め合わせる工程と、
前記内枠治具の第二貫通孔内であって前記枚葉フィルム上に樹脂封止に必要な液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を供給する工程と、
前記樹脂を成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させる工程と、
前記外枠治具より前記内枠治具を取り外した後、当該外枠治具を搬送機構によって下型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する工程と、
前記樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記枚葉フィルムを前記金型へ受け渡して金型面及びキャビティ凹部に吸着保持させる工程と、
前記金型でワーク及び枚葉フィルムをクランプして前記樹脂を成形温度である第二温度まで昇温させて加熱硬化させる樹脂封止工程と、
を含むことを特徴とする樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を搭載したワークが同時に、或いは液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂とワークが別に、圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム上に供給された液状、顆粒状若しくは粉末状の樹脂のいずれかを封止金型へ搬送して封止する際に、封止樹脂の微粉末が飛散するのを防止するため、出願人は、既にローダによるフィルム保持位置とディスペンサ位置との間に、フィルムに投下された樹脂を加熱する加熱部を備えた樹脂封止装置を提案した。
これは加熱部の下をフィルムに樹脂が投下されたテーブルを移動させる際に樹脂を加熱溶融させるものである。これにより樹脂投下領域の表面位置の封止樹脂を一体化させて微粉の飛散を防いでいる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-166720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顆粒樹脂又は粉末樹脂を用いて樹脂封止する場合、粒径のばらつきが大きく、小さいものは粉状であり大きなものは数mm程度のものが混在する。粒径が小さい樹脂は、搬送途中で位置ずれしたり舞い上がったりして、クリーンルーム内に設置される圧縮成形装置において装置内で樹脂粉粒が拡散すると装置内の汚染が生じる要因となる。また、装置に対してメンテナンス等をする際に装置のドアを開閉する必要があるため、クリーンルーム内に樹脂粉粒が拡散してしまうおそれがあり、装置内であっても樹脂粉粒が飛散しない構成とすることが好ましい。
【0005】
また、特許文献1のように、ローダによるフィルム保持位置とディスペンサ位置との間に、フィルムに投下された樹脂を加熱する加熱部を設ける場合、加熱部を別途設けるスペースや樹脂を載せたフィルムを加熱部の直下を通過するテーブルなどの設備を要し、設置面積が増えて装置構成も複雑化する。
また、特に液状樹脂の場合は硬化時間を含めた成形時間が長く生産性が悪い。
更に、板状部材を表面露出させた樹脂封止製品の場合に、封止金型内に搬入されたワークや樹脂の昇温に時間がかかるため生産性が悪い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件発明者らは、樹脂封止用のエポキシ系樹脂が一般に90℃以下であれば、熱硬化性樹脂の特徴である溶融・硬化反応が進まない、即ち熱履歴に影響しないことを見いだし、概ね90℃以下の範囲で加熱することで顆粒樹脂又は粉末樹脂が軟化し飛び跳ね難くなる性質を利用して本発明をするに至った。
本発明は、樹脂供給部で供給される液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂の保形性を高め、搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなく装置内の汚染が生ずることなくクリーン度を維持することができ装置構成も簡略化できる樹脂封止装置を提供することを目的とする。
また、圧縮成形用金型に前記樹脂が投入される前に樹脂を予熱することで樹脂の保形性を高めて樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く成形品質の安定と成形時間を短縮して生産性を向上させた樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を備える。
樹脂供給部において液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂が供給されたワークが上型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、前記樹脂供給部には、ワークを載置する樹脂供給テーブルと、前記樹脂を前記ワーク上に供給する樹脂ディスペンサと、を備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記ワーク上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする。
上記構成によれば、樹脂供給部においてワーク上に供給された液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を成形温度より低い所定温度にヒータで加熱して軟化させることにより、樹脂粉粒が舞い難くなるので樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、ワーク上に供給された樹脂の保形性を高めることによりワーク搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、ワークの直下からヒータで加熱することにより装置構成も簡略化することができる。
【0008】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記ワーク上に樹脂モールドに必要な液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂が供給されるようにしてもよい。
