(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022061293
(43)【公開日】2022-04-18
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62D 7/15 20060101AFI20220411BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20220411BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220411BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B62D7/15
G08G1/00 X
G05D1/02 W
B62D6/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020169211
(22)【出願日】2020-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】591117631
【氏名又は名称】株式会社NICHIJO
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 英樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 脩佑
(72)【発明者】
【氏名】難波 真二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 相向
(72)【発明者】
【氏名】小原 敏之
【テーマコード(参考)】
3D034
3D232
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
3D034CA06
3D034CD10
3D034CE02
3D034CE03
3D034CE05
3D232EB04
5H181AA27
5H181FF04
5H181FF14
5H181FF27
5H181LL09
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC08
5H301GG09
5H301GG16
5H301HH04
5H301HH15
5H301JJ05
(57)【要約】
【課題】
走行ルートから逸脱したときに効率よく走行ルートに復帰することができる車両を提供する。
【解決手段】
本願の一態様に係る車両は、当該車両が走行ルートから逸脱して走行ルートに復帰する際において、走行ルート上の復帰位置を決定するとともに、当該車両が復帰位置に位置したときに走行ルートを走行可能となる第1タイヤ及び第2タイヤの目標位置を算出し、第1タイヤの現在位置からの距離と第1タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内であり、かつ、第2タイヤの現在位置からの距離と第2タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内である共通中心点を求め、複数のタイヤのそれぞれが、共通中心点を中心とし共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向又は当該接線方向との角度差が所定範囲内である方向に向くように、複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された走行ルートを走行する車両であって、
第1タイヤ及び第2タイヤを含み、互いに異なる舵角に設定可能な複数のタイヤと、
前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
当該車両が前記走行ルートから逸脱して前記走行ルートに復帰する際において、前記走行ルート上の復帰位置を決定するとともに、当該車両が前記復帰位置に位置したときに前記走行ルートを走行可能となる前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの目標位置を算出し、
前記第1タイヤの現在位置からの距離と前記第1タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内であり、かつ、前記第2タイヤの現在位置からの距離と前記第2タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内である共通中心点を求め、
前記複数のタイヤのそれぞれが、前記共通中心点を中心とし前記共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向又は当該接線方向との角度差が所定範囲内である方向に向くように、前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する、車両。
【請求項2】
前記処理装置は、前記復帰位置を決定するにあたり、当該車両が前記走行ルートに復帰するときの走行速度に応じて基準距離を決定し、当該車両の現在位置から前記復帰位置までの距離が前記基準距離となるように前記復帰位置を決定する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記処理装置は、前記走行ルートから逸脱した当該車両が前記走行ルートに復帰するまでの間、前記復帰位置を刻々と更新し、これにより前記複数のタイヤのそれぞれの舵角の設定を刻々と更新してゆく、請求項1又は2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、予め設定された走行ルートを走行する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
