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  • 特開-浮遊物回収装置 図1
  • 特開-浮遊物回収装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061241
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】浮遊物回収装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/40 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
C02F1/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169124
(22)【出願日】2020-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】丹下 広志
(72)【発明者】
【氏名】杉野 泰之
(72)【発明者】
【氏名】間島 功治
(72)【発明者】
【氏名】細谷 仁人
(72)【発明者】
【氏名】大下 正道
【テーマコード(参考)】
4D051
【Fターム(参考)】
4D051AA06
4D051AB03
4D051CA11
4D051DB07
(57)【要約】
【課題】処理水の水面全体の水流及び処理水の攪拌を抑えられる浮遊物回収装置を提供する。
【解決手段】処理水槽10内の処理水2の水面に浮遊した浮遊物を回収する浮遊物回収装置30は、処理水2の水面の外周部分に立てられた状態で固定された堰き止めプレート31と、堰き止めプレート31の一方の面の側において処理水2に設置され、処理水2の水面に周方向の水流を発生させる水流発生器32と、堰き止めプレート31の他方の面の側において処理水2に設置され、処理水2を吸い上げる回収ポンプ33と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水槽内の処理水の水面に浮遊した浮遊物を回収する浮遊物回収装置であって、
前記処理水の水面の外周部分に立てられた状態で固定された堰き止めプレートと、
前記堰き止めプレートの一方の面の側において前記処理水中に設置され、前記処理水の水面に周方向の水流を発生させる水流発生器と、
前記堰き止めプレートの他方の面の側において前記処理水中に設置され、前記処理水を吸い上げる回収ポンプと、を備える浮遊物回収装置。
【請求項2】
前記堰き止めプレートはその両面が周方向に向いて設置されている
請求項1に記載の浮遊物回収装置。
【請求項3】
前記堰き止めプレートは一部が前記処理水に浸かり、一部が前記処理水の水面から突き出ている
請求項1又は2に記載の浮遊物回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理水槽内の水面に浮遊した浮遊物を回収する浮遊物回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、スクレーパを円形沈殿池内の処理水の水面に沿って旋回させることによって、水面に浮いたスカムを水面上のスカム除去装置に掻き寄せる技術が開示されている。
特許文献2には、スクレーパを円形沈殿池内の処理水の水面に沿って旋回させることによって、水面に浮いたスカムを外径方向に掻き集めて、円形沈殿池の内周壁に設けられたスカム除去装置に誘導する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-001323号公報
【特許文献2】実登第2544258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1,2の技術では、スクレーパが径方向に設けられていることから、処理水槽の水面全体がスクレーパによって掻かれる。そのため、周方向の水流が水面全体に発生する虞があり、処理水が攪拌されてしまって、沈殿物が処理水に分散してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、処理水の水面全体の水流及び処理水の攪拌を抑えられる浮遊物回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、処理水槽内の処理水の水面に浮遊した浮遊物を回収する浮遊物回収装置は、前記処理水の水面の外周部分に立てられた状態で固定された堰き止めプレートと、前記堰き止めプレートの一方の面の側において前記処理水中に設置され、前記処理水の水面に周方向の水流を発生させる水流発生器と、前記堰き止めプレートの他方の面の側において前記処理水中に設置され、前記処理水を吸い上げる回収ポンプと、を備える。
好ましくは、前記堰き止めプレートはその両面が周方向に向いて設置されている。
好ましくは、前記堰き止めプレートは一部が前記処理水に浸かり、一部が前記処理水の水面から突き出ている。
【0007】
以上によれば、堰き止めプレートが処理水槽内の水面の外周部分に立てられた状態に設置され、その堰き止めプレートの一方の面の側に水流発生器が設置されているため、処理水の水面のうち外周部分には水流が発生するが、中央部分には水流が発生しない。そのため、処理水の攪拌及び沈殿物の分散を抑えることができる。
また、浮遊物が水流発生器によって堰き止めプレートに集められ、集められた浮遊物が処理水とともに回収ポンプによって回収されるため、浮遊物を効率よく回収することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、処理水の攪拌及び沈殿物の分散を抑えることができるとともに、浮遊物を効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】沈殿設備の縦断面図である。
図2】沈殿設備の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
図1は、沈殿設備1の断面図である。図2は、沈殿設備1の平面図である。
この沈殿設備1は、処理水槽10、歩廊16、センターウェル17、沈殿物掻寄機20及び浮遊物回収装置30を備える。
【0012】