このように、樹脂供給テーブル又は樹脂ディスペンサをX-Y方向に走査しながらワーク上に液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂を供給すると、装置のレイアウト構成がコンパクトな設計となり、しかも樹脂供給テーブル上で樹脂の加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることはないので、樹脂供給形態も自由に選択することができる。
【0009】
前記樹脂が搭載されたワークを前記樹脂供給部から上型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する搬送機構を備えていてもよい。
これにより搬送機構により樹脂が搭載されたワークを樹脂供給部から上型キャビティを有する圧縮成形用金型へ搬送する際に、樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。
【0010】
液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂とワークが下型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、キャビティ凹部の形状に対応する貫通孔を有し、貫通孔の下方を覆う枚葉フィルム及び前記貫通孔内の枚葉フィルム上に供給される前記樹脂を前記金型に搬送する搬送治具と、前記搬送治具を載置する樹脂供給テーブルと、前記樹脂を前記貫通孔内の前記枚葉フィルム上に供給する樹脂ディスペンサと、を備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記枚葉フィルム上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする。
上記構成によれば、枚葉フィルム上に供給された液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を成形温度より低い所定温度にヒータで加熱して軟化させることにより、樹脂粉粒が舞い難くなるので樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、枚葉フィルム上に供給された樹脂の保形性を高めて、搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、枚葉フィルムの直下からヒータで加熱することにより装置構成も簡略化することができる。また、成形前に樹脂を予熱することで成形時間を短くすることができる。
【0011】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記枚葉フィルム上に前記樹脂が供給されるようにしてもよい。
このように、樹脂供給テーブル又は樹脂ディスペンサをX-Y方向に走査しながら枚葉フィルム上に液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を供給すると、装置のレイアウト構成がコンパクトな設計となり、しかも樹脂供給テーブル上で樹脂の加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることはないので、樹脂供給形態も自由に選択することができる。
【0012】
前記枚葉フィルム上に板状部材が載置された搬送治具が樹脂供給テーブルに載置され、前記板状部材上に樹脂ディスペンサにより前記樹脂が供給されるようにしてもよい。これにより、放熱板、シールド板、アンテナ板等の板状部材をワークと組み合わせて樹脂封止する際に、樹脂を板状部材上で保形したまま搬送することができ、樹脂粉粒が舞うおそれがなくなる。
【0013】
液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を搭載した枚葉フィルムとワークが下型キャビティ可動の圧縮成形用金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、第一貫通孔を有し当該第一貫通孔の下方を覆うように枚葉フィルムを吸着保持する外枠治具と、第二貫通孔を有し前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に装着される内枠治具と、前記外枠治具に装着された前記内枠治具の内側の前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に前記樹脂を供給する樹脂供給部と、前記内枠治具が取り外された前記外枠治具を保持して前記枚葉フィルム上の前記樹脂を前記樹脂供給部から前記金型へ搬送する搬送機構と、を備え、前記樹脂供給部は、前記樹脂を前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に供給する樹脂ディスペンサと、前記内枠治具が装着された前記外枠治具を載置する樹脂供給テーブルを備え、前記樹脂供給テーブルには、前記樹脂ディスペンサより前記第二貫通孔内の枚葉フィルム上に供給された前記樹脂を前記金型の成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるヒータが内蔵されていることを特徴とする。
上記構成によれば、樹脂供給テーブル上で樹脂ディスペンサから樹脂を内枠治具の内側で枚葉フィルム上に供給しながら枚葉フィルム下方よりヒータで成形温度より低い所定温度に加熱して軟化させるため、樹脂粉粒が舞い難くなり樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、枚葉フィルム上に供給された樹脂の保形性を高めて、枚葉フィルム及び樹脂を搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、枚葉フィルムの直下からヒータで加熱することにより装置構成も簡略化することができる。また、成形前に樹脂を予熱することで成形時間を短くすることができる。
【0014】
前記樹脂供給テーブル又は前記樹脂ディスペンサを相対的にX-Y方向に走査しながら前記内枠治具の第二貫通孔内の枚葉フィルム上に前記樹脂を供給するようにしてもよい。
このように、樹脂供給テーブル又は樹脂ディスペンサをX-Y方向に走査しながら液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を供給すると、装置のレイアウト構成がコンパクトな設計となり、しかも樹脂供給テーブル上で樹脂の加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることはないので、樹脂供給形態も自由に選択することができる。