予め設定された走行ルートを走行する車両には、敷地内で複雑な移動ができるように、複数のタイヤをそれぞれ異なる舵角に設定できるように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両が、何らかの要因で走行ルートから逸脱した場合、不要な動作をすることなく、速やかに走行ルートに復帰することが望ましい。本願は、このような事情に鑑みてなされたものであり、走行ルートから逸脱したときに効率よく走行ルートに復帰することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る車両は、予め設定された走行ルートを走行する車両であって、第1タイヤ及び第2タイヤを含み、互いに異なる舵角に設定可能な複数のタイヤと、前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する処理装置と、を備え、前記処理装置は、当該車両が前記走行ルートから逸脱して前記走行ルートに復帰する際において、前記走行ルート上の復帰位置を決定するとともに、当該車両が前記復帰位置に位置したときに前記走行ルートを走行可能となる前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの目標位置を算出し、前記第1タイヤの現在位置からの距離と前記第1タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内であり、かつ、前記第2タイヤの現在位置からの距離と前記第2タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内である共通中心点を求め、前記複数のタイヤのそれぞれが、前記共通中心点を中心とし前記共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向又は当該接線方向との角度差が所定範囲内である方向に向くように、前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する。
【0006】
例えば、走行ルートから逸脱した車両を走行ルートに復帰させる場合に、車両を走行ルート上に位置させることができたとしても、走行ルートに対して車体が傾いており、これにより車両がすぐに走行ルートを走行できないような場合は、車両を効率よく走行ルートに復帰させたとは言えない。これに対し、前述した本願の一態様に係る車両では、走行ルートを走行可能な位置に速やかに車両の各タイヤを位置させるため、車両が走行ルート上に位置した時点で走行ルートを走行できる姿勢となっている。したがって、車両は効率よく走行ルートに復帰することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、走行ルートから逸脱したときに効率よく走行ルートに復帰することができる車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、ルート復帰プログラムのフローチャートである。
【
図3】
図3は、復帰位置を決定する方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、目標位置を算出する方法を説明する図である。
【
図5】
図5は、走行ルートが曲線であるときの目標位置を算出する方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、共通中心点を求める方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、各タイヤの舵角を設定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<車両の概要>
まず、実施形態に係る車両100の概要について説明する。
図1は、車両100の概略平面図である。車両100は、予め設定された走行ルートを走行する。車両100は、走行ルートを自動で走行するように構成されていてもよく、一部手動(例えば、加減速のみ手動でそれ以外は自動)で走行するように構成されていてもよい。
【0010】
図1に示すように、車両100は、車体10と、複数のタイヤ11~14と、タイヤ駆動装置15と、測位システム16と、処理装置17と、を備えている。
【0011】
車体10は、重量物を搬送できるように構成されており、本実施形態では平面視において略長方形の形状を有している。車両100が走行ルートを走行する際には、車体10のうち長手方向の一方側の端部を先頭とし、車体10の長手方向に走行する。本実施形態では、車体10の紙面左側の端部が先頭であり、紙面左方に向かって走行する(矢印参照)。なお、車体10の用途、形状、及び、進行方向は、上記のものに限定されない。
【0012】
複数のタイヤ11~14には、右前輪に相当する第1タイヤ11、左前輪に相当する第2タイヤ12、右後輪に相当する第3タイヤ13、及び、左後輪に相当する第4タイヤ14が含まれる。ただし、各タイヤ11~14の配置はこれに限定されない。また、車両100が備えるタイヤの数も4つに限定されない。
【0013】
タイヤ駆動装置15は、各タイヤ11~14を回転駆動させるととともに、舵角(車体10に対するタイヤ11~14の角度)を設定する。本実施形態のタイヤ駆動装置15は、各タイヤ11~14の回転速度及び舵角を互いに異なるように設定できる。なお、タイヤ駆動装置15は、内燃機関を用いて各タイヤ11~14を回転駆動させてもよく、電動モータを用いて各タイヤ11~14を回転駆動させてもよい。なお、各タイヤ11~14の舵角は、舵角検出センサによる検出の結果に基づいてフィードバック制御する。
【0014】