処理水槽10は、上側が開放された円柱状の空間を内側に有した円形の処理水槽であって、沈殿池とも称呼される。処理水槽10の底11の中央には、沈殿物ピット13が凹設されている。処理水槽10の内周壁12の上部には越流堰14が設けられ、越流堰14の内側にはバッフルプレート15が設けられている。処理水槽10の上方には、歩廊16が設置されている。バッフルプレート15及び越流堰14を越流した処理水2は再利用される。本実施形態では、再利用される処理水2中の浮遊物の含有率は浮遊物回収装置30によって低く抑えられるため、再利用先での浮遊物の詰まりが防止される。
【0013】
処理水槽10の上部の中央には、整流筒としてのセンターウェル17が固定されている。処理水供給管18がセンターウェル17に連結され、処理水が処理水供給管18を通じてセンターウェル17に供給されて、処理水槽10に貯留される。処理水槽10に貯留される処理水2は沈殿対象物(例えば石炭)及び凝集剤を含有する。沈殿対象物が凝集剤により凝集して、その凝集物が処理水槽10内にて沈殿する。以下、底11に沈殿する物質を沈殿物という。また、処理水2は比重の軽い浮遊物(例えば、木質ペレット、木質ペレットの破砕片、木屑、スカム等)を含有し、その浮遊物は処理水槽10内の処理水2の水面に浮上する。なお、処理水2は、石炭及び木質ペレットを搬送するベルトコンベヤを水洗することによって得られた汚水に凝集剤を混入させたものであるが、これに限るものではない。
【0014】
沈殿物掻寄機20は駆動機21、回転軸22及びレーキ23を有する。回転軸22が処理水槽10の中央において鉛直方向に延び、回転軸22の下端が沈殿物ピット13の底に回転可能に連結され、回転軸22の上端が駆動機21に連結されている。レーキ23が回転軸22の下部から径方向外側へ処理水槽10の底11に沿って延設されており、レーキ23の掻き板が径方向及び周方向に対して斜めに設けられている。そのため、駆動機21によってレーキ23が回転軸22回りに旋回させられると、処理水槽10の底11に沈殿した沈殿物がレーキ23によって底11の中央の沈殿物ピット13へ掻き寄せられる。沈殿物ピット13には抜出管19が連結されており、沈殿物ピット13内の沈殿物が不図示の引抜ポンプによって抜出管19を通って抜き出される。抜き出された沈殿物が処理水から分離されて、分離された処理水は再利用されるべく、センターウェル17に供給される。
【0015】
図2に示すように、2体の浮遊物回収装置30は処理水槽10の中央を挟んで互いに対向する位置に配置されている。但し、処理水槽10内に設置される浮遊物回収装置30の数が単数であってもよいし、3体以上の浮遊物回収装置30が処理水槽10内に周方向に所定間隔で配置されていてもよい。浮遊物回収装置30は、堰き止めプレート31、水流発生器32及び回収ポンプ33を備える。
【0016】
堰き止めプレート31は、例えば処理水槽10の内周壁12、越流堰14又はバッフルプレート15に取り付けられることによって、処理水槽10内の処理水2の水面の外周部分に立てた状態で固定されている。堰き止めプレート31の一部が処理水2に浸かっており、堰き止めプレート31の残りの部分が処理水2の水面から上に突き出ている。堰き止めプレート31はその板厚方向が処理水槽10の周方向になるように設置され、堰き止めプレート31の両面が周方向に向けられている。
【0017】
堰き止めプレート31の一方の面の側において、水流発生器32が処理水2中の水面近傍に設置され、堰き止めプレート31の他方の面の側において、回収ポンプ33が処理水2中の水面近傍に設置されている。
【0018】
水流発生器32は、例えば処理水槽10の内周壁12、越流堰14若しくはバッフルプレート15又は堰き止めプレート31に取り付けられることによって、固定されている。水流発生器32は、インペラ及びインペラを回転させる動力源等を有し、処理水2の水面に周方向の水流を発生させる。処理水2の水面に浮いた浮遊物は水流によって周方向に流れて、堰き止めプレート31に堰き止められる。従って、浮遊物は、堰き止めプレート31の他方の面の側に寄せ集められる。
【0019】
回収ポンプ33にはフロート33aが取り付けられ、フロート33aによって回収ポンプ33が浮遊している。回収ポンプ33は水流発生器32による水流によって水流発生器32から離れる方向に流れて、堰き止めプレート31の他方の面に受け止められる。回収ポンプ33はホース34等を介して沈殿物捕捉器に接続されている。回収ポンプ33は、処理水2を吸い上げて、沈殿物捕捉器へ送る。沈殿物捕捉器は浸透性の捕集袋等を有し、処理水2中の浮遊物が沈殿物捕捉器の捕集袋に捕捉されることで、処理水2から分離される。浮遊物が除去された処理水2は沈殿物捕捉器の捕集袋を浸透して、再利用される。
【0020】
なお、回収ポンプ33は、周方向において、堰き止めプレート31に関して水流発生器32の反対側に設置されているのであれば、フロートポンプでなくてもよい。つまり、回収ポンプ33は、例えば処理水槽10の内周壁12、越流堰14若しくはバッフルプレート15又は堰き止めプレート31に取り付けられることによって、固定されていてもよい。
【0021】
以上のように浮遊物が水流発生器32によって堰き止めプレート31に集められ、集められた浮遊物が処理水2とともに回収ポンプ33によって回収されるため、浮遊物を効率よく回収することができる。つまり、回収ポンプ33の吸込能力が低くても、また回収ポンプ33の設置数が少なくても、処理水槽10内の処理水2の水面全体的に浮遊物を回収することができる。
【0022】
処理水2の水面に浮いた浮遊物が回収されるため、処理水2の上澄みを再利用しやく、特にバッフルプレート15及び越流堰14を越流した処理水2を再利用しやすい。具体的には、再利用先での浮遊物の詰まりが防止されるとともに、処理水2の再利用に際しての安全性も向上する。
【0023】
水流発生器32は処理水2の水面に水流を発生させるが、底11の近傍には水流を発生させない。また、水流発生器32が処理水槽10内の処理水2の水面の外周部分に設置されていることから、処理水2の水面のうち外周部分には水流が発生し、中央部分には水流が発生しない。そのため、処理水2の攪拌及び沈殿物の分散が発生しない。
【0024】
沈殿設備1において沈殿物のみならず、浮遊物も処理水2から分離できることから、この沈殿設備1を含む全体設備の管理費用及び運用費用の低減を図れる。
【符号の説明】
【0025】
2…処理水
10…処理水槽
30…浮遊物回収装置
31…堰き止めプレート
32…水流発生器
33…回収ポンプ
図1
図2