【0015】
前記枚葉フィルム上に板状部材が載置された外枠治具が樹脂供給テーブルに載置され、前記板状部材上に樹脂ディスペンサにより前記樹脂が供給されるようにしてもよい。これにより、放熱板、シールド板、アンテナ板等の板状部材をワークと組み合わせて樹脂封止する際に、樹脂を板状部材上で保形したまま搬送することができ、樹脂粉粒が舞うおそれがなくなる。
【0016】
前記ヒータは、前記樹脂を90℃以下の所定温度で加熱することが望ましい。これにより、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの熱硬化性樹脂の溶融・硬化反応が進まない90℃以下の所定温度で加熱するので、熱履歴の相違により成形品質に影響することなく、枚葉フィルム又はワーク上の任意の散布エリアに供給された樹脂の保形性を高めることができる。また、成形前に樹脂を予熱することで成形時間を短くすることができる。
【0017】
樹脂封止方法においては、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂をワーク上に供給する樹脂供給工程と、前記樹脂を供給しながら前記ワークを介して成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させる工程と、前記ワークを搬送機構によって上型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する工程と、前記樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記ワークを前記金型へ受け渡して保持させる工程と、前記金型でワークをクランプして前記樹脂を成形温度である第二温度まで昇温させて加熱硬化させる樹脂封止工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂封止方法によれば、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂をワーク上に供給しながらワークを介して成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させるので、樹脂粉粒が舞い難くなり樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、ワーク上に供給された樹脂の保形性が高まるので、枚葉フィルム及び樹脂を搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、ワーク上の樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く装置内の汚染が生じることがなくなる。また、成形前に樹脂を予熱することで成形時間を短くすることができる。
【0018】
他の樹脂封止方法においては、枚葉フィルムを供給するフィルム供給工程と、前記枚葉フィルムに外枠治具の第一貫通孔の下方を覆うように重ねて吸着保持する工程と、前記外枠治具の第一貫通孔の上方から内周面に沿って内枠治具を嵌め合わせる工程と、前記内枠治具の第二貫通孔内であって前記枚葉フィルム上に樹脂封止に必要な液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を供給する工程と、前記樹脂を成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させる工程と、前記外枠治具より前記内枠治具を取り外した後、当該外枠治具を搬送機構によって下型キャビティ可動の圧縮成形用金型へ搬送する工程と、前記樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記枚葉フィルムを前記金型へ受け渡して金型面及びキャビティ凹部に吸着保持させる工程と、前記金型でワーク及び枚葉フィルムをクランプして前記樹脂を成形温度である第二温度まで昇温させて加熱硬化させる樹脂封止工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂封止方法によれば、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂を枚葉フィルム上に供給しながら当該枚葉フィルムを介して成形温度より低い第一温度に加熱して軟化させるので、樹脂粉粒が舞い難くなり樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、枚葉フィルム上に供給された樹脂の保形性が高まるので枚葉フィルム及び樹脂を搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、枚葉フィルム上の樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く装置内の汚染が生じることがなくなる。また、成形前に樹脂を予熱することで成形時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
樹脂供給部で供給される液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂の保形性を高め、搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなく装置内の汚染が生ずることなくクリーン度を維持することができ装置構成も簡略化できる樹脂封止装置を提供することができる。
また、圧縮成形用金型に前記樹脂が投入される前に予熱することで樹脂の保形性が高まるため樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く成形品質を安定させると共に成形時間を短縮して生産性を向上させた樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】外枠治具に樹脂を供給するまでの工程を示す説明図である。
図2】樹脂が供給された外枠治具を下型キャビティ可動の圧縮成形用金型まで搬送して樹脂封止する工程を示す説明図である。
図3】下型キャビティ可動の圧縮成形用金型を用いた樹脂封止装置のレイアウト構成を示す概念図である。
図4】外枠治具と第二枠体治具の平面図である。