測位システム16は、車体10の現在位置(ここでは車体10の中心位置であるが、これに限定されない)及び向きを測定するシステムである。本実施形態の測位システム16は、車体10の前方部分と後方部分にGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を有しており、車体10の前方部分と後方部分の詳細な位置を測定することができる。そして、測位システム16は、車体10の前方部分と後方部分の位置に基づいて、車体10の現在位置及び向きを算出する。ただし、測位システム16は、カメラを用いるなど、上記以外の方法で車体10の現在位置及び向きを測定してもよい。また、測位システム16は、受信機を1つのみ有し、その受信機が2つのアンテナを有していてもよい。また、測位システム16は、受信機を1つのみ有し、測定した最新の車体10の位置とそれよりも所定時間前の車体10の位置に基づいて車体10の向きを算出(取得)してもよい。
【0015】
処理装置17は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及び、I/Oインターフェース等を有している。処理装置17は、測位システム16と電気的に接続されており、測位システム16から車体10の現在位置及び向きを取得することができる。さらに、処理装置17は、タイヤ駆動装置15と電気的に接続されており、タイヤ駆動装置15に制御信号を送信してタイヤ駆動装置15を制御し、各タイヤ11~14の回転速度及び舵角を設定することができる。
【0016】
また、上述した処理装置17の不揮発性メモリには、予め設定された車両100の走行ルートのデータが保存されているとともに、ルート復帰プログラムのデータが保存されている。処理装置17のプロセッサは、上記のルート復帰プログラムに基づいて、揮発性メモリを用いて演算処理を行う。処理装置17は、揮発性メモリで演算処理した結果に基づいて、タイヤ駆動装置15に制御信号を送信する。
【0017】
<ルート復帰プログラム>
次に、ルート復帰プログラムについて説明する。
図2は、ルート復帰プログラムのフローチャートである。ルート復帰プログラムは、走行ルートを逸脱した車両100を走行ルートに復帰させるためのプログラムであって、走行ルートの走行中に実行される。
図2で示す処理は、処理装置17によって実行される。
【0018】
ルート復帰プログラムが開始されると、処理装置17は、車体10の現在位置及び向きを取得する(ステップS1)。車体10の現在位置及び向きは、前述した測位システム16から取得することができる。
【0019】
続いて、処理装置17は、各タイヤ11~14の現在位置を算出する(ステップS2)。車体10に対する各タイヤ11~14の相対位置は分かっているため、各タイヤ11~14の現在位置は、車体10の現在位置及び向きに基づいて算出することができる。
【0020】
続いて、処理装置17は、車両100が走行ルートに復帰するときの走行速度(以下、「復帰走行速度」と称する)を決定する(ステップS3)。復帰走行速度は、ルート走行プログラム実行時における車両100の走行速度の他、車体10に積載される積載物の重量などの条件に基づいて決定する。例えば、車体10の積載物が軽ければ、復帰走行速度を大きい値に決定してもよい。また、復帰走行速度は一定であってもよい(この場合、ステップS3を省略することができる)。
【0021】
続いて、処理装置17は、基準距離を決定する(ステップS4)。基準距離は、ステップS3で決定した復帰走行速度に応じて決定する。本実施形態では、復帰走行速度が速くなるに従って基準距離を大きな値となるように決定し、復帰走行速度が遅くなるに従って基準距離を小さな値となるように決定する。ただし、復帰走行速度と基準距離の関係は、上記のものに限定されない。
【0022】
続いて、処理装置17は、復帰位置を決定する(ステップS5)。本実施形態では、ステップS4で決定した基準距離に基づいて復帰位置を決定する。具体的には、
図3に示すように、走行ルートR上で、かつ、車両100の現在位置Aから基準距離L離れた位置Bを復帰位置に決定する。復帰位置Bは、車両100から見て走行ルートRの進行方向前方に位置している。
【0023】
続いて、処理装置17は、第1タイヤ11の目標位置及び第2タイヤ12の目標位置を算出する(ステップS6)。
図4に示すように、第1タイヤ11の目標位置B1は、車両100が復帰位置Bに位置したときに走行ルートRを走行することができる第1タイヤ11の位置である。同様に、第2タイヤ12の目標位置B2は、車両100が復帰位置Bに位置したときに走行ルートRを走行することができる第2タイヤ12の位置である。
【0024】
例えば、
図4で示すように、走行ルートRが直線であるときには、車体10が復帰位置Bに位置しており、かつ、車体10の前後方向が走行ルートRに対して平行であるときの第1タイヤ11及び第2タイヤ12の位置を、それぞれ第1タイヤ11の目標位置B1及び第2タイヤ12の目標位置B2とする。
【0025】
また、例えば、
図5に示すように、走行ルートRが曲線であるときには、車体10が復帰位置Bに位置しており、かつ、車体10の前後方向が走行ルートRの接線に対して平行であるときの第1タイヤ11及び第2タイヤ12の位置を、それぞれ第1タイヤ11の目標位置B1及び第2タイヤ12の目標位置B2とする。
【0026】
続いて、処理装置17は、共通中心点を求める(ステップS7)。
図6に示すように、共通中心点Xは、第1タイヤ11の現在位置A1からの距離と第1タイヤ11の目標位置B1からの距離が同じであり、かつ、第2タイヤ12の現在位置A2からの距離と第2タイヤ12の目標位置B2からの距離の差が同じである点である。つまり、第1タイヤ11の現在位置A1と目標位置B1を結ぶ直線の垂直二等分線と、第2タイヤ12の現在位置A2と目標位置B2を結ぶ直線の垂直二等分線との交点が、共通中心点Xである。
【0027】
続いて、処理装置17は、各タイヤ11~14の舵角を設定する(ステップS8)。具体的には、
図7に示すように、第1タイヤ11であれば、ステップS7で求めた共通中心点Xを中心とし、第1タイヤ11の現在位置A1から共通中心点Xまでの距離を半径とする旋回円C1の接線方向に第1タイヤ11が向くように、第1タイヤ11の舵角を設定する。同様にして、第1タイヤ11以外のタイヤ12~14においても、共通中心点Xを中心とし、各タイヤ12~14の現在位置A2~A4から共通中心点Xまでの距離を半径とする旋回円C2~C4の接線方向に各タイヤ12~14が向くように、各タイヤ12~14の舵角を設定する。