図5】他例に係る樹脂が供給された外枠治具を上型キャビティ可動の圧縮成形用金型まで搬送して樹脂封止する工程を示す説明図である。
図6】他例に係る下型キャビティ可動の圧縮成形用金型を用いた樹脂封止装置のレイアウト構成を示す概念図である。
図7】他例に係る上型キャビティ可動の圧縮成形用金型を用いた樹脂封止装置のレイアウト構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[全体構成]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図3は本発明の実施形態に係る樹脂封止装置のレイアウト構成図である。樹脂封止装置は下型キャビティ可動の圧縮成形装置1を例示し、ワークWは、薄板状のキャリヤ(例えば樹脂基板、銅板、ガラス板、樹脂多層基板等)に半導体チップなどの電子部品及び板状部材6が搭載されたものを想定して樹脂封止する場合について説明する。また、圧縮成形装置1においては、電子部品を移載したキャリヤであるワークWは樹脂封止されるときに、板状部材6と一体化してもよい。
【0022】
図3において、下型キャビティ可動の圧縮成形装置1は、プレス部A、ワーク供給部B、フィルム供給部C、樹脂供給部D、板状部材供給部E、クリーナー部F、フィルム廃棄ボックスGを備えている。これらはユニット化されて連結されていてもよいし装置本体に各々一体に組み付けられていてもいずれでもよい。以下、各部の構成について説明する。
【0023】
[プレス部A]
プレス部Aには、図2(d)に示すように上型2a及び下型2bを有する封止金型2(下型キャビティ可動の圧縮成形用金型)を備えている。本実施例では、下型2bには下型キャビティ凹部2cが形成され、上型2aにはワークWが吸着保持される。下型キャビティ凹部2cは、キャビティ底部を構成する下型キャビティ駒2hとこれを囲んで設けられたキャビティ側部を構成する下型クランパ2iにより形成され、これらが相対移動可能に設けられている。封止金型2は型閉じされて例えば170℃程度に加熱されて圧縮成形されるようになっている。下型2bが可動型で上型2aが固定型であっても、下型2bが固定型で上型2aが可動型であってもよく或いは双方が可動型であってもよい。
【0024】
封止金型2は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)等を備えて構成されている(駆動用機構についてはいずれも不図示)。
【0025】
封止金型2の下型キャビティ凹部2cを含む下型クランプ面は、後述する枚葉フィルム2dが吸着保持されている。枚葉フィルム2dは、例えば厚さ50μm程度の耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れた長尺状に連なるフィルム材が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等が好適に用いられる。枚葉フィルム2dは、後述するフィルム供給部Cにおいて長尺状に巻き取られたフィルムロールよりフィルム先端側をワークWに対応した短冊形状の成形に必要なサイズに切断されて供給される。
【0026】
後述するように、液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂R(以下単に「樹脂R」という)を搭載された枚葉フィルム2dは、下型キャビティ凹部2cと位置合わせして下型2bへ受け渡されて吸着保持される。封止金型2はワークW及び枚葉フィルム2dをクランプして樹脂Rを成形温度(例えば170℃程度:第二温度)まで昇温させて加熱硬化させる。
【0027】
[ワーク供給部B]
ワーク供給部BにはワークWを所定間隔で収納するワーク供給マガジンが設けられる。ワーク供給マガジンより送り出されたワークWは、図示しないワークローダによって、型開きした封止金型2に搬送され、上型2aの上型クランプ面2a1に吸着保持される(図2(d)参照)。
【0028】
[フィルム供給部C]
フィルム供給部Cは、下型キャビティ凹部2cを含む下型クランプ面を覆う枚葉フィルム2dを供給する。長尺状に巻き取られたフィルムロールより図示しないフィルム送り機構によってフィルムが支持台上に繰り出されて、ワークWに対応した短冊形状の成形に必要なサイズに切断される。枚葉フィルム2dには外枠治具3が重ねて載置される。
【0029】
外枠治具3は、例えば矩形状の枠体3aに第一貫通孔3bが設けられている。枠体3aの第一貫通孔3bの外周位置には、フィルム吸着孔3c(図2(a)参照)が周方向に複数設けられている。フィルム吸着面は周方向に沿って溝が形成されていても良い。外枠治具3は枚葉フィルム2dに載置されると、第一貫通孔3bの下方を覆うように枚葉フィルム2dをフィルム吸着孔3cより吸着保持する(図1(b)参照)。外枠治具3は例えばアルミニウム製の矩形枠体が用いられ、表面に樹脂Rが付着し難い被膜(例えばフッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフロオロエチレン)被膜等)が形成されていてもよい。
【0030】
また、外枠治具3の第一貫通孔3bの内周面形状と内枠治具4の外周面形状が同じ形状で、第一貫通孔3bの上方より内枠治具4が挿入されて装着される(図1(b)参照)。図4において、外枠治具3は、矩形枠体であり、枠体3aには封止金型2の下型キャビティ凹部2cの形態に合わせ2つの第一貫通孔3b(矩形孔)が形成されている。2つの第一貫通孔3bの内周縁部には、その下側が上側よりも大きくなる段差部3dが設けられている。また、第一貫通孔3bの内周縁部では、複数個所(例えば4か所)に段差部3dの外形の位置よりも外側に向けて凹んだ形状となる凹部3eが外周側に向けて彫り込まれるように形成されている。外枠治具3は、専ら後述する搬送機構7(図2(a)参照)により搬送される。
【0031】
また、内枠治具4は、例えば矩形状の枠体4aに第二貫通孔4bが設けられている(図1(c)参照)。図4において、内枠治具4は、外周面形状が外枠治具3に設けられた2つの第一貫通孔3bの内周面形状と同形状で各第一貫通孔3b内に枠体4aが嵌め込まれている。内枠治具4の枠体4aの上部外周縁部には、フランジ部4cが突設されている。2つの内枠治具4は、枠体4aが第一貫通孔3bに各々嵌め込まれ、外枠治具3の凹部となっている段差部3dにフランジ部4cを重ね合わせて組み付けられる。これにより、フランジ部4cの外形と段差部3dの内形とが嵌め合わされることで、内枠治具4が外枠治具3に位置合わせされて組み付けられる。内枠治具4は、専ら図1(c)に示す枠体ピックアンドプレース(第一移載機構)9により搬送(移載)される。具体的には、段差部3dにフランジ部4cが重ねられた状態で、外枠治具3の凹部3eと内枠治具4との外周の間に構成される複数の隙間からそれぞれ枠体ピックアンドプレース9のフック(図1(c)参照)を差し込んで、内枠治具4のフランジ部4cをこのフックで保持することで搬送することができる。なお、内枠治具4の搬送方法は、この方法に限らず、吸着や他の構成を用いて搬送(移載)してもよい。
【0032】
このように外枠治具3の第一貫通孔3bに枠体4aが各々位置合わせして嵌め込まれて樹脂Rが供給される。これにより、後述する樹脂Rを散布するエリアは第一貫通孔3bの内周面より内側のエリアとなり、内枠治具4の枠体4aの第二貫通孔4bの形状や配置を変更することで樹脂Rを散布するエリアの設定を容易に行うことができる。例えば、貫通孔4bを外枠治具3の第一貫通孔3bと同一形状の同一中心とせず、中心がオフセットした位置となるようにすることもできる。また、貫通孔4bは上述したように1つでもよいし、2つや3つに分けて複数としてもよい。このような場合にも貫通孔4bの形状を異ならせた内枠治具4を用いることで樹脂Rを散布するエリアを任意に設定することができる。内枠治具4も外枠治具3と同様にアルミニウム製の矩形枠体が用いられ、表面に樹脂が付着し難い被膜(例えばフッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフロオロエチレン)被膜等)が形成されていてもよい。
【0033】
[樹脂供給部D]
樹脂供給部Dは、樹脂ディスペンサ8を備えており、樹脂Rを計量しながら一回分の樹脂封止に必要な樹脂量を供給ノズル8a(図1(f)参照)を通じて枚葉フィルム2dに供給する。樹脂供給部Dには、樹脂供給テーブル5が設けられている。樹脂供給テーブル5には、内枠治具4が装着された外枠治具3が載置される。内枠治具4の第二貫通孔4bより一回分の樹脂封止に必要な樹脂Rが枚葉フィルム2d上に供給される。なお、ここでいう樹脂Rとは、一粒が1mmから数mm程度のような粒状の樹脂であっても良いし、それよりも粒が小さい粉状樹脂であっても良いし、液状樹脂であっても良い。
【0034】
また、樹脂供給テーブル5には加熱部(ヒータ5a)が設けられている。本実施例では、樹脂供給テーブル5にヒータ5aが内蔵されている。ヒータ5aは、外枠治具3の下方から当該枚葉フィルム2dを介して熱硬化性樹脂の一例としてエポキシ系の樹脂Rを成形温度(例えば170℃程度:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱する。具体的には、枚葉フィルム2d、板状部材6を介してテーブル下方から樹脂Rを加熱して表面を軟化させる。これにより、供給ノズル8a(図1(f)参照)から樹脂Rを順次枚葉フィルム2dに落下させても樹脂粉粒が跳ねて拡散することがない。また、板状部材6上において樹脂Rが加熱により軟化することで樹脂粉粒同士の粘着性を少しおこさせて内枠治具4の第二貫通孔4b内で樹脂Rを保形することができる。また、樹脂供給テーブル5がヒータ5aを内蔵することで、別途の加熱工程を不要とすることができ、生産性を高めることもできる。また、板状部材6を予熱することで封止金型2での加熱時間を短縮でき、成形品質安定と生産性を向上することもできる。また、加熱部を別途設ける装置構成に比べてテーブル内に加熱部を設けることで設置面積を縮小でき、別途の加熱機構を設ける必要もなく、装置構成を簡素化することができる。
【0035】
本実施例では、樹脂ディスペンサ8の供給ノズル8aは固定で、枚葉フィルム2dを吸着保持した外枠治具3を樹脂供給テーブル5に載置したまま、当該樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら樹脂Rを供給するようになっている。樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら内枠治具4の内側に樹脂Rが供給される。内枠治具4は、枚葉フィルム2d上に樹脂Rが供給された際に当該樹脂Rを堰き止める樹脂Rの供給領域の外形を規定している。
このように樹脂供給部Dに配置された樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら樹脂Rを供給すると装置構成を小型にすることができる。
尚、樹脂供給テーブル5を固定で、樹脂ディスペンサ8の供給ノズル8aをX-Y方向に走査するようにしてもよい。
【0036】
このように、樹脂供給テーブル5には、樹脂ディスペンサ8より枚葉フィルム2d上に供給された樹脂Rを樹脂硬化温度より低い所定温度(90℃以下;例えば60℃~80℃程度:第一温度)に加熱するヒータ5aが内蔵されているので、一回分の樹脂封止に必要な樹脂Rを枚葉フィルム2d上に供給しながら第一温度に加熱して樹脂Rの表面を軟化させることで、樹脂粉粒が飛び跳ね難くなり(液状樹脂の場合は粘度がわずかに高まり)、枚葉フィルム2d上に供給された樹脂Rの保形効果が高まる。よって、樹脂搬送途中に樹脂粉粒が舞うおそれを可及的に減らしてクリーン度を維持することができる。
また、樹脂Rを枚葉フィルム2dと共に搬送途中に加熱部を別途設ける必要はないので、設置面積も少なくなり装置構成を簡略化することができる。また、成形温度より低い概ね90℃以下の第一温度で加熱することで、樹脂供給テーブル5上で樹脂Rの加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることは極めて少ないので、樹脂封止には影響がない。尚、樹脂供給テーブル5を固定で、樹脂ディスペンサ8の供給ノズル8aをX-Y方向に走査するようにしてもよい。
【0037】
[板状部材供給部E]