【0028】
続いて、処理装置17は、車両100が各タイヤ11~14を走行ルートに向けて回転駆動する(ステップS9)。処理装置17は、各タイヤ11~14を同じ回転速度で回転駆動させてもよく、各タイヤ11~14の現在位置から目標位置までの距離に応じて、異なる回転速度で回転駆動させてもよい。例えば、現在位置から目標位置までの距離が長いようなタイヤは、当該距離が短いものに比べて速い回転速度で回転駆動してもよい。
【0029】
ステップS9を経た後は、ステップS1に戻って、車両100が走行ルートに復帰するまでステップS1からステップS9を繰り返す。つまり、処理装置17は、走行ルートから逸脱した車両100が走行ルートに復帰するまでの間、復帰位置を刻々と更新し(ステップS5)、これにより各タイヤ11~14の舵角の設定を刻々と更新してゆく(ステップS8)。なお、ステップS1からステップS8は、各タイヤ11~14を回転駆動させながら(つまりステップS9の実行中に)実行してもよい。これにより、車両100が走行ルートに近づくにつれて、各タイヤ11~14が走行ルートに沿う方向に向くように舵角は修正されてゆく。その結果、車両100が復帰位置に至ると、すぐに車両100は走行ルートを走行することができる。
【0030】
ただし、ステップS1からステップS9を繰り返さずに、車両100が走行ルートに復帰するまで、一旦設定した各タイヤ11~14の舵角を維持してもよい。この場合でも、車両100が復帰位置に至った後、各タイヤ11~14が走行ルートの進行方向に向くように舵角を調整すれば、すぐに車両100は走行ルートを走行することができる。つまり、車両100は速やかに走行ルートに復帰することができる。
【0031】
なお、上記のルート復帰プログラムでは、第1タイヤ11の現在位置からの距離と第1タイヤ11の目標位置からの距離が同じであり、かつ、第2タイヤ12の現在位置からの距離と第2タイヤ12の目標位置からの距離の差が同じである点を共通中心点としたが(ステップS7)、各タイヤ11~14の滑りなどを考慮して共通中心点を求めてもよい。つまり、第1タイヤ11の現在位置からの距離と第1タイヤ11の目標位置からの距離の差が所定範囲内であり、かつ、第2タイヤ12の現在位置からの距離と第2タイヤ12の目標位置からの距離の差が所定範囲内である点を共通中心点としてもよい。
【0032】
同様に、上記のルート復帰プログラムでは、共通中心点を中心とし各タイヤ11~14から共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向に向くように各タイヤ11~14の舵角を設定したが(ステップS8)、共通中心点を中心とし各タイヤ11~14から共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向との角度差が所定範囲内である方向に向くように各タイヤ11~14の舵角を設定してもよい。
【0033】
また、上記のルート復帰プログラムでは、第1タイヤ11及び第2タイヤ12の2つのタイヤの現在位置及び目標位置に基づいて、共通中心点を求めたが(ステップS7、
図6)、3つ以上のタイヤの現在位置及び目標位置に基づいて共通中心点を求めてもよい。
【0034】
<作用効果等>
上記のとおり、本実施形態に係る車両は、予め設定された走行ルートを走行する車両であって、第1タイヤ及び第2タイヤを含み、互いに異なる舵角に設定可能な複数のタイヤと、前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する処理装置と、を備え、前記処理装置は、当該車両が前記走行ルートから逸脱して前記走行ルートに復帰する際において、前記走行ルート上の復帰位置を決定するとともに、当該車両が前記復帰位置に位置したときに前記走行ルートを走行可能となる前記第1タイヤ及び前記第2タイヤの目標位置を算出し、前記第1タイヤの現在位置からの距離と前記第1タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内であり、かつ、前記第2タイヤの現在位置からの距離と前記第2タイヤの目標位置からの距離の差が所定範囲内である共通中心点を求め、前記複数のタイヤのそれぞれが、前記共通中心点を中心とし前記共通中心点までの距離を半径とする旋回円の接線方向又は当該接線方向との角度差が所定範囲内である方向に向くように、前記複数のタイヤの舵角をそれぞれ設定する。
【0035】
このように、本実施形態に係る車両は、走行ルートを走行可能となるような位置に各タイヤを速やかに位置させることができるため、効率よく走行ルートに復帰することができる。
【0036】
また、本実施形態に係る車両では、前記処理装置は、前記復帰位置を決定するにあたり、当該車両が前記走行ルートに復帰するときの走行速度に応じて基準距離を決定し、当該車両の現在位置から前記復帰位置までの距離が前記基準距離となるように前記復帰位置を決定している。
【0037】
そのため、本実施形態に係る車両によれば、走行速度に応じて適切に復帰位置を決定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る車両では、前記処理装置は、前記走行ルートから逸脱した当該車両が前記走行ルートに復帰するまでの間、前記復帰位置を刻々と更新し、これにより前記複数のタイヤのそれぞれの舵角の設定を刻々と更新してゆく。
【0039】
そのため、本実施形態に係る車両によれば、車両が走行ルートに近づくにつれて、各タイヤが走行ルートに沿う方向に向くように舵角が修正されてゆく。その結果、復帰位置に至るとすぐに車両は走行ルートを走行することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 車体
11 第1タイヤ
12 第2タイヤ
13 第3タイヤ
14 第4タイヤ
15 タイヤ駆動装置
16 測位システム
17 処理装置
100 車両