フィルム供給部Cの近傍には、板状部材供給部Eが設けられている。放熱板は図示しないマガジンに収納されており、マガジンより送り出された板状部材6を板状部材ピックアンドプレース機構(第二移載機構)10によりフィルム供給部Cにおいて内枠治具4が取り外された外枠治具3の第一貫通孔3bより枚葉フィルム2d上に供給される。板状部材ピックアンドプレース機構10には、板状部材6の外形を案内するガイドピンと、板状部材6の下面を支持するL字状の開閉爪と外枠治具3が設けられている。これにより、板状部材ピックアンドプレース機構10は、外枠治具3の第一貫通孔3b内において、L字状の開閉爪で板状部材6を保持した状態で、板状部材6を枚葉フィルム2dの近傍まで搬入する。そのうえで、開閉爪を板状部材6の下から外側に退避させて、ガイドピンで案内することで板状部材6を枚葉フィルム2dの所定の位置にセットする。なお、外枠治具3に凹部3eが設けられていることで、これらのガイドピンとL字状の開閉爪が、凹部3e内で動作することができる構成となっている。板状部材6は枚葉フィルム2dに積層したまま樹脂供給部Dに搬送される。尚、板状部材供給部Eはオプションであり、省略することも可能である。尚、枠体ピックアンドプレース(第一移載機構)9と板状部材ピックアンドプレース機構(第二移載機構)10を一体化してもよい。即ち、枠体ピックアンドプレース9により、板状部材6を板状部材供給部Eより供給するようにしてもよい。
【0038】
[クリーナー部F]
クリーナー部Fは、外枠治具3及び内枠治具4をクリーニングして再利用する。具体的には、外枠治具3は、複数用いられ、封止金型2よりクリーナー部Fを経て再度フィルム供給部Cへ巡回搬送されて再利用される。外枠治具3は、図2(a)に示す搬送機構7により搬送されたまま各工程間を周回して搬送される。搬送機構7は、外枠治具3を把持して搬送する。内枠治具4は、フィルム供給部C、樹脂供給部D及びクリーナー部Fを巡回搬送されて再利用される。外枠治具3は封止金型2を経由するが、内枠治具4は封止金型2を経由しない。内枠治具4は枠体ピックアンドプレース9により、外枠治具3に対して着脱され、使用後はクリーナー部Fへ移送される。クリーナー部Fには、駆動源により回転駆動されるクリーニングブラシやエアーブロー、集塵機構等が設けられており、外枠治具3又は内枠治具4に付着した樹脂粉塵等を除去するようになっている。
【0039】
また、内枠治具4を外枠治具3に使用して樹脂Rを供給し、内枠治具4を外枠治具3から取り外して封止金型2へ樹脂Rを供給するので、外枠治具3に樹脂粉塵等による汚れが発生することがなく、クリーナー部Fで簡易にクリーニングして再利用することができる。
【0040】
プレス部Aとクリーナー部Fとの間には、フィルム廃棄ボックスGを備えている。フィルム廃棄ボックスGは、使用済の枚葉フィルム2dを廃棄するものである。例えば、樹脂封止成形後に下型2bに残された使用済の枚葉フィルム2dを搬送機構7に設けた使用済の枚葉フィルム2dを保持する機構(図示せず)により搬送しフィルム廃棄ボックスGに投下することにより廃棄をすることができる。
【0041】
次に、樹脂封止工程の一例について、図1及び図2を参照して説明する。以下の説明は、ワークWと共に板状部材6を樹脂封止する場合を例示するものとする。図1(a)のフィルム供給部Cにおいて、長尺フィルムを支持台(テーブル)に引き出し、フィルムを支持台に吸着保持してから切断することで、一回の樹脂封止に使用する枚葉フィルム2dを用意する。図1(b)において、枚葉フィルム2d上に搬送機構7を用いて外枠治具3を載置し、枠体ピックアンドプレース9を用いて内枠治具4を載置する。内枠治具4は第一貫通孔3bから枠体3aの内周面形状と同形状で内側に内枠治具4の枠体4aがそれぞれ嵌め込まれている。外枠治具3はフィルム吸着孔3cより枚葉フィルム2dを吸着保持して第一貫通孔3bの下方側を覆う。尚、外枠治具3と内枠治具4は予めセットされて搬送機構7により枚葉フィルム2d上に供給してもよい。
【0042】
図1(c)に示すように、枠体ピックアンドプレース9が外枠治具3及び内枠治具4を枚葉フィルム2d上に置いて退避する際に、内枠治具4のみを保持して持ち上げる。この状態で、図1(d)に示すように、板状部材供給部Eから板状部材6を板状部材ピックアンドプレース機構10により外枠治具3の第一貫通孔3bより枚葉フィルム2d上にセットする。板状部材6がセットされると、図1(e)に示すように、枠体ピックアンドプレース9により持ち上げられていた内枠治具4を外枠治具3の内周面に重ねて装着する。このとき、内枠治具4の下面は、板状部材6に当接している。板状部材6がセットされると、外枠治具3は、搬送機構7により内枠治具4とともに樹脂供給部Dに搬送され、樹脂供給テーブル5上に載置される。
【0043】
次に、図1(f)示すように樹脂ディスペンサ8により樹脂Rを計量しながら供給ノズル8aから樹脂供給テーブル5上の外枠治具3に、1回分の樹脂封止に必要な樹脂Rを供給する。具体的には、樹脂供給テーブル5をX-Y駆動機構によりX-Y方向に移動させながら、内枠治具4の第二貫通孔4b内であって枚葉フィルム2d上に供給ノズル8aから樹脂Rが供給される。
【0044】
このとき、図1(g)に示すように、樹脂供給テーブル5は、内蔵する加熱部(ヒータ5a)により成形温度(例えば170℃程度:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱されており、枚葉フィルム2d、板状部材6を介して樹脂Rを加熱して軟化させる。このとき、供給ノズル8aから樹脂Rが順次枚葉フィルム2dに落下しても跳ねて拡散することが少なく、さらに投入後の樹脂Rが樹脂供給テーブル5上で加熱されることで樹脂Rが軟化し、粘着性を少しおこさせることで、内枠治具4の第二貫通孔4b内で樹脂Rを保形することができる。よって、内枠治具4を外して外枠治具3を搬送機構7で封止金型2に搬送する際に樹脂粉粒が舞うおそれはなく、装置内の汚染の発生を防止できる。
【0045】
次いで、図1(h)に示すように、枠体ピックアンドプレース9により内枠治具4を外枠治具3の内周面から持ち上げて取り外す。この結果、外枠治具3の内周面より例えば5mm程度内側領域に軟化した樹脂Rが崩れない状態で板状部材6上に供給することができる。尚、枠体ピックアンドプレース9は、内枠治具4を保持したままクリーナー部Fに搬送し、内枠治具4はクリーニングされて外枠治具3と共に再度フィルム供給部Cに搬送されて再利用される。
【0046】
次に、図2(a)に示すように、搬送機構7は内枠治具4が除去された外枠治具3を保持して樹脂供給テーブル5から型開きした封止金型2へ搬送する。ここで、搬送機構7は、図示しないフック等により外枠治具3を保持するとともに、図示しない真空ポンプ等により枚葉フィルム2dを吸着保持して、樹脂Rを搬送する。このとき、樹脂Rは加熱により軟化して保形性を維持しているので、搬送途中に樹脂粉粒が舞うおそれもなく、外枠治具3の樹脂汚れの発生を防止することができる。
【0047】
次いで図2(b)に示すように、搬送機構7は樹脂Rと下型キャビティ凹部2cを位置合わせして枚葉フィルム2dを下型2bへ受け渡して吸着保持させる。下型2bの下型キャビティ凹部2cの周縁部であるクランプ面には図示しないフィルム吸着孔が設けられている。図2(c)に示すように。外枠治具3による枚葉フィルム2dの吸着を解除し、下型2bによる枚葉フィルム2dの吸着を開始することで、板状部材6及び樹脂Rは枚葉フィルム2dと共に下型キャビティ凹部2c内に収容され、枚葉フィルム2dが下型2bに吸着保持される。板状部材6及び樹脂Rは、下型キャビティ凹部内の吸引動作により枚葉フィルム2dともに下型キャビティ凹部2c内に収容される。
【0048】
図2(d)に示すように、図示しないワークローダにより薄板状のキャリヤに半導体チップなどの電子部品が搭載されたワークWが型開きした上型クランプ面2a1に電子部品搭載面を下にしてキャリヤを吸着保持させる。次いで、封止金型2を型締めする。図2(e)に示すように、上型2aと下型2bとでワークW及び枚葉フィルム2dをクランプして樹脂Rを樹脂硬化温度まで昇温させて加熱硬化させる。
【0049】
板状部材6及び樹脂Rを載せた枚葉フィルム2dを下型2bに受け渡した外枠治具3は、搬送機構7に把持されたままクリーナー部F(図3参照)に搬送されてクリーニングされ、内枠治具4と共に再度フィルム供給部Cに搬送されて再利用される。
【0050】
上記樹脂封止方法を使用すれば、樹脂Rの枚葉フィルム2dに対する散布エリアを任意に設定でき、搬送途中に樹脂粉粒が舞うおそれがなくハンドリングし易く、しかも外枠治具3は直接樹脂Rに接触しないため樹脂汚れが発生することがない。
尚、フィルム供給部Cにおいて、板状部材6を供給する構成は、省略することも可能である。
【0051】
上述した実施例では、外枠治具3及び内枠治具4は、矩形状の枠体であったが、これに限定されるものではなく、ワークWが円形等であれば円形等であってもよい。また、外枠治具3の第一貫通孔3bは2か所でなく例えば1か所であってもよく、内枠治具4も2個ずつ用いられる必要はなく例えば1個のみ用いてもよい。また、1つの内枠治具4に2以上の第2貫通孔4bを設けてもよい。
【0052】
また、上述した封止金型2は下型2bに下型キャビティ凹部2cを有する下型キャビティ可動の圧縮成形装置1について説明したが、上型2aに上型キャビティ凹部2eを設けた上型キャビティ可動の圧縮成形装置1であってもよい。上型キャビティ凹部2eは、キャビティ底部を構成する上型キャビティ駒2fとこれを囲んで設けられたキャビティ側部を構成する上型クランパ2gにより形成され、これらが相対移動可能に設けられている。この場合には、ワーク供給部Bより樹脂供給部Dの樹脂供給テーブル5にワークWが供給され、搬送機構7がワークローダ及び樹脂ローダを兼用する。搬送機構7には、ワークWを吸着保持する吸着孔7aが設けられている。尚、搬送機構7はワークWを吸着保持ではなく、先端にフックを有する開閉爪によりワークWを把持して搬送するようにしてもよい。
【0053】
次に樹脂封止装置の他例について説明する。図5は他例に係る上型キャビティ可動の圧縮成形装置の樹脂供給部と封止金型の説明図である。
図5(a)に示すようにヒータ5aを内蔵した樹脂供給テーブル5上にワークW(キャリヤ)を供給する。図5(b)において樹脂ディスペンサ8は一回分の成形に必要な樹脂Rを計量しながらワークW上に供給ノズル8aより樹脂Rを供給する。このとき、樹脂供給テーブル5はヒータ5aにより樹脂Rが成形温度(例えば170℃:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱されているのでワークW上に落下した樹脂Rは軟化した状態で保形される。図5(c)に示すように搬送機構7は、ワークWを例えば吸着孔7aにより吸着保持して封止金型2へ搬送する。搬送機構7は図5(d)に示すように型開きした下型2bにワークWを受け渡す。ワークWは下型2bに吸着保持されるようにしてもよい。図5(e)に示すように上型2aに設けられた上型キャビティ凹部2eを含む上型クランプ面には枚葉フィルム2dが吸着保持されている。図5(f)に示すように、ワークWを上型2aと下型2bでクランプして成形温度(例えば170℃程度:第二温度)まで加熱加圧して圧縮成形される。
このように、樹脂RをワークW上に供給しながらワークWを介して成形温度より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱して軟化させるので、樹脂粉粒が飛び跳ね難くなるので保形したままワークW上に供給することができる。よって、ワークW上の樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く装置内の汚染が生じることがなくなる。
【0054】
次に樹脂封止装置の他例について説明する。図6は他例に係る下型キャビティ可動の樹脂封止装置のレイアウト構成図である。尚、図3と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。図6において、下型キャビティ可動の圧縮成形装置1は、プレス部A、ワーク供給部B、フィルム供給部C、樹脂供給部D、板状部材供給部E、クリーナー部F、フィルム廃棄ボックスGを備えている。液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂RとワークWが下型キャビティ可動の圧縮成形用金型2に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される点も図3と同様である。
【0055】
図3との相違は、搬送治具として、キャビティ凹部の形状に対応する第一貫通孔3bを有する外枠治具3のみを用いている点が異なる。よって、内枠治具4及びこれを搬送する枠体ピックアンドプレース9は省略されている。フィルム供給部Cにおいて第一貫通孔3bの下方が枚葉フィルム2dで覆われ、樹脂供給部Dにおいて第一貫通孔3b内の枚葉フィルム2d上に樹脂Rが供給され、搬送機構7により外枠治具3を把持して圧縮成形用金型2に搬送される。尚、必要に応じてフィルム供給部Cにおいて、樹脂Rを第一貫通孔3b内の枚葉フィルム2dに供給前に、板状部材供給部Eより放熱板、シールド板、アンテナ板等の板状部材6を第一貫通孔3b内の枚葉フィルム2dに供給した後、樹脂Rを供給するようにしてもよい。板状部材供給部Eは省略してもよい。
【0056】
搬送機構7は、図示しないフック等により外枠治具3を保持するとともに、図示しない真空ポンプ等により枚葉フィルム2dを吸着保持して樹脂Rを搬送する。搬送機構7は、フィルム供給部Cから外枠治具3を保持して樹脂供給テーブル5、樹脂供給テーブル5からプレス部A、プレス部Aからクリーナー部Fへ各々搬送し、再度フィルム供給部Cへ搬送されて、繰り返し使用される。使用済の枚葉フィルム2dは、下型2b(図2(b)参照)より搬送機構7により回収されフィルム廃棄ボックスGに廃棄される。
【0057】
樹脂供給部Dに備えた樹脂供給テーブル5には、樹脂ディスペンサ8より枚葉フィルム2d上に供給された樹脂Rを圧縮成形金型2の成形温度(例えば170℃程度:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱して軟化させるヒータ5aが内蔵されている点も同様である。樹脂供給テーブル5又は樹脂ディスペンサ8を相対的にX-Y方向に走査しながら枚葉フィルム2d上に樹脂Rが供給される。
【0058】
上記構成によれば、枚葉フィルム2d上に供給された樹脂Rを成形温度より低い所定温度にヒータ5aで加熱して軟化させることにより、樹脂粉粒が舞い難くなるので樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、枚葉フィルム2d上に供給された樹脂Rの保形性を高めて、搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、枚葉フィルム2dの直下からヒータ5aで加熱することにより装置構成も簡略化することができる。また、樹脂Rを予熱することで成形時間を短くすることができる。
【0059】
次に図5に示す上型キャビティ可動の樹脂封止装置の他例について図7を参照して説明する。図7は、上型キャビティ可動の圧縮成形装置1の一例を示している。圧縮成形装置1は、ディスペンスユニット11C(樹脂供給部)、プレスユニット11B及び成形品収納ユニット11Aが連結されて組み立てられている。各ユニット間を跨いで任意の数のガイドレール(不図示)が直線状に設けられている。ワークWを樹脂Rと共に搬送するローダ12(搬送機構)は、任意のガイドレールに沿って所定のユニット間を往復移動可能に設けられている。なお、ローダ12は、例えば封止金型2に対するワークW等の搬入動作だけでなく封止金型2からの成形後のワークWの搬出動作や使用済の枚葉フィルム2dの廃棄等も行なう。
【0060】
ディスペンスユニット11C(樹脂供給部)は、ワークWの上に液状樹脂、顆粒樹脂又は粉末樹脂のいずれかの樹脂Rをディスペンサにて供給する。ワークWが載置される樹脂供給テーブル5を有し、樹脂供給テーブル5内にはヒータ5aが内蔵されている。プレスユニット11Bは、封止金型2(上型キャビティ可動の圧縮成形用金型)を備え、ワークWを樹脂封止(圧縮成形)して成形品への加工を主に行う。成形後のワークWは、ローダ12によって成形品収納ユニット11Aへ取り出されて、不要樹脂が除去された成形品が成形品収納部13へ収納される。
【0061】
ディスペンスユニット11Cに備えた樹脂供給テーブル5に内蔵されたヒータ5aは、樹脂ディスペンサ8より樹脂供給テーブル5上のワークW上に供給された樹脂Rを封止金型2の成形温度(例えば170℃程度:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱して軟化させる。このとき、樹脂供給テーブル5又は樹脂ディスペンサ8を相対的にX-Y方向に走査しながら枚葉フィルム2d上に樹脂Rが供給される。
【0062】
上記構成によれば、ディスペンスユニット11Cにおいて樹脂ディスペンサ8より、樹脂供給テーブル5に載置されたワークW上に供給された樹脂Rを成形温度より低い所定温度にヒータ5aで加熱して軟化させることにより、樹脂粉粒が舞い難くなるので樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、ローダ12によりワークWと共に搬送される樹脂Rの保形性を高め、ワーク搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、ワークWの直下からヒータ5aで加熱することにより装置構成も簡略化することができる。
【0063】
以上説明したように、樹脂供給テーブル5上で樹脂Rを枚葉フィルム2d又はワークW上に供給しながら成形温度より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱して樹脂Rを軟化させることで、樹脂粉粒が舞い難くなり樹脂粉粒の飛散抑制をすることができる。よって、枚葉フィルム2d又はワークW上に供給された樹脂Rの保形性が高まるので、枚葉フィルム2d又はワークWを搬送途中で樹脂粉粒が舞うおそれがなくクリーン度を維持することができる。また、枚葉フィルム2d又はワークW上の樹脂の散布エリアを任意に設定できハンドリングし易く装置内の汚染が生じることがなくなる。また、成形前に樹脂Rを予熱することで成形時間を短くすることができる。
また、樹脂供給テーブル5にヒータ5aを内蔵することにより、樹脂Rを枚葉フィルム2d又はワークWと共に搬送途中に加熱部を別途設ける必要はないので、設置面積も少なくなり装置構成を簡略化することができる。
【符号の説明】
【0064】
A プレス部 B ワーク供給部 C フィルム供給部 D 樹脂供給部 E 放熱板供給部 F クリーナー部 G フィルム廃棄ボックス W ワーク 1 圧縮成形装置 2 封止金型 2a 上型 2a1 上型クランプ面 2b 下型 2c 下型キャビティ凹部 2d 枚葉フィルム 2e 上型キャビティ凹部 2f 上型キャビティ駒 2g 上型クランパ 2h 下型キャビティ駒 2i 下型クランパ 3 外枠治具 3a,4a 枠体 3b 第一貫通孔 3c フィルム吸着孔 3d 段差部 3e 位置決め凹部 4 内枠治具 4b 第二貫通孔 4c フランジ部 4d 位置決め凸部 5 樹脂供給テーブル 5a ヒータ 6 板錠部材 7 搬送機構 8 樹脂ディスペンサ 8a 供給ノズル 9 枠体ピックアンドプレース 10 板状部材ピックアンドプレース 11A ワーク処理ユニット 11B プレスユニット 11C ディスペンスユニット 12 ローダ 13 成形品収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7